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【秘】 家族愛 サルヴァトーレ → 花で語るは ソニー「……」 男が君の言葉を遮ることはない。 君が話す時、男はいつも黙って君の瞳を見つめる。慈愛、親愛、友愛、諸々のあたたかなものを湛えて、じっと見るのだ。 指先だけが軽く動いて灰を落とした。 「そうだね、ソニー」 「君は正しいよ。昔から賢明だとは思っていたけど」 最低限の犠牲を払って大きな利益を手にする。 残酷でも無情でもなく、当然に普通のことだ。大きな組織では平然と行われることだし、ことこの社会では特に珍しくもない。末端を切って中枢を守れるなら誰だってそうするし、避けられる争いは避けるが道理だ。 「きっとそうなるんだろう。本当に下手人が僕らの中にいるのなら」 「ファミリーが抱えているものはあまりに大きい。全員が全員、自分の身を自分で守れるわけでもないし」 首一つ。たかが首一つ。 それで収まるなら、確かに安い話だ。 ▼ (-437) 2022/08/20(Sat) 19:37:27 |
【秘】 家族愛 サルヴァトーレ → 花で語るは ソニーされど首一つだ。 「逃がしてあげたいな」 「……だけどね、僕は今回ばかりは、そうじゃないと思ってる」 「だって、ね。真っ先にいなくなったのは、アマラントのマスターだって話じゃないか」 彼の遺体は見つかっていない。しかし誰もがわかっている。 「あそこはある種不可侵の領域だった。ここいらのマフィアにとってはね。もちろん、ノッテにとっても」 「そこをわざわざ潰すっていうのは、もっと大きな意図を感じる。この島自体に対する宣戦布告、みたいなもの────」 (-438) 2022/08/20(Sat) 19:47:23 |
【秘】 冷たい炸薬 ストレガ → 暗殺屋 レヴィア「いや、遺書じゃ……似たようなもんか、花火さ」 「臆病じゃなくて、あたいの物を知らない奴に 渡したくないだけ。あたいの物は、あたいの物だからね」 バン、と握った手をぱあっと開くようにしておどけてみせる。 にんまり悪戯に笑う顔は、そうそう見られないものだった。 「へえ。そんな法律は初耳だ。 それじゃあたいは建物を爆破してるから、 建築家のクソみたいな部屋に口出す権利もないのかい?」 喉が鳴る。 「それに、それじゃ答えになってないよ。 怖いですか、sì o no、だろ?」 これは"炸薬"にしては 随分と自分の意志がある。厄介なものだ。 ひとしきり笑いながらも、その瞳は夕闇を静かに覗き込んでいる。 (-439) 2022/08/20(Sat) 19:47:39 |
サルヴァトーレは、家族を愛している。 (c6) 2022/08/20(Sat) 19:49:48 |
【秘】 デッドヘッド ヴェネリオ → ”昼行灯” テンゴ―― ―――― 留守電だったかもしれない。 たった一言、あなたの端末に連絡が入った。 「すまん、悪い予感が当たった」 「服は部屋に置いてあるから勝手に入ってとっていけ」 ほどなくして、その声は途切れた。 (-440) 2022/08/20(Sat) 19:52:34 |
【秘】 家族愛 サルヴァトーレ → 小夜啼鳥 ビアンカ「おや。これは手厳しい」 くっくと喉の奥で笑みを転がす。君の靴音と相まって愉快な調べを奏でた。 「君たちはよく似ているよ、本当に」 『君たち』と。 男がひとまとめにするのは、金の髪のあの子のことだ。素直で従順な彼もまた、男に対しわがままを言わない。 もう少し甘えてくれるといいのだけど、そんなふうに小さくごちる。 「────そう言ってくれるなら」 舌の上で転がす言葉。 ただの音は君の唇を滑って、甘やかな魔法になる。 「裏切るわけにはいかないな」 魅せられずとも、男はそう答えたろう。 (-441) 2022/08/20(Sat) 20:01:16 |
【秘】 狡兎 ツィオ → piacere ラウラ「―――男ってさ、 惚れた女の前じゃ、格好つけたがるものなんだ」 だから、その囁かれる甘い誘惑を―― 優しい手に、静かに首を振った―― それが。 例え誰かに零せば、楽になれることだとしても。 それを、目の前のラウラにだけは。 ラウラにだけは、伝えることは出来なかった。 それは男としての矜持でも。 マフィアとしての安全措置でも。 同胞としての策略でもなかった。 俺は。 俺だけは。 その資格がない。 その痛みを吐露した者と。誰が寝ようと思える。 また一つ、"罪"を重ねた者と。誰が肌を重ねようと思える。 ▽ (-442) 2022/08/20(Sat) 20:01:50 |
【秘】 狡兎 ツィオ → piacere ラウラ誰が。 ラウラ ――彼女に言える。 マウロを地獄に送り込んだのが。 ――誰でもない――自分であるということを。 (-443) 2022/08/20(Sat) 20:02:35 |
ツィオは、静かに微笑んで。 (a43) 2022/08/20(Sat) 20:02:48 |
ツィオは、" "を重ねた。 (a44) 2022/08/20(Sat) 20:03:04 |
【秘】 花で語るは ソニー → 無風 マウロ潰れたりみっともなくなるほど酔ってはいないが、顔の表面にはぼうとした熱が纏う。 その心地よさを楽しむように夜気を切って歩く足は、少し早い。 焦るというよりも、星の中を突っ切って遊ぶ子供のような調子だった。 祭りを彩る音楽が遠くになっても、未だその熱狂が風となって吹き付けるように。 煙草にはいいよと気軽に許可を出して、瓶を軽く傾ける。 手持ち無沙汰に揺れる瓶は中身の失せるペースもそれなりに早い。 掛ける言葉のなさであったり、同情めいた迷いだったりを示す、そういうふうにも見える。 「……考えることがあるのは、しんどい? 苦しい思いをするばかりが供養なんじゃ、ないと思うよ それを痛みだけじゃないものとして受け入れられるまで、心を癒やした方がいい。 オレも、かけがえのないものを失くしたんだ。ちょうど」 ひとつ、ふたつ。呼吸が汚れた地面に落ちるくらいの間があって。 木箱の上から乗り出した足が、相手の前に向かう。尖った靴の先がぶつかりそうだ。 伸べた右手の人差し指、節張った背がが相手の頬の輪郭に伸べられる。 「ぶつかりそうになった時、なんだか小さく見えたんだ。 今日はぜんぶ、誰にも見せたくないもの。オレが持ち去って、見なかった振りするよ」 (-444) 2022/08/20(Sat) 20:10:24 |
【秘】 暗殺屋 レヴィア → 冷たい炸薬 ストレガ「そう。」 「独占欲が強いのね。」 「仲のいい人にでも処理を頼めばいいのに。」 "炸薬"の花火。 それはさぞ見ごたえがあるのだろう。 何もかも弾けてしまうくらい。 おどける姿、悪戯気な顔。 やはり見つめ返す女の顔は無表情で、 でも。 最初の頃のように、目線を逸らすことはしなかった。 「論点のすり替えね。」 「……………。」 再度の問いかけに。 ほんの少し、瞬きの合間だけ。 睫毛が、震えて。 「怖くなんてないわ。」 「私が死んだら、この店のものは好きに持っていっていいわよ。」 常の声で告げた答えは、"no" 女は道具だ。ノッテファミリーのための。 (-445) 2022/08/20(Sat) 20:11:28 |
【秘】 家族愛 サルヴァトーレ → ノーモアベット マキアート「その通り!」 クイズ番組の司会者のようなおどけた言い方で肯定して、朗らかに笑う。 「全くだよ。知ってるかい? ブルーノなんかは子どもが産まれたんだってさ」 「何が欲しいかって聞いたらベビー用品だって言うんだ。おかしいだろ? あんなにお酒が好きだったのに」 愉快そうに喉を鳴らして笑う。しかしその笑顔は馬鹿にしたものではなく、愛おしむそれだった。グラスをカウンターに置いてから、靴下がこんなに小さいんだ、と片手で円を作って見せる。 「あは、あの噂か。誰が流したんだか」 「妙な輩に絡まれたりはしていない? まあ、そんな無謀をする奴はいないと思うけれど────」 男の視線が君のかんばせに注がれる。そのままなぞるように下へと視線を滑らせた。 着込んだ布の下のその肌を、男は知っている。 「君は美しいから」 (-446) 2022/08/20(Sat) 20:12:46 |
ヴェネリオは、友に『 』をした。 (a45) 2022/08/20(Sat) 20:14:41 |
【独】 ガット・リベロ ルチア路地裏を一日、歩いてみて。 ──声をかけてきた男が三人ほどいたが、はずれだった。 軽く威嚇で足元を撃っただけで、逃げていってしまうような。 そんなものではない。 わたしが捜しているのは、そんなものではない。 ──どこにいるの? わたしは、ここにいるよ。 (-447) 2022/08/20(Sat) 20:17:43 |
ルチアは、捜している。 (a46) 2022/08/20(Sat) 20:18:21 |
マキアートは、マキアートだって、家族を愛していた。 (c7) 2022/08/20(Sat) 20:20:50 |
マキアートは、未来を見届けられないまま眠っている。 (c8) 2022/08/20(Sat) 20:21:02 |
マウロは、叶えたい未来があった。 (c9) 2022/08/20(Sat) 20:25:51 |
【秘】 冷たい炸薬 ストレガ → 暗殺屋 レヴィア「否定はしないでおくよ」 「ハ!じゃああんたが処理してくれる?」 声をあげて破顔する。面白いジョークを聞いたよう。 ころころ変わる表情で、笑いながら手を伸ばす。 あなたが何もしなければ、その指が頬をぶにとさすだけ。 止めるなり、避けるなりすればそれまでで引っ込める。 「すり替えはお互い様だろ?……。ま、そういう事にしとく。 それにあんたの物はあんたの物。けどまあ、 路頭に迷って捨てられるくらいならあたいが面倒見るよ」 「……さて、日が暮れる前に帰るかな。邪魔したね。 また生きて会える事を祈ってるよ、Piccolina」 ウィンクをひとつ、冗談のように飛ばして立ち上がる。 止めないなら、これはそのまま帰っていく。時計塔の方へ。 (-448) 2022/08/20(Sat) 20:28:26 |
マウロは、それが心残りだ。 (c10) 2022/08/20(Sat) 20:30:13 |
【置】 ニンナ・ナンナ ヴェネリオとある孤児院に『手紙』がついた花束が届いた。 宛先も名前もないその花束は、院長だけが渡す先を知っている。 『親愛なるあなたへ。 こんにちは。 其方の過ごす街はいい天気ですか? 海の向こうで会えないあなたを想って もう20年も過ぎました。 遠く離れていてもこの広い空だけは その街に繋がってると想い続けています 夏の祭りの季節にこの手紙は届いているでしょう。 三日月島の街に飾られている花は華やかで、 おやつにする林檎だけで済ませる買い物も ついお財布が緩んでしまったりしたものです。 とても楽しいお祭りです、あなたもどうか楽しんで下さい。 まだあなたに会うことはできないけれど、 また来年も花を送ります。 どうか幸せになって。 私たちの坊や』 (L1) 2022/08/20(Sat) 20:33:48 公開: 2022/08/20(Sat) 21:00:00 |
ヴェネリオは、生涯 を贈るのは、一人でいい。 (a47) 2022/08/20(Sat) 20:35:43 |
【秘】 花で語るは ソニー → 銀の弾丸 リカルド「――……」 息を吸って、吐いて。 余計な情報や感情を押し流すように、肺に落ちる酒気で覆い隠す。 奇妙なことに、真面目な問答をしていては議題は進まないのだ。一旦、脇へと置いておいて。 鼻をすんと動かす音。独特の匂いに気づきはしたのだろう。 何を示すものだろうかと、疑問を示すように黒目が動いた。 首を傾げて、その答えを知りたがるように、すぐ傍のアイオライトの瞳を見下ろす。 「好きなだけ、なんて言っていいの? 頼み事なんて、前の続き以外にあるんだ」 甘く官能的なミドルノートがそれに被さるように混じり合って、膚の匂いと溶け合う。 指で挟むようにして耳朶に触れ、それが首の下まで指の腹でなぜるように動く。 ぎし、と膝がソファに沈む音がした。品のない照明を背にすれば、腹の上は陰になる。 いまにも噛みつきそうな唇が鼻先から顎へ至る放物線を通って、あやうい温度を伝えた。 首筋を撫でる指は、形よく立てられた襟を辿ってタイの合わせ目に指を引っ掛ける。 酒の入った目はゆらりと虹彩を色濃くして、どうしようもないものを見るように目を細めた。 「オレはただ喜んで欲しかっただけで、傷をつけるために贈ったわけじゃないんだけどな。 それともオレの行いで傷つけられたほうがアンタには都合が良かった? 口、開けて」 パキ。 (-449) 2022/08/20(Sat) 20:37:52 |
【秘】 暗殺屋 レヴィア → 冷たい炸薬 ストレガ「私は誰とも仲良くないの。」 「仕事に使えそうなものは貰うけれど。」 あくまで、実益の為に。 回収する分には構わない。 仕事を卒なくこなす事が、自分の存在価値なのだから。 それだけ。 頬に、指が刺さる。 肉付きの良くないなりに柔らかな頬。 表情の乏しいものは、発達していない筋肉の分、 頬が柔らかくなるらしい、とはどこかで聞いた話。 女は指を避ける事もなく刺されたまま、 ただ無言で貴方を見つめている。 「そう、それはよかったわ。」 「道具には、持ち主が必要だもの。」 時代に忘れられた古い家具達。 それでもできるなら。 その役目を全うしてほしいと、思うから。 「興味ないわ。明日の事なんて。さようなら、signorina/」 「………。」 「次は。」 「アールグレイティーが飲みたいわ。」 止めることはない。投げたのは、その言葉だけ。 そうして、この時間も過ぎていく。 (-450) 2022/08/20(Sat) 20:42:11 |
【魂】 piacere ラウラ甘美な誘惑に身を重ね 夢を見ていれば、幸せになれたのか。 終わりを告げる黒猫に 刃を向ければ、不幸を呼び寄せずにいたのか。 それを知る者は、誰もいない。 その選択が幸を招くか不幸を招くか。 そうしたことは、訪れてみなければ 知ることなど叶わないのだから。 (_2) 2022/08/20(Sat) 20:42:54 |
【置】 銀の弾丸 リカルド『 Caro ツィオ 俺がもし、朝までに帰らないようなら 俺の部屋に匿っているマウロを迎えに行ってやってくれ da リカルド 』 幼い頃の3人の写真を一緒に添えられ、その裏にはPer sempreという文字が書かれている。 (L2) 2022/08/20(Sat) 20:43:41 公開: 2022/08/20(Sat) 21:00:00 |
【置】 いつかの ラウラ写真立ての裏板を外し、2枚のメモを仕込む。 気付かれるかどうかは分からない。 気付かれる必要も、きっとないだろう。 それでも、何かを残したかった。 そう思うことはきっと我儘で、欲で。 ずるいのは──わたしも同じ。 (L3) 2022/08/20(Sat) 20:45:14 公開: 2022/08/20(Sat) 20:50:00 |
【置】 鳥葬 コルヴォ「うちの火葬炉が何て呼ばれているか知ってます?」 「地獄界第六圏だそうです。」 「まったくもって、随分な呼ばれ方です」 「ここで焼かれているのが誰にとっての異端者か、 なんてのは、俺の知ったことじゃありませんし」 「自分もいつかここで焼かれるものだと思っていますよ。」 (L4) 2022/08/20(Sat) 20:46:53 公開: 2022/08/20(Sat) 21:00:00 |
ソニーは、貴方が最後に見るものが、 ならよかったのにと願っていた。 (a48) 2022/08/20(Sat) 20:46:54 |
ソニーは、ある一節を思い出していた。『一滴でもおれの魂を救えるだろう、半滴でも、ああ、わがキリスト!』 (a49) 2022/08/20(Sat) 20:47:19 |
【影】 鳥葬 コルヴォ僻地の廃倉庫。 この日の音は、回転式拳銃が立てた音。 くだらないギャンブルだ。 弾は三発。適当にシリンダーを回転させて、止める。 そうして慣れた手付きで自分の蟀谷に向け、 (&1) 2022/08/20(Sat) 20:47:23 |
コルヴォは、躊躇わず、引き金を引いた。 (a50) 2022/08/20(Sat) 20:47:28 |
【置】 叶わないモノ ラウラ昔から何故か、約束や願い事は叶わないことばかりでした。 上手くいかないのは何もしていないからだと、そういうことなのでしょうか。 あるいは、そうした運命の中で生きていたのでしょうか。 結局、何が原因かなど誰にも分からないのでしょう。 どうしようもなく運が悪かった、それだけの話です。 ──それだけの、話でした。 (L5) 2022/08/20(Sat) 20:48:22 公開: 2022/08/20(Sat) 21:00:00 |
【独】 花で語るは ソニー男は、殺せなかった。殺すことが出来なかった。 己の仰ぎ見る者その人が、ヴェネリオがいなくなることを恐れて、 自らの手を汚すことさえためらわれてしまった。 だから、悪魔に永遠の劫火の内へと引っ立てられて行くのだ。 (-452) 2022/08/20(Sat) 20:49:54 |
リカルドは、恩義と友のためならば、いつでも” ”を差し出せる。 (a51) 2022/08/20(Sat) 20:51:01 |
家族愛 サルヴァトーレ(匿名)は、メモを貼った。 2022/08/20(Sat) 20:52:40 |
【秘】 ショウダウン ヴィオレッタ → 小夜啼鳥 ビアンカ>> ビアンカ その部分で、二人は似た者同士だった。 マフィアなんて嫌いで、でもそこに依ってしか生きられない女。 ただ、ソルジャーの女はそこに居る人々は嫌いじゃなかった。 ――好きだった。 皆に甘い男も、根は真面目な花屋も、 大人しい少女と、その保護者も、頼りになる先輩も、実は可愛い女性もけなげな少年も、 もちろん、美しい花も、だ。 だから律義な女があなたの口癖を 口にすることは、滅多になかった。 あなたが酔い潰れるか、席を外したその背中に、だけ。 朱い爪の散歩と零れた感想にはに頬を緩めた。 感想が嬉しくて、あなたの指遊びが可愛らしくて。 [1/2] (-453) 2022/08/20(Sat) 20:55:11 |
【秘】 花で語るは ソニー → 家族愛 サルヴァトーレ見詰め返すジェイドの輝きは、太陽の下にあって尚その深さを増した。 いつだってその中には輝きがあった、若く無謀な、足元の危ういものだ。 ここ数日、その色は強く冴えている。まるでその有様を表すかのように。 「そう、ですか。的はずれなことでなければいいいんだけれど。 いつでもオレは、場の全てを見ていられるわけじゃないから。 違えがあるのなら正してほしいとそう思ってますよ」 だからこそ、ああして発言をするのだろう。皆の前、推理をするように。 導くものの口先と手先に引かれていれば、どんなにか楽だろう。 嗚呼、貴方の言葉は優しい。きっとすみれの色は円満な解決を願うのだろう。 手を伸ばせば届きそうな距離で、まばたきがひとつ、ふたつ。 カメラのシャッターを切るように、はっきりとしたものだった。 何かを心に秘め、決意するように最後にもう一つだけ目を閉じ、開いた。 「……貴方が、そう言うのなら」 秘跡が成立しないのならば、やはり自らの罪は己の内に仕舞われるべきものなのだろう。 声音は安堵するように柔らかく、諦めるように堅苦しかった。 魂の呪縛から解放されたように、滑らかな動きで灰皿の中へと灰を落とす。 (-454) 2022/08/20(Sat) 20:55:52 |
【秘】 ショウダウン ヴィオレッタ → 小夜啼鳥 ビアンカ小気味よい音を立てて卵をかき混ぜていた手が、止まる。 「……そう、ですか」 それだけ返して、再び手を動かし始める。 この稼業をしていれば別れは多い。ともすれば出会いよりも。 名前しか知らない誰かが 死亡・失踪・自殺、なんて日常茶飯事だ。 幸いにも、というべきか。 女が親しいと感じたもので少なかっただけ。 溶いた卵をフライパンに落とす。 ジュウ 大きな音が響く。 「 ……寂しいです 」そんな呟きのような本音は、掻き消えてしまったかもしれない。 [2/2] (-455) 2022/08/20(Sat) 20:56:59 |
【神】 デッドヘッド ヴェネリオ「なんだ、 お前達 まだいたのか。俺以外の幹部様は随分勤勉で真面目でえらいよなあ」 要人と、始末する予定である余所者の名簿を投げ渡す。 『テオ』とかかれた文字にだけ赤いライン引かれており、妙にが目を引かせた。 いつも男が一人で仕留めて勝手に捨てていた人間たちの名前も連なっていて、事故扱いになった事件もまとめられている。 どこからこんなにも大量の情報を集めていたのか、 このファミリーの誰にも知られていなかった。 つい最近までは。 酷く顔を白くさせる兄弟に、もうひとつの手に持ってきた皿を渡してやる。 「それをやる、俺の代わりに会議は盛り上げておけよ。 お詫びのタルトタタンだ、お裾分けしてやろう。 この絶品をこの先も呑気に食えると思ったら大間違いだな。 なに、そんなことわかってるって? ふらふらと出歩いてる俺を心配してくれてるのか、 中々お優しいやつらだな。」 (G19) 2022/08/20(Sat) 20:58:23 |
【神】 デッドヘッド ヴェネリオ俺の命を全部やれるのは だけだと思ってたよ。 あの時奪っとけばよかった、渡しちまってもよかったか。 なんて。とんだ皮算用を考えている。 「それじゃあな、よく味わえ。 Buona e dolce notte 、くそったれ共。」そんなんだから、一人にさせないなんて場違いにもこんな時に思い出すんだ。 悪いな、一人にさせてしまって。でも には良い相手が見つかるよ。 (G20) 2022/08/20(Sat) 20:58:34 |
【秘】 デッドヘッド ヴェネリオ → 鳥葬 コルヴォ「始末する死体はどっか落としきちまった。 一足先に地獄に行ってくる、子守歌は待っててくれ」 掠れた言葉が、電話口から、または留守電から。 どこからかの連絡で。それだけ届いて、途絶えて消えた。 「さっさと行きたい場所に飛んでいけよ兄弟」 (-456) 2022/08/20(Sat) 20:58:52 |
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