人狼物語 三日月国


84 【R18G】神狼に捧ぐ祀【身内】

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視点:


【人】 書生 シキ

「―――。」

その青年は、ゆらり影のように"そこ"に居た。

暗い獣の胎の如き穴倉から歩み戻ったその姿は
あの時見せていた訝し気な佇まいそのままに
しかし、浮かぶ瞳の色には、"曖昧さ"を増している。

「………。」

まるで、皮を裂き肉を喰らう獣たちの姿を
遠目でのみ見眺めて来たかというように。

己の記憶に空いた虫食いを覗き込むその目は
どこか虚ろで、心ここに有らずとすら思えるような
生気に欠いた様を、顔に貼り付かせていることだろう。
(9) 2021/07/25(Sun) 18:44:55

【人】 書生 シキ

人目に付かぬ影の中で、青年は目を開ける。

己の意識へ、古錆の如く張り付いた曖昧な記憶。
おぼろげな"狼たち"の様を追憶する青年は
それと共に、別のものへとも意識を向ける。

「………、さん……」

まるで、寝言のように小さく曖昧な呟き。
手にした本を開くことなく座り込む青年の口からは
そうやって時おり、誰かの名が零れ落ちていたことだろう。
(10) 2021/07/25(Sun) 20:36:03

【人】 書生 シキ

――曖昧に残っている心の"痕"。
目を凝らし、その継ぎ接ぎへと意識をやる。

最早、大人たちの言葉紡ぎなど興味は無い。


何者の視線も掻い潜るかのように
ひっそりと、流れ往く足取りのまま
青年は、三度その姿を隠すだろう。
(17) 2021/07/27(Tue) 20:21:46