人狼物語 三日月国


147 【ペアソロRP】万緑のみぎり【R18G】

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【赤】 入院中 阿出川 瑠威

[ >>3:*7望む言葉をかえしたつもりなのに
 どこか釈然としない翳りの滲む表情に見えて
 なにか間違えただろうかと小さく首を傾げる。

 その所作に促されるように話し始める言葉は
 ちっとも理解できなかった。
 やっぱり欲しがってるのは同調のような気がするのに
 「そんなことないよ」の言葉が不思議と彼に届かない。 ]


 どうして……?
 

[ どうして拒まれると思ったの?
 どうして嫌われる覚悟でこんなことしたの?
 そのどちらかか、或いはその他にも受け取れるかも知れない
 
 彼が一番聞いて欲しい言い訳したいのは何か
 どう受け取るか知りたくて
 甘えるように寄りかかりながら短い疑問の言葉で問う。]
(*0) 2022/05/28(Sat) 22:43:30

【赤】 入院中 阿出川 瑠威

[ 世間にはきっと言い訳なんかしないだろう。
 俺の知る限りは彼はそういうひとだ。
 例え俺が望んだとしても、例え俺の為だとしても
 きっと馬鹿正直に償おうとする気がする。

 罰されて償うほうが楽なのかな。
 そんな気はするけれど、だからこそ
 赦し受け入れてやろうと思ってしまう。

 そのほうが特別な感じがするから。
 それが彼の望む特別なのかはわからないけれど。 ]
(*1) 2022/05/28(Sat) 22:43:39

【赤】 入院中 阿出川 瑠威

[ 「おいで」と呼ぶ声に応えるように胸にぼすりと飛び込んで
 くふくふと笑いながら抱きついた。

 互いの体温も、熱も忘れ、汗も乾いてしまった肌の
 違う温度が少しだけ悲しくて、
 馴染むまではとギュッと抱きつく。

 乾いた汗の臭いと時間の経過した精液の饐えたにおい。
 好ましい香りなはずはないのに
 ふたりの臭いが混ざっていると思えば
 洗い流してしまうことが惜しいとすら思う。 ]


 おふろ。また一緒に……?
 
 お湯入れるのはもうやだからね。
 さっき、ウォシュレットで軽く流したし。
 それで十分じゃない……?

 誠丞サンの、ゆびとか、いれられたら。
 俺、きっと……またしたくなっちゃうし。

 
(*2) 2022/05/28(Sat) 22:44:52

【赤】 入院中 阿出川 瑠威

[ 流石に抱き上げて欲しいわけじゃないので
 張り付いて体重を軽く預けたままだが
 自分の足でちゃんと立って移動する。
 きっと普段使わない筋肉を使ったのであろう股関節が
 やべー違和感を醸しているけれど立てないほどでもない。

 裸のままで風邪をひかせるつもりはないらしい。
 風邪なんかひきそうもないくらい調整された空調だけど。

 まだ幼い頃、雪の日に遊びに行こうとする俺を
 靴とコートを洗ってしまったと使えなくするやり方で
 引き止めた母を思い出していたのに。

 どうやら服は取り上げられないらしい。

 素っ裸で過ごす趣味があるわけではない。
 空調が完璧だろうとそれとはべつに肌寒さを感じる。
 だから服を与えられることは願ってもないことなのに

 物足りなさを覚えてしまうのは何故だろう。
 もっと束縛してほしいのに、と。 ]
(*3) 2022/05/28(Sat) 22:45:29

【赤】 入院中 阿出川 瑠威

[ 自分でもよくわからない鬱憤を晴らすように
 風呂場で散々煽って甘えて誘いまくったのに
 『多少の悪戯』程度で済まされてしまった敗北感に
 不貞腐れながら彼のベッドメイクの腕前を鑑賞する。

 機嫌がよければ手伝っても良かったけれど
 『多少の悪戯』程度で軽くのぼせかけているので
 手伝いを申し出ても断れてしまいそうで
 彼が慌てて探してきた飲み物で水分補給しつつ黙っておく。

 暇な間に病室の物色を始める。
 手の届く範囲のところからはじめて、
 だんだん離れたところまで。

 入院時に度々世話になっていた慣れた個室よりも
 随分と広い部屋の中を
 好き勝手に歩き回るほど、隣でくっついている時より
 彼の意識も視線も向けられることに
 気付いてからは探索に夢中になった。 ]
(*4) 2022/05/28(Sat) 22:46:44

【赤】 入院中 阿出川 瑠威



 ん〜……これといってとくには。

 あ。そうだ。
 誠丞サンが何を食べたいか、知りたいな。

 一緒に食べてくれるんでしょう?
 誠丞サンのすきなものをたべたい、一緒に。


[ 一緒に食事をして、一緒に寝起きして
 好きなだけセックスに溺れて
 ずっと二人きり。

 なんて素敵なんだろうと思う。
 けれど、同時に、彼はどこまで耐えられるだろうかと思う。
 疲れて壊れてしまわないかな、少し前の俺みたいに。
 
 だから少しでも自由を与えてやろうと
 好きなものを用意しに行く時間と
 好きなものを食べる自由を提案する。

 少しくらいの自由は与えてやりたいと思うんだ。
 自由なのに戻ってくる方が
 より満ち足りた気持ちになれる気がして。  ]
(*5) 2022/05/28(Sat) 22:47:29

【赤】 入院中 阿出川 瑠威

[ 母と同じように閉じ込め押さえ込むやり方を取ることに
 嫌悪感や罪悪感を抱く彼の心の内など知る由もなく
 俺自身は、むしろそれを与えて欲しいとさえ思っていた。

 だって、自由なんか望んじゃいなかった。
 今更そんなもの与えられたって持て余すだけだ。

 その愛され方しか知らないから
 その愛され方以外だってきっとあったろうに
 その愛され方以外取りこぼしてきてしまったから
 そうやって愛されないと不安で、不安で。

 気まずそうに見せられた不信と同義の愛情の形に
 正解と教えるみたいに目を輝かせて、頬を染めた。
 掴まれた腕から力を抜く。
 拒む意志なんか欠片もないと表明するために。

 拒む理由なんてない。
 だってこれで繋ぐってことは
 絶対に外しに戻ってくるって約束の証だ。 ]
(*6) 2022/05/28(Sat) 22:48:04

【赤】 入院中 阿出川 瑠威


 それがひつようなら。
 いいよ。誠丞さんが決めて。

 俺の主治医はあなたなんだから。


[ 彼の不信愛情信頼愛情で返して
 望んでいたくせに、容認するみたいな言葉を紡ぐ。
 彼が赦される事を望んでいるように見えたから。

 愛して、愛されて、ただそれだけなのに。
 何も悪いことなんてしてないのにな。

 何時か彼も慣れてくれたらいいのにな。
 俺を閉じ込め独占ようとするその執着愛情に。 ]


 さみしいから、はやくもどってきてね?


[ 俺には余計でしない不必要な自由を奪う拘束を
 恍惚に染まった眼差しで見つめてから
 甘えた声で、見送る彼に強請った。* ]
(*7) 2022/05/28(Sat) 22:48:25

【赤】 入院中 阿出川 瑠威

[ 質問には質問が返って、けれど勝手に完結した。
 如何やら聞かれても困るらしい。彼も困っているのだろうか?

 問題を出された時と同じだけ少しだけ悩む素振りを見せる。
 即答したっていいけれど少しくらい頭を使う振りをして。
 困るほど難しい事もないのに。
 簡単なことだ。必要なのはただひとつ…… ]


 『おれのことがすきだから』?


[ 俺のことが好きだから嫌われるかもしれないことを意識し
 俺のことが好きだからそれでもなお行動したんでしょう?

 必要なのはただひとつ。
 そこさえ揺らがなければ俺はなんだって受け入れるのに。
 『どうして』だと思う?
 そう尋ねようとして、困られても困るのでやめた。
 簡単なことなんだけどね。
 けれど彼にはそう単純でもないのだろう。 ]
(*13) 2022/05/31(Tue) 1:43:20

【赤】 入院中 阿出川 瑠威

[ 危険なものとそうでないものの判別が付いた上で
 危険なものでさっくり派手に肉を切り裂いた前科が
 生々しく左腕の上に刻まれているからこそ
 彼が幼子相手のような不安を抱くのも尤もだろう。
 むしろ幼子よりも厄介だ。

 目を離した隙にまた何かしでかすと思われている。
 彼から与えられる過干渉とも取れるその心配が
 嬉しくて、楽しくて、堪らない。
 悪さをして気を引きたい幼子のような幼稚さだと
 自覚は多少はる。自覚だけは。 ]


 はぁい。


[ 呼びかける声にいい子のお返事を返して
 素直に大人しく彼のもとへともどる。
 けれど彼が他に意識を逸らせばまたふらりと離れた。
 気にかけてくれさえすればいいこにしているのだと
 彼に教え込むために繰り返す。

 きっといずれ疲れさせてしまうんだろうな。
 普通はそうだ。
 ずっと気が休まらないなんて精神が疲弊してしまう。
 そう思うのにやめようと思えないのを
 今は浮かれているからだと自分に言い訳をする。

 たしかに彼の意識が自分に向いていることを確かめる作業が
 楽しくて、嬉しくて、たまらなくて。 ]
(*14) 2022/05/31(Tue) 1:45:06

【赤】 入院中 阿出川 瑠威

[ 『母親』という生き物が『子』に向けるのと同じだけの
 熱情を向けてほしいと願うのはきっと酷なんだと思う。
 母がそうだったからといって同じ愛し方を
 親子ではない関係を望んだ彼に彼に求めるのは
 違うことくらいは頭ではわかっている。

 けれどそれ以外は上手く受け取れなくて
 与えられないと不安で与えられると嬉しくて

 俺がほかを覚えるのが先か
 彼がこれに慣れてしまうのが先か

 ……どちらでもない可能性を考えるのが少し怖い。
 俺が疲れて母から逃げ出そうとしたみたいに
 彼もいつか疲れて

 俺からまた逃げ出してしまうんじゃないかって… ]
(*15) 2022/05/31(Tue) 1:46:05

【赤】 入院中 阿出川 瑠威

[ 慣れない手つきで嵌められる手錠を
 外しに来るのは彼だとは思う。
 本当に?
 自分が罰される為に第三者に見せようとするかもしれない
 あの日みたいに突然姿を消すかも知れない。

 考え始めると不安で押しつぶされそうになるから
 今は考えることを投げ出した。 ]


 ふふっ、俺が「わるいこ」だったことなんかないって
 早く思い出してね、せんせぇー。


[ 買い物の最中店先に置き去りにされる犬の気分だ。
 そう思い浮かんで。
 彼に愛玩されるペットになれたらどれだけ幸せだろうと
 幸せな夢に浸ることで、投げ出しても、消えてくれない
 不安な気持ちを紛らわせた。 ]
(*16) 2022/05/31(Tue) 1:46:25

【赤】 入院中 阿出川 瑠威

[ …​───まるで時間が止まっていたみたいに。
 彼が視線を逸らした瞬間と寸分違わぬ姿勢で待っていた。
 一人の間、すっぽりと人形みたいに抜け落ちていた表情に
 喜色をぱっと灯して、顔を上げる。

 いいこにしてたから褒めてとねだるより先に
 与えられたご褒美に幸せそうに頬を染めて
 はにかんで笑って同じ口づけを返した。 ]


 おかえり、誠丞さん。

 ………あ〜…なるほど。
 さては食に拘りがないな?

 ありがと。
 なんでも食べれるよ。好き嫌いないし。


[ そもそも最近味覚も食欲も大分まともに機能しているか
 怪しかったことは黙っておく。
 言えば心配をしてもらえるだろうけれど
 今はこれ以上心労を増やすのも気の毒で。

 違和感はあれどもう痛みもあんまり気にならない
 自由な左腕でサンドイッチの具を確認していれば
 また慣れない手つきで拘束が解かれる。 ]
(*17) 2022/05/31(Tue) 1:48:32

【赤】 入院中 阿出川 瑠威

[ ちゃんと戻ってきてくれた実感と
 あと何度ちゃんと戻ってきてくれるかという感傷とが
 頭の中でぐちゃぐちゃになって

 信じていないのはどうやら彼だけではないらしいと
 今更に納得して、受け入れた。 ]


 べつに、つけたままでもよかったのに。


[ 信じられないのなら、何時までだって。
 疑ってくれて構わなかった。
 疑う分だけ信じようと悩んでくれていると思えば
 俺にとってはそれは幸福でしかないから。

 彼にとってもそうだろうか。
 普通は違うだろうか。
 ポーズじゃなく、本当に少しだけ悩み逡巡 してから
 躊躇いがちに口を開いた ]


 つけたままなら、外しに戻ってきてくれるでしょ。
 その間だけは、いなくなったり
しない、って……


 
(*18) 2022/05/31(Tue) 1:51:11

【赤】 入院中 阿出川 瑠威

[ ああ、違う。縛り付けたいんじゃないんだ。
 その手で外しに戻って来いと強要しているようなものだ。
 いや、違う。縛り付けてしまいたいんだ。
 なら正しいのだろうか?或いはもっと罪悪感を抉る?
 そんなひどいことはしたくない。
 そんなひどいことすらゆるされたい。
 考えが纏まらなくなって慌てて早口に遮った ]


 ごめん。なんでもない。
 よし、食べよう!いただきまぁっす。
 あ、そういえばこういうの食べるの久しぶりかも。


[ 無理に浮かれた声を作ってサンドイッチに手を伸ばした。

 なんか吐きそうだな。
 大人しくしていた食欲はすっかり情緒と同じだけ乱されて
 折角彼と一緒の食事なのに食べる気がまるで起きない。
 けれどそんな状態で笑顔で食事をすることには慣れていた。

 いっそ吐けばいいのかな。
 これから飲み込むサンドイッチと一緒に
 思ってることぜんぶ。

 けれど嫌われたくないんだ。

 彼のように嫌われでも行動を起こすなんて事できなくて
 好きだなんて簡単な感情だけじゃどうにもならない
 単純ではない葛藤の苦味を、コーヒーで流し込んだ。 ] 
(*19) 2022/05/31(Tue) 1:53:24

【赤】 入院中 阿出川 瑠威

[ 正解ではあるが正論ではないらしい。
 たしかに道理には外れた行為だ。
 好きだからといって強要すべきではない。
 
 けれどそれを相手が望んでいるのなら
 それで問題ないと思うけれど。
 望んでいることが伝わっていないわけではないだろうに。

 俺が従順なふりをして逃げ出す機会を伺ってるとか
 そういう疑いを彼が持っているようには見えないと思う。
 俺もこの状況を望んでいることは伝わっているはずだ。
 ……男に抱かれて散々感じて善がってみせてまで
 そこを疑われているとは考えたくないとも言うが。 ]
 

 どうでもいいの?
 俺は幸せじゃないと「うっかり」しちゃうのに?

 どうせへたくそなんだから
 無理に悪者になろうとしなくていいのに。
 どうせなら幸せにする方に無理してよ。

 例えば……そうだな、
 幸せにするから一緒に生きて欲しい。
 くらい言えたら、及第点かなぁ。

 
(*25) 2022/06/02(Thu) 1:06:39

【赤】 入院中 阿出川 瑠威

[ 『どうでもいい』ならば
 好きな相手をわざわざ不幸にしたいとか
 そういう特殊な性癖でもないだろう。

 嫌われる覚悟で攫ってくるくらいに
 嫌われたままでも構わず囲おうとするくらいに
 俺を好きなら、俺が幸せな方がいいだろうに。

 そこを言葉にすればいいのに馬鹿みたいに不器用なのが
 彼らしくて、愛おしく思えてしまう。

 どうしようかな、赤点の告白だけど。
 それが彼らしさであり愛おしさを感じてしまうなら
 俺にとっては満点の告白なのかもしれないと思い直す。

 そもそも告白でもなんでもなくただの補足なのだけれど
 余りにも真剣に見えたから、
 そう聞こえても仕方あるまい。 ]
(*26) 2022/06/02(Thu) 1:07:04

【赤】 入院中 阿出川 瑠威



 俺は、誠丞さんの幸せはどうでも良くないから。

 誠丞さんがそれで幸せなら、……いいよ。
 俺も誠丞さんが「好きだから」。


[ ちょっと照れくさいけれど目を逸らさずに受け止めて
 真面目な声で答える。

 なにやってんだろう、こんな状況で。
 いい大人が二人揃って。
 けどこんな状況にならなければ
 お互い言葉に出来なかったのも事実だから、
 思うだけで、何も言えない。 ]
(*27) 2022/06/02(Thu) 1:07:20

【赤】 入院中 阿出川 瑠威

[ 刃物なんか見つけたって、どうせ死ねやしない。
 正気でなくとも縫い合わせれば問題ない程度だった。

 なのに未だ彼が刃物に怯えているとは知らないから
 何も持って戻らないことを確認されていると気付いた時点で
 何か持ってもどるべきか少し考えたけれど
 興味を惹かれるものはこれといって見当たらなかった。
 無論自分のではなく、彼の、だ。
 彼が何に興味を惹かれるか見当がつかなかったせいもある。

 従いはするが止めず繰り返したことを指摘するような
 少し険のある言葉に、思わず笑う。
 どうやら彼にとっては「いい子」ではなかったらしい。

 そりゃそうだ。彼の前でだけは素の自分でいられたから。
 生意気で可愛げのない子供だった自覚は、ある。
 今も過去も、それを全部許したのはあなただけだった。
 今も過去も、それを全部曝け出せるのはあなただけだ。 ]


 ……「いい子」じゃない俺はきらい?


[ なんとも幼稚でひどく馬鹿げた問いかけだった。
 自覚はあったけれど、許されたくて、受け入れられたくて
 せめて目一杯可愛い子ぶっておこうと
 可愛い女の子がやれば可愛らしく見えそうな
 あざとい所作を試みる。
 自分で笑いそうになった。耐えた。 ]
(*28) 2022/06/02(Thu) 1:09:35

【赤】 入院中 阿出川 瑠威

[ どこにでもありそうなサンドイッチを裏返す。
 ラベルに書かれた製造者で地域が特定できるかと思って。
 遠く移動しているのか、
 案外近い場所なのかに興味はあった。

 俺から離れれば彼はすぐにでも元の生活に戻れるのか
 冷蔵庫の中とか生ゴミとかちゃんと片付けてきてるのかな。
 割と突発的だった気がするので少しだけ気懸りで。

 好きなものがないなら今からでも俺のために探してきなよ。
 そう言いたいのに、今はまだまだ言えない。
 その距離はまだ少しだけ怖くて。

 これから先いつまでになるかはわからない入院期間を
 四六時中一緒にも居られないだろうから
 いずれはそうなるだろうことはわかっている。

 けれど今はまだ考えたくなくて、頭の端に追いやった。 ]
(*29) 2022/06/02(Thu) 1:10:17

【赤】 入院中 阿出川 瑠威

[ ほんの少し溢した本音は、案外あっさり許容された。
 ほっとして、何故だか泣き出したくなって
 ごまかすためにサンドイッチにかぶりつく。

 相変わらず味はよくわからないし
 よくわからないせいで気持ち悪くて吐きそうだけど
 何故だか美味しい気がしてくるから単純なものだ。

 手錠で遊ぶばかりで一緒の食事を始める気のない彼の口に
 食べ掛けの齧ってない反対側の鋭角を差し出せば
 その手が捕まりもう一度拘束される。

 何を始めたのかと思うだけで
 これといって抵抗は見せず見守っていれば
 ベッドの手摺ではなく
 今度は彼自身と繋ごうとしているのが見えた。

 それはいい。お互い絶対に離れられない。
 そう思うのに、そうじゃないのに、と思って…… ]
(*30) 2022/06/02(Thu) 1:11:43

【赤】 入院中 阿出川 瑠威



 えぇ……どうせ手に金属嵌めるなら
 もっとロマンティックなのがよかったなぁ。


[ 俺の手で拘束して欲しいという。
 言っていることはわかる。
 俺だってそうされたいと願うからこそ
 拒まず受け入れているのだから。

 つながる先の右手で受け取って、
 自由な左手で彼の手をとって望むままに左手に……


 付けようとするふりこそしたが指示通りにはせず
 にんまり悪戯っ子の笑みで笑って
 彼のではなく自分の左手に拘束を。

 ささやかな金属音で左右の手首が繋がった。
 仏頂面を顰めるくらいはするだろうかと
 彼の顔色を伺って反抗の代償の気配を探った。 ]
(*31) 2022/06/02(Thu) 1:12:01

【赤】 入院中 阿出川 瑠威

[ そうじゃないと彼が指摘しだす前に
 座る彼の膝を、よいしょと跨いで
 繋がった両手の間に彼の頭を通した。

 金属の玩具でもロマンティックかどうかは定かではない
 指に嵌めるやつでもなくて
 両腕と、体重を以て彼を拘束する。

 距離が近くなったついでに、ご機嫌取りも兼ねて
 ちゅ、と可愛らしい音を立てて唇を啄んで
 じゃれつくように鼻先を彼の鼻梁に擦りつけた。 ]


 うん、こっちのほうがいいや。
 直接繋ぐより、動けないでしょう?
 これなら誠丞さんはどこにもいけないし
 俺から目を離し様もないよね。

 ふふ、けどちょっと、流石に……
 このまま食事を続けるのは、馬鹿みたいだねぇ。


[ けどまぁいいか、馬鹿でも。
 もう外面よく優秀でいる必要もなければ
 今は他に誰の目もなのだいし。

 多分俺には馬鹿になるのが必要だ。
 きっと真面目すぎる彼にも。
 馬鹿みたいにいちゃついて馬鹿みたいに幸せでいれば
 不安でいる必要性も忘れてしまえるかもしれない。 ]
(*32) 2022/06/02(Thu) 1:16:25

【赤】 入院中 阿出川 瑠威



 たしかに今はまだ、不安だけど。
 こんなのに頼らなくても……
 ちゃんと信じられるようになるから。
 なりたいんだ。誠丞さんのこと、信じられるように。

 なれるまで、一緒にいてくれるんでしょう……?


[ 疑問でも確認でもない断定させるための​、
 してくれると信じきって甘えた語尾で、問う。

 けれど返事なんてどうせ決まっているとばかりに
 返事を待たずに 食事の続きを強請る為に
 雛鳥みたいな態度で口を開けた。

 強請ったのは勿論食事の続き、サンドイッチだ。
 なのに距離感のせいでサンドイッチでなく
 口付けを強請ったみたいに見えてしまったかもしれない。

 そうなるかな、とは思ったけれど
 どちらかといえばそっちの方が欲しかったので、
 勘違いすればいいのに、なんてささやかな悪巧みを。* ]
(*33) 2022/06/02(Thu) 1:20:51

【赤】 入院中 阿出川 瑠威


 んー……俺の理解している限りでは
 「治療の為に転院した」だけ、じゃなかった?

 人の道なんて外れてないし
 何も問題なくない?
 だからさ……


 俺は誠丞さんと一緒にいられるだけで割と既に幸せだけど
 それじゃ満足できなるかもしれないし
 先のことはわからないけど、努力するよ。

 同性愛なんてまだ……
 世間には受け入れられないことも多いだろうし
 俺は身体的なハンデはあるし
 なんなら無職なのに今は家事も出来ない役立たずだけど。 

 ………俺でよければ、喜んで。


[ やり直しの告白には及第点を超えた満点の笑顔を。
 我ながらなかなかの不良債権で
 彼を幸せに出来るなんてこっちだって思えない。

 けど努力を積み重ねる事は得意なんだ。知ってるでしょ?
 彼も一緒に努力してくれるのなら
 きっと大丈夫だって
 何時になく楽観的に前向きなことを考える。 ]
(*40) 2022/06/02(Thu) 9:44:53

【赤】 入院中 阿出川 瑠威

[ 彼の生徒だったあの日語って魅せた
 パフォーマンスの夢の話よりも
 今の方が余程夢みたいな話だとは思う。
 努力って何を如何?とか
 漠然としすぎていて具体性がゼロだし。

 けれど、ふわふわの曖昧な夢を語るのは
 誰もが納得出来る根拠に基づいた手順で固めた
 誰もが思い描く理想を謳ったあの頃よりずっと楽しかった。

 今度こそ、本当にそうなりたいと心から思える
 はじめて俺自身で描いた目標だったから。 ]
(*41) 2022/06/02(Thu) 9:45:32

【赤】 入院中 阿出川 瑠威

[ あざといぶりっこな所作はあっさり受け入れられて
 それはそれで計算通りだけど羞恥は加速し
 意味もなく叫びだしたい気分になる。耐えるけど。

 頭を撫でて触れてくれる手も今は嬉しいよりも
 どうしても気恥ずかしいが優って
 今までみたいに擦り寄ることもできない。 ]


 せんせぇーはさ、おれのこと、なんでもゆるしすぎだよ。


[ あの頃からそうだったから。
 ついあの頃の呼び名に戻る。

 じとりとした視線を向けるのは今度はこちらの番で
 けれど不機嫌はポーズだけで照れが滲むばかりなその視線に
 彼を責める強さはない ]
(*42) 2022/06/02(Thu) 9:46:36

【赤】 入院中 阿出川 瑠威

[ 別段媚びようと努力したわけでもないのに
 本心から、可愛い子ぶってるみたいな台詞が溢れた。

 遅れてふと自分で気付いて。
 恥ずかしさに襲われる。耐えた。

 ……と思ったが今度は耐え切れなかったので。
 普通に、あああああ゙!!!とか癇癪を起こしたみたいに
 かき消す為の唐突で無意味な声を上げてひとり悶えた。 ]
(*43) 2022/06/02(Thu) 9:47:30

【赤】 入院中 阿出川 瑠威

[ 彼が派手に暴れれば、傷口にも触れる金属が擦れ
 痛みを訴えることになっただろうけれど
 控えめな確認のおかげでその手間も省けた。

 幾らでも抵抗できる拘束に律儀に囚われる彼に
 満足気な笑みを浮かべて返した唇を
 望んだ通りに彼の唇にたべられた。

 甘ったるい口付けに、彼に移って、唾液に溶けて戻ってきた
 サンドイッチの塩味を僅かに感じて
 その色気のなさが、何故だか
 この行為が特別なものなんかじゃなく
 日常の延長のように思えてきて、嬉しくて、胸が熱くなる。 ]


 誠丞さんも、疲れたら休んでいいからね。
 だいじょうぶ、挫折しても何度だってやり直せるから。
 生きてる限りは、何度でも。

 だから、一緒に頑張ろうね。


[ とりあえず今はまだ繋いどいていいから
 手始めに冷蔵庫とか整理してきなよ。
 そんな現実的な指摘をするのは今じゃなくてもいいだろう。

 彼と一緒に、これから先を努力しながら歩む
 幸せな夢に今くらい酔いしれていたって
 今は、ふたりのことを誰に咎められることもない。 ]
(*44) 2022/06/02(Thu) 9:47:51

【赤】 入院中 阿出川 瑠威



 ふふ、じゃあ「もっと好き」になってもらえるよう頑張ろ。
 俺も、いろんな誠丞さんを好きになりたいから
 これからもたくさん、おしえてね、誠丞さんのこと。


[ 誓う口付けを幸せそうに受け止めた後に
 可愛らしさを装った所作でそう答えて……

 始めたばかりの食事を投げ出して
 不自由な彼を、欲望を剥き出しにして押し倒した。
 甘やかすばかりの彼はきっと受け入れてくれるだろうと
 甘え切った可愛げのない態度で、彼の愛を貪るために。* ]
(*45) 2022/06/02(Thu) 9:48:03