人狼物語 三日月国


246 幾星霜のメモワール

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視点:


【人】 番犬 グノウ

老夫婦の屋台の前に背嚢を下ろすと砂煙が上がる。中から食材の果物が零れ、一つ二つと拾い上げて戻した。その音で呼びかけるまでもなく屋台の裏から雇い主である老婦人が顔を出す。

「……………こちらで。
 …………いいだろうか」

『ええ、ええ、ありがとうねえ、ほんに助かったわ……』と元より曲がった腰で何度も礼を言う老婦人は、思いついたように再び裏へと引っ込んでしまう。受領印を待つ巨躯を外に残したまましばしの間。老婦人はにこにことしながら再び表に出てくるが、その両手には飴細工が握られている。
そうか。果物はこれに使う用だったか。

嫌な予感はしたが、受領印の捺印後、老婦人は『これは、一つ、おまけしておくねぇ』とその飴を差し出してくる。自分には食事の機能はない。固辞したが老人特有の退くかなさで金一封と共に押し付けられる。何度も礼を言われる後押しも追撃された。

後に残されたのは、体躯に見合わぬ、食えぬ飴を持たされた巨躯。

「………」

渡す当てを探して周囲を見渡すが、子どもが寄って来ようはずもなく、途方に暮れた。
(3) 2024/02/04(Sun) 23:00:22

【人】 番犬 グノウ

>>4 ダーレン
「…………」
「…………好むように見えるだろうか」

通りすがった男の声に、困り果てたという声色で返す。生ものを使用した飴だ、明日までは保つまい。捨ててしまえばいいだけの話だが……どうにも、溶かした糖以外のもの――善意だろうか、が纏わりついていて捨てづらい。

「……空気が、祭りに浮ついている」
「………貴殿は馴染んでいるな、ダーレン」

ダメ元で、要るだろうか、と飴を差し出す。
(5) 2024/02/04(Sun) 23:31:26

【人】 番犬 グノウ

>>6 ダーレン
体格のいいダーレンより一つ頭上にあるアイサインが明滅する。よりよい場所に引き取られ、飴も本望だろうと思う。誰にも受け取ってもらえなければ、この祭りで知り合った少女の土産にでもしてやろうかと思っていたが。この男、案外甘いものが好きなのかもしれない。

「………そんなところだ」
「………酒精の席にて――」
「………名前が出たものでな」
「…………貴殿といい……あの男といい」
「………この木偶は、酒の肴にならぬだろう……」

黒眼鏡の男と"酒席"を嗜んでから時間が経っている。流石のあの男、広く、この祝祭の参加者に目星をつけているらしい。
エール片手に管を巻くダーレンに小さく電子音を零す。

「………神託の掲示」
「………既に見られたか、御仁」

名を連ねていた二人は、あの教会にも居た顔だ。顔を出したというが、或いはそれを身に来たのかと思い、尋ねた。
(7) 2024/02/05(Mon) 1:37:26