走る子供の姿。
逃げられなくするように、一発、二発。足を狙う。

幼く高い声で響く悲鳴。
白い船の中に、目立つ　

シャトの肉体は疑似的に作られた物だ。
しかし、この『演習』をより正確に、着実に行う為。
その肉体は人間と何ら変わりない機能を有している。

疑似肉体の目に、涙が見えた。

「…… ……。」

自身を含む『襲撃』参加者の攻防の後。
『終わった』事を確認すれば、獲物を仕舞って。
じっと、その遺体を、目に焼き付け。

そうしてから踵を返し、元の場所に戻っていく。

服を着替え、暫く時間を置いてロビーに戻る。
やはりというか、空気は重い。
無邪気な子供の声は、今は聞こえない。

……次にやるべき事を、整理しなくては。

「…………。
　ああ、そうか。あの映画は途中だったな」

優先事項を大幅に下げてしまっていた。無理もないが。

「後でバーナードに言って、続きを見るか」

>>2:28　キファ
「貴女も来るか？
　私が観たのは途中までなのだが、
　どれだけ考えても理解が追い付かない奇妙なものだった」

あっ！贄を増やそうとしている！

>>32　キファ
「分かった。なら一緒に行こうか。
　キャッチコピーに偽りなし、予想外の伏線がある、と評判らしいが……
　私の場合はかなり考えさせられる内容だったと思う。」

嘘は言っていない。
おまけにこのサイボーグ、ある意味クソ映画を楽しんでいるので、無自覚なのである。
余計厄介だ。

再び聞こえてきた明るい声と、その人物を呼ぶ大きな声。
ガラガラというワゴンの音。

そちらに顔を向ければ、連絡が合った通りフローズンヨーグルトをワゴンに乗せて持ってきたヌンキと、何事も無かったかのように無邪気に振舞うシャトの姿。

「…………。お早う、シャト。
　ヌンキの方もお疲れ様」

>>52　ヌンキ
「ああ、此方は……思う事はあれど、それに寄る体調への過度な影響が出ている、という訳ではない。
　どちらかというと周囲や、あとは私の相方の方を気に掛けてくれればと。」

吐いているという連絡が此方にも飛んできた。

「それとおやつは是非頂こう」

>>60　ヌンキ
「いよいよ、という雰囲気に変わったな。
　私からも後ほど様子を見に行こうと思うが、相当な状態に思えたのでな……。」

一方のサルガスの方はというと、本人も主張した通り少なくとも見て分かる様な範囲での影響は無さそうだ。
食欲も問題ない。おやつにも無表情ながら嬉しそうにしているのがその証拠だ。

「アプリコット……
　確か、この船の名もアプリコットから付けられているのだったか。名物であるシャトサンドにも入っていた」

渡された容器とスプーンを受け取って、早速一口。

>>76　ヌンキ
「……。」

シャトの身体はあくまで疑似肉体。
感情を持ち、話し、動き、一人の人間の様に振舞うが、
あくまであの子供はサポートAI。
故に、今回の『襲撃』は『予行演習』。

しかし、ゲームが次の日に進めば……『本番』だ。
・・・ ・・・・・・ ・・・・・
実際に 生きた人間を 相手にする。

そこまで考えた所で、止めた。
今それを考えるのは得策ではない。そう判断する。

「……ああ。美味しい。
　両者の酸味と甘みが、上手く合っていると思う。
　仮に体調を崩した際も、比較的食べやすい物だろう。」

相変わらず表情の変化が分かりにくいながら、
ほんの少しだけ頬が緩んでいる。

「流しそうめん？」

これは偶然ロビーに居たサルガス。
流しそうめん。何処かの文献で読んだような記憶がある様な気がする。
夏の風物詩であり、とある地域では毎日の様に食卓に出されている「そうめん」なるものを何やかんやする事で、その場がパーティーになるという儀式。

ロビーに運び込まれた大掛かりな機械。
とりあえずシトゥラの羊みたいな声と、その横にいるヌンキの解説でこの茶色い液体は飲み物ではないという事が分かった。
あとこれに何か入れるらしい。とりあえず周りの真似をする。

「この食器は……同期が言っていた、箸……」

扱いがかなり難しいと聞いている。
持ち方を観察し、その結果何とか使える。

>>116
「ふむ」

何となく使い方は分かった為、早速チャレンジしてみる。
そして結果は……掴めた！

「……これは競技だったのか。
　知らなかった。何らかの祭事を模したものなのかと」

呑気にそうめん食べてた。

「私もそろそろ部屋に戻ろうと思う。
　そうめん、美味しかった。ではまた」

ハマルを見送った後、自身も自室へと戻っていく。

>>99　ヌンキ
「確かに、な。
　……今後は更に忙しくなりそうだ。」

尤も彼は、忙しかろうと喜んで作っていそうな気がするが。
そんな想像を巡らしながら、フローズンヨーグルトを口に運ぶ。
議論を交わしたり、襲撃云々で多少疲弊していた事もあり、優しい甘みは安心感を覚える。
その件を除いても甘いものは好きだ。考えを巡らせるのに丁度いい。

暫くして、御馳走様との声と共に空の容器が残される。

>>197　ヌンキ
「そう……だな。共鳴者の指示一つで、村人陣営が有利にも不利にも転がるとあった。今回の投票の最終決定権も握っているし、責任は特に重いだろうな。
　自らの精神耐性がどの程度なのか、正直未知数な為なんとも言えないが……そういう事なら、有難く頼らせて貰おうと思う。

　ただ、負荷が掛かる立場であるというのは、占い師或いはその騙りである貴方も同じ様に思えるが。どちらにせよ自陣の勝利の為の責任が重大だろう？
　貴方の方も、うっかり倒れたりする事等無い様、気を付ける様に」

見た所彼は自分だけではなく、この船の参加者全員にこの様な気遣いを送っている。つまりそれだけの分を背負おうという訳だ。使用人とはそういう者、と言えばそうなのかもしれないが。
彼を頼りにする者は多そうだ。事実自分も（おやつの件もあり）心強く思っている。
そういった人物に何かがあったとなると、それは全体的に強い負荷となるのだろう。

その様な危惧もあり、少々釘を刺しつつ。
軽く会釈をしてその場を後にする。

「素晴らしい演奏だった。
　そういえばまだ温泉には行っていなかったな。
　私も後ほど向かおうか……」

>>218　ムルイジ
「ふむ。シャトだけでなくムルイジからもお墨付き……
　折角なので向かってこようと思う。情報感謝する」

軽く会釈をした後、一旦お風呂用品諸々の準備をしに行った。

という訳で温泉にやって来た。
何やら歌声が聞こえるので先客が居る様子。
しかも聞き覚えあるぞこれ。

衣服を取り去れば、機械化されている左腕がよく目立つ。
防水処置は為されているが、念の為と電源を切っているらしく、
力なくだらりと垂れ下がっている。

また、サルガスの身体には男女どちらの特徴も無い。


適当な洗い場を探し汚れを落とした後、先客たちに軽く会釈しつつ湯に浸かる。
……確かにおすすめが多いのも頷ける。暖かく良い気分。

「…… …… ……」
「この状況、私は一体どう反応するべきなのだろうか」

一方此方は自身の身体の事は全く気に留めていないが、背景にコスモを浮かべている観測者。
ハマルやムルイジから温泉がどうと聞こえたので来ました。

>>231　バーナード
「そうか。」

端の方に離れていく。

「……と。
　これだけ連絡をして、後は……。」

「…… …… …… ……」

>>269
「…… ……。
　あ、これは不味い。非常に不味い。
　」

調子に乗ってた共鳴者、死体２号に。
ふらつく足取りで湯から上がり脱衣所へ向かった。

「これは全くの余談だが、端末の投票画面のハマルの自己主張がめちゃくちゃ激しい。時間が経つ度にどんどん勢いを増している気がする。」

「バーナードとヌンキが自己主張者COか。多いな、ローラーしようか。」

冗談です。

「占い師と自己主張者のギドラかもしれない。
　あと色々作ってくれているからパン屋かもしれないな。」

サルガスは光っている。