人狼物語 三日月国


71 【R18】歪んだ愛の形【身内】

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【赤】 SE 榊原 皇仁





  完全なるはったり。
  でも、人間は自分の知らないことを
  理路整然と話されると、
  そうなのだと思い込んでしまう。
  だから彼は、目の前の相手を
  そういう感じに追い込んで、
  疲れたからと彼女の手を引いて
  その横を通り過ぎるだろう。

  もし、止められたなら、
  彼はこういうはず。

  『僕みたいに年収1000万になってから
   また話しかけてね。』

                    ]*
   


(*24) 2021/05/04(Tue) 22:58:56

【赤】 大学生 葛葉 桜子


   ……単位がその…
   そういう科目があって……


  ちょっと目をそらしつつそんなことを言って
  もし時間があるのなら教えて欲しいと
  頼んでみたことでしょう。
  
  思ったことをそのままいえば
  もしかしたら何か違ったのかもしれません。
  でも、言えなかった。
  聞けなかった意気地なしの私は
  こう思ったんです。

  
“恋人がいらないのなら好きになったら嫌われる”


                         ]
(*25) 2021/05/04(Tue) 23:25:40

【赤】 大学生 葛葉 桜子

 *


  おうじくんは何か理路整然と話しています。
  ……なんでそこまでかばってくれるのか
  わかりませんけれど。
  きっと優しいから、ですよね…?

  はったりだとは分からず聞いていましたが
  元恋人の方はといえば
  めんどくさいと思ったのか。
  私たちが動くのとほぼ同時に
  通り過ぎようとしました。
  
  ……私の横を通ったあの人は
  私にだけ聞こえるような小声で
  最後にこんなことを言い残して。
                      ]
(*26) 2021/05/04(Tue) 23:26:13

【赤】 大学生 葛葉 桜子


  思わず元恋人のほうを見ました。
  何も、言えなくて動揺してしまって。

  私の反応を見たあの人はふぅん、と
  それはそれは嫌な笑みを浮かべました。
                     ]


   『馬鹿な女だな、ほんと』



  どちらにも聞こえるように言って
  今度こそ去っていきました。
  ……そう、私がいくら意気地なしでも
  ここまで何も言い返さなかったのは
  私を知っているあの人にとっては
  私たちの関係性を推しはかるには十分な情報で。

  その一言が、何より私には辛かったのです。
  何を言われたのか聞かれても
  おうじくんに教えるつもりはありません。
  先ほどかばってくれたお礼を言いましょう。
                        ]

   あの、ありがとう……
   ごめん、ね、巻き込んで……

   * 
(*27) 2021/05/04(Tue) 23:27:27

【赤】 SE 榊原 皇仁



   単位かぁ。おっけー、あんまり難しいのは
   いらなさそうな気がするね。



  彼女が単位と口にすると、
  彼は納得した感じで頷く。

  大学でプログラミングをとるとは
  面白い子だな、と感じつつ
  仕事の詰まり具合を確認して
  彼女の考査前に週一でも教える時間を作った。

                        ]



(*28) 2021/05/05(Wed) 0:36:09

【赤】 SE 榊原 皇仁


   *

   気分が悪い……
   ホテル行こうかと思ったけど、
   うちに来てくれる?



  ケーキはまた今度にして、
  お礼と謝罪をする彼女の手を
  ぐっと引っ張ってしまったなら、
  彼女は体勢を崩さなかっただろうか。

  彼の家は偶然にもここから近くて、
  徒歩5分くらいのところにある。
  地上何階建てだろうかという
  タワーマンションにたどり着けば
  彼女とずっと繋いでいた手を離しただろう。
  凄くイライラした表情を、
  彼女の前では見せないようにしたけれど
  果たして出来ていただろうか。

                      ]*


(*29) 2021/05/05(Wed) 0:37:16

【赤】 大学生 葛葉 桜子


   そりゃおうじくんにとっては
   簡単でしょう……

[ 
  少しだけ拗ねてしまいました。
  私の理解力がないのかもしれませんが
  余裕そうなおうじくんをみると
  少し悔しくなってしまったのです。

  プログラミングを取った理由は
  時間割表と相談して空いてたからっていうのと……
  
  出来たらかっこいいなって思ったんです。
  だから、教えてもらった時は
  ちょっとおうじくんがかっこよく見えました。
  ……わかりやすかったです、悔しいことに。
                        ]
 
(*30) 2021/05/05(Wed) 1:05:14

【赤】 大学生 葛葉 桜子

 *

   気分…私の、せいで……
   ごめんね……。

   うちって、おうじくんの?

[ 
  ぐっと引っ張られて
  ぐらりとよろめいてしまいます。
  転びはしなかったけれど、
  おうじくんに抱きついてしまいました。

  タワーマンションにたどり着くと
  ここ……?と思わず彼のほうを見てしまいます。
  普通のアパートに住んでいた私にとって
  びっくりしてしまうのは仕方のないことだと
  そう思うのです。

  ……おうじくんはどこか
  機嫌が悪そうな気がします。
  いつもにこにこしているけれど…
  どこか表情がいつもと少しだけ違うような…。
                       ]
(*31) 2021/05/05(Wed) 1:05:47

【赤】 大学生 葛葉 桜子


   ……おうじくん、その、
   私、だいじょうぶ、だから……。


[ 
  覗き込むようにしてそういったら
  彼はどんな反応を見せたでしょうか。
  部屋に招き入れられるのなら
  少しだけ躊躇してから、
  お邪魔することになるのです。]*
 
(*32) 2021/05/05(Wed) 1:06:15

【赤】 SE 榊原 皇仁



  ここら辺は初歩的なものだよ?
  わんこちゃんさては、こう言うの苦手?



  教えてる時も呼び方はそんなに変わらず。
  でも彼の仕事までの領域は教えなくても
  彼女の単位には支障がなさそうなので
  彼女が慣れてきて教えてほしいって
  お願いしてくるまでは何度も反復練習の
  繰り返しだったような。

                      ]



(*33) 2021/05/05(Wed) 13:05:52

【赤】 SE 榊原 皇仁

   *


   あ、ごめん。大丈夫?



  彼女の重みが体に伝われば、
  冷静さを少しだけ取り戻すものの
  いつもなら彼女の柔らかさに
  ニヤついてもおかしくない彼が
  反応を示さず、家を目指した。

  マンションの前に着けば、
  彼女から驚きの声が聞こえたような。
  気にせず、部屋に向かえば
  リビングにあるソファでも座るよう促した。

                       ]



(*34) 2021/05/05(Wed) 13:06:21

【赤】 SE 榊原 皇仁



    あぁいう男は、地獄を見るから。
    ………わんこちゃんが初めてだよ。
    今まで誰も入れたことない。




  大丈夫という彼女に顔を向けた。

  セフレたちとは絶対ホテル。
  例外なく、どこかしらのホテルで会っていた。
  だから必要以上の会話をしたことも
  一緒に食事をすることもなく。

  イライラしている時に
  ホテルに行ってしまえば、
  彼は必ず彼女を傷つけると思って
  タバコの匂いが染みつきかけの家に
  舞い戻ることを選択した。

                     ]


(*35) 2021/05/05(Wed) 13:07:05

【赤】 SE 榊原 皇仁



    ごめんちょっとタバコ吸ってくる。

    ……甘いもの、冷蔵庫にあるから
    よければ食べて。



  そう言って、彼はリビングから離れ
  扉をパタンと閉めてしまった。

  別に彼女が甘いものを食べたいと
  彼が知っていたわけではなく、
  彼がただ仕事の合間に食べようかと
  買っていただけだが、
  彼女が冷蔵庫を開けることはあったか。

                      ]*


(*36) 2021/05/05(Wed) 13:07:25

【赤】 大学生 葛葉 桜子


   ……にがて、かも
   
[ 
  あんまり要領がいいわけではないので
  繰り返しやって、少しずつ理解していくことに。
  慣れてくると、少し面白いな、
  と感じるようになったのと
  ……一緒にいる口実にちょうど良くて
  単位に関わらない部分まで教えて欲しい、
  なんてお願いをするようになったのでした。
                       ]
 
(*37) 2021/05/05(Wed) 14:18:14

【赤】 大学生 葛葉 桜子


  *


  抱きついてしまって、いつもなら
  嬉しそうというか、そんな反応をする彼が
  今日は反応しませんでした。様子が少し変です。

  煙草の匂いがする部屋に通されて
  促されるまま、ソファに座ります。

  ……誰も入れたことがない、などと言われては
  私は特別なのか、なんて期待してしまいます。
  頬がほんのり染まったような。
                       ]
(*38) 2021/05/05(Wed) 14:18:35

【赤】 大学生 葛葉 桜子


   はじ、めて……
   あ、いってらっしゃい…?


  煙草を吸ってくると言われて
  引き止めることも出来ず、そのまま見送るのです。
  冷蔵庫に甘いものがある、と言われても
  私は立ち上がりませんでした。
  ……冷蔵庫って、その人の生活がよく見える気がして
  見ていいのか、迷ってしまったんです。

  
恋人じゃないから
、遠慮が先に出てしまって。
                          ]
 
(*39) 2021/05/05(Wed) 14:19:11

【赤】 大学生 葛葉 桜子


  おうじくんが出ていってから、
  先ほど言われた言葉を反芻していました。
  ……本当に付き合っているわけではなくて
  だったら、彼にとっての私は
  何なのでしょうか。

  ―――特別な何かを期待したいのに。

  恋人はいらないならそれは違うんだろうな
  と思ってしまいます。
  ……好意を伝えることだって
  きっと迷惑なんだろうって思うのです。

  あぁ、私は確かに―――
                       ]

   馬鹿、だよね……
  
(*40) 2021/05/05(Wed) 14:20:03

【赤】 大学生 葛葉 桜子



  体だけの関係というには一緒にいすぎたんです。
  愛されているって錯覚が
  錯覚じゃないような気がしてきてしまって
  
  錯覚じゃないと、思いたくて。

  一人になるとそんなことが頭をよぎってばかりです。
  一人だからこんなことを考えてしまうんです。
  ……泣きたくなってしまいます。

  きっとおうじくんがいれば忘れられる…
  全部忘れさせてくれる……

  そう思って、リビングの扉を開けて
  どこにいるのか、探そうと歩き始めたのです。
                        ]*
  
(*41) 2021/05/05(Wed) 14:20:28

【赤】 SE 榊原 皇仁





  そもそも、プログラミングを教えるのは
  タダでやっていないんだから、
  対価を払ってもらわなければいけない。
  彼の知識もタダではないから。

  彼女に対価を払ってもらっているとしたら、
  それは体なのか、やさしさなのか。
  彼にとっても徐々に分からなくなった。

                       ]


(*42) 2021/05/06(Thu) 9:37:14

【赤】 SE 榊原 皇仁





  ほんのり染まった頬が視界に入れば
  彼女がその待遇を受けて嬉しいんだと
  彼は簡単に理解することができた。
  でも、それをするに値する人だから
  彼はそれ以上考えることをやめた。

  薬物のような扱いをしているタバコを
  リビング隣の部屋で吸うために
  離れれば、すぐに火をつけて
  ふぅっと長めの息を吐き出して。

                    ]

    …………──────────



(*43) 2021/05/06(Thu) 9:38:06

【赤】 SE 榊原 皇仁



  1本を長く吸うわけではないので、
  1/3くらい吸って灰皿に。
  それを3本くらい繰り返すのが彼。
  ひどく勿体無いけれど、
  長くひとつを吸うのが得意ではない。

  気持ちを落ち着かせて、
  頭の中を冷静にしたあたりで
  扉の音が立った気がして
  そちらを確認すると見える彼女の姿。

                    ]

    あれ、ケーキ食べなかった?
    ……頼りないもんね、ぼく。



  そんなことを言いながら彼女を抱きしめ
  ゆらゆらと、ゆりかごのように
  体を横に動かして。

  いつもよりトーンはすごく落ち着いて
  何もしないかのような無害さが
  その時だけは伺えただろうか。

                    ]*

(*44) 2021/05/06(Thu) 9:38:52

【赤】 大学生 葛葉 桜子


[ 
  プログラミングを教える講座を
  していたという話を聞く機会はあったでしょうか。
  聞けていなかったとしても、対価まで
  私は考えていませんでした。

  ……体で対価になるのなら喜んで払うけれど
  抱かれたいと思っているのに、果たしてそれは
  対価になりうるのでしょうか。
  教えて欲しいと頼んだのは私ですが、
  何故教えてくれるのか、
  私にはわかりませんでした。
                      ]
 
(*45) 2021/05/06(Thu) 13:05:40

【赤】 大学生 葛葉 桜子


[ 
  部屋を出ていったおうじくんを
  探そうときょろきょろしていると
  彼はは隣の部屋から出てきました。
  何か言う前に抱きしめられるのです。
  ゆらゆらと体を揺らされて、
  私は身体を預けて返事をします。 
                     ]


   ……一人で食べても、寂しいから。
   どうして、そんな……
   頼りないことと私がケーキを食べないの、
   関係あるの……?
  
(*46) 2021/05/06(Thu) 13:06:18

【赤】 大学生 葛葉 桜子



  冷蔵庫を開けてすらいませんが、
  開けたとしても、きっと私は食べなかったでしょう。
  ただ甘いものが食べたかったんじゃないんです。
  
“おうじくんと”食べることに意味があったから。


  彼の声はいつもよりずっと落ち着いていて
  年相応、というと変かもしれませんが
  私よりずっと大人に聞こえました。
  とても、落ち着く声で
  もっと、聞いていたい声。

  
……その声で名前を呼んでくれるのなら

  
それだけで幸せになれそうな、声。

                         ]


   おうじくんは頼りなくなんてない。
   さっきだって私の事、守ってくれた…
   そうじゃない、の……?
  
   *
(*47) 2021/05/06(Thu) 13:07:36

【赤】 SE 榊原 皇仁





  多分の話、彼にとってのこの時間の対価は
  彼女という存在そのもの。
  だから、彼女に教えている時間は
  すでに対価も払ってもらっているようなもの。
  でもまぁ、その後に楽しいベッドタイムがあれば
  それはオプション代として楽しんでいる節有り。

                         ]



(*48) 2021/05/06(Thu) 23:05:05

【赤】 SE 榊原 皇仁



    んー…さみしいかぁ…ごめんごめん。

    ぼくがきちんとしてたら、
    ワンコちゃん寂しい思いしなかったでしょ。
    だから、関係あるんだよ。



  あの時、彼女の横にいたのが
  きちんと彼女に告白をして
  付き合っていた人物なら、こんなことにはならず。
  彼との関係は真っ当なものではなくて
  本当なら何を言われてもぐうの音もでないもの。

                         ]



(*49) 2021/05/06(Thu) 23:05:43

【赤】 SE 榊原 皇仁



    女の子が泣いてる姿とか見たくないし。

    ………ケーキ、食べる?
    ぼくも甘いもの欲しくなっちゃった。



  優しく語りかける彼は、毒牙を抜かれた毒蛇のよう。
  彼女の頬に口付けを落とせば、
  軽めに彼女のお尻を撫でるけれど
  盛んな猿のような彼にはならなくって。

  冷蔵庫の中にはガトーショコラなどの
  ケーキが数種類あるから、
  彼女の希望があればそれを渡そうと
  まずは冷蔵庫に移動したことだろう。

                     ]*



(*50) 2021/05/06(Thu) 23:06:05

【赤】 大学生 葛葉 桜子

  ― とある日の事 ―

  
   ……いた、い…………。


  人より生理が重い体質で痛みに苦しんでいた日。
  周期より早く来てしまったせいで、
  彼との約束に被ってしまった時の事です。
                      ]

   ごめんね……体調良くないから行けない……。


  一度電話をかけてみて出てくれるようなら
  直接、だめならメッセージを送って
  布団に潜り込みます。
  高校の時は鎮痛剤とかを飲んで誤魔化しては
  いたものの、あまり効きがよくなくて。
  飲まない選択をしたらしたで
  動けなくなってしまうのです。

  ……こんな時、恋人なら
  傍にいてくれたりするのでしょうか。
  それをねだることが許されるのでしょうか。
  
  私にはきっと、許されないだろうけれど
  つい、今日会うはずだったおうじくんのことが
  頭によぎるのでした。
                        ]
(*51) 2021/05/06(Thu) 23:45:16

【赤】 大学生 葛葉 桜子


  *


   ……傍にいてくれるんでしょう?
   それなら、寂しくない、よ。


  嘘です。本当はこの関係のままでずっといるのは
  寂しくて苦しい。
  でも、恋人がいらない彼に告白することなんて
  出来るはずないじゃないですか。
  だから、作り笑いを浮かべて嘘をつくんです。
  
  
……恋人になりたい、のに。

  
恋人になれたなら、その先だってきっと考えるのに。

                           ]
  
(*52) 2021/05/06(Thu) 23:46:35

【赤】 大学生 葛葉 桜子


   ――――――……。


  名前を呼んでほしいとすら、言えないのです。

  ほら今だって。彼は優しいから、
  “女の子が”泣いてる姿なら
  きっと私じゃなくたって守ってたんです。

  
とくべつには、なれないんです。


  それでもその優しさに縋ってしまう私は
  馬鹿だと、思います。
                      ]


   一緒に食べよう?
   コーヒーか紅茶があるなら一緒に。


  柔く微笑んで、ケーキを食べようと
  誘えば、冷蔵庫の方へと移動することに。
  数種類の中から、ミルクレープのほうを
  じっと見てしまったけれど
  そもそもこれはおうじくんが食べる予定だったもの。
  希望を言う前に、おうじくん自身が食べたいものを
  聞くことにするのです。
                          ]*
  
(*53) 2021/05/06(Thu) 23:47:30