人狼物語 三日月国


33 【恋愛RP】Umbrella×School×Love!【R15】

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矢川 誠壱は、トオルくん、中の人発言は「独」のタブでするといいよ!
(a1) 2020/06/20(Sat) 7:40:13

【人】 転校生 矢川 誠壱


[ 舞台袖で、動けないでいた。
食い入るようにして見たその光の下。
薄く脱色した彼の髪がキラキラひかる。
自分たちが先ほどステージに立ったときの様に
静寂が訪れることはない。
真後ろでも「あれ誰だ?」と聞こえた。
そっと後ろを向く。そこにいたボーカルが
こちらを見上げるから柔く微笑みを向け。]



   俺が、今一番いい音だと思ってる
   ピアニストだよ。


[ と伝えると「ほーぉ」とメンバー全員が
ハモるものだから笑ってしまった。

彼が首元のネクタイを緩めるのが
上がったグランドピアノの蓋の隙間から見えた。>>2:249
なんとなく、己も息を吸い込んだ。]

 
(12) 2020/06/20(Sat) 17:45:01

【人】 転校生 矢川 誠壱


[ そしてはじまったのは「猫ふんじゃった」
ぱちくりと目を瞬かせ、そして
続いた初級ピアノの練習曲。
さらに髭の配管工がぴょこぴょこ跳ねれば、
おもわず「ふは、」と噴き出した。

全然、脈絡のない演奏。

きっと後ろにいるメンバーも面食らって
いるのだろうなと予測はつくけれど。

やっぱり、跳ねてる。

 ───君は、スポットライトの下が似合う。


なぞられる、ふたりのセッション。
何気なく選んだ曲が全て続けば

俺も、その隣に立てればいいのにな、
なんて思うだけならきっと許されるはずだ。

ざわついていた音が止む。
体育館に響く音は、教室で聞いた時より、
ずっとずっと、キラキラしていて。
ああ、天の川に似てるなと思った。]

 
(13) 2020/06/20(Sat) 17:45:45

【人】 転校生 矢川 誠壱



[ 「上手いな」と小さくギターの裕也が呟く。
彼から目が逸らせないまま、うなずいた。

何にでも、どんな時間にでも終わりが来る。
その有限を懸命に生きるためにみんな
今を、今だけをみて走っていて。
己はそこに、うまく乗り切ろうともせず
自分勝手に否定して、ずっと逃げてきた。

一瞬の静寂。

拍手が聞こえるよりもはやく、
次の曲が、はじまる。これは───]



  「Goodbye Yellow Brick Road だ」



[ 誰かが小さく、呟いたのが聞こえた。]

 
(14) 2020/06/20(Sat) 17:46:10

【人】 転校生 矢川 誠壱


[ 曲が変わる。
これは、知ってる。よく知ってるよ。]


  I am brave, I am bruised…




[ 小さな声で口ずさむ。
うん、いい曲だ。]

 
(15) 2020/06/20(Sat) 17:47:34

【人】 転校生 矢川 誠壱




    ───…


[ 唇を結ぶ。

半ば俯くようにしてその場を去った。
どうしてだろう。

それはうまく、今は、
まとまりそうになくて。
ただなんとなく、
泣いてしまいそうだったから。]*

 
(16) 2020/06/20(Sat) 17:47:59

【人】 転校生 矢川 誠壱


[ 見にきてほしいとおもった。
それが自己満足だとわかっていて。
全英詞で、うまく伝わるかどうかは
わからなくても、彼に伝えたかった。

その左手がうまく動かなくたって、
君には君の音があって、
ごまかさないで、受け入れて、
本当は全部ひっくるめて愛してほしい

だって俺は言っただろ?
君の音が好きだって


そう、伝えたかっただけなのに、
わかってしまった。気づいてしまった。
それよりも弱い自分のことが、
自分が今まで逃げてきたことが、
───こわくて、目を逸らしてきたことが。]
 
(41) 2020/06/21(Sun) 6:38:30

【人】 転校生 矢川 誠壱



[ 黙って歩いて出た体育館。
広いこの学園で、まだ道も覚えてないから
ここがどこなのかもわからないけれど、
一心不乱に歩いた。
だれもいない場所をさがして。

ようやく見つけた使われていない
教室の扉をひらいて、入る。

人の声が遠く、騒めいて聞こえた。

適当な椅子に座る。
負ったままのベースケースを、
そっと隣に下ろした。


だれの記憶にも残りたくないとおもってた。
褪せて消えていくだけの存在になって
それをただ眺めているだけになるなら
いっそはじめからなければいいと。

だけど、───本当はたぶんわかってた。]
 
(42) 2020/06/21(Sun) 6:39:03

【人】 転校生 矢川 誠壱



[ 本当に記憶に残りたくないのなら
誰にも関わらなければいいし、
音楽なんてしなければいい。
一人で奏でるだけの日々を過ごせば
そこに記憶は存在しなくなる。
ただ、自分だけが覚えていられる。

それでも人に関わるのは
わざわざ音を共に奏でたいと思う
その時間が終わらなければいいと願う
いつかまた、もう一度と祈る
結局のところただ寂しかっただけだ。

見たくなかった、だけで。


本当は誰かの記憶に残りたい、

本当は─── ]

 
(43) 2020/06/21(Sun) 6:39:22

【人】 転校生 矢川 誠壱




   誰かの特別になりたかったんだな


 
(44) 2020/06/21(Sun) 6:39:41

【人】 転校生 矢川 誠壱


[ はは、とちいさく笑いが漏れる。

己にとって、人との関係は
いつだってうすっぺらくて。
吹いたら飛んでいくようなものだった。

それは、己を守るためで、ただの意地。

だけど、 ───いまは、それが嫌だ。

彼らの記憶に残りたい。
矢川誠壱という人間がいて、
そこに確かに存在していたのだと
途切れない、関係が築きたい。

───いまさら、どうすれば上手くできるのか
ああ、おれは人間と接するのが、
きっと今日できた年下の友人よりも
ずっと下手なのかもしれないとおもった。
前髪をくしゃくしゃとかき混ぜる。]

 
(45) 2020/06/21(Sun) 6:40:03

【人】 転校生 矢川 誠壱


[ 手を伸ばしたケースからベースを出して。
そのファスナーを開いた。
アンプに繋いでいないエレキベースは
本当に微かな音しか紡がないけれど。
膝の上において、構えて鳴らした。

かっこいいと、すごい、と言ってくれた
彼らに見合う自分で本当に今いられるのか
それはわからない。
かすかに響くGは、壁を伝わない。
ただそこにただ落ちるだけだ。

ひとりって、こんな感じだったっけ

そう、おもいながら
弾き始めるのは、セッションで演った曲。
聞こえないはずの兎が跳ねた。]*

 
(46) 2020/06/21(Sun) 6:40:28

【人】 転校生 矢川 誠壱



[ しとしと、雨が降り続く。

どうして、この時期にわざわざ
学校行事を持ってくるのだろうか。
それは単純に疑問だった。
その意味をまだ今は、きっと
理解できそうにない。

ぼんやり見つめた窓の外。
どこにも届かない音が床に落ちる。

スマートフォンが震えた。
メンバーからだろうということくらい
安易に想像がつくのだけれど。

どうして黙って出て行ってしまったのか
そう問われるとうまく言葉には
ならないのだろうと思う。]

 
(102) 2020/06/23(Tue) 18:38:53

【人】 転校生 矢川 誠壱


[ あのステージに立って思った。
誰かの特別になりたかったんだなあ、と。

あのステージから見て思った。
その光の根源にいる人が
この音の渦の中溺れずに立っているはずで。

あのステージを見て思った。
その光を受けた人が
何故だかどうしても眩しくて。

泣いてしまいそうだったから。

踏み出してくれればいいと思った。
彼の描いた世界が好きだったから。
もっと、たくさん触れて欲しかった。
遠く、離れたところからではなく、
直接音に触れたその筆がなにを描くのだろうと。

踏み出してくれればいいと思った。
彼の奏でる音が好きだったから。
もっと、その音を聞かせて欲しかった。
揺れる音の波にきらめきを感じたかった。

そんなエゴに似たなにかが、
彼らを動かしたことが、たとえば
それが特別だというのならば。]

 
(103) 2020/06/23(Tue) 18:39:17

【人】 転校生 矢川 誠壱



[ 特別になりたかった。
ただ、特別になるのは怖かった。
結局たぶん、臆病者なのだ。

彼らは踏み出したのに、
己はここに立ち止まったまま。
その先に進むのが怖かった。

だからひとり、こんなところで
立ち止まったまま、動けなくて。
あの熱気の中にあった音の粒をただ
無機質な床の上に落としていくだけ。

カタン、と小さく椅子が音を立てた。
ベースをそっと近くにあった机に置く。
そのまま足を窓際へと進める。

降り続く雨の音。目を閉じた。]

 
(104) 2020/06/23(Tue) 18:39:33

【人】 転校生 矢川 誠壱


[ 彼にとっても>>1:-151

 彼にとっても>>2:118

 彼らにとっても>>2:166 ]



   ───後悔、か >>1:102


[ 息を短く吐いた。
唇を噛んで、離す。]

 
(105) 2020/06/23(Tue) 18:41:20

【人】 転校生 矢川 誠壱



[ 窓際からそっと離れて、ベースをケースに入れた。

話さなければいけないことがある。きっと。

だから、ここから行かなきゃいけない。

彼らが自分で踏み出したみたいに、
自分もこの足で。

教室を出る。
ここがどこかはわからなかったけれど、
人の声のする方へと足を向けて。

途中、「イチくん」と呼んでくれる
声があった。やめてほしいと思っていた
その声が、少し照れ臭くて嬉しい。
そう素直に思えた。]

 
(106) 2020/06/23(Tue) 18:41:59

【人】 転校生 矢川 誠壱



[ 見えた人影。
心臓が打った。
なんとなく、緊張する。
少しだけ背筋を伸ばして。

後ろからその背中に駆け寄ろう。

そして、とん、と手を肩に置いて。

ああ、うまく言葉になるだろうか。
変なやつだって思われるだろうな。]

 
(107) 2020/06/23(Tue) 18:43:03

【人】 転校生 矢川 誠壱



[ まあそれでもいいさ。
だっておれは、特別になりたいんだ。

特別なW友達Wになりたいんだよ。]

 
(108) 2020/06/23(Tue) 18:43:25

【人】 転校生 矢川 誠壱





   ────なあ、 あのさ、



**
(109) 2020/06/23(Tue) 18:43:35

【人】 転校生 矢川 誠壱

 ──まだもうすこし先のもしも──

[ くああ、と大きなあくびをこぼした。

相変わらず寝坊癖は治らない。
スマートフォンの着信は2件。
一件は祐樹で一件は裕也だった。

Two winsは「終わらない」と宣言した
祐樹の言葉通り、文化祭の後もライブハウスで
何度か演奏をし、そのたびに盛況を呼んだ。
ただ、相変わらず曲は書けないと跳ね除ける
ツインズにはデビューだとかそういう話は
くることもなく。大学生になってすでに
2年と少しが経った現在もゆるゆると
コピーバンドとして活動を続けている。]

 
(121) 2020/06/23(Tue) 23:01:18

【人】 転校生 矢川 誠壱



[ 祐樹の声は人の耳を引くし、
見目麗しい双子に人気が出ないわけもなく
着実にファンを増やしていっている。
ちなみに、以前のベース担当はというと、
己にその枠をわたして、県外の大学を受験し
あっという間にこのバンドを去っていった。
相変わらず仲はいいし、あのころよりも
ずっと自分とも交流はあるけれど
もう一度バンドをする気はないらしい。
というわけで、間違いなく、矢川誠壱は
Two winsのベース担当なのである。

メッセージがきているのを開くと、
こちらもまた祐樹からだった。


 W次のライブ決まった

  再来週の金曜の夜だけど
      予定大丈夫そう?W


なるほど、おそらく電話もその件だろう。]

 
(122) 2020/06/23(Tue) 23:01:52

【人】 転校生 矢川 誠壱


[ 父の転勤は相変わらずだけれど、
もう一緒に転々とするような歳でもない。
学園から二駅離れたところにある
大学にそのまま進学して、現在21歳。
一人暮らしは気ままなものだ。

もちろん仕送りに足すためにバイトも
しているし、それなりに忙しくはあるが
バーでのバイトは、楽しかった。

恋愛云々に関しては今もからきし。
というか、正しくは好きな人がいる。
…否、好きな人になった、のだ。

バーカウンター越しに誘われることも、
大学の同期やライブ終わりに
声をかけられることもある。
だがなぜだろう。
微塵のときめきも感じないのだ。

ある一人の人間を除いては。

だから、つい1ヶ月ほど前。
高校時代からの年下の友人に話した。
どうやら俺はあいつの事が好きらしい、と。
そのときどんな顔をしてたっけ。
あまりにあっけらかんと話したから、
もしかしたら面食らっていたのかもしれない。]
 
(123) 2020/06/23(Tue) 23:03:51

【人】 転校生 矢川 誠壱



[ ───同性で、友達だった。


いや、そうだな。

友達なんだけど、特別な人だった。


自覚したのはわりと最近の話だが
それに納得すれば話は早かった。
今までの感情にも整理がつくのだ。

同性を、ましてや友人を好きになるなんて、
もっと悩むべき事なのかもしれないし、
もっと思い詰めるべき事なのかも
しれないのだけれど。

そんな気持ちは微塵もない。
ただ、はっきりしているのは、
間違いなく自分は彼のことが好きで、
自分にはそれを伝える術があって
受け入れてもらえるかどうかはさておき
今のままでは嫌だということだった。]

 
(124) 2020/06/23(Tue) 23:04:35

【人】 転校生 矢川 誠壱


[ 約束していた場所へ向かう前、
先に喫煙所へ寄るとそこには
案の定彼の姿があった。

自覚すれば、その笑顔も、
声も、髪の長さも、指の動きも
伏せられたまぶた、光に当たると
薄く茶色だとわかる瞳の色
くわえたたばこがほんの少し恨めしい程
なにもかもが愛おしく思えるのだから
人間不思議なものだ。

喫煙所の窓越しに手を振る。
目があって、撓む。
こちらに気づいたのがわかった。]

 
(125) 2020/06/23(Tue) 23:04:58

【人】 転校生 矢川 誠壱






[   ───ああ、うん 好きだな。]


(126) 2020/06/23(Tue) 23:05:34

【人】 転校生 矢川 誠壱


[ それからそっとその扉を開いて、
中へと足を踏み入れる。
この匂いにも随分慣れた。
自分は相変わらず吸わないけれど。

ジジ、と小さく燻る灰の音がした。]



   今日晩飯どっか食いにいく?


[ 形の良い唇が開く。
答えにうんうんと頷いて。
片手にスマートフォンをとった。
返信をしておかなければ、再来週の金曜日。
ついでにバイトに休みの申請を
連絡しておかなければ。

ふと上げた目線の先にあった、
柔らかな髪が、揺れる。
晒された白い首筋に光が当たった。]
 
(127) 2020/06/23(Tue) 23:06:00

【人】 転校生 矢川 誠壱




    そういえば、俺さ、
    雨宮のこと好きなんだよね


 
(128) 2020/06/23(Tue) 23:06:25

【人】 転校生 矢川 誠壱


[ 口から、当たり前のように吐いて出た。
遠くでテニスサークルが打つ
ボールの小気味良い音が響いている。
ロマンチックさのかけらもない。

スマートフォンの画面をタップして、
「りょーかい」と祐樹に返信した。]



    あ、あと次のライブ再来週の
    金曜だけどこれたりする?

    要にも連絡しとくけど
    たぶん体調次第だろうし。


[ そう続けて。
またスマートフォンが震えた。
祐樹からだ。「ちょっときて」と
書かれているからこれはたぶん
曲のことで裕也と揉めたんだな、と頷いて。]

 
(129) 2020/06/23(Tue) 23:07:01

【人】 転校生 矢川 誠壱




    あ、ごめん、ちょっといくわ



[ そういって壁につけていた背を離して、
ポケットにスマホを押し込んだ。
出て行く直前「あ」と小さく落とし、
立ち止まる。いけないいけない。
さすがにさっきの言葉を
なかったことにするつもりはないのだ。

彼の唇にあるタバコをとって。
それに口をつけるか一瞬迷って、
かわりにその唇に自らのそれを当てよう。
かすかなリップ音とともに離せば、
高校の時、文化祭の日に理科室で吸った
タバコの煙たい苦味が思い出された。

あのときは返したそれを、
目の前の灰皿に押し付けて。]

 
(130) 2020/06/23(Tue) 23:07:21

【人】 転校生 矢川 誠壱





    ───さっきの、考えといて



[ と首を倒して笑い、その場を去ろうか。

一度や二度断られたくらいでは
諦めるつもりは毛頭ない。

きっとゆっくりしていては
あっという間に掻っ攫われてしまうから。

彼にとってのW特別な人Wに
今度はまたあのときとは
別の意味でなりたいと願うのは
きっと悪いことなんかじゃないから。

バンドメンバーのもとへ向かう途中。
足取りはなんとなく軽い。
キスをした。だがその唇の柔らかさより
その直後の顔を思い出しては
なんだか笑えてしまった。]*

 
(131) 2020/06/23(Tue) 23:08:09
 




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