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【人】 旅人 J[────気の所為か。 紙を手にした瞬間 真っ直ぐに描かれた彼の頬の十字が 僅か、波打った気がするのは。 私の、見間違えだろうか。] (10) 2022/03/14(Mon) 12:52:05 |
【人】 旅人 J[逆光で輪郭は際立つが 細かな表情は影で見えにくい。 何か知っているのかも知れないという 期待を抑え込み、反応を待った。] (11) 2022/03/14(Mon) 12:52:20 |
【人】 旅人 J[彼は、何事もなかったかのように話す。>>7 矢張り先ほどのは気の所為だという落胆に 小匙一杯の猜疑心が混じる。 まるで知らないような口振りは、真のものか。 トクトクと、心臓が五月蝿い。 彼の言葉は言い換えれば 大陸の何処にあるか解るなら手を貸すと取れた。 故に、大金で仕入れた情報を口にする。] ……ここより西の、——という都市 これを売りに来たものがいたが 金額が折り合わず売却せずに東へ行ったと [大陸でも屈指の経済規模を持つ この都市には及ばないが 出した名もそこそこの貿易都市だ。 情報元は、マナーとして明かさずに。] (12) 2022/03/14(Mon) 12:54:16 |
【人】 旅人 J[写し絵を持つ手に、触れることは叶うか。 刺突剣の突きは速いものだが これはそれほどでもない。 拒まれなければ、小枝のような指を添えて。] ジュダス様 私の力になって下さいますか? [逆光の中でもよく表情が見えるよう 今度こそ何も見落とすことがないよう レンズ越しに瞳を見つけようと 顔をごく近づけて訊ねた。 それでも、百戦錬磨の男に装われたら見抜けぬだろう。 だけど、見極めたいと思っている。 自ら近づいてきた、謎めいた彼自身のことを。*] (13) 2022/03/14(Mon) 12:55:53 |
【人】 旅人 J[会うのは大抵が歳上の男であり 舐められぬように 一方的に食い物にされることのないようにと 意識的に背伸びをして変えていた 話し方や敬称が、剥がれ落ちていた。 自分でも無意識のうちで、 彼を信用したいという願いの発露だった。] (18) 2022/03/14(Mon) 19:33:32 |
【人】 旅人 J[跳ね返ってきた自分のか彼自身のか 吐息の温度を顔に感じて 漸く、近づき過ぎたことに気付く。] ……し、失礼、しましたわ……っ 貴方の目が、見えなかったものだから…… [慌てて踵を床につけ、手も離し、 後退して一歩分の距離を空けた。 若そうなきれいな殿方に こんなにも近づいた経験が人生の中でなかった。 それに、気になるから遠慮なく見まくってしまう……、 などという自分の幼く愚かな行動を恥じ 頬が淡く色づいてしまう。 少し経てば、それも落ち着いたが。] (20) 2022/03/14(Mon) 19:34:49 |
【人】 旅人 J[或いは……、気は進まないが 元婚約者に金の工面を頼めるだろうか。 領地の管理は一時的にその者に任せてある。 元来、結婚と共に領地を合併する手筈であった。 顔の疵も、彼の資金力と伝手で元に戻せる可能性がある。 自分のはただの刃物による疵だ。 若い女が好きな男だから 賞味期限が切れる前に地に頭をつけて謝罪すれば 一方的な婚約破棄の件を水に流し 資金も工面してくれるかも知れない。] (22) 2022/03/14(Mon) 19:37:07 |
【人】 旅人 J私は、ここで待っていれば良いのよね ご連絡をお待ちしますわ [写し絵を持っていくなら預ける。 お話が他にもあれば、勿論聞きましょう。 出て行こうとするなら、 狭い部屋、壁際に避けて道を作る筈である。*] (24) 2022/03/14(Mon) 19:38:29 |
【人】 J J[兄弟は居らず家で勉強をしたり剣を習ったり 女だけでする茶会が好きな子だった。 母譲りの貌が好まれて 父ほど歳の離れた婚約者が出来たが 成人するまでは生家で暮らす約束で 歳の近い異性とは会うこともなかった。 そんな女の隻眼には 美しく若そうな男は魅力的に映った。 それも必要な時に手を差し伸べてくれた救世主。 怪しいところはあるが言い換えればミステリアス、 そこも惹かれる要因となる。 女の中に、色めいた感情が生まれていく。] (30) 2022/03/14(Mon) 21:50:08 |
【人】 旅人 J[私を信用できないのであれば──、 という台詞は焦りをもたらした。] ……そんなことはしないわ [否定し、笑いながら出て行く男を、見送った。 部屋の中に一人に戻ると、 ほっとしたような、物寂しいような気持ちになる。 そうして自らの感情の答え合わせをするのだ。*] (33) 2022/03/14(Mon) 21:56:42 |
【人】 旅人 J……いらっしゃい、ませ [眼帯は外し三角巾で髪を押さえ。 愛想はなく手際も悪く皿は割るが 少しずつ仕事を覚えていった。 生まれて初めての仕事。 難しい。だけど、勉強になる。 お金を稼ぐのって、大変なのね。 彼が自分を見つけてくれなければ こんなことをする日は来なかった。 知ったことではないだろうけど、 感謝をしなくちゃ、ね。] (36) 2022/03/14(Mon) 22:44:45 |
【人】 旅人 J[……そうやって時間を潰して。 連絡が来れば部屋に移動して 話を聞くつもりでいる。 だがもし(10)1d10日も音信不通で待つことがあれば、 流石に出向くかも知れない。 ケリオス商会は、 余り治安のよくない場所にあるという。 そういった場所に行くのは怖くない。 街の外を野宿するよりは。 そうでもない限り、 物知らずの女は束の間の平穏に身を置く。 刺突剣を部屋に残したまま。*] (37) 2022/03/14(Mon) 22:49:17 |
【人】 旅人 J[ジャンヌ・アンペール。 それが女の名だった。 故郷を出てから名を訊ねられると 「誰でもないわ」 と、誰にも一貫してそう答えてきたが 真名を明かさせ書き記させるのすら 恋の麻薬には容易いことだ。] (46) 2022/03/15(Tue) 0:03:27 |
【人】 旅人 J[彼に倣い、旅に携行しているナイフで 親指を傷付け名の上に色を引いた。 余り得意な色ではないから……、 書類はすぐに返した。] (47) 2022/03/15(Tue) 0:03:51 |
【人】 旅人 J[時間や場所を指定して貰えるなら胸に刻むだろう。 他にも話したかも知れない。 用件が終わり彼が帰る時は呼び止め、 紙で包んだ軽食を渡す。 すきなまかないを作ってみろと言われ チャレンジしたクロック・ムッシュ。 山ほど失敗した末にできたまともな品。] あの……これ、良かったら持って行って 私の故郷の料理、なの 作り過ぎて……食べきれないから [棄てても構わないわと言い添えて。 食べきれそうにないのは事実だ。 彼が来ることを予期して残しておいた訳ではない。 だけど受け取って貰えたなら、私はきっと。**] (49) 2022/03/15(Tue) 0:54:13 |
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