「ほいほほ〜い
　まだ食事もらっとらん子は居らんですかいね〜？
　今からもらう子はサァビスでブドウゼリー
　お皿ごとつけちゃるよ〜」

　適当な誰かにゼリーのお皿をプレゼントしようとして。

「あ」

　取られたそれを叩き落とした。

　

「あ〜〜〜やっちゃったァ
　ごめんね、今日はサァビスできないです〜〜」

　食事をテーブルに置けば、
　パッパと道具類を持ってきて片付け出す。
　後始末は、手際よくすぐに終えられた。



　道具をしまいに行きがてら、
　立ち尽くす誰かにこっそり囁いていた。

「ほいほい気ぃつけます〜
　みんなびっくりさせてごめんね？」

　怪我した人おらんてよかったね〜、
　マイペースに朝食を取り始めた。

>>L7　夕方の屋上
「……あ、さむぅ」

ぶるり、吹き通った風に身震いをする。

「そろそろお外はさむぅい季節ですけんね〜
　風邪、今年もひきたくないなァ」

明日はコート着ようかな、なんて呟きながら
ページをめくる時を過ごしている。

>>a87　サルガス
「給仕さん〜」

　背中の文字を読み上げた。

>>114　サルガス　昼の廊下
「昼はまだ〜　俺ぁ適当に食べますけん。
　給仕さんも食べそびれたりしんてね〜」

　少し気まずそうにするサルガスを、特に気にした様子もない。

「あ、そうそう。背中に貼り紙ついちょるよ、
　邪魔なやないです、それ？」

>>116　サルガス　昼の廊下
「え〜？ 俺んあれはサァビスですよ。
　みんながおいしいと思うもん
　いっぱい食べられた方が良うない？」

　実際、朝食時にレヴァティが誰かにあげているもので
　彼が食べられないものはひとつもない。
　

「へぇ、ああ、そぉ〜。給仕さんは嫌な呼ばれ方？」

　背中側に回って、ぐいぐい、
　すぐ剥がれないように押し付けてやった。
　片手では手帳を開いて、見ている。

>>119　サルガス　昼の廊下

「自分からいっぱいもらったらあかんて思い込みよる子も
　居る時は居りますから。
　今年は今んところ居らんそうやけん、もうただの習慣〜」

　あはは、呑気に笑い声をあげる。

「そっか嫌か。
　なら、俺からは保健係さんのままで良さそうですねぇ」

　レヴァティはサルガスを助けてくれる人ではないようだ。

「で、えーっと。……団に入る？ なして？
　考えもしてんかった。入りたがるもんなんです？」

　純粋に、不思議がっている声音。

>>122>>a94　サルガス　昼の廊下

「あ〜〜そう、そうなァ？」

　合点がいった様子だ。

「俺は今年で卒業確定ですけんね。
　俺より下の子もいつ卒業するかわからんし、
　落ち込ませる要素増やさんてええんやないかなァ？」

　レヴァティは、彼にとって困ることがあるから
　ルヴァ団に入る気がない。

>>129　サルガス　昼の廊下

「みんなよりもお兄ちゃんな分、
　お勉強もたァくさんしちょるけんね〜。
　知っちょることが増えていくと、
　落ち着くもんは落ち着きますよて俺思いますわァ」

　お兄ちゃんらしくはしよらんけどさ、
　冗談めかしに笑って言った。

「君も他のみんなもまだ学び盛りですから。
　なりたいもんになれるように応援してんねぇ」

　がんばってね、そう言うように肩を数度叩いた。

「あ、俺のすることの半分はええ子のもんやないから、
　真似しんてな〜」

　踵を返し、元来た道へ歩いてゆく。
　手帳を見ながら、片手をひらひら。

>>98　夕方の屋上

識字が難しいほどに、日が落ちた頃。
ぱたん、本を閉じる。

「……」

　ごろん、硬くて冷たいそこに転がった。

「……」

「」

「神隠しでも、なんでもええんですけれど」

　夕食の時間まで、動かないでいる。