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【人】 軍医 ルーク“天”の向こうには世界があるのだと、父は言った。 誰が聞いても鼻で笑うような、そんな御伽噺を、 まるで夢みる価値のある夢だと思わせるほどに、 熱のこもった口調で。 子どもに聞かせる与太話にしては、 やけに真剣な眼差しで。 あの酒飲みでくそったれなロクデナシの記憶は、 いっそ脳にエタノールを流し込んで きれいさっぱり消毒してしまいたいけれど、 生憎、手前はこれでも医者だから、 それをしたらさすがに死ぬことくらいは知っている。 それでも自分は医者だから、 やろうと思えばやれるんじゃないかと、時折思う。 けれど、もしそうしたとしても――… あのろくでなしの語った、天の上の与太話のことは、 この躰の脳とは別の部位に、 うっかり深く刻み込まれすぎてしまって、 何を流し込んだところで、消えてくれはしないんだろう。 (6) 2020/05/15(Fri) 1:03:50 |
【人】 軍医 ルークだから時折、手を伸ばしてみる。 当然のこと、天には届きやしない。 けれど、もし、 “十分に準備をして何か道具を使うなら、 届くことも、触れることも、上っていくことも出来る”。 天というのは、そういうものだ。 ――何故なら、それはただの岩なのだから。 さあ、その向こうには何がある? あのくそったれはなんていったと思う? 『どれだけ手を伸ばしたって、 のだと。決して触れることが出来ないものがある』 (7) 2020/05/15(Fri) 1:05:14 |
【人】 軍医 ルーク ―― 前線基地・外壁 ――[ 基地の周りをぐるりと取り囲み、 高く高く張り巡らされた壁面の上に、 一つの人影がある。 針金のようなその人影は、 爆風の一つも食らおうものなら吹き飛ばされそうに ひょろりと頼りなく、細い。 全身真っ黒なローブに身を包み、 “上”に向かって手を翳すような、そんな仕草をする。 けれど、直ぐに手を下ろし、前方へと視線を延べて、 壁面の上にただじぃっと佇んでいる。] さて、今日は何がお出ましかな? [ 飄々と、淡々と―― その声をどのように受け取るかは、分かれるところだろう。 高揚しているようでもある、緊張しているようでもある、 嫌悪しているようでも。 感情の色の薄い紫の目は、あまりにも平坦すぎて、 逆にある意味力が強い。 互いに顔を見合わせてにらみ合ったなら、 相手の方が気まずくなって目を逸らしてしまうような、 そんな奇妙な平坦さだ。] (8) 2020/05/15(Fri) 1:07:03 |
【人】 軍医 ルーク[ フードから覗くその容貌が男性のものに見えるか、 女性のものに見えるか。 男性にしては高く、女性にしては柔らかさが足りない声が 果たしてどちらに聞こえるか。 それもまた、人によって見方は分かれるようである。 本人が『ルーク』と名乗るのを聞いて、 大体の人間が、男か、と判断することになるようだった。 誰もいない壁面の上、人影はフードを下ろす。 長く豊かな橙の髪、青白い顔、 そして頭の上には白い『耳』がある。 ふわふわとした綿のような、削り取った氷の破片のような、 真っ白で柔らかい、大きな狐耳。 前方の音に集中して、時折ぴくぴくと動く。] (9) 2020/05/15(Fri) 1:08:31 |
【人】 軍医 ルーク[ そうして、上を見上げる。 見上げた上には当然のように、 『天』 がある。それは、硬い岩盤だ。 この地区の『太陽』の明かりに燦燦と照らされた天蓋は、 此処からははるかに高く、 どれだけ手を伸ばしたって届きやしない。 けれど、地区によっては『天』はここよりはるかに低く、 地面から天へと壁面が続いている箇所もある。 そういったところでは、『天』に上っていくことだって、 そう難しいことじゃないだろう。 ――より分かりやすい表現をするなら、そう、 この世界は“穴蔵”だ。 穴蔵と言ったって、そんじょそこらの洞穴とはわけが違う。 自分の視力では、ここからどれだけ目を凝らしても、 地平壁は見えやしない。 そして、『天』もまた、 どこまでも広がる、無限にも等しい世界の蓋だ。] (10) 2020/05/15(Fri) 1:11:11 |
【人】 軍医 ルーク[ 穴蔵の天井――『天』は、岩盤だった。 それは絶対に、確かなことだ。 けれど、ここ最近、ある 『異変』 が起こった。目を凝らし、その『異変』を見上げ――] 『きゅー』 ん? [ 後ろから聞こえてきた鳴き声に、振り返る。 そこにいたのは、小さい白黒の一匹の丸っこい鳥―― いや、鳥というにはあまりにもころころふわふわとして、 手足の短いナニカが一匹。 そう、いわゆる“ペンギン”だ。 体つきは成鳥のものより、やや雛に近い。 そいつは人影に向けて、 何かを訴えるようにきゅいきゅいと跳ねる] (11) 2020/05/15(Fri) 1:12:39 |
【人】 軍医 ルークああ、なんだ君か―― なんだい? 君、こんなところにいたら、 吹き飛ばされて落ちても知らないよ。 他の連中と違って君は飛べないのだろう、 この高さから落ちたら挽肉だ。 わたしに調理しろと? 悪いが、君の解剖にはいささかも興味が沸かない。 いや、そもそも肉になるのかな…? ――っと、引っ張るな引っ張るな。 [ 嘴で咥えて必死に引っ張ろうとするそいつは、必死だ。 何がしたいのか分からず、首を傾げる。 折しもそのとき、基地内で再びサイレンが鳴った。 現在の警戒レベルを知らせるその警報は、二音ずつ。 基地内の平時よりは引き上げられているが、最大警戒ではない。] (12) 2020/05/15(Fri) 1:14:54 |
【人】 軍医 ルークほら、鳴ってるだろう、さっさと避難するといいよ。 [ 白黒のもふもふは、なぜわからぬ!? とばかりに 短い手をぱたぱたと羽ばたかせる。 この警戒レベルなら、恐らく戦闘部隊は通常の出撃態勢を 取っているはず。 つまり、総員出撃ではない、 そこまで危険度は高くない通常の襲撃だ。 ――とはいえ、それは相対的な比較の話。 容易い襲撃など、これまで一度たりともなかったのだから。 出撃した部隊もあれば、守りを固める者たちもいるだろう。 そして、自分のような非戦闘員は、指揮官以外は、 ほぼ全員が比較的堅牢な基地内の建物に避難しているはず。 つまり、この鳥たちも、だ。 言うことを聞かない白黒の鳥を、むんずと抱え上げる。 これなら、爆風がここまで来ても飛ばされないだろう。] (13) 2020/05/15(Fri) 1:16:25 |
【人】 軍医 ルーク君、言語機能まで故障してないだろうね? 本当に解剖されたくなかったら、 もっと聞き分け良くなりなさい。 [ 鳥はあきらめたように、腕の中できゅー、と鳴いた。 サイレンは、高く耳に触る、 けれどもどこか無機質な音を立てて鳴り続ける。 遥か下、基地の門が開き、兵士たちが出撃していく。 此方からは向こうがよく見えるけれど、 向こうからは此方の事なんて見えていないだろう、きっと。 彼らは、これから戦いに行く。 ――“天”を見上げる。 いや、正確には、そこにある明らかなひとつの異変を。 あまりにも高く遠い、世界の蓋。 そこにぽっかりと開いた、 『大きな、黒い穴』 。穴の向こうは、何も見えない。 目にしているだけで吸い込まれて行きそうな、 そんな錯覚を覚えるほどの、 あまりにも深く昏い、巨大な穴が、“天”に穿たれている。 西側の外壁に据え付けられた砲台が、動く。 数十の砲門が一斉に、穴の方角へと。 けれども、それで『あれ』を斃しきれた試しなど、 これまでどれだけあっただろう。] (14) 2020/05/15(Fri) 1:18:06 |
【人】 軍医 ルーク[ 出撃部隊が配置につく。 腕の中で、鳥が不安げな鳴き声をきゅう、と上げた。 不安なら中で大人しくしていればいいだろうに――と、 そう言いかけるけれど、もう遅い。 風のない世界に、風が吹く。 天に空いた黒穴から、『それ』が降って来る。 目を凝らしてもこの距離からは細部は見えないが、 そう、それは逆に――… この距離からも視認できるほどの巨体だということだ。 この世界に生きるどの生き物よりも遥かに巨大で、 あるいは建造物と比したほうが早いかもしれない。 “それ”は、咆哮を上げる。 幾百もの獣の吼え声のような、 金属をこすり合わせた叫びのような、ひどく不快な音だ。] (15) 2020/05/15(Fri) 1:19:26 |
軍医 ルークは、メモを貼った。 (a1) 2020/05/15(Fri) 1:28:44 |
【人】 軍医 ルーク ―― “ルーク” ――[ 東棟、医務室。 その場所を訪れる者たちの間で囁かれている不文律がある。 着任したての新兵に、真顔で告げる上官もいるらしい。 曰く、『葬儀屋がいるときには近づくな』。 軍医は一人ではない、 ハズレを引きに行くことは避けろ、ということだ。 軍医としては不名誉を通り越して致命的な呼称の原因は、 先ずは身に纏う黒衣のせいでもあるし、 枚挙に暇がない、ろくでもない噂の数々でもあるだろう。 藪かというと、決してそうではない。 むしろその逆、この基地に配属される前は、 中央で将来を嘱望された研究者であり外科医だった。 尤も当人、中央にいたころから 多大に問題のある言動を乱発していたものだから、 それでも将来を期待されているということは、 マイナスを補って余りある力量 だけは 持ち合わせていたわけである。 さて、そのろくでもない噂の数々というのは、例えば―― ] (17) 2020/05/15(Fri) 2:23:31 |
【人】 軍医 ルーク[ 違法な研究に手を染めて中央を追放されたとか、 夜な夜な何かを解剖している高笑いが響くとか、 患者にひそかに非合法な薬物を投与して 人体実験を行っているとか、 出さなくても良い薬を実験のためにわざと飲ませているとか、 満月の晩に医務室に入ったら生きては出られないとか、 あのローブの下は自分で自分を改造しているのだとか、 その結果表情筋も死滅しているのだとか、 いや、患者の悲鳴を聞いたときにはにやりと笑うのだとか、 滅多にフードを下ろさないのは 頭の後ろにも口がある妖怪だからだとか、 耳も尻尾も二目とみられない有様なのだとか、 いっそ切り取ってしまったのだとか、 実はとっくに生き物でもなんでもない義体なのだとか、 あの顔が笑うのを見た者は呪い殺されるとか、 医務室の鍵付き戸棚の中は決して開けてはいけない、 この世界のありとあらゆる毒が収納されているのだとか、 むしろあの中にあるのは爆発物の類であるとか、 気分次第で麻酔なしで手術をされるのだとか、 切られた傷口がそのうち開いて殺されるとか、 手袋を脱いだ手には絶対に触られるな、 研究中の細菌に感染するぞ、とか、 中央にいる頃に確執のあった上官を毒殺しようとしたとか、 逆に、実は中央からの監視官で、 兵士たちに内偵のための処置を行っているのだとか、 だから戸棚の中には内偵文書が収められているのだとか、 基地内にいるぺんぎんたちを解剖する機会を狙っているとか、 飲料水のタンクに実験のための毒を流し込んでいるのだと ] (18) 2020/05/15(Fri) 2:24:17 |
【人】 軍医 ルーク[ か――… 最後辺りは大喜利の様相を呈していることも否めないが、 兎も角、はみ出すほどに枚挙に暇がない、というわけだ。 医務室は広い。 一気に大量の怪我人が運び込まれてくることがあるからだ。 その場でも相当の処置が出来るよう、設備も整っている。 勤務は交代制だが、常に一人ないし二人は 在室することになっている。 そして、どれほど酷いうわさが流れていようと、 あるいは流されていようと―― 患者は医者を選べない。 部屋の中にいる黒い奴を見て引き返せるものは、 時間に融通が利いて、それなりに余裕がある者だ。 中には、止む無く治療を受けに来る者もいるだろう。] (19) 2020/05/15(Fri) 2:25:21 |
【人】 軍医 ルーク[ 本人、自分が何を言われていようと気にした様子もなく、 粗末な木の椅子に腰掛け、微動だにせず医学書を読んでいる。 時々瞬きを忘れているのに気づいて、瞬きをしたりもする。 ごくたまに、何が面白いのか、頁を捲ってにやりと笑う。] あははは [ 笑い声も妙に平坦だった。 そのようなわけで、入って来た犬耳の新兵は、 『失礼しましたー!!』 と、蒼い顔で踵を返し、 尻尾を(文字通りに)巻いて、ばたばたと逃げ出していった。 其方にちらりと視線を遣っては、読書に戻る。 概ねそれが、医務室の日常だ。]** (20) 2020/05/15(Fri) 2:28:37 |
軍医 ルークは、メモを貼った。 (a2) 2020/05/15(Fri) 2:31:19 |
【人】 軍医 ルーク―― 父親の話 ――[ 物心ついたころには家にはおらず、 世界中彼方此方を旅してまわっていた研究者の父は、 良く言えば夢追い人、 一般的に言えば生活力皆無のロクデナシだった。 気付けば自分も似たような道を歩んでいたのは、 果たして奴の影響を受けたのかどうかは知らないが、 片付けられもせずに積み上げられた本の中で育てば、 まあ、自然の成り行きではあっただろう。 ろくに連絡も寄越さなかったそいつが、 死んだと聞かされたのは、暫く前―― そう、あの大穴が出来たときのこと。 穴の調査に赴いて調査拠点に留まっていた父は、 そこから突如現れた『怪物』に殺害されたのだという。] (53) 2020/05/15(Fri) 13:19:46 |
【人】 軍医 ルーク[ 当時の自分も、既に医術の道に踏み込んではいた。 衝撃を受けるだろうと予測してか、 遺体の状態について口ごもる父の同僚に、 いいよ、見る、とだけ告げて安置所に赴いた。 ぽつんと灯された裸の明かりが、薄暗い安置所を照らす。 回収された部分だけが入っていた遺体袋は、 人ひとりが入っているにしては、随分に小さかった。 ――自分は、きっと平気だったに違いない。 思い出される自身は、どうしてか、遠い後姿だけれど。] (54) 2020/05/15(Fri) 13:20:01 |
【人】 軍医 ルーク[ その拠点に赴いていることは知っていた。 居所を知らせる手紙なんて寄越しやしなかったけれど、 父の知り合いが気を使って知らせてくれたのだ。 まあ、一年か二年はそこに留まるのだろうと思っていた。 研究のこととなれば寝食を忘れる破天荒のロクデナシは、 調査拠点でもさぞ持て余されていたに違いない。 いや、あれはあれで、案外人望もあったようだ。 情に厚く、人には親身になるたちのようだったから。 もし何か面白い結果でも得られようものなら、 同僚や警備員を捕まえて、 どんちゃん騒ぎの酒盛りでも始めたりだとか。 ―― 今となっては、想像するのみだ。 その調査拠点に残っていたものは、 殆どが死んでしまったのだと聞く。 早々に避難できたものは、何が起こったかは当然のこと、 ろくに見てはいなかったようだ。 少なくとも自分は、何が起こったか、 何一つ知らされることはなかった。 ただ、“怪物”が現れたのだと――それだけ。] (59) 2020/05/15(Fri) 13:29:19 |
【人】 軍医 ルーク[ 残されたものは、多くはなかった。 形見の遺品も礫の下に埋もれ、見つかってはいない。 ただ、身に着けていたものがひとつ。 白い狐耳の若い女性と、同じ耳の子供が写る写真。 それだけが、奇跡のように傷一つなく残されていた。 もう、随分と昔のものだ。 ああ、そういえば、最近写真なんて撮っちゃいなかった。 自分でも忘れていたようなそれを、 そいつが肌身離さず持ち歩いていたのは、 ひどく意外だった。] (60) 2020/05/15(Fri) 13:30:11 |
【人】 軍医 ルーク[ いま、外壁に立ち、天に空いた大穴を見る。 荒れ果てた地面を見る。 そこに聊かの感慨もないと言ったら嘘になる。 けれど、降下してくる怪物をただ真っ直ぐに見据える紫の、 その奥底に冷たく煮えたぎるものは、 一言に恨みや恐怖、好奇心と表すには足りない、 ただまっしぐらに、炎のように燃え盛る、探求心。 そして――… ] (61) 2020/05/15(Fri) 13:30:40 |
【人】 軍医 ルーク―― 飛べないぺんぎんの話 ――[ 基地にはたくさんのペンギンたちがいる。 いわゆるお手伝い端末というやつで、 小さな身体でてちてちと歩き回りながら、 行き会う者たちに人懐っこく挨拶したり、 業務の『おてつだい』をしたり、 そこかしこに歩き回っている、白黒のもふい塊だ。 ちなみに、奴らは一生懸命羽ばたけば飛べる。 高いところのものを取るときだとか、驚いたときには、 必死に羽根を動かして高所に飛び乗る姿が、時折見られる。 大体似たような姿形だが、微妙に個体差はあるようで、 活発なのもいればおっとりしたやつも、 真面目なやつも、サボりがちなやつもいる。 大体の者は彼らの見分けなんてつかないのだが、 一部には分かっている者もいる。 自分は後者だ。 興味のあるなしの問題ではない。 単に、特徴を見れば見わけがつくというだけだ。] (62) 2020/05/15(Fri) 13:31:38 |
【人】 軍医 ルーク[ そのうちの一匹が医務室に担ぎ込まれたのは、 着任から一週間ほど後のこと。 どうやら他の連中とは動きが違って、 手――というか羽根を痛めているのではないかと。] わたしは人間の医者なんだが。 こいつは専門外だ――ばらして調べていいか? [ 担ぎ込まれたぺんぎんは、じたばたと逃げようとしていた。 それでもまあ、診るだけは、診た。 どうやらどこかで強い衝撃を受けたらしく、 まずは直せるような状態ではないようだった。 こいつらはこれでも基地の備品扱いだから、 上官への報告ついでに、言い置いた。 変わったことがあったときには逐一報告するように、 着任時に言われていたからだ。 その時何やら難しい問題に頭を悩ませていたらしい上司は、 持ち込まれたもふもふ案件に怒鳴り声を上げ、 不良品ならすぐに捨ててしまえと厳命してきた。 さー、いえっさー、と棒読みにして、その場を辞す。] (63) 2020/05/15(Fri) 13:32:26 |
【人】 軍医 ルーク[ 鳥を小脇にふん捕まえたまま基地を行く。 抱えられたぺんぎんの、きゅーきゅーという悲痛な叫び声と 必死の羽ばたきは、 すれ違った者たち皆の目に入ったことだろう。 眉を顰める者や、止めようとする者も多かった。 それがまた、着任早々着々と増え始めていた自分の噂に 新たな一頁を加えることになったようだが、どうでもよい。 そういえば、『葬儀屋』と呼ばれ始めたのは、 ちょうどその頃だったような気もする。 ] (64) 2020/05/15(Fri) 13:34:40 |
【人】 軍医 ルーク[ 焼却処分場にぺんぎんを連れ込んで、 ごみの山の上に下ろしたときには、 そいつはぷるぷると怯え切った様子で此方を見上げてきた。] さて、これでわたしは、君を捨てた。 命令は完了した。 [ そうして、間をおかずにひょいとそいつを拾い上げ、 さっさと焼却場を後にする。 捨てられていたごみを拾ったところで、 それは個人の勝手というものだ。 人目のない廊下で、そいつを離す。] (65) 2020/05/15(Fri) 13:35:06 |
【人】 軍医 ルーク他の連中に紛れてしまえば、 君に気付く上官はいないだろうさ。 あとは好きにするといいよ。 [ かくして飛べないぺんぎんは、 何事もなかったかのように基地内に帰還を遂げた―― はず、だったのだが。 何故かその日から、東棟の医務室に 一匹のぺんぎんが入り浸ることとなる。 人見知りが激しいようで、普段は物陰に隠れていて、 患者が誰もいないときにはひょっこり顔を出し、 医務室の主にてちてちと茶など運んできたりする。 きっと場所が気に入ったのだろうと、放っておくことにした。 (薬品の入っている棚には、その日のうちに鍵をかけた) 来訪者があるときにそいつが姿を現すことがあったとしたら、 それは例えば、余程気を許しただれかが訪れたときのこと。 そういった相手がいるかどうかは―― 当のぺんぎんや、ぺんぎんと親しいであろう誰か次第。]** (66) 2020/05/15(Fri) 13:36:05 |
軍医 ルークは、メモを貼った。 (a8) 2020/05/15(Fri) 13:46:07 |
【人】 軍医 ルーク ―― 前線基地・外壁上 ――[ 出撃した兵士達は散会し、各々の配置につく。 中の一隊が、前方に突出している。 あれは、穴から降りてくる怪物の降下位置近くに陣取る 第一部隊だろう。 武装に身を固めながら、 その動きは気を抜けば見失いそうなほどに疾い。 怪物を間近に相手取る超近接部隊には、 身体能力に優れているものが多く配属されているのか、 あるいは、余程よく統率が取れているのか。 彼らを見下ろす顔に表情はない――はずだ。 地上の動きに集中していたものだから、 固唾を飲んで事情を見守る手の中の鳥が、 不安げにちらりと此方を見上げたことには、 一向に気付かなかった。] (82) 2020/05/15(Fri) 22:25:32 |
【人】 軍医 ルーク[ 天の大穴から、“それ”が降りてくる。 否、“降りてくる”というよりは―― 落下だ、落ちてくる。 あの距離から落下しては、生き物ならばひとたまりもない。 けれど、それは、そう ――言葉通りの意味で、生き物ではないのだ。 けたたましい吼え声が戦場を劈き、 『それ』が地面に着地するのと、 砲門が火を噴くのは同時だった。 腹の底に響く砲撃音が、耳を聾する。 矢継ぎ早に放たれた第一陣の砲撃は、 怪物に、あるいはその周囲に着弾し、 爆音が轟き、土煙が巻き上がる。 前線の人影たちは、射線上にはいない。 砲撃部隊も味方を撃つ様な無様はすまい――という、 そう簡単な話ではない、 近接部隊の彼らはあれほど突出し、 見上げるほどに巨大な怪物と相対しながら、 同時に、味方の動きを把握しているのだろう。] (83) 2020/05/15(Fri) 22:26:15 |
【人】 軍医 ルーク[ もうもうと巻き上がる土煙、 閃光がひらめき、戦場は地獄と化す。 今もその残骸が残る建造物の名残が、 怪物の前足の一撃で、がらがらと崩れ落ちた。 ――そう、此処は、あの大穴から怪物があらわれるまでは、 ひとが住まう土地だった。 ここにいても、大きな白い耳はあまりにもよく音を拾う。 破壊音、爆音、銃弾の音、ひとの声。 晴れてゆく土煙の向こうで、“それ”の影が現れる。 再びの咆哮。 四つ足の怪物は進みを止め、その首はぎりりと向きを変え、 生き物ではありえない角度で外壁を見上げ、 基地へと狙いを定めるように、一歩ずつ近づいてくる。>>72] (84) 2020/05/15(Fri) 22:27:11 |
【人】 軍医 ルーク四足歩行型―― 速度に応じて足並みを変化させている、 歩容の再現まで完全… などという生易しいものじゃ、ないな、あれは。 [ 生き物にしか見えない動き、 けして生き物ではありえない、圧倒的な破壊の化身。 その足取りを止めようと、兵士たちが攻撃を加える。 けれど、その進みを止めるには至らない。 四つ足の怪物が、迫って来る。 その胸元がぱかりと開き、奥にある『なにか』が、 戦場の何処かへと狙いを定めようとした、そのとき――] (85) 2020/05/15(Fri) 22:27:51 |
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