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【人】 夢中 ユメカワ>>0 ネコジマ ぼたぼた、髪から額へ頬へ零れ落ちる血をそのままに。 かたかた、音のする方へと緩慢に視線を向けた。 そのありさまはただ虚像が剥げ落ちたのか、 それとも死に損なったのか、何れも定かじゃない。 「稔」 名前を呼んで、目を細めて笑う。うれしいな。 あの時、ちゃんと見届けてくれると言った君だから。 きっと来てくれると思っていたから、驚きは無いけれど。 「うん。一人じゃ大変だから手伝ってもらっていい? そろそろ行かないと、遅刻しちゃうかも」 素人目に見ても生きているはずがないと判る血溜まりの中。 いつも通りに笑って、いつも通りに甘ったれた台詞を吐いて。 傍に居る来家をそっと抱き寄せた。 早くおはようが言いたいな。 言うまでもなく、行き先は出欠を取ったあの教室だ。 (1) 2022/07/15(Fri) 1:43:40 |
【人】 夢中 ユメカワ>>2 ネコジマ 君に手伝ってもらって、小柄な身体を荷台に下ろして。 君が自ずとそうするなら、手押し車の取っ手は任せてしまおう。 そういった善意に甘えるのは、やっぱり好きだ。 「約束、じゃないけど」 「先生が出欠取るのに遅れたらよくないから」 まだ少しだけ、体温の残る頬を時折撫でながら。 きいきい、からから、少しばかり頼りない音をさせて。 ぱたぱた、ぽたぽた、赤い点々を残しながら歩いていく。 道すがらに話すのはさも当たり前の事のようで、 けれども今話すには、なんだか前提がおかしな話でもあって。 「稔はさあ」 それからぽつり、じつに他愛無い問い掛けのように口を開いて。 「何から逃げてたの」 君が俺から目を逸らしていた事なんて知っている。 前々からの疑問を投げ掛けた。きっとこれが最後だから。 高い所から落ちれば夢から覚められる、なんて言うけれど。 二人飛び降りても、何もかも消えて無くなりやしないのだから やっぱり何処までもこれは現実らしい。 (3) 2022/07/15(Fri) 3:17:56 |
ユメカワは、そう思って欲しくはないけれど。 (a5) 2022/07/15(Fri) 16:24:33 |
ユメカワは、君達の前に確かにある岐路を指すだけ。 (a6) 2022/07/15(Fri) 16:26:02 |
ユメカワは、それでも、君達が迷うなら。 (a7) 2022/07/15(Fri) 16:26:10 |
ユメカワは、その手を引く事はできる。いつも通り、甘ったれたふりをして。 (a8) 2022/07/15(Fri) 16:26:16 |
【人】 夢中 ユメカワ【???】 >>6 ネコジマ そんな道すがら、暫しの会話の後。 「ん。裏道も来てたんだね」 猫島に続いて、ひょいと教室を覗き込んで。 視線の先、ひとつ増えていた人影を見て なんでもない日々の中、友達の姿を見付けたようにそう言った。 他の誰かが連れて来たのかな。それとも自分から来たのかな。 だって先生が連れて来たなら、 きっとちゃんと着席させてあげていただろうから。 「窓際の、そこ。」 来家の傍からは離れず、山中を着席させる様子を見守って。 それから、投げ掛けられた問いに空いた席を指差した。 場所と意図が伝われば、もう一人。同じ様に着席させてしまおう。 並んだ机は、ふたりぶん。 俺の隣は、君の隣は、やっぱり、特等席だから。 (7) 2022/07/15(Fri) 16:27:45 |
【人】 夢中 ユメカワ【???】 >>8 ネコジマ よいしょ、ごく軽い掛け声のあと。 ちいさな身体をそっと椅子に座らせて、机に寄り掛からせた。 多分、机に顔を伏せて寝ているみたいなかたち。 そんな来家の頭を、髪を梳くみたいに優しく数度撫でて。 それから、君の問いに、ああ、と小さく声を漏らした。 ポケットを探れば、名前の書かれた布はちゃんとそこにある。 多分、血に汚れてもいないだろう。 「はい。埋め直すの、お願いしてもいい? 元の場所に戻すのでも、もっと良い場所に埋めるのでも 先生に──梢ちゃんに伝えられさえすれば、 きっと場所は何処でもいいはずだから」 きっと言わずとも、元の場所に戻すなり、 埋める場所を教えるなり、してはくれるのだろうけど。 念の為の言葉を添えて、件の布を君に差し出した。 本当はしっかりと弔った方が良いのだろうけど、 自分達にはそれは難しい話だろうし。 であれば、缶の中へと収められた彼らに間接的でも縁があり 子ども達の庇護者たろうとする彼女の与り知る所にあるのが一番だろうから。 (9) 2022/07/16(Sat) 1:49:34 |
ユメカワは、猫島に手を振った。またね。 (a15) 2022/07/16(Sat) 23:34:04 |
夢中 ユメカワは、メモを貼った。 (a16) 2022/07/16(Sat) 23:35:29 |
【人】 夢中 ユメカワ【???】 >>11 ライカ 「──おはよ、夏彦。」 ずっと君を待っていた。 ずっと、またこうしておはようを言える日を待っていた。 もう戻らないと思っていた日々が、戻って来た。 「…調子はどう?俺、今度は上手くやれたのかな……」 ひとりの生者は去って、今は生きていない者ばかりの教室の中。 周りに広がる光景が大した事じゃないみたいに、 けど、君の様子に少しだけ気兼ねしたように。 きっといつも通りの姿で、いつも通りに君に笑い掛けた。 夢見るいろは確かにそこにあって、きっと夢ではない。 夢の中に、その先に生きる者にとっては。 今ここにある永遠こそが現実だ。 (14) 2022/07/17(Sun) 1:55:21 |
ユメカワは、きっと笑っていた。 (a24) 2022/07/18(Mon) 4:31:51 |
ユメカワは、昔からなんにも変わらない。これまでも、これからも。 (a25) 2022/07/18(Mon) 4:32:31 |
【人】 夢中 ユメカワ【???】 >>20 ライカ ほんのわずか、途切れた言葉には一度首を傾げかけて。 それから、続く言葉には、やっぱりどこかいつも通りの延長線上。 そっか、なんて零して、けれどほんのすこし安堵の息を吐いて。 「ん、………」 ふと視線が合わされば、懐くような腕に引かれるまま。 そっと顔を寄せ合って、触れ合う温度は確かにそこにある。 これからもずっと。 それが何であったとしても、形のないものが今もなお君を苛むなら。 これから何度だってこうして遠ざけてしまおう。 今は確かに二人こうしてここに居るのだから。 きっともう、離れ離れになる事だって無いから。 (21) 2022/07/21(Thu) 8:38:55 |
【人】 夢中 ユメカワ【???】 >>20 ライカ 「……うん」 何の憂いも無く、いつかの日々の続きを、君と一緒に居られる。 たったそれだけの事が、どうしようもなく嬉しくて。 たったそれだけの事が、あんなにも難しかったから。 やっぱり自分ってどうにも単純な人間だ、なんて思いながら。 やっぱり自分は君の事が好きで仕方ないらしい、とも思って。 今この心の内を満たす喜びを、上手に言葉にできる気はしないな。 だから、添えるように君の背に回した腕に緩く力を入れて。 もう少しだけ、擦り寄るように肩口に顔を埋めて。 微睡みの中に居るような心地良さに、息吐くように笑みを零して。 きっと暫しの間、そうしていた。 (22) 2022/07/21(Thu) 8:39:35 |
ユメカワは、しあわせだ。 (a37) 2022/07/21(Thu) 8:39:43 |
ユメカワは、離れ際。そっと君に囁いた。 (a38) 2022/07/21(Thu) 8:40:28 |
【赤】 夢中 ユメカワどこかで出席を取る声が響くころ。 「先生」 あなたと最初に出会った時と同じように。 今はまだ数少ない、あなたを先生と素直に呼び慕う生徒の一人は この時も、やっぱりひょいと顔を見せた。 夜闇はもう随分と薄れてしまって、 生者の時間にほど近くなりつつあるけれど。 曖昧な色は、今もまだ白日夢じみてそこにある。 「……みんなは、呼べなかったね。」 名簿の空欄がひとつ埋まっても、全員にはならない。 飽くまでも、全員、というのは努力目標ではあったのだけど。 とはいえやはり、そうなれば良いと思っていたのも確かな事で。 そうはならなかった理由が、ただ時間の制約だけであれば。 少々強引なやり方をしてでも、今すぐに解決していただろう。 けれどそうではない。だから、でも、と言葉を続けた。 「今日だけじゃ、皆は揃わなかったけど。 牧夫兄達の事はちゃんと先生のおかげで呼んで来れたし…… …すぐには来れなかった皆も。いつかは来てくれると思うから」 いつかはきっと来てくれる。 今はまだ少し、生きてやらなければならない事があるだけ。 おおよそ何を疑う事も無くそう思っている。だから、 (*2) 2022/07/21(Thu) 10:22:02 |
【赤】 夢中 ユメカワ「俺、待てるよ。いつか皆が揃うまで」 けれどやはり、ずっとは待たないだろう。 願わくば、生者の内で死者が遠く色褪せた記憶になる前に。 君達が遠くへ行ってしまう前に、友達同士で居られる内に。 手を引いて行けるように、きっとまた会いに行こう。 誰が来てくれたから、とか、何人来てくれたから、とか。 そういうものは決して手を引く理由になり得ない。 だって、君達の重みは等しく換えの利かないものなのだから。 子どもというものはできる限り多くを望むものだし、 寂しがり屋は、誰にも寂しくあってほしくはないものだから。 (*3) 2022/07/21(Thu) 10:22:33 |
【赤】 夢中 ユメカワ「前から友達じゃなくても、楽しかった事は変わらないよ」 過去の記憶は偽りであったとしても。 ほんのわずか、共に過ごした時間は決して嘘にはならない。 やはりと言うべきか、少なくとも夢川はそのように思っている。 真実それぞれの思いがどうであったかは、 当然ながら、訊かねばわからない事なのだけど。 「……バス?」 ぼんやりと目を細めて、優しく頭に触れる手にはされるがままに。 けれど投げ掛けられた問いに、ふと視線を上げた。 (*6) 2022/07/21(Thu) 16:37:51 |
【赤】 夢中 ユメカワ「…うん、わかった。 せっかくなら、修学旅行の時期までに間に合ったらいいな…」 夢川深雪の死因は、交通事故だ。 その事を鑑みれば、このお使いを頼むには最も適任と言えるだろう。 この場所へと迷い込んだのはきっと幾つかの偶然の産物であって、 死者とは元来、自分の死に纏わる処に留まり続けるもの。 そうして時に、悪意の有無に関わらず生者を引き込むものだから。 「……課題、初めての課題……になるのかな? 皆を呼んで来るのは、先生の手伝いって感じだったしさ…」 わからない所があれば、また聞けば良い。 あなたも皆も、きっと一緒に考えたり、助けてくれるはず。 何よりも、上手くできたら皆喜んでくれるはずだ。 ──ああ、なんだ。努力する事の楽しさって、たったこれだけでいいんだ! (*7) 2022/07/21(Thu) 16:38:22 |
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