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新世界への案内人(村建て人)は、メモを貼った。 2021/06/25(Fri) 10:28:25 |
【人】 水分神[日は沈んでしまったが、 彼奴は────未だ帰って来ぬ。] まだかの…… 何をしとるのかの…… 探しに行った方が良いのかの…… [玄関の中をうろうろ。 表情は不安と行かせた後悔に染められて。**] (0) 2021/06/25(Fri) 11:08:43 |
【人】 五色 冥桜[噛まぬと豪語した直後に噛んだ。 男は何も語らず笑みを浮かべたままに匙を引き歯による圧力が掛かっていることを自覚させる。 語りはせぬがその笑みが全てを物語っていた。 干し鰻の薬味味噌乗せは好評であるようで緋扇用の膳を持ちて急ぐ足音に目を細め両手に乗せた膳を器用に、ゆったりとした足取りで運んでいく。 遅めに歩いた分だけ部屋の中で送る時間は取れたろう。 男にとって緋扇は一族の誰かではあるが思い出があるわけではなく、そうした者よりも縁が深いリンが送ることに意味があろうと部屋の外で足を止めた] 終わったようだな。 こらこらそう引っ張るではない。 傾いては折角の夕餉が零れてしまうぞ。 [足取りを引くに合わせて進みゆく。 縁側に辿り着くのはすぐであろう。 促されるままに膳を置き、その前へと座り嫁入りしてから初めての食事を頂くことにした] (1) 2021/06/25(Fri) 19:09:24 |
【人】 土地神 リン[ 特別に言葉を交わさなくとも 音が、空気が、人の気配を伝えてくれる 物音一つ、それだけで 傍らの人の挙動が伝わるよう 無言でも、無音ではない時間 それがなんとも愛おしくて 焦って言葉を紡ぐこともなく 暮れ行く空をぼんやりと眺めながら ゆっくりと噛み締めるように夕食を味わって ] ──旨い、な [ こくり、喉がなる 食べずとも平気な食事は けれど、食べ始めれば箸が止まらない 飢えを感じはしないけれど 食事にか、人との関わりにか 己はたしかに飢えていたのだろう 小さくなっていく鰻の身 惜しむように少しずつ解していきながら ] (2) 2021/06/25(Fri) 21:04:38 |
【人】 龍之介── 山頂の御屋敷 ── [青褪めた顔、重たい足取り。 上着の袖は斜めに裂け、 半壊の籠を負った背中から足にかけて 赤黒い染みがべったりと衣服を汚す。 あの御方の婿として ふさわしくない格好になってしまった自分が 湖の縁、森の切れ目に辿り着いた時には まんまるに近い月が 空高く昇ってしまっていた。 (早くとおっしゃられていたのに>>1:60 こんなに遅くなってしまって、 お土産の実もぐしゃぐしゃに潰れてしまって、 きっと…… 失望されてしまう、) 謝れば許していただけるなら 挽回する機会を与えていただけるなら 懇願したいけれど、 異なる文字をお使いになるミクマリ様には>>2:1 伝える術がない。] (3) 2021/06/25(Fri) 21:55:18 |
【人】 龍之介[お屋敷へ導くみたいに 凪いだ湖面に映る月明かりの道を 重い心と体を引きずり 船に乗り込み、漕ぎ出した。 ぎっ、… ぎっ、ぎっ… 近づいてくる、ミクマリ様のお住い。 (もう彼処に… 自分の居場所は無いかもしれない、) そう思うと、苦しくて仕方なくなって 眉根がぎゅっと寄ってしまう。 捻ってしまった足よりも 四本の引っ掻き傷の走った腕よりも ずっと痛む胸を堪えるように下唇を強く噛みしめた。] (4) 2021/06/25(Fri) 21:55:23 |
【人】 龍之介[屋敷についたら、直ぐに ミクマリ様の御前で深く頭を垂れて、 それから膝を折って 地面に額を擦り付けるようにして謝ろう。 どうか、どうか、どうか… お傍に居させてもらえることを祈って。]* (5) 2021/06/25(Fri) 21:55:27 |
【人】 鬼 紅鉄坊──秋── すまないな、千 [ 今年の秋は冷えが酷く、山にも目に見えて実りが少ない。 それは外の世界も同じことらしく、余所の妖怪が攻めてきた。 決して外に出ないように言い残し赴いた戦いは鬼の勝利に終わるが、 潜んでいた一体の死角を狙った奇襲により片腕に深傷を負い、 今こうして手当を受けている。 片目の鬼が棲まうことは、今や山を狙う余所者に有名らしい。 ] (6) 2021/06/26(Sat) 3:38:34 |
【人】 鬼 紅鉄坊情けないところを見せてしまった だが、お前に何事も無く終わらせることが出来て何よりだ [ 漸く落ち着ける場に戻り傍に千がいるというのに、 無事を喜ぶ言葉と裏腹に鬼の様子は暗いまま。 数多の憂いがその胸にはあった。 弱みを襲撃者に知られている現状は勿論のこと 内の一つは、ここ最近にあった出来事。] (7) 2021/06/26(Sat) 3:39:41 |
【人】 鬼 紅鉄坊……これからも、私が何度でも守ろう [ ある日、寺の門前まで尋ねてきた村人がこう言った。 ──「未だ、千は生きているのですか」 今や枯れ落ち始めた緑が深まる前から、毎日のように連れ出した。 山に入ることを許可されている村人は、見掛けてもおかしくない。 明らかに、思うことがある様子だった。]** (8) 2021/06/26(Sat) 3:40:33 |
【人】 鬼の花嫁 千─ 秋 ─ こんな時くらい胸を張ったっていいんだぜ 山一つ守ったあんたが情けないわけがあるか ……本当によく帰ってきてくれたなァ [痛々しく傷の残る腕に木綿の布を丁寧に巻いていきながら、千は小さく笑う。 夏までは時折顔に掛かり煩わしかった長髪は、今や肩につかぬ程で切られていた。 男が髪を結わえる時代は今や昔、伸ばされていたのは唯一千に触れることに忌避感の無い祖母が目を悪くしたからでしかない。 もし頷いてくれるのなら鬼に鋏を預けたが、そうでなければ自分で刃を入れたことだろう。] (9) 2021/06/26(Sat) 3:41:12 |
【人】 鬼の花嫁 千また何か考えているな? ひとりで考え込むのはやめてくれよ、 置き去りはもう勘弁だ、ひひッ [戸口が開き見えた姿には、らしからぬ焦り声で名前を呼び駆け寄ってしまったが 腕は深傷ながら繋がってはおり、他には酷い負傷はしていないことに安堵し、手当する側としてもう狼狽える様子は見せないようにした。 夏の終わりの出来事も、既に冗談として口に出来るようになっている─少なくとも、千の側は─] 腰を落ち着けて休まないと、治るものも治らないさ [痛ましい様につい寄る眉や、注ぐ視線ばかりは中々隠せはしないが。] (10) 2021/06/26(Sat) 3:41:30 |
【人】 鬼の花嫁 千[木々の葉が落ち始めた季節、十年ぶりに肌身に感じる冷えは厳しい。 よく風が通るようになったのか、寒い寒いと出歩く度身を摩るようになった千はある朝見慣れぬ姿で鬼の部屋にやって来た。 黒い首巻きに薄茶の外套、異人だった父親が村に縁として残していったとされている品。 置かれた年月相応に褪せて古びてはいたが、祖母が長く手入れしていたらしく着れる状態にはなっている。 恐らく洋装を見慣れてはいない相手に似合うかと戯けて見せた時、どんな反応があったか。] (11) 2021/06/26(Sat) 3:41:43 |
【赤】 鬼の花嫁 千いいものだろう。少し染みはあるけどな [腹部の布地を摘み、示し見せた。 何かの黒い楕円に近い形の染みがそこにはある。 古いものだから仕方がない。千はそう考えていた。] (*0) 2021/06/26(Sat) 3:41:57 |
【人】 鬼の花嫁 千暫くは大人しくしておいてくれよ 俺だって時間を掛ければ薪くらい割れるし風呂も焚ける 随分立派になったのさ、旦那様のお陰でな ま、その体格には何十年掛けてもなれないだろうがね [巻き終わり、仕上がりを確認した手を鬼の両頬に添えて顔を近づける。 額が合わさる距離で、口角を釣り上げて笑う。] なあ、誰かの言うことを気にするよりも こうやって俺のことを見ている方がずっといいだろう? [村人が千を見つけたということは、その逆もまた然り。 されど敢えて口にはせず、ただその心を気遣う。 少年時代から十年を失った頼りない身体の人間には、知ることも出来ることも非常に少ない。 大切に思えるものも、一つしか無かった。**] (12) 2021/06/26(Sat) 3:42:10 |
【人】 水分神[これ程遅いのは、獣に喰われてしもうたか。 いいや、そんなことはない、 あって欲しくないと幾度も頭で否定をする。 不安に震える手足では 確認しに行くことも出来ない。 一層のこと、頼み事を投げ出して 村に帰ってくれていたなら。 お主が無事で居てくれたなら。 ────ただ其れだけを願い、時は過ぎ。] (13) 2021/06/26(Sat) 7:53:47 |
【人】 水分神[妾に出来るのは 捻挫や些細な切り傷を治す程度の気休めじゃ。 身体に含まれる水に働きかけるだけ。] ふぇ……妾が……妾が悪いんじゃぁ 果物なんか要らんのじゃ……っ お主は妾がいいと言うまで 死んだらダメなんじゃ……っ 妾、妾はぁ……っ まだお主の名前も聞いとらん……っ!! [すっかり助けられぬものと思い込み。 胸を押し付けながら思いの丈を泣き散らした。*] (17) 2021/06/26(Sat) 7:55:41 |
【赤】 鬼 紅鉄坊── 或る日の丑三つに ── 「だから言ったのさ」 「誰かに拾われたくないものは、落としちゃいかん」 「お前さんもあの子も、離れるには絆され過ぎたな」 ……返す言葉もありません [ 責めるでも慰めるでもない、窘めるような言葉。 今となってはあの時の意味も分かる。 従順な答えを返す一方、心地悪さを隠せない。 ] (*1) 2021/06/26(Sat) 21:29:49 |
【赤】 鬼 紅鉄坊「万事上手く収まり喜ばしいと言ってやりたいところだが……」 「気づいているな、紅鉄や。この山は痩せ細る一方だ」 ──やはり、もう? [ 何処か子を見守るような暖かさを含んでいた声は、 一度押し黙った後に、固いものへと変わった。 狩りを行う身には、山の変化は肌に感じる程身近なもの。 他の同胞とてそうだろう。 鬼は人であれ獣であれ他の生き物の血肉を糧とする存在。 細る実りは決して無関係ではないのだ。 故に驚きを見せることはないが、 この男から直接語られるという深刻さには、息を呑む。 ] (*2) 2021/06/26(Sat) 21:30:05 |
【赤】 鬼 紅鉄坊「村一つと餓鬼共を抱えて、これでも保ったほうだとも」 「一先ずは春を迎えるまで、そこから苦しくなってこよう」 [ ふと男が目線を投げた先で茂みが鳴り、何かが遠のいていく。 何らかの小型の獣が逃げていったようだ。 この山に肉食の大型動物はいない、とうに鬼たちに食い尽くされた。 しかしこうして意識せず残る生き物と遭遇することも、 年々少なくなってきている。 ] (*3) 2021/06/26(Sat) 21:30:21 |
【赤】 鬼 紅鉄坊「お前が結ばせた約束も、あとどれ程続けられるのか」 「あれにはお前の我らと人間への想いが、よく表れている」 「だが────非常に歪だ」 [ 男は──鬼の山の主は、色素の薄い瞳で紅鉄坊を見据える。 静かでありながら、強く射抜くような力がそこには感じられた。 ] (*4) 2021/06/26(Sat) 21:30:42 |
【赤】 鬼 紅鉄坊「山もお前も、変わってしまった」 「選ばねばならなくなるぞ、覚悟をしておけ」 ……肝に命じておきます [ 心中の揺らぎを見せることはなく、膝を付き深く頭を垂れた。 ]* (*5) 2021/06/26(Sat) 21:31:01 |
【人】 鬼 紅鉄坊[ その行いが既に約束の対価であるのだから、 労いを欲したことは今まで無かった。 しかし、千に向けられる言葉と表情には>>9 何処か救われるような感覚が、確かにある。 言葉少なく受けとめて、静かに頷いた。] ……ああ [ 腕の傷に懸命に布を巻いていく花嫁 その肩を通り背に流れる白はもう無い。 幽閉されていようと元は育ちの良かった人の子 自分でしたことはないのだろうと、 器用ではない腕で慣れない道具での断髪を請け負った。 しかし、首や耳を切ってしまったらと思うとなんとも恐ろしく すっきりと短髪にはしてやれなかったものの、 ここ最近は寒がっていたのでそれで良かったのか。 ] (18) 2021/06/26(Sat) 23:51:27 |
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