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【人】 天狗[さて、天狗の住処は山の頂近くにある 先代の天狗を追い出し住み着いたその場所は簡素な作りの小屋なのだが 中には人に必要な家財道具が一通りそろい、厠も竈も備えてある 何なら風呂まであるのだが、それを使ったかそのまま休んだか さすがに今日は無理は出来ぬと一応は自重して いずれにせよ、一心地つけば、村へと向かおうとするのだろうが**] (0) 2021/06/29(Tue) 0:46:33 |
【人】 龍之介[申し訳なさに塗りつぶされていたから 何が起きているのか分からぬまま、 それでも、できるだけ体重を掛けてしまわぬように 片足で体を支え 付いていったのだけれども、] (2) 2021/06/29(Tue) 11:00:14 |
【人】 龍之介[どうしたら、伝わるだろう。 どうしたら、伝えられるだろう。 平気なのだと、 命に別状は無いのだと。 それから、それから、それから────…、] (6) 2021/06/29(Tue) 11:01:26 |
【人】 龍之介[驚きながらも もう一度試してみれば、 今度は、もう少しはっきりと音になった。] … だいじょうぶ、ですよ だから、 泣かないで… [自分が知っている昔の声よりも 低く、胸に喉に響く。] (8) 2021/06/29(Tue) 11:01:56 |
【人】 龍之介[もし、 腕の力が緩んでいるようなら振り向いて お顔を見つめながら、 強く抱えてくださったままなら、そのままに。 久しぶりだから ぎこちなさはあるけれど 伝えられる喜びを噛みしめるように ゆっくりと語りかけていく。] みくまり様 は、 少しも わるくないです むしろ… これの、おかげで たすかったんですよ 目に 一突き してやりました [お借りした懐刀を 袂から大切そうに取り出して差し出すと ありがとうございます、と柔らかく笑んでお返しして。] (9) 2021/06/29(Tue) 11:03:33 |
【人】 龍之介[そうして更に、付け加える。] それに、 みくまり様が なおしてくださったんですよね? 足も 腕も もう、まったく痛くなくなり… ‥‥ぇ、っ ? [傷口を確認しようと 破れた袖を覗き込んだところで目を瞠る。] (10) 2021/06/29(Tue) 11:03:56 |
【人】 子天狗 茅[茅は元来、取り立てて特別なこともない、どこにでもいるような、ありきたりの存在だ どこにいたって目立ちもしないが忌避もされないような けれど寂しがり屋で、誰かと共にありたいと言うのは意識していなくても根源的な願望として持っている だから、情をかければ、大切にすれば、同じだけの、いやそれ以上の情を返したものだろう 利用せずとも茅は、きっとお嬢さんの身代わりを買って出たし、天狗さまの抱えた寂しさに気づけば共にあることを選んだかもしれない けれど、全てはたらればだ。 実際は、そうはならなかった。 だから、状況次第では守護神たり得た素質があっても、茅の行き着く末は………] (12) 2021/06/29(Tue) 21:49:25 |
【人】 子天狗 茅 ぅ、 [気づけば身を清められていた。 その気になれば子天狗は、その妖力で自身を清めることくらい、造作もない けれどこの子天狗、天狗さまに甘やかされ、世話されることにすっかり味を占めてしまいそうだった。 今度はきっと、俺が天狗さまの身を清めてあげよう。 目覚めて早々、両腕を差し伸ばし、天狗さまに口付けを強請る。 愛されている、愛しまれている、なんて、実感を得るためだけの、些細な我儘だ。 撫でる掌が好きだって、伝えたら、また撫でてくれるかな。 ぐいぐいと額を押し付けるようにして、甘える。 顔を上げれば視線が出会って、茅はふわと笑った。] (13) 2021/06/29(Tue) 21:49:45 |
【人】 子天狗 茅[子天狗になって、ヒトの営みのほとんどは不要であることを、誰に教えられずとも知った きっと、天狗さまだって、必要ない けれど茅はまだ、その意味に気づかない きっと、この天狗さまの住処のあらゆる設備は究極、“嗜好品”だ ]食事にしろ、入浴にしろ、それらが“娯楽”たり得るのであれば きっと、天狗さまは元々…… けれどまだ、茅はそのことに気づかない 気づけない だからこそ…… 天狗さま、 ………いこう? [無邪気に、何の憂いもなく、 かつてヒトを捨てたであろうひとの過去に思い馳せることもなく、 ただただ純粋に、 “共に何かを為す”ことに楽しみを見出して、 強請るように、誘うのだ**] (14) 2021/06/29(Tue) 21:50:32 |
【赤】 鬼 紅鉄坊そうなのかもしれない 記憶がある者たちは、皆それぞれ恨みがあるようだからな 私にもきっと、あったのだろう 喜ばしい思い出も大切なものも、塗り潰してしまうような何かが [ 何処か常より稚気な口調で繰り返される呟き、 自分自身に言い聞かせ、理解しようとしているようだった>>3:*10 預けられた細やかな重みを支える鬼の表情は穏やかだ。 ] だが、不思議とな お前と共に知るのならば、恐ろしくないような気がするのだ [ 今の千は認められるだけではなく、相手を認めようとしている。 その姿に愛おしさを覚えぬことなどあろうか?>>3:32 心強さを感じずにいるだろうか? 心とは身体のように簡単に支えられるものではない。 人間の夫婦でも、きっと。 ] (*1) 2021/06/29(Tue) 22:54:24 |
【人】 鬼 紅鉄坊[ 今は他人のようにしか思えない自分を見つけたとして、 何を思うのは鬼には未だ分からない。 それでも、千の想いが喜ばしかった。 この子がいれば何かが悪いように傾くとは、思えなかった。 ──だが。 眉を寄せ、少し遠くを見るように考え込んで。 再び口を開けば、重くなった声で語る。 ] とはいえ、今更その手段など…… [ ありはしないだろうがな、と。 ]* (16) 2021/06/29(Tue) 22:55:22 |
【人】 天狗[住処について、とりあえず身を清めてさっぱりした方がよかろうと風呂に行き まだ動くのもおぼつかない茅の体をきれいに流す。 何しろ 動けなくしたのは天狗だから して、甘えているのがわかれば尚のこと慣れてきて体力が追い付くころには尻に敷かれているかもしれないがそれはそれ そうして、暫しの眠りののちに目を開ければ確かにまだそこに茅がいて>>13 強請られるままに唇を重ね、慈しむように背を撫でる じゃれつく様子は無邪気なままで、それもまた天狗を嬉しくさせるのだ] 普通にいろいろあって驚いたか? 今までの嫁には必要なもんじゃった、ワシには真似事でしかないがの [人の営みそのまま持ち込んだ住処の理由をそう告げる だがしかし、眷属となり同じく必要なくなった茅とあっても、きっと「真似事」を娯楽と楽しむのだ 天狗は知らない、本当の己が望み、何故「ヒトの営みを真似るのか」 ]得られなかった「ヒト」としての…… だが、それは知る必要もないことだ 天狗は、ヒトではないのだから (17) 2021/06/29(Tue) 23:56:24 |
【人】 天狗 ああ、そうじゃな、行くとするか [無邪気に、これからすることが楽しみであるかのように茅が誘う>>14 かつて、天狗が生まれた村を潰したように そうしてヒトを捨てたように 茅もまた、育った村を捨てるのだが、天狗がそれを憂うことはない きっと茅は、それでも純粋なままでいるだろう 無垢で無邪気なものほど、実は恐ろしいのだが] きっと驚くぞ、茅 ほれ、飛んでいくからしっかり掴まっとけ [手を差し出せば、きっと茅は腕の中に納まるだろう 何しろ茅の翼は飛ぶには小さい 育つ可能性は、あるかもしれんが そうして、愉しげに翼を広げ麓の村まで飛んでいく 村では今何が行われているか知らぬが、その村の集落の中心に降り立って] (18) 2021/06/29(Tue) 23:59:09 |
【人】 天狗 此度の件で天狗が礼を言いに来たぞ ほんに、此度の嫁はいい嫁じゃった のう、 茅 よ[腕の中の「嫁」にそう声を掛ける 礼といいながら気配が穏やかではないのを村人はどう思うか] お前からも礼を言うとええ [言いながらそっと茅をおろし、囁くのだ] (19) 2021/06/30(Wed) 0:00:22 |
【人】 鬼の花嫁 千─ それから ─ [今までより少し担うものが増えた暮らしの中、合間を見つけては寺の中のあちこちを探る。 しかし可能性は目に見えて低く、成果は生まれない。 見つかる殆どが千の輿入れが決まってから、或いは暮らし始めた後に運び込まれた真新しい品ばかりだったからだ。 抱えられ、初めて連れて来られた時 人ならざる者らしい場所だと、鬼に人間らしい塒など必要もないのだと感じたものだが 改めて見ると何とも空虚なことだろうか。 かつては眠る為、喰らう為にだけ使われる場所だった。そう思えてならない。] (20) 2021/06/30(Wed) 1:37:11 |
【人】 鬼の花嫁 千[心亡い鬼子を迎えた、心在る鬼。 知恵を授け生き方を教えたのが山の主の如き妖怪ならば、では誰が心を育てたというのだろう。 怨嗟を抱き血肉を欲する同胞の犇めく山で、己が選んだ道とはいえ、贄を送る責務を長年独りで務め。 何処で鬼子とその母親に優しく接し、思い遣るだけの心が生じたというのだろう。 塗り潰された喜ばしい思い出、大切なものの残香がそうしたのなら ──それが千にとっての紅鉄坊との出会いと等しいならば 断片だけでも見つけてやりたいと、千は諦めることなく手足と頭を毎日動かし続けた。] (21) 2021/06/30(Wed) 1:37:28 |
【人】 鬼の花嫁 千[しかし、やはり実りは生まれない。 寂れ朽ちた敷地にも何かの手掛かりなどありはしなかった。 まさか自分を襲った者達を山の暗がりから見つけ出すわけにもいかず、知っていたとして嫌う同胞の為に語るとも思えず。 やはり鬼の語った道理、知る手段はありはしないというのか。 過る思考が現実的と考えても、見つけられずとも変わらず二人で暮らしていけると知っていても、諦められなかった。] (22) 2021/06/30(Wed) 1:38:08 |
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