【人】 『ただの子供』 ソフィア神様にとって、昔とはどのくらい前の話なのだろう。 横道に逸れやすい思考は、言葉を聞いて そんなことを考えた>>330 「 そっか、……ありがとう。 」 謝らなくていいと、そう言ってくれるのは 優しさだと感じた。 だから返すのはお礼。気にかけてくれたことに。 問いに答えが返らないのは、 もしかして『神様』と、 呼ばれるのが嫌なのかなって思ったけれど。 名前で呼ぶのは敬っていないように感じて やっぱり私は神様と呼ぶことにした。 (362) 2021/06/18(Fri) 22:27:48 |
【人】 『ただの子供』 ソフィア “覚悟”という言葉の意味を>>331 彼が推測するように、私はまだ知らない。 あの村に住んでいるのなら負うべき責任を 負わずにのうのうと生きている。 それは私だけではなく、私以外の人たちも。 でも、他がそうだからって、 決して許されることではないのだろう。 (363) 2021/06/18(Fri) 22:28:27 |
【人】 『ただの子供』 ソフィア (364) 2021/06/18(Fri) 22:30:12 |
【人】 『ただの子供』 ソフィア「 違う村に住んでいるの? なら、そっちにまで行けば会えるのね。 」 どうして元の村に戻れないのかはわからないけれど お手伝いを終えた人は普通に生活しているらしい。 よかった、と安堵の息を吐きつつ。 疑問を口に出そうとしたら、先手を打つように 今はダメだと言われてしまった>>335 (365) 2021/06/18(Fri) 22:31:25 |
【人】 『ただの子供』 ソフィアなんで? そう思わないわけじゃなかった。 けれど、視線を合わせた水のような瞳が こちらを穏やかに見ているように感じたから。 意地悪を言っているんじゃなく、 本当に必要だからそう言っているんだろうって 私は素直に、彼のことを信じようと思ったんだ。 (366) 2021/06/18(Fri) 22:31:45 |
【人】 『ただの子供』 ソフィア*** 聞きたくないのに聞いてしまうというのは なるほど、確かに大変なことに思う>>336 安堵に緩んだ表情を神妙なものに変えて どう言おうか迷った結果、 「 じゃあ、出来るだけ、 うるさくしないようにする。 」 自分一人の努力でどうにかなるものではないと 子供の私に気づくことは出来ない。 (367) 2021/06/18(Fri) 22:32:08 |
【人】 『ただの子供』 ソフィアそうして、少しゴツゴツとした 大人の硬い手に引かれるまま歩き始めれば>>337 一人で闇雲に歩いていた時とは裏腹に 気分は上がり始め、機嫌良く 木々の隙間から空を見上げた。 見えるものは少ないけれど。 綺麗に見える星の数々。 もし『Rasalhague』の意味を知っていれば 探すなんてこともしていたかもしれない。 (368) 2021/06/18(Fri) 22:32:26 |
【人】 『ただの子供』 ソフィア夜の森、最初は怖かったけれど 今は楽しくて、好きになりそう。 上を見上げていれば転けてしまいそうに なったりもして。 その時は彼に迷惑をかけたかな。 「 あ、 あそこ! 」 森を抜けて村の入口が見えれば 思わず歓声を上げて喜んだ>>338 周りには運がいいのか大人の姿はなく 私たちの姿は見られていないみたい。 (369) 2021/06/18(Fri) 22:32:43 |
【人】 『ただの子供』 ソフィアするりと手が離れれば、もう この楽しい時間は終わりなのだろう。 名残惜しげな顔をしながら彼を見上げたけれど 月の光が邪魔をして、その表情は伺えない。 「 ……そっか、神様に会ったって言ったら みんな驚くものね。 」 「こんらん」の意味はわからなかったけれど 言いたいことはなんとなくわかる。 手伝いに行った人達がどうなったか 友達たちに言いたかったけれど、きっと言えば あまり良くないことが起こるのだろう。 (370) 2021/06/18(Fri) 22:33:03 |
【人】 『ただの子供』 ソフィア (371) 2021/06/18(Fri) 22:33:20 |
【人】 『ただの子供』 ソフィアだって、きちんとお礼を言えてなかった。 言いたかった。 貴方のおかげで助かったんだって。 私の気持ちは伝わっただろうか。 月の光はどちらの向きか。 あなたの表情は見えただろうか。 (373) 2021/06/18(Fri) 22:34:58 |
【人】 『ただの子供』 ソフィア村に帰れば、案の定とても怒られた。 友達には泣かれたし、 大人はなにを叫んでいたんだって 訝しげに見てきたり。 それでも、森で出会った彼のことは誰にも言ってない。 友達にも、両親にも、内緒の話。* (374) 2021/06/18(Fri) 22:35:12 |
【人】 『ただの子供』 ソフィア*** ─── あの日から数日後。 私は両親が仕事に行っている間に キッチンに立って料理をしていた。 そう、料理である。 パンの耳を切って(手が危うく切れそうになった) 具材を混ぜて(それっぽいものを) パンに挟んで(量の加減が難しい) 皿の上に出来上がったのは、見事なサンドイッチ。 少々形が不格好で、マヨネーズが多すぎて、 野菜が多かったり少なかったりするけれど。 これは立派な料理。 それらをバスケットに優しく入れたら、準備は完了。 持ち手に腕を通して家を出て、目指す場所は、勿論。 ── ▷ 森の入口 ── (375) 2021/06/18(Fri) 22:35:44 |
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