【人】 天狗[大丈夫と蕩けるような笑みを浮かべるのに安堵する>>26 壊してしまわなかったと、人など壊しても構わぬものだったはずなのに 触れた手に懐くように寄せて来るのに目を細める まどろむような様子に、暫しこのままで置こうかと] 眠いなら寝ても…… [言いかけたところで小僧が瞬く>27 一瞬呆けた様子を見せて、そうして] どうした? [小さく呟き耳を押さえる様子に真っ直ぐ小僧を見る>>29 天狗の声が聞こえているのかいないのか、こちらを見る視線もどこか危うい 小僧の身に何かが起きている、その原因は間違いなく天狗の毒……体液に潜む妖力だ だが、今までのどんな相手も、このような反応はなかった こんな、まるで何かの幻に囚われているかのような反応は] (34) 2021/06/23(Wed) 1:16:30 |
【人】 天狗 おい、小僧…… [恐る恐る、天狗にはらしからぬ慎重さで手を伸ばす こんな時に呼ぶべき名を、天狗はまだ知らない 壊れたのではない筈だ、壊れるなら注いだ時に疾うに壊れているだろう では、何故に そろり、小僧に触れた指先から伝わるのは渦巻く闇 悲しみと、怒りと絶望が混じりあった深く渦巻く闇の色>>31 それが今の小僧の胸の内と気づきはっとする 何かを拒むように強く耳を押さえ涙を零している小僧には 天狗には見えない、聞こえない何かが「聞こえている」のでは、と] まさか、妖力が暴走しとるんか…… [天狗の声は強く耳を塞いだ小僧には聞こえないのか嗚咽は止まず その隙間で、小さく、小さく呟く声は儚げで、悲し気で>>33] (35) 2021/06/23(Wed) 1:18:16 |
【人】 天狗[天狗は、この時初めて「恐れた」のだ 天狗の妖力の暴走、心が闇に囚われたまま飲み込まれてしまえば 心を無くしただ荒れるだけの鬼となる 物の怪よりも質の悪い魔性、そんなものに、小僧を変えるわけにはいかないと] 落ち着けぇ、小僧!! [声を上げ小僧の顔をあげさせ唇を合わせ軽く吸う 小僧が、それを喜んでいたと、欲しがる様を思い出して そうして、体を引き寄せ、強く、強く抱きしめる] お前の居場所はここじゃ! お前はワシの嫁じゃ、そうじゃろう? ここに居れ、何処にもいくな、 小僧! [呼びかける、生まれてこの方、初めて 愛しい と思った者に届かないなら、何度でも**] (36) 2021/06/23(Wed) 1:21:34 |
天狗は、メモを貼った。 (a3) 2021/06/23(Wed) 1:24:42 |
【人】 鬼 紅鉄坊[ 腕の中の若者の母親は──恐れを知らず強情な娘だった。 望まぬ許嫁と結ばれる未来を憂い、 その輿入れにより益を与える家のことも嫌悪していた。 鬼に懐く程、村に居場所を見つけられなかったのだろう。 いつしか己に会いに来ることも山に踏み入る目的となってしまい 何度もこうやって抱え、探しに来た家の者に引き渡したものだ。 ] (37) 2021/06/23(Wed) 1:49:14 |
【赤】 鬼 紅鉄坊「でもわたし、どれだけ辛くてもいいの。自由になりたい 何の苦しみもない世界には、喜びだって存在しないでしょう?」 [ さとは見目も仕草も淑やかな令嬢であったが、 どこか飄々とした部分があり、その奥に苦しみを抱えていた。 だが、いつかそう言った時の姿は 村の外、国すら越えた遥かな世界を夢見ていた彼女は ただただ眩しく、強い生き物と映った。 ──鬼には見ることが出来ない夢だったから、なのかもしれないが。 それでも、その夢を掲げるのが田舎育ちの若い娘では 空想家で現実が見えていないと人間は思うだろう。 そこを支え、さとの知らぬ世界へ手を引いてくれる筈の男は 鬼が手引きし駆け落ちの手助けをする予定だった恋人らの片割れは あの花が咲く頃に迎えに来ると約束し、結局帰っては来なかった。 ] (*0) 2021/06/23(Wed) 1:49:32 |
【赤】 鬼 紅鉄坊[ 鬼は二十年近く村人に嘘をつかれていた。 再び子が山に通い詰め人外と心を通わすことを避けたかったのか、 はたまた、本当に鬼の子である可能性も見ていたのか。 訪ねて来なくなったさとを心配し、どうしているのか聞いた時 さとはあの約束の男──異人の商人の子を孕み、 結局はどちらも助からなかったのだと、教えられた。 真実を知ったのは数年前、輿入れの季節。 想い人がいたらしい花嫁が、 私ではなく「鬼の子」が選ばれれば良かったのにと泣き出した時。 花嫁の様子とその普通ではない呼び名が気に掛かり、 一体誰のことなのか問い詰めれば、 鬼を恐れる村人は正直に答えるしかなかった。 ] (*1) 2021/06/23(Wed) 1:49:48 |
【人】 鬼 紅鉄坊[ 抱けぬ筈だったあの娘の子供の重みを感じていると、 やはり鬼などの元に置いてはおけないと強く感じた。 ──母親が叶えられなかった夢を、継がせてやろう。 ] (38) 2021/06/23(Wed) 1:50:04 |
【人】 鬼 紅鉄坊さあ……着いたぞ ほら、此処から先は山の外だ。初めて見たのではないか? [ どれ程歩いたのか、廃寺のある辺りからは反対側。 優しく下ろしてやり、口を開く。 途切れた木々の並びの先に見える開けた世界は、光に溢れていた。 ] 私も実際に見たわけではないのだが、 真っ直ぐに歩いて行けば、半日程で村に着くらしい 山と比べてずっと歩きやすい、思うよりはきっと辛くないさ そこはお前のことを知らない者達の住む場所だ 誰にも虐げられないところから、新しく始められる 本当はもっと、時間を掛けるつもりだったのだが ……否、きっとこれでいいのだろうな。こうなる定めだったのだ [ 千太郎と暮らし始めてから鬼は少しは饒舌になった。 それでもここまで口を挟ませずに一方的に語ることは無かった、 無論、意図的なものだ。 ] (40) 2021/06/23(Wed) 1:50:34 |
【人】 鬼 紅鉄坊心配するな。千太郎は賢いし、怠け者ではない 髪は戻してやれなかったが……もう身体もあの頃とは違う 少しばかり口に気をつければ、働き先は見つけられるさ お前の母親は、村から出て自由になることが夢だった 彼女の……さとの叶えられなかった夢を、果たしてくれ [ 寺の外に千太郎を置き、勝手に包んで来た荷 持ち込んだ品と共にあの書物も入れておいた。 例え嫌がられても強引にでもしっかり抱えさせ、両肩に触れる。 常のように加減した力は容易に緩み簡単に離れ、鬼は背を向ける。 ] (41) 2021/06/23(Wed) 1:50:50 |
【人】 鬼 紅鉄坊既にあの寺はお前の家ではない 再び山に入れば、私の同胞に殺されると思え [ 低い声を更に低くし、はっきり聞こえるよう脅しを掛ける。 望んでいるのは役目を与えた者に求められること ならば、ただ死にたいわけではない筈だ。 ] お前との日々は、とても幸せなものだった 人間たちと共に暮らし、同じ気持ちを感じてほしい [ 何を見ても何が聞こえても振り返ることなく、 本来の歩幅と歩調で慣れた山の中に消えて行った。 ]* (42) 2021/06/23(Wed) 1:51:10 |
【人】 鬼の子 千[鬼子にはとても恐ろしかった。 交わされているようで突き放されている会話が、 見る見る内に慣れた道を過ぎて、知らぬ場所へ運ばれていくことが 鬼が自分を見ていない事実が。 行動を起こせる時間は充分あったというのに、決定的な瞬間まで何も出来なかった。] (43) 2021/06/23(Wed) 1:51:46 |
【人】 鬼の子 千だから何で、 [こんなところまで来たのか、と 少し踏み出せばそこにある外の世界にも目もくれず、問い詰めようとしたのだが。 次々と語られると挟むことが出来なく、それ以前にあまりの内容に声も失い固まってしまって その間にされるがままに荷を抱え直されることとなり、肩に大きな掌を置いた鬼を呆然と見上げた。 喉が乾いた音を鳴らす、離された肩が震えた。 用意されたこれからの為に大切な内容も真摯な励ましの言葉も、賢いと称された頭には少しも入らない。] (44) 2021/06/23(Wed) 1:52:00 |
【人】 鬼の子 千[ただ、穏やかな鬼に向けられたことのない声は耳に留まる。 それはまさしく決別の証。 静かで低く紡がれた言葉が、怒鳴られるより鋭い棘になる。] 何で、どうして…… 待って、待ってくれよ…… [明滅する光の幻に視界を奪われる 自分の物ではないように遠のく手足の感覚。 その中で必死に伸ばした手は届くことなく鬼は踵を返し、大きな背は直ぐに見えなくなった。 嗚呼、今まで随分気を遣って横を歩いてくれていたのだ。現実逃避の思考が過る。] (45) 2021/06/23(Wed) 1:52:13 |
【人】 鬼の子 千[人間の人生の二つ分よりずっと多く、鬼は山で生きている。 きっと隅々までよく知っていて、遮る枝も草もあの身体が簡単に退けてしまう。 今から追いつくことは不可能だろう。 それでもいい、寺にさえ帰れたのなら同じことだ。 喰らうことを拒まれるのもまた同じこと。 求めてもらえたというのは勘違いで、どれだけ過ごしてもその気にはなってもらえなく、ついには役目を果たさないまま別れを告げられた。 再び連れて行かれることになるのかもしれない。それでも──] (48) 2021/06/23(Wed) 1:52:49 |
【人】 鬼の子 千[日の出と共に目覚め、日暮れと共に眠るのが人間というもの。 鬼に許されていた範囲ですら夜には出歩かなかったのだ。 初めてやって来た廃寺から離れた場所は、夏の日差しを頼りにしても同じような風景が続いているようで分かり難い。 気づけば昼間とは表情を一変させた宵闇の中に独り彷徨っている。 重なる睡眠不足を抱えていた身体は、疲れ果て不安定な軸で歩みがぶれている。 それでも立ち止まらなかった。あの大きな身体と紅い目を、ひたすらに求めていた。 だから側の茂みから音が近付いてきた時、期待を持って呼んでしまった。] (49) 2021/06/23(Wed) 1:53:39 |
【人】 鬼の子 千紅鉄様……? [だが、現れた姿は彼ではない。 鬼はおろか自分よりも背が低くより濃い異形を持った何かは、毎年花嫁を求めている妖怪の内の一体なのは確かだ。 あの鬼が絶対に会わせなかった仲間、いつでも側にいたのにもしもの時について話した理由。 目を見開き後退り、すぐに逃げ出す。 老人にも赤子にも思える不鮮明な笑い声が、背後から聴こえる。] (50) 2021/06/23(Wed) 1:53:58 |
【人】 鬼の子 千[早く寺に、早くあの男の元に──── 視界もまともに確保出来ない夜の山、地を蹴り駆ける。 追いかける音が一体分ではないことに、すぐに気づいた。 ただの人間にも、この山の夜の異様な雰囲気が今は分かる。 戻らせない為の脅しも、確かに自分を想っての言葉ではあったのだ。] あっ、……! [廃寺はおろか、門すらも見えない内に声が上がった。 太い根に躓き、呆気なく逃走劇は終わる。 手から離れ解けた包みより零れた何かが、地に伏せた頭の近くに落ちた。 それは持ち込んだ薬より大きく、替えの着物より小さい。 あの時花を挟んだ、いつか鬼と開く筈の。] (51) 2021/06/23(Wed) 1:54:18 |
【人】 鬼 紅鉄坊[ 仕方なかった。生きる世界が違った。 最初から理解し目的を定めていた筈なのに、 脳裏に何度も言い訳のような──自分を慰めるような言葉が浮かぶ。 これ以上共に在れば、いつか喰い殺していたかもしれない。 この選択が間違っているわけがない。 今日からまた独りになる廃寺、不要になる品をどうするか考えねば しかし何故か帰る気にはなれなくて、 大木を背に座り込み、色を変えていく空を見上げていた。 ] (53) 2021/06/23(Wed) 1:55:08 |
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