人狼物語 三日月国


77 【ペアRP】花嫁サクリファイス 弐【R18/R18G】

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【赤】 鬼の花嫁 千

[不屈は意地にも似て、やがて気を立たせてしまう。

その日は一人で山に出た。
夏の過ちの時、自分の世話の為に狩猟に出られなく干し肉だけでは飢えてしまっていた鬼の為、その腹を充分に満たせる新鮮な肉が欲しかった。

山には獣が減っているというが、いつか教わり作れるようになっていた数日前に仕掛けた罠に獲物が掛かっていた。
だが、その小さな命は生きる為に抵抗し千の指を噛む。
その行為につい苛立って、枝草払いの為の鉈を振り上げ────]


 ……くそ

[────そして下ろした。

意味無く命を摘み取ってはならないと論する鬼は、苛立ちから必要以上に獲物を傷つける行為に悲しみを抱くだろう。

今や鬼子にとって、他者の心を想うのは誰かを抉る為ではなく夫を思い遣る為の思考だった。]
(*2) 2021/06/30(Wed) 1:38:27

【赤】 鬼の花嫁 千



[そのような出来事も挟み、鬼の負傷から時は経っていく。

廃寺の敷地にある樹木の実の色が、青から変わりゆく頃
読み進めていた書物に、この村に関する記述が点在すると千は気づいた。

鬼が結んだ約束の年月、物の怪としての齢
そこから照らし合わせ、近しい年月のものにひたすら目を通す。

普段ならとうに眠る刻、闇の中でも行灯を頼りに字を追い掛けた。

──その人生の全て、人間であった男が負わされた苦しみを知ることなど、書物からは決して出来ないが
ついに、千は見つけた。密やかに記録された、陰の歴史の断片を。]
(*3) 2021/06/30(Wed) 1:38:52

【赤】 鬼の花嫁 千




[口元を覆う掌、指の合間から漏れる言葉を成さない嘆きのような音。

「こいつは人間としてあの村に関わらず済んで幸せだ。」

向けられる哀れみと善意に反抗し、相手を瞿曇と称して抱いたいつかの思考。
なんと残酷で愚かしいことを考えたのだろう。

紅鉄坊は確かに人間として村に関わり、不幸の中に死んでいた。
身体の跡と年月から推測するのなら、村に訪れる前にも悲痛を味わっている。
どちらも、重なる災害が齎した土地の荒廃から始まった人の業の被害者といえよう。

恐らくはこの書物を記した者も、後の世の為その業を敢えて忘れ去られぬようにおきたかったのだ。]
(*4) 2021/06/30(Wed) 1:39:13

【人】 鬼の花嫁 千



  ─ →紅鉄坊の部屋 ─


[翌朝、話があると早々に鬼の元へと訪れた。

言葉少なく、相手の足の間に座るような形で共に文机に向かう。
二人が共に置かれた書物を読むには、多分それが一番楽だ。]

 紅鉄様は、これをさとが忘れて行ったと言ったな
 俺は……違うと思う

 きっとわざと置いて行ったんだ
 あんたが望むのなら、知ることが出来るように

[常の饒舌もついに見つけた誇らしさもそこには無い。
緊張が、目的の記述を探す手を鈍らせた。]
(23) 2021/06/30(Wed) 1:39:35

【人】 鬼の花嫁 千




 この名前に、覚えがあるんじゃないか

[見せたのはその全てではなく、火傷の跡がある流れ者の男が山の僧侶に拾われ、共に贄に選ばれてしまったという記述。

余所者であり村から離れて暮らした男についてはあまり書かれていない、ただ長年寺で過ごしていたらしい僧の名前がそこにはあった。

許可を貰いこの部屋を調べた時、見つけた石版から読み書きが出来ることは知っている。
それでももし難しい様子なら、声に出して読み聞かせるが。**]
(24) 2021/06/30(Wed) 1:40:12

【人】 鬼 紅鉄坊



── それからの日々 ──


千、またこんなにも埃に塗れて
私に言ってくれれば、共に掃除も出来たというのに

[ 身体が小さいと何処にでも入り込めるものだと、
 肩を払ってやりながら、鬼は心の内で思う。

 あれから、千はひたすらに記憶の縁を探そうとしている。
 だが、この寺に鬼の管理下に無い古い品など無いだろう
 成果など出ないまま、時間ばかり経っていった。>>20>>22
 それでも、もういいとは言えなかった。

 この人の子を駆り立てているのは、
 自分に対する思い遣りなのだと、理解していたからだ。>>21 ]
(25) 2021/06/30(Wed) 19:19:43

【赤】 鬼 紅鉄坊



[ 別離を選んだ時胸にあった不安は、
 こうして共に暮らし続けても現実にはならなかった。

 千が喰らえと求めなくなったからでもあり、
 自分自身の生活も見るようになった為でもある。
 定期的に獣の血肉を取り入れることを忘れずに過ごした。

 怪我により暫く、それは難しくなってしまった。
 相手にとっても知れたこととはいえ、
 己の手で獣を獲ってきた日は本当に驚いた。>>*2 ]


これを千が……本当に?
……私の為に?

[ 信じられなかった、呆気に取られた。

 若者の罠作りの腕でも、少なくなった獣を捕らえられたことでもなく。
 山を下り人と生きる、別離の先の未来を想い教えた知恵で、
 鬼の為にその糧を得て来てくれたことが。

 一人で不安では無かっただろうか、
 その噛み跡は痛かったのではないか。
 それらよりもずっと、自分への想いが強かったのか。

 胸を満たすものは、その出来事だけでも数多にあったというのに。 ]
(*5) 2021/06/30(Wed) 19:21:35

【人】 鬼 紅鉄坊

── 或る秋の日の朝 ──



[ 迎え入れた千の手にはいつか渡した書物があった。>>23
 言葉少なくともその様子と姿から察するものがあり、
 自ら文机に向かって足の合間に座らせたのだった。 ]

そうか、この書物の中に──思いもしなかった
彼女に悪いことを……否、違うな

お前と共に、今日この日に開く定めだったのだろう

[ 鬼が知る日まで伝えることを選ばなかったさと、
 手掛かりの無い過去を伝える為に努力した千。

 母子の行動がこの時に結ばれたのなら、今こそあるべき瞬間。 ]
(26) 2021/06/30(Wed) 19:21:54

【人】 鬼 紅鉄坊



……これは、

[ やがて、示された文字の連なりは凄惨な過去を綴る>>24
 大きな流れの中に点在した、小さな村の陰の歴史。
 ある僧侶と流れ者が辿った末路。

 理解出来る筈の言葉が、思うように頭に入らない。
 やがて千が声とした名を、子供のように追い掛け繰り返し。
 ある一瞬で、隻眼を見開き身体を強張らせる。 ]

ああ、そうだ。そうだった……

私は、この僧に命を助けられた……そして、共に殺された

[ 夢を見ているような朧な声が、取り戻したものを告げた。

 意識の外で震え、小さくなっていく。
 それでも抱えた花嫁の耳には、全てが届くだろう。 ]
(27) 2021/06/30(Wed) 19:22:26

【人】 追憶 紅鉄坊



とても寛大で慈しみ深い方だった

いつ死んだって構わない、そう思う程絶望していた私を
老いた身で懸命に看病し、励ましてくれた

山の鬼のことを、恐れるのではなく憂い
危険な場所から離れず、彼らが救われることを祈り続けていた

数多の恩を受けたというのに
守れなかった……私はいつでも、無力だった


[ 取り戻さなかった──千が見せることを選ばなかった記述の中
 そこにいる親代わりのような誰かのことも
 僧に宿っていた面影が、曖昧に輪郭を形作る。

 湧き上がるのは温かさと、それを奪われた喪失感。 ]
(28) 2021/06/30(Wed) 19:22:49

【赤】 追憶 紅鉄坊



[ 「紅鉄坊様、今のあなたは自由?」>>1:*19

 あれこれと鬼について聞いてきたあの懐いた子供のような女は、
 その裏で真実に気づき、案じてくれていた。
 思うよりもずっと、聡い娘だった。

 答えられなかった問いの理由も今は分かる気がする。

 そして──今からでも、その気持ちに応えたいと思う。
 今度こそ、守らねばならない。 ]
(*6) 2021/06/30(Wed) 19:23:06

【人】 鬼 紅鉄坊



よく見つけてくれた、礼を言う
これで充分だ……充分過ぎる程、取り戻せたよ

千のお陰で思い出し、受け止めることが出来た

[ 悲しみも憎悪も、その声には宿らない。

 鬼がかつての生の全てを思い出すことは無かった。
 それでも、喪ってしまった大切なものの記憶は蘇った。

 心を落ち着ける時間を、千の体温を感じたままに暫く得てから
 再び口を開き、切り出そう。 ]
(29) 2021/06/30(Wed) 19:23:32

【人】 鬼 紅鉄坊



千、お前に伝えたいことがある

だが、それはとても大きな話で
私たちだけではなく、山にも村にも影響が出てしまう

長い間変わらなかった二つの関係が、大きく揺らぐのだ

だから、待っていてほしい
私の心が決まるまで、重い選択をする覚悟が出来るまで

[ 触れた手をそのままにしてくれていたのなら、
 そっと握り込んでから離し、言葉を続けるだろう。 ]
(30) 2021/06/30(Wed) 19:23:55

【人】 鬼 紅鉄坊




冬が明けたら、きっと告げよう

         あの花が──梔子が咲く前に



…………必ず全て、話すから

[ 背中から抱く腕の力は、人間の身には少し痛い程に。
 今だけは緩めることが出来そうにない。 ]*
(31) 2021/06/30(Wed) 19:24:11

【人】 将軍 かんぅ

―祝言―


[どんどこどーん
はあえいさ、えいさあ。よよいのよーい。いや何処の祭りだ。かんぅの心は今燃えに燃えていた。滝の中なので実際に燃える事はできないが、心は今有頂天。そのうち、叫び声をあげて山に飛び出しかねない。なぜそんな事になっているかというと、今日が祝言だからである。

すでに婚姻はすませた身
(かんぅ視点)]
(32) 2021/06/30(Wed) 22:05:04

【人】 将軍 かんぅ

[だが、式はまだだった。
つまりかんぅと婿殿はあれほど愛し愛されあっていたのに事実婚の間柄だったのである。(かんぅ視点)というわけで、結婚式はじめました。纏うは白い花嫁衣裳。

背負うは青龍偃月刀。祝いの席の周りにお集まりの皆様は婿殿使用人たちであり、用意されたお酒を前に
正座する姿は服装が服装じゃなきゃ
様になっただろうに
隣に座るはずの婿殿の魂は抜けてないだろうか。
昨日もかんぅったら頑張り(はっする)すぎちゃったから


――ちなみ、下は履いていない*]
(33) 2021/06/30(Wed) 22:05:57

【人】 鬼の花嫁 千


[己の過去の断片を前に、変わらず強く静かに振る舞い
惑う手に温度と言葉をくれた鬼が、声を詰まらせる。

その様子を見ても、躊躇い無くその名前を声で教えた。

“何も恐れることなど無い“のだから。>>-111]


 ああ、旦那様
 俺はあんたを見つけてやれたんだな

[既に確信に近かった真実だ、改めて告げられても千に揺らぎはない。

稚気で頼りない反応や朧な声に、振り返り触れてやりたい想いが過るが
それはきっと今するべきことでは無かったから、ただ一言返し震えた声の唯一の傍聴者となった。]
(34) 2021/06/30(Wed) 23:40:20

【人】 鬼の花嫁 千



 …………まるで紅鉄様みたいな人だな

[全てを漏らすことなく聞き遂げて、小さく息を吐いて口を開く。

死を望む者を立ち直らせる真っ直ぐな心、
己を犠牲にするかのように誰かの為に独り生きる様。
やはり鬼の心はかつて大切だった者達が創り上げたもの。

変えられない過去を嘆いたり、人間であった頃の鬼の無力さを否定するよりも
きっと大切だったのだろうその記憶を分かち合うことを、千は選んだ。]

 俺は少しばかり埃塗れになっただけだぜ
 頑張ったのはあんただ、そうだろう
 ──なあ、よく戻ってきてくれたな

[余所者の妖怪との戦いで怪我をしたあの日に似た台詞。
鬼の身体は今はずっと傍にあった。だが、心は過去を視た。

その上で常のように呼び掛けてくれる鬼のままで在るのが、とても喜ばしかったのだ。]
(35) 2021/06/30(Wed) 23:40:35

【人】 鬼の花嫁 千



 ……なんだい、随分先の話だなァ
 そんなことを先に言われると、気になっちまうよ

 どうせ俺があんたの言うことを拒むわけがないんだから、
 そこは安心して、他の問題について考えな

[暫くの沈黙の後に、握り、離れてゆく手。切り出された話。
取り戻した記憶が鬼に何かを決意させたのだと千にも分かった。

少しの間を空け首だけが軽く見上げるようにして振り返り、態と茶化すように軽く応え口角を上げる。

本当はその重みを分けてくれと、出来ることは無いのかと言いたかった。
それでも、たかが二十年と少しを生きた人間には背負えぬものだと察して、想いは押し留める。

きっと互いに受け取れない荷と受け取れる荷があるのだ。鬼には握り飯を作るのが難儀だったように。
ならば只、巡る季節の先で来る時を待つだけだろう。]
(36) 2021/06/30(Wed) 23:40:50

【人】 鬼の花嫁 千



なあ旦那様。今日も朝から寒いなァ
だからまだ……このままでいようぜ

[痛い程の力は、しかし抱えた人の子を潰すものではない。
かつて人であり今は鬼である男の、不安や決意、自分への想いが込められた強さ。

だから千は咎める代わりに、もう少し紅鉄坊の時間を奪うことを選んだのだ。*]
(37) 2021/06/30(Wed) 23:41:04

【人】 子天狗 茅

[差し出された手>>18に収まらんと、寄せられた茅の身体をまた、するすると黒い糸が這い、宵闇に似た色の着物がその身を包み込む。
その意匠はまるで、山伏のようなそれで、ついでとばかりに額を滑った黒が、頭襟を形作った。
足元には、高下駄。
背中には、小さいながらも明らかな、漆黒の翼を可視化させ。
そうして子天狗は、天狗さまの腕の中に収まって笑う。

子天狗には、村の様子が聞こえていた。
だから当然知っていた。
今、村は『村長さんの娘夫婦』の『披露宴』の真っ最中。
だからきっと、『天狗の嫁』の『披露』にも、丁度良い。]

 ふふ。
 とっても驚くと思うよ。

[おめでたい話じゃあないか!
なんて。

子天狗は腕を伸ばして、天狗さまの首元に抱き着く。]
(38) 2021/07/01(Thu) 0:06:53

【人】 子天狗 茅

[そうして村に現れた二人に、はじめ村の人たちは唖然とした。>>19
天狗が礼を言いに来た、なんて。
そんな言葉を信じるものなど、この村にはいない。

それから騒然と。
茅がまさか、生きているなど思っていなかったものだから。
そうして何故か、まるで天狗のような恰好をしているものだから。

そうして最終的に彼らが抱いたのは、畏れではない。

                      
敵意
だった。]
(39) 2021/07/01(Thu) 0:06:56

【人】 子天狗 茅

[次の瞬間、“お嬢さん”が、新郎を匕首で刺した。
さっきまで無かったはずのその刃物は、茅が一度天狗さまに向けたものと、そっくり同じ形をしていた。
新郎はただの人間だから、不意打ちに成すすべもない。
そして刃が刺されば、ヒトは傷つく。
傷の場所が悪ければ、ヒトは死ぬ。
“花嫁”の刃は、“花婿”の喉を、正確に切り裂いた。

紅い血潮が夜空に舞う。

しん、と辺りが静まり返る。
どさ、と“新郎だった骸”が大地に倒れた。]
(40) 2021/07/01(Thu) 0:07:03

【人】 子天狗 茅

 
    あーぁ。
      
しちゃった。

 
(41) 2021/07/01(Thu) 0:07:05

【人】 子天狗 茅

[子天狗が呟くと、ざわ、とヒトに波が立った。
驚く声、叫ぶ声、問いただす声。
あぁ、ぐちゃぐちゃだ。
ぐちゃぐちゃ。

『だってこの人、私のこと馬鹿にしたんだもの』


うつろな表情で、“花嫁”が言う。
同時に別の所で、誰かが誰かを殴り倒す音がした。
それを機に、あちらこちらでヒトとヒトの争う声がし始める。]
(42) 2021/07/01(Thu) 0:07:08

【人】 子天狗 茅

 
 あーぁ。
 いつだって、ヒトを
ぼすのは、ヒトだよねぇ。
 
(43) 2021/07/01(Thu) 0:07:10

【人】 子天狗 茅

[子天狗はただ、そのきっかけを与えただけだ。
子天狗の妖力では、ヒトに特別な力を分け与えることはできないししないけれど、代わりに幻聴を聞かせることはできた。
ただ、ほんの些細な悪口を、隣の誰かが囁いたように、聞かせただけ。
それからちょっと試しに、“花嫁”の手に、刃を握らせただけ。

聞こえた声に何を思ったかは勿論、どんな行動に出たかなんて、そんなのは子天狗の預かり知るところではない。
ヒトとヒトが争うのを眺めつつ、と、と、と天狗さまに近寄って、寄り添う。]
(44) 2021/07/01(Thu) 0:07:13

【人】 子天狗 茅

[気づけば紅く濡れて倒れている身体は一つや二つではない。
村長の家の屋根に、火が付いた。

悪意の声が聞こえた所で、普段の行いが良かったならば、それが幻聴であることになど容易に気づけたことだろう。
何せ、長く共に暮らした隣人だ。
けれど、悪意の声を疑いなく信じてしまった時点で……彼らは元々、そういった疑いを互いに抱いていたということだ。
何て哀しいことだろう!]

 案外、幻聴でもなかったのかなぁ。

[くすくすと、子天狗が笑う。
笑う。

……嗤う。]
(45) 2021/07/01(Thu) 0:07:18

【人】 子天狗 茅

[どれだけの時間が経ったろう。
決して小さな村というわけでもなかったと思うが、その割に終わりは割合あっさりしていたかもしれない。

子天狗が、と、と、と大地に波紋を残す。
じゃり、と砂を踏むような音がして、幻覚が霧散した。

後に残ったのは、死屍累々。
そしてその真ん中に座り込む、『お嬢さん』の姿。
真っ白だったはずの着物に、誰かの赤を浴びて、がたがたと震えていた。
その眼前に子天狗がしゃがみ込む。]

 どうしたの?
 “お嬢さん”?

[はじかれたように顔を上げ、『お嬢さん』は怯えたように、後ずさった。
子天狗は、まるで心外だとでも言いたげな顔をする。
ついと近寄って、その冷たくなった両手を握ってにっこり笑ってあげた。]
(46) 2021/07/01(Thu) 0:07:20

【人】 子天狗 茅

 泣かないで?
 綺麗なお顔が、台無しだよ?

[にっこりと、優し気に。
なのに“どういうわけか”、『お嬢さん』は震えたまま、涙を流し続けている。
可哀想だなぁ、と思った。]

 しょうがないなぁ。
 じゃぁ、
『夢』
を見せてあげようか!

[きゅ、と冷たい指先を握りしめると同時、『お嬢さん』が眼を見開いた。
いやぁぁ!と叫んで、白眼を剥いてしまう。

おかしいな。どうしたのかな。
“家族”や“旦那様”との、
甘い夢
を見せてあげてるはずなのにな。

子天狗は首をかしげる。
そっと手を放すと、
自らの手で死んだはずの彼らに追い回され続ける夢に堕ちた
『お嬢さん』は、ぱったりとその場に倒れてしまった。

なるほどきっと、“歓喜の”叫びなんだろう。
俺にはわからないけれど。]

 よかったねぇ。
 “皆”にまた
えて。

[一度だけ、『お嬢さん』の頭を撫でて、子天狗は立ち上がった。
振り返った先、天狗さまの姿を見つければ、また嬉しそうに笑う。
そうして子天狗は、天狗さまの元へと駆け寄った。**]
(47) 2021/07/01(Thu) 0:07:23
 




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