吹き抜けから落ちてくる雪がロマンチックではないかい？
　え？　違う？？

　……仕方ないなあ、
　ここはわたしの世界ではないから、
　全能ではないんだけどねえ。
　直したらわたしにもスイーツをいただけるかい？

[小さく詠唱を紡ぎ上げると、時間が巻き戻るように屋根が直っていく]

　そ、そうか。
　なんだかすまぬな……。

[家主にうなずき座っていたところ
……自称かっこいいおにいさんを見て>>52]


　うーむ、同じ身長ならば
　クガネのほうが格好良いし、それに
　サービスにしては寒いと思……


　……なんと！？

[これは魔術か。屋根が戻っていくぞと
少し無表情が崩れ、目を瞬かせている]

ははは、あのとき散々私たちを落としたお前が、こうしてたたき落とされるのは愉快な光景だがな。

[ﾁｯ
やはり防がれる。
脳天穴あけばいいのに。]

カッコイイお兄さん？
誰のことを言っているんだ？
あいにくとあの方でないのなら顔面に興味はなくてな。

吹き抜けの天窓ならばロマンチックかもしれないが、
不審者の落ちてきた穴では何も風情がない。
論外だ。

[しょうがないからケーキのはぎれをあげよう。
ぺらっ]

ああうん……まあ……知り合い？だな……

[奇縁の部類ではある。]

　そ、そうか
　合縁奇縁というやつじゃの……

[知り合いになぜか疑問形がついてる気がするのは
私の気のせいであろうか……

それはともかくとして
元の世界からレイシフトを利用して逃げてきた私だが
そういえばレイシフトの途中で何やらどこか別のところに
引っ張られた感覚があったようなないような

気のせいじゃろ、うん]

本来なら決して袖振り合わぬ縁だ。
まあ、こいつが呼び出したのだがな。

[そういう妙な縁で結ばれる。
奇妙なものだよねー、ほんと。]

　なんじゃ、そのおのこにはマスター（召喚主）の
　能力でもあるのか？

[でも英霊、にはみえないよなおまえさん
……なんというか、世界はひろいのぅ]

マスター？
……そもそもこいつ、人間ではないからな。

分類としては、そこの土偶に近しいぞ。

能力EXってやつですねえ！

［いえーいいえーいぴーすぴーす］

えっ人間じゃないのそこのお嬢さん。


なにそれこわい。なにそれこわい。

[※言ってるこいつ英霊です]

逆にお聞きしますけどお
触手生やしてる人間がいるとお思いで？

［うにょーんみよーん。
先っぽまでたっぷり魔力の塊なんだぜ。］

というかおまいうやーん！！

この空間、普通のまともな人間私しかいないのだな。

[びっくりどっきり人外ショウ]

　まぁそりゃそうだの
　……えっそれ触手だったのか？やばいなこわい。

[でもそれを食べたくはないよね……魔力の塊]

　まぁ私も死んだ人物の影法師だからな。
　私はましな方では。

　そういえば自己紹介してなかったのぅ
　私はライダーだ。えーと



　……一寸わけあって現在家出中でな。

[そっと目をそらしている]

触手ですよお？
絡めとってあーしてこーしてやりましょうか？
触手の役目ってそういうものですよねえ！

［※人様のおうちに上がり込んで
常識的に考えて憚られる行為はやめましょう。］

あーしは土偶ですよお、みてのとーり！
家出中ですかあ。キミは……

……

ま、いーでしょう。

［自分がかつて対峙した彼とは違うみたいだしね！］

　えっそんなことできるの怖い。
　触手の役割はあれじゃないかな
　焼かれて退治されることじゃないかなぁ？

[というかあーしてこーしてってなに？ホワイ？]

　見てもさっぱり土偶（日本の縄文時代のあれ）と
　結びつかないのだが……そもそも土偶に触手はない
　ないはずなのだが

　……？

[”オルタ”の経験も記憶も”ライダー”にはなく
故にただ首をかしげる、だけである]

　そもそも、なぜ私が怒られなければならんのだ。
　普通に考えて私は悪くなくないか？


[などと、現在ミルク入れたコーヒーを飲んでいる英霊は
無表情の中に少しばかりむっすりとした雰囲気を醸し出しながら
静かに吐息を吐き出しました]

　―　とある英霊の家出騒動：ここにくるまで　―

[世界は今日も平和だ
少なくとも、大多数の人間はそう認知している

　すべての平行世界が”融解しけかけた”ことも
　それに自分の別側面が関わっていたなど
　私は知る由もないの、だが

――始まりは。突如鋭い痛みが胸に奔ったことだった
不幸にもその時に、同室者である彼が
目の前にいた、ものだから


　　　　　　]

[本来あるはずの心臓の部分。
そこは霊核がむき出しになっている

常に気を付けていないと感情に影響され
零れ落ちる魔力は色を帯びて流れてゆくようになってしまった
そんな風に、ライダーは現界するようになっている
偏に、とある特異点での行動の結果なので
それ自体に後悔はない、が。

　　　　そのことで別側面を生み出し
　　　　更に言えばそいつがかけられた呪いが
　　　　隠してきたその虚ろを、黒い残滓を胸の空洞より零し
　　　　服を穢し激痛に倒れ伏したこと

　　　に、よって――

何で黙ってたんだとばかりに
その同室者に意識が回復後
めちゃくちゃ問いただされたことから始まる]

　……いや、だから。

[まて、なぜ錫のとログボ首もとい今川のまで
私の説教に参戦しているんだ
あと病み上がりに24時間はつらいから、ほんと。英霊だけど

めちゃめちゃ怒られた。そりゃあ隠していた己が悪い。
悪いが。それでも、それでも
何故それを隠していたか、を。それを
少しでも慮ってくれたなら――……


責められて、私は初めてぷっつん、と来たわけだ]

　何故お前に言わねばならない。
　いう必要がなかったから、言わなかっただけじゃ。

　そがいに咎めることはなかろう！戦闘に影響もなかった。
　もうええ、もうええんじゃ。

　どうせこんな穴があいちょるん男に
　それを隠した私に愛想はつきたんだろう。



[と、敏捷A+が脱兎で説教部屋から抜け出して
種火周回に行きそうだったマスターの
レイシフトに無理やり割り込んだ結果――

そりゃあはじかれてこんな見知らぬ場所にとばされますよねー]

やっだー、純情がすぎるゾ☆

[愛いやつよのお！]

まあ、このカッコのあーしは土偶よりも邪神の成分が強いので。
色々あるんですよお☆

[ねー]

[普段であれば冷静に、自分の非を認め謝ることもしたろうが
人理融解未遂直後の世界でありましたから

ええ、そりゃあ、ええ
すこしばかり”ぶれ”やすくなっていたのです
それが、責められるという行為によって
自分への劣等感、相手へのいっそ崇拝めいた重い情
それらが絡み合った結果

感情を爆発させて家出からの迷子とあいなったのであります
少し冷静さを取り戻したら死ぬほど恥ずかしい
でも戻るに戻れない

ということで、しばらくお邪魔します年越しなう。
って、感じな今なのでありましたとさ*]

　純情というのか……？
　一応史実では妻子持ちなのじゃが。

[でもよく考えたら土偶イズおかーさんの象徴だからね
皆純情に見えるのかもね>>75]

　　
　おい、おぬし今邪神んといいきっ……
　この世界大丈夫なのか？

　まぁ、ええか。

[なんかぐだぐだしてきたぞぉ]

　
　
　
　

　この際あんのでもでもでも！
　誰でもいいからさぁああああ！！！

　私の話聞いてくれないかなぁあああああ！！！

　

　
うー！うー！！
ちびたちきらい！ますたーもきらい！！

[村の子どもたちに自分のぶんのプリンを取られて癇癪を起こしたのがつい一刻前。
それをご主人様（と書いてマスターと呼ぶ）に叱られてとうとう泣き出したのが半刻前。]

こーでぃー、おうちでてく！
さがさないでください！！

[ノープランでマスターの家を飛び出したのがつい先ほどのこと。
とはいえ外はあまりにも寒かったので、どこか暖かい場所を求めているとなんだか変な奴に出逢い。
黒と白の丸っこい、なんかくぇくぇ言ってる鳥みたいな変な奴に
『暖かい場所を求めているならここを訪ねてみるといい』と言われて]

　
すん……Zzz

[気がつけば、とある聖女のおうちの炬燵の中ですやすやしているのが、今。


毛布と布団が被さった低いテーブルみたいなそれは不思議と暖かくて、ずっとここにいたいなぁとか、夢うつつにそんなことを思うのでした]*