人狼物語 三日月国


77 【ペアRP】花嫁サクリファイス 弐【R18/R18G】

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【赤】 鬼 紅鉄坊

[ そういえば、最後にさとに問われた時
 何も返すことが出来なかった────

 遠い記憶が蘇るのは、再びの別れがやって来たからか。 ]
(*2) 2021/06/23(Wed) 1:55:21

【人】 鬼 紅鉄坊


[ さとによく似た形の目が、
 呆然とこちらを見上げていたことを思い出す。>>44

 そこまで喰われたかったのか、
 生きたくはないのかと思うと心苦しい。

 共に過ごした時間、幸せだったのは自分だけだったのだろう。
 ならば新しい村で、今度こそ幸せを見つけてくれたらいい。 ]
(54) 2021/06/23(Wed) 1:55:52

【人】 鬼 紅鉄坊



なんだ……?

[ 風もないのに森がざわめく。
 同胞たちの気配の幾つかが、同じ場所に集まっている。

 昼間の熱が半端に冷めたような、生暖かい空気の中
 鬼は来た道を戻るように、気配の元を辿っていく。

 本当は暫く独りになりたかったのだが、
 どうしてかとても気になってしまった。 ]
(55) 2021/06/23(Wed) 1:56:11

【人】 鬼 紅鉄坊

[ どこぞの娘が一人で山に入り込み、
 奥まで行ってしまった時も確か────

 はっと目を見開いた鬼は歩みを早め、やがて走り出した。 ]
(56) 2021/06/23(Wed) 1:56:22

【人】 鬼 紅鉄坊




「捨テタ!捨テタ!紅鉄坊ガ花嫁ヲ捨テタ!」


   「喰ッテモイインダナ!」

            「男ハ美味クナイケドナ」


  「人間ハ中々喰エナイ、ワシハ男ノ肉デモイイゾォ」


[ 興奮した様子の妖怪らは──より異形を持った鬼たちは
 喚くように叫ぶように同胞と言葉を交わし合う。

 一番先に会った一体が、転んだ獲物の上に伸し掛かるように乗り
 手に比べ長細い指の先の鋭い爪を、その首に向けて振り上げ── ]
(57) 2021/06/23(Wed) 1:56:43

【人】 鬼 紅鉄坊

やめろ!

[ 近付いてきた草を掻き分ける音の正体が、鬼がそれを掴み上げ近くの木に叩きつけたことで阻まれた。]

違う、違う!私は千太郎を捨ててなどいない!
帰れ、お前たちにこの子を喰らう権利はない!
──聞こえないのか、散れ!

私はお前たちを叩き潰す為にあの方に口添えしてもよいのだぞ!

[ 口々に上がる不満の声。繰り返される「捨てた」
 同胞と千太郎の間に立ち塞がりながら、声を荒げ怒り言い争う。

 両者にある隔たり、どちらも互いの言葉を真実と認識している。
 その中で同胞が引くことになったのは、
 実質的な山の主を引き合いに出したが為に。 ]
(58) 2021/06/23(Wed) 1:57:02

【人】 鬼 紅鉄坊


何故だ、何故帰ってきてしまったのだ……
私はあれ程言ったではないか

[ 漸く静かになった闇の中。

 膝をつき抱き起こしながら、鬼は嘆く声を上げる。
 夜目の効く紅色が見下ろした顔は、どんな表情をしていたか。 ]**
(59) 2021/06/23(Wed) 1:57:17

【赤】 鬼の子 千


 ─ 鬼子が生まれるまで ─


[鬼子には産まれた時から親がいなかった。母は出産に耐え切れず、父はその腹が膨らむ前に外套と首巻きだけを縁に残して消えたらしい。
その異人は家が決めた許嫁がいた妹を誑かしたのだと、忌々しげに伯父が吐き捨てた。

鬼子の家族は伯父と祖母しかいない。
伯父の妻子はお前の家族ではないと、だから近寄るなと教えられたからだ。

綺麗な着物を着て温かく充分な食事を取り、不釣り合いな程教育を受けられたのは、かつて幕府の膝下で呉服問屋を営んでいた裕福な家に生まれたからでしかない。
もし貧しくあれば、真っ先に捨てられたことだろう。]
(*3) 2021/06/23(Wed) 2:01:30

【赤】 鬼の子 千



[祖母は優しくあったがいつも悲しそうな顔をしていて、事あるごとに伯父に孫に謝っていた。
家族の世話をする時も、何処か顔色をうかがい行動しているように感じた。
鬼子にはそれがどうしようもなく嫌だった。本当にこちらを想っているようには感じず、なのに何故自分を構おうとするのか分からない。

彼女と話すより暗い部屋で一人で書物を読むほうが好きだった。村に移る時に持ち込んだものもあるのか、幸いなことに知識欲を満たすだけの量が家に存在していた。]
(*4) 2021/06/23(Wed) 2:01:46

【赤】 鬼の子 千



[港は開かれ、異国人に対する差別意識は薄れた時代。
しかし田舎の、それも特別な事情を抱えた山間の農村には未だ遠い価値観。血は問題の一つでしかなければ、一層に。

汚い生まれであると、混血であると囁き合う大人たちの話を聞いたことがない村の子供はいなかった。
しかし誰も鬼子を虐めることは出来なかった。
正確には、虐めようとしたがそれは叶わなかったのだが。]

 こんなことをしていいの?
 おまえの家は、そんなにえらかった?

 かわいそうだね。おまえのおやはかわいそう
 これからきっと、つらい目にあうぞ

[自分を突き飛ばした少年を、地に倒れたままの黒眼が凝視する。
鬼子はその頃から異様な程に、偏った方面に向けて賢かった。]
(*5) 2021/06/23(Wed) 2:02:13

【赤】 鬼の子 千




[何を言えば己を虐げようとする子供らを怯えさせられるのか、手に取るように理解出来た。
狭い社会の中で築かれた大人たちの上下関係も、生きていく為に口に出来ない暗い感情も。

それだけ周りを見ていたというだけのことだが、他の子供らにはただただ不気味に感じただろう。
いや、大人にとってもそうだったのかもしれない。自分達の知らないことを学んだ子供というだけでも、ただでさえ扱い難いのだ。]

 ……ひひ

[「気持ち悪い」
そんな捨て台詞を置いて去っていく子供らを見送り、不気味に笑い声を上げる鬼子

一人で外遊びをする頃には既に、黒髪に白が混じっていた。]
(*6) 2021/06/23(Wed) 2:02:48

【赤】 鬼の子 千



[何事も吸収し自我にする年頃、悪癖は容易に根付くこととなる。

黙らせる為に無造作に与えられた玩具には関心が無かった。
自分を見ているようで他の何かが常に心にある祖母の言葉は素直に受け取れなかった。

言葉で誰かの感情を揺らがすことが何よりも楽しかった。
怒りであれ怯えであれ、はたまた嫌悪でも構わない。表層を剥ぎ表れた顔に浮かぶそれを見ることだけが生き甲斐だった。]
(*7) 2021/06/23(Wed) 2:03:06

【赤】 鬼の子 千


[だから何度でも繰り返した。
成長する毎に、理解出来ることは増えていき、より有害になっていった。

ある時は若い男の不貞を指摘し、その妻が包丁を持ち出す騒ぎになった。
次に、不作に村が喘ぐ中自分の家で食糧を貯め込んでいた家族を言い当てた。

何度も何度も、何度も────そしていつしか、ただ陰口を耳打たれる忌み子ではなく鬼子と呼ばれるようになっていた。]
(*8) 2021/06/23(Wed) 2:03:22

【赤】 鬼の子 千



 ちがうよ、それは買った物じゃない
 あの商人さんが売れないって断って、持って山に行ったじゃないか

 どうしてここにあるの?
 ねえ、どうして目をそらすの?

[最後にその標的は実の伯父となった。

今まで鬼子が野放しだった理由である男は、無給で使われる名誉職の村長よりずっと力があったその者は自分の番では黙ってなどいなかった。

小さな頬を打ち、手を引っ張り陽の当たらない部屋へ連れて行く。
念入りに窓を板打ちしそのまま十年、甥を許すことは無かった。

自分のことばかりを考えていたのではない。
何しろ鬼子は、村の要たる部分へとついに手を伸ばしてしまったのだから。]
(*9) 2021/06/23(Wed) 2:03:41

【赤】 鬼の子 千



[牢の中少年は青年へと変化していく
黒髪は完全に色を失い、対象的に目元の隈は濃くなっていく。

せめてもと祖母が時折持って来る書物を除けば、娯楽など無い暗い世界。
それなのに鬼子は殆ど、限界が来るまで眠りたがらなかった。

思考するだけで充分に愉しく、昂ぶったからだ。
伯父に取らせた行動は今までで一番の成果であり、自己の成長を感じさせるものだった。
これから更に愉しめるのだと、あれこれ村の者について考えれば時間を忘れた。

その部屋に足を踏み入れる者は、ただ一人以外皆言葉で嫐られる。
そうすることで酷く打たれても罵声を浴びせられても、変わることは無かった。]
(*10) 2021/06/23(Wed) 2:04:02

【赤】 鬼の子 千


[故に自分は被害者などではないし、悪癖を今更改めるつもりもなく、
他のことに愉しみを感じる筈はない。

そう当人は、本気で思っていた。
他人の奥底ばかり覗き込む者が、自分の根源に気づけはしない。*]
(*11) 2021/06/23(Wed) 2:05:14

【人】 水分神

 
[ミズガミ様、ミクマリ様は
 人の子らが裸で駆け回っていた時代から居る。

 ずっと同じ個体ではなく代替わりをするもので
 ひとりの任期は二百年から伍百年程。
 どこからともなく現れては勤めを果たし
 元の世へ還っていく。

 人の世に居る間は人の子を娶り
 相手が天寿を全うするたびに
 新しく娶りなおすのが常であったが────、

 そうではないミズガミ様も居た。]

 
(60) 2021/06/23(Wed) 9:24:20

【人】 水分神

 
[先代が正に、そうではない方だった。

 最初に得た嫁が輿入れから
 ほんの数年で逝ってしまった。
 けれどその後差し出される替わりの嫁は全て断り
 最後まで抜かりなく任を果たした。

 ただひとりを想い続けたのだと言う。]

 
(61) 2021/06/23(Wed) 9:24:25

【人】 水分神

 
[当代は其れを否定した。]


   
人の子など取るに足らぬ存在よ

          
心を寄せて何になる?



[彼らと我らには、与えられた時が余りに違うのだ。]

 
(62) 2021/06/23(Wed) 9:24:45

【人】 水分神

 

    ……、……


[筆を置き、ぐしゃぐしゃと紙を丸めた。]


   (そう言えば……、
    出立前、何か作っておったな……)


[探せば其れは見つかった。>>1:64
 小さく形の整えられた白いあれ。
 普段は丸い器に盛られるやつじゃ。

 箸や匙を使うたことがなく
 此れは道具を使わずに食べるものとも知らぬまま
 手で掴めば、口の中へ放り込む。]
 
(63) 2021/06/23(Wed) 9:25:31

【人】 水分神

 
[彼奴の料理の腕だけは認めておる。
 
……あ、あと、掃除とか、

 
妾に向ける笑顔とかも、すこし。


 この白いやつも文句なしに美味いじゃろう。
 そう思いながら咀嚼し、嚥下したが。]


    ……全然美味しくないのじゃ


[がっかりじゃ。
 けれどその手は休むことなく次を口に運び続ける。
 ……最後の一つに至るまで。]
 
(64) 2021/06/23(Wed) 9:25:51

【人】 水分神

 
[彼奴も失敗することがあるらしい。
 帰ったら酷いんじゃからな。]


    っっ、ひっく、えっぐ……っ
    こりぇ……塩っぱすぎるのじゃよぉ……っ


[……嘘じゃ。甘ぁくてンマイのに
 余計な味をつけてしまっておるのは妾じゃ。

 前が見にくくて苦しくて仕方ないのじゃ。]
 
(65) 2021/06/23(Wed) 9:26:07

【人】 水分神

 
[……けど、本当に外れもあったのじゃ。]


    っっ?! しゅっぱーい!!


[其れを引いたときには
 唇をきゅーっと窄めるのじゃった。>>1:121**]
 
(66) 2021/06/23(Wed) 9:26:17

【人】 土地神 リン


  お前の音をずっと聴く──か
    あぁ、そうだな。それが出来れば


[ 手指を温められ温もりは分けてもらった
 戯れ合うことで笑う楽しさを思い出した
 汚れた床は掃き清められ
 薄暗かった屋敷に灯りが灯ったよう
 
 人一人、訪れただけ
 それだけの変化がもたらしたものは
 この数刻で彼が己に与えたものは酷く大きい

 叶うなら、与えられた分だけ
 己も彼に何かを──幸せを与えたい
 そう、思いはするけれど ]


  お前が弾くならば、終わるまで
     聴き続けることはできるだろうよ

   寝ずに聴けというならば
      我はそれも可能だからな


[ 永遠に続く『ずっと』を誓うことは難しい
 けれど、一つの演奏が終わるまで
 その場限りの『ずっと』を誓うことはできるから ]
(67) 2021/06/23(Wed) 12:44:48

【人】 土地神 リン

[ 温められ、拭われ
 綺麗になった手で指切りの形を作り
 絡めることなく左右に振って

 それでも、感傷に浸り切らないのは
 己の性かはたまたこの嫁の性質か

 いずれにせよ、お仕置きの話が出れば
 ぐぬ、と渋い顔を作り ]
 

  あのなぁ……尻叩きは
      あれは意外に痛いのだぞ!?
   
    それを蘇芳のやつ
        我のこと鼓みたいに叩きおって


[ 寝てるところ髭を描いたのがいけない
 即座に捕まり、酷い目にあった
 その他にも叱られたことは多々あるが
 あの尻叩きが一番に痛かった

 万が一にも試しにされてはかなわぬと
 指切りの手で尻を隠したりなどしていれば
 いつのまにか相手は着替え始めていて ]
(68) 2021/06/23(Wed) 12:46:55

【人】 土地神 リン


  ……ふむ、ヘソはあるか
     まだとられてはいないようだな


[ 着替える様に、ふむり
 頷いてから、己はどうだったかと
 ひとしきり首を傾げたりなどした後に ]


  うむ。風呂が後か、わかった
      沸かす手間もないからな
 

[ その点だけは便利である
 と、いうよりもそうでなければ
 きっと己はそのまま水風呂に浸かっていた

 パチパチと火が音を立て
 細かな火の粉が空にふわりと舞う
 その度、冥桜の背に隠れ
 おっかなびっくり様子を見守り]
 

    切るのと洗うのはやるからな
        火の番は……その、頼む


[ 釜が噴き、置いた蓋が音を立てる
 小さく悲鳴を上げ、男の背に顔を埋め* ]
(69) 2021/06/23(Wed) 12:48:49

【人】 書生 茅

[ヒトの身に、天狗さまの妖力は過ぎたものだった。
だから青年の身体はそれに見合わんと、変わらんとするのだが…まだ、まだ。足りない。
巡る妖力が暴れ、扱いを知らぬ青年は振り回され……遠くの声を、音にならぬ声までを拾ってしまう。

いっそ、憎めたらよかった。
  憎むには、愛しすぎた。

呪えたら、よかった。
  呪うには、情が湧きすぎた。

生まれついての化生であれば、こんなにも青年を苛むことはなかったろう。
ヒトで、なければ。
  ヒトで、なくなれば。

ざわりと、青年の背中で黒い靄が渦巻く。

欲しいなら、奪えば良い
けれど青年の欲しかったものは…
欲しかった、ものは……]
(70) 2021/06/23(Wed) 20:15:37

【人】 書生 茅

 
[
『落ち着けぇ、小僧!』


その声>>36に、横面を張られたように錯覚した。]
 
(71) 2021/06/23(Wed) 20:16:15

【人】 書生 茅

[気づけば重ねられた唇に、瞬き一つ。
奪うような口づけではない。
少しだけ吸われ、腕の中に囚われる。

いつの間にか、頭蓋の内側で響いていた声が、幕の向こうのように遠のいていた。
自然、解放した耳から、『青年の為の言の葉』が滑り込む。]

 『お前の居場所』

       『お前はワシの嫁じゃ』

   『ここに居れ』


        
              『何処にもいくな』
(72) 2021/06/23(Wed) 20:17:20

【人】 書生 茅

[腕の中で青年が伸び上がり、天狗さまの頬を両手で包んで口を吸う。
その言の葉一つ一つも喰らわんとする様に。

伽藍堂の心臓を、温かいもので埋めたくて。
飢え切った雛鳥は、いくらでも餌を求めて嘴を開く。

ちゅちゅ、と唇を重ねる内、『要らない』声が遠のいて、消えた。
代わりに青年の背中に、黒い翼が揺れる。
天狗さまのそれと比べればずっと小ぶりで、飾りみたいなものだけど。
瞳の色は落ち着いた朱に変わる。]
(73) 2021/06/23(Wed) 20:18:37
 




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