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【人】 鬼 紅鉄坊── 来たる冬 ── では、行ってくる 見つければ村近くまで届けねばならないのでな、 遅くなるだろうが、心配しなくていい [ 戸口に立った千を見下ろし、頬を撫でる。 人よりずっと強く逞しくある鬼の身体とはいえ、 凍える空気の中その命の温かさが愛おしい。 少しばかりの名残惜しさを覚えながら、背を向け山の奥へ歩き出す。 その日、独り寺を出たのは陽が昇りきった刻 薬屋の店主が訪ねて来た後だった。 ] (48) 2021/07/01(Thu) 1:56:16 |
【人】 鬼 紅鉄坊[ 奪い合った時間、抱いていた温かさはもう名残も無い。>>37 その分過ぎた日々で、幾度も触れてきた。 すっかり梔子の実が橙に染まり、収穫を終えたのは数日前のこと。 辺りは白に包まれ、すっかり姿を変えている。 この百数十年山で過ごし、数える程しか見たことのない雪。 やはりこのところの気象が影響しているのだろう。 店主曰く、その中で一人の子供が朝から山に遊びに行ってしまい 昼を過ぎても帰ってこず、村人が立ち入れる範囲では見つからない。 先日実を引き渡した際、寺を気にしている様は気に掛かったが 村の者など皆、どうせ千を嫌っている。早く喰われろと思っている。 引き合わせたわけでもないなら、そこまで気にすることもない。 千について口に出して何かを言うでもなかった男の願い、 小さな子供の命が掛かっているとあれば、引き受けぬ理由は無い。 ] (49) 2021/07/01(Thu) 1:56:32 |
【人】 鬼 紅鉄坊……一体、何処に行ったんだ [ 山は何処までも静まり返っている。 どれ程歩いても、痕跡は見つけられなかった。 同胞が騒いでいないのなら、つまり襲ってはいない。 雪はとうに降り止んでいる、 途中からでも隠されていない足跡がある筈だ。 陽の傾き始めた空を木々の合間から確認し、ふと気づく。 ああ、 そういえば性別も名前も聞いていなかった。 ]* (52) 2021/07/01(Thu) 1:57:19 |
【人】 鬼の花嫁 千─ 必然の冬 ─ 寺の中を暖めながら待ってるさ 精々あんたに怯えた迷子の捕まえ方でも考えとけよ、ひひ [口角を歪めた笑みで可愛げのない事を言い、千は鬼を見送った。 自分など気にせず、子供を見つけることに集中出来るように。 その目立つ姿が白に消えるまで、中に戻ることなく見つめていた。 こんな寒い日に迷惑な子供だと思う。だが、雪が物珍しい気持ちは、分からなくもない。 村人が門前まで訪ねて来るまでは、千と鬼も外の景色を寄り添って眺めていた。] (53) 2021/07/01(Thu) 1:57:45 |
【人】 鬼の花嫁 千[朽ちた穴を板で塞いでいるような廃寺の中はとても寒い。 座敷牢は、陽が入らないがしっかりとした家の中だった。 それでも、千にとってはこの場所のほうが好ましい。 いつも共に食事を摂る、かつて像が置かれ経を唱える為に使われていた広い部屋の中。 長らくしまいこんでいたあの白い着物を纏った上に、更に外套を羽織り 燃えた石炭を、灰が入った火鉢の中へと火箸で移していく。 鉄瓶で湯を沸かすのは、鬼が帰ってきてからだ。 時折灰をならし新しく炭を運びながら、火鉢の前で手を擦りその時を待っていた。] (54) 2021/07/01(Thu) 1:57:59 |
【人】 鬼の花嫁 千[──待てども待てども、その時は来ない。 陽は既に暮れようとしていた。 まさか自分のように子供が襲われてしまったのだろうか。 見つかっていないなんてことは、まさか無いだろう。 いくら送って行くとしても、怯えられたとしても遅すぎる。 鬼にとっては庭に等しい筈の山、理由の分からない不安。 今更飛び出すことも出来ず、もどかしさが胸に渦巻くばかり。] (55) 2021/07/01(Thu) 1:58:12 |
【人】 鬼の花嫁 千[そんな時に戸口が開く音がすれば、何の思考もなく喜んでしまう。 立ち上がり、直ぐに迎えに行ってしまう。 最初から迷子などいなかったなど、鬼すら知る由もないことだ。] (56) 2021/07/01(Thu) 1:58:23 |
【人】 鬼の花嫁 千紅鉄様……!随分遅く…… [その時の千は、鬼子であった男は まるでらしくなく、ただの人間みたいに笑みを浮かべていたのだろう。] (57) 2021/07/01(Thu) 1:58:36 |
【赤】 鬼の子 千ッ…… [だが、立っていたのは待ちわびた鬼ではなく 大鉈を携えた中年の男、招かれざる客。 男が薬屋の店主であるともその娘達に起きた悲劇も、鬼に引き合わされず語られもしなかった千は知らないが 開いた瞳孔や発した言葉、生き物としての本能の警報が危険をありありと伝えてくる。 戸口は相手に塞がれている。後退るしか出来ない。 台所にある戸から外に出られる、逃げる隙を見つけなければ──] (*8) 2021/07/01(Thu) 1:59:19 |
【赤】 鬼の子 千「何故、お前だけが!」 あ゛…… あ゛あ゛、あ゛ぁぁっ!! [振るわれるのは想像したまま。 避けようと身を逸らせた時、起きたことは想定外。 嫌な音を立てて失われた視界の半分。 叫びに近い悲鳴を上げながら蹲り、たまらず熱と激痛を発する部位を手で抑える。 千はただの人間だった。良い家に生まれ、閉じ込められてもその中にいた。 こちらに殺意を持った相手との戦いの術など、持っていない。 伯父に振るわれる暴力は拳か足で、気絶すらしない程度のものだった。] (*9) 2021/07/01(Thu) 1:59:35 |
【赤】 鬼の子 千「鬼の子がのうのうと生き延びて、 何故うちの娘達が死ななければならなかった!」 [その腕を男が掴み剥がし、床へと引き倒す。 最早千に出来るのは、呻き叫びながら罠に掛かった獣より惨めに無意味に身を捩り続けることしかない。 そこからはされるがままに、激情を吐き出され引き裂かれてゆくばかりだった。] (*10) 2021/07/01(Thu) 1:59:52 |
【赤】 鬼の子 千[やがて声すら潰えてゆく。 陸に上げられた魚のように振り下ろされる大鉈の動きに重なり身体を跳ねるばかりの、獲物。 獲ってきた獣を見て喜んでくれた記憶が過ぎったのは、走馬灯なのだろうか。 紅鉄坊との日々は、やはり鬼の子なぞには過ぎた幸せだったのだろうか。 こんなことになるなら、やはり喰らわれたら良かったのだろうか。 男の憎悪の叫びも与えられる痛みも、今は遠い。] (*11) 2021/07/01(Thu) 2:00:05 |
【赤】 鬼の子 千[がらりと色彩を変えた空間、動く者は何処にもあらず 誰もいなくなった部屋で虚しく音を立てる火鉢の熱は、開かれたままの戸から吹き込む風で意味を成していない。 横たわり、その寒さに晒されている男の上下する胸の動きは眠りの最中よりずっと微かなもの。 老人のような白髪は身体や部屋と同じく斑に紅で汚れ、乾き始めている。 命がかき消えるまで、残る時間はもう僅かだろう。*] (*13) 2021/07/01(Thu) 2:01:36 |
【人】 鬼 紅鉄坊[ 人の善意を信じる鬼は、何の情報もなく未だ彷徨い続けようとしていた 何処からか怒号のように響き渡る、 育ての父たる男の声がその歩みを漸く止める。 直ぐに同胞が狼狽え囁き合うような気配を、あちこちから感じた。 ] まさか…… [ 鬼は漸く気づく。 山に棲まう妖らにとっても想定外の、非常事態が起きている。 迷子など、何処にもいない。 ] (59) 2021/07/01(Thu) 2:02:28 |
【人】 鬼 紅鉄坊[ 輿入れの季から時は過ぎ、 鬼の知る彼らしい振る舞いをしていた薬屋の店主。 その傷は決して癒えないものだとしても、 裏で何を考えていたのか、思いもしなかった。 体躯に似合わぬ速さの走りが、鬼の焦りをありありと表す。 己を傷付けることなど無い枝や草など押し退け、 道無き道を駆け、最悪の想像を払う為に寺を目指す。 ] (60) 2021/07/01(Thu) 2:02:43 |
【赤】 鬼 紅鉄坊なんだ、この匂いは…… [ 酷く食欲を唆る。濃すぎる血の芳香だ。 門に到達する前から、強く鬼の鼻腔へと届いた。 ほんの一時、指から流れる一筋を舐めただけの 千の血を思い出すことは、流石に無い。 だがこの状況で嗅ぐそれは、不穏を煽るに充分なもの。 ] (*14) 2021/07/01(Thu) 2:03:02 |
【赤】 鬼 紅鉄坊千……ああ、千! 何故、どうしてお前が…… [ 衝撃でぐらついた視界、なんとかよろめきを堪えて戸を潜った。 込み上げる本能への嫌悪で、胃酸がせり上がる。 抱き上げよく見れば、片目から顔に掛けて傷つけられている。 外套の前を開けば、白い着物が無残に色を変えている。 まるで自分と対照にされたような傷の他にも、 酷く虐げられた跡が身体中に存在していた。 刃物を使ったのだろう。同胞の所業ではない。 これはやはり──薬屋の店主からの、村人からの報復だ。 ] (*16) 2021/07/01(Thu) 2:04:56 |
【赤】 鬼 紅鉄坊お前は何も悪くないのに 全て、これからの筈だったのに…… [ かつて同じであった人の子を喰らい続ける同胞と、 彼らを見捨てられず約束を取り付けた自分に罪はあろう。 それでも千は無関係だ。 村で千が何をしていても、鬼子と呼ばれるに相応しい悪人でも 花嫁たちは彼のせいで死んだわけではない。 報いを受けるべきは自分だ。 村人を飼い殺すような契を押し付け、長きに渡り花嫁を送り 今更全て捨てて千と外の世界へ向かおうとしていた鬼だ。 ] (*17) 2021/07/01(Thu) 2:05:20 |
【赤】 鬼 紅鉄坊千、死ぬな…… 私を置いて行かないでくれ…… [ 微かに息があることに気づいても、鬼の声は絶望に震えている。 血が足りない。傷が多すぎる。 収穫した実は全て薬屋に渡した。 対価は後日、寺まで届けられる筈であった。 約束の傷薬も、“これからの為”求めた止血の生薬 ──梔子の薬も此処にはない。 血に塗れた愛しい唯一に、何も出来ない。 命が、消えてゆく。このままでは、千は死ぬ。 ]** (*18) 2021/07/01(Thu) 2:06:01 |
【人】 水分神[妾はずぅっと嫌だったのじゃ。 人の子を気に入ってしもうた その先に 必ずきたる別れのことが。 最初から近づかなければ良い。 そう自らに思い聞かせてきたと言うに。] (61) 2021/07/01(Thu) 2:32:25 |
【人】 水分神[どうしようもなかった。 その男は、料理がンマかった。 掃除が完璧じゃった。 我儘な妾に懲りず呆れず 笑顔でついてきおった。 優しかった。 単なるご機嫌取りじゃと思うて 抑えようとしても抑えられぬほど まいにちが嬉しさで満たされてしまったのだから。] (62) 2021/07/01(Thu) 2:32:29 |
【人】 水分神[頼み事を投げ出し 村に逃げ帰ってくれていたらと 考えていた一方で いいや逃げ出してしまう様な お主ではないと確信する妾もいた。 故にこそ 行かせてはならんかったのじゃ。] (63) 2021/07/01(Thu) 2:32:49 |
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