【人】 軽音部 千葉郁也──3day旧校舎前・夜── [旧校舎の前で工藤が戻るのを待つ間、 スマホを開いて指を滑らせる。 一回生存報告を流しただけのグループメッセージ。 明日から使われることがあるかわからないそれに、 報告くらいしておこう。] (139) 2022/10/22(Sat) 12:01:29 |
【人】 軽音部 千葉郁也[今日のミッションはいろいろあって。 内心の臆病を振り払って人の地雷に踏み込んででも得た友情。 過程を考えれば恙無くとはいえないが無事に終えられた肝試し。 感謝と応援と、若干の私情を含めて渡した記念品。 俺自身は多分何も変わってないけど、 それがいいと思えるような 後悔しない結果を残せたことを覚えておきたいと思う。 既に幽霊に会った人もいるだろうし、 これからの人もいるのだろう。 会いに行かない選択肢をした人も。 皆がよかったと思ってこの日を終えられたら良い、 と思いながらメッセージを送信した。]** (140) 2022/10/22(Sat) 12:06:07 |
【人】 白瀬 秋緒― 三日目午後・中庭 ― [ 千葉は、己の思考を待ってくれていた 感謝を告げると、返ってきたのは予想外の言葉>>79 ] え? ……あたしは、お礼を言われるようなことは、 ……でも、そう、なのかな…… [ 確かに、ここまであからさまならば、 己も絵音と何かあったことを察するのは容易だろうが 絵音がどの時点で願いを変えていたのか知らなかったから メッセージを見て、己に譲歩はしてくれるとは信じていたけれど、 彼の願いを、その時点で別のものに出来ていたとは思ってもいなかった だから、お礼を言われる方の資格もない、と思うから 素直に受け取れない ] (141) 2022/10/22(Sat) 12:44:01 |
【人】 白瀬 秋緒[ 今の「津崎絵音」を己は何も知らない ……知らなかった 今は、それでも昔の面影があることを知っているし、 その姿の理由も察してしまった 置いて行かれたとか、 勝手な疎外感とかは、もうなくて あの少年だけではなく、今の絵音も全て含めて、 津崎絵音の未来を喜べる程度には近付くことが出来た 絵音の未来に己が居らずとも良い、とは思う 関わる資格も、今更ないと思っている けれどそれは、許されるかどうか、怖いだけなのかもしれない ] (143) 2022/10/22(Sat) 12:44:56 |
【人】 大木慎之介─ Last day 夜・出弦高校 敷地内 ─ [敷地内のどこかで過ごしていたとき、 ふとメッセージの通知に気付く。>>139 開いてみると、それはグループ宛の 千葉からのメッセージだった。>>=8 『ミッションコンプリート』という言葉から 受ける印象はとても明るく、希望に溢れている。 魚を添える心の余裕がそう感じさせるのだろうか。 千葉は幽霊のことを知らずに旧校舎に参加していたが その後に何があったのかは全く知らない。 気になってはいたが、教室まで訪ねていくほどの 間柄でもなく、この3日間は行動範囲も被らなかった。 ちょうどいいきっかけだからと、時間潰しも兼ねて 千葉にメッセージを送ることにした]** (145) 2022/10/22(Sat) 13:14:34 |
【人】 秋月壮真前より酷いじゃないか 秋緒は全部抱えてしまうから 決壊しないか心配だよ だって今の俺ですら この三日間が目紛るしかったんだ (150) 2022/10/22(Sat) 14:06:37 |
【人】 秋月壮真[ 不器用だね。 人に吐き出す方法を知らないのなら 俺からお手本を見せようかと思ったりもしたよ。 でも俺も不器用だった。 人は足りない生き物だ。 いろんなところに穴が開いていて その時になって自分の足りない部分がわかる。 ] (152) 2022/10/22(Sat) 14:07:00 |
【人】 軽音部 千葉郁也 少なくとも、津崎のことを大事に考える奴が いたことをよかったと思う。 だからありがとう。 [零された疑問のような呟きにはそう肯定を返して。 “これから“への回答はなかったけれど、 どうするかは秋緒次第だと思えば重ねて 先の話を語ることはしなかった。 そうしていくらかの沈黙が落ちた時だったか、 秋緒がスマホに目を落とすのを見詰めた。>>81 それが誰からの連絡であるか示す震えた声音に “よかった“と続けば、 アイツが戻ってきたのだとわかったから] じゃ、俺はそろそろ戻るかな。 津崎によろしくな、秋緒。 [そう一言声をかけて、中庭から離れた。] (155) 2022/10/22(Sat) 14:52:27 |
【人】 天ヶ瀬 青葉 ── 回想:天ヶ瀬 青葉 ── ヒーローごっこよりは人形遊び 格闘ゲームよりは着せ替えゲーム カッコいいものよりは可愛いもの 男の子とよりも女の子と遊んでいる事が多かった。 家では、母がお菓子教室を開いているせいもあってか 毎日のように付き添って、一緒にお菓子を作ってた。 男子の輪に混ざらないものだから、 時々からかわれたりする事もあったけど。 仲のいい女子が庇ってくれたりして そこまで気が沈んだりはしなかった。 女子が着てきた可愛い服を羨ましく思ったり 修学旅行の男子部屋で、居心地の悪さを感じたり 多少の事はあったけれど、小学校の時は それとなく過ごせていたんだ。 (157) 2022/10/22(Sat) 15:36:16 |
【人】 天ヶ瀬 青葉 それから一転して、 中学に進むと途端に息苦しさを感じるようになった。 熱湯風呂に手を突っ込むような感覚で 毎朝、男子の制服に袖を通して、登校する。 この感覚は、今になっても。 >>2:219 " 誰が好き "とか、男性アイドルの話とか 話題も変わってきたからか クラス内で女子の輪に混ざろうとしても 段々と、いい顔をされなくなっていった。 僕は、ひとりで休み時間を過ごす事が増えていった。 この頃、料理部の部活だけが救いだった。 女子の輪に混ざって、お菓子の話をしながら作る。 男子生徒なら敬遠しがちな状況だけど、 僕にとっては一番心が落ち着く時間だった。 (158) 2022/10/22(Sat) 15:36:18 |
【人】 天ヶ瀬 青葉 そんな或る日、 僕は部活で使うエプロンを新調しようと ショッピングモールへ足を運んだ。 フリルのついた可愛いデザインに惹かれたけど 選んだのはパステルブルーの無難なエプロン。 本当に着たいエプロンを我慢したせいか、 新調したのにもかかわらず 少しモヤモヤを感じながら歩いていれば。 古着屋さんのテナントで 可愛らしく着飾ったマネキンが目に留まった。 一着500円とか、僕のお小遣いでも買える値段。 店内で一時間ぐらいは悩んでたと思うけど、 赤めた顔を隠すように俯きながら レジへ持って行ったのは ピンク基調のワンピース。 この日、僕は初めて女の子の服を買った。 (159) 2022/10/22(Sat) 15:36:21 |
【人】 天ヶ瀬 青葉 家族が寝静まった深夜。 自分の部屋でだけ僕は" 女の子 "になる。 鏡の前でスカートを靡かせながら一回転。 重い枷が外されたかのように、身体がとても軽かった。 ああ、これが僕だ ──── そう思った。 今に思えば、此処で止めておけば良かったんだ。 こっそりと女の子の服を増やしていった僕は 今度は誰かに、この姿を認めてもらいたくなった。 そこで僕は、SNSで女の子としてアカウントを作り 着飾った写真をアップロードするようになった。 最初は顔を隠していたけれど、 レスで望まれたらチラッと写した画像を載せたりして。 ここでは女の子として扱ってもらえることが 僕は何よりも嬉しかったんだ。 (160) 2022/10/22(Sat) 15:36:23 |
【人】 天ヶ瀬 青葉 『 このアカウント、お前じゃね ? 』 僕の扱いが一変したのは、同級生の一言からだった。 違うよと首を振っても" BLUE Leaf "だなんて 名前をもじっただけのアカウント名、 顔も写ってる画像もそのままだったから。 トイレに駆け込み、 すぐにアカウントを消したけれど、 既に保存された画像と共に 僕の噂はクラスから学校中へと広まっていった。 (161) 2022/10/22(Sat) 15:36:25 |
【人】 天ヶ瀬 青葉 女装、だの キモイ、だの ネカマ、だの 陰口は僕の耳に届く範囲でも囁かれた。 そんなんじゃないって言い返せるほど 強くも無かった。 しばらくは、ずっと我慢していたけど 心の拠り所だった料理部でも疎外され、 やがて 僕は登校しなくなった。 担任が家庭訪問してきて、両親と話した日の夜は リビングから言い合う声が僕の部屋まで響いた。 " お前が男らしく育てなかったから! " 壁を挟んでも届く父親の声に 僕はベッドの上で布団を巻きつけ、必死に耳を塞いだ。 こんなにも両親を悲しませて 生まれた後から性を選ぶのは悪いコト、なんだな (162) 2022/10/22(Sat) 15:36:29 |
【人】 天ヶ瀬 青葉 夢に向かって、真っすぐ突き進む女の子。 ユメリンの動画を観れば観るほど、 僕は彼女に熱中していった。 調べてみてわかった事だけど、 彼女は" 不幸の女の子 "なんて呼ばれていたりもした。 事務所の社長がお金を持ち出して逃げたり、 ライブ当日、停電になったり 握手会で襲われそうになったり。 不幸エピソードは、数え上げたらキリがないぐらい。 それでも彼女は" いつか、夢の向こうに! "って 応援しているファンへ手を広げていた。 僕は彼女に憧れた。その強さに。 >>0:388 僕も彼女の様な存在になりたい、って この想いを忘れないようユメリンのヌイグルミを作った。 (164) 2022/10/22(Sat) 15:36:34 |
【人】 天ヶ瀬 青葉 少し、前向きな気持ちになれた僕は 両親が勧めてきた出弦高校を受ける事にした。 此処から遠く離れているけど、 ここ数年受験する生徒がいないから 新たな環境として良いのでは ? ───そう担任に言われたらしい。 欲を言えば制服のない学校が良かったけれど 僕にそれ以上の選択権は無かった。 ネットを徘徊してる間、色んな情報をみつけた。 僕みたいに生まれながらの性に疑問を持つ人は それこそ星の数ほどいた。 僕はどうするべきか考えたけど、 両親をこれ以上悲しませたくなかったから 高校は普通の男子として過ごす決意をした。 卒業して、自立してから 僕は" 本当の僕 "になろう、と。 (165) 2022/10/22(Sat) 15:36:36 |
【人】 天ヶ瀬 青葉──── そして現在。 幽霊が" 願い "を叶えてくれると言う。 男であることの痛みを 今でも強く抱えているけれど。 願いが叶えば 今の高校生活もまた一変する。 " 男子バスケ部 "は辞めざるを得ないだろうし、 中学の時のように奇異の目を向けられ また、独りぼっちになるかもしれない。 ──── それは、とても怖くて。 期限を迎えた三日目。 始めから願いは決まっているというのに 僕の心の天秤は 今もまだゆらゆら、と揺れていた。** (167) 2022/10/22(Sat) 15:36:42 |
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