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【人】 神置 穂村[階段状に座席がる大教室棟に到着すると 教室の出入口とは逆方向、裏側に向かう まるで、小さな路地裏みたいな うなぎの寝床の入り口がそこにあり 中に入ると長屋よろしく複数のドア並ぶ そのひとつひとつが練習室ではあるが 他の棟の練習室にはあるピアノはない 弦楽器は自分でチューニングできるため ピアノは不要というのが、その理由と聞くがさて] (178) 2020/05/19(Tue) 21:09:03 |
【人】 神置 穂村[弦楽器専用の練習室、通称「弦練」は 弦楽器専攻の学生の溜まり場でもあった ピアノや声楽と比べたら 元々、母数は少なく縦横でもほぼ顔見知り 講義の時間中で人は少ないとはいえ 誰かしらはいる場所でもある] …ちょっとここで待っててくれ この奥の方にある部屋行ってくるから [それほど弦練は広い通路でもないし 色々と面倒になりそうとも思い うなぎの寝床の入り口付近の廊下にある 長椅子に座ってくれと、指差した] (179) 2020/05/19(Tue) 21:09:57 |
【人】 神置 穂村[ふと、昔を思い出してしまったのは きっとただの感傷だろう 一番奥にある部屋で 自分のケースを持って出る前に 思わずスマホを取り出して ユージンにメッセージを送ったのも ただの感傷に違いない] (180) 2020/05/19(Tue) 21:11:49 |
【人】 世界の中心 アーサー[ きっと紙幣を散らそうと、 金を遠くへ投げようと、 薔薇の血の通う限り 逃れられない牙だった。 ──今此処に生きているのだって、 唯、奇跡のようなもの。 …あの夜の夢も、大概酷かった。 背中に残る傷を背負い、獣の唸りを耳元に聞く。 そりゃあ良い夢なんか見られようはずも無い。] (183) 2020/05/19(Tue) 21:40:09 |
【人】 世界の中心 アーサー[ 薔薇ばかりの咲き誇る、中庭。 外からは見えないし、滅多に邪魔の入らない、 男にとっては、第二の私室のようであった。 散りばめられたベンチにも、座るのなぞひとりくらいで 中央に座すガゼボには、ラタンの家具が詰め込まれ… “第一”の私室に比べて、だいぶごちゃごちゃしていた。 本棚のラインナップも、 随分と“大衆向け”に変わっていた。] (185) 2020/05/19(Tue) 21:43:20 |
【人】 世界の中心 アーサー( ほとんど客を通すことのない、 そういった部屋だ。 良く知る執事も、ホットミルクを置いて 直ぐ、何も言わずに消えている。 ) (186) 2020/05/19(Tue) 21:44:03 |
【人】 世界の中心 アーサーふふ、 彼らももう諦めているよ。 君を“連れ込む”のも、僕が外に出ないのも。 それとも、もっと好待遇が良いのかい? (187) 2020/05/19(Tue) 21:44:25 |
【人】 世界の中心 アーサー[ ──先ずはドレスを着るところからだな。 ソファに沈み込みながら、マグに口を付ける。 微かにブランデーの香り。 アルコールなんかとうに飛んでいるけれど、 温かさに解れた舌はさらりと 悪態を受け流していた。 見上げれば、まあるい月。 燭台の明かりなど、必要もないかもしれない。 すこぅしずつ、 頬にも色が差していた。] (188) 2020/05/19(Tue) 21:45:27 |
【人】 世界の中心 アーサー──香りが良いだろう? 特に紅はいい。 僕の色だ。 元々百合園だったのだがね、僕は好かなかったんだ。 息苦しいような気がして── (189) 2020/05/19(Tue) 21:45:49 |
【人】 世界の中心 アーサー[ “リドル”の家の証は、百合であった。 二十年前、前“リドル”が死んだ時まで、 薔薇の咲き誇る屋敷になったのは、つい最近のこと。 ──知らない、というのが、 心地良いときだって ある。 外に出ない以上、新しい景色を見ることもない そんな男にとって 目の前の彼女は、 ──確かに、目であるのだろう。 碧の、 未来以外を映す、 ] (190) 2020/05/19(Tue) 21:46:32 |
【人】 世界の中心 アーサーこの薔薇は食用だよ。 パンの代わりに薔薇を食べるのだって良い。 [ ──大して腹には貯まらないけれど。 そうわらいつつ。 窓を薄く開け、いくつか花弁を手折ったなら、 硝子と、マグにひとひらずつ、香りを足すように。] (191) 2020/05/19(Tue) 21:47:20 |
神置 穂村は、メモを貼った。 (a20) 2020/05/19(Tue) 21:47:20 |
【人】 兄 エーリク─不穏な風 闇は馬車を追う─ 満月、か。 [時刻はとうに深夜といってもいい頃合い。 紫の本を手に訪れたのは屋敷からほど近い森の開けた土地。 カミラの言葉を検証するため、両親に許可を得て。] (闇の魔術は誤解と偏見ばかりだからな) [本来であれば属性の一つに過ぎないのだが 強大な術式が多いことと、扱える人物が少ないが故 危険な魔術と見做されることも少なくない。 最も、母上が父上を贄にされかけブチ切れた事件も その誤解を助長させてはいるのだが。] (192) 2020/05/19(Tue) 21:56:23 |
【人】 兄 エーリク ん? [ガラガラと何かが近くを通る音……馬車だ。 獣道の方へ向かう馬車にしては何だか豪華だな? 紋章や商会証は無いけど、いかにも訳ありという風貌だ。] (あれは…………!?) [後方から走ってきた別の馬車。 まるで、前の馬車を追いかけるかのような。 しかも……馭者はリヤル商会のアルフォンスさんじゃ無いか!] (193) 2020/05/19(Tue) 21:56:46 |
【人】 兄 エーリク アルフォンスさん! [魔術により咄嗟に身体強化を施した僕は ただならぬ様子のアルフォンスさんに気付き 馬車と並走して声を掛ける。 他に馬車を護衛する顔見知りの人達が 皆一様に驚くような視線には気付かない。 端から見れば馬車と全速力で平行する人間が 如何に不自然かなどこの時は皆目見当つかぬもまま。] 何ですって!? [だがアルフォンスさんが教えてくれたのは予想外のことだった。 夜分に何者かが侵入し、セレン嬢を誘拐したのだと!] (194) 2020/05/19(Tue) 21:57:06 |
【人】 兄 エーリク じゃあ、あの馬車にはセレン嬢が……? [縁談の話は聞いていた。中には不穏な話もあった。 だが──こうも強行な手に取られたことは初めてらしい。 ふと、前の馬車とこの馬車の距離を見やる。 まずい、このままじゃ逃げ切られる。] ──────ッ! [より馬車が距離を離したことに気付き 先に気配遮断を掛け、次に身体強化強化を最大限に上げて ・・・ 一気に馬車2台分の間合いを跳んだ。] (195) 2020/05/19(Tue) 21:57:21 |
【人】 兄 エーリク (────よし……。) [少々荒技過ぎて不安だったが、 前の馬車の天井に無事飛び移れたようだ。 透視で馬車を覗けば暗殺者らしき男が一人と 手足を縛られ、口を塞がれぐったりするセレン嬢の姿が見える。] (196) 2020/05/19(Tue) 21:57:38 |
【人】 兄 エーリク[何故 誰が 一体 何の目的で それ以前に沸き起こったのは、怒りだった。 ────嗚呼、愛した者に危害を加えた者を 決して許さない母上の血を…… 確かに僕は、引いてたようだ!] (197) 2020/05/19(Tue) 21:58:11 |
【人】 兄 エーリク[セレン嬢を馬車から一刻も早く救い出したい。 けれど、後ろのアルフォンスさん達と僕だけでは 救出に些か不安がある。] (……嫌な予感しかしないけど) [あの家族が騒動に絡んだらどうなるか、 その大変さと混沌は18年の人生で身を以て知っている。 けれど、今は他に頼れる人が一人もいないから。] (198) 2020/05/19(Tue) 21:58:28 |
【人】 兄 エーリク[揺れる馬車の上で何とか体制を取りながら 紫の本を天井に置き、ページを広げた。 転写の術式を施せば脳内に思い描いたことが 紙面に一字一句そのまま転写される。 普段であれば、遠くにいてもテレパシーのような手段で 人に聞かれず会話出来る『念話』があるけれど カミラへ頼み事を伝えるには、念話だけじゃ不十分だ。] 『ジョバンニ、遅くにごめん。緊急事態だ。』 [家にいるジョバンニに念話で呼びかけ、 事情を説明し彼の元へ本を転送させて貰った。 彼なら確実にカミラを起こして本を届けてくれるだろう。 両親への根回しも察してくれた辺り、本当に優秀で助かる。] (199) 2020/05/19(Tue) 21:58:47 |
【人】 ミア[ だから、多分、 広いソファに寝転がって、其処に居る。 執事に真新しい水を手渡されたときに、 自分の 在り場所 と、言うのか、 そういうものを ぼんやりと思えど、─── ] (202) 2020/05/19(Tue) 22:40:54 |
【人】 ミア[ 今までが今まで、だったからか。 言っておいて"好待遇"の想像もいまひとつ浮ばず。 ドレス なんて言葉に 露骨に嫌そうな顔をするあたり、 多分、遠い遠い話だろう。 ……走れも登れも出来やしない服なんてなんの為に。 薔薇の中を静かに、 ───物理的な意味では無く、歩めとか、 そう言われても困る。一種の拷問とすら 思う。 ] (203) 2020/05/19(Tue) 22:41:15 |
【人】 ミア─── 百合の匂いは 好きじゃ無い。 [ 其れだけ。 何時か盗みに入った 此処では無い 名も知らない貴族様の家を想いつ。 湖面を 見詰めて。 乗せられた花弁をひとつ、食んだ。 ] (204) 2020/05/19(Tue) 22:42:26 |
【人】 ミア[ 拍子。 硝子からくちびるが離れるから、 そのまま 机に置いてしまって。 ……銀色の無い手はあまりに暇すぎる。 一瞬 宙で迷った。泳ぐよに、 ] (205) 2020/05/19(Tue) 22:44:02 |
【人】 ミア[ 何時かの、か、今もか、 薔薇ひとつで暫くもっただろうと思う。 売っても、良いかもしれない。 此処に居る奴の 土壌なんて、そういうものだ。 本棚に伸びた指先は、適当な背表紙を傾け、 ─── 薔薇が描かれているものだった。 だからか、そのまま、頁を手繰り、 ] (206) 2020/05/19(Tue) 22:45:13 |
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