人狼物語 三日月国


177 【誰歓RP】bAroQueチップで遊ぶ村【月見】

情報 プロローグ 1日目 2日目 エピローグ 終了 / 最新

視点:


蒼い三日月が辺りを照らす。伝承は果たして真実なのだろうか。
もし真実であるならば、異形の刃を見つけ出し、打ち砕かなければならない。

どうやらこの中には、村人が7人、人狼が1人いるようだ。

【人】 古物商 九朗


 こんばんは
 一二三、いますか?

[ガラガラ、と工房の戸を開けて男は友人を呼ぶ。*]
(0) 2022/10/01(Sat) 8:00:00

【人】 虹彩異色症の猫

―雨中―

[ 猫に箱外のことはわからない。

 ただいつもの快適な寝床や居住まいから離され、今は狭い箱に閉じ込められている。急ぎ足故>>0:40収められた箱の内は小刻みに揺れる。
 様子を伺うのか怯えているのか、四肢を縮めじっと蹲っていると揺れが止まった。蹲った姿勢の中倒し開いてひくひくと耳を動かすと、雨音の中に聞き慣れた声と聞き慣れない声を拾う>>0:46>>0:49。]

 ナ〜〜〜。

[ 激しい雨飛沫の中でか細いそれは聞こえただろうか。
 自分をこんなところに閉じ込めてとも、除け者になにをしているのかとの抗議の響きに聞こえなくもない。]*
(1) 2022/10/01(Sat) 10:08:30

【人】 虹彩異色症の猫

―帰宅―

[ なにせ上機嫌で散歩に出掛けたと思ったら、騙し討ち同然に気疎い場所に連れられたのだ。しかもその場に置いていかれた。この恨みは深い>>0:50

 澤邑が去った後、猫がおあん、おあん、と落ち着かなげにゲージの中で呼ばわっていたことを、病院の人間はいちいち澤邑に告げはしない。

 一頻り不貞腐れ隠れたと思ったら今度は寝床に来て恨み言だ。鳴き疲れた頃に眠ってしまった。

 今は気に入りの鼠の玩具を取り上げた手を叩いているが、爪を出している訳ではない>>0:51。どうかすれば玩具の代わりにその手で遊んでやろうという塩梅だ。
 鰹節か煮干しなりを手ずからやればすぐ機嫌はよろしくなる。そうして澤邑のよく座る座布団の上で眠る。

 晩酌の際は常に澤邑の膝の上にいること、普段からうるさい子らを避けて澤邑の部屋に居座ることが多い為、子猫が来ると知った時に騒いだ子らも、今はすっかりこゆきは祖父の猫との呼ばわりだ。家の中に猫がいればそれは構おうとはするが、こゆきが相手にせずすぐに逃げる為、自分たちの猫が欲しいと最近は言い出す始末。
 それを横目に顧みもせず、猫は澤邑から晩酌のお零れで貰った刺身をてちてちと舐めている。

 猫は風流など介さない。秋の夜空の具合は、明日の観月を充分期待させるものだが、濡れた鼻先を必死で両手で洗っている>>0:51。]
(2) 2022/10/01(Sat) 10:10:47

【人】 行商人 美濃

―回想・雨の路上にて・箱の中の猫―

[大切な箱の中のお披露目はこの天気では無理なこと。>>0:49

それは仕方のないことだからと女もわかってはいるけれど>>0:52、中に収まった面立ちを想像するくらいには気になってしまうのも仕様のないこと。

晴れた後に見ることができればと思っていたところ、どこか不機嫌そうなか細い声を雨音の中に拾った。>>1]

 ふふ、姿は見えなくても、
 今はその可愛らしい声だけで。

[箱を持つ主人を咎めてでもいるようなその声に、きっと猫可愛がりしているに違いないお猫様に翻弄される、この人の良さそうな男性の姿がうっすら脳裏に浮かんだから。

女は仮面の下でクスクスと笑ったのだった。]**
(3) 2022/10/01(Sat) 11:40:30
行商人 美濃は、メモを貼った。
(a0) 2022/10/01(Sat) 12:16:11

【人】 修理屋 一二三

[工房の戸が開いたのは、>>0
陽も沈みきって宵闇が闇夜になった頃だった。
昨日は昨日で雨の中ふらりとやって来て。
時間も遅いから泊っていくかと聞けば、
「明日使う小豆の様子が気になるから」って理由で
いそいそと傘をさして戻って行きやがった。

雨は例年通り明け方には止んでいた。
元々この時期の長雨を考慮して数百年前に建築された
榛名はまめな放水の甲斐もあってか、
昼過ぎには目立った水溜まりもなくなっていた。]

 ――― ん?
 あぁ…、どうした。
 続けて来るなんて珍しいな。

[若い時分に互いの家や師匠の工房を行き来しつつ、
やれこの駆動部はどうだ、
やれあそこの細工は細かい分強度が落ちるだと。
互いが作った物を見せあったり、
他所の品を螺子の一本までバラしながら明け方まで
語り合っていた頃ならいざ知らず。]
(4) 2022/10/01(Sat) 14:44:07

【人】 修理屋 一二三

[物造りを辞めて古物商に鞍替えした九朗が
約束もなく二日続けて工房を訪ねて来るのは
随分と久方ぶりのように感じて。

俺の方も仕事の方も区切りがついたとこで
多少なりと気が緩んでたんだろう。
思ったことをそのまま口に出せば、
急に涼しくなった秋風を連れた九朗が
「食べに行くなら一緒に行こうと思いまして」
なんて、
しおらしい口ぶりで随分なことを言いだした。]


 食べに行くのはそうだが。
 お前本当に姪っ子に袖にされたのか。


[もう飯屋に行く気でいる九朗に、
俺は早々仕事を諦めて片付けを始めた。]
(5) 2022/10/01(Sat) 14:44:38

【人】 修理屋 一二三

「えぇ、それはもう見事に。
 作った団子も友達へのお土産だそうですよ。」

 てい良く利用されたな。


[昨日のアレが試作品なら、
今日姪っ子と作った団子の出来も上々だろう。
祭り、縁日、月見、非日常を詰め込んだような夜に
七つかそこらの姪っ子やその友達が
どれだけ団子の美味さを覚えているかはさておき。

片付けを終わらせて財布を懐に入れた俺は
代わりに店の戸締りを済ませていた九朗と並んで
杖を片手に街の方へ繰り出した。*]
(6) 2022/10/01(Sat) 14:46:29

【人】 行商人 美濃

[宵闇の空には蜜色の月が浮かぶ頃、女は露店の店主らしい仮面姿で商品を広げて佇んでいた。

並べた品は、童の好むような玩具から、花や石をあしらった装飾、煙管や筆に動物を模した根付などの日用品と、こまごまとしたもの。>>0:16

空を見上げ、鞄から箱を取り出す。
桐の蓋を指先でなぞり、暫し逡巡した。

手をかけ開けようとする所作の形で留まり、震える白い指先を見つめては、ふ、と息を吐いて箱を置く。

まだ頃合ではないかもしれない。
きっとそうであろう。

確かめるだけであれば只なのだからと思いはすれど、仮面の下で唇を小さく結んだ。*]
(7) 2022/10/01(Sat) 14:50:30

【人】 澤邑

[ 雨の後で気候もよく気持ち良い秋晴れ。今夜の月は綺麗に見えるだろう。店も昼間は賑わっていた。浴衣など新調して今日ようやく取りに来れたなど客がひっきりなしだ。髪飾りなど小物も扱っているから、最後の仕上げにとやってくる者も。
 まあ、自分は既に店とは関わりないを貫いているから奥まった住居部分でいつも通り。こゆきも夕方からのことなど知らぬ様子でうろちょろ遊んでいたかと思えば、近くの座布団で丸くなっていたり。>>2

 子供たちは既に外に遊びに行ってしまった。今回は夜が本番だから、露店の設営など冷やかしに行ったのだろう。お小遣いをくれと襖を叩いた後可愛げを見せて覗き込んできたから夜の分も合わせてと一人ずつ紙幣を渡したが晩まで残っているのか。*]


[ >>0:53もし、一二三から九郎の話を聞けたなら苦笑して、子供も猫も変わりないと答えただろう。構っても構わなくても好きな時にしか寄ってこないんだから。その二人だって今は友達同士でつるむのが楽しそうに見える。結婚でもすりや子供の面倒なんか嫌ってほど見られるだろうにと、もしかするなら二人が嫌がりそうなことを言ってしまいそうだから口を滑らせないようにせねば。
 二人の小さい頃から知っているからわざわざ嫌われたくもない。*]
(8) 2022/10/01(Sat) 15:42:03

【人】 澤邑


[ そういえば、雨の中立ち止まり少し会話していたら、ナーとか細い声が聞こえた。>>1後ろめたさのある自分にはいかにも弱っている様に聴こえる。それとも赤ん坊のように立ち止まったせいでつまらないと文句を言っているようにも。

 面の女性がそれを聞いて笑み混じりに今は声だけでと言ってくれた。晴れたら是非とも尋ねて行かねばと思った次第。単に猫を見せたいだけの可能性もある。
 それに、こゆきに似合いの小物もあるかもとすごく楽しみだ。猫に可愛い小物なんて分かりはしないだろうが、人間がそれを見て楽しむ。]

 そろそろ出かける用意をしよう

[ 本を読んでいたのを卓に置いて立ち上がると、こゆきを目で探しながらハーネスを取りに行く。こゆきの部屋としてさらに奥まった箪笥部屋をあてがっているのだが、今やはばかりに用がある時くらいしかこゆきは出入りしてない様だ。箪笥が凹凸があるから、登ったりして遊んだりもしているのか?
 そこの引き出しの一つにこゆきのおもちゃやハーネスは仕舞われている。]

 ゆきちゃん、
 こゆきー

[ 最初は近くにいるかと小声で、見当たらないなら呼び捨てで声を張る。すぐに見つけられただろうか。それとも丸まって近くにいたならゆきちゃんゆきちゃんと呼んでいただろう。*]
(9) 2022/10/01(Sat) 15:43:15

【人】 澤邑

[ それから、夕飯は屋台で何か買うから要らないと告げて、家族も今日はめいめい好きにする様だ。お団子は自分が帰りに買ってくるからと伝えておけば、重なることもないだろう。

 その近くに面の女性が露店を広げているとも言っていた。彼女ならばすぐに見つかるはず。]

 ……

[ それから、外に出れば今日は人の往来が多い。榛名の外から来た観光客も相まって大勢出掛けているのだろう。
 人が空くまではとしばらくはこゆきを大事そうに抱え。途中で動物病院の看護師を見かけて頭を下げれば、ゆきちゃん元気になったんですねと言われてみたり。>>2あおんあおんと不安と落ち着かなさで呼び続けていたなんてことは聞けたかどうか。**]
(10) 2022/10/01(Sat) 15:44:07





【人】 澤邑


 やあ、こんばんは
 ようやく訪ねてこれました

[ そろそろ日も沈んで、夜になりかけ、神社に続く道の灯りが目立ち始めた頃。>>7猫を連れて露店の前で足を止めた。こゆきがじっとしているなら抱き抱えて、じたばたするなら紐を短く持って下に下ろす。]

 良い月見日和で

 こゆきが遊べるようなものはないかな

[ 面の女性の品は、自分の見聞不足かもしれないが、珍しい意匠に見えた。それとも非日常感で良いものに見えるのかもしれないといえば身も蓋もない。煙管など煙草は吸わないから惜しいことだ。鞠ならこゆきが遊ぶだろうか。きっと可愛いななどと考える。

 それからもし>>7彼女が箱をまだ大事そうにしていたら、それも商品ですかと尋ねたかもしれない。置いてあるままなら、気にはしつつも触れはせず。]

 この、硝子細工の板?は何に使うんですか?
 
[ 綺麗だが自分には使い道がなく、気をひくような使い方が無いかなと。*]
(11) 2022/10/01(Sat) 20:04:46

【人】 澤邑

[ >>6道すがら一二三と九郎を見かけたら、片手を少し上げて挨拶代わり。向こうも親戚でもない近所の親父と長話したくもあるまい。こちらとすれば子供の頃が何となく目に浮かぶのだが。**]
(12) 2022/10/01(Sat) 20:09:46

【人】 控井

 
 
― 観月祭前夜 ―

 
[夜は更けていく。窓からは未だ雨が止まず。
 弱まってきたのは感じるが、月光は窺えない。
 娘は嫁に行っただけで、失ったとは違うけれど、
 傍にいてくれるものが、
 兎のぬいぐるみ一つになったことは事実で。

     せめて、本当の事を君が教えてくれていたら……。
     何度、嘆いたことだろう。



 君と、お腹の中の彼女、そして私。
 家族が三人揃ったのは、十月十日の間だけ。]
 
(13) 2022/10/01(Sat) 21:20:31

【人】 控井

 
 
 
         
[君は娘を産み落として、命を落とした。]

 
(14) 2022/10/01(Sat) 21:20:53

【人】 控井

 
  
を 思 皮 燃 名

  
き ひ 衣 ゆ 残

  
て の   と な

  
見 外   し く

  
ま に   り  
  
[教えてくれる筈がない。

  
し     せ  
   
そんなことを知ったら、

  
を     ば
     
私は君の命を優先するに決まっている。]

 
(15) 2022/10/01(Sat) 21:21:21

【人】 控井

 
[予め子供の命か母親の命か、選択を迫られていたのだけれど、
 君は折を見て話すから、
 その事を私に気取られないようにして欲しいと、
 医師や看護師に念を押していたそうだね。

 そして私は何も知らぬまま、満ち足りた幸福を夢見て……
           まんまとその夢は破れてしまったよ。]

 
(16) 2022/10/01(Sat) 21:21:55

【人】 控井

 
[最愛の君を失ってしまった。
 君が遺した娘も、今はここにはおらず。
 母親もいないんだ。
 孫が出来ても、それ程長くここへ留まることもないだろう。

 だからこそ、思い出してしまうんだ。
 君を失ってすぐに頭を過った思い。



 失うことが確定しているものを大切にすることは、

                  幸せな事だろうか。
            或いは、哀しい事なのだろうか。**]
 
(17) 2022/10/01(Sat) 21:22:48
控井は、メモを貼った。
(a1) 2022/10/01(Sat) 21:28:36

【人】 虹彩異色症の猫

[ 澤邑の座布団で眠っていたら本を読むために退けられてしまった>>9。そのまま抱きかかえようとすれば何処かに行くし、放っておけば膝の上に乗ってくる。
 今は膝の上にはいないが、尻をすこしつけ、体温が伝わるような形で澤邑の近くに丸まっている。

 澤邑が立ち上がると、折角心地よく眠っていたものをと言いたげに振り返り、立ち上がると大きく伸びをする。再び丸くなろうとしたところに猫紐を掛けられた。

 うなん、うなんと転がるのはそんな気分ではないとでも言いたげだ。それでも逃げ出すことはなく、出掛けの澤邑の腕の中に収まった>>10

 散歩も子猫の頃からの習慣なら慣れたもので、今は唐突に走り出し、張った紐に逆に引かれて転がるようなことはない。尤も大きな音や刺激にいつ喫驚するかはわからない為、安全を考えれば紐は外せない。
 澤邑が顔見知りに挨拶をした時は>>12、赤子が座るような形で澤邑の腕の中欠伸をしていた。

 境内まで行けば観月を体裁に祭の人出もなお賑やかだ>>n3。 子らが軍資金を強請るのも尤も>>8、面や射撃の屋台もあれば、甘い林檎飴、鶏を焼く匂い、醤油の焦げる香り、何処からともなく漂ってくる。笛の音、拍子を取る音。祭り特有の浮ついた雰囲気に猫も落ち着きなく澤邑の肩に手を付ききょろきょろとあたりを見回している。そんな中澤邑がひとつの屋台に足を止める>>11。]**
(18) 2022/10/01(Sat) 22:43:05

【人】 行商人 美濃

[幾度目か箱を手にしては開けずまま、想いに耽る女に声がかかった。>>11

視線を上げれば昨日の、箱を抱えた男性が猫>>18を連れてやってきたところで。]

 今晩は、良い月ね。
 いらしてくれて嬉しい。
 大事なお猫様の方も。

 こゆきちゃん、というのね。
 大切にされてるのがわかるお顔をしているわ。

[真っ白な毛並みに印象的な瞳の色。
想像を巡らせた面立ちより幾らか稚いか。
彼の口にした名は成程体を表していると女は思う。
手を伸ばしてみたくはなるが、ひと様の大事な子だ。
それは堪えて商品を見繕う。]

 そうね、鞠に、毛糸玉。
 螺子式の蛙、蜻蛉の玩具なんかは猫じゃらしの代わりにはなるやも。

[薄桃色に赤と白の刺繍が施された小さな鞠に、手芸用の毛糸玉の色は数種類あったか。
螺子を巻くと数寸ほど跳ねて前進する絡繰の蛙は鮮やかな緑色をしている。
猫じゃらしになると思ったのは、細長い棒の先にテグスで繋がれた蜻蛉がぶら下がったもので、振り回して童が遊ぶためのものだ。

お眼鏡にかなうものがあれば良いのだけどと首をかしげ。]
(19) 2022/10/01(Sat) 22:54:03

【人】 行商人 美濃

[それから、女の手にしていた箱のことを尋ねられれば、]

 ああ、これは私物なの。
 私にとっての大事な荷物というやつね。

[雨の中、抱えた箱を指して言われた台詞になぞらえて返す。>>0:49
此方は今しがた昨日の箱の中身を見せてもらったからと、特に尋ねられもしなくとも蓋に手を掛ける。

何故だろうか、一人で悶々としていた時には開けなかった蓋は、存外あっさりと開けられた。
きっと開くきっかけが欲しかったのだろうと女は思う。]

 花が咲くのを待っているのよ。

[小ぶりの茶碗に土が詰められたそれを見せる。
土からは芽も出ていなければ、本当にただ土が詰まっただけの碗だ。

女はそれに目を落とし、静かに蓋を閉じた。]
(20) 2022/10/01(Sat) 22:56:58

【人】 行商人 美濃

[箱を横に置けば、すぐにぱっと顔を上げ、尋ねられた硝子細工を掲げて月明かりに透かせる。]

 これは栞につかったり、
 飾って目で楽しんだりかしら。

[押し花みたいなもので、これなら花を萎れさせずとも残せるでしょうと仮面の下で微笑んだ。

実際、実用性はあまりないものだ。
散るさだめのものを永遠に留めたいかどうかは人によりけり。
少々女性寄りの感覚とも思えば、彼の気はひけなかったかもしれないが。]**
(21) 2022/10/01(Sat) 23:03:20

【人】 控井

 
 
― 観月祭当日 ―


[打って変わって祭り当日は、
 予報の通りに続いた長雨が止んでいた。>>0:n4
 色々と、辛気臭い物思いに沈んでいた昨日だけれど、
 天気の所為もあってか、
 今は祭を楽しみに思う気持ちも確かにある。


 嘆いても、悔やんでも、現実は何も変わってくれない。
 無情だとも思うけれど、
 だから人は前を向き直すことが出来るのだと思う。]


          まずは、月見団子の確保から始めようか。
 
 
(22) 2022/10/01(Sat) 23:43:43

【人】 控井

 
[月見団子は、毎年商店街の”うさぎ堂”で購入している。
 妻も娘も甘いお菓子が大好きだったから、
 お祭の日でなくとも、店には足繫く通っていた。

 予約とかは特にしていないし、
 急がないと売り切れてしまうかもしれないと、
 まだ日の明るい内に店舗へ出向き、月見団子を購入した。
 店内で兎の仮面をつけている給仕の女性を見かければ、
 
「お祭らしくて良いですね」と柔く笑んだ。*]

 
(23) 2022/10/01(Sat) 23:44:52

【人】 控井

 
 
― 回想:君の好きな甘い菓子 ―


[例年通り、観月祭の前に月見団子の確保にやってきた夫婦。
             うさぎ堂の暖簾をくぐると、
             男はまず先にと団子を購入する。]



  「ねぇ、折角だし秋の甘味も食べていきませんか?」


[会計を済ませて、もう帰るつもりでいた男は面食らった。]


  団子があるのに、他にも食べるつもりかな?
  天高く馬肥ゆる秋……なんて言うけれど、
  馬だけではなさそうだね。


[冗談めかして男が言えば、女はふくれっ面で応えた。
 そんな姿も愛らしいと、結局男は女の要求に応え、
 それが毎年の慣例となっている。
 女の好物は、栗の入ったぜんざいだった。*]
 
(24) 2022/10/01(Sat) 23:45:38

【人】 控井

 
 
― 回想:彼女の好きな甘い菓子 ―


[妻を亡くした男は、それ以降は娘と月を見るようになり、
 変わらず"うさぎ堂"にて、毎年月見団子を購入していた。]


  折角のお祭だからね。
  他にも食べたいものがあるなら、何か食べていこうか。


[年々妻の面影が濃くなっていく娘に、
 男は甘かったのだけれど、本人だけは未だ気付かぬ様子。]


  「いいの?お父様、ありがとう」


[うきうきと店内に入り席に着く娘。
 娘とも団子を購入する序に、
 店内で甘味を楽しむのが恒例となった。
 娘の好物は、妻とは違いあんみつである。**]
 
(25) 2022/10/01(Sat) 23:47:05

【人】 高比良

[晩ごはんを食べながら、明日の観月祭の予定を話す
父方のじーちゃんたちは近くに住んでて、神社に行けばたぶん会えるだろうっていうのはいつものこと
母方はばーちゃんしかいないけど、今年は来られないって連絡があった]

 香苗ねーちゃんは?

 「どうしても休みが取れないって」

[子供のころからの夢のため、上の学校に行かずに大きな美容院で見習いで働き始めて数年
めったに帰ってこない姉ちゃんに寂しいとは思うけど
観月祭に合わせて整える人が多いから、この時期はしょうがないなっていつも思う
「お前は?」って訊かれたから、友達と遊ぶって答えておいた]

 受験前の最後のお祭りだし、みんなでパーッとやるつもり

[パーッと、なんて言ってもせいぜい背伸びして喫茶店に入るか、屋台を冷やかすくらいだけど]
(26) 2022/10/02(Sun) 0:16:30

【人】 高比良

―― 観月祭当日 ――

 わ、ほんとに晴れたし!

[朝起きて窓の外を見て第一声がこれ
まだ地面は濡れてるけど、夜にはぬかるみも減るだろう]

 かーちゃん、防具干していい?

[一応聞いたのは、暁にーちゃんが「いい人」を連れて来るかもだからと片付け始めていたから
来るって言っても家じゅう見せるわけじゃ無し、なんて言いながらも一応目立たないようにして置いた
そうしていろいろしてるうちに午後になった
兄ちゃんが来るのはもっと遅くなりそうで、野次馬な気持ちはあったけど出かける時間になってしまった、残念]

 「明日もいるらしいし、早く帰ってくればいるかもしれないよ」

[ってかーちゃんが言った
「無駄遣いするんじゃないよ」って言葉に返事だけはして、月見には早い時間だけど神社に向かう

目的は月よりも、こういう時じゃないと出てこないテキ屋の屋台なんだから**]
(27) 2022/10/02(Sun) 0:17:59
高比良は、メモを貼った。
(a2) 2022/10/02(Sun) 0:21:56

【人】 和菓子屋 稲庭

―回想:「うさぎ堂」稲庭の夫婦―

[うさぎ堂は、稲庭秋実の両親が経営している和菓子屋である。秋実の父で二代目で、そこそこ長くやっていると言えようか。

まだ先代が現役だった頃、稲庭の夫婦も従業員としてやはり務めていた。毎年団子を買いにくる夫婦の顔を覚えていたのは、年が近いように見受けられたこと、同じように夫婦だったからだろうか。

夫は寡黙気味だったが、妻同士で「いつもありがとうございます」「今年も良い月だといいですね」くらいの雑談は交わしたこともあっただろう。>>24

しかし、夫婦で来ていた常連客は、いつしか父娘へと変わっていった。]
(28) 2022/10/02(Sun) 9:04:35

【人】 和菓子屋 稲庭

―回想:「うさぎ堂」稲庭の夫婦―

[事情は聞けていたか、もし聞けていなくとも父娘だけならば察せられるものはある。>>25

自分にも娘が生まれたこともあり、稲庭母は幼い娘さんに同情的であった。特にメニューに贔屓などするのは、かえって気を遣わせるだろうからやらなかったが。稲庭父は何も言わないが、甘味を作る際にはいつもより気合を入れているようには見える。]


「おいしく食べていってね」


[と、妻の方はあんみつを置く際に声をかけたりはしただろう。細かい好みは違えど、甘いお菓子が好きな娘さんに、その母親の面影を見出しながら。*]
(29) 2022/10/02(Sun) 9:05:15

【人】 和菓子屋 稲庭

― 観月祭当日 ―

[そんな、稲庭夫婦の心を娘は知らない。
娘が物心ついた頃には、常連の控井さんは父娘か父一人で来ていたように思うので、そこまで感傷めいたものは持っていなかった。]


はい、お団子お待ちどうさまですぅ。


[うさぎお面をつけていると、お祭りらしくて良いですね、と微笑まれた。>>23

褒められてふふっと笑う。
どうやら祭りの企画は好評のようだ。]


うーさぎうさぎ、何見て跳ねる……♪


[思わず機嫌よく口ずさんだりしている。]
(30) 2022/10/02(Sun) 9:05:46
和菓子屋 稲庭は、メモを貼った。
(a3) 2022/10/02(Sun) 9:08:17

【人】 和菓子屋 稲庭

― 観月祭 ―

[昼は通常営業をしていたが、夜は露店も出す予定である。

露店ではすぐにお持ち帰りが出来るよう、あらかじめ包まれたお団子に、おはぎや大福、栗きんとんに芋ようかんなども販売されている。

露店近くには長椅子が置かれたりもしているので、気軽にお茶とセットで食べていく客も居そうである。**]
(31) 2022/10/02(Sun) 9:12:14

【人】 行商人 美濃

[猫飼いの男性に箱の蓋を開いて見せた時、常と何の変わりもない腕の中を見て、ああ、やはり、と女は思った。

落胆と、まだ頃合ではないだけだという僅かな希望。
それは猫の額どころではなく髭一本分にも満たない細い希望だったが。


   
───…一等綺麗な満月の晩だけ、
      それは綺麗に咲くのだと、彼の人は言った。

      もしその時が来るならば、きっと───…




何処で手に入れたかも知れない、文献を漁ってもそのような花は無く。
戯れだったのかもしれない、否、おそらくただの戯れであった、
まるで御伽噺のようなその言葉を鵜呑みにする齢はとうに過ぎている。

それでも女は、満月が来るたびに箱を開いた。
そしてその間一度とて、腕の中には些末な変化もありはしなかった。

この地でこの晩、月が中天にかかる頃にも叶わぬならば諦めよう。

そうして、一等美しい偃月を見て、団子を食み酒を飲む。
それだけできっと充分だろう。
だって今宵の月はふた目と観ることは叶わないだろう程に綺麗で。
彼の人を思い出すには相応しい。


観月祭の噂を聞き、この砂漠に浮かぶ島へと行くことを決めた時から、女はそう決めていた。]**
(32) 2022/10/02(Sun) 14:18:43
修理屋 一二三は、メモを貼った。
(a4) 2022/10/02(Sun) 16:13:00

【人】 澤邑

[ >>18そこを空けておくれと、こゆきを退かして膝に乗せようとするといやいやとどっかに行って、残念に思って本に熱中し始めた頃にそっと戻ってきた。寄り添うように尻をくっつけている。
 先に退かした自分も悪いのだが、本当に思い通りにならない生き物だ。それが可愛いのだから。]

 ごめんごめん

[ 普段はもう少し早い時間に出かけるから、こんな遅くに紐を括られて気分じゃないのか、気持ちよく寝ていたのを起こされたからか、うねうねとして嫌そうにしている。だけれど抱えれば諦めたのかじっとしていた。
 随分と散歩慣れしたし、近所の顔見知りからは見慣れた光景になっていたかもしれない。こゆきもしゃんとして尻尾を立てて歩くことも多くなった。今は人が多くて自分が抱えているのだが。

 それから目的地で立ち止まり。>>18*]
(33) 2022/10/02(Sun) 19:12:00

【人】 澤邑

─露店・美濃─

 そうですか、はは

[ こゆきを紹介すると、>>19大事にしているのがわかると言われて悪い気がするわけがなく。毛艶もすべすべだし目も綺麗だし耳から尻尾までぴかぴかの猫というのを密かに誇らしげにして。顔に出さないようにするのが難しかったかもしれない。猫バカだ。
 女性がこゆきに手を伸ばしかけて、そのあと控えたのかその手を止めた。他人のものへの慮りが感じられて一層良い人な印象が残る。]

 ゆきちゃん

[ こゆきを伺うと、その様子はどうだったか。その後は品物をいろいろと眺めて面の女性の説明を聞く。]

 蜻蛉のおもちゃは良いですね
 でも、すぐに傷むと勿体なくはない?
 綺麗にできているからなあ

 よし決めた、鞠と赤の毛糸玉、蜻蛉のおもちゃもください。

[ 猫は毛糸に含まれている成分が好きなんだとか何かで読んだ気がする。この毛糸の素材が当てはまるかはわからないけど。糸で遊ぶところが見たい。家人に生暖かい目で見られる気もする。
 蜻蛉のおもちゃもいかにもこゆきが飛びかかって遊びそうだ。羽など口にしないようよく見ておかなければならないが。
 あと単に鞠は刺繍が綺麗だった。]
(34) 2022/10/02(Sun) 19:13:47

【人】 澤邑


 
 ああ、それは大切だ

[ 箱も商品なのかと尋ねると>>20それは私物だそうで、それも「大切な荷物」>>0:49と自分の猫と同じくらいのものと言われれば何が入っているのかわからなくても、それが大事な物だとは良く伝わってきて目を細めて笑った。]

 見て良いんですか

[ 特に自然に彼女が箱の蓋を開けてくれたので、視線はそちらへと向かう。]

 あれ?

[ しかし中身をすぐに見て何なのかがよくわからなくて、説明を受けてようやく得心がいった。小ぶりの茶碗に土が盛られていて、花が咲くのを待っているという。その土に種が植えられているんだろうか、それとも少しまじないのような厳かさも感じて細かい事を聞くのはやめた。]

 大事なものがあると励みになりますね
 
[ 箱を扱う手つきが丁寧に見えて、彼女にとって自分のこゆきと同等ならその通りだろう。*]
(35) 2022/10/02(Sun) 19:15:16

【人】 澤邑



 よし、その硝子細工の板もください
 たまには妻にもお土産を買ってあげよう

[ 栞に使えると聞いて心に決めた。花の綺麗なうちに閉じ込められたもの。多分他所で見ても気にもとめなかった気もするが、雨の日に出会って、猫を気にかけてくれた人、会話とこの時間のおかげで良いものに思えた。
 
 いろいろと買ってしまったから、あとは食べ物しか買わないぞなんて心に決めながら。値段を尋ねてそれを支払う。*]
(36) 2022/10/02(Sun) 19:16:04

【人】 澤邑



 この後はうさぎ堂に寄って行こう

[ 誰に向かっての言葉ではないが、強いて言えばこゆきへと。当然返事はない。

 今日は特別、栗ぜんざいでも食べていきたいところだが、猫を連れていても大丈夫だったっけ。何て考えていたら>>31店先に長椅子がおかれていてこれならもしかするなら良いと言われるかもしれない。]

 栗ぜんざいを食べていきたいんだけど
 猫がいても大丈夫かい?

[ うさぎのお面をした娘にたずねてみるが果たして。それと毎年買うようにしているお月見の団子をくださいと。既に包んであって買い求める人も多いのだろう。**]
(37) 2022/10/02(Sun) 19:17:31

【人】 和菓子屋 稲庭

ーうさぎ堂の露店ー

[この祭りの間は、月を見ながら食事を好む人が多いので、外にも長椅子が用意されている。

そして普段は喫茶店の内でのお食事は、猫ちゃん連れの場合お断りさせて頂いているけれども。>>37

はーい。
ん、猫ちゃん、ちゃんと繋がれてますねぇ。
お外でよろしければ、問題ないですよぅ。
少々お待ちくださいね。

[夜はどうしても冷える時期。
温かいぜんざいは人気で、もちろん用意されることであろう。注文通り、お団子の包みも一緒に合わせて。**]
(38) 2022/10/02(Sun) 19:57:58

【人】 和菓子屋 稲庭

猫ちゃんには、ちょっと甘すぎるかもしれないですねぇ。

[和菓子はあげられないですね、ごめんなさいですぅと白い猫ちゃんに声かけしつつ。

程なくして、お盆に栗ぜんざいと月見団子を乗せ、澤邑の所へ運んできた。**]
(39) 2022/10/02(Sun) 20:01:41

【人】 澤邑

 よかった、ありがとう
 そしたら端の方で待たせてもらうよ

 少し冷えてきたから暖かいものがほしくて

[ 普段は猫を連れている時は店舗内に近づくことはやめていたのだが、案の定お断りとのこと>>38ただ、祭りの間は外の席なら良いとの返事で笑顔を浮かべた。
 涼しい外で月を見ながら甘くて温かいものと考えれば届く前から心が躍る。]

 ゆきちゃん、食べるかい

[ >>39猫ちゃんなら甘すぎるかも知れませんねえと、こゆきに話しかけるようすのうさぎ面の娘に少し笑って。手荷物の中からこゆきのおやつを取り出す。硝子の容器にささみを水で煮た物が入っている。

 長椅子の端に腰掛け、こゆきの紐はしっかりと腕に通している。猫は近くにいたか、紐の行ける範囲をうろちょろしていたか。寄ってくるなら蓋を開けてこゆきに差し出す。

 そうしてるうちに自分の注文したものが直ぐに届いた。これも人気なのだろう、手際がよい。綺麗に包まれた団子も一緒に。一度家に戻って置いて帰ろうかなと今更。後になれば品切れしそうでお参りの前に立ち寄ったのだ。
 いやまあ良いかと、この後は神社まで行ってと、先のことを考えつつ、箸を割りいただきますと湯気の上がる碗を手に取る。猫の心配をしながら、月も観ながら、もたもたと時間をかけて箸をすすめた。**]
(40) 2022/10/02(Sun) 20:44:16

【人】 行商人 美濃

─露店のお客様・澤邑 ─

[愛猫を見ての第一印象を伝えれば、猫の主の顔が綻ぶ。>>34

印象とおりに大事にされているのだろう。
常日頃からこの小さき生き物を、目に入れても痛くない程に…、有体にいえば“でれでれ“と、愛でている姿が目に浮かんだ。

呼称が砕けて「ゆきちゃん」と変わるのもそれを裏付けているようで、女は袖を口元にあてて、ふふと笑った。]

 童が振り回しても良いようなものだから。
 本物の蜻蛉よりは頑丈よ。
 
 まあ、たくさん買っていただけて嬉しいわ。

[蜻蛉は多少傷つこうとも、その小さな爪に引っ掛かれた痕すら微笑ましく見えそうだと笑って。
赤の毛糸玉は白い毛並みに映えそうだ。特殊な素材でもない毛糸はきっと猫にも気にいるだろう。
薄桃の毬も艶やかな毛並みと並べても遜色ない品だ等、猫が遊ぶところを想像しながら頼まれた品を紙の袋に詰めた。]
(41) 2022/10/02(Sun) 20:50:00

【人】 行商人 美濃

[女の私物の箱のことは、中を見せる前から大切なものだと目を細められて、いくらか面映い気持ちになる。>>35

蓋を開いた後に不思議そうな顔をするのは、普通茶碗に土は積めないし当たり前のことだけれど。

多くは聞かずに「大事なものがあると励みになる」と肯定的な言葉をかけられて、沈んだ心にいくらか灯りが灯った気がしたから]

 ……ええ、ありがとう。

[告げた礼が会話に噛み合っていたかはわからないが、女の中では筋が通っていた。]
(42) 2022/10/02(Sun) 20:50:31

【人】 行商人 美濃

[気にいるかは微妙やもと思っていた花を閉じ込めた硝子のプレートは、奥様への贈り物だと言う。>>36]

 奥様もきっと喜ぶわ。
 いくつになっても女性は、大切な人からの贈り物が何より嬉しいものだもの。

[自然、仮面の下の顔を綻ばせて小さな藍色の箱に硝子細工を収めて袋に詰める。

お代を受け取り品を詰めた袋を渡せば、良い月見をとお辞儀をして、一人と一匹を見送った。]*
(43) 2022/10/02(Sun) 20:52:17

【人】 行商人 美濃

[何の気なしに猫とその主の向かう方へ目を向ければ、昨日世話になった和菓子屋の方へ行くようだ。>>37

店が落ち着いたら休憩がてら月見団子を買いに行こう。

月が高くへと昇る前までには。

うさぎ面の給仕のはからいは知らないものだから、あの折り紙細工が予約として通っていたかはわからないと思えば、売り切れなければ良いのだけどと少しだけ急く気持ちを抑えて。]**
(44) 2022/10/02(Sun) 21:03:48
高比良は、メモを貼った。
(a5) 2022/10/02(Sun) 22:15:07

【人】 虹彩異色症の猫

[ 澤邑が勧められるままに露店の品を覗き込むと>>34、肩口に前足をついていた猫はそのまま背中へ乗りかかろうとしたのを捕まり、腕の中へ仰向けに収められた。

 猫は散歩慣れのためか今更人怖じはしないが、露店の店主が老人の腕の中にいる猫を覗き込むことがあれば、仮面の様子がめずらしいのか狐の面をじっと見つめている。赤子のように抱えられた猫のおかしな様子といえば、腹が剃り上げられ白い毛の中に淡桃色の地肌を晒していることだ>>0:10

 品定めにあれやこれやと飼い主と店主が言葉を交わす間、店先に吊り下げられた蜉蝣の玩具に目を留め手を伸ばす。生憎短い手足は届かない。届かないのが悔しいのか腕の中で手足を振り回している。
 毛糸や毛玉も転がせば気を惹くのかもしれないが、今はゆらゆらと動く虫の玩具に執心のようだった。

 手土産を詰めた紙袋を腕に、今度は猫は路面に下りて自分の足で歩いている。
 澤邑の独り言ち>>37に相槌こそ打たないが、自分に話し掛けてあるのが当然のように顔を見上げている。

 甘いものは食べないが、人が食しているものはやたらと欲しがるため餡のひと舐めくらいはしたことがあるかもしれない。本当にひと舐めして満足したのかそれだけだ。
 許可の出る前に長椅子の上に早々飛び乗り、やはり売り子の仮面に身を強張らせて視線を留めている>>39。]
(45) 2022/10/02(Sun) 22:19:02

【人】 虹彩異色症の猫

[ 澤邑が長椅子に腰掛けると>>40、紐の許す限りあたりを歩きまわったり、足元で腹の傷を舐めたりしていた。石畳とはいえ長雨の後であるから、帰ったら身体を拭いてやらなければならないかもしれない。

 すん、と鼻を鳴らすと澤邑の膝の上に飛び乗った。いつものおやつだ。硝子の瓶に収められているから匂いなぞある訳ないのに、既にその容器の形を覚えているのか、蓋を開ける前から手の中にある瓶に鼻を押し付けてはふんふんと嗅ぐ。掌の上に出された肉の切れ端をてちてちと舐めるように食べると満足げにその場に休まる。

 膝の上が温かい。]**
(46) 2022/10/02(Sun) 22:20:24

【人】 控井

 
[買った月見団子をよき所で、月を見ながら頂こうと用意し、
 兎のぬいぐるみも準備万端だ。
 女性は身支度に時間がかかるもの。
 妻や娘が呉服屋で購入した浴衣を着るのに、
 中々終わらない支度を、天気を気にしながら待ったものだ。
 
我々男たちは常と変わらぬ洋装だけれど。

 
 いい大人の男がぬいぐるみを抱えて出かけるのは滑稽だが、
 今日は祭だからそれ程、悪目立ちすることもないだろう。
 うさぎ堂の娘さんのように面を付けた人や、
 飼い犬や猫を連れている人も見かけたことがある。]
 
(47) 2022/10/02(Sun) 22:42:05

【人】 控井

 
[かくして家を出てみれば、
 雨音しか聞こえなかった数日間が嘘のようで。
 活気に溢れた通りは賑やかで、
 色取り取りの提灯の光が鮮やかだ。>>n0
 ざわざわとした人々の話し声に混じる、
 遠くからのお囃子の音。

 露店も色々と出ており、
 ちらちらと珍しいものはないかと目をやる。
 地元の特産品などは見慣れているけれど、
 祭には島外の商人が出店をしたりもするので新鮮だ。
 私は割と見ているだけで、満足してしまう質だけれど。

 通りすがりに狐面の女性が営む露店を見つけ、>>44
 ふと足を止めた。
 玩具や装飾品、日用品などが並べられており、
 これなんて、君が喜びそうだ。これは彼女に……。
 そんな風に脳内で見立てては、顔を綻ばせた。*]

 
(48) 2022/10/02(Sun) 22:43:11

【人】 控井

 
 
― 回想:君への贈り物 ―


[男が「聊か支度に時間がかかりすぎやしないか?」と言えば、
 女は「殿方のようには、いかぬものなのです」と
 ツンとそっぽを向いた。
 女が身に纏うのは、菖蒲の柄の入った浴衣。]


  よく似合っている。待った甲斐があった。


[その様に男が返せば、女は忽ち機嫌を直した。
 仲良く並んで、薄墨神社への道を行く。
 女は露店を見つけては足を止め、
 並べられた珍しい品に目を細めた。
 薄墨神社にて、長椅子に腰掛けて月を見上げる段になり。]


  君にこれを。これをつければ、
  月の姫もかくや……なんてことになるかもしれないね。
  まぁ、そこまで大層な代物ではないと思うけれど。


[男はそう言って、妻に螺鈿細工の簪を贈った。
 毎年、露店で見つけた何かを贈るのも、夫婦の恒例だった。*]
 
(49) 2022/10/02(Sun) 22:44:30

【人】 控井

 
 
― 回想:彼女への贈り物 ―


[まだ幼い時分の娘は、
 金魚柄の浴衣を祖母に着つけて貰って出かけた。
 男と並んで、手を繋いでゆっくりと歩いていく。
 露店が気になるのは娘も同じなようで、
 父娘の歩みは、実にゆったりとしたものだった。]


  何か欲しいものがあったら、言ってごらん。
  買ってあげるのは一つだけだから、よく選ぶんだよ?


[男が微笑みかけると、娘もつられて笑顔になる。
 「お父様、大好き」と娘が言えば、
 「現金なものだね」と男は苦笑い。]


  「お父様、わたし……あれが良いわ!」


        [たっぷりあちこちの露店を吟味して、
         夜空も大分暗くなってきた頃合いに、
         やっと娘の心が一つに決まる。
         娘がその年に望んだのは、
         浴衣と同じ金魚の描かれた風車だった。**]
 
(50) 2022/10/02(Sun) 22:46:23
控井は、メモを貼った。
(a6) 2022/10/02(Sun) 22:49:01

【人】 行商人 美濃

─露店のお客様・こゆき─

[猫飼いの男性と露店の品についてやりとりしている間、どうしても抱き抱えられた猫の方をちらちらと見てしまうのは仕様のないことだ。>>45

毛が剃られた後の肌が見えれば、思っていたよりも年嵩なのだと気づく。
面立ちに稚さは残していても、そういった施術が必要な年頃なのだと。

まだ新しい剃り跡に、昨日の雨の中で箱に入れられていた理由を推測すれば一人納得した。

仮面の細い目元から覗く女の瞳と、じいとこちらを見遣る猫の目が合った。
物珍しそうに見つめる瞳に、思わず目を細めるが、仮面の外からはわからないことだろう。

飼い主の腕の中、蜉蝣の玩具にご執心の様子を見れば、小さく笑って]

 帰ったらいっぱい遊んでもらってね。

[猫じゃらし代わりに買われたそれを袋に詰める時は、そう声をかけた。]*
(51) 2022/10/03(Mon) 0:38:05

【人】 行商人 美濃

─露店の近くに佇む人・控井─

[女の佇む露店の先の路上、はたと足を止めた男性の姿が視界に映る。>>48

並べた品を眺める表情は穏やかで、誰かへの贈り物を探しているのだろうかと、いくらか空想癖のある女は思う。

彼の視線の先を追えば、男性向けの日用品を並べた方向ではなく、女性向けの装飾や童の喜びそうな玩具の方に見えて。

先程猫飼いの男性が愛猫の玩具を選ぶ様子や、奥様への贈り物を買う優しげな表情を佇む彼の顔に重ねた。

幸せな家庭を持つ人なのだろうという空想は、彼の抱える憂いを読み取ることはなく。


贈り物をあげたい誰かがいる幸せと、相手の喜ぶ顔を思いながら贈り物を見繕ってくれる人がいる誰かの幸せが、長く続けば良いと、勝手に願う。

自分にはもう詮無き願いだからこそと思えば、他者の持つ哀しみや事情には考えが及ばない。


幻想的な非日常に恋をして、夢のような時間ばかりを享受して、少女の頃から空想癖だけを抱えたまま大人になった女は、現実の無情ややるせなさを意識の外に置いたまま、もうずっとあの頃というひとところへと取り残されていた。]**
(52) 2022/10/03(Mon) 1:19:52