人狼物語 三日月国


42 【突発完全RP村】実になりてこそ、恋ひまさりけれ【誰歓】R18

情報 プロローグ 1日目 2日目 エピローグ 終了 / 最新

視点:


一日目

村人:3名、共鳴者:2名、霊感少年:2名、囁き狂人:2名、黙狼:1名、童子龍:2名

【人】 万葉集 第七巻 一三六五番



  
我が恋は、あの娘の家の萩の花

     実を結んでこそ、いっそう恋しくなるものだ
(0) 2020/09/12(Sat) 7:00:00

【人】 空腹な迷い人 レックス

[ 眠る前、やる気の無さそうな店員さんは
 戻りたいところを描いてドアを開ければ、
 元のところに帰れると言ってくれた。

 だから、今は、少しだけ。
 カウンター近くのソファで丸まって、眠る。

 微かに気配が動いて、柔らかな布の感触が自分を覆った。
 
  
あぁ、温かい


 あの子たちと過ごした日々を思い出して、
 苦悶の表情は、少しだけ和らぐ。

 夢の中で、歌が聞こえた気がした。
 旅人が、無事に帰れるようにと願う歌が
 
       
オニ

 見ず知らずの人間に、願ってくれる、その心が嬉しい

  
夢かな? 夢でもいいや

 
 すやすやと、眠る。
 その夢は、とても幸せな夢だった。**]
(1) 2020/09/12(Sat) 10:04:49
空腹な迷い人 レックスは、メモを貼った。
(a0) 2020/09/12(Sat) 10:06:20

環 由人は、メモを貼った。
(a1) 2020/09/12(Sat) 14:14:51

環 由人は、メモを貼った。
(a2) 2020/09/12(Sat) 14:15:11

【人】 マリィ  


  本当は、太ったっていいの。
  明日のことなんか何も考えないで
  この夜と朝の狭間に
  二人でずっと囚われていたい。


 例えあなたにそう言ったって、太陽は登る。
 「普通」の人達の、日常のための時間になる。

 星なんか見えない、美しい濃紺の空が
 じわじわ悪趣味なペールブルーに変わっていって
 やがて、眩しい太陽が端から顔を出す。
                    ]
(2) 2020/09/12(Sat) 14:26:14

【人】 マリィ  

[アタシはあなたに一度だって
 「美味しい」なんて言ったことは無い。

 でも、知ってる?
 冷蔵庫に取ってある唐揚げとかコロッケは
 お店の子達にすごく人気なの。
 コンビニでロールパンを買ってきて
 あなたが余り物と呼ぶこれを、挟んで食べてる。
 台風の日にコロッケが売り切れた時なんか
 そりゃあもうテンションだだ下がり。

 逆に揚げ物が多めに余った日のこと
 お店の子は「パーリナイの日」
 って勝手に呼んでる。


 ……時々アタシが持ち帰ってくる
 ちょっと良いフルーツの秘密は、そういうこと。]
(3) 2020/09/12(Sat) 14:26:40

【人】 マリィ  

[いつもの問いかけにいつもの答え>>0:115
 すっかりメイクも落として
 ただの男になったアタシは、
 眠りに落ちるまでの間だけ
 何もかも忘れられる。


 とっくに読まなくなって
 ソファの下に挟まっていた
 物件情報雑誌とか、
 今日空にしたグラスの個数。

 乱暴に組み敷かれた時の記憶。
 客の無神経な言葉に、愛想笑いを返した苦い味。]
(4) 2020/09/12(Sat) 14:29:14

【人】 橋本 雅治  


[今だけ全部忘れてしまって……
 腕の中の温もりを、ただ抱きしめるだけ。

 そうして、俺の一日は終わる。]
 
(5) 2020/09/12(Sat) 14:30:55

【人】 マリィ  

[けど、この生活の終わりは
 ある日突然にやってくるの─────]


  ……シェアハウス?


[お客さん切り出された話に
 アタシはつけまつげを盛った瞳をぱちくりさせる。
 LGBT向け不動産の営業マンだという彼は
 こくりと頷くと、カウンターの上に
 ばさりと資料を広げてみせる。]


  「ゲイセクシュアルだというだけで
   入居を断られるケースって多くって
   うちで扱ってるのはそういう方に特化した
   ジェンダーフレンドリー物件なんです」


[カタカナ語の多い彼の言うことには
 シェアハウス用の物件にゲイを集めて
 雑な言い方すれば、「ゲイ同士よろしくやれ」
 って感じな家らしい。
 近くに幼稚園や学校もないし
 新しい住宅街だから干渉してくるご近所もいない。]
(6) 2020/09/12(Sat) 14:31:47

【人】 マリィ  



  「……どう?いい情報でしょ」


[営業マンを連れてきてくれた、
 膝に落書きしたみたいなのっぺりしたブスは
 そう得意げに笑ってみせた。

 アタシの鉄板ネタを真剣に捉えて
 真面目に解決策を出してくれた子を
 邪険にするわけにもいかなくて
 アタシは曖昧に微笑んでみせるの。
 アタシの今の居候について知っている
 お店の子達は、何か言いたそうな顔で
 じっと此方を見ていたけれど、
 結局、何も言えやしない。]


  ……そうね、橋の下で暮らすより
  安全そうな物件ね。
  ありがとう、考えとくわ。


[営業マンの名刺と、間取り図内覧写真その他諸々
 茶封筒に仕舞って─────それっきり。]
(7) 2020/09/12(Sat) 14:32:20

【人】 マリィ  

[次の物件が見つかるまで。
 だけど、帰ればご飯があって
 朝でも夜でも無い昏い時間を分かつ人がいる
 ……それよりいい物件なんか、ない。


 結局、シェアハウスの情報の詰まった茶封筒は
 本棚の片隅に隠したまんま、二週間。
 アタシは今日も由人の「余り物」を食べる。]
(8) 2020/09/12(Sat) 14:32:43

【人】 マリィ  

[そんな罰当たりなオカマにも
 今日はひとついい事があったの。

 お店が休みだったから、ふらふらと
 近所の商店街を歩いていたんだけど
 たまたま福引で一等当てちゃったのよ!
 (福引ってポケットティッシュ交換所じゃないのね)


 「北海道ペア旅行券2泊3日」


 喜び勇んで本屋に駆け込んで
 ガイドブックまで買っちゃった。
 お互い休みなのって、年末年始くらいだし
 冬の北海道は死ぬほど寒いかもしれないけど。]
(9) 2020/09/12(Sat) 14:33:11

【人】 マリィ  

[でも、もし一緒に旅行に行けたなら────

 二人で「普通」に観光名所巡ったり
 こっちじゃ食べられないようなものに
 舌鼓を打ったり……

 冬の北海道なのに「寒いね」なんて言って
 手とか、繋いじゃったりして……

 アタシ達を誰も知らない場所で
 二人「普通」にデート出来るなら

 それってとっても最高だと思わない?]*
(10) 2020/09/12(Sat) 14:33:41
マリィ  は、メモを貼った。
(a3) 2020/09/12(Sat) 14:37:11

【人】 空腹な鬼 レックス

― 幸せな夢の中 ―
[ 温かい毛布に包まれて
 温かい願いに包まれて

 異形の鬼は、すやすやと眠る。

 疲労と空腹の中、少し苦し気に、だけど安らかに

 大切なあの子と出会った頃の夢を見る。]
(11) 2020/09/12(Sat) 16:03:29

【人】 空腹な鬼 レックス

 
  ……お腹が空いたな、やっぱり無理だよ

      
バケモノ

  僕らは、異形の鬼だから、人を喰うことを止められないよ

[ お腹が空いて、たまに
 寝静まった家に忍び込んでは、少しだけ生気を分けてもらう。

 それでは、足りなくて、あの子から生気を分けてもらう。
 それでも、足りなくて、僕は泣きそうな声を零した。

 生気も吸い過ぎれば、相手は死んでしまうから
 あまりたくさん吸う訳にもいかない。

 1日に大人数の生気を吸えば、怪しまれるし
 吸った生気から得る色々な想いが入り混じって、
 悪酔いしてしまうから、食事は一度に少しずつしかできない。

 だから、いつも空腹だった。
 あの子たちに出会う前は、好きなだけ貪ってから、
 いつも腹は満たされていたから、余計に辛い。]
(12) 2020/09/12(Sat) 16:03:31

【人】 空腹な鬼 レックス

 
  『ダメだよ、レックス……君ならできるよ』


[ 黒い瞳がじっとこちらを見つめてくる。
 そんな君からも、すごく美味しそうな匂いがする。

  人と鬼が共存するなんて、どうせ無理だよ
  自分のように我慢ができない鬼ばかりなんだから


 そんな言葉を言おうと、口を開けば、
 ぎゅうと抱きしめられた。]

  『だって君……人を食べている時、泣いてたから
   泣きながら、謝ってたから……君なら、できるよ』


[ どきりとした。
 薄紫の瞳を大きく見開いて、焦る。

 いつ見られたのだろう。
 この子の前で、人を喰ったことはなかったはずなのに

 しかも、泣いていたことまで、知られているなんて
 恥ずかしくて、頬が熱くなるのを感じた。]
(13) 2020/09/12(Sat) 16:03:33

【人】 空腹な鬼 レックス

 
  どう……して、……?

  『マフテさんが教えてくれた』


[ あの白鬼め、余計なことを。
 歳で言えば、あちらの方が上だし、能力的にもあちらが上。
 抗議をしても受け入れられないだろうな。

 ぐぬぬ、と内心、悔しげに呻いていれば、
 慰めるように頭を撫でられる――僕の方がずっと年上なのに]

  泣い謝っても、僕は人間を喰ったこと、
  喰いたいと思ってることは変わらないよ

  この先もきっと、変わらないよ
  今は、ちょっと物珍しくて、君たちに付き合ってるだけ

[ 恥ずかしくて染めた頬を隠すように、
 ――本当は信じたい気持ちも


 柔らかい女の子の身体を抱きしめ返した。]
(14) 2020/09/12(Sat) 16:03:36

【人】 空腹な鬼 レックス

 
  あぁ、……お腹が空いたなァ

[ チカチカと、瞳に紅を滲ませながら、溜息混じりに呟いた]

  『どうしても、辛いなら……僕の血をあげる』


[ 差し出すように晒される白い首筋。
 ごくり、と喉を鳴らした。]

  君はずるいな……

[ その首筋に、軽く唇を押し当てて、小さく笑った。
 彼女の血を口にしてしまったら、
 もう後戻りはできない気がする。

 いや、この場合は、進めなくなると言った方がいいかな。
 この子たちと一緒に歩めなくなる気がする。

 だから、僕はただ笑って
 空腹のまま、しばらく彼女を抱きしめていた。*]
(15) 2020/09/12(Sat) 16:03:39

【人】 空腹な鬼 レックス

― 現在:漫画喫茶にて ―
[ 浅い眠りから、ゆっくりと目覚める。
 夢見が悪くなかったのは、温かな毛布のおかげが、
 それとも、無事を願ってくれた想いのおかげか。

 目をごしごしとこすりながら、のそりと起き上がった]

  ――――お腹が空いた

[ 相変わらずの第一声だった**]
(16) 2020/09/12(Sat) 16:03:42

【人】 かみさま 尊龍

[柔らかな日差しにごろりとねそべり]


 くあぁー……、っぶしっ!


[エリサの話す”昔話”をのんびり聞いて。>>0:116
 感想の代わりに欠伸を一つ。>>0:117
 ついでに、くしゃみも一つ。

 
よく似た話を私も知っているとも。
 噂をされればクシャミもでように。


 エリサにわしゃりと撫でられ満足げに目を細め。
 鼻をくんくんすれば空気に雨の匂い。

 早く帰ったほうがいいじゃないかと思いつつ、
 エリサが祠の横の石に腰かける隣にそっと寄り添う]
(17) 2020/09/12(Sat) 16:49:01

【人】 かみさま 尊龍

[紙に描かれているのはこの祠と黄色い、花?>>0:118
 
――うん、これは
野菊
だな!
]


 わんわんっ!


[尻尾をふりふり、絵を見て嬉しそうに鳴いてみせた。
 祠の周りには今も普通の野花に混じって野菊がちらほら。
 
 ”エニシダ”という海の向こうの花木は知らぬが。
 お前が黄色い花をここに咲かせるのを嬉しく思う。

 お前には霊力はないが、美しい魂の輝きがある。
 ”絵本作家”とやらになりたいと、
 よう分からぬが、私はお前を見守っているよ]
(18) 2020/09/12(Sat) 16:49:24

【人】 かみさま 尊龍

[この道で狼藉を働こうと思う不届き者はいないだろう。
 弱ったとはいえ未だ神の身。
 己を信仰する信者の加護くらいはできる。>>0:119

 エリサの毎日の参拝も。
 無事に帰路につきますようにと常に加護をつけてある。
 だから安心して来て、話して、好きなだけいておくれ。

 
――もう昔のような力はないが。
   お前を幸せにしてやれるほどの加護も与えられぬが


 供えられた花を犬の鼻ですんすんして信心を貰う。>>0:120
 人の信心さえあれば供え物はなんでも好ましい。
 菓子に虫が集るのも、食えはしないが虫の信心が集まり良いものだ。
微々たるものだが。



 犬の姿の時にエリサの食い物の供え物を速攻で食った時もあっただろうか?
 だからか、最近は花の供え物が多い気がした]
(19) 2020/09/12(Sat) 16:50:22

【人】 かみさま 尊龍

[そうして聞くのは、エリサの”彼氏”の話だ。>>0:121]


 おんおんっ! ぐぅー…ぉんおんっ!
 
(*:犬語訳) 
 『まったく、エリサを無碍にするなど罰当たりな男だ。
  そんな男エリサから捨ててやるのがよかろう!
  安心しろ、
  お前はその”都会の女”よりよほど可愛らしいぞ』



[私は犬の身で鳴いて話を聞いてやり。
 私が好きだと言うエリサに「知っておる」とでも言いたげにわんこスマイルを見せた後。>>0:122]


 くぅーん……?
 
(*:犬語訳)
 『「かみさまを見た事ある?」なんて、面妖な!
  己で己に会うなど、できるわけもなかろう』



[質問には小首を傾げて唸って見せれば空はぽつぽつ雨模様]
(20) 2020/09/12(Sat) 16:51:23

【人】 かみさま 尊龍

[帰り支度を始めるエリサを見守り。
 どうか、エリサが帰るまで雨が本降りになりませんよう、と。
 空に祈りを送るが神様パワーが足りたか分からない。
 なんせ、エリサの家はここからかなり遠いのだ。>>0:124

 ”チャリンコ”とやらに乗る後姿を見送って]


 わんわんっ!


[またなと見送った後、エリサの忘れ物に気付く。
 赤い髪留め。
 確か、絵を描く時に髪を纏めていたものだ。
 大切なものだろうに、まったく]
(21) 2020/09/12(Sat) 16:51:51

【人】 かみさま 尊龍

[エリサが拾いに来るのを待ってもいい、が。
 この辺に偶に来る”お巡りさん”に拾われては大変だ。
 ――しょうがない、届けに行ってやろう。


 私は犬の姿で髪留めを咥え……、ようとして、
 いや、咥えてもいいが、
 そうすると犬の唾液でべたべたになるな。
 
べたべたなのは嫌だろう。


 と、そう思い――]


 ……少しなら問題なかろう。


[ぽふっと神様パワーを使い、人間の青年の姿に変わる。
 そうして赤い髪留めを拾い上げた]
(22) 2020/09/12(Sat) 16:52:33

【人】 かみさま 尊龍

―― 祠からエリサの家まで ――
[雨の中、久しぶりの人間の姿で私は歩く。
 
雨でも濡れぬ美しい私の羽衣。
 近寄れば違和感を感じても、ここに人は少なかろう。


 里は昔よりも変わってしまった。
 道は田畑の畦道ばかりではなく、灰色の硬い道もある。
 変な灰色の柱や黒い変な線も所々にある。
 たまにとても速い鉄の塊が道を走ってくる。


 
愛し子の縁を辿るかつて歩いた里の道。
 人間の世の移り変わりは雨雲よりも早いものだなぁ。



 そんなような和歌を一句読みつつ。
 空を見上げれば謎の鉄の鳥が一羽飛んで行った。
 まったくもって、不思議なものだ]
(23) 2020/09/12(Sat) 16:55:27

【人】 かみさま 尊龍

[そんな感想を抱きながら、
 ”チャリンコ”で79分の道をのんびり徒歩で歩く。
 家の場所など既に把握済みだ。
 なんせ、私は神様なのだから!当然なのだ!
 
”すとーかー”ではないぞ!”すとーかー”では!


 エリサの家に着く頃にはもう夜も更けた頃か。
 人間達は寝静まっている時間だと思う。
 好都合と思えば、エリサの家の玄関ドアの前に赤い髪留めを置いていこう]


 …………。


[髪留めと共に、祠の周りに咲いていた野菊も添えて。
 そうして私はそのまま用事を済ませた、と。
 くるりと踵を返して祠へ帰ろうとまた長い夜道を歩き出すだろう。**]
(24) 2020/09/12(Sat) 16:56:19
かみさま 尊龍は、メモを貼った。
(a4) 2020/09/12(Sat) 17:05:43

【人】 やる気のないアルバイト でゅーーす

[アルバイトが顔を上げたのは
 目覚めた青年の小さな声を聞き止めたから>>16


  おう、起きたッスか!
  はよざいやーす。


[カウンター越しに尻尾をふりふり
 片っぽの唇だけ上げてみせる。
 そのまま起きなかったら……とか
 救急車呼ばなきゃならないかな……とか
 正直気が気じゃなかったのは内緒なのだ。]
(25) 2020/09/12(Sat) 18:25:44

【人】 やる気のないアルバイト でゅーーす



  腹減ったなら何か作りましょーか。
  ……っつっても、軽食くらいッスかね
  ここにある材料だと。


[頭をボリボリ掻きながら
 口をへの字に曲げて思案顔。
 この青年が、訳ありそうなのはともかく
 一見普通の人間だと思っている。

 
万が一にも生き血のリクエストがあったなら
 流石に度肝を抜くだろうが。
 スキュラ、オイシクナイ、オイシクナイヨ……
(26) 2020/09/12(Sat) 18:26:53

【人】 やる気のないアルバイト でゅーーす

[リクエストがあったかどうか。
 無くても「そうスかー」なんてキッチンに入って
 賄いを作りに掛かるだろう。

 鍋でパスタを茹でている間に
 半端に残ったピーマン、玉ねぎ、アスパラガスを
 適当な大きさに刻んでいく。
 パスタが茹で上がったら、切った野菜を
 にんにくチューブと一緒に炒めてしまえ。

 ケチャップと胡椒で味付けする頃には
 辺りにふんわり、いい匂いが漂ってくるだろう。
 本日の賄い飯「ナポリタン」の出来上がり。]
(27) 2020/09/12(Sat) 18:32:27

【人】 やる気のないアルバイト でゅーーす

[リクエストがあったなら
 その料理を青年の元へ運んだろうし
 何も言われなかったら、ナポリタンを皿に盛って
 束の間の休憩に羽根を伸ばすだろう。

 ……ちょっと作りすぎたんで
 分けてあげてもいいんスけどね!なんて
 内心思いながら。]*
(28) 2020/09/12(Sat) 18:36:36

【人】 科学者 アーニャ

 
[この最高傑作(暫定)には
 行動規範の軸として
 大凡の常識がインプットしてあり
 ない情報はネット検索による補完が可能だ。

 だから、足を舐めさせられることが
 ごく一般的なW助手Wの行動でないことは
 きっと、わかったはずだ。

 人の心に似せて構築した
 学習型の擬似感情システムで
 彼がなにを思ったか――、
 それともなにも思わなかったかは

 言葉を発せないのだから
 後で記録を覗くまでは解らぬこと。]
 
(29) 2020/09/12(Sat) 19:26:05

【人】 科学者 アーニャ

 
[ともあれ、物言えぬ彼はボクの足下に跪いた。
 行動規範の上位に
 ボクの命令に従うというものがあるからだ。

 彼に疑問があろうとなかろうと
 椅子の上で偉そうにふんぞり変える
 ボクの足先は、彼の奉仕を受ける。]



   ククク……



[合金製の歯列が上下に開かれ
 その間から伸ばされる
 人工的な粘液を纏った赤い舌に
 ちいさな足の指は、余す所なく舐められていった。]
 
(30) 2020/09/12(Sat) 19:26:08

【人】 科学者 アーニャ

 
[ボクは特段、足を舐められる趣味が
 あった訳ではない。
 というかこんなことさせたのは初めてだ。]


   (うむ……案外良いな……)


[マッドサイエンティストらしく
 ワルっぽい命令をしてみたかった
 ……というのが正直なところだが。

 何だかクセになってしまいそうだ。]
 
(31) 2020/09/12(Sat) 19:26:20

【人】 科学者 アーニャ

 
[ずるりと引き抜いた。]


   ……っ、もう足はよい
       ふやけてしまいそうだ


[右の伍本と左の伍本。
 すーすーする指を椅子からプラつかせながら
 さて次はどうしようかと思考を巡らす。**]
 
(32) 2020/09/12(Sat) 19:26:45

【人】 空腹な迷い人 レックス

[ 独り言が聞こえたのか、店員さんから声がかかる。>>25
 寝ぼけていた思考が、一気に目覚めて、一瞬だけ
 ぱちくりと、瞳を瞬かせた。]

  あ、あぁ、おはようございます

[ カウンターの向こう側で、何か動いている気配は感じるが
 それが尻尾だとは気づいていない。
 ――まさか、かなり心配させていたとは露知らず

 不思議な場所だ。
 外の世界とは、空気が違う。
 知らない場所なのに、知っているような気もする。

 店員さん、どこか人間とは違う気配がする。]
(33) 2020/09/12(Sat) 19:51:08

【人】 空腹な迷い人 レックス


 
  ご飯……作ってくれるんですか?

[ 軽食とは、どんなものか想像ができなかった。
 白鬼とあの子が食べていたものだろうか。

 こてりと、首を緩く傾げて思案する。

 血や肉や、生気以外は、口にしても腹は膨れないが。
 味を感じることくらいはできる。
 
 あとは、動物の肉なら、多少腹の足しにはなる。

 少し考えた後に、こくりと頷いて]
(34) 2020/09/12(Sat) 19:51:11

【人】 空腹な迷い人 レックス

  
  お願いしても、いいですか?
  何か、肉が入っていると、有難いです

[ そう言えば、店員さんはどこかへと消える。
 
  
ん? 足音が、ないような?

 
 小さな疑問が、ぐぅ〜と鳴いた腹の虫に掻き消された。
 向こうの方から、良い匂いがする。
 それから、料理をするときの音だ。

 あの子が料理する時も、こんな音だったな。と
 懐かしそうに耳を傾けていた。]
(35) 2020/09/12(Sat) 19:51:13

【人】 空腹な迷い人 レックス

[ 出てきた美味しそうなナポリタン。
 ソーセージでも入っていれば、それで喜んで]

  ありがとうございます

[ にこりと笑った。
 人間向けの、無邪気な笑みで受け取れば、
 目の前の更を興味深げに見つめて、
 フォークでくるくる、
 パスタを器用に掬い取って、口に運んだ。

 
赤くて
しょっぱい。
 美味しい味がした。

 お腹は、膨れはしないけど、]

  ――――美味しいですね

[ 作ってくれた人への感謝を込めて、そう言った**]
(36) 2020/09/12(Sat) 19:51:16

【人】 環 由人



[ 夜と朝の境目。
曖昧にしていてもきっと許される
孤独なひとたちのひととき。

美味しい、なんて言葉を言われたことはない。
いつだってその口からこぼれるのは
恨み言みたいな形をしていて───
それでも、構わなかった。
その言葉の裏に隠されたものは
空っぽになった器に現れていたから。

時折お礼の様にちょっと良いフルーツが>>3
テーブルの上に置かれている時がある。
ただの余り物の処理なんだから、と
一度は伝えたけれど、
気持ちだと言われたのなら
そうか、と眉を下げて、それからは
もらったフルーツはすぐ食べられるように
向いて、一口大に切ってタッパーに
詰めて冷蔵庫に入れておくようになった。]

 
(37) 2020/09/12(Sat) 20:45:49

【人】 環 由人



[ 部屋が見つかるまで、という約束だった。
だから、いつかこの日々がなくなるって
ぼんやりわかってはいるのに、
どこかでずっとここにいるんじゃないかって
そんな幻想を抱いて、そっと、蓋をしたのだ。

そんなある日。
机の上に置かれたガイドブックを見つけた。]



   ───北海道?


[ 旅行にでもいくつもりなのだろうか。
そういえばこの前商店街の福引で
北海道旅行が景品で出ていたらしいが…]



    ……あ、


[ 合点する、やっと意味がわかった。]

  
(38) 2020/09/12(Sat) 20:46:26

【人】 環 由人


[ 奥様方になにやら色々言われたのだ。
「お友達よかったわねえ」
「うらやましいわぁ」
けらけら笑う奥様方の会話に、
相変わらず下手くそな愛想笑いを返していた。

それが、つまり、これか。

「よかった」も「うらやましい」も
北海道旅行のことか。

なるほどな、とうなずいて。
ペア旅行券だったとたしか言っていたけれど、
誰といくのだろう、───そういえば、
恋人の話はしたことがないなと思った。

だが、その次の展開は予想外である。
誘われたのは店の従業員でも、
友達でもなく──己だった。]
 
(39) 2020/09/12(Sat) 20:46:46

【人】 環 由人





   え、俺?



[ すこし驚いて、目を開いてしまうものの、
嫌かと聞かれたらそんなわけはなく。
旅行なんて久方ぶりだし…
そのチケットを見つめて、彼の顔を見つめて、
交互に数度、繰り返してから、
「ほんとに?」と一応確認していた。

俺と彼の関係を表すのならば、同居人。
友達ではないし、もちろん恋人でもない。
知り合い、ではあるけれど、その位置よりも
もっと親密なもので───少なくとも、
自分はそうだと思っていて。
そうでありたいと思っていて。

だけど、彼の中で己がどういう位置にあるのか
よくわかっていなかったから、
純粋に驚いてしまったのだ。]

 
(40) 2020/09/12(Sat) 20:47:09

【人】 環 由人

[ もう一度聞かれたら「いや」と前置きを
してから、ほんのすこし下手な微笑みを浮かべて。]



    うれしい、……ありがとう



[ と小さく落とすのだった。

まとまった休みが取れるといえば───
次は年末年始だろうか、と確認を。
北海道なんて、行ったことがなかった。
もっと遠い土地にひとりで行ったことは
あるのに、変な話だ。

それから、普段は見ない
テレビをわざわざつけてみたり、
彼が買っていたことは別の
ガイドブックを買ってみたり、
スマホで北海道旅行について
検索をかけてみたりと、それはそれは
わかりやすく楽しみにしてしまう。

あんまりあからさまなのは
すこし恥ずかしかったから、
もちろん一人の時に、だけれど、
資料が増えているのは明らかだっただろう。]
 
(41) 2020/09/12(Sat) 20:48:40

【人】 環 由人



[ 楽しみだったし、考えるだけで楽しかった。
どこに行こうとか、なにを食べようとか
計画を立てるだけで。
だから、たぶん余計に───その茶封筒を
見つけた時には、ショックみたいなものを
受けてしまったのだ。>>7]

 
(42) 2020/09/12(Sat) 20:49:12

【人】 環 由人



[ 見てはいけない気がした。
わかってた、はずなのに、
どうしてか出してしまった。

蓋をして、そのままにしてた。
なあなあにしててもいいと思ってた。
初めに提示した条件も、なにもかも。

しばらく、じっとそれを見つめて。

ああ、うん、そうだな、
その方がいいに決まってる。

その内容は見なかったことにしようか、
なんて考えながらそっとしまった。

その日ばかりは己の無愛想さに
感謝した。</gray>───うまくできていたかは
定かではないのだけれど。</gray>]

 
(43) 2020/09/12(Sat) 20:49:36

【人】 環 由人



[ ただその日は、曖昧に濁した答えが
出せなくて、彼が切り出すよりも早く、
「今日は、眠れそうにない」なんて、
下手くそな誘い文句をかけてしまったから、
変に思われたかもしれない。]*

 
(44) 2020/09/12(Sat) 20:50:03

【人】 空腹な迷う人 レックス

[ "美味しい"を感じられるのは、
 自分がまだ、生きているという意味。

 そう言ったのは、誰だったか。

 普通の食事の味を、まだ感じられる自分は
 まだ、ただのバケモノに堕ちていないということだ。

 人が食べる食事をしていると、ふいに頭が、ずきりと痛む。]

  『折角、餌に困らない場所に送ったというのに
   随分と、やせ我慢をするのね
              、、、
   そこでなら、いくらでも食べていいのよ?
   だって、別の世界だもの』


[ 上品な女性の声が、愉しそうに嗤う。
 
  ――――あぁ、この声は
魔女


 今なら分かる。
 美しくて、冷たくて、恐ろしい声。
 
 恐ろしいことを、いとも簡単に言う。
 魅惑的な誘い文句で、戻れない場所に導こうとする。]
(45) 2020/09/12(Sat) 22:33:22

【人】 空腹な迷う人 レックス

 
 

 
『――――食べてしまいなさいな
 
           
バケモノ

       お前は、人食い鬼なんだから』

 
 
(46) 2020/09/12(Sat) 22:33:30

【人】 空腹な鬼 レックス

 
  
 ――――ッ、!!


[ 頭が痛い。
 カランと音を立てて、フォークを落として
 頭を抱えて、蹲る。

 
 食べたい、食べたい、食べたい
 食べたい食べたい食べたい食べたい食べたい


 血を啜って、肉を噛み千切って、骨を砕いて、
 甘くて、旨くて、蕩けるような甘美な食事をしたい。

 くらくらする、美味しそうな匂いは、外の世界に
 あの扉の向こうに、たくさんある。]
(47) 2020/09/12(Sat) 22:33:57

【人】 空腹な迷い人 レックス

 
  
『レックス』


[ 今度は、諌めるようなハスキーな声が頭に響く。

 あの子の声が、
 傾きそうになった天秤の元に戻してくれた。

 あの子が嫌いな、鬼にはなりたくない。]

  っ、……はぁ、
  ちょっと休憩が足りなかったみたいだから

  えっと奥の個室で……休ませて、もらいますね

[ 本を読む為の場所で、休憩するのも悪い気がしたが
 ここで苦しんでいると、心配させてしまいそうだったから

 店員さんに一言告げてから、奥の個室に向かった。
 そこで、飢えの波が去るのを待とうと思って**]
(48) 2020/09/12(Sat) 22:34:22
空腹な迷い人 レックスは、メモを貼った。
(a5) 2020/09/12(Sat) 23:02:50

【人】 マリィ  

[何度も確認するみたいに
 ちらちらアタシを見るものだから
 思わず、ぷっと噴き出して]


  あんた以外に誰がいるのよ。


[そう、真ん丸お目目が見えやすいように
 前髪を優しく梳いたでしょう。
 お店の子たったひとりだけを
 連れてくなんて無理だし
 友達と呼べる人もいないし
 恋人だって、いない。

 今、たった二人で孤独を分け合える
 あなたくらいしか、一緒に行きたい人はいないの。]
(49) 2020/09/12(Sat) 23:04:24

【赤】 橋本 雅治  

[…………いや、言えたら良かったんだけどさ。


 
笑われたら、すごい凹むじゃん。
(*0) 2020/09/12(Sat) 23:04:55

【人】 マリィ  

[それから、前髪を梳いた指を
 ぎこちない笑みの浮かんだ頬へ>>41
 する、と滑らせる。]


  約束よ。


[約束を破ってるのはアタシのくせに。

 暁天に温もりを分かつだけの
 名前のない関係の由人を繋ぎ止めて、
 恋人ぶってみせてる。]
(50) 2020/09/12(Sat) 23:05:27

【人】 マリィ  




  あのね、調べたんだけど……
  空港からこの、……読めない、何コレ?
  のぼるべつ?なんか、温泉があるんだって。
  ここ。このホテル!
  色んな種類のお湯があって面白そう。


[お誘いしたからには、って
 調べてはガイドブックを広げて
 食事の合間にもお話したかしら。
 ホテルはどこにしよう、とか
 観光するなら何処がいいか……とか。

 アタシばっかりはしゃいでるのかなって
 最初こそ不安だったんだけど、
 本棚に新しいガイドブック見つけたりすれば
 いつものあの仏頂面の裏の感情を知って
 思わずにっこりしちゃうのね。

 ああ、良かった。
 この人も楽しみにしてくれてたんだ、って。]
(51) 2020/09/12(Sat) 23:05:51

【人】 マリィ  

[オクラや胡瓜の時期が終わって
 栗ご飯の美味しい季節。

 ある日の食卓は相変わらず美味しかったのに
 何だか、由人の様子がおかしかった>>43
 いつも以上に表情がない、というか
 由人の仮面を、何かが被ってる感じ。]


  ……この里芋とイカの煮物、
  なんかおばあちゃんちで食べた感じ。

  アタシ、中学で両親に勘当されてから
  ちょっとだけおばあちゃんちで暮らしてたの。
  ……懐かしいわ。


[珍しく、料理にポジティブめなこと(当社比)
 言ったりしたけど、どうだったかしら。

 ああ、これは何かおかしい、って
 気が付いたのはラジオが終わった辺り>>44
(52) 2020/09/12(Sat) 23:06:19

【人】 マリィ  




  ……眠れないの?


[問いかけるより先に出た答えに
 アタシは少し眉を顰めるでしょう。

 
そんなに、寂しいことがあったの?


 話を聞いてあげるのは出来るけど
 この口下手君に果たしてそれが有効かどうか。
 居候を初めた当初に思ったよりも
 由人は自分の殻に籠りやすい性質みたいで
 ……結局、語るより、共に居てあげた方が
 彼の心は癒されるんじゃないか、って。]
(53) 2020/09/12(Sat) 23:07:11

【人】 マリィ  




  一緒に寝るだけじゃ、ダメなのかしら。


[じっと由人の目を覗き込んで
 アタシは確かめるように尋ねたの。
 この意味が分からない程、子供じゃないでしょう。]*
(54) 2020/09/12(Sat) 23:07:43

【赤】 マリィ  



  もっと、近くに感じたら……安心出来る?


[親指の腹でそっと由人の唇をなぞりながら
 アタシはまた質問を重ねる。
 恋人でもない人とキスするのは嫌って人
 結構多いから、そのつもりで。

 唇を重ねてもいいなら
 孤独を分かつ者同士、おっかなびっくり
 触れるだけのキスをするの。
 唇の形が分かったなら、もう少し深く。
 温もりを確かめるように
 舌先同士を擦り合わせて。

 ダメ、と言われたならそれはそれ。
 いつも通りハグをしながら
 狭いベッドで眠りにつくでしょう。]
(*1) 2020/09/12(Sat) 23:08:22

【人】 環 由人


[ だって、よく知らないのだ。
面と向かってきちんと話をするだとか、
あまりしてこなかった。
ほんの数時間、正面に座って食事をして、
あとは一緒にただ眠るだけだ。

ただ、それだけの、同居人。
きっと彼にとって人生において
W間借りWしている存在だろう、と。

だけど、もしも自惚れるのならば、
自分が彼と逆の立場だったならば、
同じように、彼を誘っただろう。
友達と呼べる人もいない。
恋人も、いない。]

 
(55) 2020/09/13(Sun) 0:44:56

【人】 環 由人


[ WマリィWなんて名前にそぐわないほど
骨張った男の手が前髪を梳く。
そっと頬に降りて、ぴく、と
触れられていないとわからないほど
微かに体が揺れた。

顎を軽く二度浮かすみたいに頷いて、
眉尻をすこしだけ下げた。
『当たり前だろ』と言わんばかりに。]

  
(56) 2020/09/13(Sun) 0:46:09

【人】 環 由人




   WのぼりべつWだな、

   あー、いい、うん、温泉、行きたい


[ 最近知った読み方の地名。
北海道にある温泉地らしく、
調べたときにはそれはそれは様々な
宿が出てきたものだ。
提示されたホテルに頷いて、覗き込む。

近頃二人で話すことが前より増えた。
大抵は旅行に関すること。
机の上に広げられたガイドブックは、
たぶんお互いすでに数度目を通してる。

ときどき調べた知識やら、
ネットで見つけた行きたい場所を
横から挟み込んではプランを練っていた。]

 
(57) 2020/09/13(Sun) 0:46:33

【人】 環 由人



[ そんな日々の中で見つけたのだ。
例の、茶封筒を。
無愛想と仏頂面を体現したような
顔をしていると自分でも
よくわかっているから、そのおかげで
きっと気付かれてないと思ってた。

彼がいつになく、己の料理に
前向きなコメントをくれたのに、
「そう」と頷くことしかできなくて。

どうしても考えてしまう。]

 
(58) 2020/09/13(Sun) 0:47:03

【人】 環 由人



[ またあのラジオの声をひとりで聴きながら、
寂寞に飲まれて潰されそうになる夜を
過ごすことになるのかもしれない、と。

わかってたのに、自分で、蓋をして
見ないフリばかりしていた。
もっとはやくから向き合っていれば
大丈夫だったかもしれないのに、
あまりに訪れがいきなりで。

やっぱりきっと、自惚れてた。

本当は、温もりのなくなる日々を
想定して、あの曖昧な返事を
きっぱりとしたものにかえて、
一人で眠ろうかとも思った。
だけど───だけど。

口から出たのは、真反対の言葉だった。]

 
(59) 2020/09/13(Sun) 0:47:40

【人】 環 由人



[ 問いかけられたことにそっと目を伏せて、
それから小さく、頷いた。

嘘はついてない。
たぶん、今日は眠れない。
明日も、明後日も、もしかしたら───
伏せた瞳を覗き込まれるから、
ゆっくりと瞬きをしながら視線をあげた。]

 
(60) 2020/09/13(Sun) 0:48:04

【赤】 環 由人



[ 続けられた問いかけに揺れる。
いつだって触れられるのは、
体と髪だけだったのに。

親指が唇をなぞる。

ぞく、として、どくん、と打って。

そんな雰囲気になったことは
今までなかったし、彼がどっちなのか、
そんなことすら知らないのだとわかる。

その熱を識りたいと思う自分と
識るのが怖いと思う自分がいて

ただ、おずおずと重なった唇の
柔らかさは、とても好きだった。
絡んだ舌先の甘さも、同じ。
微かに歯磨き粉のミントが抜ける。]

 
(*2) 2020/09/13(Sun) 0:48:42

【赤】 環 由人




   …ま、さ はる───、



[ 知ってはいたけれど、一度も
口にしたことのなかった本名を
その震える声に乗せる。


見上げた瞳に、灯るのは何色なのだろう。]

 
(*3) 2020/09/13(Sun) 0:49:43

【人】 環 由人



[ ぐ、と握った拳。
顔を伏せて、その胸に置いて、
力をこめて、そっと押した。]

   
(61) 2020/09/13(Sun) 1:00:16

【人】 環 由人




    ───ごめん、

    変なこと言った、忘れて。

    コンビニ行ってくる、



[ そう落として部屋から出る。
居た堪れなかった。
俺と彼はただの同居人。
友達でもなければ、もちろん恋人でもない。
知り合いの延長線上の、否、ほんとは───
その先を望むのが、怖かった。]*

 
(62) 2020/09/13(Sun) 1:02:16

【人】   月森 瑛莉咲


 ……まっ、ゃ、だ、


 ………………プリンはもう……


 ……あれ?


 [ わんこくんが見送りにきてくれたあたりから
  雨足は弱まって。
  それ以上は濡れることもなく、無事に一日は終了。

  前にも同じような事があった。
  もしかしたらわんこくんは
  かみさまの使いかもしれないね。
  だってあんなに綺麗な白わんこだもの。 

  ほわわんとした気持ちでお布団にインした深夜。


  どうしてか、目が覚めた。
  とても幸せなプリンの夢をみていた筈なのに。 ]

  
(63) 2020/09/13(Sun) 7:45:32

【人】   月森 瑛莉咲



 [ 因みにお住まいは祠よりかは都会寄り。
  でも田舎です。

  冷蔵庫の水を含み、お花摘みにゆき
  さあ再びプリン食べ放題の世界へといざゆかん。


  なんて心地のひんやりした深夜。
  なんとなく気になって部屋の窓を開けば 








  ――人影。]
  
(64) 2020/09/13(Sun) 7:46:35

【人】   月森 瑛莉咲



  ……え?


 [ 見間違えた?
  月夜に映る後ろ姿。

  こんな時間にコスプレだ、なんて茶化せないような
  美しい羽衣と、衣装と、それから―― ]
  
  
(65) 2020/09/13(Sun) 7:47:08

【人】   月森 瑛莉咲



  [ 私が玄関へたどり着いた頃には
    もうその後ろ姿すら見えはしなかったけれど


   かわりに置かれた赤いシュシュと
   夜でも映える黄色の花 ]
   


   これは……
   


 [ 手にとった瞬間。 ]
(66) 2020/09/13(Sun) 7:48:04

【人】   月森 瑛莉咲



 
?!!




 [ あれ。


  なんだなんだなんだなんだ?!

  死ぬんじゃあないのかなってくらい心臓が跳ねて
  熱があるんじゃないかってくらい、
  顔に熱が灯って。

  自分で何が起きたのかさっぱりさっぱりわからない! ]
(67) 2020/09/13(Sun) 7:51:04

【人】   月森 瑛莉咲




 [ ただ解るのは、月夜に透けた髪の色と
  背中がやけに脳裏に焼き付いて。


  痛い。
  苦しい。
  

  よくわかんないけど


  よくわかんないから 眠れなくなっちゃった ]
(68) 2020/09/13(Sun) 7:56:18

【人】   月森 瑛莉咲



 [ そのまま、陽はのぼり。

  いつもより早くに、
  眠気まなこの女子はあの祠にやってきた。


  わんこくんはもう来てたかな。
  朝ごはんにしようとしたサンドイッチ

  やけに食べ物喜んでたから今日は君にあげよう。
  ぼんやり手を伸ばし、
  いつものようにわしゃり、わしゃり

  きっと撫でまわしていたはず ]
(69) 2020/09/13(Sun) 7:58:37

【人】   月森 瑛莉咲


 [ うつらうつら、ぼんやり。
  石に腰掛けて、ひとりごとのように
  祠へとむかって話しかけて。 ]



  かみさま どうしよう
  私、しんじゃうかもしれない。

  昨日の夜から心臓がおかしくて
  すごく変。
  


 [ 左手首には赤いシュシュ。
  いつもなら供える花は手の中に残ったまま。

  ぽやんと頭のなかに残る後ろ姿を思えば
  また心臓が痛い。 ]
(70) 2020/09/13(Sun) 8:13:10

【人】   月森 瑛莉咲





  ここで死ねるなら、
  私きっと幸せだとおもうの。

  ……でも、かみさまには迷惑ね。
  


 [ 睡眠不足に耐えきれそうもなく、
  お年頃の娘さんが地面に横たわってしまった。

  ご両親が知れば泣いてしまうような光景ですね。
  おまわりさんの巡回に鉢合わせたことはないから
  だれかが来ることなんて考えてすらいないのです。 ]
(71) 2020/09/13(Sun) 8:15:32

【人】   月森 瑛莉咲



 [ ちなみに心臓に全く異変はなく。
  脳裏に異常もなければ、悪い病気でもまったくなし。
  健康はお墨付きであります。


  強いて言うのであれば
  月森 瑛莉咲という娘御は、


  
  高鳴る鼓動や、
  灯る熱の意味を、


  まだ知らなかっただけで。  ]
(72) 2020/09/13(Sun) 8:33:22

【人】   月森 瑛莉咲




  へい……でゅーす
  たいまーせっと じゅっぷん……


 [ スマホの音声認識ソフトに声をかけられるくらいには
  まだ理性はありました。

  でももうだめだ。


  次にはすやりすやり、寝息が響く **]
(73) 2020/09/13(Sun) 8:36:06
  月森 瑛莉咲は、メモを貼った。
(a6) 2020/09/13(Sun) 8:38:05

【人】 やる気のないアルバイト でゅーーす

[肉が欲しい、なんて不思議なリクエストだったけど
 望み通りにソーセージをたっぷり入れた
 ナポリタンにしてやろう、と
 長い尾をしゅるり、と引きずりながら
 奥へと引っ込んでいくのだった。

 下半身が蛇であること、別に隠しちゃいない。
 たまに失礼な輩から「異形」と言われるけれど
 此方からすればこれが通常なわけで。

 そうして湯気の立つひと皿を
 青年の前に持ってきて─────
 無邪気な笑みを見たならば>>36


  きしし……ごゆっくり。


[そう、また尾を揺らすのだ。]
(74) 2020/09/13(Sun) 8:47:18

【人】 やる気のないアルバイト でゅーーす

[けれども、それからしばらくの後
 フォークが床を叩く音に顔を上げれば
 そこにいたのは無邪気な青年じゃなく
 さっきよりグロッキーな顔した男>>48


  個室使うのは大丈夫スけど……
  アンタ、本当に大丈夫ッスか?
  顔色、すげえ悪いけど……。


[調子悪いならちゃんと言うんスよ、と
 きちんと言い含めた上で
 個室に消える青年の背中を見守るだろう。

 何度も読み返した万葉集も
 一句一句、頭の中を滑っていく。]
(75) 2020/09/13(Sun) 8:47:54

【人】 やる気のないアルバイト でゅーーす

[まあ、ここは漫画を読むために
 オーナーが作った空間ではあるけれど、
 休みたい人は休むだろうし
 ただ友達と語らいたいだけの人もいる。
 何処でどう過ごそうと、自由な空間。


 ─────ああ、だけど、ご覧!
 ここにある一冊一冊は、
 君を決して孤独にしない!


 アルバイトがかつて「客」として
 この店を訪れた時に出逢った本のことは
 今でも鮮明に覚えている。

 ろくな娯楽もない世界でただ真面目に
 与えられた課題をこなすだけだった男の前に
 ある日突然この店は姿を現して
 たくさんの本で男を魅了したのだ。]
(76) 2020/09/13(Sun) 8:48:19

【人】 やる気のないアルバイト でゅーーす

[これだけある中の一つくらい、
 俺だけのものにしたっていいだろ?

 ─────そう思って、漫画を一冊、
 ジャケットの内側へと忍ばせた。

 あの日から男はずっとここに居る。]
(77) 2020/09/13(Sun) 8:50:44

【人】 やる気のないアルバイト でゅーーす

[本当に、ここにはたくさんの本がある。
 そこには描き手の描いた空想や思想、
 誰かに分かってもらいたい気持ちが
 所狭しと店内を埋めつくしている。

 たったひとりぼっち、空腹に耐えて
 それでもより良く生きようと
 足掻いて生きようとした異形の者の物語も
 もしかしたら─────?



 カウンターへと戻ったアルバイトの目に
 棚から一冊転げ落ちた漫画が止まる。
 『ポーの一族』と書かれたその漫画を
 棚に戻すと、男はまたカウンターでとぐろを巻いた。]*
(78) 2020/09/13(Sun) 8:51:37

【人】 科学者 アーニャ

 

   ふぁぁぁぁ……あにゃ


[欠伸が漏れた。
 助手の動作テストやら助手以外の研究やら
 やりたいことは沢山あるが――、
 どれも期限が存在しないと思えば
 肉体の欲求を優先することにする。]
 
(79) 2020/09/13(Sun) 12:45:27

【人】 科学者 アーニャ

 
[何せ、この世界はボクを除いて滅亡してしまった。]
 
(80) 2020/09/13(Sun) 12:45:58

【人】 科学者 アーニャ

 
[読み手のいないレポートは
 後でゆっくり纏めれば良い。

 背凭れに預けていた身体を起こし
 両腕を広げた。]


   ボクはお昼寝……じゃない
   仮眠をとることにした

   隣の部屋のベッドに運んでくれ給え

   えっとね、お姫様抱っこでだぞ!


[助手に軽々と抱え上げられ腕の中に収まり
 人肌と同じに作った熱に包まれれば
 猫のように目を細くして運ばれる。

 良いものを得た。]
 
(81) 2020/09/13(Sun) 12:46:10

【人】 科学者 アーニャ

 
[誰も、小さな科学者の言葉を信じなかった。
 高名な科学者であった両親を含めて、誰一人。

 廊下の窓は外に通じているが
 惑星中に蔓延した毒が入ってこないよう
 分厚いシャッターで塞いであり薄暗い。

 助手の規則的に動かされる靴底だけが音を響かせ]
 
(82) 2020/09/13(Sun) 12:46:24

【人】 科学者 アーニャ

 
[ヒーターで作り出した人工のものとはいえ
        、、、
 記憶にある限り初めての人肌の体温は
 酷く安心を覚えるものだった。]


   ぁ……むにゃ……


[ただ睡眠を取るためだけに作られた
 生活感の低い白の部屋。

 ベッドに下ろされたときにはもう
 半分以上眠りの世界に旅立っていた。**]
 
(83) 2020/09/13(Sun) 12:47:02

【赤】 橋本 雅治  

[重ねた唇は、多分同じ歯磨き粉の味。
 だけど、思ったよりも高い粘膜の温度とか、
 少しだけかさついた唇の感触とか、
 また知らない由人が見えてくるみたいで。

 腕の中に抱きすくめて、
 舌先で歯列を割ると、中はもっと柔らかくて熱い。
 ミントの清涼感なんかよりよっぽど強い、
 生々しい味蕾の粒の感触。

 ああ、この舌が「美味しい」と思ったもの
 アタシは毎日一緒に食べてるのかな、なんて。
 そう思ったら、もっと深く知りたくなった。]
(*4) 2020/09/13(Sun) 13:03:28

【赤】 橋本 雅治  

[乾いた由人の声が、“俺”を呼んでくれた。
 初めて、呼んでくれた!]


  ゆうと。


[少しだけ甘えるみたいな口調で
 口の中で由人の名前を転がすと
 なんだかとっても安心する。
 ふと目があったから俺は「大丈夫だよ」って
 慈しむような目を向けただろう。

 由人の目の前にいるのは
 いつもの化粧もなく、
 ありのままの男の顔した俺。]
(*5) 2020/09/13(Sun) 13:03:50

【人】 橋本 雅治  



  あ、


[ぐ、と胸を押しのけられて
 俺は微かに揺らめいた>>61
 抱き竦めていた腕が離れて
 あんなに近かった体温が、もうこんなに遠い。

 待ってよ、とか、どうして、とか
 言葉らしい言葉が何も出ない内に
 由人は部屋から出ていってしまう。

 さっきまでの空気が嘘みたいに
 真っ暗な部屋にぽつん、と一人残されて
 口の周りを汚す唾液が冷めていくのだけが
 今しがたの熱の左証だった。]
(84) 2020/09/13(Sun) 13:06:24

【人】 マリィ  

[一番拒まれたくない人に去られた衝撃は
 ゆっくりじわじわ、ざわつく心に染みていって]


  ─────は、


[自嘲の笑みが、零れた。

 由人が帰ってきた頃には、ソファーの上に
 でかい図体を丸めて寝ているアタシがいるでしょう。
 寝るには狭い座面に、
 人と分け合える空間なんかない。


 だけど朝が来れば由人は何事もなく
 お店に立つでしょうし、アタシも同じ。
 家に帰れば何も無かったみたいに
 「まあ相変わらず茶色い食卓ね!」なんて
 褒めもせずにご相伴預かるのよ。]
(85) 2020/09/13(Sun) 13:07:15

【人】 マリィ  

[結局、シェアハウスの話をしに
 営業マンは時折店に顔を出すから
 毎回曖昧に答えて終わる。

 いっそ「じゃあ機会があれば……」って
 引いてくれてもいいのに。

 それを見たお店の子にも
 「ママ、これ今誰も幸せにならないパターンよ」って
 目も合わせずそっと囁き落とされたりして。

 アタシは聞こえないふりして
 OLちゃんの愚痴に相槌を打つの。]
(86) 2020/09/13(Sun) 13:07:44

【人】 マリィ  

[例えば─────

 「美味しい」って言っちゃったら
 由人はきっと嬉しいでしょう?
 あの無愛想な顔に笑みっぽいのを浮かべて
 耳の端とかちょっと染めちゃったり、ね。

 それを毎日言って、
 ある日突然アタシが消えてしまったら
 その後どうやって生きていくのよ。

 「愛してる」って言っちゃったら
 由人はなんて言うかしら?
 キスは受け入れてくれたけど
 結局、ダメだったじゃない。

 アタシは何言われても平気。
 そう、言い聞かせているうちは。
 ……だけど、人間だから傷付くし血も出るわ。

 もし「無理」って言われたら
 アタシこの先どうやって生きていけばいいのよ。]
(87) 2020/09/13(Sun) 13:08:45

【人】 マリィ  

[そんなことを言ってるうちに
 栗の季節は過ぎて、
 白菜とかネギの美味しい時期になった。
 コロッケのラインナップに
 カニクリームコロッケが入ったり
 ハンバーグのソースもきのこから
 デミグラスに変わっていく。

 飛行機もホテルも予約して、
 ガイドブックも付箋だらけになった。
 北海道旅行の日程は、指折り数えられる程
 ぐっと近くなっていたでしょう。


 アタシは結局、来年までシェアハウスの話を
 ずるずる持ち越す気でいたし、
 あれからアタシから由人を求めることも無かった。
 「何も無かった」みたいなフリするのだけは
 アタシ、とっても慣れっこなんだもの。]*
(88) 2020/09/13(Sun) 13:13:04

【人】 かみさま 尊龍

[赤い髪留めを届けた後は何事もなく祠へ帰り。
 また犬の体に戻ってごろんと明け方まで眠っていよう。

 そうしていれば、朝も早くからエリサがやって来た。
 私は犬の体を起こしてわんと挨拶]


 わんわんっ


[こんな朝早くからどうした?
 なんて犬語で聞きつつ、供え物をくれるなら喜んでばぐっといただこう。
 はぐはぐと咀嚼しているとエリサが眠そうな目で私をわしゃわしゃ撫でてくる。
 私は撫でられるままにエリサを見ていた]
(89) 2020/09/13(Sun) 14:42:04

【人】 かみさま 尊龍

[そうしていると、エリサが祠に向かって話しかけてくれる。
 何々、死ぬかも、だと!?]


 くぅーん……、くぉーん……?


[なぜだエリサ、昨日まであんなに元気だったじゃないか。
 まさか、何かの呪いか?
 いや、そんな気配はない。なら、どうして……。

 犬の私は心配げにエリサの周りをくるくる回って鳴いてみせては、労るように手や頬を舐めてやったりもした。

 死ぬな、エリサ。お前はまだ若い。
 顔色だって良いし健康そうじゃないか。
 死ぬな死ぬな、死ぬと私はすごく悲しい!]
(90) 2020/09/13(Sun) 14:42:40

【人】 かみさま 尊龍

[やがてこてんと地面に横たわるエリサ。
 まさか、ここで死んでしまうのか?
 はらはらと近寄るも、どうやら眠るだけのよう。穏やかな寝息にほっと一安心。
 (寝る前になにやら妙なまじないを口にしていたが、昨今の人間の作法なのだろうか?)

 なんにせよ、ひとまず元気そうで良かった。
 私が昔ほどの力があれば、エリサの言うその心臓の患いも治せたやもしれぬのにと思うと、やはり、今の己の無力さを痛感する]


 ……せめて、夢見は安らかであるように。


[ぽふりと犬の姿から人の姿になり、眠るエリサに膝枕をしてやろう。
 さらさらと髪を撫でてその身の健やかなる事を祈ろう。
 これからもエリサが健やかであるように、幸せであるように祝いを授けよう]
(91) 2020/09/13(Sun) 14:43:09

【人】 かみさま 尊龍

[そうして、エリサが目を覚ますまで人の姿のままそばに……、
 と、思っていたが。
 人間の感覚で10分?くらいで、エリサの持つ謎の道具が大きな音を鳴らし始めた]


 っ……!?


[私はその音に驚いてぽふりと人から犬の姿に戻り、落ち着きなく妙な音がする謎の道具を犬の鼻でくんくんしたり、前脚でてしてししたりして音が止められないかと格闘しだした。**]
(92) 2020/09/13(Sun) 14:43:45

【人】 空腹な迷い人 レックス

[ 皿を持ってきてくれた時
 店員さんの下半身が蛇であることに気付いたけれど。
 この世界にも、異形と呼ばれるものがいるのかと
 少しだけ親近感を感じていた。

 だけど、染みついた習慣で、
 人間向けの笑顔を受かべていた。

 異形でも、人間を食べないものもいるから
 怖い話はしないでおこう。

  君"も"人間じゃないんだね


 という言葉は飲み込んで

 揺れる尻尾が、面白くて、また小さく笑っていた。
 ――尻尾のある奴は初めて見たな
]
(93) 2020/09/13(Sun) 14:54:42

【人】 空腹な迷い人 レックス

[ 頭の痛さと、飢えの苦しさに
 フォークを落とせば、心配してくれる声が聞こえた。]

  だい、じょうぶです
  少し休めば、治まるんで……

[ チラチラと、瞳に紅を滲ませながら、
 フォークを拾って、皿に戻した。]

  残りは、後で……食べますね

[ 片手で皿を持って、小部屋へと歩いて行った。
 せっかく作ってくれたものだから、全部食べたくて。]
(94) 2020/09/13(Sun) 14:54:45

【人】 空腹な迷い人 レックス

― 個室 ―
  
[ 机の上にナポリタンの皿を置けば、
 掛けてくれた毛布にくるまって、丸まった。

 美味しそうな匂いから遠ざかって
 食べたい衝動が過ぎ去るのを待つ。

 あの子が嫌いな、鬼にはなりたくなから]
(95) 2020/09/13(Sun) 14:54:47

【人】 空腹な鬼 レックス

― 嫌いな鬼の話 ―

[ いつだったか、彼女に聞いた。]

  鬼と共存したいなんて、君は鬼が嫌いじゃないの?
  人間を喰うし、意味もなく殺すことだってある

  怖がったり、嫌ったりするものじゃない?

[ 白鬼なんかと一緒に旅をしているし、
 共存する道を探しているとかいうし、
 不思議そうにそう尋ねたんだ。

 そうしたら、彼女は泣き出しそうな顔で笑った。]

  『鬼は嫌いだよ、
   僕の大切なものを奪う"鬼"は、嫌い』


[ 大切なものを、きっと奪われたんだ。
 それなのに、なぜ共存を目指すのか不思議だった]
(96) 2020/09/13(Sun) 14:55:10

【人】 空腹な鬼 レックス

 
  『親も、養父も、大切な友だちも、
   みんな、みんな、"鬼"が奪っていった

   だから、僕は
奪う"鬼"は嫌い
だよ
   だけど、それは"人間"も同じだって、知ってるから

 
(97) 2020/09/13(Sun) 14:55:27

【人】 空腹な鬼 レックス

[ そう、人間も同じだ。
 人同士で殺し合うし、大事なものを奪い合う。

 人間の方が、恐ろしい時すらある。
 そんな話をぽつぽつと話してくれた。

 小さな頃に両親を、
鬼に殺されて、

 引き取ってくれた養父も、
鬼に殺されて、

 大切な友人も、
鬼に殺された

 ――友人は、それを受け入れてたようだが


 だが、人間を愛する鬼もいた。
 護ろうとする鬼もいた。

 人と同じだと、気づいたのだと
 大好きな女の子が、鬼と共に生きる道を選んだから
 自分も共存の道を探そうと思ったんだ。

 そんな話をしてくれた]

   君は変な子だね、いばらの道だ
   白鬼は気まぐれに付き合ってるのかもしれないし
   僕だって、暇つぶしで付き合ってるだけだし

[ 鬼は、人と同じように成長する者もいれば、
 白鬼の様に長生きなものもいる、
 見た目を変えることができるものだっている。

 自分だって、見た目は彼女と変わらないけど
 ずっとずっと年上だ。]
(98) 2020/09/13(Sun) 14:56:49

【人】 空腹な鬼 レックス

 
  『それでいいよ、やるって決めたんだ
   オーリャと約束したし、義父さんにも約束した』


[ いつも何を考えているかわからない黒い瞳が
 その話をした時だけは、キラキラと煌めていて
 すごく――綺麗だった。

 それから、彼女が大好きなオーリャという子に少し嫉妬した。

 その子のために、嫌いな鬼を受け入れようと決めて
 いばら道を歩むなんて……]
(99) 2020/09/13(Sun) 14:57:37

【人】 空腹な鬼 レックス

 
   …………僕も、なれるかな

[ 不安そうに、ぽつりと呟いた。
 俯いて、自分の掌を見つめた。

 今は綺麗だけど、この手はたくさんの命を奪ってきた。
 血の匂いは、消えはしない。]
(100) 2020/09/13(Sun) 14:58:21

【人】 空腹な鬼 レックス

 
  君が好きになれる"鬼"に、なりたいな
  
  『君なら、なれるよ……きっと』


[ いつも無表情な彼女が、笑った。
 花が咲くように、愛らしい笑顔だった。

  ――あぁ、好きだな


 どんなに辛くても、我慢しよう。
 そう、胸に誓った。――それでも、欲求には抗えなくて]
(101) 2020/09/13(Sun) 14:58:48

【人】 空腹な鬼 レックス

 
  
アァ、お腹が空いた
――ダメだよ

  
血が欲しい、肉を喰らいたい
――食べちゃダメ

 
  
もう食べてもいいよね
――それなら、僕を食べて


[ 彼女の首筋に、牙を突き立ててしまった。
 
 一滴、滴った血が唇に触れて、舌に触れて、
 
甘くて、美味しくて、
……でも、苦しかった。

 ほんの一滴、だけど、
 一滴でも口にしてはいけなかったものだった。]
(102) 2020/09/13(Sun) 14:59:46

【人】 空腹な鬼 レックス

 
  ごめん、なさい……ごめん、ゼノビア
  やっぱりダメなんだ……僕は、このままだと
  君を食べてしまう

[ だから、決めたんだ。
 
 とある町で聞いた噂。

 対価さえ払えば、
 どんな願いも叶えてくれる魔女

 
時の魔女 グロリア・ベアトリクス
に会いに行こうと]
(103) 2020/09/13(Sun) 15:00:15

【人】 空腹な鬼 レックス

  
  『ダメだよ、レックス
   魔女に願いを叶えてもらうなんて
   魔女に会いに行って、戻ってこれた人たちは
   ほとんどいないじゃないか。

   あそこにいったら、君は死んでしまう』
 
(104) 2020/09/13(Sun) 15:00:57

【人】 空腹な迷い人 レックス

[ 必死に止めてくれる彼女の声を振り切って、
 いくつもの街を通り過ぎ、あともう少しで辿り着ける。

 そんな時に、ここに来てしまった。
 でも、あの女の声が魔女ならば、噂は本当なのだ。

 どんな願いも叶えてくれる魔女は、実在する。]

  
生きて、帰ってみせる……

  
[ 飢えの苦しみ、もがきながら
 大好きなあの子の顔を思い出して、耐えていた。

 異形と人との恋物語
 悲恋となるか、それとも幸せなものとなるか。

 ずらりと並んだ本棚に、
 そんな物語の続きがあるかもしれない。**]
(105) 2020/09/13(Sun) 15:01:51

【人】   月森 瑛莉咲


 [ 元気にサンドイッチ食べてたわんこくんも
  死んじゃうだとか
  ここで死ぬとか言ったの、伝わったのか
  いつもよりぺろぺろが多いみたい。

  動物は直感でわかるっていうしね。

  ありがとうのかわりにふわ、と撫でたけれど
  眠気に抗うことは叶わなかったのです。 ]
(106) 2020/09/13(Sun) 19:01:54

【人】   月森 瑛莉咲


 [ 眠る前はあんなに苦しく締め付けられた心臓は
  今だから?
  ここだから?

  外で眠るなんてはじめてだったけれど
  簡単に力が抜けて、あっという間にすやぁの世界。

  白わんこくんのおかげかも知れないね。
  目がさめたらもいちど撫でてあげようか。 ]
(107) 2020/09/13(Sun) 19:02:42

【人】   月森 瑛莉咲




  [ 刹那、太陽に透ける淡色の黒髪。
      私は無意識に手を伸ばしてた ]
(108) 2020/09/13(Sun) 19:03:29

【人】   月森 瑛莉咲




 ……ぴぴぴぴ☆



 [ 無情にも告げられる時の音と
  私はしらねど人からわんこに戻った衝撃で
  ごつん☆とあたまをうつのです。いたた。

  身体を起こせば音が怖いのか
  てしてしわふわふするわんこくんが。 ]



  ふえ、ごめんねごめんね
  いま止めるよ


 [ ひとなでしてやって、
  ちょっぴりべたべたになったスマホを止める。


  一応、アラームしたのには理由がある。
  講義にでなきゃいけないからなんだ けど ]
(109) 2020/09/13(Sun) 19:04:40

【人】   月森 瑛莉咲



  ……今日は、いっしょに居てもいい?


    ……ダメだよね。
   かみさまの前でそんなサボり宣言なんて。


 [ 一日くらい、そんな言葉が過った。

  確かにここは大好きな場所で、
  かみさまと白わんこくんといられると

  とっても幸せな気持ちになるんだけれど
  今日の私はとってもとっても、おかしい。


  さっきまでの穏やかな心地は消え去って、
  
あの姿を瞳に、写しただけで


  ほら、また苦しいもの。
  ここにいると幸せだけど痛いもの ]
(110) 2020/09/13(Sun) 19:06:45

【人】   月森 瑛莉咲



  またね。


 [ 土を払って立ち上がる。

  振り返っちゃだめな気がしたから、
  いつも見送ってくれるわんこくんにも触れないで

  たぶんね、何かが起きでもしないかぎり
  そのまま私はチャリンコまで走ったと思う。 

  きっと、走れたよね。]
(111) 2020/09/13(Sun) 19:07:27

【人】   月森 瑛莉咲



[ かみさま、かみさま。

     かみさま、かみさま。


     頭のなかから離れてくれない
       涼やかなあの瞳は 誰なのでしょう?
     美しく靡く深紫は 一体。

  
  走る足元で、黄色の花が風に揺れてたけれど
  勢いを落としてやがて失速して。


  まだもう少し道は残ってるのに
  立ち止まってしまった。 ]
(112) 2020/09/13(Sun) 19:08:03

【人】   月森 瑛莉咲




  、、、


 [ きゅうと締め付けられるのに
  とっても苦しいのに、
    私は、あなたを呼ぶ術を知らないの。]

(113) 2020/09/13(Sun) 19:11:49

【人】 環 由人


[ 秋の夜は、思っていたよりも寒い。
さっきまで火照っていた体が、
風にさらわれて熱ごと奪われていく。

徐々に頭がはっきりしていく。]



   バっ…カだなぁ……



[ どうせさらわれて消えるから、
小さな声で呟いて、自嘲するみたいな
笑みを浮かべた。
なにも持たずに飛び出したから、
コンビニには行けなくて、ぼんやりと
歩いていたら辿り着いたのは、
あの日彼を見つけた公園だった。]

 
(114) 2020/09/13(Sun) 19:16:41

【人】 環 由人



[ 外灯が照らす砂利がぼんやり、
浮かび上がるみたい。
なんとなくそちらに足を向けて───
あの日と同じブランコに腰かけたら、
鎖がまた、ぎぃ、と小さく音を立てた。

あの距離感が必要だったんじゃないのか。
ただ、一緒に飯を食って、
隣で眠るだけの関係でよかったんだろ。
それ以上を求めるつもりなんてなくて、
───ちがう、結局自分本位なんだ。

一度知ってしまった熱をまた
求めてしまいそうになるのが怖い。

期限が、すぐそこまで迫ってるのに、
今更関係を変えてしまうのが怖い。]

 
(115) 2020/09/13(Sun) 19:17:08

【人】 環 由人



[ ───離れたくないだとか、
ここにいてくれだとか、
そんなことを言える立場じゃない。

救われたのは───俺だったから。

結局コンビニには寄らずに、
しばらくぼんやりしたあと、
夜風の冷たさに震えが走ったから
自宅に帰った。

リビングにある背中に、唇を結ぶ。

声をかけてはいけない、きっと。
ごめんって声をかけそうになったから、
飲み込んだ。その意味を悟られることは
きっとないのだろうから。]

 
(116) 2020/09/13(Sun) 19:17:35

【人】 環 由人



[ ひとりぼっちでベッドに入った夜は、
やっぱり思った通り、寝られなかった。
朝起きたら寝不足で気分は悪いし、
なんだか頭は痛いし───散々で。
それでも店は開けなきゃいけないし、
接客もしなければいけない。
おばさま方には「顔色悪いわよ」と
言われてしまったけれど笑って誤魔化した。

それからも、ずっとWいつも通りWだ。
相変わらず美味いとはいわない男に
余り物の処理を手伝わせて。
あの日のことには触れないまま。
ただ一つ変わったのは、あの日からずっと、
狭いベッドの右側をあけたままひとり、
丸まって眠るようになったことだけ。]

 
(117) 2020/09/13(Sun) 19:18:14

【人】 環 由人



[ 季節が変わっていく。

白菜と鳥もも肉とジャガイモのクリーム煮
ベビーほたてのしょうゆ炊き込みご飯
鮭のちゃんちゃん焼き
大根とえのきの肉巻き照り焼き
とうふのあんかけそぼろ
かぶと鶏団子のとろとろ中華スープ
ごぼうとにんじんのサラダ
ピリ辛ネギチャーチュー
レンコン入りしゃきしゃきつくね

ほかほかあったかい料理に変わる
惣菜のラインナップとは裏腹に、
どこかぎこちなくなってしまったけれど、
それでも旅行は楽しみだった。

───いつあの茶封筒の話を
切り出されるのだろうかと、
半ば生殺しのような気持ちは
拭えないままだが。]

 
(118) 2020/09/13(Sun) 19:18:41

【人】 環 由人



[ 海外用のでかいスーツケースは
さすがに邪魔だなと思ったから、
小さなボストンバッグに詰めた、
いつもの服や下着。
チケット類は忘れないように
手持ちの鞄に詰めた。

出発前夜。
またいつもと同じほうじ茶をいれる。
なんとなく、本を読むのはやめて、
彼が食べている様子を見ていた。

別に意味はない。ただ、見たかっただけ。

だから、なにを聞かれたって「別に」と
しか答えることはしないだろう。

空になった器を片して、
今日もまた、あのベッドの左側で眠る。]

 
(119) 2020/09/13(Sun) 19:19:24

【人】 環 由人






[ 新千歳空港までは1時間30分。
最大で350トンにもなるという
人と貨物を乗せた金属の塊は、
白い雲を抜け、青い空を横切って
北の大地に降り立った。

光の差し込む近未来的な建物に、
「おお」と小さく声を漏らして。
予約していたレンタカーを借りに
受付のカウンターまで向かう。

借りるのはブルーのエコカー。
陽の光をうけてきらりと光った車体に、
荷物を詰め込んで、運転席のドアを開いた。
体を滑り込ませて、扉を閉め、
シートベルトをして、エンジンをかけた。

ナビを操作する。]
 
(120) 2020/09/13(Sun) 19:20:11

【人】 環 由人





   ───チーズ食いにいかない?



[ そう提案するのは、ガイドブックの
付箋の一つ、富良野のチーズ工房。
ピザが美味いというその場所に
いくのはどうかと。]*
 
(121) 2020/09/13(Sun) 19:20:25

【人】   月森 瑛莉咲


  

  ―――。



 [ 死んじゃいそう。
  再び足を踏み出すのは そう時間はかからない。


  そのはず。

  何かに再び、足を止められる様な事でも

  ない限り**]


  

  
  
(122) 2020/09/13(Sun) 19:23:32

【人】 空腹な迷い人 レックス

― 魔女の噂 ―
[ とある国、とある町。その近くにある小高い丘の上。
 森と湖に囲まれた場所に、そびえ立つ
 時計館と呼ばれる振り子時計の形をした館には、
 魔女が住んでいるという噂

 時に、グロリア・ベアトリクスと名乗り
 時に、ドミニカ・ベアトリクスと名乗り
 時に、―――――――――――と名乗り

 時と場所によって、その名も性格も異なっているらしい。

 金髪の美しい女性であること
 対価を代償に、どんな願いも叶えてくれること


 ただし、その二つは、共通していた。

 代償が何かは、館に行ってみなければ分からない。
 館から無事に帰ってこれたものは、多くは語らない。

 時に、殺し合いのゲームをさせて、
    生き残った者の願いを叶えたり

 時に、弟子の卒業試験のため、
    紛れ込んだ弟子を見つけ出させるゲームを行い
    舞台に残った者の願いを肩寝たり


 その時々で、代償の内容は異なっている。
 しかし、必ず人が――――
死ぬ

 魔女に願いを叶えてもらうということは、そういうこと。]
(123) 2020/09/13(Sun) 22:25:23

【人】 空腹な迷い人 レックス

[ 苦しみに喘ぎながら、魔女の噂を思い出していれば
 ふいに、また声が聞こえる。]

  『本当に、いつまで我慢をするのかしら?
   飢えで死んでしまわれると困るのだけど

      バケモノ
   ねぇ、人食い鬼さん

   そんなふらふらな状態では、ゲームに参加できないわよ』


[ 困ったわ。と言いながらも、まったく困った様子はなく。
 くすくすと愉しそうに嗤う声は、耳障りだった。

 館に到着する前から、館を訪れるものに干渉するなんて
 今まで、そんな話は聞いたことがない。

 なぜ、この魔女は、自分に干渉してくるのか。]

  『あら、不思議そうね。
   言ったでしょう? お前は、大事な駒なのだと

   久方ぶりの"ゲーム"で、必要な大事な駒なのよ』


[ こちらが考えていることを見透かしたように
 頭に直接、語りかけてくる声は、そう言った。

 "ゲーム"に必要な……駒。

 館で行われるゲームのことだろう。]
(124) 2020/09/13(Sun) 22:25:25

【人】 空腹な迷い人 レックス

 
  (あなた自身もゲームに参加するんですか?)

  『それは――秘密、と言いたいところだけど
   そうね、お前には教えておいてあげようかしら?
   とある方法で、私も参加するわ。

   それから、無事に館についたなら、
   お前にやって欲しいことがあるのよ
   条件を満たすことができたなら、お前の生死に関わらず
   願いを叶えてあげるわ

   ただし――…願いそのままは、無理だけれど』


[ 嗤いを含まない真剣な響きだった。
 魔女が真実を言っているとはわかる。

 願いそのままはダメ。とは、どういうことだろう。]
(125) 2020/09/13(Sun) 22:25:27

【人】 空腹な迷い人 レックス

 
  (あなたの力でも、すべての鬼を人間にはできない?)

  『違うわ、すべての鬼を人間にするには、
   対価が足りないのよ。

   せいぜい、お前を人間に変えてやるくらいね
   頑張り次第では、
   人食いの欲を抑える薬を作ってあげようか
   
   どちらにせよ、お前が払える対価で
   できることはこの程度よ』


[ 対価が足りない。
 そう言われてしまったら、どうしようもない。

 しかし、人間にして貰える、
 おまけに薬も貰えるなら僥倖だろう。
 ――頑張り次第のようだが、


 それなら、"ゲーム"に参加する意味は、十分にある。
 条件を満たせば、生死は関係ないという話らしいし。]

  (…………死んでも、生き返ることができるんですか?)

  『さぁ、それはお前の頑張り次第かしら
   条件も満たしていなかったら、
   生き返すことなどできないわ』


  (条件とは?)
(126) 2020/09/13(Sun) 22:25:29

【人】 空腹な迷い人 レックス

[ しばらく、声は返ってこなかった。
 気まぐれに声をかけてくる魔女だから、
 無視をされているのだろう。

 そう思って、湧き上がる衝動を抑え込むように
 さらにぎゅうと、自分を抱きしめるように、丸くなった。]
(127) 2020/09/13(Sun) 22:25:33

【人】 空腹な迷い人 レックス

 
 
 
 
『――――を――ことよ』
(128) 2020/09/13(Sun) 22:25:35

【人】 空腹な迷い人 レックス

[ 絞り出すように、微かに聞こえた声は
 魔女にしては、酷く切なげで、妙に胸の奥をざわつかせた。

 瞳を瞬かせて、誰もいないのに
 つい視線を周囲に巡らせてしまう。]

  (今、なんて?)

  『館に来る者が誰か、私は既に知っているわ
   彼らが来るのは、偶然ではないの

   そこにあるのは、ただ――――"
必然
"
   お前だけは、その"必然"の中にいないのよ

   だから、"ゲーム"に参加する前に死なれては困るの
   せいぜい、生き延びて、我が時計館にいらっしゃいな』


[ 先程の音が嘘のように、
 毅然と、そして、相変わらず愉しそうに
 
 くすりくすりと、嗤う声だけを響かせて、
            やがて、声は聞こえなくなった。]

  条件って……なんだろう
  死んで、運よく生き返ったとして…
 
(129) 2020/09/13(Sun) 22:25:38

【人】 空腹な迷い人 レックス

 
  
――――生き返った僕は、本当に"僕"なのかな


[ 呟いた声は、誰に届くこともなく。
 
             静けさの中に融けて、消えた**]
(130) 2020/09/13(Sun) 22:25:41

【人】 かみさま 尊龍

[寝ぼけ眼のエリサが眠り。
 私は労わるように膝枕をして頭を撫でよう]


 
……エリサ。



[夢心地にこちらに伸ばされる手を振り払う事もなく。
 その手が髪に触れれば柔く目を細めて微笑もう。
 愛し気に名を呼んで、エリサの頭を撫でて――]
(131) 2020/09/13(Sun) 22:45:29

【人】 かみさま 尊龍

[と、思うが。
 謎の道具が出す音に驚き、人から犬へと姿を変える。
 慌てたせいでエリサが地面に勢いよく頭をぶつけた。
 すまぬ、すまぬと思いつつ]


 ぐうぅー……


[謎の道具の出す音をエリサが止めて一安心。
 しかし、謎の道具への警戒心で短く唸った。

 なんだこの道具は。
 安眠を妨げる妙な道具だ。
 エリサは何故こんなものを持っているのだろう?
 人間の考える事はよく分からんな]
(132) 2020/09/13(Sun) 22:45:54

【人】 かみさま 尊龍

[謎の道具に目を奪われていれば、
 エリサは一緒にいていいかと聞いてくる。

 もちろん!好きなだけいるといい。
 ……と、鳴きかけるがどうやらダメらしい]


 くぅーん……? ……おんっ!


[そういえば、エリサは”大学”に行っていたのだ。
 そこで”絵本作家”になる勉強をしているのだ。
 だからサボりはよくない。
 ――と、こういう事情なのだろう。

 名残惜しいがエリサにも人間の生活がある。
 むしろ、人として生きていく為には通らねばならぬ道だ]
(133) 2020/09/13(Sun) 22:46:12

【人】 かみさま 尊龍


 
 
 ……おんっ!


[またねと走り出すその背に送り出すように一声鳴く。
 寂しいと思う、とてもとても。幾星霜ほども。

 やがてお前は私を忘れ、
 人の世を生きる道を選ぶやもしれぬ。
 祠への参拝もいずれ無くなるかもしれぬ。

 だがそれでも――、
 エリセには自由に生きて、選んで欲しいのだ。
 だから私は常にここからお前を見守り護り続けよう]
(134) 2020/09/13(Sun) 22:46:40

【人】 かみさま 尊龍


 
 
 くおーん……?


[走っていく背を見守っていたが、その歩みが止まる。
 どうしたのかと小首を傾げ。

 再び足を踏み出そうとした、その時]


 
うおぉん! うぉん!



[私は引き留めるように大きな声で鳴いてみせた。
 振り返ったなら満面の笑みで尻尾を振ろう。
 振り返らずとも、構わない。

 くるりとエリセに背を向け、
 「ついてこい」と言わんばかり一度振り返り視線を送った後、
 エリセの向かうべき”人の道”と逆の方向に走り出した]
(135) 2020/09/13(Sun) 22:47:18

【人】 かみさま 尊龍

[てしてしと、田舎の山道を歩いて行く。
 整備もされていない細い小道。
 時折後ろを気にして止まりつつ、歩く。
 
もしエリサがいなくとも、やはり歩くだろう。
 なんとなく、今日はそんな気分だ。


 やがて山の奥、
 苔むして原型を留めていない石段を登り、
 やって来たのは見晴らしのいい小高い丘だ]


 ……わんっ!


[辺りには一面に野菊の咲く、里を一望できる場所。
 到着すれば満足げに一声鳴いた]
(136) 2020/09/13(Sun) 22:47:41

【人】 かみさま 尊龍

[エリサがどんな道を選ぼうとも、私は見守ろう。

 お前はもう充分に私を想ってくれた。
 弱った私が今までこの里に在り続けたのも、
 お前が残した祈りのお陰だ。

 
ほら、その証拠に――、
 この場所はこんなに美しい!


 ありがとう、エリサ。 ありがとう。
 幸せになりなさい。
 ――それを、伝えたかったんだよ]


 ふぅぅー……ん


[野菊の丘に寝そべり日差しを浴びてごろんごろん。**]
(137) 2020/09/13(Sun) 22:48:36
かみさま 尊龍は、メモを貼った。
(a7) 2020/09/13(Sun) 22:53:18

【人】 かみさま 尊龍

[見晴らしの良い丘はかつて私の神社があった場所。
 今は特に野菊以外見どころも無いが、
 昼寝をするには絶好の場所なのだ。


 ごろごろごろりん、わんころりん。**]
(138) 2020/09/13(Sun) 23:03:47

【人】   月森 瑛莉咲



 [ そう時間はかからない はずだったの。
  一歩を踏み出す事など

  人間には容易いことのはずなのに ]
(139) 2020/09/14(Mon) 7:59:39

【人】   月森 瑛莉咲




 [ 白わんこくんが鳴いてる 

    いつもとは ちがうこえで ]

 
 
(140) 2020/09/14(Mon) 8:00:21

【人】   月森 瑛莉咲




  [ 振り返って って 言ってるみたいな ]
    

 
 
(141) 2020/09/14(Mon) 8:00:58

【人】   月森 瑛莉咲




  [ 民話だとかこわい話だとかでは
   こういう時、振り返ってはいけないって言うよね

   『かみさま』の所へ連れてかれちゃうって。 


   だったら、私は ]

 
(142) 2020/09/14(Mon) 8:01:37

【人】   月森 瑛莉咲



  なあに?白わんこくん。




    …………連れてってくれるの?


 
 
(143) 2020/09/14(Mon) 8:02:27

【人】   月森 瑛莉咲


  [ 『かみさま』の世界が本当にあるなんて
    信じてるわけじゃ ない。

    でも、 でも。

    煩さすぎる心臓が、
    どうにかなっちゃいそうで

    今なら
    それもいい、って思っちゃったの。


    
あなたが いる そんな気がして。


      ……あなたに あいたい。


     何も知らない あなたに。




   白わんこくんが嬉しそうにしっぽぶんぶん。
   君と私の付き合いだものね。

   悪いようにはならない、って
   そう思えた。
   
サボりは確定だけど!
]
(144) 2020/09/14(Mon) 8:03:41

【人】   月森 瑛莉咲



 [ ちらり振り返って歩幅を合わせてくれるわんこくんに
   導かれるようにして進む。

   祠の奥にこんな場所があったんだ。
   獣道と呼んでも差し支えないような道を進み
   辿りついた先は ]



   わあ……!すごい。
   こんな場所があったんだ!



 [ 一面広がる
黄色
の絨毯と

  あたりを一望できる美しい景色。
  お花に詳しくはない。
  金雀枝だってあの時調べたから知ってただけ。

  でもあの絵本に描きたかった景色は
  こんな感じだった。


  ……まるでわたしが、彼女になったみたい。 ]

   
(145) 2020/09/14(Mon) 8:04:20

【人】   月森 瑛莉咲



 [ 満足げに鳴く白わんこくんを
  撫でてあげて、そしてぎゅっと抱きしめて。 ]


   ありがとう。
   とっても素敵な場所を教えてくれて。

   だいすきよ。


   ……きみ、もしかしてかみさまの使い?


  [ 並んで座って、
   そっと撫で。しばらく景色をともに眺めていようか ]
(146) 2020/09/14(Mon) 8:04:52

【人】   月森 瑛莉咲



  わんこくん。
  君に名前つけてもいい?
  誰かに飼われてる子だと思うから遠慮してたんだけど
  いつまでも白わんこくんじゃ寂しいものね。


 [  ほんとはずっと前から 考えてたの。 ]
(147) 2020/09/14(Mon) 8:05:49

【人】   月森 瑛莉咲



  
たける!




   どう?かっこいいでしょ?
   こどものころからずっと頭の中にあった名前なの。


   たける。君はたける。


 [ ぎゅう、と抱きしめて。
  君が昼寝の体制になるのなら。

  私はこの光景でもスケッチしてみようかな。
  へたくそに書き殴られてるそれを取り出して **]
(148) 2020/09/14(Mon) 8:06:15

【人】 科学者 アーニャ

 
[寝転んだまま意識だけが覚醒して
 不意に、唇に柔らかい感触が訪れた。

 ひとりきりの生活に慣れていたから
 だれだ、と驚いてしまう。

 目蓋を勢いよく持ち上げ、
 大きなふたつの瞳で捉えたのは]


   ぁ、……助手……


[そうだ、今日から彼がいるんだ。
 それから、受けた感触について考え]
 
(149) 2020/09/14(Mon) 10:46:56

【人】 科学者 アーニャ

 
[ぼぼぼっと火がついたように顔が熱くなる。

 まさかお姫様抱っこからの連想で
 こんな起こし方をしただなんて
 天才のボクでもちょっと気付けない。]


   あにゃにゃにゃにゃなにをするー!!
   ふぁ、ファーストキスだぞっ
   もっと雰囲気とか場所とか…あるだろっ


[漏れる不満はTPOに関してだけで
 彼にされたこと自体は……、
        ちっとも嫌じゃなかった。**]
 
(150) 2020/09/14(Mon) 10:47:05

【人】 マリィ  

[ベッドで一緒に寝なくなって
 「眠れそう?」って聞かなくなって……
 でもそれ以外はいつも通り。

 旅行の話もするし、料理も食べる。
 相変わらず家にも置いてもらえてる。

 だけど、見えないどこかに
 亀裂でも入ってやしないか
 アタシは内心気が気じゃなくて。

 …………本当に、惨めで。]
(151) 2020/09/14(Mon) 11:40:05

【人】 マリィ  



  ……なぁによ。


[旅行の前日、本も読まずに
 アタシのことじっと見つめる由人に
 さすがに気まずくなって口を尖らせるの。

 つくねのしゃりしゃりふわふわした食感に
 そっと目を細めていた矢先のことだったもの。
 うっかり目が合っちゃって
 耳までかぁっと熱くなる。]


  見蕩れてたなら、そう言っていいのよ。


[誤魔化すみたいに、ウィンクひとつ。
 「別に」なんて気のない答えが返ってきても
 「照れ屋なのね」って笑うだけ。]
(152) 2020/09/14(Mon) 11:40:37

【人】 マリィ  

[そうして、生まれて初めて
 北の大地に降り立ったアタシの第一声───]


  さっむ!!
  てか思ってたより都会!!



[空港と商業施設とホテルとが合体した
 広い空港を前に、うっかり声が出てしまう。
 外は晴れてはいるものの、
 日の温もりなんてものは感じない。

 さくさくひとりで受付まで
 歩いていこうとする由人を追って
 はぐれないように手を繋ごうとするの。


 普段の化粧も衣装もない、
 ありのままの男の姿で
 今アタシはあなたの隣に並んで立ってる。]
(153) 2020/09/14(Mon) 11:41:31

【人】 マリィ  

[寒さから逃げるように
 真っ青なレンタカーの助手席に逃げ込むと
 ほわ……と暖かな風が車内を温めてくれる。]


  チーズ作ったり、ピザ作ったりできる
  工房だったっけ……?
  いいじゃない。暖かいもの食べたいもの。


[その提案に小さく頷くと
 そっと白銀の景色からの景色に
 視線を向けるでしょう。

 もしかしたら「旅行もやめよう」って
 言われたらどうしよう、って思ってた。
 だけど今この凍るように寒い場所に
 由人と二人きりでいられている。]


  安全運転よろしくね。


[そう言ってアタシは笑ったけど
 もしこのまま事故で二人とも死んでも
 それはそれでいい終わり方な気もして。]
(154) 2020/09/14(Mon) 11:42:00

【人】 マリィ  

  ー 富良野のチーズ工房 ー

[ラベンダーの季節はとっくにすぎて
 夏には一面紫で染まった丘陵も
 今は一面の銀世界。
 目的の工房はそんな真っ白な世界の中の
 白樺で囲まれた林の中にあったでしよう。

 絵本の中の1ページみたいな
 何だか可愛いお店の中に入ってみると
 正面にどどん、と等身大の牛のオブジェが
 お出迎えしてくれる。
 ここでは手作りのチーズやアイス
 釜で焼くピッツァが作れるらしく、
 受付のお姉さんは男ふたりの客に
 嫌な顔もしないで色々説明してくれた。]


  ねえ、由人ピザ作るのやってみてよ。


[そう悪戯っぽくおねだりしたら
 どういう反応が返ってきたかしら。
 カッコイイじゃない、ピザ生地回すの。]
(155) 2020/09/14(Mon) 11:42:25

【人】 マリィ  

[一緒にやろう、って言われたら
 なんて答えようかしら……。]


  由人が作ったのが、食べたいの。


[って普段絶対言わないこと
 口を滑らせちゃうかしら。
 だってアタシ、普段より静かだけど
 心の中はそれはもう大はしゃぎなんだもの!]*
(156) 2020/09/14(Mon) 11:43:03

【人】 やる気のないアルバイト でゅーーす

[そう、例えば『ポーの一族』。
 不死の生き物バンパネラにされた主人公は
 巻き込むまいと妹を遠くの街へ養子に出したのに
 結局妹は自らバンパネラに加わることを望み、
 最愛の妹は人間との戦いの末に散ってしまう。


 例えば『レベルE』。
 食人鬼の少年は葛藤の末、
 愛する少女を食べてしまった。
 それは「許されないこと」だったけれど
 同時に「仕方の無いこと」でもあって。
 食うなと言われても腹は減る。
 寝るなと言われても眠くなる。
 彼らは人の間で暮らすには
 あまりに違いすぎたのだ。


 例えば、『うしおととら』。
 獲物と捕食者の関係だった二人は
 幾度もの冒険の末に最高の友になった。
 「喰ってやる」という執着は
 いつしか「俺以外に喰われるな」という
 絆の形に変わっていった。]
(157) 2020/09/14(Mon) 13:04:23

【人】 やる気のないアルバイト でゅーーす

[探せば幾らでも、物語はある。
 その中のどれが、明日を生きるために必要なのか
 一見じゃ分からないだけで。

 それが和歌であろうが、漫画であろうが
 劇であろうが、歌であろうが
 世界は決してひとりぼっちにさせてくれない。
 それはいつも、読み手の心に
 音もなく寄り添ってくれるのだ。]
(158) 2020/09/14(Mon) 13:04:44

【人】 やる気のないアルバイト でゅーーす



    世の中を 憂しと恥しと 思へども
     飛び立ちかねつ 鳥にしあらねば


[そう、或る歌人は詠ったけれど
 唯一許された翼が、自由だ。
 想像の翼は時を越え、場所を越えて
 種族を越えて、心の扉を叩きに来る。

 そういう世界に、このアルバイトは
 心を揺さぶられたのだ。]
(159) 2020/09/14(Mon) 13:05:19

【人】 環 由人


[ その地に降り立った瞬間響き渡った
となりの男の野太い声に、
眉根を寄せて、それから
ふは、と噴き出して笑った。
「声がでけえ」と呟いて、さっさと
受付の方へと向かってしまおうか。

伸ばされた手が繋がれる。

───こんなふうに誰かと外で手を繋いで
歩いたことなんて、一度たりとも
なかったのに、気恥ずかしくも嬉しくて、
振り解いたりはせずそのまま繋いでいた。

外に出ると刺すような寒さが
体を覆うから、思わず小さく
「さむ」と呟いた。
借りた車に体を滑り込ませれば、
温められた車内に、ため息が溢れた。]

 
(160) 2020/09/14(Mon) 13:06:59

【人】 環 由人



[ このまま二人、乗っていたらきっと
外気との温度差にそのうち車窓は
結露して、曇るんだろう。

提案が受け入れられればほんのり微笑んで
ナビに場所を入力する。
ブレーキを踏んで、サイドブレーキを外し、
ギアをドライブに入れれば、
スタッドレスのタイヤを履いた青い車体は
広い大地に敷かれたアスファルトへと
滑り出していくのだった。]
 
(161) 2020/09/14(Mon) 13:07:15

【人】 環 由人

  ───チーズ工房



[ 銀世界の中にたたずむ建物は、
実際に見ると、男二人でくるには
かわいらしすぎるなと思った。

大きな牛のオブジェを横目に、
説明を一通り聞き終われば、
悪戯っぽくされたおねだりに、
眉尻を下げて、困ったように笑った。]



   ピザは作ったことないな


[ くるくる生地を回すイメージはある。
ただそれが自分にできるとは思えない。
絶対プロが作った方がうまいだろ、と
思ってしまうから断ろうとしたのに。
そんなことを言われたら、
うまくいえないじゃないか。]

 
(162) 2020/09/14(Mon) 13:07:45

【人】 環 由人


[ 「いつも食ってるだろ」と言いそうに
なった唇をそっとつぐんで、代わりに]



   わぁかったよ



[ と了承して、申し込んだ。
メニューは3種類あるらしいが、
スタンダードにマルゲリータを選ぶ。

通された工房で教えてもらいながら
作るピッツァは案外たのしくて。
残念ながら回すのは全く出来なかったが、
麺棒で伸ばした生地がうまく
均等になったときは誇らしくもさえあった。

窯から銀が色の大きなヘラで
網ごと取り出されたときは、
思わず「おお」と声を上げたものだ。
香ばしい小麦の匂いと、トマト、バジル、
チーズのいい香りが混ざって、食欲をそそる。

もう一つ、特製のチーズが5種類
乗っているというピッツァも注文して、
席に着いた。]
(163) 2020/09/14(Mon) 13:08:17

【人】 環 由人


[ 大きめに切られた熱々のピッツァを
一切れ皿に移して、そのまま持ち上げて
口に入れると、まずは生地のざらつきと
ほんのりとした甘さが広がる。
かぶり付くと、トマトの酸味とバジルの香り、
そしてチーズの旨味がまざって、
香ばしさが鼻から抜けた。]



   はふ、 あっふぃ、けど、んま、


[ 噛んだまま離すとびよーん、とチーズが伸びる。
はふはふ空気を取り込みながら、咀嚼して
飲み込むと、ふ、と息が漏れた。]

 
(164) 2020/09/14(Mon) 13:08:42

【人】 環 由人





   焼きたて、うンまい


[ そうしてもうひとくち、運ぶ。
プロが作ったものとは違うし、
きっとプロが作った方が美味いのだろうけど
自分で作ったものは愛着もわくし、
どこか特別な気がした。
ジンジャーエールがしゅわしゅわと
喉を潤してくれる。

一通り楽しんで、お土産にチーズを
自宅に送ってしまえば、
夜にでも食おう、とワインチェダーチーズを
一箱買って、車に乗り込んだ。]

 
(165) 2020/09/14(Mon) 13:09:00

【人】 環 由人



[ 次に向かうのは小樽。]



    わりと離れてるし寝てていいよ


[ と断りを入れて、ナビに入れた、
芸術村までの道のりを走り始めた。]*

 
(166) 2020/09/14(Mon) 13:09:18

【人】 やる気のないアルバイト でゅーーす

[─────ただの「客」から
 「アルバイト」へと変化せしめた運命の一冊も
 今はこの店を埋め尽くす本棚の一角。

 誰が手に取るか知らないし
 手に取ったとて、男の同じくらい
 心を揺さぶられるとも限らない。

 けれどその秘宝は静かに
 手に取られる時を待っている。]*
(167) 2020/09/14(Mon) 13:15:54

【人】 かみさま 尊龍

[見晴らしの良い丘にエリサを案内すれば、喜んでくれたよう。
 撫でられ、抱き締められて満足げに尻尾を振る]


 わんわんっ! ……くぅー? おんっ!


[かみさまの使いかと言われて小首を傾げる。
 そうと言われればそうだし、
 私がかみさまと言われれば、そうだし。
 まあ細かいことはいい! エリサの自由に思うがよい。

 並んで座って、しばらく一緒に景色を眺める。

 
様々なものが移り変わっていく。
 だがそれでも、
 一番大切なものは今も隣にあった。

 それがとても嬉しかった]
(168) 2020/09/14(Mon) 13:50:57

【人】 かみさま 尊龍

[名前をつけてもいいかと言われ、わんと鳴く。
 さてさて、私はどんな名前をつけられるのやら。

 楽しみにエリサを見ていれば――、
 呼ばれた私の
真名
に、犬の身がざわつく。
 

 
ああ、ああ――、お前は、覚えていてくれたんだね。
 私とお前を結ぶ、呪いをその魂深くに]



 ……おん。


[ぎゅっと抱き締められ、短く鳴いて。
 昼寝でもしようにも気が削がれてしまった]
(169) 2020/09/14(Mon) 13:52:04

【人】 かみさま 尊龍

[寝転びかけた身を起こし、エリサからやや離れる。
 そうして景色が一等映えるだろう場所に立つ。

 ここなら、私の姿を”すけっち”しやすかろう。
 そう思い、
 スケッチを取り出し下を向くエリサが顔を上げるその刹那。

 ぽふん!

 
私の姿が犬から人間の青年の姿に変わる。


 
「たける!」

 そう真名を呼ばれれば、姿を見せぬわけにもいくまい。
 柔らかな日差しの中、
 野菊に囲まれエリサを見つめ、私は柔く微笑んだ]
(170) 2020/09/14(Mon) 13:53:00

【人】 かみさま 尊龍

 
 
 ……どうだ?
 これなら犬の姿より”すけっち”しやすかろう。
 絵が完成したら私にも見せておくれ。


[羽衣を陽に透かし、戯れにくるり舞う。
 エリサはどんな反応だったか?

 しばしその様子を見守っていよう。**]
(171) 2020/09/14(Mon) 13:53:14

【人】 マリィ  



  はいはい、最初は怖いかもしれないけど
  案外痛くも怖くもないものよ。


[困ったように笑う由人にアタシはけらりと笑ってみせるの。
 旅行に来てまで何か作るの、嫌かもしれないけど
 由人はそれでも、アタシのわがままを聞いてくれた。


 本当は、ね。恥ずかしいから言わないけど
 あんたがアタシのために作ってくれたご飯が
 「余り物」じゃないご飯が食べてみたかったのよ。



 文句言ってたくせに、工房で他の観光客のパパに交じって
 粉をこねる姿は、正直とっても様になってて
 ハンドトスは……まあ、ちょっと失敗してたけど
 真剣に生地をこねてまあるいピザを作る姿を
 アタシは工房の外からじっと見ていたの。]
(172) 2020/09/14(Mon) 15:55:15

【人】 マリィ  

[……なんで工房の外からかって言うと、
 アタシはピザ作りに参加しなかったから。
 見てるだけのつもりだったのに、受付のお姉さんに

 「お連れ様が作っている間、こちらに参加してはどうですか」

 ……って、半ば強制的に「バター作り」のコーナーに
 移動させられてしまって。
 キッズに並んで図体のデカいオネエが一人、
 気が付いたら搾りたてのミルクの入った瓶を片手に
 口をあんぐり、お姉さんの説明を聞く羽目になっていたの。]


  10分これを振り続けるの……?


[オナホサイズの小さい瓶に怪訝な視線を向けて。
 そもそもバターって作れるものなんだ……とか
 そんな簡単に作れるなら、帰ってからも作ってみようかとか
 色んな考えが頭をよぎったけれど……

 ―――3分後には、全部どうでもよくなっていた。]
(173) 2020/09/14(Mon) 15:55:28

【人】 マリィ  




  ちょっとォ!手が!!手がもげる!!
  まだ出来ないの?!



[アタシの悲鳴をよそに、周りのガキどもは笑い転げているし
 お姉さんも「まだですねー」なんてのんきに笑っている。

 プラスチックの小さい瓶とはいえ、ずっと振り続けるのは
 想像したよりハードなお仕事だった。
 着込んだコートも熱くなったからと脱ぎ捨てて]



  う、うおおおおおおッッ!!!




[ついでにオカマの仮面も脱ぎ捨てドス声出したら
 キッズのひとりが「ゴリラ!」と笑う。
 うっせえっての!誰がゴリラよ!
 ……なんて怒鳴り返せば、笑い声が返ってくる。

 ああ、でも、なんかこの空間は、嫌いじゃない。]
(174) 2020/09/14(Mon) 15:55:53

【人】 マリィ  

[10分間、汗だくになって振り続けたミルクが
 こっくりした黄色のバターになる頃には
 由人作のピザが焼きあがった頃でしょう。

 こんがり焼けた小麦の匂いが、疲れた脳髄に
 じんと染み渡って、今にもよだれが垂れてしまいそう。]


  ……?二枚作ったの?


[素人目に、どっちがピザ職人のものか分からなくって
 何にも考えずにそう聞いちゃった。
 言われてみれば、チーズピザの方が薄く均一かもしれないけれど
 もっちり耳のマルゲリータも、なかなか愛嬌があると思う。]


  ……ッ、あっつ!あは、ホント、熱い!


[熱がる由人を見て、気を付けていたはずなのに
 手に持った焼き立てピザは熱くて、でも一口食べると
 フレッシュなトマトとミルキーなチーズの香りがふんわり
 舌の上で弾けるようで……]
(175) 2020/09/14(Mon) 15:56:09

【人】 マリィ  





  うふ、ほんとだ。うンめ……


[笑みとともに自然に零れた言葉。
 何かを「作る」ことの大変さを知った後だから
 余計にすんなり出てきてしまったの。]
(176) 2020/09/14(Mon) 15:56:33

【人】 マリィ  

[二人でピザを完食した後、さっき作ったバターを受け取った。
 努力の末に出来たバターは、ココット一つ分。
 じゃがバター推定2個分、パンに塗れば4、5回分くらい。

 初めて作ったバターは、アタシから由人へプレゼント。

 料理と違って、誰が作っても同じかもしれないけれど
 ……でも由人に食べてほしいって思ったの。
 お店の子からのプレゼントを渡すだけじゃなくって
 これはちゃんと、アタシが作ったものなんだから。]


  これの味は、帰ってからのお楽しみってことで。


[そう言って、自宅へ送るクール便の中に
 小さなココットを入れさせてもらって。]
(177) 2020/09/14(Mon) 15:56:48

【赤】 マリィ  

[バターを手渡した時、ちょっと思っちゃった。


 「これ食べて、由人、なんて言うのかな」なんて。

 この先、生きていく気もなかったくせにね。]
(*6) 2020/09/14(Mon) 15:57:00

【人】 マリィ  

[次の目的地へと滑り出す車の中、
 寝ててもいい、ってサジェストには首を横に振るの。
 二人きりの時間を寝て過ごしたらもったいないわ。]


  それより聞いてよ、さっきのバター作りの話!


[口調だけは怒った感じ、そのくせ口元に笑みを浮かべて
 アタシはキッズの人気者になってしまった話をするでしょう。
 「ゴリラねえさん」だの「ドンキーコングオネエ」だの
 悪意のないあだ名をつけられて、「みて!」とせがまれるまま
 ひとりひとりの具合を確かめた、あの忙しいひと時のこと。]


  アタシ、こどもって嫌いだったの。
  どう接していいかわからなかったし、
  そもそも親御さん達が嫌がるだろうし、
  ……欲しいって思っても、苦しくなるだけだし。


[相変わらず、車窓からの風景は真っ白。
 だけれど、ぽつぽつ、遠くに人の営みが見える。]


  でも、さっきまでの時間は、嫌いじゃなかった。


[ふう、と吐息を吹きつけると、窓ガラスが白く曇る。
 そこにハートを書きながら、アタシは小さく喉を鳴らすの。]
(178) 2020/09/14(Mon) 15:59:12

【赤】 マリィ  

[また来たいわ。


 ……なんて、言ったら笑われちゃうかしら。
 いいえ、アタシ自分で笑っちゃうわね。]
(*7) 2020/09/14(Mon) 16:00:20

【人】 マリィ  

[取り留めのない話をしながら、
 アタシは描いたばかりのハートを袖口で拭ってしまう。]


  ステンドグラス美術館なら、さすがに
  こどもも少なくて見やすいかしらね。


[まだ見ぬ到着地を思い描きながら
 アタシは真っすぐ前を見つめる由人の横顔を
 睫毛の隙間からじっと見つめていたでしょう。]*
(179) 2020/09/14(Mon) 16:08:45

【人】 環 由人


[ 二枚作ったの、なんて聞かれれば、>>175
目を丸くして、それから、
一枚はプロの作品だと告げてから、
「上手いだろ」と得意げに笑って見せた。

はじめて言われた「美味い」が
自分料理、と胸を張って言えるものでは
なかったとしても、構わなかった。

この「美味い」が共有できた。
己の作ったもので。
普段はできないことだ。
それだけで十分だった。]

 
(180) 2020/09/14(Mon) 19:14:13

【人】 環 由人




   なにそれ、バター?


[ ピッツァを食べ終わった後、
店員さんに渡されたココットを受け取る
彼の手元をそっと覗き込む。
いつも見るものよりも空気を含んで
すこし白い気のするそれと、
彼の顔を交互にみて。]


   作ったの?


[ と尋ねた。
是が返って来れば、「すげえ」と
小さく落として、口元を緩めた。

どこかでパンでも買うか、そういえば
ここにも確か売っていたはず…と
思ったのだけれど、クール便の中に
入れるから、目を眇めてから頷いた。
「帰ってからの楽しみ、増えたな」と
わらって、その蓋が閉じられるのを見ていた。]

 
(181) 2020/09/14(Mon) 19:15:23

【赤】 環 由人


[ ひとに何か作ってもらうって
いつぶりだったんだろう。

まだ口に入れてないし、
ココットの中身はきちんと成形されてもいない、
不格好なただの白い塊だったけど、
それでもそれが、たまらなく嬉しかった。]
 
(*8) 2020/09/14(Mon) 19:15:40

【人】 環 由人



[ 次の場所へと向かうまで、
寝てていいよ、と気遣ったつもりなのに、
あっさりと断られて、「それより」と
切り出された話に耳を傾けた。

失礼なあだ名をつけられたといいながらも
その表情と声色に滲むのは喜びで。
相槌を打ちながら、なんとなく、
自分まで嬉しくなってしまう。
伝染したのかもしれない。

マリィは子供に好かれると思ってた。
どう接していいかわからない、という
気持ちは己にもわかるけれど、
わからないなりにどうするか、という点で
きっと彼と自分ではかなり差が出るだろう。]

 
(182) 2020/09/14(Mon) 19:15:54

【人】 環 由人




   あんたは、面倒見いいから



[ まっすぐ前を向いたまま、思い返す。
カウンターの向こう側に立って、
いつも誰かの癒しになっている人。]


   楽しかったならよかった、

   俺も結構楽しかったよ


[ 本音を曝け出すこともできずに、
笑い飛ばそうとしてしまう不器用さ。
夜の公園でぼんやり、ひとりで
悩んでしまうような繊細さも、知ってる。]
 
(183) 2020/09/14(Mon) 19:16:17

【人】 環 由人



[ だけど家族の話も彼としたことはない。
さすがに、己の実家に住んでいるのだから
己の両親については話しているが、
そう思えば彼についてはなにも
知らないんだな、と思った。
───あの、茶封筒の話も、結局。

だがそんなことを考えているとは
一切顔に出さないまま、車は走る。]

 
(184) 2020/09/14(Mon) 19:16:33

【赤】 環 由人



[ また来たいな、と

口から出かかったのを止めた。
……笑えそうにはなかった。]

 
(*9) 2020/09/14(Mon) 19:16:50

【人】 環 由人


[ ちなみに、家族にいいところを見せたい
パパたちに混ざって真剣にピッツァを
作っている間そう広くない建物の中に
響き渡った声は、はっきりと、
とはいかずとも届いた。

間違いなく、ドスの効いたそれは
彼の声だったから、思わず
ふは、と笑って、そのままくつくつ
肩を震わせて、ツボに入ってしまって
隣にいた参加者のひとに、
「どうしたんですか?」と困惑した
視線を向けられてしまった、
なんて話も続けてしてしまおうか。]
 
(185) 2020/09/14(Mon) 19:17:06

【人】 環 由人



[ 白銀をひた走る車体。

広くまっすぐな道のりは車通りも少ない。
この寒さだ、人もほとんどいない。
ときどき、前方にも後方にも車が見えず、
対向車も一台も通らない時間がある。

そんなとき、ふと考えるのだ。

もしも、今時が止まったら。
もしも、世界が二人だけなら。

こんな曖昧に乱れた思考は放棄して
今考えてることや感じてること、
曖昧にして気づかないようにしようと
していることもすべて、吐き出して
しまえたらいいのに、と。]

(186) 2020/09/14(Mon) 19:17:38

【人】 環 由人



[ だけど、時間が止まることはないし、
世界は二人だけではない。

だから結局口をつぐんで、
いえないまま、遠いどこかを見つめて。]


(187) 2020/09/14(Mon) 19:18:08

【人】 環 由人




   そうだな、人少ないといいけど


[ そう呟いて、走らせた車は、
しばらくあと、青い看板に沿って
小樽芸術村と書かれた施設へと入っていく。
思ったよりも移動に時間がかかってしまって、
そう長居はできそうになかった。

石造りの建物がそびえている。
青々とした芝生があるはずの場所は、
今は白く雪に塗り潰されていた。
昔は小豆を収める倉庫だったという
それは、今は美しいステンドグラスを
展示する美術館になっている。

芸術村には三つの建物がある。
全てに入れるチケットも売っていたが、
すこし迷って、それから、
ひとまずステンドグラス美術館を見て、
それから時間がありそうなら他のを、
という話になった。

チケットを購入して、建物に向かう。]
 
(188) 2020/09/14(Mon) 19:18:28

【人】 環 由人



[ 一歩中に入ると、どこか荘厳な雰囲気で。
暗い室内に、美しいステンドグラスが
浮かび上がるように展示されていた。

実際に教会で展示されていたという
それらが、この遠い東の異国にある
北の大地の小さな建物の中で、
美しく光り輝くだなんて、
誰が予想したのだろうか。

見事な芸術に、息を吐く。

そっと、彼の手を取った。]
 
(189) 2020/09/14(Mon) 19:19:21

【人】 環 由人





   ───……きれいだな


[ 呟いてから、力を込める。

結婚式も行われるらしいこの場所に、
今、ふたりで立っている。

不思議な縁で、名前のない関係。
それに名付けるのが怖い。
踏み込むのが怖い。
失うくらいならば、進まないほうが
触れないほうが、閉じ込めたほうが、
きっと、そのほうがいいと思ってた。

開きかけた唇を、閉じて。
瞬きを数度かさねる。
息を吸った。]

 
(190) 2020/09/14(Mon) 19:19:44

【人】 環 由人





   ───あのさ、


   今日の、夜、話したいことがあるんだけど


*
(191) 2020/09/14(Mon) 19:20:07

【人】   月森 瑛莉咲

 

 [ 今日はお昼ごはんの用意もせずに
      ぼんやり心地でやってきたけれど


    うん、 行かないと決めたら眠くなるものね。

    現にとなりの白わんこくんも少し眠そう。
    ちょっとスケッチしたら、
    また黄色に埋もれて眠ってみるのも良いかもしれない。


    ……そんなことを考えていたのは、

    ほんの少し前のはなし。]
(192) 2020/09/14(Mon) 20:10:04

【人】   月森 瑛莉咲


  [ とてとて歩く わんこくん ]



    たける!あんまりそっちいったら危ないよ?

     こっち。



  [ とんとん、隣を示したけれど
    たけるが歩いてようやくその意図を察したのです。

   今日は昨日とうってかわっての晴天で。
   青空に綺麗な黄色に映える白い毛並み。
   なるほど、これは映えである。
   このわんこくん、
   自分を魅せる術を随分とご存じのようで。

   スケブごそごそ、スマホにも納めておこう。


   そう、それは確かに数分もたってないはずの


   ほんの少しの前の話の、はずだったの。  ]
(193) 2020/09/14(Mon) 20:11:36

【人】   月森 瑛莉咲




  [  ぽふん  ]



  
  
(194) 2020/09/14(Mon) 20:12:08

【人】   月森 瑛莉咲

 

 [ コミカルっぽい音響の向こう側
        たけるがいた筈のそこに居たのは
 


     あの夜に見た綺麗な羽衣と。
        太陽の下でより輝く
深紫



        同じ色の吸い込まれそうな 瞳の色 ]
(195) 2020/09/14(Mon) 20:14:32

【人】   月森 瑛莉咲



   [ その瞬間、とても強い風が駆け抜けて

      思わずバランスを崩したけれど
       それでも彼から目を離すことはできなかった ]
(196) 2020/09/14(Mon) 20:17:55

【人】   月森 瑛莉咲




    へ?



         ……へ?


  [ あれ、たけるは?
   え?人間?すけっちとてもしにくいんですけd
   え え  え  ?


   なんて素っ頓狂な言葉が頭の中を通り過ぎて

   マシになってたはずの心臓が再び動き出して
   今度は突き破る勢いで脈を打って


   苦しすぎて思わず涙をこらえたほどに。 ]
(197) 2020/09/14(Mon) 20:18:34

【人】   月森 瑛莉咲



   *


        *


    *
               


          *


   *

   
  
(198) 2020/09/14(Mon) 20:31:58

【人】   月森 瑛莉咲



   ふあっ



 [  そう。
    霊力なんてない私には
    いまの突風に“意味”なんてあるとは思わない。


    それでも私は ずっとあなたのことを見つめてた ]
(199) 2020/09/14(Mon) 20:32:51

【人】   月森 瑛莉咲


  こ、こんにちわ。

     もしかして たけるの飼い主さんでしたか?
     ごめんなさい勝手に名前つけて


 [ あっあっ もしかして私有地?
   そもそもこんなところで寝るなとのご指摘はごもっとも。

   いいえ、けれどあなたは
   すけっちがどうとかおっしゃった?

   一生懸命あなたが言った意味を考えるの。
   えっと言葉通り 受け取れるだなんて そんなばかな ]
   
(200) 2020/09/14(Mon) 20:33:21

【人】   月森 瑛莉咲



  [  けれど どうしてでしょうか


      どうしても目をそらすことのできないその姿に


     ―― もし。

    あなたが『かみさま』ならば  ]


(201) 2020/09/14(Mon) 20:34:03

【人】   月森 瑛莉咲




    ……それとも

(202) 2020/09/14(Mon) 20:34:35

【人】   月森 瑛莉咲




     わたしを 連れ去ってくれるのですか?

  
(203) 2020/09/14(Mon) 20:36:06

【人】   月森 瑛莉咲

 

 [  初対面の人に何を、って
     普段の理性ばっちり知的女子してるときなら
     きっとそんな事は言うまいよ。


     でも現在の私は睡眠時間10分の寝不足女子。


     この場のテンションに浮かされて?



     いいえ、ならばそれは  ]
(204) 2020/09/14(Mon) 20:36:56

【人】   月森 瑛莉咲



   [   月森 瑛莉咲が 望んでいること  ]

 
 
(205) 2020/09/14(Mon) 20:38:06

【人】   月森 瑛莉咲



  [  なんて

       まともに“恋”も知らなかったくせに


       連れ去って、だなんて。
    一応、現彼氏にとっては浮気ですよ?
    いることを忘れてはおりませんよ ええ。

        でも、でも。


      私は あなたを知りたいと思っている。
      知りたいと 願っている。  ]     
(206) 2020/09/14(Mon) 20:41:25

【人】   月森 瑛莉咲


   [  あなたが 『かみさま』でなくても


       そうじゃ なかったとしても




        ねえ、私はあなたを ]
(207) 2020/09/14(Mon) 20:43:39

【人】   月森 瑛莉咲




   [  この胸の痛みの答えを 知りたいの ** ]

 

  
  
(208) 2020/09/14(Mon) 20:44:20

【人】 空腹な迷い人 レックス

[ 漸く飢えの波が治まって、顔をあげた。

 はぁ、はぁ、と浅い呼吸を繰り返して、
 机に縋るように身体を起こせば、
 先程のナポリタンが目に入る。

 ゆっくりと、数度深呼吸をしてから、
 再び、フォークを手に取った。]

  すっかり冷めてしまったけど……美味しいや

[ 冷たいけど、美味しいと感じた。
 ソーセージを口にすれば、腹が満たされるのを感じる。

 少しずつ、少しずつ、
 普通の食事で満足できるようになればいいのに

 だけど、少しずつでは間に合いそうもなかった。
 きっと、近いうちに自分はあの子を喰っていただろう。

 許されないことで、仕方がないことで
 それでも、そんな未来を迎えたくなかったから

  ――優しい鬼になりたかった


 胸の内で、そんな願いを抱きながら、
 自嘲の笑みを浮かべた。]
(209) 2020/09/14(Mon) 21:01:45

【人】 空腹な迷い人 レックス

 
  …………本当に、良い鬼なら、
  人の目に触れるところには出てこないのだけどね

  
(210) 2020/09/14(Mon) 21:01:47

【人】 空腹な迷い人 レックス

[ 何処かの物語の主人公が言っていた。
 "人前に出てこないゴブリンだけが、いいゴブリンだ"と

 鬼も一緒だ。
 人前にでてこない鬼こそが、良い鬼なのだろう。

 それでも――――…]

  ひとりぼっちは、寂しいんだ

[ 人との争いで、父は死に。
 人に見つかり、母は死に。

 自分は、それでも生きることを選んできた。
 一人で、お腹を空かせながら、闇の中でひっそりと

 一人になってから、1年、2年、3年。
 最初の頃は、野山の動物を狩って生きていた。

 だけど、寂しさに、孤独に耐えきれなくて。
 人に化けて、村に住んでみた。
 戦災孤児と偽って
――偽りでもないが


 だけど、見た目が変わらないことを
 訝しんだ村人に殺されそうになった。]
(211) 2020/09/14(Mon) 21:01:51

【人】 空腹な迷い人 レックス

[ 次に、その村から、ずっと遠い町に今度は潜り込んだ。
 孤児はたくさんいるから、そこでは上手く潜り込めた。

 だけど、孤児仲間が襲われているところ
 鬼の力で助けてしまった。

  ――『騙したのか、この
バケモノめ
!!』


 今でも憶えている。
 助けてやったのに、罵られて、石をぶつけられて
 ――――拒絶された

 人間と一緒に生きるのは、やはり無理なのだと思った。]
(212) 2020/09/14(Mon) 21:01:53

【人】 空腹な迷い人 レックス

[ それから、10年、20年
 長い時間を一人で生きてきた。

 襲ってくる人間を殺しては喰って、腹が減っては、喰って
 食事をした後は、それでも罪悪感でいっぱいだった。

 男を喰った、女を喰った、子どもも喰った。
 ――襲ってきた父親を殺して
 ――周囲に知らせようとした母親を殺して
 ――たった一人残しては可哀想だから、子どもも殺した


 仕方がなかったんだ。
 生きるためには、仕方がなかった。

  ごめん、ね……ごめんなさい……


 美味しい食事に涙を流しながら、謝っていた。
 そんな時に、やってきたのが白鬼だった。

 近くの山小屋に、鬼と共存を目指している娘がいると
 そんな話を急にされた。
 自分が食べているものなど、目にも入っていないかのように

 そんな酔狂な奴がいるなら、会わせてくれと言った。
 食べてやろうかと思ったが、白鬼にとっても大事なようで
 
  
同族であろうと殺す。

 
 というような目で見られたのを覚えている。]
(213) 2020/09/14(Mon) 21:01:55

【人】 空腹な迷い人 レックス

 
  鬼の養父とでも言うのかな……

[ 父親のような顔をした白鬼を思い出して、
 くくくと喉の奥で笑った。

 昔のことを思い出しながら、食べていれば
 いつの間にか、皿は空になっていた。]

  ごちそうさまでした

[ 手を合わせて、小さく呟いてから、
 個室を出れば、周囲の本棚に目をやった。

 よくよく見れば、ここにある本は読めるようだ。
 見たことない文字なのに、
 意味は理解できるというのは不思議な感覚だ。]

  こ、凍れる?

[ ふと目に留まった本を手に取ってみれば、
 そこには、人狼の娘の物語が描かれていた。]
(214) 2020/09/14(Mon) 21:01:58

【人】 空腹な迷い人 レックス

[ 愛しいと想ったものを、食べたいと思ってしまう少女。
 彼女にとって、食べるということが最大の
愛情表現
だった。

 初めて、自ら欲して食べたのは、初恋の少年。
 だが、それをきっかけに、彼女の両親は死んだ。

 両親は、村の人間には手を出さないこと、
 代わりに村を襲う連中を退けることを約束して、
 この村に住んでいたというのに、
 幼い娘は知らずに契約を破ってしまったのだ。

 その日から、彼女が新たな村の守護者になった。

 優しい獣になりたいと願いながら、
 人間と共存したいと願いながら
 それはきっと無理だと、――諦めながら

 しかし、そんな日々も
 人間側の裏切りにあい、終わりを迎えた。

 愛しい友人を食べ、初めての仲間を得て、
 仲間を守るために、自らを差し出した。

 本当は、人間と一緒に生きたかったのに
 大好きな子たちと一緒に生きたかったのに

 その願いは、諦めて。


 仲間のことを、大好きな子たちのこと
 彼らの幸せを願って、死んで逝った。]
(215) 2020/09/14(Mon) 21:02:00

【人】 空腹な迷い人 レックス

 
  ……僕は、こんな風に諦めたくないから
  だから、願いを叶えに行かなきゃ

[ たとえ、それが悪魔に魂を売るようなことであろうと
 
 この願いだけは叶えたい。
 あの子との約束を守りたい。

 ぱたりと、本を閉じて、静かに瞳を閉じた。
 じわりと胸の奥に広がる熱を感じていた。

 愛しいという想いを、力に変えて進もうと]
(216) 2020/09/14(Mon) 21:02:02

【人】 空腹な迷い人 レックス

  
  
  『あはははははははははは!!!!
 
   いいぞいいぞ! その調子だ!!
   そのまま、一人くらい、
   喰ってから戻ってくればいい!!』


  
(217) 2020/09/14(Mon) 21:02:04

【人】 空腹な迷い人 レックス


 
 
[ 耳障りな嗤い声は、聞こえないふりをした**]
 
 
 
(218) 2020/09/14(Mon) 21:02:06

【人】 かみさま 尊龍

[ざあぁと強い風が吹く。
 私を包むように、愛おしむように――、

 花弁が涙のようにはらはら舞っては空に昇る]


  
ああ………、



[私はその風に心奪われしばし風の吹く先を見つめた。

 エリサが戸惑う様子を横目に見つつ。
 幸せを胸に抱き、安堵したように微笑んで、
 その風に口付けるよう目を閉じた。

 目元を掠めた花弁が私の涙のように流れゆく]
(219) 2020/09/14(Mon) 21:44:06

【人】 かみさま 尊龍

[――、幾重もの輪廻の果てのように永く短い一時。
 過ぎ去った風を遠く見送り、
 視線を私を見つめるエリサへと向ける。

 他人行儀に慌てるエリサがおかしくてクスと笑み。
 混乱し、口走るその言葉――、


  「連れ去ってくれるのですか?」


 耳にすれば、稚児を見守る笑みはふっと消え、
 エリサのほうへと一歩、歩を進め]


 ……ああ、そうだよ。 月森 瑛莉咲。
 私はお前を遥か昔からずっと待っていた。
 会いたかったよ、私の愛しい子。


[ふっと万感の想いを込め愛し気に微笑み目を細め]
(220) 2020/09/14(Mon) 21:46:33

【人】 かみさま 尊龍

[今すぐにでも駆け寄り抱きしめたい。
 だが、混乱しているエリサを怯えさせてもいけない。

 だから、私からはそれ以上歩を進めず。
 代わりにエリサへ手を伸ばし、エリサを乞う]


 おいで、一緒に神域へ行こう。
 そうして夫婦となり共に過ごそう。
 これからはずっと一緒だ。


[”エリサ”には性急すぎる話だったか、とも思うが。
 答えは彼女の”魂”が知る事だ、と。
 涼やかな目を優しく細め、与えた謎かけを稚児がどう解こうとするか――、見守る大人のような風情で見守っている。**]
(221) 2020/09/14(Mon) 21:47:45

【人】   希壱

[雨の降る道を急いで走る。
雨に濡れた髪が視界を遮って。
水たまりに突っ込んだ靴に水が浸水してきて。
泥が跳ねてズボンの裾がグチャグチャになっても、尚。

突如、都会の空を覆った雨雲は、
容赦なく地面に向かって雨を落とした。]


 
───洗、濯っ、物おおおっっ!!



[今朝見た天気予報では晴れだと言っていた。
快晴で、雲ひとつない青空が広がるでしょうなんて、
どこのお天気キャスターの言葉だったか。

それを信じてしまったが故に、
いつもよりも多めに洗濯物を干してきてしまったのだ。
講義が午後からで、朝に余裕があるからと
シーツまで干してきてしまったのだから尚更である。

…まぁ、急いだところで
もう一度洗い直すことになるのだけれど。
それでも急いで帰らなくてはいけない事に変わりはない。]
(222) 2020/09/14(Mon) 22:32:31

【人】   希壱


 
あっ!やべっ、

 
なずな、傘持ってってねぇ!



[そこで思い出す今朝の言葉。

 『きょうは晴れるんだって!
  だからね、お気に入りのクツ、はいてくの!』

無邪気に笑って、靴箱の奥に大切に仕舞われていた
水色の靴を引っ張り出していた。
今日は体育もないから履いても大丈夫なんだと、そう言って。

チラ、と腕の時計を確認すればもう17時を過ぎていた。
急いで走って小学校へ行ったとしても
きっと、すれ違いになってしまうだろう。

そもそも、俺も傘もってなくてずぶ濡れだし。
新しい傘を買う思考は、
洗濯物で頭がいっぱいだったが為に思いつかなかったし。

…てか、今買ったって遅すぎるし。]
(223) 2020/09/14(Mon) 22:33:16

【人】   希壱



 ………はぁ。

 
(224) 2020/09/14(Mon) 22:33:48

【人】   希壱


[いい加減走ることにも疲れてきて、
バシャバシャと地面を蹴っていた足をゆっくり止め始める。

今まで色々上手くいっていた気がするけれど、
やっぱり俺はどう足掻いたって変わることはできないのかと
雨でどんよりとした空を見て、気持ちまで沈んできてしまう。

…思えば、昔からそうだった。
誰かに認めて欲しいなんて気持ちで頑張っても
いつも空回りばかりしていた。

結局どれだけ頑張ったって、
その頑張りを誰にも認めて貰えないのに。

優しさに見返りを求めてはいけない。

なんて、誰が言った言葉かしれないけれど。
ありがとうの言葉くらい、くれたって言いじゃないか。

…たった五文字を求めるくらい。
したって、いいじゃないか…]
(225) 2020/09/14(Mon) 22:34:12

【人】   希壱



 ………………………………、

   
(226) 2020/09/14(Mon) 22:39:11

【人】   希壱


[…なんて、ただの自己嫌悪だ。

土砂降りの中。赤信号で足を止める。

周りには、しっかり天気予報を見ていた人で溢れていて
頭からつま先までずぶ濡れになった俺を
なんだか笑っているようにも見えて。

そんな事ないってわかってるのに。
そんな気持ちで支配された心では、
どうやったって前向きにはなれない。

だから、早く青になれなんて心の中で叫んだ。]
(227) 2020/09/14(Mon) 22:39:29

【人】   希壱


[家に帰って、早く、おかえりを言う準備をしないと。

シーツだって取り込まないと。

今日は、あの子の好きな晩御飯にするんだから
仕込みだって、午前のうちに終わらせたんだ。

お気に入りの靴が濡れて落ち込んでるだろうから
慰める為に、言葉だって考えて。

あぁ、でもその前に。
風邪を引かないようにお風呂にも入れてあげないと…

その後に洗濯機を回して。それから…]
(228) 2020/09/14(Mon) 22:41:24

【人】   希壱


 『あ、おにいちゃんだ!』


[そんな声が、走る車の騒音の中、聞こえてくる。
そちらに目を向ければ、黄色い傘を差した妹がいて。

幻想かと一瞬思うものの、
黄色い傘のその子は、真っ直ぐこちらに向かってくる。

前髪からぼたぼた垂れる雫を掻き分けて、
しっかりとその姿を見留めた。]
(229) 2020/09/14(Mon) 22:41:44

【人】   希壱


 ──なずな!
 よかった、傘、持ってたんだな


[近づいてくる黄色い影に、
こちらも数歩走り出して迎え入れる。

先程止まっていた赤信号の横断歩道は、
通りゃんせのメロディを流しながら、
いつの間にか青に切り替わっていた。

パシャ、と水が跳ねる。
あの子のすぐ側まで行くと、
視線を合わせるようにしゃがみこむ。

水色の靴は濡れてしまっていたけれど、
それでも全身がずぶ濡れになっているよりはマシだ。

よくよく見れば、合羽も着ていて
ランドセルカバーまでついていた。]


 『おねーちゃんがね、前にわたしてくれてたの。
  もしものときにつかいなさいって!』


[そう言うと、ニコ、と妹は笑う。]
(230) 2020/09/14(Mon) 22:43:12

【人】   希壱

[そうか、姉貴の入れ知恵か。
こうなる日を見越して、置き傘をさせていたのだろう。
用意周到に。きっと、俺がやらかした時の為に。

そう考えて、気分が沈み出す。
いつも以上に気分が落ち込むのは、
きっと、雨のせいだ。

ほら。この子だって。
何も言わない俺を不安そうな顔で見てる。
直ぐに笑顔で対応しなくちゃ。
俺が不安にさせてどうするんだ。

大丈夫だよ、帰ろうって。
余計なことも言わずに。
苦しい気持ちを吐き出せずに。
]


 ……そう、か。
 姉貴が持たせてくれてたんだな。
 なずなが濡れてなくてよかったよ。

 さ、帰ろう。
 兄ちゃんずぶ濡れだから、手は繋げないけど
 ……ごめんな。
(231) 2020/09/14(Mon) 22:43:54

【人】   希壱


[そっと立ち上がって、横断歩道を見る。
さっきまで流れていたメロディは止んでいて、
信号機は再び赤になっていた。]


 ………ついてないなあ。


[そんな言葉を漏らした直後。
耳を劈くような音が辺りに響いた。]
(232) 2020/09/14(Mon) 22:44:17

【人】   希壱

[瞬間、世界がスローモーションに見えた。

雨の中、スリップしたトラックが横倒しになっていく。
そのトラックに巻き込まれた赤い車が、
いやに鮮明な色を保ったまま、こちらへと突っ込んでくる。

クラクションが街中に響いて。
叫び超えが鼓膜に響いて。

すぐ隣にいたあの子を突き飛ばす。
俺と同じ、タレ目で猫目な瞳が大きく見開かれる。

紫の瞳が揺れて、俺を呼ぶ。


 あぁ、そんな顔すんなよ。
 大丈夫だから。
 なずなが無事ならそれでいいんだ。


そう思って、ニコ、と小さく微笑んだ。]
(233) 2020/09/14(Mon) 22:44:51

【人】   希壱


[
グシャ
、と嫌な音が響く。

ギシ
、と嫌に骨が鳴る。

視界が歪んで、赤に染って。

何が起きたかを理解する頃には。
もう、俺はこの世にいないんだろう。]
(234) 2020/09/14(Mon) 22:45:21

【人】   希壱


[世界の進む速度が元に戻って。

泣き叫ぶなずなの声だけが鮮明に聞こえて。]


 …ごめんな、


[そのまま、意識を手放した。]**
(235) 2020/09/14(Mon) 22:45:40

【人】 マリィ  



  そりゃあ、アタシは“ママ”だもの。


[隣から聞こえた褒め言葉に>>182
 当たり前よ、と肩を竦めるの。]


  年齢も性別もセクシャリティも関係ない、
  話聞いて欲しいとか、誰かに甘えたいとか
  誰もが持ってる欲望の受け止め先。

  明日を向いて生きるためにね。


[そのくせ、自分が自分であるための場所を
 見つけるのに必死で、由人に嘘を吐き続けてる。
 聖母なんかじゃない、ただの汚い男。

 
でもあんたをアタシのママにしたいんじゃない、
 絞り出すみたいに寂しさを吐き出した
 あんたの隣にいたいんだよ。
(236) 2020/09/14(Mon) 22:53:19

【人】 マリィ  

[楽しかった、って言葉に
 そうね、って返すくせに
 どっちも「また来よう」を言わないまんま。
 少し歪な空気のまま、車は芸術村へ
 するりと滑り込むでしょう。

 いよいよ日も陰り、夜の時間の近付く頃。
 人影もまばらな美術館へ入れば
 途端に、眩しい色彩が目を焼いた。]


  ………………、


[四面を取り囲むように聳え立つ
 天使や聖なる御子、聖母を象ったステンドグラス。
 正面にどんと構えていたのは、
 磔刑に処されるキリスト像だった。]
(237) 2020/09/14(Mon) 22:53:50

【人】 マリィ  

[ステンドグラスとは、識字率が低かった昔
 阿呆んダラでも分かるように、聖書の内容を
 噛み砕いて図にしたもの……
 そう、ガイドブックに書いてあった。

 アタシは神様仏様を信じてないけど
 流石に聖書のあらすじくらいは知ってる。
 聖母マリアから生まれたイエス・キリストは
 人の咎を負って磔刑に処されるの。
 聖書には、同性愛も罪のひとつとして
 数えられているのも、知ってる。

 隣で聴こえた吐息と正反対に、
 アタシは、もう息が出来なくなった。

 荘厳な雰囲気の中、死んだ目をしたキリストが
 じっとアタシを見下ろしている。
 「美味しい」の代わりの軽口に
 笑ってみせてくれる由人より厳格な
 全部お見通しの顔をして。

 怖い。怖い。もう、逃げ出したい。
 全部かなぐり捨てて、ひれ伏して、
 泣きながら地に頭を擦り付けて謝りたい。]
(238) 2020/09/14(Mon) 22:54:37

【人】 マリィ  



  
ごめんなさい……



[そう呟いたのと、由人の手が
 アタシの手を取ったのは同時くらい。

 続いて落とされる由人の呟きに
 視線を彼の横顔へと移すと、
 硝子越しに差し込んだ光が
 彼の睫毛へ影を落としていて……]
(239) 2020/09/14(Mon) 22:56:04

【人】 マリィ  



  …………そう、だね。


[アタシは、由人の横顔に視線を向けたまま
 漸く手を握り返せたの。

 相変わらず息苦しくて
 射抜くような視線を上から四方から感じてたけど
 今、アタシはひとりじゃないもの。
 ……情けないこの手の震えが、
 由人に伝わりませんように。]
(240) 2020/09/14(Mon) 22:56:21

【赤】 橋本 雅治  

[─────ああ、神様。

 俺は許されたい。

 あなたが許してくれなくってもいい。

 地獄に落ちて焼かれたっていい。

 けど、せめてこの地上で生きる間だけ

 この人のそばに居たいんだって

 この人に伝える勇気をください。]
(*10) 2020/09/14(Mon) 22:56:58

【人】 橋本 雅治  

[由人の視線が空を彷徨って
 何か噛み締めるように唇が数回動いて───

 漸く、俺の方を見てくれた。


 ……そうして切り出された言葉に>>191
 俺はまた少しだけ息を飲んで、
 泣きそうな顔で笑うんだ。]
(241) 2020/09/14(Mon) 22:57:21

【人】 橋本 雅治  




  ─────同じこと、言おうと思ってた。


 
(242) 2020/09/14(Mon) 22:57:43

【人】 マリィ  

[そうしてアール・ヌーヴォー美術館の方へ
 足を運んだけれど……
 正直、「良さげなツボとか皿」以外の
 感想が思い付かなくって
 多分アタシはずっと黙ってたと思う。

 ガイドブックの「小樽」も読めなくて
 何度も由人に聞いたもの。

 もう少し、頭が良くなりたかった。
 ……いいえ、頭が良いとか悪いとかじゃなく
 もっとちゃんと勉強すれば
 今日はもっと楽しかったかもしれない。

 由人と暮らすまで豚肉と牛肉の違いすら
 正直よく分からなかったし、
 興味もそんなに持ってなかった。
 もっとよく分かっていれば
 ちゃんと「美味しい」って言う時に
 気の利いた感想が言えるかもしれない。

 振り返っても、後悔ばっかり。
 今更禊をしたところで
 払いきれる穢れじゃないかもしれない。]
(243) 2020/09/14(Mon) 22:58:19

【人】 マリィ  

[ホテルに着いた頃には
 随分辺りは暗かったでしょう。

 古い歴史ある造りの玄関の上に
 近未来的な造形の客室がドッキングした
 何だか奇妙な感じの宿だったけれど
 客室温泉はあるし
 海の幸溢れる夕食が絶品!とかなんとか。

 でも正直、お夕飯をすぐに楽しめそうな
 心持ちじゃあなくって。

 通された部屋はダブル。
 お行儀よく並んだふたつのベッド。
 分厚いカーテンは寒さ避けのためか
 全て固く閉ざされている。

 アタシは手持ちのボストンバッグを、
 どさり、とベッドに放り捨てると]


  ……ねえ、お夕飯の前に話しちゃわない?


[少し、震える声で切り出した。
 「どうせなら、美味しく食べたいじゃない?」
 なんて笑おうとしたけど、
 うまく、口角が上げられなかった。]*
(244) 2020/09/14(Mon) 22:59:38

【人】   月森 瑛莉咲



 [ 風に囚われるようなすがたも
    その風を慈しみ口づける様子も

  わたしは ずっとそれをながめてた。

  意味がわからなくたって


  ちくって刺さったりもしちゃうんだから。

  虫にも妬く女は風にだって一緒なの ]
(245) 2020/09/15(Tue) 0:49:05

【人】   月森 瑛莉咲


 [ でも同時に。
   ああ、よかったね、って。


  舞い上がった花弁に


  そんな感想を抱くのは


  なんだか不思議な気持ち。 ]
(246) 2020/09/15(Tue) 0:51:27

【人】   月森 瑛莉咲




 [  出会い頭の誘拐願望を、
   否定することなく。

   待ってた、って。
   連れさってくれるんだって

   『かみさま』は私に、手を差し伸べる。



   あとは私が、手を伸ばすだけ。

   足ひとつぶんの異界への境界線。 
   踏み込めばもう戻れない はないちもんめ ]
(247) 2020/09/15(Tue) 0:53:32

【人】   月森 瑛莉咲




  [ 私はその手に 指を絡める ]



 
 
(248) 2020/09/15(Tue) 0:54:20

【人】   月森 瑛莉咲



  [ 自分で神域がどうのいっちゃう
   妖しげなお兄さんに 
   いいようにされただけかもしれないし

   本当に
  『かみさま』だったとしても


  ……真実はどっちだって。


   もう、どうだって。 ]
(249) 2020/09/15(Tue) 0:55:28

【人】   月森 瑛莉咲




  尊龍。


 
 
(250) 2020/09/15(Tue) 0:56:06

【人】   月森 瑛莉咲




 [ 私の指先はもう、あなたのものよ ]


 
 
(251) 2020/09/15(Tue) 0:56:45

【人】   月森 瑛莉咲



  ……たける。


    [ 私の運命は、あなた次第で変わる。
      かみさまなら かみさまらしく

     無遠慮にあなたのもとまで連れ去って。


    
魂の奥底眠るものより、
    もっともっと つよい想いを


    私の中から 奪い取って 


    苦しくて仕方ない鼓動に 名前をつけて
 ]
(252) 2020/09/15(Tue) 0:58:03

【人】   月森 瑛莉咲




  [ 私はふわり、宙に身を投げだすの 

      指先はそう、絡めたままで** ]


 
 
(253) 2020/09/15(Tue) 0:58:46