人狼物語 三日月国


55 (R18)竜宮城

情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 エピローグ 終了 / 最新

視点:


ミオン3票
理恵1票

処刑対象:ミオン、結果:成功

[犠牲者リスト]
該当者なし

決着:村人の勝利

村の更新日が延長されました。

村の更新日が延長されました。

【人】 しあわせうさぎ 理恵

[意識が戻ったのはどれほど後のことか。
 すっかりくたびれてこそいたが、なんとか年内に起きてこられた。

 気が付けば濡れたベッドは綺麗に整えられていた。
 いつの間にか着ていた(しかしぐちゃぐちゃな)浴衣を整えて、御簾の中におこもりしながら、フウタの足に頭を乗せてごろごろしていると(「お、足の爪が伸びたようじゃの」「これは切り甲斐があるのう」と足の指を掴んだりもしただろう)、やがてぼぉん、ぼぉん、と重たい鐘の音が鳴り響いた。
 なんとなくぺちぺちとフウタの顎を触って気を引いていると、不意に目があった。

 改めて挨拶をされて>>3:1、きょとんとフウタを見上げる。
 なんとなく姿勢を正した方がいい気がして、身を起こして正座する。]


 なんかよく分からんが、めでたそうじゃの?
 ……気持ちって何のことじゃ?


[立ち上がるフウタを見送れば、戻ってきたときには何かを持っていた。]
(0) 2021/01/07(Thu) 0:21:18

【人】 しあわせうさぎ 理恵

[ぱか、と箱を開けると、銀色の輪が二つ収まっていた。フウタはごく小さな輪と、理恵の左手を取った。
 付けられた輪には六角の石がきらきらと光っていた。それは不思議と肌に馴染む。理恵の薬指は、最初からこの輪をつけるように作られていたのではないかとさえ思うほどだ。
 フウタは揃いの輪を自身にもはめると、理恵と同じ場所にはめた。

 ほーん? と首をかしげて、擽り合わせた二つの左手をしげしげと見つめながら、フウタの言葉>>3:2>>3:3の意味を考えた。]


 んん……この輪っかをつけておけば、
 フウタは理恵のおっとで、理恵はフウタのつまだってことが
 人間たちに伝わるのか?


[アクセサリーの店の前のメス達と違って、この輪の価値は分からない。似合うのかどうかも。
 けれど、込められた想いは分かる。]
(1) 2021/01/07(Thu) 0:22:03

【人】 しあわせうさぎ 理恵

[フウタの左手に、指を絡める。かつ、と輪の触れる音が鳴る。互い違いになったそれを口元に引き寄せて、手の甲に顎をこすりつけた。
 ちゅ、とフウタの指輪に口づけると、にやぁ、といたずらっぽく笑う。]


 ……つまり、人間流のマーキングじゃの?


[「誓い」という言葉はまだ覚えていなかったもので。]
(2) 2021/01/07(Thu) 0:22:35

【人】 しあわせうさぎ 理恵



 外すなよ、フウタ。
 理恵はフウタの、フウタは理恵の。
 理恵たちはおたがいのものじゃ。


[妙に嬉しそうに、「今年もよろしくオネガイシマス、フウタ」と言った。]**
(3) 2021/01/07(Thu) 0:23:00

【人】 因幡 フウタ

[目を覚ました理恵に俺の苦労話は聞かせなかった。
フロントへの電話の掛け方がわからねえとか、
浴衣の着せ方がわかんねえとか、
ティッシュめっちゃ使ったとか、
面白おかしく話せる性質ではない。

そんな事よりまず水だ。
最初に水を飲ませただろう。

御簾の中のおこもり>>0に付き合って、じゃれてくる理恵に「小動物みたいで可愛い……あ、小動物じゃった」なんて微笑ましい気持ちを抱いたり、足の指を掴まれて「切るなよ?お前の爪切りは怖い」とくすぐったそうに足を引っ込めたりした。
顎をぺちぺちされて、痛くないけど何しとるんじゃ、と少々むくれていたら、鐘の音が新しい年の訪れを告げた。

見よう見まねの新年の挨拶に、だらんとしていた理恵が正座なんてしだす。ちょっと感心してしまった。
あぁ、めでたいんじゃ、と頷いて、
渡したかったものを取って来て、理恵の前でその箱を開いた。

揃いの薬指にして擽り合わせても、
理恵の顔はぱっとしない。
それでも嫌そうな顔ではないから、理恵の答えを待った。

理恵の解釈>>1に「ああ」と頷いて、
更に感想を待ってみた]
(4) 2021/01/07(Thu) 17:12:30

【人】 因幡 フウタ

[ふいに寄り添わせていた指が絡んだから、
同じ様にゆるく握ってみる。
彼女の肌に寄せられて、輪っかに口付けが贈られる。
意図がわからずに目を僅かに見開けば、
いたずらうさぎがちょっと悪い顔で笑った]


  マーキング………

  そうじゃな、あぁ……そうじゃ。


[それはちょっと考えてなかった。
けれど間違ってない、と納得した様な顔で頷いた。
「外すな」>>3とまで言われれば、
やけに強い言葉を使ってくれる理恵に、
心臓が心地よく揺れた]


  あぁ。
  俺は理恵のものじゃ。


[逆は当然といったていで口元を緩める。
挨拶を返してくれる理恵の顔が移った様に、もう少し笑みを深めて、ぽんぽん、と頭を撫でた]
(5) 2021/01/07(Thu) 17:12:36

【人】 因幡 フウタ

[「朝一緒に初日の出を見よう」と、
早速新年の行事をひとつ、理恵と共に達成しようと誘った。
「もう寝よう」「くたくたじゃろ」「朝早く起きるぞ」「zzz」
説明も終わらぬまま眠りこけてしまうだろう。
ちなみに初日の出を見る理由について問われれば答えられない。

まだ暗い時間に起床して理恵を揺すってみたが、
理恵は起きただろうか。
外に見に行こうと思ったが、あまりに寒くて悩む。
ベランダから見れんかな?と試みたがどうだっただろう。
昇って来る太陽の姿でなく、
ベランダにも差し込んだ太陽光で十分満足だったかもしれない]
(6) 2021/01/07(Thu) 17:13:11

【人】 因幡 フウタ

[その後、朝の内なら人がいないかも、と、
露天風呂に誘ってみた。
貸切露天風呂の案内>>1:32は読めないまま。

露天風呂から初日の出を見た猛者がいた様だが、
その連中が上がったおかげで、貸切状態になっていた。

岩で縁取られた風呂のかたちや、それがいくつも並んでいる光景が新鮮だった。
湯に入らないと寒くて死にそうだったが、
その分湯の温かさが身体の芯に染みる]


  うぅ…… きもちいー……


[しまりのない顔で、理恵の後ろにまわって腕を伸ばす。
膝に理恵を乗せてやんわり抱き締めるかたちは、昨日の情事を彷彿とさせる。
濡れて色っぽいうなじに思わず口を寄せてしまった。

水滴をちゅ、と吸うだけのつもりが、
べろりと髪の生え際まで舐め上げてしまった。
そのまま人間の耳に唇を寄せて、この孔にも舌を差し込む。
ここは流石に孔が拡がったりしないから、入り口をぺろぺろと舐めたり、入る訳のない孔を突いてざわざわと音を立たせるに留まる]


  理恵は、どっちの耳の方がいいんじゃったか……


[白いうさぎの耳の先をひょいと優しく摘まんで、同じ様に耳孔を嬲る。理恵が答えずとも、反応が教えてくれるか]
(7) 2021/01/07(Thu) 17:15:19

【人】 因幡 フウタ

[反応を楽しみ切らない内に、脱衣所の方から物音と人の声が聞こえる。
まずい、誰か入って来るんだ。(お決まりの展開ですね)
中途半端な事もあるし、理恵の裸(タオル巻いてても以下略)を他人に見せたくない。

都合よく高い岩が湯に浮かんでいたから、
手を引いてその影に理恵と隠れた。
乱入者はきゃっきゃと楽しそうな若い男女グループだったから、
余計に理恵を晒したくないと思った]


  あいつらが出て行くまで待つか……


[それまでのぼせない様に大人しくしているつもりが、
結局、火照った理恵の頬や肩を見ていたら我慢ができなくて、
少なくとも耳いじりの続きをしてしまっただろう。**]
(8) 2021/01/07(Thu) 17:15:35

【人】 しあわせうさぎ 理恵

[ぱち、と目を覚ますと、みのむしになっていた。]


 ……なんじゃこりゃ


[蛇のようにうねうねして、体に巻き付いていたブランケットから抜け出すと、交尾しやすそうな服を身にまとっていた。
 着た覚えは無いのでフウタが着つけたのだろう。
 卓球場で見た「着崩れちゃったぁ」のメス>>1:26よりはるかに着崩れしていることから、努力の後がうかがえた。
 露になった肌を隠すようにぐるぐる巻きにされて、御簾の中に突っ込まれていたので、部屋に誰かが入ってきたところで見えてはいなかっただろうが。

 部屋の中は妙に整っていて、そして妙に乱れていた。
 ぐちゃぐちゃにしたはずのベッドはピンと清潔に乾いているし、
 そのわりに電話はひっくり返って、ごみ箱にはやたらティッシュがあふれている。
 
 けれど、何があったのか、フウタ語らなかった>>4
 目が合うと、まずはと水を飲ませようとしてきたから、
 毛布に自主的にくるまって、「手が使えんから飲めん」「飲ませてくれれば飲める」すっかりくたびれた様子のフウタに、面倒くさい甘え方をした。]
(9) 2021/01/07(Thu) 22:05:13

【人】 しあわせうさぎ 理恵

[「お主も小動物じゃろ」「桶やら理恵の腹やら、ちんまり収まりおって」ぶうぶう文句を言ったり、
 足の指をなぞりながら、「なんも怖くないわ」「人間の爪が切りにくいだけじゃ」「亀の方がうまくつめそうじゃ」ひっこめられる足にむぅと頬を膨らませたり、
 ちょっと珍しいむくれ顔に、「べつにー」「人間の時は首引っ込まんのじゃの」
 めちゃくちゃ中身の無い会話をしながら、御簾での時間が過ぎていく。]
(10) 2021/01/07(Thu) 22:06:03

【人】 しあわせうさぎ 理恵

[そうして鐘の音が鳴れば、フウタは改まって話し始めた。
 持ってきた輪の話を聞いて、己の解釈を確認すれば、フウタはそれを肯定する。>>5
 口元を緩めて、自分は理恵のものだと言い切るフウタに、ンフーと笑みを深めた。「……知っとる」

 ぽんぽんと頭を撫でる手に目を細めて、左手を空に透かし見る。]


 ……しかし良い物をもらったのじゃ。フウタはせんすが良いの。
 人間の体は便利じゃが、鼻が悪すぎていかん。
 いくら理恵の匂いをつけても、よう分からんくて困っとったんじゃ。


[膝立ちになれば、フウタの頭が下になるか。
 ぽふっと顎を乗せて、すりすりと匂いもつけた。]
(11) 2021/01/07(Thu) 22:06:57

【人】 しあわせうさぎ 理恵

[初日の出を見ようと誘われれば>>6、「はつひのでってなんじゃ」「それは食えるのか?」「朝のうちに見つかるじゃろか」「まてどこにあるのか説明してから寝んか!」ぽんぽんと問いかけたが、フウタはよほど疲れていたのか、説明も無く眠りこけた。

 そして自分はとっとと寝ておいて、まだ寝ぼけてる理恵を揺すり起こした。
「もう探しに行くのか」「そんなに大仕事なのかはつひのでは」「よし理恵が先に見つける
ゼッテー勝つ
」ふんふんと鼻息を荒くしていると、フウタがベランダを覗いている。「そぉぉぉんな簡単に見つかるわけ無いじゃろーーーー!」ふっはーと勝ち誇って背中に飛びついくと、フウタがカーテンを引く。入り込んできた光に、二人で目を細めたか。

 窓を開けずとも、冷気が肌を撫でた。良く冷えた日は、空気が澄んでいる。

 空はすでに桃色に色づいていた。雪化粧を施した山の上で、薄くたなびく雲が、どこまでも続いている。低いところにある太陽が、その濃淡をことさら繊細に表現していた。薄紫色に、桃色に、あるいは赤に絶えず変化して、一瞬でも目を離せば、二度と同じ色には出会えない。
 
 山の端がひときわ黒くなり、その後ろからオレンジ色の光があふれ出した。
 雪に覆われた山肌を、元日の陽が滑り落ちる。陰影は一層濃く映し出され、きらきらと輝いた。

 良い元旦だった。

 太陽が昇り切って、変化が乏しくなれば、「さてはつひのでを探しに行くかの」とでも誘っただろうか。そして今見たものがそうだと知れば、「……つまり今回は同着じゃの?」ちょっと悪あがきした。]
(12) 2021/01/07(Thu) 22:08:56

【人】 しあわせうさぎ 理恵

[そうして湯靄のたなびく露天風呂に向かえば、フウタが顔をとろけさせた>>7
 温泉にはそういう効能がある。
 けれどやっぱり尻を底につけると溺れそうで、どうにも寛げないでいれば、フウタからひょいと抱きかかえられた。
 膝の上でやっとちょうどいい深さになって、「あ゛―」似たような顔を前後に並べていたが、裸のうなじを舐め上げられて、「うひゃ、」思わず声を上げた。

 昨夜の記憶が蘇って体が熱くなる、暇も無く。人間の耳(飾り)の方に口を寄せられて、ぺろぺろと舐められれば、「うひゃ、ひゃひゃ、はは、ぅぅぅぅぅ、やめ、やめんか!」くすぐったさにゲタゲタ笑えば、騒々しく波紋が広がる。しまいにはフウタの顔に、ぱしゃんとお湯をかけた。
 けれど懲りずに今度は兎の耳(本物)をとられ、同じように口を寄せられれば、湯の中の肌がぞわりと泡立った。「──ひゃ、」耳の内側は、桃色に淡く色づいていた。繊細な孔に舌が当てられれば、息がやけに熱く感じる。頭の中に直接水音を注がれている気分になって、「ぅぅぅぅ」ぱしゃんと湯を鳴らして腕を上げると、自分の両耳をきゅっと抑えた。]
(13) 2021/01/07(Thu) 22:10:39

【人】 しあわせうさぎ 理恵

 [耳で遊ばれていたせいか、性能の良い耳を持ちながら、他人の気配>>8に気づいたのはフウタが先か。手を引かれて岩陰に隠れれば、今にも乱交を始めそうな男女グループが入ってきた。
 様式美というやつじゃの。

 まあ別に見られようが見られまいがどうでも良いんじゃが、フウタが隠れたそうだったので、一緒になって岩陰に潜む。
 岩はそう大きくは無く、二人で隠れるにはしっかりくっついている必要があった。ぴたりと身を寄せ合いながら、
「なかなか出ていかんのー……のぼせそうじゃ」
湯の音に隠れてひそひそと喋る。

 だというのに、フウタが再び耳をいじり始めて、「きゃ、──ぅぅ、」思わずぱちゃ、と湯を鳴らす。幸い気づかれた様子はなかったが、]


 
お主は隠れたいのか見せびらかしたいのか、どっちじゃ!



[小声でちょっと怒った。]**
(14) 2021/01/07(Thu) 22:11:49

【人】 因幡 フウタ

[人が入って来ている間に理恵が起きなくて良かった。
部屋を整えてもらっている間に登場されたら、
黙っていないあいつの事だ、ややこしくなったかもしれない。
まぁ、時々か弱い少女の様におとなしくなったりもするから、そっちのパターンもあり得たかもしれなかったが……

ともあれ。
従業員が入って来た時も気付かずバーンと見やすいところに置いてしまっていたティッシュもりもりのゴミ箱を背に、
目覚めた理恵に水を飲ませようとした。
と、みのむしうさぎが不可解な注文を投げて来た。>>9
その毛布から手を出せばいいじゃないか、と目をぱちくりさせて、何故?と頭にハテナを浮かべる事数秒。
のろのろな思考は、諦めるという答えを出すまでも
少し時間がかかる。

そうか、仕方ないな。と、
理恵の顎をくいと上げて固定する。
理恵の唇にコップの口をくっつけて、零してしまわない様にゆっくり傾けた。
世話をしている様な感覚は、ちょっと悪くないと思った]
(15) 2021/01/09(Sat) 0:11:57

【人】 因幡 フウタ

[俺も小動物だと返されれば>>10、「そうじゃった」と苦笑したり、酒で記憶が曖昧だが腹に隠してくれた日の事をちょっと思い出したり、足を引っ込めれば理恵は頬をふくらませたが、
「やっぱり切りにくいんじゃないか」と毛布の中に足を隠したり、首を引っ込めないのかと言われて「マフラーがあれば引っ込むなぁ」と首が隠れる深緑のものにちょっと想いを馳せたりした。

時を過ごす為だけの会話だったかもしれないが、
二人で年越しまでの時間を過ごせた事、
二人で年の変わる瞬間を過ごせた事は、小さな充足感がある]
(16) 2021/01/09(Sat) 0:12:02

【人】 因幡 フウタ

[指輪を揃えて、拙い誓いを交わした。
理恵の方が深い笑みになって、「知っとる」と返される。>>11
彼女の「知ってる」はぶっきらぼうでも、己の心を満たすには十分な言葉。左手を空に翳した彼女の続けた言葉に、]


  せんす?


[何の事かわからず首を傾げたが、
意味を理解するとふっと笑った。

理恵が顎を頭に乗せて来て、マウンティングの様だけれど、すりすりと頭を擦られる感触に、マーキングかと表情が和らぐ。
可愛い事をする。

……あの、でも。
顎を頭に乗せて、目の前で胸を揺らさないでほしい。
いや、嬉しいけど、今はそういう場面ではないと思うから。

寄られ過ぎず、胸の頂が顔を掠める事もなかったかもしれないが、目の前に広がった視界だけで今は甘い毒だった]
(17) 2021/01/09(Sat) 0:12:05

【人】 因幡 フウタ

[何はともあれ、
初日の出を見る事に誘って、さっさと就寝する事に成功する。
理恵は話を途中で切られてご立腹だったが>>12
夢の中の亀には届かず。

そして朝、理恵を起こしたら最初は寝ぼけていたものの、
勝手に勝負事にした理恵はすっかり元気になった。
早く起きたつもりだったが、
時はまもなく陽が昇ろうとしていたのか。
後ろにやかましい理恵の声を聞きながらベランダを覗き、
理恵が飛びついてくるのに構わずカーテンを引く。
夏空の真上の太陽と比べるまでもない弱い光なのに、
眩し気に目を細めた。

じわじわと色と表情を変える空と山の影をつぶさに見つめる。
言葉もなく同じものを目に映す二人が、
新しい太陽の光に照らされた。

きれいだ、と初日の出に思い、
隣で光を浴びる理恵の方を見て、同じ様に思った。

二秒で飽きる理恵がじっと見ていたから、きっと彼女にとってもよい光景だっただろうと思う。
初日の出がこれだと理解していなかったとわかれば小さく笑って、悪あがきをする彼女にも「そうじゃな」と苦笑した。
一緒に見る事に意味があったんじゃとは、
照れくさいから言わない。
まぁ初日の出の性質上、
来年からは言わずともわかってくれる気がする]
(18) 2021/01/09(Sat) 0:12:08

【人】 因幡 フウタ

[まだ朝も早い時間に露天風呂に誘って、
部屋の風呂とは違う気持ちよさに理恵と二人、寛いだ。>>13
膝の上に抱えた理恵に後ろからいたずらすると、くすぐったそうに笑い、それでも続けていれば顔に湯をかけられる。
ぶう、とうさぎみたいに鳴いて、でも懲りなかった。
くすぐったそうに笑う姿も可愛かったが、耳は性感帯らしいので、反応はこんなもんじゃないだろう。うさぎの耳も同じ様に愛でれば、さっきとは違った色の声が上がる。
うさぎの耳は毛に覆われていても、孔の近くはすべすべしているから舐めやすかった。
湯をかけられないのをいい事に、孔の味と反応を愉しんでいたが、腕を上げた理恵が耳を抑えた。その姿も可愛い……

と、乱入者の気配を察知して亀ならぬスピードで岩陰へ退避する。
都合よくそびえ立つ岩陰は、ぴったりとくっついてようやく二人分の姿を隠す。
理恵のひそひそ声には頷いただけだったが……
もう少し理恵の耳を弄りたかったのに、なかなか出て行かない連中に痺れを切らして、この場で強行した。
一緒に隠れようとしてくれていた理恵が、声を上げる。
見付かるかもしれない戦慄に、微かにどこかが疼く。
理恵に怒られても、瞳を熱っぽく溶かした]


  隠れたい……理恵を見せたくはない。が、
  見せびらかせたくないと言えば、
  嘘にもなるかもしれん……

  だって、理恵かわいいもん……
  こんなに可愛いって、
  見せびらかしたい………



[低く小さな声でぽつぽつ、熱を帯びたままの瞳で答える。
「……いや、やっぱり見せたくない」と首を振って訂正して、きゅうと理恵の身体を抱き締めた。タオル越しの理恵の肌に硬いものを押し付ける感覚に自分でも気付き、]
(19) 2021/01/09(Sat) 0:12:17

【人】 因幡 フウタ



  ぁ……いや、
  流石にこの場でしようとかは
  思っとらん……



[と弁解したが、
岩の向こうから聞こえて来たメスの声にびくっと反応する。
楽しそうな声が艶を帯びてきて、ぱちゃぱちゃと動きがある様な水音も想像を煽る。
他のメスになんて興味はないが、
そういう気持ちが煽られてしまって……

俺がそういう気持ちを向ける相手は一人しかいなくて……]


  ………


[触れたい。けれど触れられない。
抱き締めているけどこれ以上は駄目だ。
理恵を見下ろす瞳は、ふたつの感情を行き来して、逆に熱く色付いていた]


  ……………


[理恵の火照って赤い顔にも誘われる様に、
ちゅう、と唇に口付けて、]
(20) 2021/01/09(Sat) 0:12:32

【人】 因幡 フウタ



  うさぎに戻れ、理恵……



[導き出した答えは、自分たちにしかできない解決法。
岩陰から出て来て連中から注目を浴びる事、それも避けたいけど二人で出て行くのに比べたらどれだけマシか。

うさぎに戻った理恵を抱えて
シュバっと岩陰からあらわれ、
男女グループが「うわ!」「きゃー誰!?」「なんだなんだ」とか騒いでいるのに目もくれず脱衣所に転がり込んで、入り口からうさぎの理恵を逃がすだろう]


  ゆっくり髪も乾かしてから出て来い。
  外で待ってる。
  こーひーぎゅうにゅうってやつを一緒に飲もう。


[無茶な事をして心臓がちょっとどくどくしているが、
すっかりいつもの表情と声でうさぎの頭を撫で、理恵を見送っただろう。**]
(21) 2021/01/09(Sat) 0:12:35

【人】 因幡 理恵

[無事に髪も乾かしたころ、きゅるきゅると腹が鳴り始めた。腹の中でたくさんの小魚が泳いでいるようだ。
 朝の真っ直ぐな光を浴びながら、白い湯をぱちゃんと跳ね上げて、岩肌を黒く塗らすのも楽しかったが、サカりを迎えていた例のグループ>>20もあるし、いちゃいちゃもそこそこに退散した。
 その辺は後程詳しく語ります。
 ほかほかつやつやの肌のまま、二人で並んでこーひーぎゅうにゅうをごっごっと飲む。どうやら腰に手を当てて飲むのがまなーらしい。甘味にプハーと息を吐いたが、腹はまだ鳴っている。

 相変わらず量が少なく品数の多い朝食が運ばれてくれば、フウタの方にだけついていたおんせんたまごに興味を持ち、「ちょっとくれ」もごもごやっては「……わりといけるの」新たな味覚に目覚めてみたり。
 おんせんまんじゅうを素揚げしてた「かりっとまんじゅう」もめちゃくちゃ美味かった。つやつやとしたこーひー色のまんじゅうをはむっと噛むと、なんか禁断の汁がじゅわわーと口の中一杯に広がる。きめ細やかなあんが、油によってさらに滑らかに口の中に広がって、そりゃもう美味い。思い出しただけでまた食べたくなってきた。]
(22) 2021/01/09(Sat) 13:10:53

【人】 因幡 理恵

[ぱんぱんになった腹を撫でながら御簾でくつろいでいると、窓から見える景色にも湯靄がたなびいてきた。今日は風が無い。
 先ほどの露天風呂のことを思い出して、ごろごろとフウタの上に乗っかった。]


 あの場でしようとかは思わんかったようじゃが……
 今は、どうじゃ?


[そう問いかけたか。]
(23) 2021/01/09(Sat) 13:11:28

【人】 因幡 理恵

[……それも終わって休憩を挟めば、昼過ぎになるか。旅館をうろうろしていると、全然読めないチラシが貼ってあった。読めないので従業員に尋ねると、近くに有名な神社があり、そこで「はつもーで」をやっているのだそうだ。「よし行くぞ」

 もこもこのマフラーとあったかタイツを身にまといて行ってみれば、長い階段にずらずらと人が並んでいる。「おお、フウタ見ろ、人がごみのようじゃ」そーしゃるでぃすたんすという概念が存在しない世界です。
 あちこちからただよってくる出店の匂いにふらふらして、あまざけをと紅白まんじゅうをもくもく食べながら、混んでいないところから先に回る。牙の生えた亀に石柱がぶっ刺さった像(「ひいき」という生き物らしい)をぺたぺた撫でて「冬眠中かの? つべたいのう」、頭の上に積もっていた雪を払ってやる。
 それも終われば絵馬だ。真っ赤になった手にはーはーと息をかけたが、全然あったまらなかったのでフウタのポケットに手を突っ込むこと数分、ようやっとぐちゃぐちゃと願い事を書いた。
 何書いたのかは見せません。
 でもフウタが何書いたのかは気になる。高いところに飾られて読めない絵馬にぶぅぶぅ文句を言う。
 仕方なしに人様の絵馬をきょろきょろ覗いても「せ、っ、く、す、れ、す、が、……? さ、れ、ま、す、よ、う、に? ……せっくす……? ってなんじゃっけ……」漢字が読めないし、読めても分からない言葉もある。

 列に並べばなかなか進まず、くだらない話をして時間をつぶす。亀のマフラーをぐるぐる鼻まで巻き付けて「おお、確かに首が引っ込んだの!」けたけた笑ったり、「ちょっとそっちも使ってみる」マフラーをとりかえっこしては「確かにあったかいの」すんすんと匂いを嗅いで上機嫌になったり、「兎になって進んだ方が速いの」豪快な割り込みを思いついてひょいと足元をのぞき込み、「無理じゃな、潰されて死ぬ」「そもそもあの格好じゃフウタが運べんか」あっさり諦めたり。
 
 そんなこんなでやっと賽銭箱の前まで来た。銭よりもぺらぺらの紙の方が高いはずだが、周りを見ると投げて入れているのはほとんどが銭のようだ。なんじゃけちくさいのう。ありがたく追従した。(けち)
 まんじゅう代も残しておきたい。
 見よう見まねで金を投げ込んで、ぺこぺこ、ぱんぱん、ぺこ、と何かにへつらって、目を閉じて願うこと数秒。

 ぺこ、と腹が鳴った。]
(24) 2021/01/09(Sat) 13:14:02

【人】 因幡 理恵

[最初は気のせいかと思った。今日はよく腹が鳴る。
 けれど、ぺこん、ともう一度。自分の中で、自分が持つ拍とは全く異なるタイミングで、腹の中で何かが動く。その動きは全く予測がつかなくて、ぱちっと目を見開いて腹を腹を見下ろす。
 手を合わせたままじっとしていると、再びぺこ、と腹が内側から押された。

 腹が張っている感じは、すこし前からあった。
 しかし、内側でもぞりと動く感触を、初めてはっきりと認識した。
 自分の意志とは無関係にうごく物体が体の中にある。
 異物ではない。むしろ異物とは対極にあるもの。
 この地球の中で、どんな存在よりも自分自身に──フウタに、近いもの。
 地球上にありふれた、どこにでもある奇跡に違いない。はるか昔から、人間も、兎も、亀も、その他の動物も、これを繰り返しながら数を増やしていったのだ。

 あァ、と声が漏れた。合わせていた手を腹に当てて、自分ともう一人だけに聞こえる声で、呟いた。]
(25) 2021/01/09(Sat) 13:15:11

【人】 ははうさぎ 理恵

[両隣のグループは既に入れ替わっていた。後ろの人間が焦れたように身じろぎしているのを感じる。退こうとしていたフウタの左手をとって、「フウタ!」動かないままに呼び止めれば、指輪同士が触れ合ったか。
 とっさに言葉が出てこずに、右手を腹に当てたまま、しばらく見上げた。]


 腹の中が、動いとる……


[別にすけべな意味ではなく。]
(26) 2021/01/09(Sat) 13:17:24

【人】 ははうさぎ 理恵

[「ほら!」と言いながらその手を腹に押し当てる。二つの指輪が、おなかの上できらきらと光った。]


 わかるか?


[と期待に目を輝かせて振り仰いだものの、厚い服越しでは難しいか。
 胎児も驚いたのか、先ほどまであれだけ動いていたのに、沈黙してしまった。
 間の悪さにぶぅと唇を鳴らす。]


 なんじゃ、恥ずかしがりおって。
 ……まぁ、いいか。早く父ちゃんにも聞かせてやるんじゃぞ……


[そう腹に語り掛ければ、自然と口元がほころんだ。]**
(27) 2021/01/09(Sat) 13:18:03

【人】 しあわせうさぎ 理恵

[ちょっと場面は戻って。(ろる返し)

 部屋の中に人の気配が増えても、起きることは無かった。野生のままだったら死亡待ったなしだ、かつては寝る時も目を開けていたのだが。

 フウタはティッシュまうんてんを背景に目をぱちくりさせたが>>15、やがてコップを片手に顎をくいっとしてきた。
ん、と目を細めて、少しずつ水を飲み下す。こく、と喉を鳴らすこと数回、コップから口を離すと、ンフーと唇を舐めた。「悪くないの」
偉そうに言った後に、毛布からニュウっと腕を出してフウタの手からコップを奪い取った。]


 だけど理恵ならこうする


[そうして、残っていた分をあおると、フウタに口づけて水分を与えたか。]
(28) 2021/01/09(Sat) 20:56:36

【人】 しあわせうさぎ 理恵

[マウンティングだと思った後にマーキングと気づいたことを知ったならば、出会った時から頭を乗せ続けていた兎はこう言ったかもしれない。「なんじゃ今更。亀の鼻も大したこと無いのう」──まぁ亀が乳揺れに気を取られているなら、特に何も言わなかっただろうが。

 頭に乗せていた顎がだんだんずり落ちて、肩にぽすんと乗っかるまで、初日の出を眺めていたか。刻一刻と表情を変える空の色に見入る。
 鳥のさえずりが高らかに響いていた。明日も、明後日も、この太陽は昇る。昔話の時代から、生きとし生けるものの頭上に存在し続ける光だ。ならば来年も、顔を並べてみることができるだろう。]
(29) 2021/01/09(Sat) 20:57:11

【人】 しあわせうさぎ 理恵

[朝日を浴び終えて露天風呂に向かい、部屋の風呂とは違う気持ちよさ(意味深)に寛いでいると、フウタがいたずらをしかけてきた。
 自分でも触ったことの無い場所(注:耳です)を舐められて、熱っぽくなる頭に困惑していると、不意にフウタに引っ張られた。水の中では意外と俊敏なのは、亀の特性なのか。
 静かにしようとしていたのに耳を弄られて、矛盾に怒れば熱に浮いた瞳に射抜かれた>>19


 ………………


[返事もできぬままに見つめ返していると、タオル越しの腹に硬い感触が当たる。
 まだ言葉が出てこぬうちに、弁解の言葉>>20を聞けば、長い沈黙の後に一度だけうなずいた。]


 そうじゃの……



[ここはまた湯が入るし。]
(30) 2021/01/09(Sat) 20:57:45

【人】 しあわせうさぎ 理恵

[けれど状況は変わらない。乱交グループが出ていく気配は無く、硬直が続く。股間の話じゃないです。

 どうにも動けずにいると、はしゃいでいたメスの声が発情し始め、フウタがびくりと反応した。
 先ほどまでいじられていた耳は、すっかり性能を取り戻し、岩陰に居てもなお彼らが何をしているのかさえ分かりそうだ。

 理恵もああいう声を出してたんじゃろうか。

 どんどん熱っぽくなる目から、視線が逸らせない。
 抱きしめる手が、無遠慮に肌を這い回る様を想像してしまう。今まで何度もそうされたように。しかし今触れられたら静かにできる気はしなくて。
 近づいた唇同士が触れ合うだけで、肌が、息が、震えだす。はぁ、と白く色づいた吐息は、離れたばかりの唇にかかったか。
 その唇が動き、解決法>>21を言われれば──]


 え……嫌じゃ。



[兎、お湯怖い。]
(31) 2021/01/09(Sat) 20:58:47

【人】 しあわせうさぎ 理恵

[とはいえ他に方法も思いつかない。]


 離すなよ? 絶対に離すなよ?
 もう離さんって言ったの理恵覚えてるからな?



[何度も念押ししてから、きゅっと目を瞑ってフウタの首にかじりつく。
 大きく深呼吸をしてから、しゅるしゅると縮み始めた。

 兎の体では、もともと大きな温泉が更に広く、深く感じる。
 しがみつくこともできぬ腕では、落とされたら溺れるしかないが、果たしてしっかりと支えられた。
 ぶるぶる震えながら脱出し、野に、じゃなかった旅館に放たれた兎は、最速の人類よりもなお速い足で飛び出すと、大浴場の脱衣所へと向かう。
 足元を駆け抜ける毛玉に人間は驚いたようだが、そう簡単には捕まらない。知らせを受けた従業員が捕獲道具を片手に脱衣所にやってきて、「うさぎを見かけませんでしたか?」と聞いてきたが、めちゃくちゃ息切れしながら「知らんの」と答えると、別の場所を探しに行った。]**
(32) 2021/01/09(Sat) 20:59:30

【人】 ははうさぎ 理恵

── ??? ──

[病院に着くと、突然、呼吸ができなくなるほどの痛みが突き上げた。尻尾の付け根を鉄の棒で締め上げられるような痛みだった。出産を前にして、子宮が収縮を繰り返している。全身に汗が噴き出して、じっとしていられなかった。かといって、歩き回ることもできない。しばらくすると痛みが引いた。先ほどのは気のせいではないかと思えるほど、普通の状態に戻った。

 一時間後、再び体の砕け散るような痛みに襲われた。強がる気持ちはどこかにいって、何度もフウタに助けを求めた。
 あらゆることをフウタに押し付けてきたが、こればかりは変わってもらえない。メスが痛みにのたうち回り、命を懸けて子供を産んでいても、オスにできることは何もない。手を握って、腰を揉むのが精々で、その加減が悪いと言ってはぎゃんぎゃん怒った。
 怒る相手がいないと、不安で気が狂いそうだった。

 陣痛には波があった。はじめは一時間ほどの間隔で、痛みが押し寄せてくる。間隔はじだいに短くなり、痛みの度合いも強まっていく。子供が腹の内側で暴れているのが分かった。内側でぐるぐると動いていた。
 痛みの波は頂点に達したのち、また引いていく。その繰り返しは永遠に続くように思えた。
 涙をふくことも忘れるような疲労が全身を支配した。痛みと痛みの合間に意識がもうろうとして、眠りなのか気絶なのか分からない状態になった。短い夢を見たかと思えば、痛みの波がまた押し寄せてきて目が覚めた。

 夢と現実の区別があいまいになり、自分が誰で、どこになるのかも分からなくなっていった。
 とぎれとぎれになる意識の中で、腹の子に名前を与えた時の夢を繰り返し見た。]
(33) 2021/01/09(Sat) 23:05:22

【人】 ははうさぎ 理恵

[──腹が大きくなっても、子供の性別が分かっても、名前はなかなか決まらなかった。
名づけのヒントは無いかと、フウタと並んで文字の勉強をした。いままでうさぎ、かめ、とひらがなで書いていたが、漢字もあるらしい。

 突然の胎動に、腹を抑えた。痛くは無いが、反射的にウッと声が出る。
 まだ赤ん坊が跳ねているうちに、フウタの手を腹に当てた。最初の頃は自分以外が腹に触れると沈黙していたが、動くたびにフウタの手を腹に置いて、「お主の父ちゃんじゃぞ」と話しかけていれば、やがて父親の感触を覚えたらしい。フウタの手が当てられても、元気に主張するようになった。
 目を閉じると、いつも想像する景色があった。フウタの大きな手に、赤ん坊が小さな手を合わせている。早く抱きしめさせてやりたかった。腹の中でもぞもぞと身じろぎする命が、どれだけ愛おしいか。あの大きな手に包まれると、どれだけ安心するか。二人に、お互いのことを教えたい。
 そうして、この子の成長を見届けたい。自分の足で立ち、言葉を発するところを見たい。小さな目で見た世界を、拙い言葉でどのように表現するのだろうか。瑞々しい感性を通した世界は、どのように変化するのだろうか。
 彼女のささやかな成長を、フウタと共に喜びたかった。]
(34) 2021/01/09(Sat) 23:07:02

【人】 ははうさぎ 理恵



 最近、思うんじゃ……
 腹の中で育っているのは、時間そのものなんじゃないかと……
 
 
[開きっぱなしのノートを見ると、練習中の漢字が書かれていた。うさぎは兎、かめは亀。一つの漢字には様々な読み方があって、例えば兎は「ト」、亀は「キ」とも読むらしい。
 兎。亀。二つの字をなぞる。その順番で読み上げる。同じ音でありながら違う意味を持つ言葉を、知っていた。]
(35) 2021/01/09(Sat) 23:08:11

【人】 ははうさぎ 理恵

[秋口から見ていた奇妙な夢は、ある時から変化するようになった。
 フウタと手を繋いで歩いていると、小さな女の子が間に割り込んでくる。自分たちは笑って、その子を挟んで歩き出す。フウタは右手を、自分は左手をその子に差し出して。
 他愛ないおしゃべりに夢中になっていると、やがて繋いでいた手が離れる。自分ばかりの歩みが速くなる。一か所にとどまることはできない。地面に向かって落ちていくのを止められないように。
 行かないでくれ、という声に振り返ると、二つの影が並んでいる。子供はいつの間にか大きくなって、理恵とそう変わらない背丈になっていた。
 霞むほど遠くなった二つの影を振り返って、ふっと口元をほころばせた。]


 どうせ二人とものろのろなんじゃろ。
 ゆっくり来い。昼寝でもして待っててやる。


[腹の子は、いつも教えてくれた。
 フウタと自分の時の流れが違っていても、いつか触れ合えぬほどにその差が開いてしまったとしても。自分たちは、確かに同じ時を分かち合ったのだと。]**
(36) 2021/01/09(Sat) 23:09:14

【人】 因幡 フウタ

[部屋に人を入れても眠っていた様だったみのむしうさぎの愉快な要求。水を飲ませろというそのミッションに応え、目を細めて水をゆっくり飲み下す理恵>>28を、色んな気持ちで見降ろしていた。
かわいいとか、子供みたいじゃなとか、でもどこか色っぽいとか、看病とかする時もこんな感じになるんじゃろかとか……
ほどほどのところでコップの傾きを戻すと、
理恵の満足そうな笑みが返る。
そうかよかったなと頷きもそこそこに立ち上がろうとすれば、
亀みたいにニュニュと腕を生やして、コップを持って行かれる。
何する気だと疑問が浮かぶ前に理恵がコップの水をぐいっと……
そして俺の口にちゅっと……

こぷ、と理恵の口から水が送られるが、
驚いて少し押し戻してしまう。
零れる──と咄嗟に思った手は
反射的に理恵の背を支え、口を吸った。
背を支えたおかげで距離が開かず、
水はうまくこちらに吸い込めた。
ごくり、と飲み込む音を聴かせるでもなく響かせて、

普段なら情事に雪崩込みそうだが、今は二人共へとへとだ。
ぽんぽん、とわざと子供にする様に頭を撫でて立ち上がれば、
変な空気は散っていっただろう]
(37) 2021/01/10(Sun) 4:55:17

【人】 因幡 フウタ

[「なんじゃ今更〜」>>29とか言われていたら、
ちょっと詳しく聞かせろと問い詰めたかもしれないが、
亀は乳揺れに心奪われておりました。
じっと見つめる真似はせず時折俯いてしまったりしつつも、
どうしても魅惑のその部位の事を考えてしまっただろう。
いついかなる時もオスなので許してほしい]
(38) 2021/01/10(Sun) 4:55:51

【人】 因幡 フウタ

[そして初日の出を浴びた後。
理恵を露天風呂に誘って、ちょっとした戯れに誘って、それから、岩陰に誘う事になった。
こそこそしながら怒られて、
つい、変な事を口走った。いや本心だけど……
理恵も何も言わず黙ってしまったじゃないか、とか冷静になる事もできずに小さな身体を抱き締めた。それがまた、勃起をわかり易く伝えてしまって、理恵に己の気持ちを伝える片棒を担ぐ。
墓穴をほりほりしているが、
弁解を聞いた理恵が、長い沈黙の後に頷く。>>30
こっちは湯の事を考えていた訳ではないが、
とりあえず追及がなくて助かった……

けれど事態が悪化へ向かう音が聞こえた。
悪化……否、寧ろ己が欲にとっては好機なんだろう。
理恵もしっかり向こうのメスの声を聴いている様だし、
まんまと瞳が燃え燻ぶり、映した理恵にも熱を分け与えるかのごとく、色を濃くする。

我慢がききそうになかったから、
これだけでも欲しい、と秘かに欲張る心で奪ったのは、唇。
拒まれない事に幸福を覚えるのは、何度目か。
離れ難くなる前に退いたが、理恵の吐息を唇に浴びてしまう。
震え出してしまいそうになる唇を引き結んで、解決法を提示した。

嫌だと一蹴された。>>31]
(39) 2021/01/10(Sun) 4:56:06

【人】 因幡 フウタ

[けれど他に方法が無さそうだと観念すれば、
めちゃめちゃ念押ししてくる。>>32

よく引用してくんな、そのセリフ。
悪いが俺だってよく覚えてる]


  
離さん!



[今までのひそひそ声とは一線を画す小声で大きく頷いて、
目を瞑って首にひっついて来る理恵の背中を支える。
縮んだ理恵の、頭と後ろ足をしっかりと抱える。

というか理恵はすげー念押ししてきたが、昨日人間サイズの理恵を抱えて風呂からベッドまで移動したんだがな。
しっかり掴めるところが少ないという意味ではうさぎの方が難易度が高いと言えるかもしれないが、理恵に怪我なんてさせない。
速さと安全を両立した安心運搬を心掛け、そして遂行した。

男用の脱衣所の入り口から理恵を放った時、
震えていた様だったから心配したが、
服とか脱衣所に置いてるから一度分かれざるを得ない。
まぁ……もう少し撫でて落ち着かせてやったらよかったかもしれないが、乱入グループがこっちに来てうさぎの理恵が見付かったら面倒だもんな……

うさぎ捕獲隊がやって来るとびくびくしたが、
理恵ならうまくやってくれる筈……そもそもうさぎに戻らなければ何の問題もないのだし、と。
大丈夫大丈夫、と自分に言い聞かせる様に頷きながらも、
早々と着替えて外で理恵を待った。

詫びになるかわからなかったが理恵にこーひーぎゅうにゅうを奢って、腰に手を当てて二人で並んで飲んだ。通りすがりの宿泊客の微笑まし気な視線を感じたが、意味がわからなかった]
(40) 2021/01/10(Sun) 4:56:35

【人】 因幡 フウタ

[理恵の腹の音には気付けないまま、
竜宮城の朝の馳走が運ばれてきて、また二人で摘まんでいく。

理恵が珍しく、こちらにしか用意されていない食べ物に興味を持った。温泉卵だった。>>22
言われた通り小鉢を差し出して好きなだけ取らせたが、
反応はあまり期待していなかった。
わりといけるとの評価に少し驚いたが、それだけ。
小さな差異を、へぇ、と頷いて流してしまって、
そのあとのかりっとまんじゅうとやらに二人で舌鼓を打った。
土産屋にないのかな、探してみよう、と提案したりして、
元旦の朝飯もいい時間となった。

食後に御簾の中で二人で寛いでいると、
ふと、理恵が窓の方へ視線をやる。
そうかと思えばこちらに乗っかって来て、その突拍子もない襲撃に「ぐェ」と鳴いてしまうのは割とよくある光景。

だが目の前に差し出された問い>>23に、
沈黙──そして、こく、と喉が鳴る音]


  理恵が、 いやじゃないんなら。


[そりゃ露天風呂のは落ち着いたが、
散らせなかった劣情の記憶はまだ新しいもので。

気が乗る様にしてみるけど、
気が乗らないんなら途中まででもいいだろうとは考えながら、
朝餉が運ばれる前に着替えていた理恵の服の裾に手を添わせる。
指先で縁をなぞるだけから、摘まんでぴら、と裾を持ち上げる]
(41) 2021/01/10(Sun) 5:17:04

【人】 因幡 フウタ

[くるんと理恵の身体を優しくひっくり返して、畳の上に敷く。
身体に指を添わせながら、するすると裾を引っ張り上げていく。
足の付け根や、腹や、胸を通る時は酷くゆっくりした動きになりながら、鎖骨あたりまで捲り上げる。
ワンピースを脱がせる時の独特の光景もまた、理恵だから、俺を昂らせる。

服を剥ぎ取らず中途半端に乱したまま、
下着に手を伸ばし………]
(42) 2021/01/10(Sun) 5:17:15

【人】 因幡 フウタ

[朝から熱いひと時があっただろうか。
何はともあれ、出掛けたのは昼過ぎ。>>24
初詣をやっているらしい。
己もそのチラシは読めなかったが、なるほど初詣は知っている。
箱に金を入れて何か鐘を振り回して願い事を言ったりアリガトウゴザイマスと感謝をするんだ。
神社が近くにあるとは思わなかった。
元旦に行けるなんて幸運だと思っていそいそ準備をしたが……

流石は元日。
視界の奥の方まで人ばっかりだ。
住んでいる町でこんな行列は見た事がないと思う。
理恵の悪役の様なセリフに、あちらこちらでフッと笑う声が聞こえる。まぁゴミって例えるせんすが面白いもんな、と、〇ピュタ未視聴の俺は思うのだった。

夏祭りの様に食べ物をゲットしたり(今回は千円以上ある)
亀を撫でる理恵に「冬眠しとるに決まっとるじゃろ、おいそんなに触るな」と大真面目に
嫉妬
答えたり、理恵の手にポケットを占拠されたり、絵馬を書いたりした。
文字は未だに苦手だが、「理恵」の字だけやたら上手い。
ばあちゃんが教えてくれて、それを真似て練習したからだ。
絵馬を覗き見ようとするうさぎを回避して、一番高いところに引っ掛けた。
「お前だって見せたくないんじゃろ?お互い様じゃ」と、ふんす、息を吐いて、他人様の絵馬を覗き見る理恵を「やめろ」と慌てて止める。
「せっくすとは交尾じゃ。せっくすれすが何かは知らんが、人には見られたくないもんじゃろきっと」と理恵を注意する声はそれなりにデカかったので、またまわりから視線を集めた。
何かもうようわからんから、静かに列に並ぼうかと
最後尾の方へ足を向ける。

まぁ理恵と一緒で静かに、なんて無理なんだが]
(43) 2021/01/10(Sun) 6:48:26

【人】 因幡 フウタ

[また他愛もない話で時間を潰すが、
今度は大晦日の夜より長い時間そうしていたか。
取り替えたマフラーは、理恵はいいんだが、俺がオレンジって似合わんじゃろと少し照れくさそうに俯いた。
理恵が俺のマフラーの匂いを嗅いでいたから同じ様にしてみた。
「うん、理恵の匂いがする」と目元を緩めるその姿は、まさしくバカップルの片割れに映るだろう。

割り込みは早々に諦めてくれてよかった。
ようやく辿り着いた賽銭箱に、同じく見よう見まねで小銭を投入。
上を見ると鐘じゃなくて浮いているのは鈴の様だったか。
そのあたりも見よう見まねで、
けれど挨拶と、心の中で願いを声にする時は真剣に。

願いは考えてきた筈なのにうまく言葉にできないでいる間に、
理恵は目を開いていて>>25、手も祈りのかたちから解いて、
隣の俺にすら聴こえない声で何かを話し掛けていた]
(44) 2021/01/10(Sun) 6:48:35

【人】 因幡 フウタ

[目を開いた時、理恵はもう願い事を終えていた様だったが、
ちょっと様子がおかしかった。
とりあえずここから退かないと、と思って理恵を促そうとしたら、名を呼んで、左手を握って来る]


  どうしたんじゃ……?


[指輪の触れる感覚にも気をやらず理恵を見降ろすが、
理恵は口を開いたまま動かない。
視線が理恵の顔から下へ落ちる。
腹に当てている右手が気になる……
否、右手が当てている腹が気になるのか……

こちらも口をきけないまま、
しばし時が過ぎる。

ようやく言葉を紡ぎ出した理恵は、
腹の中が動いとると言う。
その意味が理解できないのに、聞き返す事もできず、理恵の顔と腹を交互に見遣る。

左手を導かれるままに理恵の腹の上に乗せても>>27
言葉も、触感も、まだ何も理解できない]
(45) 2021/01/10(Sun) 6:48:38

【人】 因幡 フウタ

[理恵がぶぅと鳴いた後、和らいだ唇で話し掛けた言葉を聞いても、まだ呑み込めない。ぽか、と口を開いて、
のろのろとその意味を紐解こうとして、
そうしてようやくその意味に心が当たれば、]


​  ─────、


[ぼろっと、大粒の涙が零れた。
彼女の前でこんなにはっきり涙を見せたのは初めてだっただろう。

しかし言葉を探している内に時は過ぎていて、
既に何組か入れ替わった後の隣の、人の良さそうな中年女性が「痴話喧嘩はここじゃないところでやった方がいいわよ」とやんわり注意してくれた。
謝ろうかと思ったけどその言葉すら出てこなくて、こくっと頭を深く下げて、理恵の手を引いた。

列からも見えない落ち着ける場所まで来て足を止めて、理恵を振り返る。涙こそ出ていないが、少し情けない顔をしていただろう。
それは、恐れや哀しみからではない。

またしばらく言葉を探して押し黙ってしまったが、理恵をじっと見下ろしていた。
やがて、「あの、」と、カサカサに乾燥した唇を開いた]
(46) 2021/01/10(Sun) 6:48:41

【人】 因幡 フウタ



  あのな………

  俺………
  ずっと、理恵との子が欲しかった……


[「本当に妊娠したのか?」なんて野暮な言葉は出て来なかった。
彼女がそうだと言うなら、きっと本当なんだと。
今までの俺ならぬか喜びを恐れそうなもんだが、彼女の顔を見て、何故か強く確信させられた。

おそろしくて哀しい夢をずっと見ていた。
理恵がいなくなるのが不安だった。
そんな事を過去の話として話す日が、いつか来るかもしれない。
けれど今は喜び合いたい。

彼女は俺との間に、
新しい命を授かってくれたんだ……]


  だから、

 
(47) 2021/01/10(Sun) 6:48:44

【人】 因幡 フウタ

[冷たい左手で、理恵の小さくて白い頬をさする。
幸福で泣いてしまいそうだが、今は笑っていたいから堪えた。

これからもっと彼女を大切にしたい。
労わりたい、力になりたい、支えたい、一緒に幸せになりたい。
新しい気持ちがふつふつとたくさん湧いてきて、
今、俺は新しい自分になった気分だった。

言葉も交わしながら、
長い間、愛おしい人の顔をじっと見つめていただろう。

抱き締めるのもキスをするのも勿体ない様な……
今までにない気持ちだった。*]
(48) 2021/01/10(Sun) 6:48:53

【人】 因幡 フウタ

[宿に戻った後、じゃあ酒は没収な、と亀齢は俺の鞄に移動させた。妊婦に何が駄目か詳しくは記憶していないが、酒が駄目な事は知っていたので早々に取り上げた。帰ったらばあちゃんとちびちび呑むのだろう。

元旦に竜宮城で眠った時、夢を見た。
目の前にかわいいうさぎがいる、あ、理恵か、と思ったら理恵が毛繕いをしてくれる。ぶぅぶぅと気持ちよさそうに鳴く声が聞こえて……あれ?と思ったら、俺の目の前、床にもふもふの両手が置かれていた。なんと俺もうさぎになって理恵に頭をぺろぺろ舐められていた──という、よくわからない初夢を見たのだった。
まぁ他に切ない要素もなかったので良しとしよう……
閑話休題。


旅行から帰ったらばあちゃんに新年の挨拶をして、
それから、理恵が妊娠したと思うと伝えた。
ばあちゃんの紹介で婦人科を受診して、改めて妊娠していると告げられる。
そうだと思ったから取り乱しませんとも。
嬉しそうな顔を隠せてはいなかった様で、医者がよかったね!おめでとう!とめちゃめちゃ祝ってくれたが。

仕事仲間に報告……というより、
顔がふにゃふにゃだぞって指摘されて話す事になった。
「お前指輪なんて買ってる場合じゃねーじゃん」と言われて「……本当じゃな」と真顔で返したら仲間たちは笑って祝ってくれた。
稼がなければいけないのは本当で、
でも理恵との時間が削れるのは不本意だったので、
短時間でキツイ仕事なんかを主に請け負った。

毎日二人共必死で大変だっただろうけれど、

きっと時は、
あっという間に過ぎ去って、]
(49) 2021/01/10(Sun) 8:00:11

【人】 因幡 フウタ

[──ガラガラと、慎重に人力車を急がせる。>>3:0

もうすぐ子供が産まれるという彼女を乗せて車を走らせる手は、足は、緊張で汗が滲む。震えそうになる筋肉を奮い立たせて、平常心を胸に言い聞かせて……
時折苦しそうな声を漏らす彼女を振り返る。
彼女は気丈に頷く。何度でも。
こちらの方が元気付けられてしまった。

しかしそれも、この時限りか]
(50) 2021/01/10(Sun) 8:00:20

【人】 因幡 フウタ

[そこから、出産のその時までの時間は壮絶だった。>>33
理恵が悶え苦しんでいる姿は、
これまで見たどの姿よりも痛々しくて、弱々しい。
自分は痛みを味わっている訳でもないのにばくばくと心臓が騒いで、毛が逆立って、背筋が震える。
こんなの普通じゃないじゃろと医者や付き添ってくれたばあちゃんに喚いたが、どうやら一般的な分娩なんだという。

痛みに助けを求める理恵に顔を歪ませた。
「理恵、理恵」と何度も名前を呼んで手を握って勇気づけたつもりだが、気休めにもならない事は、理恵の様子を見ていてわかる。
己の無力さに打ちひしがれながらも、
何かできる事はないかと思い巡らせる。
そしてまた無力な自分を思い知り、心が確かに削れる。
それを繰り返しながら、理恵の要望にも応える。怒られるのは平気だ。何を言われても受け止めた。けれど、腰を揉む強さが全然弱いと文句を言われて驚く。かなり力を込めているのに、これ以上の痛みなのか、と想像するしかできない痛みを、呪う。

こんなに大事に守ってきた理恵を、己の子にとはいえ傷つけられている光景に、何故なんだとか、理不尽だとか、やめてほしいとか、俺がこんなにしたんだとか、俺が理恵にこんな痛い思いをさせているんだとか、様々な負の感情が俺を襲って、目を逸らしたくなる。

理恵が苦しんでるのに泣いていられないと、涙こそ流さなかったが、酷い顔をしていたんだろう。
途中でばあちゃんに「フウタちゃんも少し休んでらっしゃい」と言われたけれど、水を少し飲んだだけで、ずっと理恵の傍に居た。

理恵は……本当に綺麗な顔をしているのに、
今は美しい髪をぼさぼさに乱して、涙と汗で肌を汚している。
痛みに暴れている時は腰を揉んだりくらいしかできなかったが、ふと、眠ったのか、目を閉じた理恵の頬を濡れたタオルで拭う。
しかしそれもほんの短い間の事。
またここを涙が通るんだろうと思うと、胸が苦しい。

でも、本当にこんな事しかできなかった]
(51) 2021/01/10(Sun) 8:00:23

【人】 因幡 フウタ



  とき……

  理恵……


[胎動を俺にも伝えてくれた彼女の事を想う。
彼女と彼女の名前を決めた時の事を想う。

 時間そのものが、
 理恵の中で育ってる……

そうならば、
二人と逢える時間を、どうかこの世にもたらしてくれ。

理恵の小さな手を両手で握り込んで
二人の無事を祈った後、少しだけ眠ってしまった様だった。

理恵が遠くにいってしまう夢ではなくて、
小さな子を間に、三人で手を繋いでいる夢を見た気がした。**]
(52) 2021/01/10(Sun) 8:00:26

【人】 ははうさぎ 理恵

[痛みの間隔が十分おきになり、やがて五分を切った。ずっと握り続けている手も、腰をさする感覚も、痛みのあまり認識できなくなった。フウタを呼ぶこともできなかった。
 名前も、過去も、理恵としての自我さえ剥がれ落ちた。最後に残ったのは、産むという意志だけだった。そのためだけに自分の肉体が存在していた。

 なまあたたかい水があふれ出した。液体は太ももを濡らし、敷かれたタオルに吸い込まれた。
 痛みのありかたが変化した。子供が膜越しに頭で押し広げていたものが、直接になり、鋭い痛みとなった。子供がいつもいた場所を離れて、降りてこようとしていた。外におくりだすため、腹筋に力を入れて、いきんだ。
 痛みに間隔がなくなり、肉体に存在し続けた。自分の意志ではコントロールできない力が体内にあった。自分の肉体から子供の出ようとする意志を感じた。母親はその摂理に従うしかなかった。降りてくる波に合わせ力を込めた。涙がずっと止まらなかった。

 西日が窓から差し込んだ。初日の出が、初めてときを認識した日の景色が、幻の中にふっと浮かんだ。
 来年は三人で見れるだろうか。

 泣き声が、部屋の中に響いた。]*
(53) 2021/01/10(Sun) 8:30:01

【人】 ははうさぎ 理恵

[お腹の上に赤ん坊が乗せられた。
 生まれたばかりの子供は、兎にしても亀にしても大きすぎた。そのくせ人間にしては小さかった。
 自分の力で動いていて、柔らかく、ぐにゃっとしていた。
 最初は青かったが、少しずつ赤みがさしていった。
 自分とフウタから血と肉を受け継ぎ、離れていった、一つの命だ。]


 本当に、腹の中に子供がいたんじゃな……


[少しずつ大きく育っていく腹を持ちながら、元気に暴れまわる胎動を感じながら、一方でどこか冗談じゃないかと思う自分もいた。

 赤ん坊は、芋虫のような腕と足を動かしていた。
 虫眼鏡がないと見えないくらいの小さな爪が、指の一本一本の先に、確実についていた。
 こんな細かいところまで気を抜かずに作られている。
 何か、自分たちの認識できない大いなる存在を、我が子の小さな爪の中に見た。

 腕の中の赤ん坊が、理恵の胸に頭をくっつけた。
 倒れ込んだと言った方がいいかもしれない。
 この頼りない命は、まだ自分の力で頭を支えることもできなかった。
 心臓の音を聞いているのか、やがて泣き止んだ。

 母乳をあげるために乳首を吸わせた。
 赤ん坊の小さな口が、必死に吸い付いてきた。
 何一つこの世界のことが分からなくても、生きようとしているのだ。
 愛おしさがこみあげてきた。]
(54) 2021/01/10(Sun) 9:20:22

【人】 ははうさぎ 理恵

[満身の力を込めていた拳が、すっかり白く強張っていた。同じようにフウタの手も。
 フウタは今までになく酷い顔をしていた。フウタを呼ぶ声はがらがらとかすれた。
 彼の手も真っ白に血が通っておらず、出血の痕さえあった。
 握力の無い自分が、万力でフウタの手を握り潰し、爪を食い込ませて傷つけていたことに、初めて気づいた。
 フウタは、傷める腹を持たずして、共に出産していたのだと知った。]


 撫でてやれ……お主の子じゃ。


[まだ感覚も無いだろう手を、小さな命へと導いた。
 胸にあたたかいものがこみ上げるのを感じながら、大きな手が我が子に触れるのを、見つめていた。]
(55) 2021/01/10(Sun) 9:25:20

【人】 ははうさぎ 理恵

[いつか、フウタに話す日が来るだろうか。
 まだ、ときを知るずっと前に、子供に忘れ形見としての役割を期待していたことを。
 自分が、おばあちゃんが、フウタよりもずっと先に死んでしまっても、フウタの孤独を癒してくれる希望として、子供を望んでいたことを。

 だけど、胸の中の小さな命が教えてくれた。
 この子はそんなことのために産まれたんじゃない。
 孤独を癒す力も持っているかもしれないが、そんなものはただのおまけだ。

 理恵が、フウタが、そのほかの全ての命がそうであるように、ただ愛されるためだけに産まれてきたのだと。]*
(56) 2021/01/10(Sun) 9:25:53

【人】 因幡 フウタ

[理恵の腹に命が宿っていると知った時から今までの月日より、
病院に着いてからの時間の方がずっと長かった様に感じる。
我が子の顔を見たいという気持ちより、
理恵の苦痛をはやく終わりにしてほしいという気持ちが正直大きかっただろう。

けれどどんな気持ちであったって、
理恵の為にできる事は増えはしない。
分娩台に上がってからも理恵に寄り添って、
もう俺の名を呼ぶ事もなくなってしまった理恵の手を握り、名前を呼び、弱い言葉で励ますだけ。
助産師が「大丈夫ですよ」と俺にも声を掛けてくれるが、理恵がいなくなってしまう想像は常につきまとった。

理恵の身体に次々と起こっている変化は、俺にはわからない。
医師たちが連携を取ったり理恵に教える為に状況を説明して、
俺はそれを聞いて理解をするだけ。

これまで何度も気持ちが通じ合う感覚を経験したのに。
幸せを分かち合ってきたのに、痛みを分けてもらえない事が酷くもどかしい。

理恵の涙が溢れては流れ、溢れては流れ……
このままじゃ干からびてしまう、と間抜けな心配をした時、

ふと、
水が沢山あった、あの竜宮城が脳裏によぎった。
こんな時に何を、と思う間もなく色んな景色を瞼の裏に見て……

あの日の、あの光と見紛う光が差し込む部屋の中で、
聴いた事のない声を耳にした。>>53]
(57) 2021/01/11(Mon) 3:09:44

【人】 因幡 フウタ

[ぼうっとしている間に、
医師たちによって様々な処置が施されたか。
じんわりと泣き声が耳でこだましていて、
「おめでとう」とか言われている声が届かない。

理恵に乗せられた物体を見て……
理解していくと共に、徐々にこの目が見開かれた]


  理恵ッ……


[あぁ、産まれたんだ、本当に。
本当に腹の中にいた、という理恵>>54の気持ちに共感しながら「ありがとう」と涙声で伝えたり、「平気か?平気じゃないよな」とかおろおろ挙動不審になったりした。
理恵の方が痛くて苦しくて大変だったろうに落ち着いて……否、疲れ切っているんだろうけれど、赤ん坊を見つめ、支え、早速乳をやる姿に驚き、感服した。
支える手は白く変色してなお、優しく赤ん坊に添えられている。
理恵が神々しい存在に思えてならなくて、薄らと目を細めた。

自分では気持ちは少し落ち着いたと思っていたが、今鏡に自分の顔を映したら自分で驚くくらい、まともな顔ではなかった様だ。
理恵も突っ込むほど余裕がなかったろうから、
教えてくれる人はいなかっただろうが]
(58) 2021/01/11(Mon) 3:10:43

【人】 因幡 フウタ

[嗄れた理恵の声に名を呼ばれて>>55
ぴくっと肩を跳ねさせる。
撫でてやれと言われて、何も出来なかった俺が触れていいんだろうかと一瞬、躊躇う。
けれど俺の子だと続けられれば、

あぁ、と、返事とも感嘆ともつかぬ声を漏らす。
理恵に見つめられながら、手を伸ばした。

持ち上げて視界に映した時。ようやく自分の手も理恵の様に白く、それから、理恵の手にはない傷がある事に気付く。

そうか、理恵が。

それだけ痛かったのだという事を知ると同時、
自分自身の手ではなく、俺の手に頼って傷を残してくれた事を、嬉しく思った]
(59) 2021/01/11(Mon) 3:10:50

【人】 因幡 フウタ

[伸ばした手は、理恵の頭に触れる]



  ありがとう、理恵。

  本当に……ありがとう。



[そうしてもう片方の手を、ときの頭に。

手の感覚はなかなか戻って来ない。
けれどお構いなしに、長い間二人の頭を撫でていた。

両の指先に、両掌に彼女たちの体温が戻ってくれば、
両手にいっぱい幸せをもらった気になって、小さく俯いた。
どんな言葉をもってしてもこの気持ちは言い表せられないんじゃないかとも思うが、もし何事かと聞かれれば、「……嬉しいんじゃ」と、小さく震えただろう]
(60) 2021/01/11(Mon) 3:12:37

【人】 うさぎとかめの子 因幡 とき

― 数年後、もしくは夢の未来 ―

[見知らぬ人間が突然あらわれた。
おばあちゃんが招き入れた。
明るい髪色はきれいだったけれど、
知らない人は怖い。いや、怖くないけど。

サッと理恵の後ろに隠れる。
でも何だか心許無くて、ササッとフウタの後ろに移動する。

見知らぬ人間が、自分の事を話している。名前を名乗る。
「み?」とおそるおそる聞き返せば、もう一度名乗ってくれる]


  みおん……?


[そう、と見知らぬ人間は頷いた。
「あなたは?」と、みおんが言った]


  そ、……
  そこの りえ と、こっちの ふーた のむすめ。

 
(61) 2021/01/11(Mon) 3:17:31

【人】 うさぎとかめの子 因幡 とき



  ときのなまえは

  いなばとき!


[ふんっと胸を張った姿は、誰かさんに少し似ていただろう]
(62) 2021/01/11(Mon) 3:17:37

【人】 うさぎとかめの子 因幡 とき

― それからまた数年後、もしくは以下略―

[使い古された黒い人力車の横に、一回り小さく、又、お洒落な花の柄が彫ってある人力車が到着した。
運転しているのは、小柄な少女だった]


  ありがとーございました、
  お菓子、ゆっくり見ていくといいぞ。


[駄菓子屋の前に自分より大きな女性と子供を降ろして、
それから、向こうにまた別の女と男の姿を見付けるか]
(63) 2021/01/11(Mon) 3:22:51

【人】 うさぎとかめの子 因幡 とき



  二人でおでかけか?
  山のふもとまで送ってやるぞ。

  ……いや、
  やっぱりとーちゃんは重いからやめじゃ。

  かーちゃん、乗っていいぞ。
  お話しながらのんびり行こう。


[ふふっと笑いながら同じく小柄な母親の手を取って、花の柄に囲まれた座席へ案内した。

花の名は、アルテルナンテラ。

年中ここ、この座席に咲いて、人力車の浮くような独特の乗り心地と、そこから見える特別な景色を共にお客さんに魅せる。

母親に似て小柄ではあったが、
父親に似て力持ちな少女は、
「人力車を操る姿はまるで変身したみたいだ」と、
お客さんから愛されただろう]
(64) 2021/01/11(Mon) 3:23:45

【人】 因幡 フウタ



  やれやれ……


[本当に置いていかれて肩をすくめる。
と、駄菓子屋の入り口からひょい、と覗く顔が見えた。
やり取りを聞いてはいたものの、ばあちゃんの手伝いをして接客中だったんだろうか。そんな顔をしている]


  一緒に行くか?
  ふもとまでかけっこでもするか?
  

[手招きすれば、目を輝かせてこちらに向かって来た。
よしよし、と頭を撫でれば、頬を染めて嬉しそうだ]


  男は男同士で、ってやつじゃな。


[ふっと笑って少年の背を押してから、共に山を駆ける。
ふわりと、深緑色の年季の入ったマフラーが舞った。
山道の途中で、ときの人力車の背中を見付ける。
遠くて、遠ざかっていく理恵の背中を追い掛け走って……

ガシッと車の後方にしがみついたら、「わっ」とときが声を上げて足を止める。ぶーぶーと子供達二人から文句を言われながらも、横から身を乗り出し、理恵を抱き締めた]
(65) 2021/01/11(Mon) 3:27:58
村の設定が変更されました。

村の設定が変更されました。

【人】 因幡 理恵

[除夜の鐘を聞いたって煩悩まみれなのは変わらない。
 御簾でごろごろしながらの問いかけに、フウタの喉がこくり、と鳴る。>>41
触れ回る熱い手が、いやだったことなど無い。
ワンピースの裾から手を差し入れられて、畳の上に組み敷かれれば、今度、こく、と喉を鳴らしたのはこちら。

 ──という時を過ごしたのちに初詣に向かう。
 千円以上あるたのもしい亭主とともにあちこちぶらぶらし、昆虫標本みたいに背中に棒がぶっ刺さった亀の像を撫でては「冬眠中の亀は触っちゃいかんのか、なおさらお主冬眠するなよ」と一本線で隠された感情>>43に気づかずに大真面目に釘を刺したり。
 フウタの絵馬が見れなくてぶぅと唇を鳴らしたが、せっくすの意味を教わって「つまり、理恵たちが昨日とさっきしたやつもせっくすじゃの?」とそれなりにデカい声で納得した。集める視線が一気に増えた。「あぁ一昨日も」その辺にしておいた。

 マフラーを交換してお互いの匂いを嗅ぎ合って、賽銭箱に小銭を投げ込んで、腹の中の存在に気づくか。]
(66) 2021/01/11(Mon) 7:21:07

【人】 母ちゃん兎 理恵

[フウタが何か言ってきたが>>45、腹に気を取られて全く頭に入ってこない。
 やがて自分の体に起きた変化に気づいて、フウタに伝える。
 やっぱり腹に気を取られて、意味が分からぬ様子のフウタを、しばし置いてきぼりにするような形になってしまったが。それすら少し可笑しくて。

 けれど、フウタの瞳から流れる雫>>46に、言葉を失った。

 大粒の涙は頬を伝い、日の光を集めて落ちる。
 何か言葉を言う前に、中年女性に注意されたか。ちわげんかの意味は分からなかったが、フウタに手を引かれて離れた。
 
 少し離れたところは、夏祭りの日に初めて結ばれた場所とよく似ていた。
 じっと見下ろすフウタの手を、ずっと握っていた。
 片手はフウタと握ったまま、もう片方の手は腹に当てたまま、フウタの言葉を待つ。
 いつもよりもずっと長いこと言葉を探した後に、出てきた言葉>>47に。

 ぽろ、と呼応するように涙があふれた。]


 なら……何で泣いたんじゃ、
 おかしな亀じゃのぅ……


[頬を流れる雫が、フウタの冷たい手を伝う。

 ぽろぽろと涙をこぼしながら、同時に満面の笑みを浮かべて、ずいぶん長いこと見つめ合っていた。]*
(67) 2021/01/11(Mon) 7:22:04

【人】 母ちゃん兎 理恵

[理恵、と呼ばれて>>60、ぼうっとフウタを見上げる。
 痛みで半狂乱になって、ずいぶんとやつあたりして、途中からは返事も認識もできなくなった。それでも一緒に居てずっと手を握ってくれていたのだと、やっと気づく。
 腕の中の子は女の子だ。この子もいつか自分と同じような痛みを味わうのだろうか。
 そうであれば、フウタのような存在が、隣にいてくれればいいと願った。

 大きな手が、理恵の、ときの頭を撫でる。
 
 あぁ、と、そのぬくもりに、すっぽりと収まる小さな頭に、思いを寄せる。
 やっと二人のことを伝えられた、と。

 彼は気づいていただろうか。
ふたりを撫でるその表情が、どうしようも無いほどに、父親の顔になっていたことに。]
(68) 2021/01/11(Mon) 7:38:25

【人】 母ちゃん兎 理恵

[そして、時は流れ。]


 おー、みおんか>>61? 今日はみおんのおっとはおらんのか?
 久しぶりじゃの。かりっとまんじゅうあるぞ、食ってけ


[ふんと胸を張ったとき>>62を適当に撫でながら、おばあちゃんの客人をそう歓迎した。
 数年を経て、彼女とその夫とは、ある程度の関わり合いは持っていたか。

 だけどそっと、自分とときの尻を隠した。

 おばあちゃんの孫に会うと、なんか尻尾がそわそわする。]
(69) 2021/01/11(Mon) 7:40:54

【人】 母ちゃん兎 理恵

[さらにさらに、時は流れ。]

 時間を刻んだ黒い人力車の横に、真新しい人力車が並ぶ。>>63

 娘に座席へと案内されながら、にやにやとフウタを振り返った。]


 ……だ、そうだ。
 まぁ、のろのろしか来られんのなら、待っててやるから頑張って来い。

 
(70) 2021/01/11(Mon) 7:57:30

【人】 母ちゃん兎 理恵

[そうして、花咲く座席に乗りながら、話にも花を咲かせただろう。

 こんなに小さな体で、父親譲りの運転をする娘に運ばれていても、
 あっという間に自分よりも力持ちになって、すばしこく駆け回るたくましさを見てもなお、目をつむると、今でも小さな赤ん坊の姿が蘇ることを。

 寝返りを打っただけで喜んで、立ち上がれば驚いて。
 そんな健やかな成長を思い起こせば、いつもフウタも映り込む。
 ずっと、一緒に居たから。]
(71) 2021/01/11(Mon) 7:58:07

【人】 母ちゃん兎 理恵

[そう、いたずらっぽく笑い合っていたが。
 座席が大きく揺れて>>65、「うひゃっ」ときと同時に叫んだ。]
(72) 2021/01/11(Mon) 7:59:04