人狼物語 三日月国


52 【ペアソロRP】<UN>SELFISH【R18G】

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【人】 征伐者 ヴィルヘルム




 [ 結局は、全て殺めた所で満たされはしなかった。
   正しくは、解放される事に安らぎを見出したのだ。
   ……最期を看取る者が既に在る安心感を。 ]

 [ 薄い笑顔の下、死を恐れぬ戦士の殺伐とした希望 ]


 
(11) 2020/12/11(Fri) 10:07:10

【人】 征伐者 ヴィルヘルム

 

[ 日がだいぶ傾く頃合には王宮へと戻った。
  南西の夕空に浮かぶ白い半月が、
  一週間にも満たない残りの時間を指し示している。


  賓客に与えられるのは寮長時代の自室より大きな部屋と、
  専属の侍女、絢爛豪華な衣装、食事、其れから自由。
  熱い湯を浴び、傷を癒すのも思いの儘だったが、
  たった数日で満喫するには少々此処は広過ぎる。 ]


 ( 『茶でもどうだ』とつい声を掛けたのは、
   もうじき終わる人生だとしても
   積もる話が山程あるからだ。

        その中に、長らく抱き続けた違和感の
        手掛かりがあるのではないか、と。 )


 
(12) 2020/12/11(Fri) 10:07:23

【人】 征伐者 ヴィルヘルム



 ……俺の死が予定調和の上と教えた時、
   おまえは散々俺を咎めたな。

     だが、おまえと其の旧友の過去を聞いた時も
     俺は同じ様に咎めた。
     “誰かの為に死ねる程その命は安いのか”と。

[ 誰にだってもう、死んで欲しい訳じゃない。
  いつか口に出した息苦しさは消えていたが、
  次に苛まれたのは毛色の異なる■の苦しみ。

      収拾のつかない心を見つけ出す為に問う。 ]

 
(13) 2020/12/11(Fri) 10:07:40

【人】 征伐者 ヴィルヘルム

 

[ 薄く口の広いティーカップに注がれたダージリンは
  秋の終わりに摘まれたばかりの皇室御用達の品。
  何度も品種を変えながら、五年の間の出来事を
  心行くまで語り合った。

  何かと口煩いから甘すぎぬケーキを従者に出させて、
  陽の差し込む庭園でなく敢えて自室を選んだ。
  ……本当は、事ある毎に小言を差し込まれることも
  いつからかは鬱陶しく感じなかったのだけれど。


  彼女の“獲物”と看做された夜に、
  どの様な情緒の変化があったのか。それが知りたくて。 ]


   遠い昔の邂逅だったとは言えど、
   おまえが“そんなもの”の為に命を投げ打ったのかと
   苛立ちさえ覚えたものだ。

    ……抱いたことの無い奇妙な思考だった。


[ 彼女にとっては何にも代え難き幼馴染であるとは
  分かっているのに、どす黒い気持ちが抑えられない。
  そうしていつか冷たい言葉を吐いた事さえあった。

     己は運命“如き”の為に魂さえ捧げたというのに。 ]

 
(14) 2020/12/11(Fri) 10:07:59

【人】 征伐者 ヴィルヘルム



( あれからずっと、気の浮き沈みを繰り返していた。)



   おまえも似たような心持ちだったのか?
   肯定するならば、詳しく考える事は止めておく。
   同じだと言うのなら、其れだけで充分だ。


[ 誰かの運命を自分のそれより煩わしいと思ったのも、
  其れが永遠に訪れなければ良いと考えたのも、
  生まれてこの方経験がなかったものだったから。
  凸凹の感情にもいつか当て嵌る時が訪れるだろうか。

 
『満月の晩、夜半過ぎに謁見の間まで来てくれ』
 
  ……そう告げれば、此度の茶会は締め括られる。]*

 
(15) 2020/12/11(Fri) 10:08:18

【人】 征伐者 ヴィルヘルム



 [ 幼き我が子を腕に抱く慶びも、
   長らく別れていた妃との再会も、
   戦場を共にした戦士達との祝賀も、
   『我等の王』と慕う民草の言の葉も、

    ────全てすり抜けて、過去の幻燈となる。 ]


 ( 宿業から解き放たれて尚、刻限は迫る。
   何を遺そうにも時間は足らず……
   とうとう遺言は書き上がらなかった。

    新たな国土統治の取り決め及び相続、
    そして新帝が成人する迄の代理人を立て。

     誰にも終わりを仄めかさず、
     終ぞ彼奴にも秘めた
約束
の話はしなかった。 )



 
(22) 2020/12/11(Fri) 22:58:40

【人】 征伐者 ヴィルヘルム

 


  [ 其の理の外側に在る至高の獣が、
    この冠ごと打ち砕いてくれる瞬間を望む。

      冷えた鋼鉄の玉座は心まで蝕む様で、
      黙した儘、目を閉じ其の刻を待った。 ]


 
(23) 2020/12/11(Fri) 23:02:46

【人】 征伐者 ヴィルヘルム

 

[ ────聞き慣れた、鈍い音色が鼓膜を震わせる。
父帝もまた、この玉座であの扉が開く音を聴いたのだ。


  緩やかに瞼を上げれば、謁見の間へと訪れる
  唯一人の姿を視界に収める。

  篝火だけがその輪郭を轟々と照らし、
  朧気な光を受けて佇む王の姿とは対照的でもあった。 ]


   [ 足取りを、佇まいを、揺れる漆黒の髪を。
     大理石の階段の遥か上から、瞳に焼き付けて。 ]



[ 誰もが主君を仰ぎ見る様に造られた百の階段から、
  僅かな囁き声でさえも降ることはなく。
  砂時計の最後の粒が落ちようとしていた。 ]

 
(24) 2020/12/11(Fri) 23:03:05

【人】 征伐者 ヴィルヘルム

 

 [ 隻眼の冷たい色合いと搗ち合えば、
   少しばかり背を伸ばして薄い微笑みを投げ掛けた。 ]


      ( 餞別など必要でない。
         我々は同じ場所へ至るのだから。 )



 [ 糸が切れた様に王座へと深く座り込み、項垂れる。
   肘置きから零れ落ちた片腕がだらりと垂れては
   二度、復元力に引かれる儘に力なく揺れた。 ]

 
(25) 2020/12/11(Fri) 23:03:49

【人】 征伐者 ヴィルヘルム




  ( また直ぐに逢える。おまえを信じているから。 )

  ( 何があろうと殺す。おまえを■しているから。  )


 
(26) 2020/12/11(Fri) 23:04:10

【人】 征伐者 ヴィルヘルム



 [ ────雲間から顕れた月光が、鉄の玉座を照らす。


      冠は真白く煌めき、
         傍らの剣は炎を発し、
            大地は俄に震え出す。


   裸の氷輪と、其れに呼応して姿を変え行く怪物に
   共鳴するかの様に、階段の頂点に黒い霧が掛かる。 ]



 [ 誰も来る事は無い、冷たく孤独な二人だけの世界。
   女の眼前で其れは冒涜的な存在へと姿を変え、

   立ち込めた霧は衝撃波を伴って四方八方へ飛散した。 ]


 
(27) 2020/12/11(Fri) 23:04:34

【人】 荊冠の王 ヴィルヘルム



 獅子の頭に、不確かな影、然して巨大な剣。
 魔力を纏う体躯は到底王座に収まらず。
 数倍に嵩んだ人ならざる姿は憤怒に
える瞳で
 遥か下方の怪物を見下した。


  永く肉体を持てず彷徨い続け、
  漸く再臨の叶った悪魔は未だ不完全であった。
  故に、滅ぼすべきは今この刻のみ。


    砕けた硝子が降り注ぐのをものともせず、
   『其れ』は剣の柄から離した片腕を振るった。


 
(28) 2020/12/11(Fri) 23:05:09

【人】 荊冠の王 ヴィルヘルム

 

  
とは到底呼び難い火が降る。
  頂上から階下へ、命脅かすモノを撃ち落とす為に。


   この瞬間、彼女は救うべき獲物ではなく
   退けるべき怨敵でしかなかった。
   そう、現界を果たした悪魔にとっては。



       

    
   涙  走    

     球       り    の
               
  




  風を唸らせて飛来する無数の焔は、
  逃げ場を無くすかの様に降り注いだ。

   鱗を灼き、尾を焦がし、瞳を煙と変え、
   何れはこの城ごと焼き落とす事さえ厭わなくなる。


 
(29) 2020/12/11(Fri) 23:05:30

【人】 荊冠の王 ヴィルヘルム

 




    今こそ一度限りの舞台へ駆け上がり、
     呪われし運命に終止符を打つ時。*

 月光だけが微笑みながら、其の終幕を見詰めている。


 
(30) 2020/12/11(Fri) 23:05:47

【人】 荊冠の王 ヴィルヘルム



 互いにヒトとしての自我を無くしたならば、
 同様に言葉さえも不要。

 燃え落ちよ、この足許へ至る前に灰と化すべしと
 降り頻る焔が幾千と連なる山脈の如き鱗を灼く。



  不確かな体躯はたった一撃、
  魔除の加護を受けた刃で貫けば跡形もなく消えるだろう。
  故にこそ近付けさせてはならない。
  玉座に至る前に滅しなければならない。



 火球の一つが怪物の顎門に直撃しようかという寸前で
 其れは吐き出された絶対零度の前に掻き消える。
 覆う空気が凍て付けば、焔とは影も形も無くすもの。


 
(37) 2020/12/12(Sat) 1:56:12

【人】 荊冠の王 ヴィルヘルム



 ────獅子は瞳を再び見開く。


 その牙の内側に隠した品の何たるかを識っている。
 忌々しい
約束
だけはこの身に触れさせる事を良しとしない。


 深紅の爪を抱く掌を開けば、
      一際大きい
を振り落とし。

  質量を持つそれは、躱せば自ずと石段を砕く。
  即ち、退路が完全に失われるのと同義。
  然し────この期に及んで背を向ける者など居ない。



  隕石にも似たその影の裏から躍り出る姿が在るならば、
  いよいよ魔剣と化した獲物の柄を握り直す。


 
(38) 2020/12/12(Sat) 1:56:26

【人】 荊冠の王 ヴィルヘルム



 浴びた冷気は纏う熱に触れれば一瞬にして蒸気と変わる。
 視界が歪むのはそのせいだ。

 返礼の如き
哮と共に、
 半月を画く様にして禍々しい刀身を振り落ろす。
 刃の煌めきも、尾を引く残像も其処にはなく。

  まるで光を喰らった様な漆黒だけが、空を裂く。



       蝿でも叩き落とすかの様でありながら、
       確実に身体の正面を捉えようとした一撃を
       擦り抜ければ、その心臓にだって手は届く。

       ────約束を果たすことだって。*


 
(39) 2020/12/12(Sat) 1:56:57

【人】 荊冠の王 ヴィルヘルム




 砕けた彗星の欠片と纏う残り火、
 飛び散った血痕が大理石の上に散る。
 これ迄辿った血塗りの路を示唆する様に。


  薄闇の最中で僅かに煌めいた短剣の誓いは、
  女が姿を変えつつあっても決して身から離れず。
  白銀の残影を、その身体ごとだって両断してしまいたい。


   命に届くか紙一重の斬撃が捉えたのは
    ────僅かに血が付着した石畳でしかなかった。


       
空を仰ぎ……


 
(43) 2020/12/12(Sat) 4:29:38

【人】 荊冠の王 ヴィルヘルム




 月明かりの消えた舞台に舞ったのは、
 ヒトの四肢と貌を取り戻した女の姿。
 撥ね付けられた瓦礫と塵埃が其れを隠せば
 最後の抵抗として振るった腕が形を捕らえる事はなく。



     霧中を跳躍する漆黒の旗めき。
    其れが悪魔の視た最期の光景となる。



 
(44) 2020/12/12(Sat) 4:29:57

【人】 荊冠の王 ヴィルヘルム




 胸を穿った聖なる刃の痛みを享受する前に、
 突き刺さった箇所から錬成された肉体が解けていく。
 黒い煙へと変わり、空気に混じって消失する。

 藻掻けど足掻けど終焉の針が止まる事はなく、
 本分を得る前に全ては拡散して行った。


     十余年を経て成就する筈だった悪魔の目論見は、
     此処で終わりを迎える。実体を完全に無くして。




  其の最中をゆっくりと落ちて行く身体、
  制御を奪われ、悪しき存在に覆われていたヒトの身は
  今は未だ、見付けだす事は叶わない。 


 
(45) 2020/12/12(Sat) 4:30:16

【人】 荊冠の王 ヴィルヘルム





         ────……



 [ 重力に引かれて往くのとは裏腹に、
   緩やかに意識が浮上する。

     燃える様な痛みと共に目覚めれば、
     此処が死後の世界で無い事くらい理解出来た。 ]


   (    嗚呼、終わったのだと。
      同時に……免れない死を感じる。 )


 
[ 激痛に漏れ出そうとする叫びを流動体と共に抑え込む。
  空になった瓶が落ち、足許で粉々に砕け散った。
  懐剣が同様に叩き付けられる音に混じって、
  きっとその存在を誰も気に止めることはない。 ]

 
(46) 2020/12/12(Sat) 4:31:23

【人】 荊冠の王 ヴィルヘルム

 

[ 床に足が着くと共に霧と驚異は去ったが、
  体重を支える事も当然叶わずに崩れ落ちる。
  生まれて初めて膝を折ったのが宮中だとは、
  歴史書でさえ語る事のない、一人だけが知る事実。


  視覚を取り戻していけば、追い縋る様にして腕を伸ばした。
  幕を閉じる場所は其の腕の中でありたいから。 ]



     [ 死に物狂いで血の海を這い、
       よく知った温度に辿り着く頃には
       既に足の先が感覚を失くしている。

        燃える様な痛みは寒さへと変わり、
        平等で残酷で耐え難いものが
        背後に迫る恐怖に襲われる。 ]


  ( 終わりが、来る────……其の前に。 )


 
(47) 2020/12/12(Sat) 4:31:50

【人】 荊冠の王 ヴィルヘルム

 


 [ 温もりを頼りに破れた衣服の上を掌で辿り、
   震える指先で首筋と垂れ落ちた髪に触れる。
   最期の力はこの為だけに使う。
   その顱が引かれる儘に下がり、距離が零になれば。




   
────噛み付く様に、渇いた唇を奪った。
 ]



   [ からん、からんと音を立て、
     黄金の冠が血濡れた階段を転がり落ちていった。 ]



 
(48) 2020/12/12(Sat) 4:34:31

【人】   ヴィルヘルム

 

[ 柔らかな肉を貪ると同時に、舌を突き入れて。
  上から覆い被さる様にして首を伸ばした。
  甘い、何処までも甘い蜜を口端から零しながら
  血と唾液の混ざり合った其れを咥内へ注ぎ込む。


   快楽等ある筈もないが、逃がす積もりもない。
    喉が上下する迄、確実な死を飲み下す迄。
     引き寄せた小さな頭を抱き込んだ儘、
   嚥下する音が耳許を撫ぜるまで決して離さない。



  込み上げる喀血の味を、呼吸を共有すれば
  安らかな死など鮮血と酸素を求め喘ぐ苦しみに塗れる。
  合わさった唇から漏れ出すのはどうあっても苦悩の声。 ]


    [ 其れはサロメの狂気にも勝る、破滅のくちづけ。

        彼女自身が作り出した『罰』を今この場で、
            自らの命と臨終の時を以て返す。 ]


 
(49) 2020/12/12(Sat) 4:35:16

【人】   ヴィルヘルム





( 身を灼く熱情の炎が執着に依るものと知ってしまえば、
  抱く願いなど唯一つ。
  遺言を放棄し、死の運命を秘密として守り通し、
  剰え醜く足掻き、苦痛を増やす道を選ぶ程度には

                
こい

  ────如何しようもない程に
してしまっていた。 )



 
(50) 2020/12/12(Sat) 4:43:00

【人】   ヴィルヘルム




( 死を目前にしてやっと気付いたのは、
  おまえを何処にだってやってしまいたくないという事。

  ずっと満たされなかった奇妙な心地の正体は、
  同じ死の苦しみを味わう事になったとしても
  共に在り続けたいと叫ぶ秘めた想いだった。
  蓋をし続けたのは己だったのだ。


          だから、どうか…………どうか。 )



 
(51) 2020/12/12(Sat) 4:51:29

【人】   ヴィルヘルム





       
     ────……傍に居てくれ、リヴ。

       
   ( Egal was kommt, ich werde dich nie verlassen )



 [ 凍える身体が全身で紡いだ、たった九文字の願い。
   ずっと痛んでいた、空白ばかりが胸を占めた、
   <利己>に限らぬ想いの応えを導き出した。 ]


 
(52) 2020/12/12(Sat) 4:55:23

【人】   ヴィルヘルム

 


[ 互いの唇を結んだのは泡を含んだ赤い糸。
  伏せていた瞳が揺らぎながら愛しい貌を見詰めては、
  散々血に穢した口許を歪めて、弱々しく笑った。


  其れを最後に、とうとう全身の膂力を失い
  首元に回した両腕さえ零れ落ちて、躰は沈んで行く。
  抱き留めてくれると言うのなら、其の温もりの傍で。
  唯独り、死後でさえ離れたくはないと望んだ者の元にて。



   空気を喘ぎ求める事もなく、痛みに喚く事もせず、
   死を受け入れる支度が調えばいっそ穏やかに、
   かんばせを見上げ続けていた瞳を閉じた。 ]

 
(53) 2020/12/12(Sat) 4:55:43

【人】   ヴィルヘルム




[ 其の表情は苦悩に塗れた最期を示すものではなかった。 ]*



 
(54) 2020/12/12(Sat) 4:56:04

【人】   ヴィルヘルム



[ 生涯の最後に浴びる雨がこんなにも暖かいものだとは
  想像だにしなかった。
  返答の代わりに降ったのは、獲物を仕留める様な愛咬。
  獣化の兆候が色濃く残る其れは鋭い痛みを齎して。


    吸い込んだ息は終ぞ言葉にはならず、
    痛覚に呻くこともなかった。但し…… ]


      
人間として見ていてくれた

  ( 俺をヒトの儘終わらせてくれるおまえは、
    向こうでも必ず俺を見つけるのだろう。 )


 
(71) 2020/12/12(Sat) 9:59:43
 




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