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【人】 絵描き ルナリア空は快晴。お日様が頬を照らす時間。 動かしていた筆をふと止めて 顔を横に向ければ、そこにはじっと 私を見つめる彼がいた。 「 ずっとそうしてて、飽きない? 」 すい、と首を動かし、 再びキャンバスに向き合いながら 私は思ったことを口に出す。 いつからこうしていたんだったか。 覚えていないのは、それほど昔だった というわけではなく 単純に興味がないから。 (1) 2021/05/19(Wed) 10:04:23 |
【人】 絵描き ルナリア横目に、彼がこくりと頷いたのがわかる。 飽きないのなら、まあ。 それでいいのだろう、知らないけれど。 動く筆はいつものように。 私の表情も、いつもの如く。 それらを眺めていて楽しいなんて 奇特なものだと、私は思った。** (2) 2021/05/19(Wed) 10:04:32 |
【人】 絵描き ルナリア来る日も来る日も、彼は私の顔を見に来る。 何がそんなに楽しいのか、私にはわからない。 でもきっと、私が絵を描く理由だって 彼にはわからないのだろうから お互い様というものなのかもしれない。 (18) 2021/05/20(Thu) 12:34:54 |
【人】 絵描き ルナリア「 食事? ……奢りなら。 」 とある日、一段落、というように 息を吐いて筆を置いた時。 彼が口を開くと、食事に行かないか、なんて。 そんなふうに誘いの言葉をかけられる。 私は普段、あまり食事に頓着せず 多くを食べないものだから、もしかしたら そんな生活を気にしていたのかもしれない。 (19) 2021/05/20(Thu) 12:35:26 |
【人】 絵描き ルナリア服はいつものように華美なものでなく 多少絵の具の汚れがついているもの。 それでも彼は文句を言わず、 顔を向けた私に微笑みかける。 ぱちり、と琥珀の目を瞬いた私は 漸く、疑問の言葉を心の内、浮かべたけれど。 形にすることをしないままに 彼と共に、街の中を歩くのだ。** (20) 2021/05/20(Thu) 12:35:34 |
【人】 絵描き ルナリア時間は穏やかに進んでいく。 その空間には、私だけが存在している、 わけではなく。 いつの間にか、彼がそこにいるから それが当たり前のようになっていって。 注いでくれたお茶を飲んだり。 誘ってもらって食事をしたり。 毎日の生活が、彼に侵食されているのだ 気が付かぬうちに。 (39) 2021/05/21(Fri) 21:29:01 |
【人】 絵描き ルナリア気がついたのは、 いつものように絵を描いている時のこと。 ふと隣を見て、いつもいた存在がいなかったから。 そういえば、お腹がすいた。 そういえば、喉が渇いた。 最近は感じていなかったように思うこと。 久方ぶりに感じてしまい、 琥珀の目をぱちぱちと瞬いた。 (40) 2021/05/21(Fri) 21:30:20 |
【人】 絵描き ルナリアどうしてこうなっているのか? その疑問がまず浮かぶのは、人からしたら 鈍臭いと言われるものかもしれない。 でも、私はこうだから ひとつひとつ、考えるしかないのだ。 絵を描いていたから、とか。 食べたり飲んだりしてないから、とか。 …… 彼がいないから、とか。 (41) 2021/05/21(Fri) 21:30:39 |
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