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【人】 分校教諭 添木 卓郎──図書室へ── 何であの時…俺は…!! [ 時は移り、廃校舎に送られて3日目の夜。 鈍色のまま変わらない天候は時刻を知るには足りず 腕時計を持たない俺は、 周囲の人間の忙しなく動き回っている様子から 間も無くタイムリミットが訪れる事を感じていた。 柚乃のかけ声を背に、砂場を後にし図書室へ。 >>3:176 …時間がない。ない。 タロットを見つけられないとはつまり ここに永遠に閉じ込められるという事。 そんな生きるか死ぬかに近い瀬戸際にいながら、 しかしその傍ら、突き上げるような後悔が 胸中に押し寄せる。 ] (70) 2021/02/08(Mon) 22:08:32 |
【人】 分校教諭 添木 卓郎[ 息を切らせて走りながら 思い出すのは2日前の夕凪との事。 失意の中にいた自分を掬い上げようと してくれた彼女の言動を、俺は無碍にした。 過去を乗り越えて成長を続ける生徒達と、 過去に囚われた自分の差に打ちひしがれて。>>69] (71) 2021/02/08(Mon) 22:11:54 |
【人】 分校教諭 添木 卓郎[ そしてもう一つ、気付いた事がある。 この4年間、夕凪を教えていたあの日々は 無かった事だったのだと自分に思い込ませていたと 何故なら、俺は教師で 彼女は生徒だったから。 彼女の純粋な想いを分かっていて、 それでいて、敢えて何も言わずに立ち去ったのだ。 ──でも、本心は? ──この4年間、ずっと。 会いたかった。 ] (72) 2021/02/08(Mon) 22:14:45 |
【人】 分校教諭 添木 卓郎(結局俺が逃げてただけじゃねぇか…!) [ ここまま俺だけこの場所に 閉じ込められるならいい。 ただ、彼女が戻ってこれなくなったら? また、もし、俺がタロットを手に 入れられたとして。 「また、後でな」の言葉だけ残して 自分だけのうのうと現実世界に戻る? ダサすぎやしないかそれ。俺は馬鹿なのか。 図書室の本に挟まっていたタロットを取り、 そこから夕凪を探そう。 そう算段し、絶対に間に合う、と自分を鼓舞した] (73) 2021/02/08(Mon) 22:23:36 |
【人】 分校教諭 添木 卓郎[ そのまま勢いよく図書室に飛び込み、 そして、目に入ったのは… 夕凪の姿と、『痴人の愛』と、 タロットカード。>>44] せん、せい……? [ 2日前、あんな風に突き放したのに。 彼女は変わらぬ態度でこちらを見ている。] タロット、手に入れられたんだな。 良かった。 [ 自分のタロットがまだ無い事など忘れて、 夕凪だけは助かるのだ…と安堵が広がった。] (74) 2021/02/08(Mon) 22:33:34 |
【人】 分校教諭 添木 卓郎一緒に、帰ろうか。 [ 夕凪の正面に近づき、彼女が座っているならば 頭の位置をを下げて目線合わせながら そう、声を掛けた。 もしこのタロットを他の人と使う予定ならば その者に譲り、自分は初日見つけたタロットを 探そうと。 そのタロットは今同じ部屋の机の上にあり、>>3 丁度死角の位置にネリーがいるのだが、 そのことはまだ知らず。 きっと探し始めればすぐに机上の本を見つけ、 もう一枚のタロットを手にする事が出来るだろう]* (75) 2021/02/08(Mon) 22:50:18 |
【人】 分校教諭 添木 卓郎[ 片膝を付き 座る彼女の顔をよく見ようと覗き込んだ。 自然、目と目が見合う形になる。 刻一刻と迫るタロットの期限。 それなのに、 数分前の焦りが何処かへ消え去ったかのように 今はこの場の時が止まっているように感じるのは 何故だろう。] (83) 2021/02/09(Tue) 21:15:22 |
【人】 分校教諭 添木 卓郎 (85) 2021/02/09(Tue) 21:16:33 |
【人】 分校教諭 添木 卓郎[ 細く柔らかな指は髪に絡むように動いた後、 そのまま額を、目元を、 伝うように滑る。 彼女の指先は少し冷たかっただろうか。 だが…それに触れられた場所は熱を持ち 自分でも呆れ戸惑うような火照りを残してゆく。 沿わせた指先は頬まで来たところではたと止まり、 そのまま小さな手のひらが、左頬を包んだ。] (86) 2021/02/09(Tue) 21:17:46 |
【人】 分校教諭 添木 卓郎[ そして離される、彼女の手。 離されてもなお 触れられていた左頬は、じんと灼けつくように熱い ……4年前に初めて出逢ってから。 廊下で模試の成績を誉めた時も。 俺の無実を訴えて続けてくれた時も。 ずっと、彼女の想いは変わっていなかった。 ならば今度こそ、俺が応える番じゃないか。] (87) 2021/02/09(Tue) 21:18:42 |
【人】 分校教諭 添木 卓郎[ 自然と湧き出る感情のままにそう答え、 続いて告げられる言葉に 最初から分かっていたさ、と言わんばかりに頷き 微笑む。] (88) 2021/02/09(Tue) 21:22:17 |
【人】 分校教諭 添木 卓郎[ そう言って、 丁度腕を上げた夕凪の手を左手で取る。 そして、そのままの体制で 右手で夕凪の肩に触れ、自分の元へ引き寄せた。]* (89) 2021/02/09(Tue) 21:43:53 |
【人】 分校教諭 添木 卓郎[ ──そして、刻は来る。 地面が唐突にヴゥンと音を立てた。 2人で握りしめたタロットは 段々と眩い光を放ち始め その光は放射状に広がり 2人の居る空間だけを包み込んだ。 眩むようなまばゆさに目を細めたのち。 最後に、去りゆくこの地を目に焼き付けようと 空間を見渡す。] (90) 2021/02/09(Tue) 21:45:04 |
【人】 分校教諭 添木 卓郎[ 結局この場所は何だったのだろう。 ──ネリーは。スバルは。 ──過去から来たという柚乃は。 再び気を失う直前、 自分らの居る空間の床が ぼろり、と崩れるのを、見た気がする。 ──まるで、建物の倒壊のような。] (91) 2021/02/09(Tue) 21:48:31 |
【人】 分校教諭 添木 卓郎[ 疑問は渦巻きつつも、 掴んだ恋人のタロットを手放す事は決してなく。 あと一秒でも、一瞬でもいいから 目の前の大切な人と時を共有していたい。 再び気を失う最後の瞬間まで そう、考えていた。 ]** (92) 2021/02/09(Tue) 21:50:01 |
【人】 分校教諭 添木 卓郎[ 文字通り、崩れていく世界の その中心で。 溢れんばかりに満たされる心と 比例するかのように湧き上がる、 一つの不安があった。 ──この場から帰れば、此処で起きた事を 全て忘れてしまうのではないか? 俺は全て忘れてしまうのだろうか。 ここで出逢った人も、この場所を探索した事も それによる気付きも、 ……夕凪と再会した記憶も。 ] (93) 2021/02/09(Tue) 22:11:14 |
【人】 分校教諭 添木 卓郎 (94) 2021/02/09(Tue) 22:12:23 |
添木 卓郎は、** (a1) 2021/02/09(Tue) 22:13:40 |
【人】 分校教諭 添木 卓郎 (115) 2021/02/11(Thu) 1:35:46 |
【人】 分校教諭 添木 卓郎[ そのまま大人しく腕の中に 収まってくれた…と思いきや、 彼女は自ら、首元に顔をうずめて来る。 首筋のこそばゆさが伝えるのは 小刻みの呼吸。 次第にそれが落ち着いた…と思った刹那 ふいに、彼女の唇が重ねられた。] (116) 2021/02/11(Thu) 1:36:10 |
【人】 分校教諭 添木 卓郎 [ タロットから放たれた光は眩しさの臨界に達し あとは闇の帳が降りるのみ。 周囲の空間は現実味を伴わず 夢かと錯覚してしまいそうなほどだ。] (117) 2021/02/11(Thu) 1:37:04 |
【人】 分校教諭 添木 卓郎──なんだ。 ちゃんと大人になってたじゃないか。 ──生徒の成長ってのは いつだって早いもんだな。 [ 塞がれた口角は自然と上を向く。 そして、もう一度強く彼女を抱きしめようとした その時── ] (118) 2021/02/11(Thu) 1:37:46 |
【人】 分校教諭 添木 卓郎──after── [ 掌に乗せた顎がずるり、と滑り 顔面が机に衝突しかけるのを すんでのところで耐える。 どうやら俺は頬杖をついて デスクの上で眠っていたらしかった。 上体を起こし周囲を見渡せば ここは無人の職員室。 しかし、立ち込める埃臭さも鈍色の空も そこには無く。 窓を見やれば、茜色の空に照らされた 波一つない海面が、きらきらと輝いていた。 平和な日常だ。気怠さを感じる程の。] (127) 2021/02/11(Thu) 23:26:09 |
【人】 分校教諭 添木 卓郎[ ついさっきまでいた空間は、 夢を見ていた…にしてはあまりに 生々しいモノで──特に最後に夕凪と抱き合った 感触は未だに全身に── 彼女の付けていたルージュが 自分の唇にしっとりと残っているような 錯覚を覚えた。] (128) 2021/02/11(Thu) 23:27:25 |
【人】 分校教諭 添木 卓郎『……先生が急に居なくなって。 私たちが先生を軽蔑したと、先生がそう 思っていたなら、 今も、そう思っているなら それは違うよ、って、皆伝えたかったの。』 (129) 2021/02/11(Thu) 23:27:57 |
【人】 分校教諭 添木 卓郎[ …確かめる術は、ある。 4年前の出来事についての事実確認。 そして、夕凪と記憶を共有しているか否か。 それでこの摩訶不思議な体験の裏付けが出来る。 あの時は自分と夕凪の事に必死だったが 元の世界に戻ってこられた今となると あの場で知り合った者達──ネリーや柚乃、スバル (彼らは全員間違いなく帰還できているだろう) と連絡先を交換しておけば良かったな、と考えた。 そうだったら事が一件落着した今からでも この事象についてある程度の説明を加えられた かも知れない。] (130) 2021/02/11(Thu) 23:28:38 |
【人】 分校教諭 添木 卓郎[ しかしまずは…知っている人を訪ねるのが先決だ。 当然、理由は事実確認だけではない。 夕凪に貰った暑中見舞いの葉書。 ここに書かれた住所に行くには、 1日2度出港のフェリーに乗り、各停に揺られ、 そこから飛行機に乗らねばなるまい。 本日は金曜日。 他に何も考えられぬまま 俺は職員室の席を立つ。] (131) 2021/02/11(Thu) 23:30:01 |
【人】 分校教諭 添木 卓郎[ 窓越しに遠く、 こじんまりとしたフェリーが船頭を 本島に向けようと動いていた。 日は沈みかけ、上空を包む夕陽の色は 最後の輝きを振り絞らんと言わんばかりに 紅く燃える。 文字通り水を打ったような地平線は少しも 歪むことなく、燃える光を受け止めて煌めいた。 ── 夕凪 の時間帯だ。] (132) 2021/02/11(Thu) 23:30:52 |
【人】 分校教諭 添木 卓郎[ きっと、この赤く燃える色は彼女によく 似合うだろう。 気付けば手中に握り込んでいた恋人のタロットを 一瞥し、今度は今いるこの世界で 彼女ともう一度向き合おうと、 出港する船に向けて歩き出した。]** 〜『もしもの未来』に続く?〜 (133) 2021/02/11(Thu) 23:34:11 |
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