【人】 1年生 朝霞 純>>255 [松本さんにかけた電話は、ちゃんと繋がって、どうした?という声が聞こえる。 その声に、少しだけ身体が強ばった。緊張する。 私は知らない、松本さんが今どうしているのか。 津崎さんとどんな関係を築いているのか。 松本さんの教えてくれると言ったこと、聞きたいけれど。 大切な人には、教えたい人には、もう教えているはずのことで。 聞かせてくれると言ったけれど、その言葉を覚えてくれているのかとか、わざわざ私が聞いていいのかとかそんな気持ちがまだあって。 あの時、先延ばしにしたことを、今更聞けるのか、分からないけど。 聞いていいのか、分からないけれど。 でも、やっぱり聞きたいから。] こんにちは、松本さん。 対面じゃなくて電話で話すのは初めてですね。 私、大切なことはなるべく対面で話すようにしているんですけど、松本さんも忙しいと思うし、電話口で失礼します。 いつか聞かせてくれるといった、松本さんの文字が読めない理由。教えてくれますか? …忙しかったら、用事を済ませた後ででも。 [言葉を紡ぐ、まずは最初に聞きたかったことを。 津崎さんのことを聞くかは、松本さんの返事の後、かな。] (272) 2022/09/19(Mon) 7:57:20 |
【人】 1年生 朝霞 純【回想・死者への便り】 [退院してまだそんなに経たない頃、松葉杖をつきながら、何とか大学生活に復帰した頃。 工藤さんの家に招かれて、たまにお邪魔して、そっと課題を進めるのを見守ったり、工藤さんの作ったクリームパンを持って小泉さんのお墓参りに一緒に行ったくらいの頃。 私はお墓にクリームパンを供える工藤さんを見ながら、小泉さんのお葬式に行けなかったことを考えていた。 そう、私はまだ、小泉さんにちゃんと挨拶をしていない。 自分なりに最期は看取ったし、見守っていて、とは病室で手紙を受け取ったときに言ったけれど。 ちゃんとした挨拶も、お礼も、まだ出来ていない。 お別れの言葉は、何だかちょっと寂しいし、見守っていてほしいなら違うかな、なんて思っていたわけだけど。 小泉さんはやっぱり旅立ってしまったから。 せめて手紙くらい送りたい。 お礼と挨拶と、ちゃんとしたお別れの言葉を。 様々なものを遺してくれた感謝を、旅の無事を祈る言葉を書こうと思う。 工藤さんと一緒に、そして出来るなら…] (279) 2022/09/19(Mon) 8:52:33 |
【人】 1年生 朝霞 純>>279 [工藤さんと一緒に小泉さんへのお手紙を書いて、研究室の皆へとグループLINEを送る。 小泉さんがいなくなってしまってから、何となく使うのが憚られた研究室のグループLINE。 そこに小泉さんからの返信が届くことは、もうない。 胸に切ないものを感じながら、私は文章を打ち込んでいった。 “失礼します。 私と工藤さんで、小泉さんにお手紙を書いて手紙参りというものをしようかと検討しています。 お葬式からまだ一月も経っていませんし、伝えたいことは直接伝えたという人もいるかもしれませんが、小泉さんにお手紙を渡したいという方は書き上がり次第、私に渡してもらえれば、手紙参りに持っていこうと考えています。 ですので、お手紙を渡したいという方は私に連絡をください。 特に期限はありませんが、お焚き上げのタイミングが月末なので、一週間以内にお返事くださると助かります。” そう、送信した。] (287) 2022/09/19(Mon) 9:17:16 |
1年生 朝霞 純は、メモを貼った。 (a36) 2022/09/19(Mon) 9:31:44 |
【人】 1年生 朝霞 純>>309 [本を読む感じ、それが楽しいか。 問いかけられた質問に、私は答えられなかった。 本を読むのは楽しい。 私には経験できない風景や体験や感情がある。 アレルギーで諦めるしかなかったもの。生まれつき理解出来なかった感情の規格。 それらを文章を通して仮想体験させてくれるものが、私にとっての本だった。 でも、楽しいの言葉に、素直に肯定することは出来なくて。 だってそこにあるのは純粋な楽しさではないから。 憧れや切なさをどうしても孕むものだから。 だから私は語られる言葉をただ聞いていた。 色文字共感覚、文字に色が見えるというそれ。 それは工藤さんと同じように、世界が人とは異なって見えるだろう特徴だった。] (311) 2022/09/19(Mon) 13:21:15 |
【人】 1年生 朝霞 純>>311 [人と違うことは、とても辛い。 普通になりたいのに、普通の感覚が理解できないのは辛い。 自分にとっての普通が他者と異なること、ただそれだけで世の中は異なる方に牙を向いて、容赦なく襲いかかってくる。 松本さんの苦しみを聞いて、何を言えばいいのか分からなかった。 傷を見せて、辛いことを教えてくれて、何を言えば正解なのかは分からなかった。 だから私は、ただ思ったことを言った。] とても辛かったと思います。 分からないのは、仕方がないことです。 分かりたくても分からないのは、仕方のないこと。 それで苦しむのは、とても辛かったと思います。 だから、苦しいことはしなくていいと思う。 出来ないことを無理にやろうとしなくていいと思う。 本が苦手って教えてもらえてよかった。 松本さんをいたずらに苦しめることにならなくて、私はよかったと思います。 分かり合えることだけ、分かり合える人と経験すればいいのかも、そう思います。 …私の話も、聞いてもらえませんか? 松本さんと私の抱えてる辛さは、また別物だと分かっているけど。 [私は話した、本を読む理由を。 人と同じ経験が出来ない、感情が同じように理解できなかった苦しさを (312) 2022/09/19(Mon) 13:29:57 |
【人】 1年生 朝霞 純>>313 [松本さんの口から語られる言葉に、私は耳を傾けて。 やりたいことのために頑張るという言葉を聞いて。 いいな、とそう思った。] 松本さんがそうしたいと思ったなら、どうしても辛くなったり、苦しくなったりするときに、無理をしなければ。 それもいいかも、とは思います。 正直、他人としては苦しい思いや辛い思いはあまりしてほしくないけど、やりたいことに向き合うのも大切なことだと思うし。 その夢が何かは分からないけれど、松本さんが幸せになってほしいと私は思ってるから。 夢が叶えばいい、なんて自分勝手にそう思ってます。 [続く言葉に、空気を呑み込んだ。>>314] 待ってる、んですね。一緒に行かないんですね。 [意外だった、ずっと一緒にいるものだと思っていたから。 でも、待ってると。それなら津崎さんの居場所になると、そういう意味の発言のはずで。 無理しながらでも頑張ると、そうしてまで待っていたいんだと、そう感じることは出来たから。] はい、頑張ってください。 きっと、松本さんがそうして待っていてくれたら、その好きな人も安心だと思うから。 [自分のことを頑張りながら待ってくれる人がいるのは心強いと思うから。] (315) 2022/09/19(Mon) 14:17:51 |
【人】 1年生 朝霞 純【受け継がれていくもの】 >>299 [工藤さんは繰り返す。 何度もパンを焼く。パンを食べる。そしてまたパンを焼く。 繰り返される単調な日常の中で、工藤さんのパン作りも、また日常の一部のように。 でも、多分、彼女にとってのそれは、ただの日常の一風景などではなくて。 意識しなければ、無為に過ぎていくこともある、そんなありふれた時間などではなくて。 彼女にとっては、大切なこと。 同じように見えても、一つ一つに意味のある時間。 私はそっと側で彼女のパン作りを見守った。 手の洗い方が変わるのも、粉のふるい方が変わるのも、オーブンを覗くときの仕草が変わるのも。 一見、大した差異に見えない全ての変化が、彼女にとっては大きな違いだと知っていたから。 工藤さんは小泉さんのいたパン屋に来てくれるという。 恐らく、自分のパンに足りないピースを探しに来るのだろう。>>301>>302 私は香坂さんと甘夏みかんクリームパンを食べながら、猫の形のクリームパンを食べる工藤さんを眺めた。] (324) 2022/09/19(Mon) 14:47:24 |
【人】 1年生 朝霞 純>>325 小泉さんのパンは、このお店のパンと製造過程は同じだと思います。 小泉さんはこのお店のパンを作ろうとして、そうして小泉さんの味を持つパンが出来ました。 そして工藤さんは小泉さんのパンを作ろうとして、工藤さんの味を持つパンを作っています。 それは小泉さんと同じことです。 小泉さんの味は再現できないけれど、小泉さんと同じことを繰り返して、自分なりに小泉さんのパンを解釈することは出来る。 そもそも、全く同じパンは、誰であっても多分作れません。 工藤さんならもしかしたら作れるかもしれないけれど、私には出来ない。 多分、小泉さんも作る度に味が変わったと思う。 だから、同じ味はそもそも存在しないはずで。 それでも工藤さんは小泉さんのパンを自己解釈した。 小泉さんがこのお店のパンを自己解釈したのと同じように。 …それではダメですか? [彼女の行いは決して無駄ではない。 たとえ同じものが作れなくても、小泉さんのパンは、その味は形を変えて工藤さんへと受け継がれていくから。 それは紛れもなく小泉さんが工藤さんに遺してくれたものだから。それを大切にしてほしい。] (326) 2022/09/19(Mon) 14:53:20 |
1年生 朝霞 純は、メモを貼った。 (a39) 2022/09/19(Mon) 15:52:46 |
【人】 1年生 朝霞 純【回想・死者への便り2】 >>287 [グループLINEへと手紙参りのメッセージを投下した後、私は松本さんに電話をかけた。 そもそも文字を読むのが辛いのだから、手紙を書けるかは分からないけれど。 何かしら小泉さんに伝えたいことがあるのなら、方法があるかもしれないから。] 松本さん、失礼します。 手紙参りといって、小泉さん宛の手紙を書いてそれをお焚き上げしてもらおうと考えているんですが、松本さん、 [そこで言葉が途切れる。 果たして人に伝言のように伝えてほしいものだろうか。 想いは自分で伝えたいものではないのか。] 何か小泉さんに贈りたいものはありますか? 強制ではないので、もしあったら預かります。 [そう伝えて、電話を切った。 手紙でなくとも、何か贈りたいものがあるならば、確かそういうものも受けつけてくれる場所があったはずだ。 でも、やはり。 全員強制ではないけれど。 皆が参加しやすいものにしておけばよかったとも思う。 もともと、お葬式に参列出来なかった自分のために始めたことなのだから、配慮が足りなかったのも考えれば分かることだったのだけれど。] (343) 2022/09/19(Mon) 17:24:57 |
1年生 朝霞 純は、メモを貼った。 (a41) 2022/09/19(Mon) 17:28:03 |
【人】 1年生 朝霞 純[松本さんとの電話が終わって、私は少し迷っていた。 津崎さんに電話をかけるか否か。 知りたかったことは、松本さんから意図せず聞いてしまったから。 長い海外旅行。そのための休学。 休学の具体的な期間は聞いていないから、帰りもいつになるかは分からないのだろう。 松本さんは津崎さんの帰りを待つと言っていた。 その間、夢のために努力しながら頑張って待つと決意している。 私はどうする?] …暫く会えないなら、会いたい、けど。 [そうはいっても、そもそも私は普段から彼と度々会っているわけじゃない。 ここで会えなくても、多分、今までとそんなに変わらない。 でも、会いたい。 暫く会えないって分かると、構内で目にすることもないんだと思うと、無性に会いたい。 会って話をしたい。でも話の内容までは思いつかない。 話すことがなくて困るかもしれないけれど、やっぱり会いたくて、せめて顔を見ておきたくて。 携帯を取り出して、悩んで、津崎さんに電話をかけた。] (345) 2022/09/19(Mon) 17:48:46 |
【人】 1年生 朝霞 純>>351 [“失礼します、朝霞です。”なんて電話をかけたときの定型文を言うまでもなく、相手側から“ひさしぶり”と声をかけられて。 心臓が跳ねた。 電話をかけて、タイミングが合わずに出ない可能性だってあるわけで。 それなのに、いつもかけた電話に出てくれるのが嬉しくて。 ただのタイミングの問題なのかもしれないけれど、とてもとても嬉しくて。 ゆっくりと呼吸を繰り返した。 心臓の鼓動も、巡る血潮の音も、上がる体温も、全てが思考を邪魔してくるから。 言葉が紡げるように、その余裕を作るために、ゆっくりと息を吸って、吐いた。] はい、お久しぶりですね。もう、怪我は大丈夫ですか? [お見舞いは一回きりだったというわけでは別にない、たまに様子を見に行ったことくらいはあった。 けれど、やっぱり退院後に話したことなんて、なくはないけど多くもなかったから。 退院したって完治したわけでないのは知っているから、それが少し心配だった。] (356) 2022/09/19(Mon) 18:32:39 |
【人】 1年生 朝霞 純>>357 やっと自力で…ということはやっぱりまだ辛いですか。 私はちょっと杖をついていますけど、でも日常生活に支障がないくらい歩けるようにはなりました。 [生きて戻ってきて、初めて会えたときにちゃんと元の呼び方に戻っていたのは、後からその時のことを思い返して気づいた。>>46 取られていた距離が、多少は元に戻ったみたいで、気づいたときはそれはもう嬉しかったのだ。 ただ、病院で怪我の具合が同程度という接点がなくなってしまうと、どうしても接触するタイミングが分からなくて。 ああ、今喋れているのが、それこそ夢みたいだ、なんて思う。 問いかけられた言葉には、少し考えて。] はい、構内にいます。場所を教えてもらえれば、歩きます。 居場所を聞くのは、多分、そういうことですよね? [何か話したいと思ってくれているのだろうか。 電話をかけたはいいものの、どうしたらいいのか迷っていた自分にとっては嬉しい話だ。 もうすぐ休学するから、という話だったとしてもやっぱり顔を見て話せるならその方が嬉しいわけで。] 私が会いに行きます。どこにいるか教えてください。 [これで呼ばれたわけでないなら恥ずかしいな、なんて苦笑しながら。] (358) 2022/09/19(Mon) 18:55:59 |
【人】 1年生 朝霞 純>>359 [ちゃんと立って歩けているらしい様子には、少しだけほっとする。 流石に身体に負担をかけるようなことは、余程のことがなければしないはずだから、走るとかはあまり心配していない。 図書館にいる、との言葉には調べものをしていたのだろうかとか、電話は邪魔ではなかったかとか、気になりはしたけれど。 それでも津崎さんは図書館で待ってくれていて、話したいと思ってくれているようだから、それをちゃんと聞きに行こうと思って。] はい、今から行きます。 ちょっとだけ時間かかっちゃうかもしれないけれど。 待っててくれますか? …なるべく、急いでいきますから。少しだけ待っててください。 [そんな風に言ってから、私はこけないように気をつけて、出来る限り早くつけるように歩いた。 走れないから、ほんの少しだけ早歩き、その程度の速度だったけど。 物凄くお待たせした、なんてことはないんじゃないかな。] (362) 2022/09/19(Mon) 19:18:46 |
【人】 1年生 朝霞 純>>369 [転ばないように、何度も聞いたような気がする、その心配の言葉。 苦笑して、気をつけながら、それでも少し早足に図書館へと向かう。 用があるわけじゃないというけれど、私は少しでも早く、少しでも長く津崎さんと一緒に居たくて。 そうそう転ぶものじゃない、頭はふわふわ、何度も転んだときみたいに浮わついていたけれど。 足はその時よりもしっかりと地を踏んでいられたから。] 失礼します。 [一声かけて、図書館の中へと足を踏み入れれば、座るところを探して、そこへ促してくれた。 優しさに、ほんの少し体温が上がるけど、それは落ち着かせて。津崎さんの言葉に耳を傾けて。 休学するということを直接聞かせておきたかったと聞いた。 なんだろう、切ないような感じ。 松本さんに聞いて、知っていたのにな。 直接言われると、胸に空洞が空いたような、そんな気持ち。 でも、直接言われた方がいいことだと思う。 いずれ来る寂しさに少しだけ構えてられるから。] はい、聞きました。 直接教えてくれて、すこし… [嬉しくはない。でも寂しいとは言ってはいけない気がする。] 心構えができた、かな。 [すこし目を伏せた、やっぱり寂しい。] (373) 2022/09/19(Mon) 20:21:00 |
【人】 1年生 朝霞 純>>375 [告げられた理由に、胸が痛くなる。 大切な人がいなくなる。津崎さんの大切な人が。 私は津崎さんの顔を見た。とても切ない気分だった。 あの夢の中で、私はとんでもないことを言った。願った。津崎さんが生きていてよかったと思った。でも。 この人は命の重みとずっと戦っている。 大切な人の生と、その死を背負おうと、今、必死になっている。 そんな人の前で、私は何を考えていたのだろう。 私はゆっくりと息をついて、そして言葉を紡ぐ。 言うべきでないかもしれないけれど、言うべきだと思うことを。] …最期まで一緒にいたいと思っているんですよね。 途中で戻るなんて、考えなくていいと思います。 一緒にいれば良かったと、きっと思うから。 大切な人とは出来る限り、一緒にいれば良かったと思うから。 [重みは違うかもしれない、でもこれは、自分が感じたことだ。 …なぜ、途中で戻ってくることがないといったのか、私が寂しいと思っているのを悟られたのかは分からないけれど。] 帰ってきたら同学年ですか… [何を言えばいいのか迷う、いつもそうだ。] …津崎さんよりも先輩になってたら、いいかも。なんて。そう思います。 (383) 2022/09/19(Mon) 20:48:25 |
【人】 1年生 朝霞 純>>386 [その人が長生きするか、なんて分からないから。 私なりに長生きしてほしいと思った言葉だったのだけれど、少し苦笑をされてしまった。 後悔しないため。うん。津崎さんが後悔しなければいいと思う。 なるべく長く、イギリスに居てほしい。] 勿論、津崎さんの配信、楽しみにしています。 寂しいと、やっぱり思いますか。 [津崎さんは大切な人のために、日本を離れる。 でも、日本にも大切な人をおいていく。 きっと辛いと思う。とても辛いと思う。 早く帰って来てほしいとは思わない、出来る限り長くイギリスにいてほしい。 でも津崎さんは寂しいと思うのか。 私に何が出来るだろう、メッセージを送るくらいしか、やっぱり出来ることはないだろうか。] …もし、嫌でなければ、たまに電話をしていいですか? そうして、直接…動画を見て思ったことを伝えたいです。 私は、何も出来ないけれど、津崎さんのために出来ることをしたいです。 とりあえず、津崎さんの寂しい気持ちが、少しでもましになってくれたらいいと思う。 まあ、メッセージでも出来ることかもしれないけれど… [とにかく、少しでも力になりたかった。] (388) 2022/09/19(Mon) 21:17:01 |
【人】 1年生 朝霞 純【小泉さんへの手紙】 小泉義哉様へ 記憶喪失の折は本当にご迷惑をおかけしました。 集合写真のときに行き場をなくしていた私に声をかけてくださったこと。それよりも以前、パンの試食をさせてもらったときのこと。そのときのことを思い出して、夢の中で帰る私のために食べられる料理を作ってくださったこと。 あなたの心遣いに、いつも助けられて、その度に心が少し楽になりました。 最後に食べたフルーツポンチ、食べれてよかったと思います。 小泉さんの焼いたパンも食べてみたかったけれど。 きっとあなたの味は、形が変わって工藤さんに受け継がれているから。 私は工藤さんのパンを食べて、小泉さんの味に想いを馳せようと思います。 同じ味ではないけれど、小泉さんから受け継がれた味は作る人が変わっても伝わっていくものがあると思うから。 手紙も含めて、私はあなたから沢山のものを受け取りました。 そして、それらを抱えて生きていきます。 ありがとう。そしてさようなら。 あなたの天国への旅路が、平穏無事であることを切に願っています。 そして出来るなら、天国から私たちのことを見守っていてください。 朝霞純より (393) 2022/09/19(Mon) 21:36:19 |
【人】 1年生 朝霞 純>>392 [寂しいのは自分という言葉に、すれ違いがあったのだなと感じて、津崎さんを見て言葉を足す。] 津崎さんが寂しいのかなって、聞きたかったんです。 それから、私も、寂しいです。 でも、津崎さんには後悔してほしくないから。 イギリスで精一杯過ごしてほしいと思ってます。 だから、寂しくても、今は我慢ですね。 でも、津崎さんが寂しいときは教えてください。 少しでも寂しさが和らぐなら、そのために出来ることを教えてください。 [強くならなきゃの言葉には、少し首を傾けて。] 私は自分が強くなったと思いませんでした。 津崎さんも強くなるときは、きっと自然と強くなるんだと思いますよ。 焦らなくても、きっと大丈夫。 [それから差し出された小指に、そっと小指を重ねて。] 約束します。 私が出来る限りで、津崎さんの寂しさを、ちょっとだけましにするって。 [最後に付け足された優しいという言葉は不意打ちで、耳が赤くなってしまっただろうけど。 彼のために私が出来ることがあるなら、それはとても嬉しいこと。 彼に優しいと言われたなら、もっと優しくなりたいと、そう思った。] (401) 2022/09/19(Mon) 21:52:15 |
1年生 朝霞 純は、メモを貼った。 (a43) 2022/09/19(Mon) 23:12:11 |
【人】 1年生 朝霞 純>>380>>381 [告げられた言葉に、そっと視線を落とした。 故人を悼む気持ち、その思い出に触れたい気持ちは分かる。 でも、もう喪われてしまったものは戻らないから。 続く言葉に私は目を見開いた。>>382 工藤さんが私に何かしてほしいということは殆どなかったからだ。 工藤さんは工藤さんなりに小泉さんを悼み、そして一歩ずつ、前に進んでいくのだろう。 私は頷いた。] 分かりました。豆カレーを作ります。 そして一緒に食べましょう。 [そこに香坂さんがいたのなら、香坂さんにも振る舞いたいのだけど、彼女は私の作った豆カレーを一度は食べているから、二度目も食事の誘いに応じてくれたかは分からない。 それでも工藤さんの家で、豆カレーを作るだろう。 工藤さんと一緒に過ごす時間の、少しの変化。 それが工藤さんが私と共に過ごす時間を大切に思ってくれている証だと知っていたから。] (414) 2022/09/19(Mon) 23:27:31 |
【人】 1年生 朝霞 純【お盆を過ぎて】 >>397 [工藤さんは、食事のレパートリーにクリームパンと豆カレーが加わったこと以外は、特に代わり映えのしない生活を送っていたように見えた。 “小泉先輩の焼いたパンが食べたかった”という願いは叶えられることなく、それでも彼女は諦めずにパンを作り続けていた。>>381 きっと、彼女は死を悼んでいて、その苦しみに押し潰されそうで、だから小泉さんのパンが食べたいのだと、どうしても諦められないのだと分かってからは、私も工藤さんのパンではダメかとは言わないようにしていた。>>326 月日は巡って、お盆が過ぎて、工藤さんの家に訪れたとき。 工藤さんの癖が変わっていた。>>405 力を入れ方も、粉の振るい方も、焼き加減の確認の方法も、ほんの僅かな差異ではあるけれど、でも確実に違っていた。 その日焼き上がったのは、ふんわりと優しい味わいのするクリームパンで。 工藤さんはもう納得していない様子を見せることなく、それを仏壇に供えて、私に食べさせてくれた。 目の前でパンを咀嚼する工藤さんに、もう迷いはなく。 彼女の中で、一区切りついたのだと、小泉さんは形を変えて工藤さんの中でいきていくのだと、ただそう感じた。] (425) 2022/09/19(Mon) 23:39:37 |
【人】 1年生 朝霞 純【翌月末、手紙参り】 [松本さんが手紙を書き終えたのは、皆よりも少しあと。 一緒にお焚き上げするのには間に合わなかったので、一枚だけ、別で持ってきた。 小泉さんの名前が読み上げられて、そうして文字を見るのが苦手な松本さんが、友人のために書いた手紙が火の中へと投じられる。>>-1346 薄く上がる火の粉、それよりも遥か高いところへ昇っていく煙。 死にたがった人は、大切な人と、今、精一杯に生きている。 自分の夢や未来を大切にしながら。 最期、小泉さんの最期に紙吹雪の魔法を使おうと提案してくれた、優しい人の友人宛の手紙が、薄い煙と共に天国へと運ばれていく。 小泉さんは見てくれるだろうか、今の状況を知ったら、きっと喜んでくれるだろう。 松本さんと小泉さんは周囲から頼られる人同士、何かと話してもいたようだったから。 そっと天国から、たまに見守っていてほしい。 大切な友人のことを、放っておけない人のことを。 これからを生きていく私たちのことを見守っていてほしい。] (430) 2022/09/19(Mon) 23:53:59 |
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