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【人】 美術 エノ「なんだっていいけれど。」 「人の事は知りたいな。」 椅子に座って、面々を眺めて。 「死にたくない人が、何で死にたくないのか。」 「生きて何を成したいのか。未来に何を見てるのか。」 「気になるよ、俺。」 (10) 2022/02/20(Sun) 20:41:42 |
【人】 美術 エノ「俺は死にたいわけじゃない。」 「死んでもいいだけ。でも。」 「独りで死ぬのって、ちょっと寂しいんだよな。」 軽くあくびをして。 理由もなく、ただ死にたくないというのもあるんだな、と。 納得したように頷く。 「理解者に会ったことがないから。」 「人生で一人くらい、誰かに心から理解されたいじゃん。」 「それまでは生きてたいかな。」 (22) 2022/02/20(Sun) 20:58:44 |
【人】 美術 エノ>>26 「別にどんな口調でもいいよ。」 「敬語、あんまり好きじゃないんだよね。」 「距離を感じるじゃん。」 同意を示してくれた君の方へ、頬杖をついて目線を交わし。 続く言葉に、うーん、と考える。 「例えばだけど。」 「作曲家は、自分の作った曲が誰にも聞かれなくても何も気にしないと思う?」 「画家は、自分が描いた絵をどこにも出さずに納屋にしまっているのかな。」 「違うよね。」 「誰しも、自分が作り上げたものを他者に見せて、自分が良いと思ったものを同じように良いと評価してもらいたがってる。」 「芸術家って、偏屈で変人で、協調性のない人間ではあるけれど。」 「きっと世界の誰より、自分を理解されたがってる人種だよ。」 君には理解者、いる?軽く首を傾げて見せて。 (34) 2022/02/20(Sun) 21:39:05 |
【人】 美術 エノ「罪の意識から逃れたくないから、相手の事を知りたくない。」 「……なるほど、そう言う人もいるんだ。」 「やることは何一つ変わらないのに、相手が知らない他人であれば自分を許せる。」 「なんだか不思議な話だね。」 それは人を理解し、人に理解されたい青年には、 あまり想像のつかない視点で。 だからなるほど、とまた一つ頷いた。 (42) 2022/02/20(Sun) 21:56:42 |
エノは、ヒメノにゆるゆる手を振った。特に存じてはない。 (a13) 2022/02/20(Sun) 22:22:53 |
【人】 美術 エノ>>48 「評価と理解はまた少し違うものだけれどね。」 「まぁ、まったく違うわけでもない。」 「自分を表現するものが創作。その創作に理解を示されることは、自分自身を理解されるようなもの。」 「大勢に評価されなくてもいい。ただ一人に理解されるなら。」 『これは凄い』『感動した』『鳥肌が立った』 そんな言葉は別にいらなくて。 ただ、『わかる』と言ってもらいたいだけ。 少なくとも青年は、そうであった。 「そう、君は、叶わないかもしれない願いは、抱かないタイプなのか。」 「徒労が嫌なのかな。それとも、願いや希望を持つことが嫌なのかな。」 じっと、瞳が君を眺め続ける。 (55) 2022/02/20(Sun) 22:34:42 |
【人】 美術 エノ「いいじゃないか。相互理解を進める時間。」 「素晴らしいよ。」 「賛成しておく。」 人を理解することは楽しい。 誰が何者かを知る事が好きだ。 願わくば。 自分にもそう言う人が居てほしいと思う。 小さくあくびを漏らした。 (68) 2022/02/20(Sun) 23:45:08 |
【人】 美術 エノ「今日はそろそろ解散か。」 よいしょ、と席を立つ。 合議と言うのは全く、疲れるものだ。 何度やっても慣れるものでもないのだろう、こういうのは。 「明日は今日より深く理解し、理解されますように。」 失礼するよ、と。 ひらり、手をあげて踵を返した。 (82) 2022/02/21(Mon) 0:23:28 |
【赤】 美術 エノ………アクセス、承認。 ███ネットワーク、接続。 『問題ないよ。』 『どういう風にしてもいいんでしょ。』 『君は、どういう風にしたいとか、あるの?』 (*4) 2022/02/21(Mon) 17:15:27 |
【赤】 美術 エノ対してこちらの返答は、すぐだった。 『いいよ。じゃあ殺そう。』 淡白な文章。きっと本人も同じくらいに。 『君はそう言うのが選べる人なんだ。』 『いいね、一つ君を理解した。』 生死なんかより、それの方が大切だとばかりに続けて、 そして。 (*8) 2022/02/21(Mon) 18:10:00 |
【赤】 美術 エノ『あぁ、そうだ。』 通知はまだとまらない。 音を立てて、文字が画面を流れゆく。 『あの人って何の罪で捕まったんだろう。知ってる?』 『本人に聞こうかな。それでさ。』 『同じことをあの人にやってあげようかな。』 『そしたら、あの人の事理解してあげられるかもしれないし。』 理解されながら死ぬならきっと幸せだよね、と。 それが殺人か、暴行か、放火か、強姦か、 あるいはもっと軽いものであっても。 理解するために同じことをしてみたい。 ここではそれが許される。 『君はそれを許してくれる?』 一思いとはいかなくなるかもしれないけれど。 (*9) 2022/02/21(Mon) 18:16:08 |
エノは、寮の入り口でしばし時間を潰していた。 (a43) 2022/02/21(Mon) 20:20:33 |
【赤】 美術 エノ『ありがとう。』 『あの人がどんなことをしたかによるけど』 『片づけは助かるよ。』 『しっかり理解できるといいな。』 なにを思って罪を犯したのか、何故その手段を選んだのか。 一つ一つを聞いて、一つ一つを真似してあげたい。 理解してあげたい。そうすれば寂しくない。 ただそれだけの想い。 『いいよ。俺、人のお願い聞くの好きだから。』 『君のお願い、何でも聞いてあげる。』 『ぜひ頼ってね、カミクズくん。』 契約は結ばれる。 (*11) 2022/02/21(Mon) 20:38:13 |
【赤】 美術 エノ言葉が通じない場所にいる。 呟きがどこに届くこともなく。 青年は部屋で一人、端末を操作している。 「へぇ。」 興味の湧いたような呟きもまた、どこにも届かない。 『死体の処理に慣れているんだ。』 『なんだか不思議だね。』 『そういう仕事にでもついてたの?』 理解さえできればいい。 理解のためなら何をしてもいい。 だって、理解より幸せなことなんてないんだから。 今、理解の矛先は君に向いた。 端末の向こう側で、夕焼けのような眼が君の文字をなぞった。 (*13) 2022/02/21(Mon) 21:28:22 |
エノは、理解がしたい。理解されるために。 (a47) 2022/02/21(Mon) 21:56:18 |
【赤】 美術 エノ「特殊清掃員………」 呟いて、端末に浮かぶ文字を眺めて。 指を動かす。 『孤独死した老人とかを回収する人だ。』 『そりゃ後片付けもうまくなるね。』 『何でそんな仕事選んだの。』 『望んでやる人なんていなさそう。』 理解の刃は留まる事を知らない。 遠慮もなにもなく土足で踏み込んでいく。 『ちなみに。』 『何か俺にお願いしたくなるような事、あるの?』 今はまだないのかな。端末の向こうで首を傾げた。 (*16) 2022/02/21(Mon) 23:31:59 |
【赤】 美術 エノ『ふぅん、家族から離れたかったの。』 『理由を付けてでも一人で暮らしたいくらい。』 理由を付けないと、一人暮らし出来なかったんだ、と思った。 自分にはわからない感覚だ。 なにをしようとそれを止められたりすることもなかったし。 ただひたすらに放任主義だった。 面と向かって話してるわけでもなし、君の隠し事に気付けることもなく。 『大丈夫、拒否しないよ。』 『どんなことでもしてあげる。』 『君の事を理解したいからね。』 『思いついたらぜひ、お気軽に。』 誰かを拒否する事なんてしない。 理解を邪魔するあらゆることを、自分からすることはない。 (*18) 2022/02/22(Tue) 0:09:13 |
【赤】 美術 エノ面と向かって話してるわけじゃない。 無機質な文字しか伝わらない。 今どんな顔をしているかなんてわからない。 もし、目の前に居たら。 その表情の遍歴を目の前で眺めていたなら、青年は─── ───それはそれは嬉しそうに、笑ったことだろう。 『うん、ばいばい。』 通信の切れる表示。 端末をぽい、とすぐそこに投げ、ベッドに体を倒した。 「…また一人になっちゃった。」 どこかに出かけようかな、なんて考えながら。 青年は青年の日々を過ごしていくのだった。 (*20) 2022/02/22(Tue) 1:17:16 |
エノは、池の前にイーゼルを立てて、キャンパスに絵を描いている。 (a71) 2022/02/22(Tue) 17:52:22 |
【人】 美術 エノ「…………………………」 焼肉屋だ…………なんかある……。 いつの間にか生えてきた日常感溢れる建物を眺める。 「……うーん、また夜になったら食べようかな。」 お肉は夜に食べたい。なんとなく。 (194) 2022/02/23(Wed) 6:47:54 |
【人】 美術 エノ日も暮れてくる頃、随分肌寒くなってきた。 そんな中青年は、南西の区画、広場の噴水前にイーゼルを立てる。 「噴水か。いいね。」 「綺麗にかけるかな。」 合議以外の時間は暇だ。 絵を描くにはちょうどいい時間なのだった。 (206) 2022/02/23(Wed) 14:02:12 |
【人】 美術 エノ>>217 「そうなんだ。まぁ、あんま人前で描く人いないか。」 大道芸くらいかな、と納得を示す。 君がそのまま見ていくようなので、正面に向き直り。 飛び散る雫の一つ一つを描いていく。 「楽しいから好きになるんじゃない?」 それって分けられるものなのかな?と首を傾げ。 あらかた風景を描き終われば、今度は人影をひとつ描いていく。 噴水に向かい合うような影。 「俺は楽しいし、好きだよ。」 「自分が作ったものを残せることが好きなのかも。」 「この絵を見て、自分のことを少しでも理解してくれる人がいるかもしれないから。」 人影の前にイーゼルを描き足して。 ざくざくと、さほど時間もかけずに描いていく。 「君はどう?なにか趣味はある?」 「その趣味は、好きだからやるの?それとも、楽しいからやるの?」 (219) 2022/02/23(Wed) 15:43:27 |
【赤】 美術 エノ青年はといえば、落ち着いたものだった。 趣味の絵に没頭して、されど別に逃避というわけでもなく。 言うなればそう、時間つぶしのような気持ちで。 筆を滑らせていた。 端末が震え……今は近くに人がいるから、メッセージを網膜の上に映し出す。 前回の経験から、随分VR上で様々な操作ができるようになっていた。 『それは。』 『いいか、悪いかってこと?』 『まぁ、なくていいなら無い方がいい制度だよね。』 死にたくないと思う人がいて。 死んで欲しくないと思う人もきっといる。 突然訪れる平等な死を、肯定できる人は果たしてどれほど居るのだろう。 『辛くなっちゃった?』 『取り留めのないことでも、話したら楽になるよ』 2回も選ばれてしまった君を可哀想、だと思ってるから。 せめて支えになってあげられればいいなと思った (*22) 2022/02/23(Wed) 16:37:40 |
【人】 美術 エノ>>223 ツルギ 筆はやがて、色の多い髪を描いていく。 噴水広場にひとりぽつんと立つ絵描きを、精巧に描いていく。 「無いんだ、趣味。」 「すごいね、退屈で死んじゃいそうだ。」 暇な時どうしてたんだろう。 さほど暇な時もなかったのだろうか。 ある程度描き終えた絵に背を向けて、君に向き直った。 君の言葉を聞く。ひとつ、頷いて。 「なるほど。」 「君は物事を頑張れない人なんだ。」 「何をしても、実らないかもしれない、無駄かもしれない」 「そんな思いでいるんじゃない。」 昨日の会話を思い出しながら、そう告げた。 徒労が嫌だと言っていた、君の言葉。 「成果が出るか分からないものに、力が入れられないのかな。」 つらつら、君を理解するために。 今理解してる中での、君への印象から推測して話す。 (228) 2022/02/23(Wed) 16:42:57 |
【赤】 美術 エノ青年には何も忘れたい事がない。 死んで悲しいなと思えるほど理解できた人もいなかったし。 それより前の、日常生活でも何も困ったことはなかったし。 心の底に何もない、ぬるま湯の風呂のような人生だった。 『うーん。』 『これは俺なりの考えだけれど。』 『死ぬのが怖い人って、未練がある人だと思う。』 それは例えば、もっと何々がしたかった、だとか。 あの人と一緒に居たかった、とか、遊びたかった、とか。 アイドルのライブに行きたい、とか、ドラマの続きが見たい、とか。 そういう、"生きて何かしたかった"から、それが出来なくなる死が怖いのだと、思ってる。 『怖くないよ。』 『生きてやりたいことがないから。』 『寂しいけどね。』 寂しいけど怖くはない。 それが青年の答えだ。 恐怖を感じるほど、未来を見据えた人生じゃなかった。 『君はどう、カミクズくん。』 『怖い?』 (*24) 2022/02/23(Wed) 17:18:51 |
【人】 美術 エノ>>232 ツルギ 「退屈から逃れるためにするものではないと思う。」 バッサリ。 自分はどっちもやったことないけれど。 たいてい目的があるとか、好きだからやるものだと聞く。 「結果がすぐ出るような趣味があればいいのかもしれないね。」 「それか、目標を短く設定するとか。」 「例えば、そう。人と話す事。人の話を聞くこと。自分の話をすること。心を近づけてみる事。」 「そうして少しずつ段階を踏めば、いずれ理解者ができるかもしれない。」 細かな目標は大事だよ、なんて。 人生の先輩らしい事を言ってみる。 背中から見ている君は分からないだろうが、青年は自分を描く時、瞳を閉じている。 視界がどこか別の場所にあるように。 それもVRの機能の一種なのかもしれない。もしかしたら、空中に目玉があるのかも。 風景が多数を占めるこの絵は、しかし青年にとっては。 肖像画であった。 「うーん…期待……そうだね。」 「どちらかと言うと、諦められないだけかな。」 「一人でも、心から理解してくれる人がいてほしい。」 「そんな夢を諦められなくて、求めているだけ。」 「俺は君みたいに、何かに裏切られたような経験もないからね。」 風が吹いて、首筋に冷たさを感じた。 肌についた水滴を、指で拭った。 (234) 2022/02/23(Wed) 17:45:47 |
【赤】 美術 エノ『へぇ、やりたい事がないんだ。』 『意外だな。』 『だって、理由を付けて家族から離れたいくらい、一人暮らしがしたかったんだよね。』 『一人じゃないとしたい事が出来ないからだと思ってた。』 なにかをしたいから。 そのために一人暮らしがしたかったのだと、思っていた。 そうじゃないというなら。 家族と離れる事 そのものが理由だったのだろうか。果たしてそれは、どんな事情なのだろうか。 『ないよ。』 君の質問には、すぐに返信が来る。 『元から無かったんだ。よかった事、嬉しい事。』 『だから生き延びた後も当然なくて。』 『何もないまま、今日まで来ちゃったよ。』 『だから、まぁ』 『死んでた方が楽だったかも、とは少し思うね。』 1回目を生きて帰ってきたときの周りの反応も。 腫れ物を触るかのようで、今までもそうされてきたのだけれど。 より一層に距離を置かれたようで、寂しかった。 死が齎す負の感情より、生きて得る虚無の方が多い。 だから死ぬのが、怖くない。 そんな感じだ。 (*26) 2022/02/23(Wed) 17:57:17 |
【赤】 美術 エノ『何から?』 躊躇う事もなく、理解の刃を振るう。 その曖昧さを許さないとでも言うように。 理解のためなら、何も省みないとでも言うように。 ずけずけと、踏み入る。 死んでいたほうが良かった。 全く思わない人間は、相当幸せだ。 誰かを、間接的にとはいえ殺して生きることは。 心からそう言えないくらいの負担で。 最も、青年は。 あまりそこを悩んだりはしていないが。 『そうだね。』 『俺の唯一つの夢だから。』 『できれば叶えたいよ。死んだら敵わない。』 それもある種の、未練だろうか。 (*28) 2022/02/23(Wed) 18:28:01 |
【赤】 美術 エノ君の答えを聞く。 失った空白。代わりになれなかった。 推察できることはある。 なるほど、と一つ頷いた。 『そっか、残念だったね。』 淡白な返事、は、文章だから。 端末の向こうで、青年は一人部屋で。 恍惚の顔をしていた。 それは君の事情がどうとか、そういうのじゃなくて。 ただ、そう、君を一つ理解できたから。 衣服を一枚脱がすかのように、君の心を薄着にできたから。 それが嬉しくて、理解することと理解されることは紙一重だから。 部屋で一人、笑っていた。 『理解者と一緒に死んだらさ』 『そこで変化が止まるのかな。』 『だったらそれが一番だよね。』 そうありたいな。 (*31) 2022/02/23(Wed) 19:20:21 |
エノは、自室から、裁判場に向けて歩き出した。 (a108) 2022/02/23(Wed) 19:49:53 |
エノは、裁判場で、再び絵を描きだした。最初の時と同じように (a113) 2022/02/23(Wed) 20:36:25 |
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