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【赤】 灯守り“霜降” 月輪 ─おもいで─ [ 私は生まれた時から、白銀と萩、二色の髪色でした。 白銀と萩。一色だけでも縁起が良いのに二色が混在とは この子は祝福を受けた子だ、と 親族が沸き立ったと聞いています。 とはいえ、生まれ育った家は決して裕福とは言えず、 有名高名な学校に通うことも無い普通の子供でした。 珍しいツートンの髪をからかわれたり、引っ張られたり ──つまり、いじめられていたのです。 過保護な家族にはいつも元気を振りまいて 現実を語ることもしなかったのですが 内面は既にぼろぼろで逃げ出したかったのです。 あれは10歳の時。 学校に行きたくなくて、勇気を出してサボると決意。 普段と違う道をずんずんと歩き始め、 迷子になるのに時間はかかりませんでした。 周囲をぐるぐると見渡し、何処に行けばいいのだろうと 不安になり始めたその時。 背の高い男の人が、私のことをじっと見ていたのです。 しかしこの年齢で他人からの見世物を見る目、奇異の目には すっかり慣れてしまっていたので いつものことだろうと通り過ぎようとした時。] (*0) 2022/01/27(Thu) 1:31:30 |
【赤】 灯守り“霜降” 月輪[ 見知らぬお兄さんから突然声を掛けられたのです。>>1:152 (後で聞いた話によると、この声掛けは 付き合いの長い飛心様の影響>>0:235もあったとか) まだ10歳の私はあまりの唐突さに怖くなり、 立ち去ろうとしたのですが] 『大丈夫大丈夫、怪しいものじゃないから。 何ならお茶でも飲んでいくかい? 立秋域産の美味しい茶に大雪域産のゆべしに 今なら大寒域産の雪だるまサブレもあるぞ。』 [ これは普通にナンパ…… いえナンパどころか誘拐の手口では??? 学校で習った、ついて行ってはいけない手口の 代表例だと思うのです。 それでも道に迷ったのは事実であり、 現実から逃げ出したかったのと、 この人が信頼できる気がしたので 言われるまま、ついていってしまったのです。 (後日「あれはナンパではないですか?」と尋ねたところ 「これくらい普通だ」と仰られておりました。) 歩く事数分、立派なお屋敷に着いてから 漸く、この男の人が灯守り様だと知ったのです。] (*3) 2022/01/27(Thu) 1:31:42 |
【赤】 灯守り“霜降” 月輪[ 私はお世辞にも立派とは言えない家に住んでいたのもあり、 通された立派なお屋敷の玄関で、廊下で、庭で、部屋で 目線が四方八方忙しなく動きます。 先程言われた「蛍にならないか?」との声掛け。 小さい頃から言われていた縁起の良い髪色。 改めて紫明様から蛍───楓蔦黄への就任要請がありました。 子供の私は、これは家族が言ってたことなのでは、と 心が躍りました。 蛍になればこのお屋敷に住むことになり、 きっと家族も喜ぶ。嫌な学校にも行かなくて良い。 家族と離れて過ごすことになるのは、寂しくもありますが 皆が喜んでくれるなら、と深く考えず頷きました。 この後、紫明様に家まで送っていただけたので 家族といえば卒倒もの。両親も祖父母も 一度も見たことのないような表情をしていました。 奇声を上げた、まではいかなかったですが 言葉が全く出なくなったのは事実だったようです。 紫明様が事情を説明すると、家族も諸手を挙げて大賛成。 そして手続き等が完了した数か月後、私は楓蔦黄となり、 紫明様の御側に仕えることになったのです。]* (*4) 2022/01/27(Thu) 1:31:47 |
【人】 灯守り“霜降” 月輪[ 再びパーティー会場をうろうろと回っていると お饅頭たちの桜餅の存在に気付きます>>2:100。 茉莉が用意したものでしょうか。 以前遊びに行った時、試食させて貰ったことが あったのを思い出します。 勿論全部1種類ずつ手に取って、 アンケートには「 こしあん! ]と書いておきました。そうこうしている間に、気付けば宴の時間も終了です。 今年は両隣が不在で寂しくはありましたが 初参加の方も数名いらっしゃいました。 来年も、同じ顔触れが集まるかわかりません。 もしかしたら、今年の会合が最後になる方も 居るかもしれません。 灯守りが急に消えることは、幾度と前例があるので。 皆が帰り支度の準備を始め、再び人で混み合い始めます。 準備しながらも、私は自然と“あの子”を探し──……。] (128) 2022/01/29(Sat) 16:40:38 |
【人】 灯守り“霜降” 月輪ローザ! お疲れ様。 最初の会合どうだった? 良ければ私の家に寄って帰らない? [ 私が送り出した可愛い“妹”に駆け寄り、声を掛けます。 会合の席でちらちらと気に掛けていましたが 私の予想を遥かに超えて立派に見えて 大人になったのね、なんて年寄りみたいな感想を抱いて。] (129) 2022/01/29(Sat) 16:40:54 |
【人】 灯守り“霜降” 月輪[ 私が、あの時あの子を白露に推薦しなければ 今でも一緒に霜降の屋敷で一緒に過ごし、 仕事し、笑い、戯れていたのでしょうか。 会合だって、私と蛍である彼女が一緒に参加する 未来があったのかもしれません。 どちらが幸せだったのか、今の私にはわかりません。 今の彼女の姿が、私の家に居た時よりも 輝いているように見えて。 おめかししている>>84だけでは無く、心も。] (130) 2022/01/29(Sat) 16:41:09 |
【人】 灯守り“霜降” 月輪[ 断られたならば「じゃあまた今度ね」と 引き留めることはしませんが、 表情に浮かぶ残念さは、きっと隠せなかったでしょう。]* (131) 2022/01/29(Sat) 16:41:55 |
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