T『魔術師』 シンは、メモを貼った。 (a30) 2022/12/14(Wed) 22:03:54 |
【人】 T『魔術師』 シン―― 誕生日会翌日 ―― [ 昨日は楽しかったね! そんなふわふわした雰囲気がまだ残る朝だった。 クロくんの作った飾り、ちょっと残しておこうよ! とか言って、広間の壁の一角に、 まだ貼られたまんまだったかもしれない。 ――だけどそんな雰囲気は、じわじわと漂ってくる 張り詰めた空気に塗り替えられていく。] え……? [ 職員の人――昔からここにいるその人が、 平静を装いながら言ったことに、ぼくは目を瞬かせた。 たぶん上手く対応は出来てなかった。 笑顔も半分落として、惹かれるように玄関ホールの方へ。] (426) 2022/12/15(Thu) 23:22:56 |
【人】 T『魔術師』 シン……ヴェル、兄、さん、 [ その姿は正しく、ぼくの大好きなヴェルト兄さん、 その人だった。 7年前、突然居なくなってしまったヴェル兄さん。 誰に何も言ってくれなかった。……ぼくにだって ぼくにとってヴェル兄さんは、 物心付いたときからそこにいた人だ。 もう手を引くことはなくなっていたとしても、 突然いなくなってしまったヴェル兄さんに、 欠けてしまったぼくの世界の大切なピースに、 流石に心にぽかっと穴が空いた気持ちがしていた。 だけど表向きは、笑顔のぼくのままだったと思うよ。 ……フォル兄さんやシャル姉さんやタナトスの前では、 ちょっと凹んでたぼくを見せてたかもしれないけど。 「どこ行ってたの?」と、声を掛けたかった。 ぼくはヴェル兄さんのこと、 生きてるって信じられてはいなかった。 周りの職員さんたちが「死んだ」と口にするなら、 そういうものだと、どこか諦めていた。 だけどまた会えたなら――そんな嬉しいことってないね。] (427) 2022/12/15(Thu) 23:23:43 |
【人】 T『魔術師』 シンう、え、…………? [ 自分のものではない、だけど強すぎる感情に、 呑まれていく。 頭が、心臓が、気持ち悪いぐらいに痛くなる。 この感覚は知っている。 嫌というほど隣り合わせにあるものだ。 ぼくの中にいる『魔術師』が叫ぶ。 この人は我らの『神』であるのだと。] (429) 2022/12/15(Thu) 23:25:00 |
【人】 T『魔術師』 シン…………誰、? ヴェル兄さん、は、……? [ ただ、そう言えたのは間違いなくぼくだ。 理解しているのはぼくじゃない、 知っているのはぼくじゃない、よ。 ヴェル兄さんの顔して、そんなことを言わないで。 だけどぼくの小さな抵抗は特に何になることもなく、 『誰か』は話を続ける。 ぼくらに愛してると言いながら、 ぼくらに無茶な選択を迫ってくる。] (430) 2022/12/15(Thu) 23:25:29 |
【人】 T『魔術師』 シン[ ただ、それが数年経って、 7年前、ヴェル兄さんが出ていく前に もう一度聞かれていたなら、] ……もしかしたら外の世界は、ぼくが思ってるよりも、 みんなには辛いものなのかもしれないね ……なんとか、出来ないかな? [ 洋館にもだんだんと人が増え始めていた頃だった。 証持ちが世界にとってどんなものなのかと、 だんだんと分かり始めてきていた。 その頃からぼくは、世界というものが もう少し良いものにならないかと、 時々考えるようになった。 ……だけどね、滅べばいい、なんて、 ]考えたことなかったな。 崩壊させる必要なんて、ないんじゃないかな……? (433) 2022/12/15(Thu) 23:27:07 |
【人】 T『魔術師』 シン[ みんなには、笑っていてほしいよ。 ]でもみんなが外の世界で幸せなら、 ここには居なくなってしまうの? みんなには会えなかったの? 世界の在り方を考えるとき、 ぼくはいつだって他人事だった。 世界が辛いのはみんなで。 世界が優しくなって欲しいのはみんなに対してで。 "外の世界"にぼくは最初からいないんだから。 外の世界に対しての興味や、憧れみたいなものは、 昔はあった。 外の世界の話を聞いたりするのも好きだったし、 見たことない景色を夢想したことはある。 だけど、いつからだろうね? 外の世界はぼくにとって、どうでもいいものになっていた。 ――ぼくには、この小さな世界があれば、それで良かった。 じゃあ別に、世界なんて滅びても良いんじゃない? みんなと一緒にいられるのなら、それでもいいんじゃない? ……そう考えるのは、いけないことだね! (434) 2022/12/15(Thu) 23:28:51 |
【人】 T『魔術師』 シン[ ぼくはヴェル兄さんみたいに、 カルクくんを叱ることはなくて>>0:614、 ヴェル兄さんが叱るなら、 ぼくはカルクくんには普通に接していた。 ヴェル兄さんが出て行ってしまってからも、 その役目を引き受けることはなかったかな。 きみはあの頃から叱るようなことをすることは なくなったから。 ぼくは祈祷室に行くことは少なかった。 これはフォル兄さんの売店のお手伝いもそうだけど、 そこを自分の居場所と決めて、 そこに人が来るようになるなら、 そこに居るのはぼくじゃなくていいと思うんだよね。 もちろん避けてるってことはないから、 時々行くことはあるけど! 立派にお兄さんをするようになったきみのこと、 ぼくは、いいことだな、って、思ってるんだよ。 だから、今も、そのままの日常のきみで、 居てくれたらいいのに。 *] (437) 2022/12/15(Thu) 23:31:51 |
(a69) 2022/12/15(Thu) 23:34:37 |
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