【人】 陽光の元で ニーノ「──ピザください!!!」 商店街の一角、響き渡る声は元気に煩い少年……のような年頃にも見える男のもの。 相対する店員は勢いに笑いながらも種類を尋ねてくれたので、とりあえずかぼちゃサラダとチーズクリームのものを指差していく。 「……ん?うん、休憩中。 サボりじゃないから大丈夫だって! 仕事は真面目にやってます〜……あ。 今すぐ食べたいけど一応持ち帰り」 顔見知りらしい店員は、また勝手なことをして上にどやされてないかと茶化しながらも商品を詰めていく。 特に気を害した様子もなく笑って受け答えしながら、今日の昼食は幸福が確約されたも同然だなと袋に収まっていくピザを嬉しそうに眺めていた。 #商店街 (40) 2023/09/08(Fri) 21:29:13 |
【人】 陽光の元で ニーノ>>43 フィオレ 「……あれ」 詰めてもらった袋を持ってピザ屋を離れようとしたときに、聞こえてきた注文する声に自然と視線がそちらへと向く。 見えるのはとりあえず紙袋──だったわけだが、その向こうに見知った顔を見つけると口元が綻んだ。 「あ──やっぱねえさんだ! 奇遇だな、オレもピザ買ったところで…… ……っていうか荷物多」 偶然会えたことへの嬉しさを少しも隠すことなく話し始めようとしたが、それよりも前に見るからに多い荷物が気に掛かる。 傍へと駆け寄っていけば躊躇いなく差し出したのは片手だ。 こちらの荷物は現状ピザの袋ひとつしかないので。 「落ちそう、持とうか?」 (63) 2023/09/09(Sat) 4:35:46 |
【人】 陽光の元で ニーノ>>64 フィオレ 呼んでもらえた名は今の家に迎えられる前まで抱いていたものだ。 形にしてもらえる度に "戻れた" 感覚がして嬉しかったから、笑みを深めたけれど。 「え〜大きな声がオレのトレードマークってこと? 恥ずかしいな、もういい大人なのに……」 頬を掻きながら自然、ついと視線が逸れた。 小さな頃から自身を見ている貴方にとっては何年経とうが子供のようなものかもしれないけれども、こちらとしてはようやく去年成人できた気分でいるから。 とはいえそんなことだけで拗ねるのもそれこそ子供だし、そもそも機嫌を損ねたわけではないからすぐに向き直る。 「休憩時間だからいいんだろ。 仕事中だったらできなかったからタイミング良し」 まだ次の見回り時間までに余裕はある。 預かった袋を言われた通りに近くの空いたベンチまで持っていけば、貴方を振り返った。 「……にしてもこんな大量の荷物、家用? それとも職場のものなのかな」 #商店街 (67) 2023/09/09(Sat) 8:28:51 |
【人】 陽光の元で ニーノ>>87 フィオレ 「ぐ……ねえさんにそう言われると変えなくてもいいような気が……」 「…………イヤッ、でも舐められないかっこいい大人にはなりたいし……」 「……ご、五年後ぐらいにニューチャームポイント見つけるから期待してて!」 ずっと見守ってくれていた貴方がいつか抱くかもしれない寂しさは、弟側からは見えないもの。 びしっと何やら言い放って未来への決意を表明したところで。 「一人でいるより誰かと居る方が好きだし、ねえさんならなおさら!」 邪魔したわけではないから安心してほしいのだと真っ直ぐに言葉を重ねた。 それから先に座った貴方の隣にこちらも腰を下ろし、ちらりと袋の中身を覗き込む。 教えてもらえた情報と重ね合わせて「なるほど」と納得した様子だ。 「そうだったんだ、バー……かっけえ。 にいさんの喫茶店とはまた違うところ?」 あれやるのかな〜カクテルの、カシャカシャするやつ……かっこいいよな。 脳裏に思い浮かべているのはシェイクしている貴方の姿だった。 うん、やっぱりいいな、かっこいい……と一人で頷いている。 ポワワ……。 #商店街 (90) 2023/09/09(Sat) 15:49:35 |
【人】 陽光の元で ニーノ>>92 フィオレ 「うん! だから五年後も元気にオレに会ってくれよな、フィオねえ」 そんなことわざわざ告げなくてもいい気がするのだが、気が付いたらすぐそういう心配をしてしまう。 風邪を引いていないかとか、ちゃんとご飯は食べれているだろうかとか。 今も未だ貴方との色濃い記憶は幼い日で止まったまま、それもこうして逢瀬を重ねていけばいつかは変わるだろうか。 「へへ、でもねえさんもそうだろ? ん、仕事でもちゃんと仲良くは……できてるはず。オレの一方的なかたおもいじゃなければ…… あ、最近さ!いろんなせんぱいの“一番弟子”になったんだ。 趣味教えてもらってる、お菓子作りとか、花育てたりとか」 あとチェスにハーモニカも!と指折り数えたそれを貴方に伝える姿は、やっぱり幼いときとそう変わらないままだが。 教えてもらえた店については「へ〜……」と、知らない世界を覗き見てそわつくような声色を。 「Collare……初めて聞いた! 個性的って、店主さんが面白い話とかしてくれるってコト? オレでも行っていい場所かな〜、一応お酒はもう飲めるし……。 遊びに行っても怒られない?」 #商店街 (96) 2023/09/09(Sat) 20:18:20 |
【人】 陽光の元で ニーノ>>117 フィオレ 投げかけた約束が、少し形を変えて戻ってくると驚いた様子で瞬きを繰り返す。 けれどそれは嬉しさを呼び起こすものであったから、当然のようにすぐまた笑みを浮かべた。 「──わかった!約束する! ねえさんは流石だな、オレも頑張ろうにしてくれるんだから」 約束は心の縁だ。 降り注ぐ冷たい雨が頬を打ったとしても、俯いて蹲ってしまわないように。 手渡されたものを真っ直ぐに受け取れるのは貴方と過ごした時間のお陰。 「すっげ〜〜〜楽しい! あ、勿論仕事も頑張ってるけど! 愛されてたら……うん、いいな。 オレはせんぱいたちのことだいすきだから」 向けている好意と同じものが返ればいいと望むことはなんだかくすぐったい。 それでも本人たちが目の前にいるわけじゃないという状況に甘えて、貴方の前で願いを言葉にする。 語る人々が貴方の友人であるということも勿論、知らないままに。 「ホント?じゃあ今度行ってみよ! ねえさんの職場は気になるし、バー初体験もしたいし……あっ」 「やべ、そろそろ行かないと。 ねえさん、道一緒のところまで荷物持ちしようか? それともまだ買い物する?」 #商店街 (118) 2023/09/10(Sun) 8:15:24 |
【人】 陽光の元で ニーノ>>142 フィオレ 「わ」 くしゃくしゃと頭を撫でられると声が漏れた。 ついきゅっと目を瞑ってしまったが、これは小さなころから触れていたぬくもりだ。 嫌ではなくて、ただちょっと心の奥の方がくすぐったい。 もう子どもじゃないんだけどな、とか。 伝えそうになった言葉は飲み込んだ。されなくなってしまうのも寂しいものだろうから。 「教えてもらってるけど〜…… …………直接確認するのは恥ずかしい…… ……勇気出たら、そのうちね」 「でも、フィオねえがそう言ってくれるのはうれしいよ。 ありがと、…あ、もちろんねえさんのこともだいすき!」 こちらは元気に弟バカなので、貴方には好意を伝える声に躊躇いもない上、同じものが返っていると信じ切っている。 「やった、じゃあ一緒に行けるの楽しみにしてるから。 ……ん、なら荷物抱えすぎて、うっかり転ばないように気を付けて!」 ぴょいと立ち上がったところで頑張れポーズに気付けば、「がんばる!」とこちらはオー!のポーズを取って満面の笑み。 そうしてまたな〜!とぶんぶんぶん、手を振りながらも駆けて去って行くことだろう。 ……あ、ピザ食べるの忘れてたな、まあいいや。 幸せでおなかいっぱいだし。 #商店街 (148) 2023/09/10(Sun) 21:36:05 |
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