【人】 一匹狼 “楓”[手を握り返す彼女は驚いていた。 その末に両手で包み込んでくる、その仕草はまるで慈しむかのよう>>84] どうかしたか……? [彼は思わず問い返していた。 ただの握手にしては随分と感慨深げに思えたのだ。 そうして先の問いに答える彼女の反応を見て、もうひとつ、違和感を覚える。 今、彼女は疑問を覚えた風ではなかったか。 息災という言葉は定かか。 彼が思ったのはそのことだった。 手が握れるほどに近づいてみれば、彼女の髪が銀ではないことにも気付く。>>61 黒と白が混じったその髪だけなら老婆のそれにも見えようものが、顔立ちは幼女にも思えるほど。 それでいて彼女の体躯を、少なくとも彼は大人の女性と思っていた。判断材料は背丈ぐらいしかないのだが。かつての日々でも、彼女のことをずっと大人の女性と思って接していた] (100) 2023/03/01(Wed) 12:51:43 |
【人】 一匹狼 “楓”[逢いたかった。>>84 その実に嬉しそうな言葉に>>86、彼は思い返す。少し前の彼女の言葉を。 『きっと、お会いできると思っていましたの。』>>61 辺りの人影どころか記憶さえも朧げなこの場所で、彼女は何を信じていたというのか。 ……何か、知っているのだろうか] そうなら会いに来てくれりゃいいじゃねェか。 あいつに渡せば、あんたも見るかと思ってたぜ? [心がざわめくのを感じながら、彼は軽口で気を紛らす。 彼が言うのは、かつて彼女に出会ったときに別れ際に手渡したカードのことだ。彼の勤め先の名前と住所が記された、個人のものではないにしろ名刺のような代物。 それを彼が渡した相手は彼女本人ではなかったが──渡した相手は彼女と共に在る人なのではないか、となんとなく思ってのことだった] (101) 2023/03/01(Wed) 12:51:59 |
【人】 一匹狼 “楓”どこか行く宛あるのか? 椿。 [手を引かれるままに歩み始めながら、楽しげな彼女の後ろ姿へと声をかける。 行く宛なく散策というのも楽しかろうが、懐かしい人との再会を経ても、彼の内にはまだ『休みたい』という感覚は残っていた>>31] 行く宛無いなら、鍵がある。 あちこち建ってる小屋の鍵じゃねェか? ……どうやって手に入れたか覚えてねーけど。 [空いた片手で懐の鍵を取り出し、彼女に見せる。鍵には大きなキーホルダーがついて、そこに番号が刻印されている。 道行く先には番号の書いた背の高い立て札がいくつもあった。鍵の番号と立て札の番号を合わせれば、その先の小屋で鍵が使える可能性は高いだろう。 手に入れた過程を覚えていない鍵というのは実に怪しげなものではあるが、彼はなんとなく感じているのだ。ここに危険はないと。>>30 夢の中では奇妙な出来事に遭遇しても疑問を抱かないもの。彼のこの感覚は、そういったものに似ていると言えるだろう。これが本当に夢の中なのかは、また別の話であるが]** (102) 2023/03/01(Wed) 12:53:07 |
【人】 一匹狼 “楓”[落ち着いた足取りで階段を上がり、入口の扉に鍵を差し込む。 鍵は無事回り、解錠できた。扉を開けると中に照明を見つけ、ひとつひとつ灯して歩きながら内部を見て回る。 一階はリビングとキッチン、二階は寝室で、二階の片隅には屋根裏への梯子があった。 ……そして] あ……。 [呟きとともに、彼は(3)1d3つあるベッドの脇に歩み寄った。 そこには彼が“いつもの旅”で持ち歩く簡素な手荷物があったのだ。 記憶こそ朧げだが、一度ここへ来て荷物を置いたようだ。ならばこの小屋を借りる契約をしてから来たのだろう。彼はそのように判断した]* (121) 2023/03/01(Wed) 16:55:53 |
【人】 一匹狼 “楓”[不意打ちで声をかけられて、彼は暫し硬直していた] ……いきなり驚かせんなよ。 使っていいんだと思うぜ。 リクエストは……、…… [リクエスト。そう言われて浮かぶ料理の種類はひとつしかなかったのだが、何となく言いづらくて一瞬視線を逸らす。] ……肉料理。 何か手伝うよ、黙って待ってるのも暇だし。 [結局正直に告げたが、幅広すぎるリクエストである。細かいところは彼女に任せるつもりなのだろう。 手伝いを申し出て彼女へと歩み寄る。拒まれでもしなければ共にキッチンへ向かい、約束通りに手伝うだろう。巧拙はともかくそれなりに手慣れてはいるはずだ、彼も日頃は自炊だから]** (143) 2023/03/01(Wed) 19:43:40 |
一匹狼 “楓”は、メモを貼った。 (a22) 2023/03/02(Thu) 6:53:25 |
【人】 一匹狼 “楓”[彼女の内心など知りえないものの、螺旋階段を降りる姿が彼にはどことなく上の空のように思われた。>>188 だから心配していたのだが、特に何事も起こらず1階へと辿り着く。 階段を降りた後は、軽く辺りを見回し、リビングに彼女のマントがあるのを目に留めた>>141。少しばかりじっと見つめた後、彼は椿の後を追ってシステムキッチンへ向かった。 男の子と呼びかけられ、肩をすくめる] どちらでも、お好きなように。 [些細なからかいにまでいちいち腹を立てるほど子どもではない、と彼は自認していた。心に余裕がある時に限られる話だろうけれど] (213) 2023/03/02(Thu) 8:31:28 |
【人】 一匹狼 “楓”[彼は頼まれた通りに人参の輪切りを作る。求められる厚みを確認した上で。>>206 彼女の容姿のアンバランスさ>>61と言動の不安定さは、楓に幾許かの不安感を呼び起こした。先刻から続くいくつかの印象と混ざり合って、彼の気分は言うなれば吊り橋の上。緊張感が抜けぬままだった。 肉の焼ける音が聞こえ始め、彼女の呟きが落ちると、彼は調理台よりも彼女の横顔に紙片を向けた] 自分が人間じゃないようなこと言うんだな。 [見当がつく『あの人』よりも>>101、彼が問うことを選んだのはそちらだった。 落ち着いているかのようでいて緊張を孕んだ低い声音は、彼女が最もよく聞いた“楓の声”に相違無いだろう──記憶に残っていれば、の話だが]** (214) 2023/03/02(Thu) 8:32:09 |
【人】 一匹狼 “楓”[食器を洗い終える頃、彼女は戻ってきていただろうか。 戻っていたならその後どうするかは彼女次第になるかもしれない。 もし戻らなかったなら、彼はコテージ内探索がてらに彼女の姿を探すだろう]** (361) 2023/03/03(Fri) 17:10:30 |
【人】 一匹狼 “楓”[彼の入浴はいつも烏の行水。 今夜もそうするつもりだったけれど、用を済ませて出ようとしたとき、湯気で曇った鏡に目が留まった。 濡れた手で拭ってみると、映り込む姿は当然のように水滴で歪んでいる。 鏡の中の自分の輪郭を、震える指先で静かになぞった] (390) 2023/03/03(Fri) 22:51:07 |
【人】 一匹狼 “楓”[バスルームから出てみると、彼女の姿は無かった。 それを気には留めずにキッチンで水をグラス一杯飲み干して、再び螺旋階段に向かう。 2階ホールに出てみると、ソファに沈む彼女の姿があった。>>389 よく見ると眠りに落ちかけているようで] 椿、寝るならベッドにしとけよ。 [起こすつもりで、少しだけ声を張った。 彼女にとっては聞き慣れた声音であろう。大勢相手に重要なことを話そうとすれば、どうしてもそういう声になる。 彼女に声をかけた後、彼はまっすぐにベッドに向かった。 >>121自分の荷物が脇に置いてある、一番出入り口から遠いベッドだ] (391) 2023/03/03(Fri) 22:51:30 |
【人】 一匹狼 “楓”[眠りに落ちかけていた彼女をベッドへ運んだ後、中央のひとつを開けて端のベッドに潜り込んでから、彼はずっと微睡みの内にあった。 夢を見続けていたのだ。ごく浅い眠りの中で。 あの日在り方を変えてからずっと続く悪夢を。>>2 もっとも、正しくは“悪夢”ではないのだろう。 いつかは必ず現実になると確信の持てることだから。 必死に先送りにしているに過ぎない。 そういう意味では予知夢にも近いものだ。 そんな状態だったから、彼女が目を覚まし部屋から抜け出る気配とほんの僅かな物音で、彼の意識は自然と現実に戻った。>>426 眠りに落ちていたなら絶対に気付かないような小さな音だったけれど。 まだ朝と呼ぶには少し早い時間。 だからといって呼び止めるようなことはない。 背を向けたまま彼女の気配が遠退いていくのを感じ続け、どこにいるか見当がつかなくなってから、やっと小さく息を吐いた。 室内に人の気配が無くなった今、ようやく落ち着いて眠れるだろう。ごく僅かな時間であったとしても]* (431) 2023/03/04(Sat) 11:18:59 |
【人】 一匹狼 “楓”[階下に降りてまず顔を洗い、ふと、鏡を眺めた。 鏡の中にいる自分は、昨日と変わりなく見える。 変わったとするなら、それは── 指を伸ばして静かにその輪郭をなぞり、すぐに掌で痕跡を拭い消した。] (444) 2023/03/04(Sat) 14:48:43 |
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