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【赤】 看板娘 シュゼットー「Bar passione」ー 「ーー…ぁ…。」 フェスが終わり、狂熱は過ぎ去り、肌寒い暗闇ばかりがバーの中に満ちている。 けれど、どこからは一筋の煙の如くか細い、甘やかな声が響く。 見れば、バーカウンターの中で、一人の少女が椅子に腰掛けていることに気付くだろう。 少女の頬は上気し、白い肌に微かに朱が差している。 薄い唇は浅い呼吸を繰り返し、時折また甘やかな声が漏れる。 上衣は、すっかりはだけられて僅かに脂肪を蓄えた程度の慎ましい胸部と、薄く色づいた先端を曝け出している。 下腹を覆うスカートへ少女自身の片手が潜り込み、時折に水音にもにた粘着質な音が漏れ聞こえてくる。 (*29) 2022/11/29(Tue) 19:52:08 |
【赤】 看板娘 シュゼット「ーーエー…ス、さ…ーあっーー…」 少女が腰掛けているのは、バーテンの男がよく腰掛けている椅子だった。 ーー憧れの彼がよく使う場所で、こんなはしたない事をしている。 その事実が背徳感となり、少女を興奮させる。 こんな事をしているとバレたら、怒られるだろうか。 行為の跡や残り香に気づかれてしまうだろうか。 ーーー今の自分の姿を見たら、興奮してくれるだろうか。 んっ!ーーひっ……ふぁ…ー。 少女の背が跳ねる。 彼が興奮した姿を想像して、堪らなくなった。 (*30) 2022/11/29(Tue) 19:53:13 |
【赤】 看板娘 シュゼット空いていた片手が、胸の先端へと伸びる。 いつも頭を撫でてくれる、彼の温かな手。 もし自分に触るとしたら、どんな風に触ってくれるのだろう。 そんな事を考えながら、先端を摘み上げて、左右に転がす。 いつも、「頑張ったね」と優しく褒めてくれるあの声で、「愛している」と言ってくれたら、どれだけ気持ち良くなってしまうだろう。 でもそれは叶わない、あの人にとって私は大事な大事なーー『娘』のような存在だから。 だから、こうして想像の中にいる彼と情交にふける事しか出来ない。 (*31) 2022/11/29(Tue) 19:53:47 |
【赤】 看板娘 シュゼット「ーーエースさ…ー、好き…です。 私、貴方がーー…。」 胸の奥に、虚しさが募る。 こんな行為では何も解決しない。 わかっている、わかってはいても心が彼を求めてしまうのだ。 「…ごめんなさい、エースさん。 ごめんなさいーー…」 意図せず、謝罪の言葉が口から溢れる。 頬を雫が一筋、伝い落ちる。 届かぬ願いと知りつつ、行為を止められない自分を恥じた。 少女の声は止む事なく、人気のないバーに響き続けた。 (*32) 2022/11/29(Tue) 19:53:58 |
【人】 看板娘 シュゼット―数年後― ――中央広場、その一角に大きな人だかりが出来ている。 何故なら、今日はラ・コスタを代表する歌姫――かつては、バーでひっそりと歌っていた少女――と、「エース」と呼ばれた演者が結ばれる日であるからだ。 人だかりの真ん中では、純白のドレスをまとった女性が今まさに声をあげようとしていた。 (110) 2022/12/02(Fri) 0:00:30 |
【人】 看板娘 シュゼット歌が終わり、大きな歓声があがる。 ――ここは美と芸能の街、ラ・コスタ。 また誰かが、この街に夢を見て訪れる。 その結末がどうなるにせよ、どうか一筋の幸せがありますように。 (111) 2022/12/02(Fri) 0:07:14 |
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