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【人】 ]Y『 塔 』 プロセラ―― ■■■■■ ―― [ 逃げ込む様に迷い込んだのは屋根裏部屋だった。 なつかしくて、落ち着いて。 練習をするにもいい台本が見当たらないまま燻って 足を投げ出して座り込んで、また眠っていたらしい。 埃っぽい床に頬ずりしながら見上げる 少し煤けた天窓で刳り貫いた夜空に映り込んだ 月明かりが透き通るきんいろの眩さに やっとの事で開いた目を、灼かれぬようにそっと細めた。 やっぱり違うな、って思ったから、 そのまま無視してもう一度目を閉じた。 あんなに焦がれたあなたを、わたしが見間違う筈ない。 だから、 わたしのかみさまではないあの御方の 問い掛けをぼくは寝たふりをして、無視をした。* ] (11) 2022/12/20(Tue) 0:32:20 |
【人】 ]Y『 塔 』 プロセラ[ ほんものがやってきたのは2年前>>0:@3。 整った身形に健康的な肌色 作法なんかまるで知らずともきれいだとわかる 品のある立ち居振る舞い。 ただ生かされていた自分とは まるで違う扱いを受けて来たんだと 考えなくたって理解出来てしまった。 必要がなくなったからここに捨てられたのだと 思い、落胆した日の自分を心の内で嘲った。 なんだ、最初から必要無かったのか、って 知りたくなかった事実に気付いてしまったから。 ] (248) 2022/12/21(Wed) 23:19:27 |
【人】 ]Y『 塔 』 プロセラ[ どうやったって痣は消せも隠せもしないのだろう 長い歴史の中で試した例くらいあるだろうし、 切り落とせないのだから諦めたらよかったのに。 きっとまわりの大人はみんな解っていた。 それでも諦める訳にはいかない誰かがいただけで。 まぁそうか。そりゃそうだ。 王子さまをつくるつもりなら必要なのは 『痣が無い事』だけじゃない。 何にも知ら無い頃ならまだしも、 その頃のぼくにはもうある程度の理解は出来て ほんとに無知だったなぁって、 過去を懐かしんだだけで終わった。 なんだかわりとどうでも良かったから。 それしか無かった頃なら落ち込みもしただろう。 けれど――… ] (249) 2022/12/21(Wed) 23:20:17 |
【人】 ]Y『 塔 』 プロセラ『プロセラー!』 [ おひさまみたいに笑うきみがぼくを呼ぶ声がする。 きみの笑顔を求めてぼくの傍を訪れてくれるひともいる。 それだけでぼくの毎日はわりと満たされていた。 ] (250) 2022/12/21(Wed) 23:21:30 |
【人】 ]Y『 塔 』 プロセラ―― 夜明け前・屋根裏部屋 ―― [ ぼんやり目を開けたらまだ真っ暗闇で。 天窓から差し込む月明かりの淡いスポットライトに 舞う埃が照らされきらきらひかってた。 >>11誰かいた気がする。 けれど今はこんなとこ誰も来ないだろう。 >>3:3わざわざ答えを聞きに来るなんて思っても見ないから 夢でも見たのかな?って納得して 寝起きでまだぼやけてる視界に瞬きをふたつ、みっつ。 そこでようやく不自然な温もりに気付いて 瞬きで幾らか晴れた視線を下ろせば 胸の辺りに、夜に似合わぬ色>>132を見つけた。 彼女に教えられて、覚えて 最近では随分とぎこちなさも減った手付きで そろりと冷えた太陽の色を撫でる。 見た目通りに冷え切ったそれに 温度を灯そうとするみたいに、繰り返し、繰り返し。 ] (251) 2022/12/21(Wed) 23:25:17 |
【人】 ]Y『 塔 』 プロセラ[ こんなとこになんできみが居るの。 疑問に思うのではなく、ちょっと呆れる様に思う。 なんで、なんてわかりきってる。 きっと心配して、探しまわってくれたんだろう。 過去のぼくが誰にも必要無かったとしても わりとどうでも良いって思えるくらい きみにぼくが必要だって全身で伝えてくれる事に 救われてるぼくはたしかに此処に居て。 此処に来て暖かさを覚えてしまった所為で 寒さを理解したぼくもいる。 あたたかな日差しの下でも時々感じる寒さを訴えてみたら くっついて、だきしめれば寒くないって おしえてくれたのも君だった気がする。 そんな事を考えながら、寒そうな肩を抱き寄せて 腕の中に閉じ込めた。 もう一度目を閉じれば、きみのちいさな吐息の音を さっきまでよりつぶさに感じる。 あんしんしきった溜息が勝手にこぼれて、 きみの吐息のおとにかさなった。 あったかいな、っておもいながら 旋毛に鼻を埋めて、意識が途切れるまで 眠るきみのぬくもりをかんじていた。 ] (252) 2022/12/21(Wed) 23:27:14 |
【人】 ]Y『 塔 』 プロセラ[ ……――なのに何故だろう。 まだなにかが足りないんだ。 贅沢に慣れ過ぎてしまったんだろうか? 呼べない知らない名前が喉の奥につっかえる。 ひとのぬくもりを知ってしてしまった所為で 『きみ』が隣に居ない事が、こんなにもさみしい。 * ] (254) 2022/12/21(Wed) 23:32:02 |
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