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【人】 橘――お花見―― [目的の公園は多少の花見客はいるものの騒がしさはなく ゆっくりと花を愛でる人が多いようで これなら落ち着いて過ごせそうだとほっとする 賑やかなことは好きだが今は 桜に囲まれた石造りのテーブルが空いているのを見つけそこに落ち着くことにした 「酒はないのかい」などと言い出すおふくろを「退院まで我慢してください」と幸さんが宥める] わかったわかった、それじゃ退院祝いはぱーっとやろう 「天海」あたり用意しとくから [親父も好きだった懇意にしている酒蔵の銘酒をあげれば、ならいいと笑顔になるんだから ちょろ…… かわいいもんだまあ、酒がないと残念に思ったのは俺もなんだが] (17) 2022/04/14(Thu) 1:16:51 |
【人】 橘 「はい、どうぞー」 [とテーブルに弁当を広げる 先に聞いていた以外に小さなおにぎりも詰まっていた] 「中身は鮭とたらこです」 [お好きでしょう?とにっこり笑って取り皿を渡される お稲荷さんだけでも十分なのにわざわざ作ったのかとはさすがに聞けず、適当に返しながら皿にとる] いただきます [きちんと言って手を合わせる。こうしないと両親だけじゃなく爺さん婆さんがうるさかったから そうしてパクリと弁当を口に運んで] あ、うまい 幸さんしばらく会わないうちにまた料理の腕上がったね? [唐揚げは冷めても柔らかジューシーだし、卵焼きは出汁とほのかな甘みがちょうどいい] (18) 2022/04/14(Thu) 1:18:42 |
【人】 橘 「そりゃ、あたしが鍛えたからね」 [なぜかどや顔のおふくろに頷く幸さん 本当に仲がいい、だから安心して船に乗れたんだと思ったところで 「花嫁修業だったんだけどねぇ」 と言われて危うくおにぎりを詰まらせるところだった]「いいお相手がいなかったんですよねぇ」 [と幸さんは大げさにため息をついてから、笑った もちろんおふくろも俺たちの間にそういう気持ちがないことは知っている 嫁に、と言いつつ娘のように思っている幸さんを手放したくないと思っていたのも知っている そしてまた、おふくろのためにとか恩返しでとかでそうしようと思う二人じゃないこともわかってるんだろう 少しだけ申し訳なくも思うけれど] でも幸さんならまだチャンスはあるんじゃないか? [とまあ身も蓋もないことを言って見せたなら 「お前もね」と言われて今度こそ本気で咽た] (19) 2022/04/14(Thu) 1:20:46 |
【人】 橘 俺も相手とかいないっての それになぁ、さすがにこれからじゃ孫は無理だろうし 「お互い様ですねー」 [そんな言い分を聞いて「まったくアンタたちはー」と言いながらお稲荷さんを口に運ぶ 当たり前だか嫌なわけではない、ただ うちに来た頃はまだ子供だった幸さんを「年の離れた妹」のように思っていて、それが今も変わらないというだけなのだ 時折、惹かれることがあったとしても ]それより留守中の話聞かせてよ 何か変わったこととかなかった? [と水を向け幸さんがそれを受けて話し始める それをおふくろが混ぜ返して、いつもの食卓へと色を変える] (20) 2022/04/14(Thu) 1:22:38 |
(a5) 2022/04/14(Thu) 1:28:46 |
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