修復師 ラシードは、メモを貼った。 (a1) 2022/11/04(Fri) 0:32:13 |
【人】 修復師 ラシード ─ キュラステル南部:港町 ─ ……わぁ、あ…。 すごいです……すごい、ですねっ…… ………いやあの、すごくないですか!? 嘘でしょ!? あの窓の意匠、とっくに失われた技法ですよ!? [衛士に引っぺがされた布頭巾を巻き直しながら。 港の門から島内へと足を踏み入れた若い男は1人、 見開いた目をあちこちへ巡らせ、きらきらと輝かせながら 賑わう朝の街並みを、おっかなびっくり歩いている。 あまりにもあちこち余所見するものだから、 朝市に向かって野菜をたんまり積んだ荷車と危うく衝突しかけるところだ。] ったわぁ!!すみませんっ!! [ぺこぺこと頭を下げる彼に対し、 荷車を引く驢馬に乗った農夫は 「気ぃ付けなぁよ」と笑いかける。 そんな顛末を遠目から眺める人々の目も何処か穏やかだ。 宝箱とも喩えられるキュラステルの住民にとって、 このような光景は風物詩のようなものなのかもしれない。] (38) 2022/11/05(Sat) 2:10:20 |
【人】 修復師 ラシードええ、と……キャビネットはそう遠くはない筈。 例の魔術錠の場所は、っと…… [路肩に身を寄せ、半ば影の中に潜るようにして 男が懐から取り出したのは、 この島の───キュラステルの地図。 銅版一色刷りの紙面は内外双方に向けたものだが、 男が取り出したそれには多くの書き込みが為されている。 美術館>>31を含む主たる保存施設の他にも、 長い歴史を持つ寺院>>11や聖堂>>15、 島唯一の病院>>23、他にも様々な施設に手描きの印が刻まれ。 細かい道、裏道のひとつひとつも色とりどりに塗り分けられている。 此処を初めて訪れる者が持つ地図としては ]相応しくないほど────詳細に。 (39) 2022/11/05(Sat) 2:10:45 |
【人】 修復師 ラシード[ ”遺物修復工匠組合”は でっちあげの工匠集団である。 その実態は、キュラステルに納められたとある宝を奪うべく 或る少数獣人族の若者が組織した、”一度限りの盗賊団”だ。 たった一つの宝物を手に入れる為だけに、 彼は多くの人間を巻き込み、綿密な計画を立て、 舞台を練り上げ────そして今、演じている。 波間に浮かぶ標本箱、 その輝きにはしゃぐ”只の職人”を。 ] (40) 2022/11/05(Sat) 2:12:28 |
【人】 修復師 ラシード─ 来訪者、または贈り物 ─ [若き職人の正体と、その来訪を知る者の元には 何者かの手によって、紅い祝福が届き始める頃か─── もしくは、それはとうの昔に渡されていて。 彼等の手元にずっとずっと在ったのかもしれません。 その紅は、呪を祓う紅 。計画の日、夕刻の鐘>>13が鳴る時に、 口と鼻を覆うようにこれを纏って欲しい、 そうすれば”呪い”を免れることができるから、と。 彼等にそう告げたのは 工匠組合を名乗る”同胞”か、手紙の質素な文面か、 はたまた────もっと気の利いたメッセンジャーだったでしょうか。 紅い呪布は、同胞の証 。この島を犯し、滅ぼす呪いを招き入れた裏切りの証。 ───それを失うことは、 彼等との信頼関係よりも遥かに大切な物を失うことを意味するのだけれども。] (41) 2022/11/05(Sat) 2:15:26 |
【人】 修復師 ラシード[ 首魁の狙う”宝”は一つだけ。 だが、それだけの個人的な理由で 協力者を集めることは出来ない。 ……船に乗って訪れた同胞たち、 工匠を名乗る共犯者たちの協力理由は様々だ。 とにかく金が入り用だとか。 相乗りの形で盗み出したいものがある、とか。 この首魁に何らかの形で恩義を感じている、だとか。 若しくは───彼が此れから撒こうとしている 禁じられた”呪い”のデータを取りたい、だとか────]** (42) 2022/11/05(Sat) 2:22:19 |
修復師 ラシードは、メモを貼った。 (a8) 2022/11/05(Sat) 2:32:44 |
【人】 修復師 ラシード[彼の手元の地図、青い顔料で塗り潰されたエリアは “協力者”たる学星院上層部の管轄下にして不可侵領域である。 アスター家現当主、ブランドンとの接触と内通は、 海と民、そして魔術に守られた強固な宝箱をこじ開けるという 無謀とも言える彼の計画に福音を齎した。 キュラステルにおいて絶大な力を誇る研究機関 ───島内部への影響力も、政治力も持ち合わせている集団だ。 保存施設の警備形態>>37の情報分析から活動の資金繰り、 『修復師』の身分保証、”呪香”の拡散シミュレーションまで。 工匠組合が計画を実行する上で 消化すべき課題は多岐に渡ったが、 その幾つかの達成を、彼等は担ってくれたのかもしれない。 だが、代償もゼロではなかった。 傍観者、そして観測者であることを望む学星院は、 彼等の領域が侵されることを望まない。 学星院の管轄下、研究成果を収める書簡の数々は 略奪の同胞を集めるための『餌』としてぶら下げられない。 ……そしてそれを同胞候補に明かすことは、 学星院が関与していると暗に伝えてしまうことでもある。] (76) 2022/11/05(Sat) 21:45:16 |
【人】 修復師 ラシードそっかそっか、この辺がお屋敷で。 図書館は、あっちかぁ……。 [地図を広げながら、空を切り取る建物の輪郭を 視線でなぞりつつも。ぽろりとこぼれる不安げな声。 それもまた、無邪気な旅人としての演技だったのだろうか。 若しくは───内在的な不安の種だったか。 首魁としてはどうでも良い宝の山。 されど、様々な国の研究機関が 喉から手が出るほど欲しがるであろう宝の山。 警備や封印、様々な魔術を破る必要性に駆られながらも この一夜ばかりの盗賊団は、研究者を仲間に迎え入れることが困難であり。 その点を学星院に依存せざるを得なかっただろうか。 仲間の選定は慎重に行った。 だがそれは────本当に上手く行ったのだろうか? ]* (77) 2022/11/05(Sat) 21:48:34 |
【人】 修復師 ラシード ─ 午後:第七キャビネット 入口 ─ はい、はいそうです! 遺物修復工匠組合から参りました。 ラシード・ヴルファです。 [建ち並ぶ煉瓦造り、その一角の扉の前。 聡く用心深い警備員の昼休憩>>86を。 切り替えというタイミングを狙いすましたかのような時刻。 サラマンドラの彼の持ち場と同様に、 交代が多少遅れた>>88のか (はたまた、遅らされたのか) 集中力の途切れ始めた警備員の前に、 修復師を騙るそれは現れる。] 本日はどうぞ、宜しくお願い致しま、 ……あ、す、すみませんっ。 遅めの朝食を摂ってから来たので……お恥ずかしい。 [工具箱を片手にぺこぺこと頭を下げつつ、 口元に付いたソースを拭う若い男。 成人としての頼りなさと、子供のような親しみやすさは 鍵が壊れている。この隙に不埒を行う輩が出ないか不安だ───という意識から、 この職人は本当に仕事が出来るのか?という別の不安感に、首を挿げ替えてみせる。] (90) 2022/11/06(Sun) 0:59:28 |
【人】 修復師 ラシード後ほど助手が到着すると思いますので、 彼も通してあげてください。 僕よりも一回りくらい年上の、ええ、 ……情けない話、伝魔油を忘れてしまいまして。 職人街の方に買いに行ってもらってて。 [土地勘のない場所ですから、もう少し遅れてしまうかも。 なんて苦笑を添えつつ、自称修復師は工具箱を両腕に抱え直した。]* (91) 2022/11/06(Sun) 0:59:57 |
修復師 ラシードは、メモを貼った。 (a17) 2022/11/06(Sun) 1:05:26 |
【人】 修復師 ラシード─ 第七キャビネット深部 ─ [その古い魔術錠─── 仕組みの解明>>105が進んでいない、 旧き神秘の品とも言えるそれ。 本来であれば『コレクション側』に分類されるであろう品が コレクションを守る道具として扱われている、その理由は。 ……その錠よりも更に貴重な物品が、扉の向こうにあるからだ。 無理やりこじ開けられようとされたかのように 回路を捻じ曲げられ、傷付けられ、歪んだ錠。 精密な機構から無能な鉄塊へと貶められて、 開くことも閉じることも出来ない。 なんて荒っぽいやり口だろう。 魔導ランプを片手に掲げ、修復師は目を細めた。 後ろではキャビネットの担当者が小さくため息をついている。] なんていうか……魔人の仕業じゃないですね、これは。 知識のないまま、がむしゃらにといった感じだ。 開かれた形跡は無いのが、まぁ、当然というか。 [ それだから良いのだ。 修理という建前があるからこそ 監視下にて堂々と鍵を分解し、 機能を確かめるという口実で扉を開閉出来る。 ……拳ひとつ分の、僅かな隙間で良い。] (109) 2022/11/06(Sun) 16:02:34 |
【人】 修復師 ラシードパーツの鋳型を取る必要とかは無さそうですね。 多分だけど、イー時代の様式に近いものだし 回路の再接合と熱金遡行で行けるかな。 [拡大レンズを目に掛け、 鍵の形ひとつひとつを検めながら 修復師は工具箱を片手で探って 穴の深さや回路の様式などを測っていく。 先ほどとは打って変わって真剣な瞳と声色は 違和感、というよりも職人によくある “プライベートと仕事の境界線を越える”瞬間を彷彿とさせるものだった。] では、作業に入らせて頂きますね。 [言いつつ、革手袋に指を通す。 工具箱に並ぶ道具の数々は、 “人に向ける”という条件下での殺傷力が封じられた証として 白いチョークで印が付けられている。 隙間に丸められ、突っ込まれているのは それを手入れする為の鹿革の切れ端。 先ほど路地で捕まえ、麻酔を打たれた鼠が───その中で死んだように、眠っている。 ]* (110) 2022/11/06(Sun) 16:03:46 |
【人】 修復師 ラシード[ 彼の精神は今、修復師の膝元から 半開きになったキャビネットの扉>>109を擦り抜けて、 この島の隠された深部へと疾駆している。 コーヒーカップひとつに収まるほどの矮小な体躯。 早鐘を遥かに越えた速度の鼓動。地を這うように低い視線。 鼠の身体>>110だ。此の島で生まれ、この島で育った 何処にも居るような、取るにたらない鼠。 それが今、男の精神を乗せて─── 地の底の驚異の部屋に向けて。 人間に同調し、その深部を探る魔人>>43は 島に於いても信頼を預けられる医者として知られている。 だがこれは、獣に近い遺伝子を持つアニミアだからこそ為せた技だ。 魂の形に共通の枝を持つ根源の獣とであれば、 魔道具の補助を得て、一時的な同調─── それを越えた『精神交換』すらも、最先端の研究では叶えられた。] (120) 2022/11/06(Sun) 19:30:49 |
【人】 修復師 ラシード[ ……そう、最新の研究だ。 まだ警備マニュアルには記載されちゃいない。 そもそもキャビネットは保存上の観点から 防虫剤、殺鼠剤の類は周囲に丹念に施されているし。 獣を使った盗みだなんて、餌と遊び、そして躾を交えた 『取ってこい』の半径程度のことしか出来ない、 それが当たり前だから── 曲がった方向、数、踏んだタイルの色と意匠を元に 駆けた長さと目的地への距離を正確に勘定しながら 文字通りに紛れ込んだ鼠は灯の無い、 埃っぽく狭い廊下を駆け抜ける。 やがて辿り着いたのは 壁一面に小さな引き出しやガラスケースが並ぶ、 円形の小部屋だ。 ガラスケースの中にはねじくれた形の木片や、 束ねられた根、樹脂のような淡色の塊が収められており 部屋全体に漂う芳しい匂いから ───”香”を収めた部屋であることが理解できる。 ……只の香であれば、このような深部に保存する必要は無いことも。] (121) 2022/11/06(Sun) 19:32:12 |
【人】 修復師 ラシード[ 下から8段目、左面の柱から数えて4番目。 僅かな凹凸を足場に駆け上がった鼠は、 その引き出しをふうじていた紙を噛み破った。 人間であれば最後の警告めいて、 火花のひとつで抵抗も見せただろうか。 けれども────獣相手であれば、それは只の紙だ。 取手を抱え込み、踏ん張るように力を込めれば ざりり、と小さな引き出しは音を立てて、開いた。 収められていたのは、 三角形の練り香 。乾いた血の塊のように、赤黒いそれは 光の届かぬ闇の中、生臭くも甘い匂いを微かに放っていた。 ]* (122) 2022/11/06(Sun) 19:33:07 |
【人】 修復師 ラシード[まるで何事も無かったかのように、 彼らは施設を出る。 外の警備員に会釈を残して。 宿はどちらでしたっけ、夕食のお勧めはありますか、なんて 要らないような演技もおまけにつけて。 そうやって、門を出た後に。 組合は────宿の集まる市街地とは全く異なる方角へ向かう。 北へ、北へ。 残りのピース、その一欠片を求め、 計画通りに、水晶宮に向かって。 ]* (138) 2022/11/06(Sun) 22:06:33 |
【人】 略奪者 ラシード[奔る、奔る、奔る。 協力者が用意した、偽装済みのからくりの車。 ラング機関に大気の魔力を飲み込ませ、 己の魔力をも注ぎ込んで、奔る、奔る、奔らせる。 浅い呼吸で息を切らせながら、若き首魁は 石畳の坂道>>140を駆け上がり、北へ北へと向かう車の中で 手順を確かめるよう、教科書を誦ずるように 車輪の音にかき消されるほど小さく、ぶつぶつと呟き続けていた] 学星院から貰った記録だと、 此れは……まだ”未完成”の段階だ。 材料がひとつ、足りてない。 当時は入手が困難だった───南方の蛇の、生き血。 死後、暫く経った遺体から絞ったものも、 時間が経ったものも駄目、…… (147) 2022/11/06(Sun) 22:42:15 |
【人】 略奪者 ラシード[水晶宮の門に警備員は居ない。 既に”協力者”によって排除されていたのだろう。 死んだ獣を標本や剥製にする際に使う運搬用のからくり車だ。 遠目から見れば、その光景にさほど違和感は無い。 定時連絡が途切れたことから、 事態を察知した衛士や警備員が それを追うように駆けつけたのは、 どのくらい経った頃合いだったか。 ────気に病む必要はない。 彼らが悔やむ道理はない。 間に合わないよう、仕組まれていたのだから。 ]* (148) 2022/11/06(Sun) 22:42:52 |
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