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【人】 ツァカリ[覗き込むようにされて交わっていた視線を>>7 自分から外してしまっていた。 それは、普段なら絶対にしないこと。 自然界において、目は先に逸らした方が負けだ。 狼や魔獣相手にもそうしたことはない。 本当に、と訊ねられると>>20 平常ではないのが見透かされたようでドキリとし 腕の断面に顔を向けたまま目線だけ彼に戻した。 自ずと上目遣いで伺う形になる。 己を見つめる彼の眼差しに、妙な気迫が感じられる。] ここ一週間、…… っ く、 ……[重ねられた問いに答えようとして、再び息を呑んだ。 彼の指が患部に触れ、甘い痺れが走ったからだ。 ……だけれど、先刻ほど鋭くはない。 与えられたと勘違いして膨れた気持ちが萎んでいく。 期待、してしまっていたのを、嫌でも自覚する。] (21) 2021/11/04(Thu) 10:49:42 |
【人】 ツァカリ……そうだな、ここ一週間だと……、 [表面上は取り繕って会話を続けるが、 目の焦点は合わなくなっている。 全神経が、彼との接点に集中してしまっていた。 敏感な傷口に当たるか当たらないかの 位置をとって添えられた指が 肌の上を移動しているのが、よくわかってしまう。 ……もう少し。 ほんの少し、ズラして貰えれば、届く。 届くのに。 ああなんと、焦れったい……。] (22) 2021/11/04(Thu) 10:49:55 |
【人】 ツァカリ[そんな邪まな感情がふつふつと湧いて コクリと喉を鳴らした時────、 コンコン 、と扉からノック音が響いた。](俺は、何を……) [はっとして振り向く。 室内の者の許可も待たずに顔を覗かせたのは 二つ歳上のエストレラで、 目が合うとビクっと肩を震わせていた。 心配して様子を見に来たのだろう。 四肢の一本や二本なくなったところで 自分は誰にも負けたりしないのに、 今の身体になってから皆この調子だ。 怒られるとわかっていても気を回してくる。 どこぞのお姫様にでもさせられた気分だ。 ────だけど今ばかりは助けられた。] (24) 2021/11/04(Thu) 10:50:18 |
【人】 ツァカリ今暫く待て [取り戻した威厳と共に、下がらせた。 ……仲間が気にするのも無理はない。 自然と調和して生きる自分達は、 日々研究を重ねる魔術師達にとって侮蔑の対象。 差別的な扱いをしてくる者は少なくない。 目の前の彼からは、そんな偏見は感じられないが。 そして少し前までの自分を恥じた。 今日突然来た自分を隔てなく受け入れ 剰え熱心に診てくれる彼に対して 良からぬ欲望を向けてしまった自分を。] (25) 2021/11/04(Thu) 10:50:42 |
【人】 ツァカリ[落ち着いた表情で、装具士殿の方向に向き直った。] ダアト殿 稀に、無い筈の手が痛く感じる時があるが 残った腕はこの通り問題ない 失ったのはひと月も前のことだからな [預けていた右を取り上げるようにして、 左手でバシバシと切断面を叩いて見せた。 癒えた傷口よりも、 幻の腕に感じる痛みは時に酷く、眠れぬ夜もある。 然しそれは誰にも言っていないことだ。*] (26) 2021/11/04(Thu) 10:56:38 |
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