情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 エピローグ 終了 / 最新
【人】 龍之介── 裏の森 ── [掃除で日々鍛えられた体。 慣れぬ足場に苦戦することはあっても 息が上がることはない。 ただ、焦りから来る疲労は 空っぽの籠を担ぐ肩に重く伸し掛かっていた。 それでも、探す目を手を足を緩めずに 一刻半で尽きる蝋燭の 三本目が残りわずかになった頃] ────!! [漸く見つけた手がかりに息を飲む。] (114) 2021/06/24(Thu) 23:51:01 |
【人】 龍之介[慌てて地面に手を伸ばし、提灯にかざせば ぷちぷちとした細かな実が 集まった一房だった。 小鳥が美味しいところだけ啄んで捨てたのか 天敵でも現れて急いで逃げたのか 食べかけのもの。 匂いを嗅ぎ 指で潰して汁を舐めてみれば 淡い酸味と甘さが口の中に広がっていく。 (これなら…!) ミクマリ様が 好んで召し上がられているものと比べれば 食べでがあるとは言い難いけれど… 甘さを足して煮詰めて まんじゅうや寒天などに添えたりすれば おそらく満足していただけるはず。 それには量が必要だと 見上げる梢は、確認できぬほど高かった。] (115) 2021/06/24(Thu) 23:51:07 |
【人】 龍之介[逸る気持ちで荷を下ろし 背負い籠だけになると 二拾尺、いや三拾尺はありそうな樹を登り出す。 途中、何度も足を滑らせて ひやりとしつつも どうにかこうにか辿り着けば 鈴なりの豊かな実りが待っていた。 (ああ、よかった…!!) 空が薄っすらと染まり始める中 熟している房だけを選び 手早くもいで籠に入れていく。 山盛りとは言えないまでも それなりの量を確保して降りる頃には 空だけでなく 指先も赤く染まっていた。] (116) 2021/06/24(Thu) 23:51:13 |
【人】 龍之介[荷は増えたはずなのに軽く感じる籠と共に するすると降りて 暗い地表が近づいて来た、その時。 ──── ガッ 何が起きたのか分からぬまま 衝撃に転がった。 ぱきり、と ひしゃげた籠が悲鳴をあげるから ミクマリ様への土産を気にして 即座に身を起こそうとする、すぐ傍で グルルル… 獰猛な獣の、低い唸り声が響く。]* (117) 2021/06/24(Thu) 23:51:20 |
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 エピローグ 終了 / 最新