生物学者 アマノは、メモを貼った。 (a5) 2022/07/21(Thu) 9:25:54 |
【人】 生物学者 アマノ【時の止まった宇宙船で】 [チャンドラとアンテナの静かな生活──と言うと語弊はあるな、2人の間で会話はあったし、実際、成立もしていたのだから──が始まった。 最初こそ、眠る皆は船内のあちこちで元気に活動していた。 デッキを訪れるもの、栄養的効果は見込めないだろうに食事を摂るもの。 会えばぽつぽつと会話もして。 サダルの姿は見えないことが多かったけれど、彼は彼で僕の居場所はここだとばかりに、カウンセラールームに詰めているようだった。 でも、段々、意識が曖昧になる日が多くなっていった、ように思う。 気がつくと半日経っていたり、どころか数日経っていたり。 あの、"最後の1人"が決まったその日、俺のベッドでラサルハグが「眠い」と言いつつ寝こけていた、あんな感じになることが増えていた。 それは多分、個人差も多分にあって。 たとえば、俺の見たダビーはいつでも背筋を伸ばしている風で──本人の状態はどうあれ、端からは──眠そうにしている様など、微塵も感じられなかったのだけど。] (23) 2022/07/21(Thu) 10:46:48 |
【人】 生物学者 アマノ────おはよう。ラサルハグ。 …………、ん ["おはようのキス"は、するようになった。 というか、された。 俺から唇を寄せるようになるまでは(28)10n30くらいの回数が必要で、でもおずおずと自分からしてみたら、あんまりにも奴が嬉しそうに笑ったものだから、それからは、まあ、割と、自分なりに、頑張っている。 "おやすみのキス"については、前触れなく寝落ちるように意識が飛ぶことが多いから、成功率は限りなく低いのだけれど。 チャンドラがいつまで元気で頑張っていてくれるかという懸念は常にあれど、船内はまあまあ穏やかに回っていた────のだと、思う。] (24) 2022/07/21(Thu) 10:47:25 |
【人】 生物学者 アマノ[そんな穏やかな日々に突然落とされた爆弾。 ラサルハグにとってはちょっとした"雑談"だったのかもしれない。 俺にとっては水素爆弾くらいの衝撃だったけどな。 何を思ったか、奴の"経験遍歴"を蕩々と語られた。 自慢の色を乗せるでもなし、懺悔のような申し訳なさもなし、ただただ、淡々と。 年下の女相手に、年上の男相手に、こんなことした、とか、あんなことした、とか。 俺は興味のない風に無表情で返すのがやっとで────その夜は、滅茶苦茶荒れた。 今度こそラサルハグにも見つからないだろうキッチンの隅、棚の影。酔えもしない酒を煽りまくって密かに泣いた。 何なんだよ、俺にあんなこと告げて、俺にどうしろって言うんだよ。 馬鹿ラサルハグ。くそ馬鹿ラサルハグ。 やっぱいっぺん死んでこい。] (26) 2022/07/21(Thu) 10:48:45 |
【人】 生物学者 アマノ[────で。このまま黙ってるのも俺の性じゃないもんで、翌日の俺は怒りに駆られるまま、"相談"に赴いた。 そんなの出来る相手なんて、本当に少ししか居ない──チャンドラも数少ない1人だというのに彼女には話しかけることすら出来ない──んだ。] バーナード。 男同士の性行為のやり方、教えろ。 [ドン引きされようが知ったことか。教えろ全て。 ついでに"口でする"ってやり方も教えやがれ。何をどうすりゃいいんだ。畜生。 あと、キスの時って、いつ息すればいいんだ。 こっちは毎度窒息死しそうになるのにラサルハグはそうでもなさそうなのは何でなんだ。 バーナードが教えてくれないなら、その足でサダルの所へも行くまでだ。**] (27) 2022/07/21(Thu) 10:50:23 |
【人】 生物学者 アマノ>>29 [まあ、普通は、キスとハグだけの段階からここまで一足飛びには進まないものだろうと思う。 でも俺、"普通"は知らないし。 つーか、過程はともかく行為自体は"普通"のこと、なんだろう? お前がそうやってわざわざ俺に報告してきたくらいだ。 なら、俺にだって、出来ない筈、無い。] ラサルハグ。するぞ。セックス。 [培養データの数値を読み上げるぶっきらぼうさで告げる俺を前に、奴がどんな顔になっていたかはいまいち記憶にない。 尊大に告げはしたものの、こっちの心臓はやかましく鳴りっぱなし(チャンドラが数値を見ていたら小さな悲鳴を挙げていたかもしれないくらいには)だし、手の震えが奴にバレそうだし、唇は乾くばかりで喉はヒリつくし、1mgの余裕だってありはしない。] (32) 2022/07/21(Thu) 11:43:09 |
【人】 生物学者 アマノ脱げ。してやる、から。 [端的に告げ、奴の下肢に手を伸ばす。 は?前戯とか?そんなのは知らん。 ラサルハグはそこまで微細に渡って俺に告げてきたわけじゃないし、俺は、奴から聞いた行為を俺とのことで上書きしたかっただけ。 この時の笑顔ばかりは見惚れなかった、"無理にしなくていい"と笑った奴のあの顔 >>31 が無性に気に障った。 できるよ。してみせるよ。畜生。 とりあえず口で勃たせて突っ込めば、それがセックスなんだろ。 俺は気付いちゃいなかったが、この時の俺は超弩級クラスの無理をしていて。 せっかく貰った助言はほとんど機能してはいなかった。] (33) 2022/07/21(Thu) 11:43:41 |
【人】 生物学者 アマノ[したこともない行為をのろのろもたもたと覚束ない風に進めようとしている俺に、奴が問うて来たんだったかな。"本でも読んだのか"的な事を。] いや……、聞いた。 [誰にと重ねて問われたから、なんでくだらない事を聞きたいんだと、俺は片眉を上げながら舌を伸ばそうとしていたそこからちらりと視線を上げて奴の顔を見上げたんだけど────目にしたのは、あんまり見たことのない表情の、ラサルハグの顔だった。*] (34) 2022/07/21(Thu) 11:44:51 |
【人】 生物学者 アマノ[怒る俺は嫌だって、こいつが言うから、いつもは我慢していたんだ。イラつくことがあっても、努めて冷静な言葉を返そうと、努力して。 なのに、つい、本気の罵声が出てしまった。 なんで、こいつ、こんな泣きそうな顔になってんだよ。 前にやってた相手とは、そんな風じゃなかったんだろ? 楽しくて、気持ち良い行為だからこそ、ヤッてたんだろうが。 俺じゃ、そんな気分にならないってか? 確かに俺は、そういうこと、全然、全く知らないけど。 誰とも経験ないけど。 でも、相手がお前なら────って。] な、んでだよ…………。 俺とは、そんなに、したくないってことか……? (42) 2022/07/21(Thu) 12:13:56 |
【人】 生物学者 アマノ[ラハルサグの左足や腰を抑えるようにしていた体勢から、のろのろを身を起こす。 気がつくと、両の手は緊張で震えっぱなしで、白く強張るほどになっていた手指を、ぎゅ、と握り締めた。] ────なら、なんで、俺の知らない奴の話とか、するんだよ……。 知りたく、なかった。 [手に入らないものと思っていた。 最初から諦めていた。 だけど、貰えるとなったら、浅ましい俺はお前の全部が欲しくなって、このままじゃあ、独占欲おばけだ。 過去まで欲しいとか、馬鹿は俺だ。] ごめん。 もう、しない。 [なんならキスだって、俺がされたかっただけなのかもしれないし。*] (44) 2022/07/21(Thu) 12:20:01 |
【人】 生物学者 アマノ【バーナード君ありがとうの巻】 [は?日がな一日ミドリムシの端のうねうねばかりを観察しているような男が、ワオキツネザルの生殖行動について詳しかったりするわけないだろう。お前馬鹿か。 バーナードの心の声が聞こえてたら憮然として言い放っていたところだけれど、あいにくその機会は訪れない。そも、相談に乗ってくれている恩人に向かって馬鹿は無い。さすがに無い。] ────そうなのか? [初耳だった。 バーナードが、"子供残したりしないように"という理屈で、そんな措置まで施されているとは。 多分、バーナード的には公言したいプライバシーではなかったろうに、そこまで言いつつ、でも、知り得る範囲の事を教えてくれた。 本当に、本当に良い奴だ。 なんで俺は、バーナードじゃなくあんな奴が好きで仕方ないのか、俺にだってよくわからない。] (49) 2022/07/21(Thu) 12:52:44 |
【人】 生物学者 アマノ[それから2人の密談は、誰にも──特に女性陣には──見せられるものではなかった。 真面目くさった顔で、"こう、ここを、"と、宙空に幻の"棒的な何か"を見立てて指や口を動かす様は、相当に酷い光景だったろうと思うから。 舐めるのはどっち側から良いとか、口に入れてどうするかとか、知らん。とにかく知らん。 そも、俺もそういう欲は相当に薄い方らしいと、今回改めて、自覚したばかり。 え、商売女は初めて出会った男のそれをそうやって口にしたりするのか?……と知った俺は、想像の遙か彼方にあるその行為に卒倒しそうになった。 ラサルハグのだって、ラサルハグのだから、ギリなんとか頑張れそうと思う限界の線なのに────世の"普通"は、俺とは乖離しすぎていた。 何も知らなかった俺は、"男だと、一箇所しかない"の言葉にも、初めて、そういうことなのか!?と驚愕して、なんなら二度見どころか二度聞きしてしまったわけだけど。*] (50) 2022/07/21(Thu) 12:55:26 |
【人】 生物学者 アマノ………………っ。 [待て、とも言えず。 来る時は勝手に来るが、出て行くときは2人の時が多い、俺の部屋のドア。 精神体の今は、聞き慣れたシュン、というドア開閉の音も無いまま、奴はドア向こうに消えて行く。] ────────くそ……っ。 [好き合ってると思った……はずだった。 なのに、ともするとこういう諍いが起こる。 俺の言葉は、大抵、奴を傷つける。 常には機関士長らしい凜としたところのある奴が、悲しいように、脅えたように瞳を揺らすのは、大抵──いや100%──俺が怒鳴りつけた時。] 言わなきゃ……良かったのかな……。 [好きだと告げなければ良かったんだろうか。好きと嫌いの2択。あそこで全力で嘘を吐き通せば良かったんだろうか。 でももう、今更そんな過去には戻れない。] (53) 2022/07/21(Thu) 13:26:21 |
【人】 生物学者 アマノ────…………バーナー、ド……。 [今はちょっと、見たくなかった顔。 ラサルハグの姿が消えた自室に居るのもつらくて、廊下に出た俺はどこへともなく足を向けていた。 でも、無意識で展望デッキは外していたんじゃないかな。 奴が居そうな気がしたから。 歩を進める毎に、床にぱたりと水滴が落ちる。 ああ、これ、俺、泣いてるのか、情けねえ……と気付いて、頬を乱暴に擦り上げたところで、俺の名を呼ぶ声がかかったのだった。 いつもはどこか長閑な光を揺らす人懐こい琥珀色の瞳が、軽く見開かれるのを認めると同時、俺は深く俯いた。] (54) 2022/07/21(Thu) 13:27:40 |
【人】 生物学者 アマノ止められて。 謝られた。 俺、ほんと、あいつの事、何もわかんねえ…………。 [本日2度目のお悩み相談。 バーナードにとって気不味いのは1度目、2度目、どちらだろうか。きっと両方だな。 ことラサルハグに関してだと感情の収拾が付かなくなる俺は、おろおろとした風に食堂の片隅へと連れてきてくれたバーナードが出したコーヒーを啜る。 ああ、旨いな。そうだ、俺のコーヒーサーバー、食堂に持ってきていたんだっけ。 精神体での飲食物摂取の仕組み(念じれば出るとか何とか)を理解していない俺は、ぼんやりとカップに視線を落としつつ、ありがとう、駄目だった、どうしよう、をごった煮にしてバーナードに伝える。] "好き"……って…………くるしい。 [やっぱりこんな気持ち、要らなかった。思いを伝えるべきじゃなかった。 なのに俺は、それでもあいつのキスが忘れられないんだ。**] (55) 2022/07/21(Thu) 13:28:44 |
【人】 生物学者 アマノ────────は? [そのまま食堂の椅子に根を生やす気しか無かったのに、バーナードと来たら「本人に聞こう」とか言いつつ立ち上がるし、そのまま振り返りもせず歩き出すし。 俺はと言えば誘われたのか宣言なのかの区別も付かないまま、勢いで奴の後ろをついて歩くことになったのだけど、奴ときたらこの精神体での移動を存外楽しんでいるらしく、壁やドア丸無視であちこち覗いては、廊下を歩く俺の側に首だけにょ、と戻してきたりする。 正直、そこそこ気味悪い情景を何度か繰り返した後、壁から手だけが出てきて手招きされた。 つまり、「見つけた」ってことだ。「あそこにいる」って。] ────や……無理、だ。 [無理。無理だから。絶対無理。何と言われようと無理。 今のラサルハグに合わせる顔なんて、紙切れ1枚分だってありはしない。 俺は踵を返して逃げ出したのだった。行き先はカウンセリングルーム。**] (67) 2022/07/21(Thu) 15:06:58 |
アマノは、カウンセリングルームかよwwww[すごいな選択肢] (a11) 2022/07/21(Thu) 15:07:19 |
【人】 生物学者 アマノ【カウンセリングルーム】 ……や、さすがに、な。 [勢いで展望デッキから逃げ出したその足は記憶を辿ってしまったのか、気付けばカウンセリングルームの前。 サダルには、つい先刻、このうえなく濃厚なレクチャー(※個人の感想です)を受けた。 レポート云々と少し不思議な事を言われて >>-338 俺は素直に頷いて、教えを乞うた。 が、"初体験"には至っておらず、ゆえに報告できるものもなく、相談した結果サダルにまで「本人に聞こう」と言われたらこの世は地獄だ。いやサダルからは実際、以前にも言われている >>4:62 わけで。] ────────。 ない、な……………………ッ!?!?どわっ! [つい、常の癖でドア脇の壁に凭れようとして、俺は盛大にコケた。そう、この身体では体重がかけられない >>-362 のを忘れていた。 上半身をカウンセリングルームに突っ込んで転がった無様な俺の視界の端、少しだけ驚いた風な表情のサダルが見えた。] (68) 2022/07/21(Thu) 15:42:28 |
【人】 生物学者 アマノや…………進展は、まだ。 むしろ後退した。 いや、もう、駄目かもしれん…………。 [どうした?どうだった?くらいは問うてきてくれるサダルだったなら有り難い。 問われないなら、なんでもないと踵を返すだけ。 問うてくれたなら、ぽつぽつとそんな風に返しただろう。 加えて、何か飲むかと問われたら、素直に頷く俺という珍しいものも見る事ができたかもしれない。 たとえそれがカウンセラールーム名物水道水だったとしても、俺は俯きがちにそれを手にしてこくりと飲んだだろうから。] (70) 2022/07/21(Thu) 15:44:22 |
【人】 生物学者 アマノ思っていることを伝えたいとは、思っている。 努力もしている……つもりだ。 なのに全然、奴に届かない…………。 [こんな関係になる前の方が、むしろ互いに理解できていた。 たいした会話を交わさずとも、わかり合えていた気がした。 俺は怒鳴り散らすこともなかったし、奴が俺に脅える視線を向けることもなかった。 "本人に聞いて"みたところで、また苦しい思いをするだけとしか、思えなかった。**] (71) 2022/07/21(Thu) 15:44:39 |
【人】 生物学者 アマノ[言っておくが、"すぐに人に相談する体質" >>77 とか、これまでの俺だったら全くあり得ない事だった。 雑談が苦手なんだ、相談事なんて更に苦手だ。 そも、相手も居なかったし、記憶を辿れば、ラサルハグ相手に何かを相談した記憶も無い。 そこそこ長い付き合いだけれど、ラサルハグ相手には決めたことの報告のみして、「今、○○について悩んでいる」的な事は、多分ほとんど全く口にしたことは無かったと思う。 多分、切っ掛けは、それこそ、お前にキスされたこと。 予測不能の事態すぎて、何かを問おうにも、肝心のお前は既にコールドスリープされていた。 混乱するあまり、サダルに零したのは、仕方のない事だったじゃないかと言いたくもなる。 まあ、その後にチャンドラにもぶちまけた事は少し反省しているし、今日の俺も、まあまあ恥ずかしいことをした自覚はある────が。] (85) 2022/07/21(Thu) 17:16:42 |
【人】 生物学者 アマノは?何、お前、……っちょ、 [まだサダルは言葉を紡いでいた。 有益だったか有益じゃなかったか、またこいつ難しいことを言い出したぞとか、俺は思っていたかもしれないけれど、でもまだ話は終わっていなかった。 なのに、ラサルハグは俺の手を引き、問答無用の勢いで部屋に叩き返された。 つーか、偉そうに連れて来てるが、ここ、俺の部屋だからな!?] (86) 2022/07/21(Thu) 17:17:13 |
【人】 生物学者 アマノなんで……って。 お前が言ったからだ。 "そういうの苦手だから無理しなくていい"って。 苦手かどうか、知ってみなきゃわからんだろ。 俺はそういうこと、何も、知らないんだから。 [感情を切り捨てるように、放り投げるように呟いた。 他の"恋人"としていただろう事を、俺ともして欲しい。 俺はお前の"恋人"なんだろう? 俺だってお前と肌を重ねてみたいという気持ちはあるんだ。 ────怖いけど。 踏み出そうと思った、のに。 そんな本音は、絶対に、出してなんてやらない。] (93) 2022/07/21(Thu) 17:38:26 |
【人】 生物学者 アマノそのままの意味だ。 俺とは出来ないんだろう?だったら他の奴とすればいい。 俺はほとんどそういう欲が無いけど、あるのが"普通"なんだろ。 実際、お前、"その手の話"には事欠かないみたいだったじゃないか。 [燃料専門家と宇宙船の機関士長。 全く離れているようで、その実、在籍している業界はほぼ同じだ。 望まずとも勝手に耳に入ってくる噂くらいはあった。 遊び人とまでは言わないが、ラサルハグはそこそこ華やかな"社交関係"を築いていると。 ふーん、そうなのか、くらいにしか、今までの俺は思わなかったけど。 思わないようにしていた、けど。 これからも思わないようにしていれば、見ない振りをしていれば、万事解決なんだろう?*] (95) 2022/07/21(Thu) 17:42:26 |
【人】 生物学者 アマノ["いつも勝手に俺のことを決めてかかる"、それは、ラサルハグの方がだってそうじゃないか。 接触恐怖症、確かにそうだ。でも俺は言ったよな。 お前なら、お前だけは、大丈夫なんだって。 ずっと大丈夫だったんだって。 なんでお前、そこはガン無視するんだよ。] ……………………っ。 [言われるように淡泊、だけど。 それでも、俺は。 口に出したいけど、口にするとまた苛々と喚き散らしてしまいそうだから口を噤む。 そう、バーナードも、サダルも、つまるところは"ちゃんと相手と向き合って会話しろ"という主旨の事を以前から通して言ってくれていた筈なのに、俺はどれ1つ、貰った助言を活かせないでいた。] (115) 2022/07/21(Thu) 20:08:06 |
【人】 生物学者 アマノ[それでも、"俺のことをそんな風にみてる"、"勝手に俺のことを決めてかかる"というラサルハグの言葉だけは、否定しなきゃと思ったから。 顔は合わせないまま、俯きがちにぽつぽつと告げた。] ………………俺だって。 俺だって、お前を大事にしたい。 傷つけたいなんて、思ったこと、ない。 全部欲しいし、貰った分、全部、返したい。 お前がかつての恋人と当たり前にしていた事なら、俺だって、してやりたい。 ────いや、俺が、してみたいと、思ったんだ。 (116) 2022/07/21(Thu) 20:08:36 |
【人】 生物学者 アマノ[やり方を間違えたらしいのは、なんとなく理解した。 とはいえ、ムード作り?とか?行為の流れ?とか? そこまでは詳しく教わっていないし。 "地獄まで一緒"という言葉には、素直にこくりと頷いて。 ────ああ、そうか。最初の最初から全部、こいつに相談しながら進んでいけば、良かったのかな。 なんとなく腑に落ちて、のろのろと顔を上げたら、俺を見つめていたらしいラサルハグの視線とぱちりと噛み合った。] (117) 2022/07/21(Thu) 20:10:50 |
【人】 生物学者 アマノ今、俺、どうせひどい顔してんだろ、と逸らそうとしても、一度絡んでしまった視線は、なかなか外れてはくれなくて。 ラサルハグの笑顔が少し滲んで見えた。 意地でも涙は零さなかったから、またそれでひどい顔になったかもしれないけれど。] ……したくない、わけじゃない。 お前のこと、ちゃんと、欲しいって思っている。 無理は……したかもしれないけど。 ────その……次は、ちゃんと、相談する。 今日は、ごめん。 ["だから、いつか、してくれるか?" そう、はっきり続けたかったのに、諸々の恥ずかしさが限界突破した俺の最後の言葉は口の中で不明瞭にもごもごと消えるだけになったのだった。*] (118) 2022/07/21(Thu) 20:11:09 |
【人】 生物学者 アマノ………………ッ……す、まん。 [なあ。 お前、俺が怒ると怖い怖い言うけど、お前の怒り顔も、相当なもの、なんだが。 普段猫っぽいところがあるのに、突然虎に豹変した風になる。 正直、喉元に噛みつかれそうな恐怖が走る。 なんで俺がバーナードやサダルに教えを乞い行ったらラサルハグが怒るのか、根本的なところは理解できないまま、ここは素直に謝っておいた。 多分、こういう事に関しては、俺の方が色々間違っているのだろうから。 ────でも。] (124) 2022/07/21(Thu) 20:35:58 |
【人】 生物学者 アマノわかった……けど、"秘密"とは、具体的にどこからどこまでだ? [そこが本当にわからん、と首を傾げる俺。 そこからか、そこからなのか、と肩を落とすラサルハグが居たかもしれないし、秘密と言われてもサダルには初体験のレポートを出せと言われたんだけどと取引内容を素直に告げたら、また先の怒髪天モードが再燃したのかもしれない。 でも漸く、"いつものラサルハグ"が帰ってきた気がして、俺は今日、初めて笑うことができたのだった。] 今日。まだ抱き締められてない。 [キスはしたがそれだけだ、と両手を伸ばせば、俺の望むものは胸の中に落ちてくるんだろうか。 俺、なんだかんだそれだけで、すごく幸福になれるんだよな。*] (125) 2022/07/21(Thu) 20:37:10 |
【人】 生物学者 アマノ…………〜〜〜〜っ!? [え、これ、ラサルハグの舌、か?……え?と冷凍肉状態で固まる俺の舌……とか、歯列……とか、よくわからないところを柔らかくて熱いものが辿っていく。 ────な、んだ、これ。 こんなの知らない、と困惑したのと同時、上顎をざらりと舐められて身体中がおかしな風にびくりと跳ねた。 え、なんだ、これ。 気持ち良かったかと笑うような気配が伝わってきても、俺は頷くよりも呼吸するのが精一杯だ。*] (127) 2022/07/21(Thu) 20:55:09 |
アマノは、なっがいんだが⁉︎⁉︎[涙目] (a16) 2022/07/21(Thu) 21:04:57 |
【人】 生物学者 アマノ[先とは別の意味で目元が赤い気がするし、どころか頬やら何やらも全くの通常運転ならぬ異常運転状態なのだけど、でも、嫌ではなかった。 時々、ぞくりと背中が痺れる風な、足が跳ねそうになる衝動を抑えるのは大変だったけれど、それもやっぱり嫌じゃなかった。] お前が知ってること、全部、欲しい。 [少し掠れた声で囁いた。 ああ、でも、俺一番好きなの、お前に抱き締められる事かもしれないな。*] (130) 2022/07/21(Thu) 21:28:49 |
【人】 生物学者 アマノ[バーナードもそんな表現は使わなかった、あまりにも直接的な"排泄器官"という響きに、ぐぅ、と小さく呻く。 無茶をしようとしてるのは承知の上、サダルの言う"その先"が聞きたくて、顔を上げた。 巫山戯ているようでいて、なんだかんだとサダルの助言は役立つものばかりだったから聞き逃すまいと真面目な面持ちで耳を傾けていた────のに。] は?ラサルハグ?? >>82[え、なんで来てるんだお前、というか、俺を探してって、どういうことだ。 早口でまくしたてつつ問答無用な勢いで俺の腕を取り、はじき飛ばされるようにカウンセリングルームを後にする。 すまない、とちらりと振り返ったサダルは、案の定の"あの"笑顔。 ちょっと待て、"スキン"って何のことだ。……皮膚?**] (157) 2022/07/22(Fri) 6:31:05 |
【人】 生物学者 アマノ【帰還後】 チャンドラが紹介してくれた研究機関 >>3:175 に、アポ取れた。 明日、会議に行ってくる。 ["研究所のみんなによろしく" >>4:291 と、そう言ってくれた記憶の中の彼女よりも数段細く窶れた腕には何本ものチューブが繋がっている。 血の気のない頬は、当たり前だが化粧も施されていなくて。 あのいつでも気丈で凜としていたチャンドラの姿が脳裏を過り、俺の出した声は、掠れた風になってしまった。なんだか、喉の奥に重い石が詰まっているようだ。 呼吸も脈拍も、ある。 でも、ただ"ある"だけで、日を追う毎に微弱になっているのだと、俺たちは説明を受けていた。] [4年42日間。 それは覚悟していたよりは短かったんだろうか。 でも1人残ったチャンドラにとっては長い長い時間で、最後、彼女は、薄くなっていく酸素から少しでも救命率を上げるために医療ポッドに入ることを選択した。 その決断が正しくできたことを思えば、チャンドラが"最後の1人"だった理由の1つには、アンテナの"全員帰還"の計算があったのかもしれない。] (160) 2022/07/22(Fri) 7:30:46 |
【人】 生物学者 アマノ[帰還後の俺は、言わば船の"客人"の立場だったからそう面倒は無かったものの、ラサルハグやスピカ、ダビーら、船の運航に関わる面々は報告だ調査だ審査と相当に大変だったらしい。 報告会で顔を合わせたことは幾度かあれど、ラサルハグとまともに会えるようになったのは(3)3n5週間も経ってからのことだった。 今日は2人で用事を済ませつつ、チャンドラの顔を見に行こう、という話で病院を訪れたという次第。 助かって欲しい。 目覚めて欲しい。 バーナードがまたいつか馬鹿をやらかした時に、チャンドラと2人、バーナードの左右に立って「この馬鹿!」とサラウンドで言ってやるんだろう?俺1人じゃ、あいつそうそうへこたれないぞ。 心からそう思うも、頭の隅では、チャンドラはこのまま緩やかに死んでいくのだろうなという覚悟もしていた。] (161) 2022/07/22(Fri) 7:32:20 |
【人】 生物学者 アマノ[俺が"最後の1人"だったら。生命が尽きることになったら。 誰にも重荷に思って欲しくはない。 前を向いて掴んだ生を謳歌して欲しい。 忘れてくれたって一向、構わない。 ────ラサルハグにだけは、時々は思い出して欲しいかな、というのが本音だけれど。 でも、そうは思いつつ、日に日に弱っていくチャンドラの状態を知るのは、心の端に抜けない針が刺さり続けているような感覚だった。] (162) 2022/07/22(Fri) 7:33:11 |
【人】 生物学者 アマノラサルハグ、お前、ホテル暮らし……だっけ?それもそろそろ期限だろう? [宇宙船乗りは乗る船の短期長期にもよるけれど、所属運航会社の寮に入っていたり自宅を所持していたりと色々らしい。 確かラサルハグはこの航海前に直前までの住居を引き払ったのだと聞いていた。 調査だなんだとバタつく今は、会社の短期寮だか関連ホテルだかに滞在しているのだと。] 俺の部屋、もうすぐ更新で……。 基本、今の研究所に務め続けるし、チャンドラが繋げてくれた機関との兼ね合いもあるから、それ次第……なんだが。 一緒に暮らさないか?ラサルハグ。 [それはプライベートに関して"相談"を一切して来なかった俺の、初めて踏み出した一歩。] お前が帰ってくる家なら、研究所で寝泊まりしないで頑張って帰ろうという気になりそうだし……料理も、続けたいしな。 [ああ、あの本。『はじめての一人暮らしごはん』。あれ買うか。 呟いて、小さく笑った。**] (163) 2022/07/22(Fri) 7:34:17 |
【人】 生物学者 アマノ【帰還後に、スピカと】 あ?…………スピカから着信だ。 [────『料理の作り方教えて』。 ほら、と傍らのラサルハグに画面を示す。 あのスピカが。俺が作ったハヤシライス食って、魔法だなんだと大騒ぎしていたスピカが。 あの彼女が料理……とはね。] く、ふふ、愛は人を変えるな。 [呟く俺は、俺自身がまさにそれだということを、そうだな、まあまあ自覚しているさ。 ラサルハグと予定をチェックして、(29)14n30日後以降なら大丈夫だと返信した。] (173) 2022/07/22(Fri) 10:01:04 |
【人】 生物学者 アマノ────ようこそ久しぶり。……あ? [きょろ、と玄関を見渡したスピカに、一人暮らしではないのかと不思議そうに問われた。 まあ、明らか、一人暮らしの間取りじゃないしな。 しかもあからさま、2種類のサイズの靴が並んだりしているわけで。] 言わなかったか? ラサルハグと住んでる。 [この間引っ越したばかりだけど、と重ねたら、早く言えと猛烈に怒られた。] 今言ったから問題ないだろ。 奴は今日、仕事だし……あー、いつ帰ってくるんだったかな。 [ぽそりと呟いたら、だからそういうところだとまた怒られた。 ともかく料理、するんだろう?ハヤシライス。] (174) 2022/07/22(Fri) 10:01:42 |
【人】 生物学者 アマノ馬鹿かお前。 デブリが宇宙船に当たってから回避するような真似してどうする。 管制官のスキルはどこ行った。 料理は段取りと材料計量、時間管理、温度管理で8割成功だ。 何度も言わせるな。 (175) 2022/07/22(Fri) 10:02:35 |
【人】 生物学者 アマノ[初馬鹿ゲットおめでとうスピカ。 ……と言いたいところだけれど、既に >>4:227 とか >>4:237 とかで順調にカウントアップされていた事をスピカ自身が気付くことは無いだろう。 ともかく、だ。 基本的には、頭の良い奴は料理の出来る奴だと思う。 や、逆かな。 料理の出来る奴は、そのほとんどが頭も良い奴。 レシピの内容を理解すること、工程の意味を知ること、応用範囲の想像が正しくできること。 手先の器用さが求められる状況も皆無では無いが、菓子作りはともかく、日常の料理範囲ならカット加工されている野菜を買ってくるとかの救済手段はあるわけだしな。 あとは"こいつに美味しい料理を食べて貰いたい"という欲がどれだけあるかも重要だと思い知った──最近、何度かだけ自分だけのために料理をしたけれど、お世辞にも上出来とは言えなかった──けれど、その点はスピカなら、大丈夫だろ。] (176) 2022/07/22(Fri) 10:04:20 |
【人】 生物学者 アマノ美味しい……と思うぞ。 [心の中で密かに採点、(74)70n100点の出来映え。 不器用ながら具材のカットも不揃いではなかったし、手順通り分量通りに丁寧に仕上げたそれが大惨事になるはずもなく、小皿によそって食べてみたそれは、ちゃんと美味しかった。 残りは持って帰るといいぞと保存容器に詰めて冷めるのを待っている間に、玄関の鍵が開く音がして。] おかえり、ラサルハグ。 [いや、ね。 客人、初めてだったんだよ。この家で。 だから、つい。 つい、こいつも俺も、無意識にいつもの習慣で動いてしまった。 慣れた角度に首を傾け、当たり前のように互いの背に手を回し、"おかえりのキス"。 スピカがわなわなと震えだしているのを認めたのは、(23)20n60秒ほどのそこそこ長いキスが終わってからの事だった。*] (177) 2022/07/22(Fri) 10:05:41 |
生物学者 アマノは、メモを貼った。 (a31) 2022/07/22(Fri) 14:30:10 |
【人】 生物学者 アマノ【帰還後 引っ越し後のある日】 は?…………な、に。 [研究所からの帰り道、今日はシーフードカレーだと材料抱えての集合住宅前。 俺はいくつかのカメラと記者とに囲まれた。 アマノ先生ですよね、あのミスティックアンテナ号からの生還者の、と。 そうですが、とその若干不躾な言い様に片眉を上げる俺に、輪を掛けて不躾なシャッター音とマイクが襲いかかる。 ごちゃごちゃ奴らが言ってきたことをまとめると、 『"あの"マエダ機関士長と同居されているのは事実ですか』、とか、 『マエダ機関士長と恋仲なのではという噂は御存知ですか』、とか、 『あの事故後の閉塞空間が心境の変化の一端だったのですか』、とか。] ────……ッチ。 [不機嫌を隠しもせずに舌打ちしたら、一瞬奴らは怯んだように見え、俺は「失礼」と言い置いてとっととセキュリティーゲート向こうの自宅建物を目指そうと一歩踏み出した。] (220) 2022/07/22(Fri) 22:56:44 |
【人】 生物学者 アマノ[なんで、今更? 帰還後は確かに相当騒がれていたらしいけど(でもその頃はクルー全員が病院に居たから騒動の実感はあまり無い)、最近はその熱も随分引いていたところだったのに。 どうやらラサルハグの新しい仕事 >>209 が公になったらしく、それでまたちらほらとゴシップ誌が騒ぎ出したらしいという背景を俺はまだ知らなかった。 そんな背に、一際耳障りな男性インタビュアーの声が届く。] 『残るべきはマエダ機関士長だったとの声も多くありますが、アマノ先生もセリーニ医師の犠牲が妥当だと?』 [ざわ、と身体中の毛穴から"怒り"が零れた気がした。] (221) 2022/07/22(Fri) 22:58:11 |
【人】 生物学者 アマノ────ッてめえら、何も、知らないくせに、良く言う……ッ! [つかつかと奴らに歩み寄り、睨め付ける。 知らないくせに。 何も知らないくせに。 俺達がどれだけ悩んで、どれだけ苦しんで、できれば誰も犠牲にしたくないと、過ごしたあの日々の事、何も知らないくせに。] 艦長はマエダ機関士長じゃない。アンテナだ。 俺達はアンテナの決断に従った、それだけだ。 [言い切った後、なおも胸のムカムカがあまりにも消えずに、俺はつい、言い放ってしまったのだった。] (222) 2022/07/22(Fri) 22:58:43 |
【人】 生物学者 アマノラサルハグと恋仲で何が悪い。 今更同性同士で騒ぐ世でもねーだろうが。 俺は学生時代から奴の事が好きだった。 あの事故はきっかけの1つだったかもしれないが、理由じゃない。 クソ下らない事を嗅ぎ回ってんなよ、この下衆が。 (223) 2022/07/22(Fri) 22:59:14 |
【人】 生物学者 アマノ[ああムカつく。まじムカつく。クソが。 俺はなおも何か言ってこようとしてくる奴らを振り払うように帰宅して、予定だったカレーライスを作った。 気が荒れてると良くないな。この日のカレーはいまいちな出来映えだった。 ────で。] あー………………。 [知らなかった。気付いてなかった。 カメラしか来てないと思っていたのに、どうやらあの場ではビデオカメラも動いていて。 朝のワイドショー的下世話な番組で、俺の啖呵が盛大に電波に乗っているのを目にしてしまったのだった。 マスコミって奴は、度し難い。つくづく度し難い。 俺はテレビ局雑誌社その他諸々に撒き散らしてやろうかと、超弩級クラスに危険な生物兵器の存在を脳裏に過らせたのだった。**] (224) 2022/07/22(Fri) 23:00:08 |
【人】 生物学者 アマノ【帰還後 引っ越し後のある日・2】 [あの日 >>220 、日付が変わる少し前に帰ってきたラサルハグは何も言わなかったから、建物前のマスコミは既に撤収していたんだろう。 別に報告するものでなし、と俺も何も言わず──ただ思ったより美味しくはならなかったシーフードカレーについては謝った──、いつも通りの夜を過ごし、そして翌日。 大学へ向かうラサルハグを見送るところまでは平穏な、これもいつも通りの朝だった。 そしてそのほんの少し後に、あっという間に拡散した俺の罵声つきカミングアウト。 それはもう、いかにもわかりやすくセンセーショナルなものだったろう。 まあ、そうだろうよある程度までは覚悟してたよ。 まさか動画で流されるとまでは想像していなかったけどな。 動画拡散と同時にネットで有象無象が一斉に囃し立て始め、曰く、 『続報:遭難船熱愛COアマノはS星系アマノ大臣の息子』 『アマノ大臣まだ生きてたワロス。環境分野の重鎮的なアレだしょ?』 『アマノ大臣同性愛者否定動画発見、先の展開胸熱案件』 etc、etc。] (268) 2022/07/23(Sat) 6:14:22 |
【人】 生物学者 アマノ[自らそんなものを検索して目にしたわけじゃないが、研究所へ赴けば刺さる視線をちらちらと感じた。 研究所の奴らは、同僚もしくは上司部下であって、"仲間"じゃない。 「コーヒーありがとう」なんて知らぬ振りで笑いかけてくれる奴は居ない。 「何か飲むー?」と純度100%の笑顔つきの呑気な声も無い。 「ベラベラ喋りすぎ」と困ったように窘めるあいつの腕もない。 俺は小さく溜息吐きつつ、変わらぬ業務を続けていて────、 ────『すまん、今日は帰れない。』 ラサルハグからの着信に「そうか」と小さく呟いた。」 "すまん。あれの所為だよな。" "動画撮られてたとは思ってなかった。" "本当にごめん。" [ほんの10秒足らずの会話の後、その文字列だけ追って送信し、俺は深く溜息を吐いた。] (269) 2022/07/23(Sat) 6:16:00 |
【人】 生物学者 アマノ[結局この日は俺も自宅へ帰る気になれなくて(だってどうせ自宅前に増えてるんだろう?マスコミが)、研究所内の休憩室ソファに寝転がる深夜。 ────良かった、"あっち"は表に出ていない。 見たくもないが件のあれこれに纏わる表題を手元のタブレットで流していく。 頭に血が上ったのはチャンドラ云々言われたのが一番大きかったけれど、もう1つあった。 『謹慎措置中の管制官の保証人がパイロットの男性とのことですが』 『仲睦まじくデートしていたとの目撃情報についてアマノさんも御存知では?』 『極限状態ではやはり性の乱れが当たり前なんでしょうか』 デート云々なんて、どうせ一緒に買い物していた >>21 とかそんなものだろうし、それを言うならスピカは俺の家に来たりラサルハグと会ったり様々しているだろうに、切り取りたいところだけを切り取って囃し立てるのが奴らのやり口。 かつて研究絡みで追いかけられた事もある俺は、うんざりするほどよく知っていた。] (270) 2022/07/23(Sat) 6:19:07 |
【人】 生物学者 アマノ[この時の俺はまだ、ルヴァとゾズマ回りの事については何も知らなかった。 けれど、ダビーとスピカの事、チャンドラとバーナードの事は本人らから直接聞いていたこと >>4:288 もあって、"性の乱れ"云々と手垢のついた言葉で外野から言われることだけは我慢ならなかった。 てめーら、ほんとに何も、知らないくせに。] ……………………ッ。 [不機嫌極まりない顔でタブレットに触れる俺の指と目がぴたりと留まる。 指先にあったのは、"アマノ大臣会見"の文字。投稿日時はほんの数時間前。 最後に会ったのは5年前……いや、遭難期間を入れれば10年近く前になるのか。元々記憶も曖昧だったけれど、朧な記憶の像よりも、父親は数段老けていた。 何か面倒を言い出すんだろうか、ラサルハグに迷惑がかかりさえしなければいい……そう思い、動画のリンク先をタップしたところ。] (271) 2022/07/23(Sat) 6:34:04 |
【人】 生物学者 アマノ『"あれ"はもう何年も前に勘当しています。』 『親子の縁は切っているので、この件に関して何も申し上げる事はございません。』 ────…………へーえ。 知らなかった。 [俺、いつの間にか知らぬ間に父親と縁切りされていたらしい。 日和見主義な母親は、こういう時ばかりは父親と同調するのだろう。 直接告げられることもなく、勝手に切って捨てられた、俺達を結ぶ唯一の縁でしかなかった"血縁"という名の細い糸。] …………なんなんだろうな、"家族"って。 [ぽつりと呟く。 今一番恋しい体温が、声が、あの強く蒼く光る俺の大好きな瞳が、傍らに無いことだけがひどく寂しかった。*] (272) 2022/07/23(Sat) 6:36:24 |
【人】 生物学者 アマノ[チャンドラとラサルハグを除いた仲間全員への一斉送信ボタンをタップする。 あの船に乗る前の自分だったら、マスコミに煽られるような事を言われても激昂などせず無視一択だったろうし、自分が矢面に立つような真似もしなかったに違いないのに。 それがこうも変わってしまったことには後悔はないけれど、今は己の行動がラサルハグをも縛ることになってしまう事については、時々頭から抜け落ちてしまう。」 ────ごめん。ラサルハグ。 [一番謝らなきゃいけない先は、誰よりもお前、だよな。*] (276) 2022/07/23(Sat) 7:53:37 |
生物学者 アマノは、メモを貼った。 (a41) 2022/07/23(Sat) 8:46:44 |
生物学者 アマノは、メモを貼った。 (a42) 2022/07/23(Sat) 8:47:07 |
【人】 生物学者 アマノああ────いた。 [指定場所に車を飛ばし、きょろ、と辺りを見渡せば見慣れた赤髪が見えた。 今朝も見たばかりなのにな。 なんだか久しぶりな気すらして。] どこに行く予定なんだ? 明日明後日の休暇申請しておいた方が? [端末1つで申請できるからすぐできるけどなと肩を竦めた*] (280) 2022/07/23(Sat) 8:54:39 |
【人】 生物学者 アマノ["いってらっしゃいのキス"ぶりのキスに目元を綻ばせれば、とんでもない言葉が飛んできた。] な、なんで、お前の、家。 [理由がさっぱり、欠片もミクロもわからなかった。*] (285) 2022/07/23(Sat) 9:06:16 |
アマノは、バルハンwhereだろうが、のランダムが抜けてた…… (a43) 2022/07/23(Sat) 9:58:39 |
【人】 生物学者 アマノ>>294 ……そうなの? なら、いいんだけど。 ["そうなのねー"とか。 確かに親子の会話として想像できる範囲──その出典は映画とか小説とか──だけど、現実感覚としては遥か遠い。 そうは言っても、いざ会ったら罵倒されるんじゃないかという懸念が常に心の隅をちくちくと刺してきていた。] ────く、はは、お前、どんだけパン好きなんだよ。 俺もだいぶ覚えたけどな。 [バタールだの塩パンだの、なんでどいつもこいつもそんなにパンを食べたがってたんだか。 ああバーナード、元気にしてるのかな、ちらりとそんな事も思いつつ、ラサルハグが口走った"雨水"は何かの聞き間違いだろうと丁重にスルーした。] "旅行"とは違うけど……うん、こういうのすごく久しぶりだ。 [窓を少し開ければ頬に当たる風。夜の大気の匂い。 あの宇宙船の生活では得られなかったもの。*] (297) 2022/07/23(Sat) 10:24:54 |
【人】 生物学者 アマノ【〜1年後〜】 [俺達の見慣れた、あの繊細な刺繍入りの白服に愛用の黒いヴェール。 窶れた頬に薄く紅を刺して棺に横たわるチャンドラは、でも、ただ眠っているようにしか見えなかった。 その日は抜けるような青空で。 建物外に広がる庭園は今が盛りとばかりに数々の花が咲き誇り、そこにチャンドラが立って微笑んでくれるなら、それはここに居る誰より似合いの光景のように思われた。 でも今日、俺達は、彼女を見送らなくてはいけなくて。] ありがとう。 ────おつかれさま、チャンドラ。 [彼女だけに伝わるくらいの声で小さく告げながら、1人1人、彼女の棺へと花を手向けていく。 可憐な白いリシアンサスは、華やかすぎるバラよりも、香りの主張が強い百合よりも、彼女にとてもよく似合っていた。 俺は、神など信じないし、ゆえに祈りはしないけど。 でも、チャンドラの魂が辿り着くのは花が咲き緑が揺れる穏やかな場所であれば良いと、切に思った。] (320) 2022/07/23(Sat) 12:19:52 |
【人】 生物学者 アマノ[その場に居るのは、帰還後そこそこの頻度で見るようになった顔も居れば、かなり暫くぶりな者も居て。 その1人がバーナードだった。] ────……? お前、なんか、疲れた顔してないか? [見慣れない黒い服なんて着てるからか?と訝しがりながらも見やれば、へらりと笑うその顔にも、以前には無かった陰が落ちている気がして。 ふわふわとしたくせ毛は相変わらずなんだけどなと見下ろせば、後頭部に不自然な傷があるのに気がついた。 ────それは、"意図的に切り、再び塞いだ"みたいな。しかも、複数回。 怪我の治療としてではなく、移植縫合に近い、人為的でしかない傷跡。] お前……母星に帰ってるとか言ってたよな? >>262 何、されてた────? ["調査とか研究とか"と言っていたか?コレはそんなもんじゃないだろう。 チャンドラの伝手で入った研究機関での活動という二足の草鞋を履き始めていた俺は、その傷跡が"何によるものか"くらい、理解できるようになっていた。] (321) 2022/07/23(Sat) 12:21:31 |
【人】 生物学者 アマノ[バーナード君、久方ぶりの馬鹿ゲットおめでとう。 そんな茶々を入れている場合じゃない。] ────もう"終わった"のか? いや、そんな事ないな、 "あいつら"は容易には離さんだろお前の事。 [自問自答は秒で終了。 "使う道"、"使う道理"がある限り、あいつらは何度だってバーナードの体を切り刻むだろう。 俺達が眠っていた4年ちょっとの間、"命を切り売りする星"や"搾取する星" >>3:18 と、そんな文化から脱却を図ろうとする研究機関の対立構造はそこそこ大きなものになっていて、政治も強く絡み始めた結果、実験体らにある程度の人権が認められるようには >>266 なりつつあった。 幸い俺の得意とする微生物分野の研究はそれほど先には進んでおらず、研究機関には歓迎の諸手を挙げて出迎えられた。 バーナードの表情を見ることなく、俺はその場で各方面に連絡を入れ始める。 どこだ、どこからだ、あの星に一番圧力をかけられるルートは。] (323) 2022/07/23(Sat) 12:23:19 |
【人】 生物学者 アマノ[お前が"そんな"だとな、チャンドラに怒られるんだよ。 "馬鹿な子供が馬鹿な真似をしないように止めるのも、大人の仕事" >>4:81 なんだから。] バーナード、お前、俺のものになれ。 [言い放ったら、それは語弊がありすぎたようでおかしな声を挙げられてしまったから、慌てて言い直す。] いや、俺はラサルハグのものだけど。 っじゃなくて、そういう意味じゃなくて! 俺の居る研究所の所属になれと言っている。 ["お前には使い道があるからな"なんて言い方、嫌な響きも甚だしくて言ってる自分に吐き気がしてくるのだけど。 でも、"助けてやりたい"と告げたところで素直に頷くバーナードではないように思われたから、あえてそんな風に言ってやる。 たとえそれが小型宇宙船1隻分のコストがかかったとしたって、安いものだ。*] (326) 2022/07/23(Sat) 12:25:17 |
【人】 生物学者 アマノ>>343 ────誰かの助手席とか、初めてだ。 [いや、タクシーとかは別にしてだぞ? 楽しいものだなと目を細め、ちらりと傍を見るとラサルハグも常になく楽し気に瞳が輝いている。] お父さん、亡くなられてたのか。 [言い淀んでいる風ではなかったから、ぽつりとそう返した。先に、「母さんに」と言われていたから薄々気付いてはいたものの。] ────聞かせて欲しい。 お前のこと、もっと知りたい。 知ってても知らなくても、お前のこと好きなのは変わりないけど、それでも。 [もう10年くらいの付き合いになるのにな。 ラサルハグとそんな話をしたのは本当に、今日が初めてだったんだ。*] (346) 2022/07/23(Sat) 15:42:58 |
【人】 生物学者 アマノ………………。 [お父さんが亡くなったのは事故か何かで……?と問う前に、淡々と、でも穏やかな口調で、ラサルハグの家族の歴史が語られていく。 そういえば奴は大学でいつでも一番安い定食だったな、とか。教本も先輩から譲り受けたのを使っていたか────とか。 人の身なりにそう気づく俺ではないが、思い返せばいつも似た風な出立ちだったようにも思う。] (353) 2022/07/23(Sat) 16:43:27 |
【人】 生物学者 アマノ正直、な。 お前が心から納得して船を降りるのなら、俺も無理矢理宇宙に引きずり出そうとかは思ってなく、て。 ただ、その義足を理由にして諦めると言うなら、それは違うだろ、って────腹が立った。 俺、怒りすぎてたよな。 …………すまん。 [ラサルハグがあまり素直に己の事を語るものだから、俺も釣られてしまったんだろうか。 常になく、思うことが素直に口から零れていた。 だから強がることもせず、] ────正直、すごく緊張はしてるけど。 変に格好つけようとかは……思わないようにする。 [まあ、腹は括ったよ、と、小さく笑い。 うっすら空に赤みが増えてきたら、”朝っぱら”はもうすぐだ*] (354) 2022/07/23(Sat) 16:44:39 |
【人】 生物学者 アマノ[こんな突然に、手土産もなく申し訳ないと頭を下げる俺に、気にしないでとラサルハグによく似た蒼い瞳が細められる。 昨日の深夜に決まった訪問だったと言うのに食卓には絵に描いたようなこの地方の──つまり俺の故郷でもある──朝食が用意されていた。 懐かしい、と言う感覚とも少し違うのだけど、実家の家政婦が良く作っていてくれた献立。記憶の中のそれよりも、今日の食事は数十倍も美味しかった。」 ────この茄子、すごく美味しいです。 [味噌汁と漬物に使われていた茄子があまりに美味しかったから呟けば、庭で育てているのだと。 食後には、気に入ったなら持って帰れば良いと家庭菜園を案内してくれた。 いつの間にか、ラサルハグの姿は消えていた。] (368) 2022/07/23(Sat) 17:29:54 |
【人】 生物学者 アマノ────心配、ですか。 ラサルハグがまた宇宙に行くのは。 [別に、このタイミングを狙ってたじゃない。 けれど、ぽつりと言葉が落ちて行った。] あいつ、最初はもう飛ぶ事を諦めてました。 それを俺が「飛びたい気持ちが残っているなら飛べ」と怒鳴りつけてしまって。 今の義足がハンデなのなら、ハンデにならない義足を俺が作ればいいだろ、って……。 [でもそれは俺のエゴかもしれなくて。 悩んでます。 少し俯きがちに呟くように言った俺に、彼女のふわりとした微笑みは崩れなくて。 纏う雰囲気も顔立ちも全然違うのに、俺はどこか、チャンドラを思い出していた。 *] (370) 2022/07/23(Sat) 17:31:07 |
【人】 生物学者 アマノそう、ですか。 [馬鹿なんだからと言いつつ、彼女はとても嬉しそう。 仕方ないわねと、それは諦観でも悲嘆でもなく、ちらりと見た瞳は憧憬に近かったように思えた。] ────俺、ラサルハグが好きです。 学生の頃から。ずっと。 [意図せず”例の動画”と似た言い回しになったことには気付かない。 でもその口調は全く異なり、緑の庭に静かに落ちた。] (390) 2022/07/23(Sat) 20:46:36 |
【人】 生物学者 アマノ最初は、あいつの右脚になろうと思いました。 …………でも、それはあいつに失礼な話で。 今は共に歩きたいと思っています。 置いていかず、置いていかれず、いつでも横を見たら互いが見える距離と速度で。 [縁側に前屈み気味に腰を下ろし、決意するようにぽつりぽつりと呟いたら、”貴方、良い子ね”と、いう声と共に頭を撫でられた。 カサついて節ばった、働き続けた女性の手。 それでも俺は、サロンだのネイルだので磨かれた、綺麗に整っているだけのあの母親の指よりも余程に綺麗だと思った。 いつの間にかラサルハグも近くに居たが、どこから聞かれていたとしても、まあ構いやしないさ。*] (391) 2022/07/23(Sat) 20:47:45 |
【人】 生物学者 アマノああ、と……正直、"お母さん"というものが俺にはよく、わから…なくて。 両親は存命だけどいつの間にか勘当されていたし。 それ以前からもずっとそんな風でした。 だから俺には、"家族"というものの在り方も理想もわからない。 けど、ラサルハグは誰より大事にしたい。 そしてラサルハグが大事にしている人やものも、大事にしたいと思っています。 [伝わっただろうか。伝えられただろうか。 失礼な言葉になっていやしないかと、常の己の口の悪さを省みても今更なのだけど。] (405) 2022/07/23(Sat) 22:01:44 |
【人】 生物学者 アマノそれでも彼女は笑ってくれて、そうして俺は"二日程度の休暇"を求められた意味を漸く理解したのだった。 視線の先には、休暇を求めて来た張本人。] ────なあ、俺、花火したことないんだが……? [ふ、お前、その格好、クルーの皆に見せてやりたいよ。 まるで夏休みの少年みたいだな。*] (406) 2022/07/23(Sat) 22:02:13 |
【人】 生物学者 アマノ>>407 [ラサルハグの母親は、正しくラサルハグの母親だった。 表情が違うだけ──ラサルハグは真顔でやる、そして彼女は笑顔でやる──で、することは同じ。 保存したのだという悪魔のオプションつきで例の動画を目の前で再生された俺は無事に死亡し、なんでお前だけ緩い格好してんだよ俺着替え持ってきてないんだからなと取り繕う事なくラサルハグに言い募り、そしてラサルハグと似たような格好になって。 することと言えば大学生どころか小学生まで巻き戻ったような"夏休み"な2日間だった。 機関士長と生物学者の熱愛報道は、目付きの悪い2人組の方や制服組、方や白衣の専門職というその見た目も騒動を大きくしたところがあった(らしいと後に知った)のだけど、ジャージ着てスイカ食ってるこの様見たら、案外、その騒ぎは一瞬で鎮火したのかもしれないな。] (410) 2022/07/23(Sat) 22:56:46 |
【人】 生物学者 アマノいや大丈夫。 俺、研究所のソファとか床の寝袋ででも寝られるし。 [布団は初めてだけれど、ベッドよりは固いとはいえふかふかだし、太陽の匂いがするし。 昼も夜もない宇宙空間を漂い続けた4年強、半ば以降はほぼ意識が無いままで居たものの、自覚のないところで摩耗するものがあったのかもしれない。] ……なんだか、ここに居ると色々悩んでいたのが馬鹿らしくなってくるな。 [久しぶりに太陽の光をこれでもかと浴び、瞬く星空を地上から見上げた俺は、なんなんだこの謎のデトックス効果はと、くすくすと笑いを零したのだった。] (411) 2022/07/23(Sat) 22:58:39 |
【人】 生物学者 アマノ────ところでラサルハグ、明日の帰り道だけど。 [並べられた布団、身体をラサルハグ側に向けて横たわりながら秘密を打ち明けるように囁く俺。] …………ラブホ寄らない? [あとは寝るだけの深夜にそんな事言うかと思われたかもしれないが。 今言わないでいつ言うんだよ明日車乗ってからだと帰路の計算とか色々面倒になるだろうが。] したい。お前に触れたい。お前が欲しい。 [ストレス解消の効果(あるいは成果?)だろうか、どうにもムラムラが止まらない。 慣れてないの何ので極一部のクルーには大変にご迷惑をおかけした一連の件は、生還後早々 >>-973 に落着を経て、以来、まあ、(50)20n50位はヤッてるんじゃなかろうか。知らんけど。 さすがに慣れたし、気持ちよさも、まあ、相当に? 欲しいものは欲しいと言うことにしたんだ。 だって、お前の全ては俺のもの、なんだろう?*] (412) 2022/07/23(Sat) 23:01:46 |
【人】 生物学者 アマノ【帰還後 1ヶ月少し経った頃】 ルヴァ…………。 [最後に顔を見た記憶は、コールドスリープ中。 精神体がふわふわしていたあの不思議な空間で、簡単な会話を2つ3つ交わしたあたりで途切れている。 地上で再会したルヴァは、意識はあるようだったものの、どこかぼんやりと遠い目をしていて >>393 医師の話によると、ストレスがピークを迎えた >>179 のが大きな理由だと言うことだった。 それほど良くない状態なのかと、俺とラサルハグが目を見合わせるも、あの快活な揶揄いの声はかからない。 くるくるとよく動いていた瞳が焦点を合わせぬまま1点を見つめ続け、俺らの問いかけに関してもごく僅か頷くか、囁き声のような不明瞭な音が喉から零れるばかりだった。 ────この馬鹿。 バーナードやサダルたちが心配するだろうが。 ルヴァと親しかった──と俺が認識していた──者の名を心の中で挙げたけど、その中にゾズマの名は入らなかったくらいには、未だに俺はルヴァの事をそれほど知ってはいなかった。] (413) 2022/07/24(Sun) 6:17:43 |
【人】 生物学者 アマノいや……別に、仲が悪かったというわけでもないし。 [俺の側からルヴァの見舞いに行こうと言い出したからか、ラサルハグは少し不思議そうな顔になり、そんなに仲良かったかと言いたげだったから、そう返事する。] ルヴァ、何かと人のこと見透かすような事言ってきたからな、 船に居た時は、それを少し鬱陶しく思うところはあったかも……だけど。 [同じ調査員ということで、なんとなく"組"として捉えていたバーナードがやけに人懐こくて不思議と気に障らなかったのも大きかったと思う。 比較対象的にルヴァは遠い存在になりがちで、そも、ルヴァはラサルハグと共に最初のコールドスリープ者に指定されてしまったから会話する機会も失われてしまっていて。] でも、お前は寝てる時にルヴァと船内歩き回ってたんだろ。 けっこう仲良くなったと聞いたぞ。 (414) 2022/07/24(Sun) 6:19:28 |
【人】 生物学者 アマノ[俺としては、ルヴァはスリープルームでのあの珍事を一から十まで見ていた(もとい、見させられていた)わけで、それについてはずっと謝罪したいと思っていた。 スリープ中の精神体で彷徨っていた時もなかなか2人になる機会もなく、心の隅に宿題を残したまま帰還してしまったという次第。 その宿題は結局今日も終わらせられなかったわけだけど。] ────日常は、なかなか戻らないものだな。 [チャンドラの意識は戻らない。スピカも精神ケアの療養施設に入っている。ゲイザーも入院期間が長引いていると聞いていたし────そしてルヴァも。 けれど生きて動けるものは前に進まないと。俺には目下、やりたいことが山積みだ。] この後、目星つけた物件見に行く予定だったんだけど、お前も来るか?ラサルハグ。 [キッチンが立派で居間が広いんだ。 個室、つか寝室は1つだが、それで問題ないだろう?*] (415) 2022/07/24(Sun) 6:21:57 |
【人】 生物学者 アマノ【〜1年後と少しの頃〜】 …………あのクソが、"僕に、拒否権はない" >>335 とか。 なんでああいう言い方しか出来ないんだ。クソ馬鹿。 [苛々と罵声を噛み潰しながら濃いめのコーヒーを啜る。 解ってる。俺が「お前には使い道がある」>>326 なんて言い回しをしたから、お前はそれに応えただけ。 手元に届いたバーナードの"健康診断"データがまた、それまでの凄惨さを窺わせるもので、俺の眉間の皺は更に更に深くなった。 どれだけ血だのなんだの抜かれてんだよ。なんで抵抗しないんだよ。できないんだよ。 この世の中は本当にクソの吹きだまりだ。] (416) 2022/07/24(Sun) 7:11:34 |
【人】 生物学者 アマノこれ、お前の部屋の鍵な。 1ブロック離れたところに俺とラサルハグが住んでるから。 夜は飯食いにこい。朝は自分でなんとかしろ。 [室長自らそんな事をしなくてもと部下にはやいやい言われたけれど、プライベートの部分まで研究所の人間に託すのは職権乱用が過ぎるというもので。 いつだったかサダルに言われた、"一緒にすぶずぶ沈んでしまうかも" >>0:199 などという危惧は俺には当たらない──帰還後の回復の早さは精神面肉体面共に頑健であると証明されたようなものだったしな──のだから、なら、伸ばせる手は伸ばすだけだ。最後まで。 かくして、少し不思議な共同生活もどきが始まった。 研究所の人間には、バーナードをくれぐれも"実験体"としては扱うなと伝えてある。 契約上、微生物研究の一助にはなって貰いつつ、実態は研究助手兼雑務係のような体で働いてもらった。 最初のうち、"仕事”ってそんな事で良いのかと、俺にコーヒーを差し出しながらものすごく怪訝な顔になっていた気がするけれど。] (417) 2022/07/24(Sun) 7:13:23 |
【人】 生物学者 アマノ[いずれは──奴の出身星の人間が奴に未来永劫手を出せない状況になれば──いつしかバーナードがそう希望していたように、船乗りとして生きる道に戻らせる心積もりでもいた。 その頃にはラサルハグの脚についてもいくらかの見通しがついているだろうしな。] バーナード、金曜は夕飯食ったらすぐ帰れ。 [なんでと問われ、察しろよ馬鹿、と眉根を寄せる。] ────っ、ラサルハグと"する"日なんだよ! こっちは新婚家庭みたいなもんなんだ。察しろ。 [憮然と言うも、「いいよぉ気にしないで」 >>-1221 じゃないわ。 もうそろそろボタンを押したら俺の肉声の"馬鹿"が再生されるマシンを研究所で作ってもらって良い段階かもしれない。 ラサルハグはラサルハグで案外バーナードが気に入りらしく、俺が無理矢理奴を叩き出す方向に動けば困り顔になりやがるし。] (418) 2022/07/24(Sun) 7:16:47 |
【人】 生物学者 アマノ【1年後から、そう遠くない未来】 おかしな光景だよな。 ここにお前の"右足だけがある"って状況は。 [爪もあるしなんならきっちり体毛まで生えてる。 左足と並べても、当人でなければどちらが"偽物"かを見分けるのは難しいレベル。 青緑色に淡く輝く培養液カプセルの中、揺蕩っているのはラサルハグの新しい足だった。 そろそろ最終段階だから見てみるかと研究所に連れてきたラサルハグと共に、俺はそれを見つめていた。] (438) 2022/07/24(Sun) 11:20:53 |
【人】 生物学者 アマノ[チャンドラの遺産 >>3:18 は莫大なものだった。 と共に、脱実験体搾取の流れに乗る星や国、企業からの支援もこの5年で飛躍的に進んでいた。 技術的な面で言えば俺の専門の方向は幸いにも見事に合致していたし、バーナードの細胞提供による理論革新は期待以上に役立った(それはもう、奴があの1年間弱切り刻まれていた"有用性"を納得できてしまうくらいには)。 結果、奴の免許更新に間に合う形で、ゴールは目前に近づいている。] あの船で研究していた微生物がRUKKA-Vだったろ。 今、お前の足を繋げようとしているのは、RUKKA-Z。 "RUKKA"の意味、お前に話したことあったっけ。 [無菌培養室から出て、廊下を歩く。] 遠く失われた言語でな。 ────"希望"って意味。 (439) 2022/07/24(Sun) 11:21:11 |
【人】 生物学者 アマノ[それは最初は、俺一人が抱えこんだ希望でしかなかった。 あの船で過ごしたあの時が教えてくれたのは、繋ぎ紡ぎ伝えることで未来に続く希望があるということ。] だからお前の足は、皆の希望ってわけだな。 …………昼飯食べに行くか。 近くに新しいカレーライス屋が出来たんだ。 [再び宇宙へ云々なんて話は、あえてせずに日常に紛れさせる。 きっとお前が好きな味だと思うけど、と言いながら研究所の外に出れば、足元に落ちる鮮やかな光。 頭上にはチャンドラを見送った、あの時のような青空が広がっていた。*] (440) 2022/07/24(Sun) 11:22:16 |
【人】 生物学者 アマノ【〜1年とほんの少し後〜】 [青い空の下、チャンドラを見送った。 それは終わりと始まりの1つの区切りの日で、特に"所属"を移ることになったバーナードとその身柄を預かる身になった俺はそれから暫くは多忙な日々、落ち着く暇も無かった。 チャンドラの事を思い出す余裕もないまま、幾日かが過ぎたある日。 ミスティックアンテナ号の運航会社から私物の残りを引き取りに来て欲しいとの旨の連絡が入った。] ────残り? [俺のものは特にこれというものは無いはず。 お前は何か連絡があったかと、傍らのラサルハグと顔を見合わせる。 研究用機材の類は所有者が明確とのことで比較的早々に返却されていたし、歳月を経たことで既に壊れたもの──残念ながら愛用のコーヒーサーバーは壊れていた──は処分して貰っていた。 書類か何か残っていただろうかと、翌日、指定された場所を訪れたわけだけど。] (534) 2022/07/24(Sun) 21:42:57 |
【人】 生物学者 アマノ[渡された紙袋には、幾冊かの医療書籍が入っていた。 あの時 >>2:235 に貸して貰った再生医療の専門書。 チャンドラが、俺に譲り渡すよう、遺書に記していたそうだ。 そのうちの何冊かはタイトルを覚えていたから帰還してから改めて購入したものもある。 あれから5年以上経っても時代遅れになっていないその教本は、未だに再生医療従事者が指南書として扱う極めて専門的な内容も含まれていて。 チャンドラという医師の聡明さ、真面目さがそのまま現れているような蔵書だった。 勿論いただいて帰ります、と受け取ったところ、こちらの本は貴方の私物で宜しいですか────と、もう1冊の本が渡された。 家のキッチンに置いてある、買い替えた新しい本とは違う、表紙の端が少し折れて黄ばんだ、中のページあちこちに染みがある、『はじめての一人暮らしごはん』 >>2:236。] (535) 2022/07/24(Sun) 21:44:01 |
【人】 生物学者 アマノ────いえ、これは、 [チャンドラの本ですと言いかける前に、眼前の担当者から謝罪され、言葉を飲み込んだ。 曰く、サインがあったものの共通言語での記載ではなかったから選定が伸びて返却が遅れた、申し訳ない、と。 それなら尚更チャンドラのものと判るだろうと首を傾げた視線の先には、慣れない筆致での俺の名が──滅多には使わない、母国語での名前が──記されていた。天野大海、と。 それは、チャンドラからのメッセージ。 "ノーコメントで"持って行って欲しいという、無言の、秘密の形見分け。 確かに俺のです、ありがとうございます、と呟いて、汚れのない白い表紙の医学書が詰まった袋にそれも詰めた。 その後は、どう帰宅したのか、あまり覚えていない。] (536) 2022/07/24(Sun) 21:45:05 |
【人】 生物学者 アマノ[玄関に辿り着いて、閉じた扉に背をつけるまでが、限界で。] ────だ、から、嫌だったんだよ…………っ。 [扉に凭れるようにずるずるとしゃがみ込むと、床にいくつもの水滴も落ちてきて、なんだ、これ、と思いながら、呟いた。 先に帰宅していたラサルハグが何事かと出てきてくれたけど、俺は、"ただいま"の一言も言えないまま、ラサルハグに向かって口走る。 畜生、泣くのは嫌なんだよ。やたら疲れるし、ラサルハグ曰く"ひどい顔"らしいし。 けど、涙は全然、止まらなくて。] 知らない奴が勝手に死んだのなら、こんなに辛くなかった。 親しくもない奴が、コールドスリープの"椅子取りゲーム"に負けただけだったら、こんなに苦しくなかった。 こんな気持ち、全部要らなかった……っ。 (537) 2022/07/24(Sun) 21:46:52 |
【人】 生物学者 アマノ[要らないから。こんなの要らないから。 ────どうかチャンドラを返してください。 支離滅裂な事を口走る俺に、全部わかってるから、という風にラサルハグの手が触れてくる。 ああ、もう俺は、チャンドラの手の温かさも知ることが出来ないんだ。 もう二度と。 そう思ったらまた泣けてきた。 大事なものが増えるのは嬉しいこと。失うのは悲しいこと。 情緒13歳は、そんな至極単純な事をこの日初めて思い知ったのだった。*] (538) 2022/07/24(Sun) 21:47:35 |
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