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【人】 行商人 美濃[酒ー月ーを飲み干した後、内側が濡れた仮面を袖で拭くと付け直す。] お団子食べよ…。芋ようかんも…。 [人間美味しいものと甘いものを食べれば元気が出るのだ、そのことを女はよくよく知っている。 茶碗を膝の上に置き、うさぎ堂の包みに手を伸ばした時か、躊躇いがちな声が届いた。>>1] あら、和菓子屋さんの…。 お祭り、観に来られたのね。 [忙しそうだったから、その時間が取れたのならよかったと笑って。 うさぎ堂では慌しそうなのを良いことに、強引に贈り物を押しつけてしまったなとは驚いたような様子を思い出しはすれど。 何か用事だろうかと首を傾げた。]** (2) 2022/10/05(Wed) 10:55:42 |
【人】 行商人 美濃[面の下はきっと、化粧も崩れてひどい有様だったろうから、顔を全て覆うこの面に女はひっそり感謝した。 うさぎの娘が簪の礼を告げるのを聞いて、目を瞬かせる。>>3] やだわ、私、貴女に何も言わせないままに押し付けてしまったものね。 [そも贈り物とは、喜ぶ顔を見たいからするものなのに。 女の勝手で驚かせた顔が記憶に残っていたから。 だから、こうして礼を告げられ、綺麗な簪と感想を貰い、お返しをとまで言われることに感謝するばかりだ。] ありがとう。 お団子は絶対必要だったから助かったのよ。 それに、貴女に似合うと思って。 お返しなんて…、いえ、そうね。 [お返しなんて必要ないと言いかけて。 彼女の好意を断ったらそれこそ押し付けだ。 考えてくれることが嬉しいのだとも、女は知っている。] (5) 2022/10/05(Wed) 21:07:14 |
【人】 行商人 美濃まあ、いずれはあのお店の店主さまなのね。 ええ、またそのうち、必ず此処へ立ち寄るわ。 月見の頃にはきっと。 だから、貴女の作るお菓子、とても楽しみにしておくわね。 [好きなお菓子はとの問いには少し考えて。] 甘いものに目がないのだけど……、そうね、 どら焼きかしら。 [満月みたいに丸くて、柔らかくて。 中は甘いばかりの菓子を告げた。]** (6) 2022/10/05(Wed) 21:07:56 |
【人】 行商人 美濃[女がひとり、生きていけるようにと渡された希望は、いつか気づかれる仮初めだと彼の人も気づいていたのだろう。 諦めて、或いは絶望して、土を捨てるか中を検めようとした時に、女は夢見がちな少女ではなくなっているだろうから。 その時のためにとあの茶碗の底に、彼の人自身の希望を隠したのだ。 自分のことは二の次で、優しい嘘で隠すようなところも、姿を隠しては現れる月のようだと女は思う。 この女にばかり都合の良い推測が、すべてお得意の空想でも、構わなかった。] (19) 2022/10/06(Thu) 18:45:33 |
【人】 行商人 美濃[売れた品と茶碗一杯の土の分、幾分軽くなった鞄を背負えば、職人街や商店街を巡り、榛名での仕入れ品を探して。 行き交う街に学生らしき子らの明るい笑い声を聞く。 昨夜の客の中、気になる女学生にでも渡すのだろうか、真剣に品を選ぶ少年の姿を思い出して微笑ましくなったりとする。 雨の中で幻視した、賑やかな榛名の日常が確かにあった。>>0:36 その道中でも、呉服屋に立ち寄った時にでも、猫飼いの人に会ったなら、「確かに咲いた」と伝えるだろう。 また大きな満月が昇る頃、きっと此処へ来るだろうから、その時お見せできたら良いと。 ひとつ、約束を増やして。 女はひとり、島を去る。 けれど、女はひとりではなかった。 ───満月を飲み干した胸の内、 其処には確かに*彼の人がいる。*] (20) 2022/10/06(Thu) 18:47:04 |
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