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【人】 木峰 夏生[ キノミネくん、最近いい子だね。 ふわりと漂う香水の匂い。 今にも笑い出しそうな声に振り返れば、 件の先輩がデスクのすぐ後ろで 艶っぽい笑みを浮かべて立っていた。 ] お疲れ様です。 そーなんすよ、いい子なんです。 [ リモートワークの隙間、週に一度の出社日も 仕事が済めばさっさと帰宅する。 なんやかんやと理由をつけてダラダラと残業し、 その後も飲みに行ったりホテルに行ったり、 そんな爛れた生活はこのところ すっかり鳴りを潜めていたから、彼女だけではなく 俺の一面を知る友人や同僚から揶揄されることが ちょいちょいある。 ] (6) 2021/12/14(Tue) 7:02:45 |
【人】 木峰 夏生[ そう、とけらけら笑いながら、 先輩は俺の座る椅子の背もたれに手をかけて、 身体を寄せてくる。 背中に、あいつとは違う柔らかな膨らみ。 今までだったら───そうだな、まぁそれはいいか。 相変わらずな彼女にこちらもふふ、と笑いながら さりげなく身体を離そうと立ち上がりかければ、 つ、と細くひんやりとした指が、首筋を伝う。 ] (7) 2021/12/14(Tue) 7:03:44 |
【人】 木峰 夏生「 いい子ねー。」 [ まるで歌うみたいに首筋を撫でて。 いつつけられたやつだったかな、 シャツの隙間から覗く肩の咬み傷に、指が、 そして綺麗に整えられ飾らせた爪が、触れた。 ] 「 えっちー。 」 [ ゲラゲラ笑いながらするりと離れる熱。 こちらが何か言う前に、さっさか歩いて去っていく しなやかな背中。 ] やっぱオンナってこえぇ。 [ こちらも思わず吹き出して。 さっさと帰宅準備を整えれば、席を立った。 ] (8) 2021/12/14(Tue) 7:05:55 |
【人】 木峰 夏生** ただいま。 [ 開いた玄関に、知らない靴があることにすぐ気づいた。 海斗の靴と似たような、カジュアルなものだったなら 珍しく友達かな、と驚きつつ嬉しくなっただろう。 すっかり母よりも口煩く言われることにも慣れて、 言われる前にちゃんと手洗いとうがいをしてから、 リビングへ向かう。 ] ─── ああ、こんにちは。 海斗の友達だよな?いらっしゃい。 (9) 2021/12/14(Tue) 7:06:56 |
【人】 木峰 夏生[ ソファの端っこに座っていたのは、長い前髪の 綺麗な顔をした男。 真ん中に座ればいいのに、居心地が悪いのか 遠慮がちに端にいる様子に印象は悪く無かった。 ] 海斗? [ 2階で物音がする。 一度リビングを出て階段の下から上に向かって 声をかけてみた。 じきに降りてくるだろう。 整った顔立ちの彼に向けて ] コーヒーでいいかな。 [ と話しかけながら、いつものクセでジャケットを 脱いでダイニングの椅子の背にかけた。 ユカリ先輩の香水の匂いが少し残っていて、 ふわりと部屋の空気を揺らす。 あー、やべぇ、海斗に怒られる、と思って コーヒーを淹れながら一人、密かに笑った。 ]* (10) 2021/12/14(Tue) 7:08:53 |
【人】 木峰 夏生[ しっかりした挨拶と、気さくな笑顔に こちらもにこやかに会釈を返す。 ] なんだあいつ、人に参考書借りといて どこ置いたかわかんなくなってんのかよ。 [ 苦戦してそう、の言い回しが頭の良さを感じさせる。 2階から聞こえるがさがさ音に半ば呆れた顔で、 ごめんなぁ、と彼に肩を竦めて見せた。 ] ほい、どーぞ。 あ、俺は海斗の兄で、夏生です。 (18) 2021/12/14(Tue) 10:51:51 |
【人】 木峰 夏生[ マグカップにくすくすと笑う吐息を集めながら 鼓膜を微かに擽る呟きにしっかりと耳を傾けて。 ] ─── そっか。 兄から見ても隙の多い弟なんだ。 手がかかるやつだけど、 いい友達が居て良かったよ [ 少しだけ、低くなった声を 感じさせないような完璧な笑顔でにっこりと笑った。 なんでもなかったように、コーヒーを 褒めてくれる表情に、そお?よかった、と笑い返して。 今度、メシでも行こうぜ、なんて話しかけながら ドタドタと鳴る天井を見上げて悪戯に笑んで。 意味ありげにちょっと肩を竦めて見せた顔は、 ちゃんと兄貴の顔だったかな。 ]** (29) 2021/12/14(Tue) 19:56:14 |
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