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【人】 会社員 シロウ[なんやかんやでチェックアウトの時間になれば、 身支度を整えて靴を履いた。 良い靴は、良い出会いを連れてくる、と 書いてあった少女漫画は、嘘じゃなかった。 慈瑛さんの足元で変わらない笑顔を携えている 黄色のスマイリーを見て、笑う。 ところで、部屋を出るまでに慈瑛さんが、 僕の首元にある革を外そうとしたのなら、 僕はたぶんほんとの犬のように、唸り声を あげるみたいに抵抗しただろう。 しぶしぶ、それを外すことに同意したのは、 慈瑛さんが、約束通り僕を彼の家に 連れて行くと行ってくれたから。] (96) 2021/03/29(Mon) 21:46:52 |
【人】 会社員 シロウ[慈瑛さんの匂いがするその部屋には、 たくさん写真があった。 やっぱり思った通り、どの写真も ほんわり温かみのある素敵なもので。 僕は食い入るように見つめて、 これは、これは、と次々にその写真に纏わる エピソードを聞き出すだろう。 あなたのことを、もっとしりたくて。 ] (97) 2021/03/29(Mon) 21:47:35 |
【人】 会社員 シロウ[慈瑛さんが入れてくれたコーヒーは美味しかった。 ここにも、黄色のスマイリーが居て。 マグを探していたらしい慈瑛さんの手には そのスマイリーが握られて、 僕の前に置かれたのは普段彼が使っているマグだと 聞いたのなら、そっと両手で 大事に包むようにして口に運ぶ。 慈瑛さんの、大切な人。 その人との時間に、空気に、 僕が混じることを許してくれたことが とても幸せだと思った。 口角が自然と上がれば、スマイリーには 及ばなくても、僕の気持ちは伝わるだろうか。] (98) 2021/03/29(Mon) 21:48:49 |
【人】 会社員 シロウ─── はい。 でも、僕、このマグ好きです。 [さりげない、これから、の話を聞きながら 啜るコーヒー。 湯気の向こうの慈瑛さんが近くて、 広すぎたホテルの部屋よりずっと、落ち着く。] (99) 2021/03/29(Mon) 21:49:29 |
【人】 会社員 シロウ[ちょっと首を伸ばせば唇に触れる。 この空間がたまらなく居心地が良い。 0.00034%の確率は、 あの時彼が言ったように、 高いのか低いのかわからない。 ─── だから今、僕は幸せで。] ずっとずっと先の未来、僕が 慈瑛さんより先に死んだら、 あの首輪は絶対にお棺に入れてくださいね。 [そんな突拍子もないことを言ってくすくす笑う。] (100) 2021/03/29(Mon) 21:51:34 |
【人】 会社員 シロウ[慈瑛さんのが年上だしなぁ、嫌だなぁ、 なんて言いながら、僕はまたコーヒーを啜る。 鼻腔を香ばしい風が撫でて。] 慈瑛さんが先に死んだら、何を入れよう。 あのクリアディルド入れようか。 [なんて、げらげら笑って。 ……息を吸って、また唇に触れる。 コーヒーの香りがする。] (101) 2021/03/29(Mon) 21:53:09 |
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