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【人】 世界の中心 アーサー[ ──わらう。 いのちのいちぶは何処へ消えたか。 あれから一つ、 ロケットペンダントが増えているのは内緒の話だ。 青薔薇の君が“赤薔薇のリドル”と連れ立つのを、 貴族の若君は遠巻きに眺めていることだろう。 ──名字を背負わせない、と語るのは 彼等の親の顔もまた、其処にある為だ。] (320) 2020/05/31(Sun) 13:04:28 |
【人】 世界の中心 アーサー…此処の所、赤い薔薇と青い薔薇が “葉を取り合って”踊る夢ばかり見る。 こんなところでしか青薔薇の君とは逢えないだろ。 (321) 2020/05/31(Sun) 13:04:52 |
【人】 世界の中心 アーサー[ 小宮の真ん中まで、進んでいた。 穏やかな音楽ばかりが耳に届く。 此処で漸く赤薔薇は身を装って、“紳士の礼”。 下から華奢な手を差し出し、] (322) 2020/05/31(Sun) 13:05:29 |
【人】 世界の中心 アーサー* ……って、ことがあってね。 [ 幾度目かの満月。 あれからずぅっと赤薔薇を纏う、“唯の”リドルは 空にまぁるく穴でも開けたかのよな、 其れを見上げている。 珍しくも、夜道だ。 とある店から馬車まで、ほんの数メートル。 唯、途中で足を止めて仕舞えば夜風に吹かれるまま。] (362) 2020/05/31(Sun) 20:50:01 |
【人】 世界の中心 アーサー[ ──ひどいひとね。 リドルの腕に縋る女は、 何方とも示すことなくわらっていた。 女の目の前で“別の女”の話をしているのだから、 そりゃあ“ひどい”のだろう。 …よく、わからないけれど。 結局、“どうして”なんてひとつも考えなかったのだ。 追うことだって無かったし、調べさせることもなかった。 まるで興味もないかのよに。] (363) 2020/05/31(Sun) 20:50:32 |
【人】 世界の中心 アーサー( ──客室は片付けていないし、 胸のロケットペンダントがそのままなのも、 誰かの“残した”ものであっても。 ) (364) 2020/05/31(Sun) 20:51:04 |
【人】 世界の中心 アーサー[ 無意識にペンダントトップに触れている。 開いても写真なんか入っちゃいない。 “何か”を編んだものが平べったく収まっている。 …一度も開けたことはないが…。] (365) 2020/05/31(Sun) 20:51:36 |
【人】 世界の中心 アーサー[ おんなを解き、馬車に飛び乗った。 名残を抱くおんなに手のひらだけで礼をするから、 何処から見たって“きぞくさま”だ。 多すぎる嫌いなものの、ひとつめ。 だぁれもいない個室の中で、 うすいくちびるを 歪めている。] (366) 2020/05/31(Sun) 20:54:11 |
【人】 世界の中心 アーサー[ ────何処かの路地で、 “馬車が撃たれた” と 警邏を呼ぶ声が 響いている。 薔薇の音沙汰は、此処で途切れ 、 ] (368) 2020/05/31(Sun) 20:58:25 |
【人】 世界の中心 アーサー[ …なんて、ピンポイントだったのだろう。 正確性なんてどの程度かという質の悪い銃の音だった。 きっと馬車そのものを狙ったのだろう其れは、 見事に馬とを繋ぐ金具を貫いた。 馬だけが、走り抜けていった。どこか 遠くへ。 ──そう、 出来たらよかったのに。] (404) 2020/05/31(Sun) 23:49:11 |
【人】 世界の中心 アーサー[ 暴れる馬に引き摺られ、勢いに負けて横転した馬車の中、 “白昼夢”のとおり、紅濡れた景色を茫然と見ている。 生ぬるいものが薔薇色に被るのも気にせず、 夢のつづきを 見ている気分だ。 ──そういえば、断った事は有れ、 受け入れた事などあったろうか。 きっと何処かに打ち付けた額が割れていて、 見た目では酷いことになっているんだろうに 痛みも、 なにも吹っ飛んでしまって。] (405) 2020/05/31(Sun) 23:50:11 |
【人】 世界の中心 アーサー────……… [ 喧騒の中に おちていた。 薄く開いた薔薇色は、未だ何処にも合っていない。 音だって“騒がしい”とは思えど、意味は拾えず。 きっと、幸運でもあったろう。 “きぞくさま”の事故なんて良いネタだ。] (407) 2020/05/31(Sun) 23:52:01 |
【人】 世界の中心 アーサー[ 嗚呼、掠れている。 血を吐くなんて事はなくとも、鉄の味がしている。 口の中を切っているのかもしれない。 自分のことだけでいっぱいいっぱいで、 譫言のよに、何処に目掛けて語るのでもなく、 意識を保つために言葉を返している。] (410) 2020/05/31(Sun) 23:54:15 |
【人】 世界の中心 アーサーなあ、これじゃあ未だ、事故死だろ。 心臓に銀を撃ち込まれないと、 “ばけもの” は 死なないらしいじゃないか。 (411) 2020/05/31(Sun) 23:54:39 |
【人】 世界の中心 アーサー[ 不意、薔薇は碧とかち合った。 誰かを確り認識していたか、もう覚えていない。 差し上げた手がその頬に触れ、 柔く目尻を撫でたか、も。 指先で引く、紅化粧。 きっと、“一生残る傷”だ。 ] (412) 2020/05/31(Sun) 23:56:18 |
【人】 世界の中心 アーサー[ 青薔薇の挿絵を最後に、物語は幕を閉じる。 蝶々は 薔薇に“なりたかった”のでしょうか。 …なんて、問うたところで答えは無い。 誰も知らない、物語の裏側だ。] (441) 2020/06/01(Mon) 1:03:46 |
【人】 世界の中心 アーサー[ ぱたん、 と 手帖を閉じた。 窓から差し込む日の光が傾きかけている。 真白のベッドに身体を起こした金髪の男は、 紺青の装丁を撫で、窓の向こうを眺めていた。 ゆめを 見なくなった、 唯の男だ。 手紙ひとつ来ることも無くなり、 書くものも随分と減ってしまった。 きっと、“リドル”は忘れ去られていく。 便利に使われていたものではあっても、 占い染みた能力は歴史には残らない。] (443) 2020/06/01(Mon) 1:05:25 |
【人】 世界の中心 アーサー[ …世界の常だ。 そんなことは分かっていた、ずっと! 残し続けてきた様々なものが、 決して歴史にはなり得ないことぐらいは!] (444) 2020/06/01(Mon) 1:06:48 |
【人】 世界の中心 アーサー[ 今、男に残るのは、形ばかりの貴族の証と、 薔薇に囲まれた、茨の屋敷と、 ひとりの執事と、 従順な2匹の犬と、 ────…… ] (445) 2020/06/01(Mon) 1:07:29 |
【人】 世界の中心 アーサー[ 犬が踊っている。 懐いた誰かにまとわりつくように、 導くように、 甘く鼻さえ鳴らして。 仰々しく頭に包帯を巻いた男は、 言うことを聞かない片足をベッドから引き摺り下ろし、 真白の上に漸く座った。 ──御迎えくらい体裁を整えたいと思う、 ちょっとした意地みたいなもの。] (446) 2020/06/01(Mon) 1:08:40 |
【人】 世界の中心 アーサー[ 夕焼けを背負う人影。 犬の離れていく足音。 下げたペンダントを握りしめ、 ────不器用に笑んでいる。 もう“かんばせ”の貼り付け方など、 とうの昔に忘れてしまった! ] (447) 2020/06/01(Mon) 1:13:39 |
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