情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 エピローグ 終了 / 最新
【赤】 8435 黒塚 彰人 ──こつり。 指定の時間、鳴る靴音。 紙切れに記された場所へ訪れ、立ち止まり。 煌々と照らされた部屋、滔々と語る姿を暫し眺める。 ああ、ここがお前たちの言う“壇上”か。 そう理解するに事足りた。 少年の声に耳を傾け、眉間に皺を寄せる。 片手で顔を覆い、長い長い溜息を吐き出した。 (*4) 2021/09/18(Sat) 18:33:02 |
【赤】 8435 黒塚 彰人明かりのもとへ足を踏み入れる。 躊躇いなく歩み寄る。一人照らされる彼のもとへ。 こつ、こつ、こつ。足を進める度、小気味よく靴音が鳴った。 “壇上”へ誘われた男は口を開く。 「くだらない見世物だ」 ──真。 「体を重ねれば俺にも何かが得られると期待したんだろうな。 今のところ、実りはないが」 ──真。 「……ただ、俺を唆すあいつに興味が湧いた。 他人の幸せを望むことができるらしい、お前にも」 ──偽。 「ただしい人間になりたいんだ。 お前たちのことを好きになれるような」 ── ▓。 「他人を愛することのできる」 ── ▓。 「ただしい人間に」 ── ▓。 側へ立ち、瞳を見下ろす。 腕を伸ばす。頬にひたりと手を添える。 かさついた指の腹が薄い唇をなぞる。男の体温は低い。 (*5) 2021/09/18(Sat) 18:38:43 |
【赤】 8435 黒塚 彰人最後にひと撫で。 手を離す。 そのまま自身の口元へ運ぶ。 唇を一度、親指で拭った。 「なあ、お前。靖史」 「お前が、俺を変えてくれるのか」 ──偽。 (*6) 2021/09/18(Sat) 18:39:44 |
【人】 8435 黒塚 彰人 食堂に顔を出す。朝と晩の二度、概ね決まりきった時間に。 腹に何か入れるかと、適当にイギリスパンfoodを用意した。 (76) 2021/09/19(Sun) 1:58:32 |
【赤】 8435 黒塚 彰人どこか別の生き物のように、澱みなく動く少年の唇。 流麗に紡がれる言葉を浴び続ける。 素質が欠けている、そう告げられた瞬間。眉間に皺が寄った。 無邪気に笑う彼、向かい合い沈黙する男。 今この瞬間も数多の視線に晒されている。 観察している。値踏みしている。 塀の外、清くただしい人間どもが。 「なりたいよ」 冷たいレンズの前、答えはその一言だけだった。 「ただしくあれば、このくだらない舞台から降りられるんだろう?」 (*10) 2021/09/19(Sun) 12:21:44 |
【人】 8435 黒塚 彰人 食堂の端、壁に背を預け佇んでいる。 これまで他人の用意したものに手をつけることはなかった。 おおよそ決まった時間、適当に一人分の食事を用意して摂る。 ぱき、とペットボトルの蓋を開け水を飲む。 相変わらずの仏頂面。交わされる会話にただ耳を傾けていた。 (102) 2021/09/19(Sun) 17:30:37 |
【人】 8435 黒塚 彰人>>106 闇谷 唇にペットボトルの口を当てたまま、じろりと見下ろす。 驚いた様子は見られない。少なくとも表面上は。(whichを振り、世界はそのようになりました。) ボトルの蓋を閉め、引っ掛けるようにだらりと手に持つ。 息を吐き、呆れ混じりの声を落とした。 「……暁。何か用か?」 (107) 2021/09/19(Sun) 18:00:17 |
【人】 8435 黒塚 彰人>>108 闇谷 「従うつもりはある。体を重ねた人間もいる」 淡々と、情を介さない回答を吐く。 黒塚は不愛想ではあるが、話しかけられれば律儀に言葉を返す。こんな企画が始まる以前もそうだったろう。 「お前はあるのか」 やる気か、経験か。どちらとも取れそうな問いを投げて、それから。 少し考えるような間を置いたのち、空いている片手を伸ばし。フードを被った小さな頭に、ぽん、と置く。 ぎこちない、気遣いらしきもの。 「……うまくやれてるか。 お前、暁。ここに来て浅かっただろう」 (112) 2021/09/19(Sun) 19:23:45 |
【人】 8435 黒塚 彰人>>116 闇谷 「そうか」 尋ねたくせ、慰めも励ましも寄越しはしなかった。 表情を隠すフード越し、もうひと撫でしてから手を離す。 「どうと言われても。学んだ通りにしているだけだが。 ……お前は照れるんだな」 それが普通なんだろうか、と思いつつ見たままを口にした。 (122) 2021/09/19(Sun) 21:31:09 |
【人】 8435 黒塚 彰人>>125 闇谷 先日の鑑賞会、この男はいつの間にか姿を消していた。 集合すること以上は、規則に含まれなかったから。 「ああ、分かった。……頑張れ」 解放された手を軽く上げて、離れていく小さな背を見送った。 (138) 2021/09/20(Mon) 16:18:52 |
【赤】 8435 黒塚 彰人向けられる好意、善意、決意。 全てまとめて一緒くた、他人という箱に投げ込む。 吟味もせず、かといって信ずる心も持たず、 ただただ無関心ばかりを由として。 「『幸せに』、か」 黒塚彰人 人でなしの幸福は、そこには無い。 そうと知りながら、幸せを願う少年へと手を伸ばす。 (この姿は、さぞや愚かしく映ることだろう。) 「どう、助けてくれるんだ?」 指を絡める。冷たい金属の感触は、そこにあったろうか。 差し伸べるは、縋るは果たしてどちらだったのか。 (*13) 2021/09/20(Mon) 19:17:47 |
【赤】 8435 黒塚 彰人ここらで一度暗転、コマーシャル。 ただしいクソども 視聴者の皆さん、続きをどうぞ楽しみに。 またのご視聴、どうぞよろしく。 (*15) 2021/09/20(Mon) 19:28:34 |
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 エピローグ 終了 / 最新