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【人】 叶わぬ想い 日下部 汐里[ 二泊三日の林間学校。 少しだけ形を変えた関係性を経て 最近の私は、悩んでいる。 と言うのもこの国の言語は、圧倒的に言葉が足りない。 例えば、幼馴染。 恋愛対象にはならない、けれどずっと側にいてほしい。 そんな存在を表すのに、 その単語は適切ではない気もするし。 焦がれた彼女との事もそう。 片方に恋愛感情がなくとも、口付けを交わし、 友人として隣で笑い合う。 それを示す関係は、やはり ─── ] (41) 2020/11/29(Sun) 18:05:29 |
【人】 叶わぬ想い 日下部 汐里セフレ、かなぁ。 やっぱり…… [ いや、肉体関係に関しては、 定かではないのだけど! 林間学校から少し後。 昼休みの、いつもの空き教室での一幕。 ] (42) 2020/11/29(Sun) 18:05:35 |
【人】 叶わぬ想い 日下部 汐里“ 難儀な恋愛しちゃってますねぇ ─── お互いに。 ” [ いつだったか、本業はベースらしいけど 私にとっては、お米の達人の先輩と。 たとえ社交辞令だったとしてもお構いなし。>>2:@45 場所はどこぞの河原だったか。 飯盒とお米を並べて おはぎ道へ付き合わせていた、その最中。 炊き上が迄の待ち時間。 彼の語る、林間学校の思い出話から つい自分に似た部分を拾い、察してしまった時の事を。 頭の片隅で思い出しながら。 ] (43) 2020/11/29(Sun) 18:05:52 |
【人】 叶わぬ想い 日下部 汐里誰にも言っちゃダメだからね。 こんな話ができるの、健吾だけなんだから! [ 穏やかで余裕綽々な、 日下部汐理はしばらく休業中。 付き合わされる哀れな幼馴染相手に 情けなさそうに眉根を下げたのだった。 ]** (44) 2020/11/29(Sun) 18:06:04 |
【人】 叶わぬ想い 日下部 汐里パートナーかぁ なるほどね。 [ ふんふんと頷きながら。 そこまで確かな関係を築けているのかな? なんて再び思考の海に沈みそうになるが、 相談、の単語に浮上する。>>49 ] ん。なぁに? [ 重なる瞳に、小首を傾げながら。 元々相談事には乗る約束だし、 正直な話、それが色事なのではと、 少し下世話な想像にそわそわして。 ] (52) 2020/11/29(Sun) 20:58:35 |
【人】 叶わぬ想い 日下部 汐里[ ………。 その報告はいつものように端的だったけど。>>50 滲む疲労からは、もちろんそれだけでない事が ありありと感じられて。 ] こら、健吾。 駄目じゃない。 大変な時は、ちゃんと泣き言を吐かないと。 [ 報告を聞き終える頃には。 気付けば君に向ける私の眉尻は いつもより少し釣り上がっていて。 さらに、頬を膨らませて、 私なりに怒ってるんだよって。 そんな表情をして見せた後。 ] (53) 2020/11/29(Sun) 20:59:06 |
【人】 叶わぬ想い 日下部 汐里よく頑張ったね。 お疲れ様でした。 [ ふぅと吐いた息と共に、表情を緩めると。 健吾の横へと移動して。 座る君の、頭ごと包むように。 優しく抱きしめた。 ] (54) 2020/11/29(Sun) 20:59:34 |
【人】 叶わぬ想い 日下部 汐里今度から、そういう相談事は早めにお願いね。 何を隠そう、日下部お悩み相談所は、 お得な早割サービスを実施中なんだから。 [ 冗談めかして微笑んだ後。 今は大丈夫なのかなって。 いくつか確認してから。 一人暮らしをするのなら。 これから受験も本格化するしね。 家事とか手が回らなくなったら言うんだよ。 言わなかったら、押し売り営業するから。 食事だってコンビニとかだと栄養も偏るから、 たまには作りに行─── おっと、私はおはぎしか作れなかった。 うちのご飯、食べにきてねって、 一方的に約束事を積んだ後。 ] (55) 2020/11/29(Sun) 21:00:59 |
【人】 叶わぬ想い 日下部 汐里無理して、いなくなったら嫌だからね。 ずっと一緒にいてくれるんでしょう? [ もちろん、未来の保証なんてどこにもないけど。 念を押すように、告げたなら。 私の虹彩異色が、君のそれと重なった。 ]** (56) 2020/11/29(Sun) 21:01:09 |
【人】 叶わぬ想い 日下部 汐里今までは炊飯器に頼っていたので 何とも言えませんが…… 大きく違うのは、水に漬ける時間なので。 流石矢川先輩です。私の目に狂いは無かった! 後は私の研ぎ方と、 水分量を見誤っていないかですね。 [ どうです?お米の声が聞こえてきました? そんな話が始まる前に、 林間学校へと話題を移せたのは 矢川先輩にとって僥倖だっただろう。 ] (64) 2020/11/29(Sun) 21:50:29 |
【人】 叶わぬ想い 日下部 汐里[ 炊き立ての匂いに、自然と頬を緩ませて。 ころん、ころん。俵型にまとめたお米を、 手の上で伸ばした小豆でくるんでいく。 最初は取り止めのない事を話しつつ 先輩の話も聞きながら、ふっと感じた違和に。 ついうっかり、自分のそれを混ぜ込めば。 ほら、できました! 満面な笑みで完成したおはぎを差し出したけど。 その頃には、もう互いに手遅れだった。 ] (65) 2020/11/29(Sun) 21:51:35 |
【人】 叶わぬ想い 日下部 汐里[ ほうじ茶を飲みながら、先輩の話に耳を傾けて。 日下部さんは───>>@16 向けられた言葉が、 最後まで語られる事はなかったけれど。 何となく、理解できて。 ] 私は ─── [ 口を開き、くしゃりと顔を歪ませた瞬間。 川を渡る電車が、ごおっと周囲に轟を響かせながら 頭上を通り過ぎて行く。 その際、私の声は、 轟音にかき消されてしまったかもしれない。 それでも、口の動きだけは、はっきりと。 先輩に向かって。 ] (67) 2020/11/29(Sun) 21:52:29 |
【人】 叶わぬ想い 日下部 汐里[ 先輩と共に、揺れる薪を見る。 これからどんなに辛い思いが待ち受けていようと。 私はもうこの気持ちを、炎にくべる事は しないだろう。 この一つ年上の先輩はどうするんだろう。 ちらと薪に向けていた視線を矢川先輩に移して。 ] ねえ、矢川先輩。 いつか縁側でほうじ茶を啜りながら おはぎを食べる時でもきたら。 よかったら、今日の事を思い出して下さいね。 ああ、おはぎ好きのおかしな後輩がいたなぁって。 [ そんな事を言って、くすりと笑う。 ] (68) 2020/11/29(Sun) 21:53:19 |
【人】 叶わぬ想い 日下部 汐里[ ─── 私達の恋は、他の人に比べて難しい。 だから、軽々しくは言えないけれど。 勿論、その隣には。 笑いながら、その話に首を縦に振る、 私の涙を受け止めてくれた あの優しい先輩がいる未来を。 私は心の底から、願ってやまなかった。 ]** (69) 2020/11/29(Sun) 21:53:56 |
【人】 叶わぬ想い 日下部 汐里[ 顔を覆うように抱きしめていたのもあって 気付くのが遅れた。 何より、君がそう言う顔をした姿を 見るのはきっと初めてだったから。 ] ……… 健吾? [ 微かに震える身体と、小さな嗚咽に。 ようやく異変を知れば、 柔らかく瞳を細めて。 ] …… 顔、見ないから。 しばらく泣いているといいよ。 [ 側にいる事を伝えるように。 抱きしめた体勢のまま、ぎゅっと力だけ込めた。 ] (128) 2020/11/30(Mon) 19:39:33 |
【人】 叶わぬ想い 日下部 汐里…… 落ち着いた? ね、健吾。 あんまり急いで大人になろうとしなくて 良いんだからね。 [ 合図と共に身体を離し、常より赤い健吾の瞳が こちらを捉えたら。 涙こそは見せずとも、 少し気恥ずかしそうな笑みを向けて。 ] 無理をしないで。 疲れたら一度立ち止まって。 そうすれば、君の隣には、 いつだって私がいるんだから。 [ あの林間学校の日。 いつもよりはしゃいだ横顔を 脳裏に浮かべながら。>>2:166>>2:167 そう、私達はずっと一緒だ。 そしてどうか願わくば、私の存在が君にとって。 君が君らしくいられる居場所でいられますように。 ]* (129) 2020/11/30(Mon) 19:40:51 |
【人】 叶わぬ想い 日下部 汐里[ 例えるなら、私と健吾の関係は平行線だろう。 交わる事はなく、しかし隣を見れば いつだってそこにいるような。 そして、あの優しくて難儀な先輩達。>>@32 あの二人との出会いは、そう、 言うなればバッテンみたいなものだと思う。 一度だけ重なったかと思えば、 後はそのまま離れて行き。 再びその道が交わる事は決してない。 とはいえ、彼らを思い出す機会は案外多い。>>@32 すれ違う人から漂う煙草の臭いに ぴくんと鼻を震わせた時。 もち米がいつもより美味しく炊けた時。 自然と彼らの笑顔が浮かぶのだ。 その度に彼らの歩む道が、 幸福に満ちたものであるのを願いながら 私は、そっと瞳を伏せる。 ] (132) 2020/11/30(Mon) 20:12:57 |
【人】 叶わぬ想い 日下部 汐里えっ、大丈夫だよ、 私は。 うんうん、でも気をつけるよ、ありがとう。 その為にも相手の情報が必要だから、 もしわかるならその人のクラスと名前を 教えてもらっても良いかな? [ ここまで一息で言い切って。>>103 得られたのなら、相手の情報を頭にインプット。 絵理香ちゃんに不埒な事をしておいて、 大丈夫な方がおかしいのだ。 と言っても一回の女子高生である汐里にできる事は たかが知れているので、 またこういう事があった時のために 生徒会長候補なり裏生徒会長なりと、 コネクションを得ておくのは大事かも? ─── というのは、今後の課題として。 ] (134) 2020/11/30(Mon) 20:13:53 |
【人】 叶わぬ想い 日下部 汐里…… 付き合ってない、かぁ。 [ もし話してくれた顛末の中に、 彼女が口にした台詞も含まれていたのなら。 ぽつり、私にだけ聞こえる独り言を落とす。 うん、絵里香ちゃんは正しい。 私達はキスもするしハグもする ── 友達なんだから。] (135) 2020/11/30(Mon) 20:14:04 |
【人】 叶わぬ想い 日下部 汐里[ いけない、いけない。 考えを払い除けるようにふるりと頭を振って、 目の前の絵里香ちゃんに意識を集中すると。 大丈夫だった? 心配そうに尋ねながら。 ] …… その人に何処か触られた? なら、消毒させて欲しいなぁ。 [ もしも今いるのが人目の無い場所だったなら、 そう、言葉と瞳で訴えて。 了承を得られれば、そこに口付けを落とそうと。 ]** (136) 2020/11/30(Mon) 20:14:16 |
【人】 叶わぬ想い 日下部 汐里うん、そうだね。 そういう話はしていないと思うよ。 なら、私達はどういう関係なのかなぁって。 [ 友達? 多分一番それが正解に違いんだろうね。 そんな会話の合間にも、 彼女がこちらのお願いを聞いてくれたなら。 微かな衣擦れと共に。 絵里香ちゃんの肌が露わになる。 普段なら扇状的な光景。 思わず邪な事を考えてしまうけれど。 今は薄らと腫れた痕への怒りが勝った。 ] (166) 2020/12/01(Tue) 19:45:54 |
【人】 叶わぬ想い 日下部 汐里ネックレス綺麗だね。 絵里香ちゃんアクセサリーつけてたっけ。 [ 尋ねながらも、視線は彼女の胸元へ。 身体が跳ねるのが伝われば、 ちょっぴり嬉しくなってしまって。 当初の予定より念入りに、口付けを落として行く。 ] 本当? ふふ、嬉しいな。 [ 私じゃなかったら。>>142 単純な私はその言葉に顔を上げると、 えへへと緩く微笑んだ後。 今度は首を傾げて、 招かれるまま、彼女の胸元へ移動する。 ] (167) 2020/12/01(Tue) 19:46:21 |
【人】 叶わぬ想い 日下部 汐里…… 絵里香ちゃんはね いつだって私が欲しいものをくれるね。 [ それから、胸元に目を落とすと、 少し眩しそうな目で、貴女を見る。 目もとっても綺麗だね。>>0:27 それは言葉だったり、物だったり。 形は様々だけれど。 ] 私も、そうなれたら、いいなぁ。 [ 彼女との関係。>>132>>-315 それを表す言葉を、私はまだ持たないけれど。 望むのなら、 形 互いの欠けた部分を補い、重なり合うものだといい。 ] (168) 2020/12/01(Tue) 19:46:34 |
【人】 叶わぬ想い 日下部 汐里ネックレスありがとう。 大切にするね。 [ 蕩けるような顔で微笑めば どちらのか定かではないバニラの香りの中、 貴女と私のネックレスが、煌めいた。 ]** (169) 2020/12/01(Tue) 19:46:38 |
【人】 叶わぬ想い 日下部 汐里それって …… [ 答える代わりに、そっと手を離し、 一度扉の方へ近寄れば。 カチャン、鍵のかかる音が、 放課後の無人の教室内に響いた。 ─── とくん。 外から聞こえる生徒達が部活動する声。 不思議と遠くに聞こえたなら。 窓から差込める夕陽だけが理由ではない色。 ほんのり頬に乗せながら、私は貴女を見詰めて。 ─── とくん、とくん。 ] (172) 2020/12/01(Tue) 21:08:19 |
【人】 叶わぬ想い 日下部 汐里[ 再び私の手を、貴女の膨らみに。 貴女の手を、私の膨らみに添えて。 顔を見合わせて。 そのまま、どちらともなく唇を合わせれば。 とくん、とくん、とくん。 二つの鼓動は溶けて、混ざり合い。 ] (173) 2020/12/01(Tue) 21:08:25 |
【人】 叶わぬ想い 日下部 汐里[ 人生において高校三年間が占める割合。 それは、とても短くて。 ましてやそれが二泊三日の林間学校となれば、 まるで瞬きする程の時間。 ─── それでもあの日の出来事は、 今でも鮮やかに、思い出せた。 ] あ、もしもし、私だよ。今大丈夫? うん。リップクリームが無くなっちゃって。 新しいのを選ぶの付き合って欲しいなぁって。 ( ……長くて早い時の流れの中には。 ほんの一瞬だけすれ違って。 今は何処かで遠くて、 その幸せを願うしかできない人達もいるけれど。 ) (194) 2020/12/02(Wed) 20:08:56 |
【人】 叶わぬ想い 日下部 汐里[ …… 当時の私は、>>0:55>>0:56 変わらないものなんてないと思っていた。 形あるものはいつか壊れるし、 人の心も移ろいゆくものだから。 嗚呼、それでも。 ] 待ち合わせ場所は、あのオムライス屋さんでどう? そうそう。 オープン当初、私を置いて二人が行った所。 うぅ、食べ物の恨みは怖いんだよ? うん。今度また行こうよ、三人で。 [ きっと、大切なものは変わらず残るのだ。 色を失い、形を変えて。 何十、何百の時を刻んでも。 ] ( それでも、大切な人達の幸せは。 私自身の手で紡ぎたいと願うんだ。 それも、叶う事ならば。 ) (195) 2020/12/02(Wed) 20:09:17 |
【人】 “君の隣で” 日下部 汐里それじゃあ、またね。 [ 柔らかく微笑み、携帯端末を仕舞い込めば、 両手に向かって、はぁと白い息を吐く。 その拍子に胸元で、 年季の入ったハートのネックレスが静かに揺れた。 ]** (196) 2020/12/02(Wed) 20:09:54 |
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