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【人】 人形 ラサルハグ「なんだ、そうだったのか」 耳ではなく心に届く声に、そうひとりごちた。 この街で生まれ育った25年間も、 編んできた情も、 この日が終われば背負うべき罪も、 なにもかもが嘘で、偽りで、まやかしだった。 受け入れがたい"事実"に対し、 心はあっさりそれを理解し認識が書き換わる。 『自分』が変わってしまう。 舞台上の役者が幕引き後に観客へ笑顔を振りまくがごとく、 晴れた心地でいた。 (268) 2021/05/02(Sun) 2:04:32 |
【人】 人形 ラサルハグ「…………」 自分を取り戻したラサルハグがまず行ったのは、 誰かに会うことではなく、自店の片付けだった。 看板を【CLOSED】に反転させて、 偽りの 両親が大事にしてきた店を清掃する。数日疎かにしていた間に見えない埃がだいぶ溜まっていた。 その後は飾っていたぬいぐるみひとつひとつに別れを告げ、 箱へしまう。 自身の"退去"とともに消えてしまうデータ片としても、 儀式をやり遂げたかった。 「さようなら。今までありがとう」 すべて済めば店に鍵をかけて、最後のことばをかける。 この場所にはもう戻らない。 (269) 2021/05/02(Sun) 2:04:34 |
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