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【人】 4432 貴戸 高志恋人の判断には微笑んで返した。 貴方と居られるなら何処でも幸せなのだから、問題はない。 外に出られるまで、自分が死ぬ気で恋人を守ればいいだけだ。 「 俺の報酬分を闇谷暁の望みに上乗せさせる。 同じように迷彩の為に使ってくれ。 ……俺は迷彩の事情を知らないから、このような形になるが……そこはすまないな。許してくれ」 澄ました顔で告げた。 自分はどこまでも身勝手だから、自分の守りたいものしか守れない。 でも……赤の他人と呼べないくらいには少年と近づいた。そして、絶対に自分の世界から消えさせはしないとも約束をした。 助けてと望んだ時に必ず助けられるかは分からない。 けれど。 助けられる可能性があるのなら、手を伸ばさない理由なんてないだろう。 「迷彩。言っただろう。俺はお前を応援すると。 生きたいのなら──それを、応援しよう」 (16) 2021/10/04(Mon) 3:05:57 |
【赤】 8435 黒塚 彰人「そうか」 手を伸ばす。届かなければ、立ち上がって。頬を撫でる。 馬鹿だな、と呟く。 思いのほか、柔らかく響いた。 「『うまれつき他者の事を正しく愛せなかった』。 ……ただしい人間は、難しいな」 お前のことだとも、俺のことであるとも――あるいは、両方とも、示さず。 草臥れた声でもう一度、難しいよ、と言った。 (*5) 2021/10/04(Mon) 3:22:56 |
【赤】 3839 南波 靖史「ん……」 嬉しそうに目細めて、その感触を受け取る。 本当はこれを受け取るのは俺じゃない筈だ。 でも、あの子が好きなモノを俺が好きじゃない訳がない。 「──そう。難しい。 “コッチ側”と言ったよね、この舞台で。 俺はその辺りの感性を含めて、近いんじゃないかなと思った。 勿論勘が殆どだったけど、君の異能を考えると強ち間違いじゃなかったんじゃないかな。 俺達は、 『他者の事を正しく愛せないし、 社会の倫理にも適応できなかった』……違う?」 (*6) 2021/10/04(Mon) 3:44:50 |
【人】 7734 迷彩 リョウ>>15 >>16 闇谷/貴戸 「……──な、ぁ?」 言葉を直ぐに飲み込めず、呆けていた。 意味を理解するまでに、数秒を要した。 「……い、言ったじゃん。助けてくれなくていいって」 他人とは、もっと冷淡な生き物だと思っていた。 かつての自分と同じように大切なもの以外どうでも良くて、内側にしか目を向けないものだと思っていた。 それは、よくある話。 自分たち 迷彩が透明になったのも、よくある話。 「見てくれるだけでいいって」 本当の願いはどうせ叶わないからと見つけた、代わりの目標。それを夢だと自分に言い聞かせて、死ぬまでの少しの間、生きる糧にするつもりだった。 (17) 2021/10/04(Mon) 3:56:55 |
【人】 7734 迷彩 リョウ>>15 >>16 闇谷/貴戸 俯くと、床が涙で濡れた。 自分の生が望まれていないことに察しが付かない程、少年は幼くない。 「……ほんとにいいの?」 少年の景色は狭い。 家族と、それ以外。このふたつ。 世界 それ以外に許されなければ生きてはいけないのだと、教わる通りに学んだ。 けれども、教科書は生きろと宣う。 独りだった子供はどうすれば良いのかわからずに、死ぬ為に生きようとした。 「…………ありがとう。うれしい」 世界に許される必要なんか無かった。 自分を見てくれる人の赦しだけ、在ればいい。 ──それだけで、生きていいんだ。 (18) 2021/10/04(Mon) 4:00:27 |
【赤】 8435 黒塚 彰人手を離し、だらりと体の横へ下ろして押し黙る。 ……横たえた沈黙が答えに等しかったものの、口を開いて。 「――違わないな」 ゆったりと紡ぐ。 この男は、言葉にはなるべく、言葉をもって返す人間であった。 ▼それが美徳であったからそうしたのか、元々そういう人間だったのかは、 記憶の奥底に沈んでしまったけれども。 (*7) 2021/10/04(Mon) 4:33:36 |
【赤】 8435 黒塚 彰人「だから、死を望まれたんだろう。 ……おかげで、“あの人”は死なずに済んだが」 肉体の死と記憶の死は同一ではなく。 殺された己の記憶のみを引き継ぎ続ける、短命の生き物。 “黒塚彰人”の劣化コピー、上書き保存を繰り返し続ける、かつては人間で――今となってはもはや、何であるか、定かでないもの。 詳細を問われれば、そう言葉にして説明を返しただろう。 (*8) 2021/10/04(Mon) 4:38:40 |
【人】 1117 闇谷 暁「あと、だからって、 ここに残ってやる気は無い。」 元々、ここに滞在するのであれば 『私がテロを企てました』と言うだけで叶うのだから 報酬はくだらない事に使ってやるつもりだった。 腕から二人を解放すれば 廊下の監視カメラの位置を確認し、 手元にハンディカメラを用意する。 性行為の様子を自ら記録しろと、先日与えられた物だ。 「えー……、 録画開始ってどこ押してたっけ……」 ───かち、とカメラが鳴って、 小さなランプが赤く灯り、容量を消費し始めた事を示した。 (21) 2021/10/04(Mon) 6:25:09 |
【人】 1117 闇谷 暁>>貴戸/迷彩 独り言を収めたカメラに軽く触れて 録画された内容を確認すれば、ふ、と息を吐く。 恋人へ、お前も使うかと視線を向けた。 半分くらいは冗談だ。 「……高志、リョウ。 外に出たら行きたい場所、考えておけよ。」 三人分の『報酬』があれば 空論も叶うと思えるような気がする。 そんな未来に想いを馳せられることが どれだけ幸せなことだろう。 (22) 2021/10/04(Mon) 6:28:09 |
【赤】 3839 南波 靖史「──何で皆すぐ消えたり死んじゃうのかな」 ぽつり。もう暴れはしないけれど。 遥か彼方の自分から、つい最近の潤くんまで。 出会って好きになった相手は、みんな何処かで消えてしまう。 「でも、引き継げるんだ。コピーのコピー(35)でも。 感情じゃなくて、記憶だけを引き継ぐのかい。 ……これさ、今元気に記憶もってる俺の目の前が君が、新しい子を作ったとして。そっちが先に死んだ場合、真っ白上書きコピーとかになったりしないの?」▼ (*9) 2021/10/04(Mon) 14:18:45 |
【赤】 3839 南波 靖史「死を望んだのは“ただしい人”達でしょ。 同じじゃない事を酷く怖がる人達。或いは異端に害される前に排除したい人達。……単に“多数派”って言うだけの存在なのにね? 「俺、ずっと思ってたんだけどさ。 “ただしい人”とや、一緒に生きる必要あるのかな。 彰人くん、ただしい人を目指してたのって、ここから出る為じゃないの?ここを出た後もそれを目指して生き続けるの?」 「俺、君がここを出た後何をしたいか聞いたことが無いや」 「俺はね。結局のところ、“ただしい人”と相容れないから。 別にわざわざ害する気はないけど、不干渉でいられる──彼らを邪魔しない場所を探して、ただしくなくても、自由に過ごせたらって思う。……彰人君は、ここを出てどんな生き方をしたい?」 (*10) 2021/10/04(Mon) 14:22:00 |
【人】 7734 迷彩 リョウ>>闇谷/貴戸 きっと自分が生きていけるのは、この腕の中という小さな世界だろう。 だけど。 それだけでいい。 だから。 この小さな世界を守りたい。 ……守ると、今決めた。 「──、うん、 生きる 。二人と、……母さんに、報いたいから」 顔を上げる。そうして、新しくできた本当の夢を告げた。 少年が受け取った贈り物は、他者の幸いだ。 しかしそれは、決して奪った物ではない。 望まれ、自らの意思で分け与えられた物だ。 (23) 2021/10/04(Mon) 14:40:02 |
【人】 7734 迷彩 リョウ>>闇谷/貴戸 どこかの誰かへ向けた大きな独り言を見守りながら。 世界の広さを思い、 自分の世界の狭さを想い、 どちらの方が重いか見比べた。 比べるまでもないと、内心気付いてはいたけれど。 「オレは二人が行きたい場所についていくよ。 そんで、そこで写真撮りたいな。 その景色を見せたい人がいるんだ」 机上の空論が理想である理由。 それは、社会の平等を崩しているからだ。 誰かが選ぶのならば、空論は容易く叶う。 それが得られない程に立場の弱い人間が、世界にありふれているだけで。 無知という幸福が無くとも、少年は笑った。 (24) 2021/10/04(Mon) 14:44:37 |
少年A 迷彩 リョウは、メモを貼った。 (a46) 2021/10/04(Mon) 17:40:12 |
榊 潤は、普川 尚久の左瞼に口付けを送った。 (a47) 2021/10/04(Mon) 18:21:12 |
普川 尚久は、榊 潤の眠りに、おやすみ。ほかのあいさつはしませんでした。 (a48) 2021/10/04(Mon) 18:34:26 |
【赤】 8435 黒塚 彰人椅子に腰掛けた膝の上、指を組む。右手の親指のはらで、左の親指の爪を擦る。 そうやって、言葉に迷うような、言い渋るような、何とも表現し難い沈黙があって。 「ここを出て――大切な人と生きたいと、言っていた奴がいるんだが」 「…………心底、羨ましいな。 俺の大切な人は……あの“俺”は、もう、いない」 目の前の少年から視線を逸らしたまま、ぼそぼそと言葉を吐く。 己の声が、遠い。……あの人の声は、もっと、低かった。 「……記憶だけは、ここにある」 とん、とこめかみを人差し指で叩く。 今となってはもはや、この記憶だけが、あの人の存在を残している。 「まっさらにはならないな。 そいつの見た景色を、俺も見るだけだ」 は、と自嘲するように笑う。 降り積もって、いつまでも残り続ける。便利で、不便な仕組みだろう?▼ (*11) 2021/10/04(Mon) 18:47:35 |
8435 黒塚 彰人(匿名)は、メモを貼った。 2021/10/04(Mon) 18:48:14 |
8435 黒塚 彰人(匿名)は、メモを貼った。 2021/10/04(Mon) 18:48:36 |
8435 黒塚 彰人(匿名)は、メモを貼った。 2021/10/04(Mon) 18:49:05 |
8435 黒塚 彰人(匿名)は、メモを貼った。 2021/10/04(Mon) 18:49:37 |
8435 黒塚 彰人(匿名)は、メモを貼った。 2021/10/04(Mon) 18:49:58 |
黒塚 彰人は、ただ―――― (a49) 2021/10/04(Mon) 18:50:18 |
黒塚 彰人は、 冷たい死の感覚が、いつまでも、いつまでも。忘れられなかった。 (a50) 2021/10/04(Mon) 18:50:45 |
【赤】 8435 黒塚 彰人 (*12) 2021/10/04(Mon) 18:52:20 |
黒塚 彰人は、迷彩リョウたちの部屋の扉を叩く。 (a51) 2021/10/04(Mon) 19:31:19 |
【人】 7734 迷彩 リョウ>>a51 黒塚 扉を開ける。 最初視界に飛び込んできたのは、人間の胴だった。 視線を上げる。自分を見下ろす双眸と目が合った。 「……何か用」 僅かに身構えた。 首にかけられた手を思い出す。貴方にとっては戯れでも、少年にとっては殺されかけた記憶だ。 (25) 2021/10/04(Mon) 19:41:24 |
【赤】 3839 南波 靖史「そう。羨ましいな。仲間だね、彰人くん。 ──俺も、一番大切な自分には“二度と会えない”し、 “誰も、その存在を証明も観測もできていない”から。 彰人くんは最期に話せたみたいだけど。 俺は未だに自分の中に“靖史”がいるのを認識できない」 「……生きてるのか死んでるのかすら、不明で、」 「俺と言う“自我を持った異能”が存在する事すら、証明ができない。 創くんの記事見た?異能が自我ってマズいらしいね色々と。 でも俺こうして普通に生活してるのって、普通に見逃されてるのか、ただの多重人格者の狂人 の“戯言”と思われてるのか」「──実は、最も存在があやふやなの、俺なんだよね。 記憶だけが、『私』と『僕』の存在を証明してくれる。俺にだけ、ね」 君はコピーがあるから。肉体があるから。 同時に二つの個体が存在する限り、『外部の観測』によって証明がなされるだろうけど。俺の答えは誰一人観測ができない。『ただの多重人格者の妄言』を否定できない。 「……俺は死んだ事がないから、羨ましいとは言わないけど。 ただ、『最も大事な自分を、他者から認められなかった』」 「その一点は、君と共感できると思っている」 ▼ (*13) 2021/10/04(Mon) 19:42:23 |
【赤】 3839 南波 靖史「彰人くんの異能は、寿命と記憶の問題で、死体と苦痛が出るんだよね?」 「──俺の異能、使えないかな。」 「結局の所、俺の“1番”は俺から変わらない。 普通に誰かの傍にいるならこれはハンデだけど、彰人君も同じでしょ。そして、俺は“君の為に君を無痛で殺すことができる”」 「昔の俺の『自分が1番』で『他の全てが2番』が、此処で変わった。今の俺には、2番も3番も付けられる。」 「だから、君に声をかけている。俺、“ただしい人”に紛れて生きていける気がしないよ。だから、……ここから出たら、」 「“ただしくない人”のままで生きられる世界を、 一緒に、探しませんか」 「例え1番が自分でも、“独り”は寂しいから」 (*14) 2021/10/04(Mon) 19:46:06 |
普川 尚久は、温度を感じていた。 影の中よりいいかもな。 (a52) 2021/10/04(Mon) 19:47:28 |
【人】 8435 黒塚 彰人>>25 迷彩 開かれた扉。 視線を置いていた位置ちょうどに、少年の顔が現れた。 「顔を見にきた」 用件らしい用件はここに来る途中で耳に挟んだ噂話によって消えたので、本気でそれだけ。 顔を見るために他に用件を作るような殊勝さを持っていなかったので、これで目的は果たした。 「…………」 見慣れているであろう仏頂面で、少年を見下ろす。 その実、一つの事実を伝えるか否か、迷っていた。 (26) 2021/10/04(Mon) 19:52:05 |
【人】 7734 迷彩 リョウ>>26 黒塚 「はあ?」 最初の出た感想は、その一言だった。 しかし以前別れ際に向けたような、敵意までは含まれていない。 「……オレ、別にもう死ぬつもり無いから」 お前、報いてやる気がないんだな あの日激昂したのは、隠していた本音を指摘されたからだ。 隠す必要の無くなった今、怒る理由はもう無い。 その視線を、死地に向かう人間に向ける物だと勝手に解釈して告げた。 「お前の言う事、ほんとはわかってたよ。謝るつもりはないけど」 (27) 2021/10/04(Mon) 20:00:47 |
【赤】 8435 黒塚 彰人少年の顔を見上げて、目を細める。 眩しいライトはもう無いというのに。 「……つくづく、似ているな」 人間のなり損ない。 一番を自身と定める、ただしくないものたち。 「だが、お前は『俺じゃない』。 お前と違って、……違うものを、愛せる保証は無いぞ」 手を伸ばす。指輪の嵌ったそれに、指先を絡める。 交じり合う温度はやっぱり心地が悪くて、けれども少しばかり、マシになっているような気もした。▼ (*15) 2021/10/04(Mon) 20:03:48 |
【人】 8435 黒塚 彰人>>27 迷彩 変な顔をした。変な顔、としか形容しようのない、どの表情を選ぶべきか決め損ねたような顔だった。 「ここに来る途中で、聞いた。 ……お前が生きる気になったらしいと聞いて、」 つい、と合わさった視線を一度逸らして、また戻す。 それはたぶん、少年とのこれまでには、あまりない仕草だっただろう。 「……。……リョウ、」 手を伸ばして、ニット帽にぽすんと置く。 ふ、と笑う。こぼれたそれは案外、柔らかい。 「前から思ってはいたが――」▼ (28) 2021/10/04(Mon) 20:25:43 |
【赤】 3839 南波 靖史「知ってるよ。その上で、そこも似てるから誘ったんだ。 俺もまだ、2番も3番も生まれただけで── 『自分以外を愛せてはいない』のは同じ。保証なんて俺もない」 指を絡められた手を見て、少し考えた後に。 もう片方に常に嵌めていた自分の右手の薬指の指輪を取る。 「凄くない?記憶ない状態で“それでも誰にも渡したくなくて”自分の両手の薬指に婚約指輪代わりに嵌めてたの相当だと思う」 「なのに一回、彰人くんこれ外して来たでしょ。君だけだぞ」 だから、責任取ってよ。冗談めかしてそう言って、 取った指輪を貴方の右手薬指に着けようとしてくる。▼ (*16) 2021/10/04(Mon) 20:39:32 |
【赤】 3839 南波 靖史「……保証も証明もないない尽くしだね、俺達。 だから考えてくれるって言ったから、それ、あげる。」 「気が向いたら別の指に着けてくれたらいい。 或いは、誘いもそれも不要と思えたなら捨ててくれていい」 「俺も、今着けている“この指輪の意味”が、 変わる事があるのか──1年、2年?もっとその先?わからないけど、」 「互いに、賭けてみよう。 それでも苦しかったら、終わらせよう。全部」 俺は幾らでも、『居てくれるなら』答えを待てるから。 本当に『ただしく人を愛せなかった』俺達なのか、 それを確かめる未来への誘いへの返事を、俺はずっと待ってる。 (*17) 2021/10/04(Mon) 20:40:03 |
【人】 7734 迷彩 リョウ>>28 >>-154 >>a54 黒塚 視線が逸らされるのは、いつものこと。 しかし。 再び合わさったのは、記憶する限り初めてだった。 手を伸ばされた瞬間、体が強ばった。 ぐ、と逃げそうになる足を踏ん張り、きつく目を閉じる。 手は頭に置かれた。 恐る恐る目を開ける。初めて見る柔らかい表情が、そこにあった。 「……、」 ぐりぐり、大人が子供にするような撫で方をされる。 これも、初めてだった。 初めてのことだらけで、少年の思考は数秒硬直してしまう。 ようやく言われた言葉を理解したのは、その手が離れた頃だった。 「── はああああ!? ケンカ売ってんのかテメェ!!」上書きするように自身の頭を撫でる。 体当たりで貴方を押し出し、勢いよく扉を閉める。 そうして、廊下には再び静寂が訪れた。 貴方が何故こんなことをしたのか、少年が理解する日はきっと遠い。 しかし、いつかその日はやって来る。 ……彼は、この先も生きるのだから。 (29) 2021/10/04(Mon) 20:43:01 |
黒塚 彰人は、扉を軽く叩き、閉ざされたままのそれへ向かって、 (a56) 2021/10/04(Mon) 20:49:27 |
黒塚 彰人は、「おはよう。おやすみ」 (a57) 2021/10/04(Mon) 20:49:37 |
黒塚 彰人は、言い損ねた挨拶を投げ。踵を返し、自分の部屋へ戻っていった。 (a58) 2021/10/04(Mon) 20:49:47 |
鏡沼 創は、昨日も今日も『鏡沼創』だ。きっと、これからも。 (a60) 2021/10/04(Mon) 20:56:59 |
【人】 0043 榊 潤目が覚めた、看守に頼んでキッチンを借りていた。 誰に食わすわけでもないのに、適当なパンを作っていた。 誰もいない食堂を見た。 誰もいない談話室を見た。 ひどく違和感を感じて、首を傾げて。 これは叔父に作ってあげたときの癖だろうか、と思い出す。 家事をすべてやっていたときの癖。 片付けも、食事も、外で買い物もさせてもらえなかったから。 家にあるもので何かを作らなければならなかったときの知恵。 (30) 2021/10/04(Mon) 20:57:15 |
【人】 0043 榊 潤「……」 足音がした、振り返った。 いつの間にか同室にされたやつだろうか。 この間適当に犯したやつだろうか。 やかましく笑いながら騒いでるやつだろうか。 笑って。真面目で。個性が強い。あいつ等だろうか。 「……食べるか?」 なんて、声をかけた。 なんだか、無性に美味いオムライスが食べたくなってきた。 (31) 2021/10/04(Mon) 20:59:20 |
迷彩 リョウは、これからも生き続ける。 (a61) 2021/10/04(Mon) 20:59:21 |
南波 靖史は、『南波靖史(やすし)』は、今度こそ終幕を見届けた。 (a62) 2021/10/04(Mon) 20:59:50 |
9949 普川 尚久は、メモを貼った。 (a63) 2021/10/04(Mon) 20:59:55 |
【赤】 8435 黒塚 彰人指輪の話……大概重たい、それを聞き。 いや、知らないが……? という顔をした。手慰みの行為で、何か意味を込めたつもりもなかった。そしてそれが己の指へ嵌められ、節のあたりに引っかかるのをぼうっと見ている。 「……心中する気はないからな」 そんなことを言いながら指を曲げ、関節のあたりに光る銀色を暫し眺めて。 不意に、そこへ口づけを落とす。 やっぱりそこに深い意味も、思慮も無かった。とりあえず、今のところは。 (*18) 2021/10/04(Mon) 21:00:00 |
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