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【人】 木峰 海斗心の奥底で、ずっと粘つき、燻っていた。 ―――― 許されない 恋 心。あの日、 捨 てようとした想いは、あの日、掬われ繋がり 重 なった。 (1) 2021/11/30(Tue) 19:41:54 |
【人】 木峰 海斗絵本や童話なら、ハッピーエンド めでたし、めでたしで終わる物語。 だけど、俺たちが生きている世界は、現実だから。 幸せな物語のままで、放っておいてはくれない。 あれから先も、物語は、続いている。 これは、そう奇跡のようなあの夏の日、 (3) 2021/11/30(Tue) 19:41:58 |
(n0) 2021/11/30(Tue) 19:42:00 |
【人】 木峰 海斗― あれから ― [ ホテルであった奇跡的なできごと。 それから、わりとすぐのこと。 項につけられた 痕 は、まだ薄く残っていて自分の目では見えない位置のせいで忘れていた。 大学に行って、 いつも通り賑やかな友人たちと、一緒にすごしていれば ふいに、一人がぽつりと言う。] (4) 2021/11/30(Tue) 19:59:47 |
【人】 木峰 海斗[ やらしー、と、揶揄うようにケタケタ笑う友人。 一瞬で、なんのことか理解して、顔が熱くなる。 『海斗にも、ついに春がきたかー』なんて 茶化す声に、頭をがしがし掻いて] はぁ!? いや、別に……いーだろべつに はいはい、そんなかんじだよ [ 適当に肯定した。 “彼女”ではないけど、間違いでもない。 でも、こういう風に茶化されるのは、面倒だから あとで兄貴に言っておかねーとな そんなことを考えていると、 ぞく、と何か悪寒がした。 まわりに視線を向けるが、何もない ケラケラ笑っている友人たちがいるだけだ。 その時は、気のせいだってことにして、 そのことは、すぐに忘れてしまっていた。] (6) 2021/11/30(Tue) 20:00:56 |
【人】 木峰 海斗[ その後、肌を重ねた時は、ただ戯れていた時か。 兄貴が、痕をつけようとしている気配を感じたら そっと身を捩り、手で隠して。] 痕…… つけんの、禁止…… この前、ダチに見られて、――… [ 恥ずかしかったから なんて言って、拒んだけれど、 さて、言うことを聞いてくれたか、どうか わざと目立つ所なんかにつけられたら ]顔を真っ赤にしながら、 ふざけんなと、怒っただろうな* (7) 2021/11/30(Tue) 20:01:10 |
【人】 天海谷 睦月ふーん、この前の年上美人とか? [ 『そんなかんじだよ』と肯定が返ってくれば>>6 湧き上がる感情の色は濃くなった。 いつもより、少し低い声で問い返したが、 海斗は、鬱陶しいというように、 手をひらひらさせるだけで、答えてはくれない。 海斗の周りにいる女で、 動きを確認できていないのは あの謎の年上美人くらいだから、 やはりあの人が相手だろうか。 これ以上、海斗に探りを入れても 情報は得られ無さそうだ。 一瞬だけ、暗い瞳で見つめてしまったが、 ]何かを察知したような海斗がこちらを見たから ケラケラと、他の仲間と同じように笑って 今は、この感情に名前をつけるのをやめた。 (10) 2021/11/30(Tue) 21:01:12 |
【人】 木峰 海斗[ 痕をつけるのを禁止と言い渡してから しばらく時間が経った頃のこと。 まだまだ、残暑厳しい蒸し暑い季節のこと。 何度かは、痕をつけるのを阻止したり、 いつのまにか、つけられたり、 そんな攻防を繰り返していたりもした。 ―― かもしれない ここ数週間は、両親が珍しく出張だとかがなくて たぶん、そういうやり取りはなかったから 俺の首やらには、赤い痕はなくなっていたはず。 それでいいはずなのに 少しだけ、寂しいような、物足りないような ―― いろいろ毒されてる気がするけど、 兄貴の色に染まっていく自分が、嫌じゃなかった] (11) 2021/11/30(Tue) 21:01:49 |
【人】 木峰 海斗[ 午前中、最後の講義を終えて、 昼食後、次の講義までそこそこ時間があったから 昼寝でもするか、と サークル棟に向かうことにした。 名前だけ貸して欲しいと頼まれて所属している 『アウトドア研究会』 キャンプも真面目にやってるらしいが 飲むのが、割とメインそうな内容だったから、 あまり参加したことはない。 今日も確か、サークルの殆どのメンバーは どこかの山のキャンプ場に行っていたはず。 サークル棟の受付で、鍵の所在を確認して、 共有の鍵が返されているのを確認すれば、 鍵を受け取って一人、部室の中へと入れば、 窓を開けて、空気を入れ替えている間に 部室の3分の1を占めいているハンモックに 身体を預けて、鍵をかけ忘れたけれど どうせこの時間は、誰もこないだろうと スマホのアラームを設定すれば、 ゆっくりと瞳を閉じた。] (12) 2021/11/30(Tue) 21:01:54 |
【人】 天海谷 睦月あれ? 海斗? [ 次の講義までの間、少しだけ時間があったため 構内の喫茶店で時間でも潰そうかと思っていたら サークル棟の方へと歩いていく海斗を見つけた。 サークルには、殆ど参加していないと言っていた。 そんな覚えがあるが、珍しく参加するんだろうか。 友人の珍しい行動に興味が惹かれて 後を追った ―― 悪戯心がむくりと起き上がって 『アウトドア研究会』の部室がどこか 探すのに手こずりつつ、 やっと部屋の前までやってきたが 扉の向こうから、人の声が聞こえてこない。 少なくとも、海斗はいると思ったが、 いないんだろうか? 好奇心でドアノブをひねれば、簡単に開いて、] (13) 2021/11/30(Tue) 21:02:07 |
【人】 天海谷 睦月[ そこで、海斗は―― 眠っていた。 眠っていると、普段の小生意気な表情が消えて 少し幼く見えるから、寝顔は可愛らしい。 本人に言うと怒られるだろうから言わないけど 初めて見たわけでもないのに、 なぜか、―― どきり、とする。 ハンモックの上で、器用に丸まって寝ている姿は 普段懐かない凶暴な猫が、無防備に寝ているようで 吸い込まれるように、足が動けば、 眠る海斗の目の前までやってきていた。 白かった首筋は、少しだけ焼けていて 暑いのだろう、 僅かに、しっとりと汗をかいていて―― 普段見ることはない光景が、妙に色っぽく見えて、 ぞくり、と身体の奥底が 疼 いた。] (14) 2021/11/30(Tue) 21:02:14 |
【人】 天海谷 睦月[ 僅かに身じろぐも、起きる気配がなくて ―――― 魔 が差した 耳元に寄せた唇で、そのまま耳裏を擽って 起きないか様子を伺いながら、 いつだか、赤が散っていた場所まで辿る ―――― なぁ、誰につけられたんだよ 今は、痕のひとつもない綺麗な場所に ―― 一片、仄暗い笑みを浮かべて ] (15) 2021/11/30(Tue) 21:02:28 |
【人】 天海谷 睦月[ ちゅ、ぢゅ、と下品な音を 誰が来るかもわからない部室の中に響かせて、 いつ起きるかもわからない友人の項に痕をつけた。 誰のものにも、ならないと思ってた。 そんな海斗が、誰かのものになった。 子ども染みた、僅かな 嫉妬 心――…罪悪感と、背徳感に、ぞくぞくとする。 悪いとは思ってる、 でも、止める気にはならなくて 同じ場所に、なんども赤を重ねた。 最初は、薄かった赤は、重ねれば濃くなって 罪悪感は、より増していく。 何度目か、色を重ねていれば、 海斗が、もぞもぞと動いて、 僅かに、色香が漂う吐息を零す。] (16) 2021/11/30(Tue) 21:02:33 |
【人】 木峰 海斗……ッ、ん……つ、き――? [ 首筋に感じる甘い刺激に、 身動ぎをして、吐息を漏らしながら名前を呼んだ。 こんなことをするのは、兄貴しかいないから 『夏生』―― と、微睡みの中で、寝ぼけて、 大学の、しかも、誰もいない部室に ] 兄貴がいるわけがないのにな。 (17) 2021/11/30(Tue) 21:02:37 |
【人】 天海谷 睦月[ 心臓が、どくり、と脈打った。 たぶん、緊張のせい ―― そう思いたい 海斗の口から、漏れた吐息に 興奮を覚えたとかではなく。 『睦月』と、俺の名前を呼んだ気配に たぶん、気付かれたと焦ったんだ。 慌てて顔を上げて、数歩後ずさる 起きる気配がしなければ、引き際だと判断して、 そっと静かに部室を後にした。 これは、悪戯心だ。それと、 海斗を手に入れた奴に対して、ちょっとした警告 ―― アンタの恋人、凄い無防備なんだよ という そう自分に言い聞かせなければ、 今の関係が崩れそうで、越えてはいけないラインを 飛び越えてしまいそうだったから。 え? もう越えてるって? バレなきゃ良いんだよ。 ] (18) 2021/11/30(Tue) 21:02:44 |
【人】 木峰 海斗[ 少しずつ覚醒していけば、周囲に視線を向ける だが、そこには誰もいなかった。] ……ん? 誰も、いない……? [ 夢、だったのか。 そう思いながら、首筋を撫でれば、 僅かに湿っていて、でも汗をかいているだけと その時は、深く考えもしなかった。 それ以前に、いやらしい夢を見てしまったと ]一人恥ずかしくなってしまって、 そのことは、むしろ忘れようとしていた。 (19) 2021/11/30(Tue) 21:03:37 |
【人】 木峰 海斗やべ、そろそろ行かねーと [ 羞恥に頬を染めていれば、 スマホが現実に引き戻すようにアラームを鳴らす。 自分に言い聞かせるように、声に出せば ハンモックから降りて、次の講義へと向かった。 今日は、これが終わったら 真っ直ぐ家に帰るつもりだ。 久方ぶりに、両親のいない週末だから ―― 兄貴に、触れたいと思っていた。 だから、変な夢も見てしまっただろうと思う。 そう思って、部室であったことは記憶から消した 憶えたままなのは、恥ずかしいだろ? ] (20) 2021/11/30(Tue) 21:03:42 |
【人】 木峰 海斗― 自宅 ― [ 慣れた手つきでドアのカギを開けて、扉を開けば 誰もいないのに『ただいま』と律儀に声をかけて 乱雑に靴を脱ぎ捨てて、洗面台に向かう。 顔を洗った、 今日は、本当に暑かったから、 頬が暑さで少しだけ赤くなっていた。 鏡の向こうにいる自分は、いつも通りで 首に何か違和感があるとか、 そんな気配は、一つもなくて、気付かない。 ただ、外の暑さのせいで、少し頬が赤いだけ。 夕飯の準備をする前に、シャワーを浴びようか だが、せっかくだから湯船に浸かりたいと思って 風呂の栓を抜いて、手洗いうがいと、 母さんに小さな頃から言われていた習慣を済ませ、 荷物を置きに、一度自室へと向かった。] (21) 2021/11/30(Tue) 21:03:46 |
【人】 木峰 海斗[ 自室に入って、荷物を置いて クローゼットの中の引き出しから いくつか準備のための道具を手にすれば すぐに部屋を出て行って、トイレの中に置く。 風呂を洗って、ボタン一つで湯を沸かし始め、 その間に、台所で夕飯の準備を始めた。 昔から、二人っきりの時は、兄貴に任せることが 多かったけれど、俺も料理ができないわけではない 簡単なものしか作れないけどな。 今日は暑いから、冷やし中華。 トマトやきゅうり、 ハムとか切るだけの簡単な作業。 全部が終われば、ラップをつけて冷蔵庫へ 中華麺も茹でたら、冷やしてから同じ場所に まだ夕食には早い時間。 兄貴が帰ってくるのも、まだ数時間はあるから トイレですることを済ませれば、風呂にいった。] (22) 2021/11/30(Tue) 21:03:48 |
【人】 木峰 海斗[ 逆上せる一歩手前くらいで、風呂をあがれば 赤い頬を覚ますように手でパタパタと顔を仰ぐ。 乾ききっていない髪をタオルで、 がしがしを拭きながら、 台所に向かって歩いていれば、そろそろ 兄貴が帰ってくる時間だったろうか―― **] (23) 2021/11/30(Tue) 21:03:51 |
【人】 木峰 夏生[ たん、と薄いキーボードを叩いた小気味良い音が 指先から伝わるのを合図にして、ふと軽い息を吐き出した。 凝り固まった肩を上下させて、首をぐるりと回す。 ようやくひと段落した仕事を確認しながら、 手元に置いてある煙草を一本引っ張り出して咥えた。 生温いリモートワークにすっかり馴染んだ身体は、 堂々と煙草とコーヒーを相棒に据えて。 咎める人は今ここには居ない。 喫煙者には肩身の狭いご時世、けれど町外れに ぽつんと忘れ去られたように建つ この小さなカフェでは当たり前のように 白い陶器の灰皿が置かれていて、俺の格好の溜まり場、 もとい居心地の良いオフィスになって久しい。 ] (24) 2021/12/01(Wed) 8:24:36 |
【人】 木峰 夏生[ シルバーのジッポライターはカチンと 透明な金属音を立てる。 火をつけた煙草をゆっくり、深く肺の隅々まで 行き渡らせるように吸い込んで、 細く、長く吐き出してからちらりと時計に目をやった。 相変わらず仲の良い両親は少し前から不在。 だから仕事だって家でやりゃあいいんだけれど、 仕事そっちのけで夢中になるものがすぐ近くに 存在してるもんだから一向に捗りはしないわけで。 そりゃまあ長年ドス黒く渦巻いて、 どうにも消化できずにいた想いが、神の悪戯か気まぐれか 通じ合うなんて奇跡が降って湧いたというのだから、 少しくらいはしゃいでしまうのは仕方がないと思う。 初めて恋人が出来た中学生となんら変わりはしない。 呼吸をするよりも触れたい、なんて。 (25) 2021/12/01(Wed) 8:27:44 |
【人】 木峰 夏生[ 俺の自制心とか貞操観念とか社会的道徳とか 懸命に保ってきたものはあっという間に 絹ごし豆腐より脆く柔らかくなっていて、 さすがに少し物理的な距離を置かないと、 当の本人以前に猿にさえ呆れられてしまいそう。 ゆらりとのぼっていく紫煙を目で追って、 それからスマホを手に、メッセージを送った。 ] 『しごおわ♡』 『まだ学校?』 『今から帰るけどメシどうする?』 [ 事務的な短い吹き出しをいくつか並べて。 ちょっと考えてから、ころんとしたフォルムのうさぎが おとうとがかわいい♡ と呟くスタンプを添えた。 海斗。 ───おれの、大切な人に。 ] (26) 2021/12/01(Wed) 8:34:48 |
【人】 木峰 夏生[ 同期もぽろぽろと結婚して、父親になっているやつも 少なくはない。そんな年代。 当たり前とされる幸せに身を置いて、 当たり前のような幸せに包まれて、 当たり前に祝福されて。 柔らかな陽だまりに似た光景を見るたびに、 心の片隅に本当は、小さな苦味が込み上げる。 俺は、なによりも大切な弟から、 そういう機会を奪ってしまったのではないだろうか、と。 本当に、これで良かったのだろうか、と。 あいつの心がいつか、俺から離れて、 真っ当な道を歩む日が来ることを、 実は心のまた違った片隅でも願ってしまう。 ] (27) 2021/12/01(Wed) 8:38:00 |
【人】 木峰 夏生ただいま。 [ 頬が緩む。だらしないほどに。 締まりのない口元を動かして、早かったなと付け足した。 夕食をどうするかと考えていたのだけれど、 海斗から冷やし中華の言葉が聞けたのなら、 さらに唇は弧を描くだろう。 ] メシ作ってくれたの? 悪りいな、嬉しい。 ありがとな。 (29) 2021/12/01(Wed) 8:41:16 |
【人】 木峰 夏生[ 着替えもせず、手さえ洗わず、このまま 押し倒してしまいたくなる。 どうせ大暴れして、手を洗え、うがいをしろ、 そして着替えろって言われるだろうから、 ぐっと堪えて洗面所へ向かうのだけれど、それでも 一度、足を止めて、 ] ───そんでもう風呂まで入ったんだ? [ にや、と意地悪な笑みを浮かべるくらいは許されたい。] (30) 2021/12/01(Wed) 8:45:04 |
【人】 木峰 夏生『おかえりなさい!ごはんにする?お風呂にする? それとも、あ・た・し?』 ───って言ってもらうの 男のロマンなんだけどダメ? [ くつくつと笑いながら、海斗に向かって 両手を伸ばせば、さて気まぐれな王子様のご機嫌は いかがなものか。 どんなことでも、仰せのままに。 お前が望むならなんだって全部、やるから。 (31) 2021/12/01(Wed) 8:46:55 |
【人】 木峰 海斗[ 風呂上り、タオル越しに髪を乾かしながら、 ぺたぺたと、裸足で廊下を歩く。 片手でスマホをつければ、 兄貴からいくつかメッセージが来ていた。>>26] ……ッ、 [ ハートも見慣れて、動揺することも 殆どなくなったけれど。 最後に追加されたうさぎのスタンプに、 思わず、かっ、と頬が熱くなる。 てか、こんなスタンプあるのかよ。 ―― いや、リアルにあるからそうだんだけど 呼吸を整えるように、ふぅと一息つけば、 残念ながら、今回は10回に1回や、 5回に1回、3回に1回の気まぐれな日ではなくて。 そのまま、既読をつけただけ。 どうせ、すぐ帰ってくるだろう。] (32) 2021/12/01(Wed) 19:56:57 |
【人】 木峰 海斗[ 相変わらず、俺は、 そっけない態度を取ることの方が多い。 それでも、想いが重なっていることを知っている。 それでも、兄貴が嫌ってくれないのは分かってる。 相変わらず、俺は、 そんな態度で、兄貴に甘えていた。 兄貴に周りで、結婚したとか、 子どもが生まれたとか、 そういう話を聞く度に、 早く、この手を離さないと、 そう思うのに、放せないでいた。 お伽話みたいに、 このまま、ずっと一緒にいられたらいいのに いつかこの恋草が枯れる日がくるってこと。 分かり切っているというのに、 まだ、心の片隅で子どものように願ってしまう。] (33) 2021/12/01(Wed) 19:57:00 |
【人】 木峰 海斗[ そう思っていれば、予想通り 玄関の扉が開く音がした。>>28 火照った顔を隠すように、 髪を拭くタオルを引き寄せて、 真っすぐに、だらしない顔で近づいてる方を、 何でもない風を装って、ちらりと視線を向けた。] ん、……夕飯、冷やし中華あるから いや、まぁ……たまには、な [ ただいま、と言われても、 おかえり、なんて可愛らしく迎えたりはしない。 お互いの気持ちを理解していても、 兄貴みたいに好意を表現するのは、 やはり、恥ずかしくて、苦手で、 ふい、と顔を反らせば、 手を洗って、うがいをして来いと、 ひら、と手を揺らせば、 意地悪げな笑い声が、鼓膜を揺らすものだから、] (34) 2021/12/01(Wed) 19:57:02 |
【人】 木峰 海斗ばっ 、か、じゃねーの……さっさと、手洗って来いよッ [ 新婚さんの定番台詞というやつ。 誰が、そんなこっぱずかしい言うかよ。 片方の手の甲を口元に寄せて、 一瞬で、風呂上りというだけではない色を 頬の乗せて、一歩後ずさる。 それから、ちら、と視線を寄越せば、] (36) 2021/12/01(Wed) 19:57:06 |
【人】 木峰 夏生[ W普通の幸せWを得る権利なんて、 とうに捨てたつもりでいる。 自分の想いを自覚すると同時に それは手に入らないものだと理解したから。 代わりにあいつの幸せを願う。そりゃあもう心から。 全身全霊をかけて世界中の誰よりも 幸せになって欲しいと希っているのも、嘘じゃない。 決して重ならない、ふたつの想望。 ] (38) 2021/12/02(Thu) 8:11:03 |
【人】 木峰 夏生[ 自分の未来など髪の毛ほどもどうでも良いというのに このままでいいはずがないと知りながら、 滾る欲を曝け出しぶつけてしまう俺は、 やっぱり人としてどうかしているのだろう。 ] (39) 2021/12/02(Thu) 8:11:51 |
【人】 木峰 夏生[ 片眉をぎゅ、と持ち上げて、こみ上げる笑みを口元に 浮かべたまま、逃げるように背を向ける海斗に 視線を投げた。 ] マジ? じゃ、とっととごはんにして、おふろにして、 それから あ・な・た♡ にしよ。[ にんまり笑いながら口にすればまた叱られるだろうか。 その先の夜を思えば少しの文句どころか 二、三発殴られたところでぜんぜん構わないから、 さっさと手を洗っていそいそと食卓へ向かおうか。 ] (41) 2021/12/02(Thu) 8:15:48 |
【人】 木峰 夏生* 美味そう、いただきます。 [ トマト、きゅうり、ハムがきちんと大きさを揃えて 切られ並んでいる、お手製の冷やし中華。 もしかしたら簡単なものだと言うのかもしれないが、 何種類かの具材を切ること、暑い最中に湯を沸かすこと、 やはり手間はかかる。 自分でも料理はやるからこそわかること。 感謝と喜びは自然に湧き上がって、 しっかり両手を合わせて目を閉じた。 ] (42) 2021/12/02(Thu) 8:17:30 |
【人】 木峰 夏生マヨネーズかけていい? [ 冷やし中華にマヨネーズ。 賛否両論あるけれど俺は譲れない派。 ただし作ってくれた人に敬意と感謝が先立つから、 一応確認してからにしよう。 学校はどうだったとか、こんな仕事をしてきた、とか、 かわいいスタンプを発見した、とか。 俺からの食事中の会話はもっぱらそんな感じ。 海斗からの返事があれば箸を止め、 昔から変わらない日常を楽しむ。 ] (43) 2021/12/02(Thu) 8:18:34 |
【人】 木峰 夏生[ ふたりはいつまでも、いつまでも しあわせにくらしました。 そんな御伽噺のエンディングを うっかり望んでしまうのは、意外にも乱れた夜以上に こんな時なのかもしれない。 ] (44) 2021/12/02(Thu) 8:19:55 |
【人】 木峰 夏生[ 食事が終わったら俺が片付けを申し出よう。 構ってくれるらしい気高い彪は 本日はなにをお望みか。 その言葉尻から捕まえるのは少し難しいから ───なにせツンデレが極まっているので 風呂に入るついでに諸々準備も済ませるつもり。 ]* (45) 2021/12/02(Thu) 8:22:10 |
【人】 木峰 海斗[ 可愛げのない言葉を落として、 逃げる背にかかる声に、うるさいという様に ひらひらと、手を振れば、赤い頬を隠すため、 さっさと、一人台所へと足を向けた。 素直に、あの腕の中に入る それくらいできたら、そう思うけれど、 長年の癖や矜持が邪魔をする 代わりに、少しだけ、 以前は、邪険に払っていた 触れてくる手を避けることは減ったし、 時折、自分から触れることは増えた方。] (46) 2021/12/02(Thu) 18:48:48 |
【人】 木峰 海斗[ 冷蔵庫から取り出した冷やし中華。 誰が作っても、そう味は変わらないが、 美味そう。と言われれば、悪い気はしない。] ……ん、いただきます [ 自然と、頬が緩み、 仄かに浮かべた笑みに気付かぬまま、 刻んだ具材と、麺と、スープを箸で混ぜていれば、 わざわざ、俺に聞く必要はないだろうに、 マヨネーズをかけていいかと、問いかけられて] (47) 2021/12/02(Thu) 18:48:50 |
【人】 木峰 海斗好きにしろよ 俺は別に、気にしないし [ 俺は、マヨネーズかけない。 だけど、否定するつもりもない。 つるつると、何でもないように麺をすすった。 酸味のある独特の香りと風味、 トマトやきゅうりで、少し緩和されて、 程よい味わいに、悪くない出来、と一人笑う。 学校は、いつも通り。 授業が少ない日だったから、少し帰りが早かった。 あのスタンプなんだよ、とか。 他愛もない会話をする。 少し前までは、こんな会話をすることも あまりなかった気がするけど、どうだったか。 最近では、会話をすることが増えて、 それが、当たり前になってきていた。 こういう、何でもない日常が、 ]実は、少しだけ幸せだ。 なんて思っているのは秘密だ。 (48) 2021/12/02(Thu) 18:49:08 |
【人】 木峰 海斗[ いつか、"普通"の兄弟に戻る日が来ても、 このしあわせは、つづけばいい。 神話だって踏み入れていない許されない領域に、 足を踏み入れてるっていうのに、 こんな時すら、望んでしまうんだ。 ―――― 都合の良い、 甘 い夢 ] (49) 2021/12/02(Thu) 18:49:32 |
【人】 木峰 海斗[ 食事を終えて、 片づけを申し出るなら、 それを断る理由は、俺にはないから。 素直に任せて、 それでも、隣に立って、 食器洗いくらいは手伝っただろう。 きゅ、と最後の一つを拭いて、 籠の中に置けば、 とん、と、わざと肩を触れさせて、 ちら、と、見上げて、にやりと笑みを浮かべた。] (50) 2021/12/02(Thu) 18:49:44 |
【人】 木峰 海斗じゃ、俺の部屋で、な [ 今日は、どっちの気分。とか、 そういうのは、ないけど。 先ほど、風呂でしていたことを思い起こすと、 腰の奥が、僅かに疼くの感じて、 ほんのり熱を帯びた瞳を緩く細めていた。 離れる間際に、 ひょい、と背伸びをして、頬に唇を寄せたが、 それも、一瞬のことで、すぐに するり、と気まぐれな猫のように 離れていこうとしたけれど、兄貴が捕まえようと、 伸ばした手から逃れられたことなんて、 そう多くないことは、お互い知ってるよな。**] (51) 2021/12/02(Thu) 18:49:59 |
【人】 木峰 夏生[ 俺の記憶の中の夕食の光景は、ずいぶんと昔に遡る。 父と母と、今よりずっと小さな海斗。 今日の出来事を矢継ぎ早に喋っていたら 母が呆れたように、 口にご飯入れたまま話さないの、と笑う。 他愛もないことで海斗が笑ってくれるのが嬉しくて 注意されたしりからまた喋って、叱られて、笑って。 ] (52) 2021/12/02(Thu) 22:45:23 |
【人】 木峰 夏生[ 海斗が俺を避けるようになった頃の食卓を囲む 記憶は、不思議にあまり残っていなくて。 幸いなことにこの頃は、ぶっきらぼうではあるけれど 返事が返ってくるから。 間を流れる空気に沈黙がないことは、 こんなにも心を穏やかに揺らしてくれる。 ] (53) 2021/12/02(Thu) 22:46:58 |
【人】 木峰 夏生ざんねん、つかまえた。 [ 前も言ったろ?お前の兄貴、 何年やってると思ってるの、って。 抵抗されないなら、少し力を増して、 さらに離れないように、 よっこいせ、とじじくさいかけ声で 海斗を抱き上げて、シンク台に座らせてみようかな。 さっき綺麗に拭いたから尻は濡れないと思うし、 上手く座ってくれそうなら足の間に 自分の身体を入れて、距離を潰して。 俺より目線が僅かだけ高くなった海斗を 至近距離で見上げることが出来たら、 下からそっと口付けを。 冷やし中華味に、欲と熱と、マヨネーズを添えて。 ]** (56) 2021/12/02(Thu) 22:53:38 |
【人】 木峰 海斗[ 小さな頃の記憶。 『にいちゃん』と、無邪気に笑い、 『大好き』と、素直に好意を口にしてた。 兄がすること、話すこと、 そのすべてが、楽しくて、嬉しくて。 兄の中心は、俺で、 俺の中心も、兄で、 それが、当然であると、 何の衒いもなく、愛情を受け入れていた。 その時は、まだ。 この感情が、兄を慕う。 "普通"の感情だと思っていたから。] (57) 2021/12/02(Thu) 23:33:15 |
【人】 木峰 海斗[ 美味かった。と聞いても、 そりゃ、良かった。と、嬉しいくせに、 肩を竦めてみせて。 それでも、口元が微笑んでいるのだから、 最近は、感情を隠すのが下手になったかもな。 それは、隠す必要がなくなったから。 挑発的な、よく似た笑みを浮かべて、 ちょっとした悪戯をして、逃げようとしても、 やはり、素早さだけでは逃れられない。 いつかのように、手首をとられて。 無理やり払えば、逃げられる程度の優しい力に、 抗うこともなく、引き寄せられる。] ッ、捕まってやってんだよ って、おい、ちょっと…… [ 負け惜しみを口にしながら、 くすり、と笑っていれば、 年寄り染みたかけ声と共に、身体が浮く。 少し慌てた声をあげたが、 綺麗に拭かれたシンクの上に腰を置く形になって、 いつも高い位置にある、兄の瞳を上から見つめて。 頬が、熱くなっていくのを感じながら、 この距離では、隠すことなんてできないし、] (58) 2021/12/02(Thu) 23:33:17 |
【人】 木峰 海斗[ 微笑み交じりの悪態を落として、 合わせた柔らかい感触に、瞳を閉じた。 ゆっくりと、味わうように、食めば、 ―――― しょっぱいのに、 ]甘 い。 (59) 2021/12/02(Thu) 23:33:21 |
【人】 木峰 海斗ん、ッ…… 何、もうガマンできねーの? [ 何度か、重ねては、食んでを繰り返して。 甘さの残る吐息を漏らして、 ふふ、と悪戯っぽく笑えば、そんなことを言って。 覗き込むように、首を傾げる。 そのまま、すり、と甘えるように、 抱きしめ返して、耳の裏に唇を寄せて。 兄貴の目の前に、僅かにしっとりと汗に濡れた 少し焼けた肌の上、いつか兄貴が痕を残した場所に 一片、虫刺されにしては鮮やかな 赤 が散ってた。**] (60) 2021/12/02(Thu) 23:33:24 |
【人】 木峰 夏生[ 体重を、ゆっくりとシンクに腰掛けた 海斗の身体に預けていくと、甘い悪態が降ってきて。 伏せられた睫毛がふる、と震える。 下から押し付ける口付けは拒まれなかったから、 衝動的に噛みつきたくなる衝動をなんとか堪えて。 唇が食まれれば同じように食み返し、 何度も、優しく重ねて。 ] ……誘ってくれたのは海斗だろ? (61) 2021/12/03(Fri) 9:41:34 |
【人】 木峰 夏生[ 自分でも驚くくらい、ぎくりと体が一瞬強張った。 虫刺されに似て非なる赤。 友達に揶揄われるからつけないでくれと言われた 所有者の証。 たとえば誰か他のやつと体を重ねていたのだとして、 海斗は俺に隠すつもりなら初めから つけさせることなどない人間だと思う。 情け無いことにつきんと心臓が痛む。 静かに身体を起こして、いつもと変わらない笑みを 口元に貼り付けた。 ] (63) 2021/12/03(Fri) 9:45:15 |
【人】 木峰 夏生─── 風呂、入ってくるわ。 [ 何事もなかったように、するりと離れようとした。 けれど、頭と体が乖離して、 上手く言うことを聞かなくて。 ] ……海斗、 ここ、 [ 気づかないフリすればいいだけなのに。 結局俺は少し焼けたみずみずしい肌に咲いた赤を そっと人差し指で撫でてしまうのだ。 ] (64) 2021/12/03(Fri) 9:46:49 |
【人】 木峰 夏生……─── 挑戦状? [ くす、と微かな笑みを落としてゆっくり瞬きをした。 怒りでもない、悲しみでも、激しい嫉妬でもない。 何と表現すれば良いのかわからない、 強いて言えば困った顔で、海斗の瞳を覗き込んだ。 ]* (65) 2021/12/03(Fri) 9:47:55 |
【人】 木峰 海斗[ 誘ったと言われれば、さぁ?と 惚けたように、ただ笑みだけ浮かべて返し、 そのまま、重なった唇が与えてくる感触を 大切そうに味わった。 ふいに、抱きしめ返した身体が強張るのを感じた。 不思議そうに、視線をあげれば、 何かを見ている様子だけを知った。 貼り付けられた笑み。 それが、自然なものか、違うのか。 ―― それくらいは、分かるつもり ] (66) 2021/12/03(Fri) 17:12:23 |
【人】 木峰 海斗え、あぁ……わかった [ ゆっくりと、 この季節に触れ合うには熱い感触が離れていく。 普段なら、もっと触れ合う時間は長ったはず。 だけど、今は違って、 ほんの少し胸の奥に違和感を憶えるが、 ふいに、示された モノ 。首筋を撫でる指の感触に、 ぴくり、と肩を揺らしながら、 "挑戦状"という言葉に、首を傾げた。] ……? 挑戦状って、何だよ? [ 本当に、何も分からないというように、 困った顔で覗き込まれて、 よく似た困惑の色濃い瞳を、不安そうに揺らした。] (67) 2021/12/03(Fri) 17:12:26 |
【人】 木峰 海斗はぁ、ちょっと待て [ 真っすぐに見つめ返して、 ふざけている様子もないのを、確認して、 ポケットからスマホを取り出すと、インカメで 兄貴が触った場所を移してみると、見知らぬ 赤 が、見間違いというには、はっきり過ぎるほど、 鮮やかに、一片だけ散っていた。 どきり、とする。 見覚えはないし、された記憶もない。 それでも、気付いてしまえば、気まずい。] (68) 2021/12/03(Fri) 17:12:28 |
【人】 木峰 海斗…………覚えは、ねーな [ カチリと、 スマホの画面から、その赤を見えなくする。 その音が、妙に響いた気がして、 鼓動が一つ、また早くなる。 悪いことをした覚えはないのに、 悪さをしたような気になる焦燥感に、 困った様子で、瞳を揺らして、記憶を辿る。 兄貴が、怒っている様子がなければ、 ]ほんの少しほっとしたけれど。 その、なんだ…… とりあえず、風呂行ってこいよ [ すぐに思い出せなくて。 肩を押せば、そっとシンクの上から降りようと、 身体を身じろいだ。**] (69) 2021/12/03(Fri) 17:12:31 |
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