【人】 諦念 セナハラきつい消毒液の臭いを纏った男が、重い足取りで歩いている。 目指す先は己が寝泊りをしている宿直室だった。 老いとは恐ろしい。 できる事は増えているはずなのに、 できない事はそれを上回る速さで増えていく。 未だやるべき事は残っている。 しかし一度、身体を休めたかった。 (0) 2021/07/04(Sun) 21:17:20 |
【見】 流転 タマオ タマオは布を軽くはたいた。転がる球体は点々と血の跡を残していく。不思議なことに、目玉を包んでいた小さなタオルには赤い染みはない。床に置かれたために埃が少しついたやもという程度か。 「……洗って返すべきだろうか」 気にするところ若干ズレているんだよなぁ。 (@1) 2021/07/04(Sun) 21:23:21 |
【人】 焦爛 フジノ今日も、静かに座っていた。 動き回らず、ただ静かに。 そうしないとお腹が、空いてしまいそうだったから。 雨戸の向こうから聞こえる音は、まだまだ止みそうにない。 (1) 2021/07/04(Sun) 22:38:34 |
【人】 商人 ミロクいつかの時間。 男は大股で一人の少年を探している。 先日男と一番はじめに取引をした、 熱に浮かされたあの少年だ。 男は、少年から対価をもらった。 品物を欲する目的を知っていた。 だからこそ、姿が見えなくなった今行方を探していた。 人の少ない病院内だ、すぐに見つかるだろう。 そう思って、歩みを進めた。 (2) 2021/07/05(Mon) 10:30:52 |
【人】 諦念 セナハラ宿直室で一眠りした後のこと。 男は、調理室にいた。 調理台には 干し肉が並んでいる。 一夜干しのようだ。弱火でじっくりと焼いていく。 塩と胡椒と、何かの焼かれる匂いが漂った。 /* 察して…… (3) 2021/07/05(Mon) 11:29:50 |
【見】 流転 タマオ フジノが寝床に使っている部屋に勝手に侵入し、洗ったタオルを干した。洗濯バサミちょんちょん。乾いた状態になる頃には返せるかも怪しいと思ったので。 タマオは洗濯上手でしたか?(7)0n10 0:むしろ汚れが増えた 3:標準 10:完璧 (@2) 2021/07/05(Mon) 11:37:44 |
タマオは、洗濯も結構上手だった。 (t2) 2021/07/05(Mon) 11:39:06 |
セナハラは、懐かしい臭いに顔を顰めた。 (a0) 2021/07/05(Mon) 11:40:52 |
【人】 商人 ミロク>>1 フジノ 「ごきげんよう。フジノさん。 突然ですが、げーむをしませんか? 隠して欲しいものがあります。 決して誰にも、見つからないようにしてください。 仲のいい友人にも、恩を覚えている医者にも。 取引をした大人にもです」 その日あなたの前に男はやってきた。 そう、あなたに告げて、包みを渡す。 服の中に隠し続けるには少しかさばるような何か。 そして、内緒話をあなたの耳元で囁いた。 「隠したら、戻ってきて少しの間お話をしましょう。 その後で、私が探しに行きます。 見つからなかったら、あなたのかちです。 見つけられたら、私のかちです」 「かんたんなげーむでしょう?」 (4) 2021/07/05(Mon) 11:47:46 |
フジノは、目覚めると同時に干されたタオルを見た。不法侵入されてる………… (a1) 2021/07/05(Mon) 12:32:14 |
【人】 被虐 メイジこれはまだ"肉"の焼ける匂いがする少し前の時間。 二階からふらりと降りてきたメイジ その顔色は、疲弊したように悪い。 「────ねえ、誰か、リョウ見かけてない?」 ニエカワのことをそう呼んでいる。 メイジは最近、彼と友達になった。 友達が友達を心配するのは当然だ。 「病室に見当たらないんだ」 「昨日すごい調子が悪そうだったし そんなフラフラ出歩くはずは──…………」 だんだんと消え入りそうになっていく言葉 メイジには霊的存在は、見えない、聞こえない。 そしてまたどこかへふらりと、歩き出す。 (11) 2021/07/05(Mon) 14:59:45 |
タマオは、この山に猿が住んでいたことを初めて聞いたし、それを事実と受け取った。 (t3) 2021/07/05(Mon) 15:30:34 |
【赤】 諦念 セナハラ心拍数を示す線が動かなくなった。 計測を止め、手術台の上部にある照明を点ける。 ブリキのバケツを幾つか持って来ると、台の下に置く。 「……まずは手足から外していきましょうか。 関節にメスを入れると、すんなり切れます。 包丁や普通の刃物では上手く切れないので、 必ずメスを使ってください」 鈍く光る銀色が、まだ温もりの残る肌に触れる。 ──が、ふと気付いたのか、 「…………」 白い三角巾を遺体の顔にかけた。 人間だったものを小さくしていく姿は、やはり手馴れている。 切り口を下にしてバケツに入れていく。 血が吹き出るというよりは、滲み出るといった表現が近いだろうか。 死んだ生き物は激しく出血しない。 (*0) 2021/07/05(Mon) 15:41:59 |
タマオは、包丁のある場所を確認した。 (t4) 2021/07/05(Mon) 16:15:54 |
タマオは、メスのある場所を確認した。 (t5) 2021/07/05(Mon) 16:16:10 |
タマオは、斧のある場所を確認した。 (t6) 2021/07/05(Mon) 16:16:24 |
タマオは、工具箱を置き、バケツを手に取った。 (t7) 2021/07/05(Mon) 18:44:10 |
タマオは、雑巾をいっぱいに入れて戻って来れば、こう、がんばって鍵を開けて部屋に入った。 (t8) 2021/07/05(Mon) 18:44:22 |
タマオは、雨漏り箇所の補修をした。27 (t9) 2021/07/05(Mon) 18:44:35 |
タマオは、(´・ω・`) (t10) 2021/07/05(Mon) 18:45:40 |
タマオは、雨漏り箇所の下にバケツを置き、床の水を掃除した。 (t11) 2021/07/05(Mon) 18:48:19 |
【赤】 被虐 メイジ薄暗い手術室の中で、照らされる照明が嫌に眩しい。 メイジは泣き腫らした目を細めた。 かつて"友達"と呼んだ──本当にそう思っていた。 それを目の前にして、息を呑む。 もう、動くことはない、声を聞くこともできない。 「……これ、本当に死んでるんだ………」 布がかけられた顔を一瞥して、ぽつりと零れる言葉。 そう思うと、夏だというのに悪寒がした。 死体を見ると恐怖を感じる。 自分の死を連想させるから── やっぱり、自分は死にたくないんだ。 (*1) 2021/07/05(Mon) 19:41:45 |
【赤】 被虐 メイジ説明を聞きながら、刃物が肌に食い込むのを顔を顰めて見た。 思わず目を逸らしそうになったのを堪える。 ちゃんと見ていなければ、覚えられない。 「……っ……」 血の臭いが鼻孔を刺激する。 一度口元を押さえたが、震える手を押し殺してメスを握る。 「……オレだって……やってやる……」 「(嫌だ、やりたくない、嫌だ……)」 そうして、ふいに触れた手は、まだあたたかくて苦しくなる。 照明に反射し、きらめく刃物を意を消して見つめ そして、肌に当てる──見様見真似だった。 「……、……ごめん」 メイジは思い出す。刃物が人に食い込む時の感触を。 メイジは、覚える。人を切る時の感触を。 (*2) 2021/07/05(Mon) 19:48:50 |
【赤】 被虐 メイジ「ねえ、これって、どの部分を食べるの……」 バラバラになっていくのを見つめながら尋ねる。 以前やった時は、もう食肉としか見えなかったし どの部分かも聞く余裕もなかった。 (*3) 2021/07/05(Mon) 19:49:45 |
タマオは、二階の部屋を順繰りにすり抜けていった。雨漏りの確認だ。 (t12) 2021/07/05(Mon) 20:16:50 |
ミロクは、【肉】を食べに行かなかった。 (a2) 2021/07/05(Mon) 20:37:22 |
【赤】 諦念 セナハラ「概ね食べられます。 しかし内臓は傷みやすいので今回は避けます。 ……申し訳ないですけれど」 手足を切り終えれば、後は胴体を残すのみとなる。 胸にメスを入れようとして、ぴたりと手を止める。 特に吐く人間が多い段階であることを、思い出したからだった。 「ここから先は他の動物と似てますね。 骨を折るようにして広げて、臓器を取り出して、」 どうせ吐いた所で、胃は空だろう。 ……むしろ、そうしてほしかった。 そしてここから逃げ出してほしいと、未だに思っている。 胸の皮膚を切ると、血だらけの手で包丁に持ち替えた。 (*4) 2021/07/05(Mon) 21:08:13 |
【赤】 諦念 セナハラ包丁で狙いを定め、肋骨を折るように切っていく。 ……たとえ貴方が吐いたとしても、泣いたとしても、 手を休めることはないだろう。 「……っ、」 両開き戸を開けるように、力を込めて肋骨を開いた。 内臓を取り出し、バケツに落としていく。 暫くすれば、以前貴方が見たような──食肉の姿になる。 (*5) 2021/07/05(Mon) 21:09:43 |
タマオは、相も変わらずの無表情だが、雰囲気は分かり易い方だと自負している。 (t13) 2021/07/05(Mon) 21:57:25 |
【赤】 被虐 メイジ「…………………」 肉が引き裂かれ、骨が砕かれる音。怖い。 取り出される真っ赤な内臓。気持ち悪い。 そこにあるのはもうただの肉塊。変わり果てた姿。 罪悪感よりもなによりも、本能的な恐怖が襲う。 頭から血の気が引いていく。足元がふらついた。 「………………うっ……」 最後まで黙って見ていたが 悲鳴を上げるみたいに、がしゃんと金属音がした。 メイジがぶつかって、器具か何かを落とした音だ。 「………うぐ……ぇ………げほっ、げほ………」 ついに胃から込み上げてくるのを押さえきれず、吐いた。 出てくるのはほとんど胃液だけだった。 (*6) 2021/07/05(Mon) 22:16:06 |
【赤】 諦念 セナハラ金属音に一瞬手を止めるが──、直ぐに再開する。 作業が残っていれば、無理にでも手伝おうとするだろう。 そう考えて後の作業を急いだ。 「……慣れちゃだめですからね、こんなものに」 皮を剥ぐ。骨を外す。脂を削ぐ。 「今の気持ちを忘れないでください。 でもこの景色は忘れるように、努めてください」 白衣は袖口を中心に、真っ赤に染まっている。 なるべく何も考えないように、無心で手を動かした。 (*7) 2021/07/05(Mon) 23:03:42 |
【赤】 諦念 セナハラ粗方終えてしまうと、大きなブリキのバケツを取り出した。 蓋を開けて、骨や内臓を中に入れていく。 「…………ごめんなさい、」 生首の耳元で、小さく呟いた。 それを白いシーツでそっと包み、 名残惜しそうに、バケツの中へゆっくりと置く。 蓋をしてしまえば、贄川涼という子供だと判断できる物はもう見えなくなってしまった。 ……残す作業は、 隠蔽 掃除ぐらいだろう。 (*8) 2021/07/05(Mon) 23:06:26 |
フジノは、扉を二度開けた。風の吹き込む音が、二度した。 (a3) 2021/07/05(Mon) 23:52:53 |
【赤】 被虐 メイジ「……っ…… くそ…… 」メイジは何かを振り払うように、一度大きく息を吐く。 青白い顔をぶんぶんと振って、立ち上がると 自分で落とした器具や、床を片付け始めた。 こんな悪夢のような光景、忘れられそうもないと思った。 「セナさんは……馴れちゃったの……?」 生首がシーツで包まれていくのを、 名残惜しそうなその横顔を、ただ無表情で見つめる。 前の誰かも、こうして隠されているのだろうか。 (*9) 2021/07/06(Tue) 0:04:56 |
【赤】 諦念 セナハラ「馴れたというよりは、馴らしたというか。 その為に医者を目指しました」 それはあの客人に問われたものの、答えられなかった“理由”だ。 簡素な戸棚、その一番下を開ける。 同じような作りのバケツが、もうひとつあった。 「僕は忘れられなかったので、 この光景を日常にしようと思ったんです。 そうすれば、悪夢ではなくなるでしょうから」 眠る赤子を起こしてしまわないように。 そんな手付きで、優しく、隣に新たなバケツを置いた。 ゆっくりと戸を閉めれば、手術台の血や脂を丁寧に拭き取っていく。 「……今日の所はこれくらいにしましょう。 ここから先は先日もやりましたから、 見なくてもわかるでしょうし。切って糸を通すだけです」 (*10) 2021/07/06(Tue) 0:28:22 |
タマオは、彼を見送った。「いってらっしゃい」 (t14) 2021/07/06(Tue) 2:08:00 |
タマオは、それはそれとして雨漏りがないことを確認した。 (t15) 2021/07/06(Tue) 2:08:38 |
タマオは、麻酔を持ち出した。 (t16) 2021/07/06(Tue) 4:36:04 |
タマオは、縫合道具を持ち出した。 (t17) 2021/07/06(Tue) 4:36:20 |
タマオは、斧を持ち出した。 (t18) 2021/07/06(Tue) 4:36:34 |
セナハラは、手術道具の在庫を確認した。 (a4) 2021/07/06(Tue) 10:37:30 |
セナハラは、麻酔と縫合道具が見当たらないことに気付いた。 (a5) 2021/07/06(Tue) 10:38:04 |
セナハラは、もう人を せない。 (a6) 2021/07/06(Tue) 10:40:34 |
【赤】 被虐 メイジ「うん、わかった」 淡々と頷く。──メイジは、逃げ出したかった。 逃げ出したかったけれど、足は動かなかった。 ──死んでしまったほうが楽なのではないか。 ニエカワが死ぬのを見て、過った。 彼は嘘つきの自分を恨んでるだろうか。 けれど本能は──赤く脈打つ鼓動は生きたいと叫んでいる。 辛いことばかりだというのに まだ生きたいと思う自分がわからなかった。 (*11) 2021/07/06(Tue) 12:03:29 |
【赤】 被虐 メイジ「……、……ありがとう、セナさん」 あなたが医者になった理由を聞いた。 何かを言いかけた口をつぐんだ。 メイジはふいに、少し眉を下げて笑う。 「忘れられなくて医者になったのに こんなことになったのに…… オレたちのこと、助けてくれようとしてくれて」 メイジは、ひそかに拳を握る。 「こんな状況で言うのはおかしいかもしれない。 でも……オレさ、嬉しかったよ。優しくしてくれて」 (*12) 2021/07/06(Tue) 12:05:45 |
【赤】 諦念 セナハラ「……、……感謝されるような事ではないですよ。 何て物を食わせたんだ、と怒る人もいるでしょう」 吊るされていた干し肉を下ろし、糸を外していく。 先日作った彼女の肉が、白い皿に盛られていった。 そして新たな肉を薄く切り、糸を通し、塩と胡椒を塗し、吊るしていく。 「優しい大人はこんな事を──……いや、」 自分に生きる術を教えた父は、優しかった。 優しい大人だと、今でも思っている。 (*14) 2021/07/06(Tue) 14:11:32 |
【赤】 諦念 セナハラ「……うん。ありがとう、ございます」 貴方がそんなつもりで言ったのではないとわかっているが、 それでも、自身の父親を認められたような気がした。 「メイジくん。きみはきっと、優しい父親になれます」 「宿直室に、手紙を置いておきます。 ……封は開けちゃだめですよ。 それをここから出たとき、外の大人に渡してください」 手術台の照明を消した。 赤黒い肉が乗る皿を持ち、扉へ向かう。 (*15) 2021/07/06(Tue) 14:11:59 |
【赤】 被虐 メイジ「……いいよ。周りにどんな目で見られても オレは絶対、セナさんが優しいって言い続けるから」 あなたが死んでもメイジに賛同し続けると言ってくれたように。 人を殺し、今日も肉を切り刻んだ、全て自分の為にやった。 責められるのも、恨まれるのも、蔑まれるのも慣れてる。 「あはは……オレが父親か。なれたらいいね」 そんな、来るかもわからない遠い未来の話に すこしだけ思いを馳せた。まだなにも見えない。 (*16) 2021/07/06(Tue) 17:19:45 |
【赤】 被虐 メイジ「手紙? ……うん、わかった」 なんの手紙だろう。少しひっかかるが 言及することはせず、素直に頷いた。 あなたの背を見送る。 (*17) 2021/07/06(Tue) 17:27:35 |
【人】 商人 ミロク>>13 フジノ あなたが戻ってくれば、静かに座ってどこかを眺めて居た。 やってくると気づいて、濡れている服に首をかしげる。 一度席を外して、タオルを持ってくれば、 丁寧に髪や顔を拭き始めるだろう。 「お話は、そうですね。 あなたがこの村でどう過ごしていたかなど聞きたいですが。 不都合があれば私の話でもいいですよ。 あまり面白みがないかもしれませんけれど。 少しだけ、贅沢な。運だけがよかった男のお話です」 瞳を見返す姿はまたやけに温かみを帯びていて、 いつか肉の香りが漂う近くまで話はされた。 取引でも、なんでもないただの会話。 あなたがどう答えようと男は語っただろう。 (22) 2021/07/06(Tue) 21:08:58 |
【人】 商人 ミロク>>13 >>22 フジノ 男は両親の顔を知りません。 赤子の頃、少し裕福な商人の主人に運良く拾われ育てられることになりました。 世渡りと、ほんのすこしの芸を身につけて金を稼ぐ幼少期を過ごして。 大きくなれば、商人としての知識を学び、 ようやく"客を見る"役目として表で活躍が出来るようになったのです。 色々な客と関わるうちに、一つの夢ができました。 つい、今日まで商いの生活で忘れかけていたが、やはりずっと胸の中には残り続けていました。 「教師になりたかったんです。 しかしまともに学徒として勉学を嗜んでいませんから…。 ほぼ難しいといわれ、諦めていました。 実際、人より少しだけ多く本を読んだ程度です。 このご時世、仕事は選べるものではありませんが、 夢を持っていたことは忘れたく有りませんね」 (23) 2021/07/06(Tue) 21:10:15 |
【赤】 被虐 メイジメイジは、誰もいなくなった手術室で 大きなため息を吐き、どさりと椅子に座り込んだ。 吐いたせいで体力を消耗したのか、立っているのも怠かった。 ふと、懐から取り出したのは、お茶の缶のようなモノ。 "どんな痛み"でも"一時的"に取ってくれる薬。 「…………オレは、まだ大丈夫」 メイジはすぐにそれをしまった。 (*18) 2021/07/06(Tue) 21:10:40 |
メイジは、"猿肉"の味を知った。 (a7) 2021/07/06(Tue) 21:42:08 |
【人】 商人 ミロク>>セナハラ しばらくして肉の香りがまだ漂っているだろうか。 人がまばらになった頃、商人は、医療従事者の男に声をかけた 「すみません、お時間いいですか? ニエカワさんのことです。 先程"お話し"したのですが伝言があります。 ここで、聞きますか? それとも、」 別室がいいですか。 何となしに訪ねる声が、病院内に静かに響いた。 (27) 2021/07/06(Tue) 21:51:20 |
【人】 焦爛 フジノ>>23 >>31 ミロク 「……教師。 ミロクさんは、いろんな事、知ってるし。 優しいから……きっといい先生に、なれただろうな」 本心だ。貴方が自分達を見つめる優しい目を、覚えている。 そして貴方の語りの後、フジノもぽつぽつと語る。 顔も知らない祖父は南へ出兵して、終ぞ帰ってこなかった。 半年前に祖母が亡くなるまで欠かさず線香が立てられていた仏壇には、今も空っぽの桐の箱が置かれている。 母の顔も知らない。否、覚えていない。物心ついた頃には祖母と父しかいなかった。 母はフジノが大やけどをした後――祖母曰く、目を離していた間に囲炉裏に落ちたらしい――姿を消したという。 残されたフジノに、この見た目では嫁に行くのは大変だろうと、亡くなるまで祖母は案じ嘆いていた。 村の人々は歪な跡を晒すフジノを遠巻きに眺め、大人達の反応を見て子供達もそれを真似た。 色眼鏡無く接してのは、アユミを始めとする余裕のある大人。 ……そしてここに偶然にも集まった、少し変わった人々ぐらいだ。 そんな風に育ったものだから、ミロクのような『夢』や『目標』はなかったのだと、ぽつりと零した。 応えようと思う周囲の期待も、助けたいと思う誰かもいなかった。 貴方に話した『取引』の内容が。フジノが初めて抱えた意志だった。 (32) 2021/07/07(Wed) 1:08:36 |
【人】 焦爛 フジノ>>24 >>26 【肉】 「 ……猿? 」絵本ぐらいでしか見た事のない生き物の名に、つい疑問符の混じった呟きが漏れる。 ……それでも、医者であるセナハラが用意したものだ。 メイジに促されるままに部屋へ入り、取り分けられた肉を、見つめる。 食わなければならない。 これが何の肉であったとして、腹を満たしてくれる事は確かだ。 なら、食べなければならない。 フジノはそうしなければならない。 いただきますと、小さな声で告げて。 小さく切り分けられた肉を、口の中へ入れる。 味の感想は特に告げず、水で流し込んだ。 部屋に充満するこの匂いは、祖母を火葬した時に嗅いだ匂いに似ているなと、ぼんやり思った。 (33) 2021/07/07(Wed) 1:21:56 |
【人】 遊惰 ロク>>24 >>34 (>>@3 >>+7)【肉】 目の前に置かれた皿をジッと見て。 肉を調理し、食う彼らのことをぼうっと眺めたと思えば、 不意に部屋の中、誰も居ない筈の空間へと視線を送る。 それから又、皿の上へと視線を戻す。 そんな事を繰り返して、一つ疲れた息を吐いて。 「――悪いがちっと、用を思い出した。 おれァ余ったらでいいや」 そう言って、フラリと調理室を後にした。 包帯を巻いた少年が何かの気配を感じたより、 幾許か前のことだった。 男の思考は鈍っている。 その上、見聞きする死人を、夢マボロシだと思っている。 少なくとも、この時はまだ。 だからその実、この行動は―― 肉への不審からでは無く、霊を信じたからでも無く。 只、そうすると決めていた通りに、食べ物を口にしなかった。 それだけの事だった。 (35) 2021/07/07(Wed) 2:53:17 |
タマオは、短く否定した。特に待っていたわけでもない。 (t19) 2021/07/07(Wed) 5:55:47 |
タマオは、病室へ向かった。 (t20) 2021/07/07(Wed) 5:56:10 |
タマオは、頼み事をされた。問題ありません。 (t21) 2021/07/07(Wed) 8:42:46 |
タマオは、よいしょ。 (t22) 2021/07/07(Wed) 8:43:14 |
タマオは、バキッ。上手くやれました。 (t23) 2021/07/07(Wed) 9:03:04 |
タマオは、村の人々を覚えています。 (t24) 2021/07/07(Wed) 10:25:48 |
タマオは、あなた達を覚えています。 (t25) 2021/07/07(Wed) 10:25:57 |
タマオは、あなたを覚えています。 (t26) 2021/07/07(Wed) 10:26:04 |
【置】 商人 ミロク朝方、2階の病室から奇妙な匂いがするのにあなた達は気づいただろうか。 一歩、また一歩進む度に違和感が増していく。 扉を開くと。 鮮やかな赤 と、噎せ返るような鉄錆の匂い があなたたちの視界に叩きつけられる。同時に嗅いだことのない、 妙な ――酢酸の臭さと植物を燻った煙のような―― 香りが空気に混ざっていた。男-ミロク-は、病室のベッドの上で 死 んでいた。病室の床とベッドのシーツは赤く染まっている。 首を重い刃物で一刀両断。即死だ。 断面は縫合され、人形のようにくっつけられている。 男の服は病院に訪れたときと同じスーツ姿。 衣類の乱れもなく、苦しそうな表情もしていない。 そんな奇妙な死体は、誰かに殺されているように見えるにもかかわらず、 どこか穏やかに笑っているようにもみえた。 気のせいかも、知れないが。 首以外の外傷はないが、左耳の耳朶から血が一筋流れている。 そこには白いピアスが点けられ、光を反射し輝いていただろう。 (L0) 2021/07/07(Wed) 10:46:46 公開: 2021/07/07(Wed) 10:50:00 |
ミロクは、その夜、命を落としました。 (a8) 2021/07/07(Wed) 10:50:00 |
タマオは、そういえば使わなかった麻酔を元の場所に戻した。 (t27) 2021/07/07(Wed) 10:51:35 |
【人】 商人 ミロク>>32 フジノ 「畑仕事、やったことがないんですよね。 都会では、靴磨きが駅前で盛んです。 まず見た目の善し悪しが気にされないので。 強いて言えば首に何か巻いていると良いでしょう」 「いい先生に、と。そういっていただけて幸いです。 大人相手ばかりだと、疲れてしまいまして。 きっと、あなたたちのような "子供"に慕って欲しかったのかもしれません。 "大人"は醜くて、狡猾で、汚い部分がよく見えますから」 明日には会えなくなっているかもしれない。 そんな思いを抱いて、男は話した。 誰かが一人、また一人。 ―――異常ではない異常の世界で暮らしている。 「"お嫁さん"としての将来を私が受け持つことはしませんが、 あなたがお嫁さんになれる場所は、提供したいですね。 できるだけ、手を回してみましょう。大丈夫ですよ。 あなたは、心優しい、誰かを想える人ですから」 そうしていくつかやりとりをして男は去って行く。 最後に、別れを告げて。 (37) 2021/07/07(Wed) 11:03:14 |
セナハラは、診察室の壁を力任せに叩いた。一拍遅れて、手が痺れるように痛む。 (a9) 2021/07/07(Wed) 11:48:47 |
商人 ミロクは、メモを貼った。 (a10) 2021/07/07(Wed) 12:05:23 |
タマオは、悲鳴を聞いた。それはそれとして飛来した屋根瓦が開けた穴を塞ぐ作業を続けた。 (t28) 2021/07/07(Wed) 13:12:15 |
セナハラは、2階に上がると顔を顰めた。 (a11) 2021/07/07(Wed) 16:23:15 |
セナハラは、この匂いを知っている。 (a12) 2021/07/07(Wed) 16:23:29 |
ロクは、先日、耳飾りを一つ手放した。 (a13) 2021/07/07(Wed) 16:54:13 |
諦念 セナハラは、メモを貼った。 (a14) 2021/07/07(Wed) 17:26:24 |
メイジは、"肉"を食えるだけ食った。食べなければ、生きられない。 (a15) 2021/07/07(Wed) 17:59:40 |
【人】 焦爛 フジノ>>37 ミロク 「そう、なんだ。 ……いいな。ここじゃ、人と変わってるととても、目立つから……」 首元の歪な跡を触る。夏でも首巻きをつけてて大丈夫だろうかと、考えた。お洒落でなにかを巻くという発想がないのだ。 「……そうかな」 子供だって大人に負けず劣らず、残酷だ。 無邪気故の行動もあれば、大人を欺く事が上手な子もいる。 ……けれど、それをわざわざ伝える必要もないだろう。 貴方は大人達との交流ですっかり疲弊してしまったようにも見えた。 「い、いいよそんな事。そんな物好きな人いないって、わかってる、し……そう言ってもらえるほど優しくも、ない、から」 腹を擦り、ぼそぼそと恥じらうようにそう答えて。 やり取りを終えれば、去っていく貴方へ別れを告げただろう。 『また、明日』。会えると信じていた。 (39) 2021/07/07(Wed) 20:25:20 |
フジノは、調理室で"肉"を食べ、飲み下した。味なんてどうでもよかった。腹をみたせるのなら、それで。 (a16) 2021/07/07(Wed) 20:33:37 |
セナハラは、かつて父も同じ気持ちだったのだろうかと、二人の子供を見ながら考えた。 (a17) 2021/07/07(Wed) 20:36:58 |
【赤】 被虐 メイジ雨の音と重たい空気が支配する 静まり返った手術室で、メイジはひとり呟く。 「……さよなら」 干された肉を一瞥し、戸棚に向かってそう呟く。 「向こうでは、もう苦しくないかな? また会えたらいいね……リョウ」 笑う。ふざけたことを言ってると自分でもわかっている。 もしまた会ったらオレのこと怒るかな、軽蔑するかな。 それともまだトーキョー行きたいなんて思ってるかな。 ……そこまでバカじゃないか。 会えるはずもないのに、信じてなんていないのに そんなこと許されるとも思っていないのに そうやって言葉にして、自分を騙すような遊び。 ──"友達"だと言ったのは、嘘じゃなかった。 (*19) 2021/07/07(Wed) 20:37:06 |
セナハラは、広げた調理器具を片付ける。余った肉はまた明日、誰かの糧になるだろう。 (a18) 2021/07/07(Wed) 20:41:24 |
ロクは、死体の耳朶に光る石をジッと見て。セナハラの呟きに返事をした。 (a19) 2021/07/07(Wed) 20:46:24 |
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